発達障害の適職を自分の得意・不得意から知る3つの方法
こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)の田村です。
あなたは、発達障害の自分の就職先をどのように選べばよいのか、という悩みを抱えていらっしゃるのではないのでしょうか。
一口に発達障害といっても、その症状は多岐に渡ります。
大きな分類でADHD(注意欠陥・多動性障害)、ASD(自閉症スペクトラム障害)、LD(学習障害)の3つに分けられ、更に詳細な区分や個人ごとの「特性」は、もっと多くのパターンに分かれるでしょう。
つまり、具体的な「発達障害のあなたの適職」は、あなたの特性や性格などを知らずに、「これがいい」「あの会社がいい」と言い切ることはできません。
ですが、「得意・不得意」という軸で自分のことを知れば、より向いている就職先(より向いていない就職先)を知ることができます。
そこで本記事では、あなたの適職を見つけるため、なぜ得意・不得意という判断基準で考えていくべきなのか、またどのような検査や支援があるのかを紹介します。
あなたが「次に進むべき道」を知るための参考となれば幸いです。
私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、適職を探している発達障害のある人のための就労移行支援事業所です。
- 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
- 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
- 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月
神田・新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。
目次
はじめに:発達障害の適職を得意・不得意から考えるべき理由
これは言うまでもないことですが、得意・不得意は、仕事の作業効率に直結します。
効率よく作業できる職に就ければ、職場での評価も当然よいものになるでしょうし、決められた勤務時間でも余裕をつくれ、充実した働き方をすることができるでしょう。
しかし反対に、苦手な仕事をしなければならない職場なら、周りの人は仕事が終わっているのに自分だけ終わっていない、というような精神的に負担の多い状況に陥ってしまいます。
もちろん苦手なものすべてを避けていくというのは難しいことですし、触れたことのない分野、苦手に感じていた分野でもやってみたら意外とできた、得意にすることができたという例もたくさんあると思います。
それでも、あらかじめ知っている自分のできることから就職先を絞っていく方が不安や負担も少なく考えていけるのではないでしょうか。
特に発達障害者の人の中には、「能力の凹凸が大きい」という特性がある人もいます。
適職を見つけるために、自分の得意・不得意を改めて考えてみましょう。
発達障害の人が得意・不得意を知るための3つの方法
アルバイトや就職の経験がある人は、自分の得意・不得意がある程度わかっているかもしれません。
ですが、これから就職するという学生の人や、「不得意はわかるけれど、得意はわからない」などという人は就職先(適職)を探すにあたって不安を覚えるでしょう。
ある程度わかっている人もそうでない人も、改めて自分の得意・不得意を知るために具体的な指標を可視化できる検査や支援を行う施設を紹介します。
方法①:WAIS-4(精神科病院)
WAIS-4(ウェクスラー成人知能検査 第4版)とは、精神科病院で臨床心理士によって行われる知能検査のことです。
具体的には、次の4つの項目についての検査ができます。
- 言語的な情報や、自分自身が持つ言語的な知識を状況に合わせて応用する能力
- 非言語的な情報をもとに推論する能力。また、新規な情報に基づく課題処理能力
- 聞いた情報を記憶に一時的にとどめ、その情報を操作する能力
- 単純な視覚情報を素早く正確に、順序良く処理する、あるいは識別する能力
これら4つの能力を、具体的な数値だけでなく、自分の能力が他人と比べてどのくらいの位置にあるのかという結果まで割り出します。
必要な費用は1万~2万ほどと少し高額で、予約も大体1か月以上前から取らなければいけないなどの手間がかかります。
しかし、検査結果を単純に示すだけでなく、検査中の様子も見た上で、普段の生活・学業・仕事への取り組み方や改善点、参考になる資料の紹介など、専門の臨床心理士の方から指導を受けることができます。(病院によって、サービス内容は多少異なります)
実際に私も受けており、今後の人生を送る上で非常に助けになりました。
特に私の場合は、検査結果の説明を家族に一緒に受けられたことも大きな意味がありました。
それまでは、家族に対しても「必要な配慮」を自分で言語化できなかったり言いづらかったり、という状況でした。
検査結果説明の際に、臨床心理士の方が、検査結果も含めた「私のこと」を全面的に家族に説明したおかげで服薬管理・スケジュール管理などの面で理解と協力を得られるようになり、生活を安定させることができました。
WAIS-4の受診を希望する場合は、お近くの精神科病院に確認してみましょう。
方法②:一般職業適性検査(ハローワーク、障害者職業センター等)
一般職業適性検査とは、「様々な職業で必要とされる代表的な9つの能力」を測定する検査です。
個人の能力の理解や適職の発見など、望ましい職業選択を行うための情報を提供することを目的に作成されたものです。
紙筆検査(ペーパーテスト)や、器具検査のような実際に手を動かしてみての検査などがあり、非常に広範な職業に対する適性を測ることができます。
測定する9つの検査能力とは次のとおりです。
- 知的能力
- 言語能力
- 数理能力
- 書記的知覚
- 空間判断能力
- 形態知覚
- 運動共応
- 指先の器用さ
- 手腕の器用さ
基本的に、ハローワークや障害者職業センターなど、厚生労働省が設置した施設で行われるものであるため、費用は掛かりません。
利用を希望する場合は、上記施設に問い合わせてみましょう。
ただ、障害者職業センターは、基本的に1つの都道府県に1つか2つしか設置されていないため、あなたがお住いの場所によっては、訪れるのに少し時間がかかるかもしれません。
こちらも、実際に私も受けています。
検査自体の時間は2時間ほどでした。
検査結果では、○、△、×の三段階にランクづけして、どの分野の職業ではうまくいく可能性が低い、この分野ではうまくいく可能性が高いというように、他の検査ではなかなか得られない広範的で客観的な評価を得ることができました。
方法③:就労移行支援事業所、及びそれを通じたインターン
就労移行支援事業所とは、「障害を持った、就労を希望する人」を支援する施設です。(この記事の運営元・キズキビジネスカレッジ(KBC)もその一つです)
就労移行支援事業所の多くは、多種の企業の協力を得て、短期間のインターンの機会を利用者へ提供しています。
前述の2つの検査とは違って、数字で自分の能力を測るものではありませんが、発達障害やうつなどの症状に理解のある職場で、短期間の業務を体験するインターンを実施している事業所が数多くあります。
実際にインターンとして働くことは、「この業務は苦手だな」「意外とこの仕事は得意かもしれない」など、検査では気づくことのできない自分の情報を得る大切な機会になります。
また、就労支援施設では、インターンだけでなく、就労に必要な様々な知識・技能の習得や自己理解の機会を得ることができます。
そうした経験を通じることで、最初の方に述べた、「触れたことのない分野でも、やってみたら意外と得意だった」というようなことがわかることもあります。
就労移行支援についての詳細は、下記コラムをご覧ください。
適職を見つけるために、自分の好き・嫌いも適職を探す軸にしてみよう:不本意な辞職を減らすために
上記の得意・不得意に加えて、好き・嫌いという観点からも、自分に合った適職を考えてみましょう。
「好き・嫌いで就職先を決めるとはゼイタクだ!」と感じる人もいらっしゃるかもしれません。
ですが、「何かを仕事にする」ということは、「あなたの人生の限られた時間の内、大部分を長期間、(場合によっては定年まで)使い続ける」ということです。
それは、好きな内容であっても嫌いな内容であっても変わりません。
好きな内容であれば、毎日、多くの時間を楽しく過ごすことができます。
一方、従事するのが苦痛である内容を仕事にすれば、いやな思いを我慢して働き続ける、耐えられなければせっかく就いた職を退職する、といった選択肢が浮かんでくるでしょう。
仕事を辞めることを一概に否定するわけではありません。
ですが、不本意に辞職する要因を減らすためには、好き・嫌いという観点から就職先を選ぶことは、決して間違いではありません。
特に発達障害者の人は、興味の対象以外に力を発揮することが難しいという特性を持っている人もいます。
「自分の得意な分野の仕事だから」という観点だけで就職先を決めず、その仕事を何年も続けられるかという、好き・嫌いの観点からも考えてみましょう。
何が好きか嫌いかは、例えば、次のようなことを思い出すと、わかってきます。
- 持っている資格
- 趣味
- 勉強してきた分野
- 他人から褒められた経験のある分野
「得意」や「好き」がない発達障害の人は、就労移行支援事業所を利用しよう
これまで、「得意」や「好き」を考えてみましょうという話をしてきました。
しかし、「自分には得意なことも好きなものもない。あったとしても、何かしらの職に就く上で役に立つようなものではない」と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そういう方は、一度前述の就労移行支援事業所へ訪れてみることをオススメします。
事業所が行うサービスには、就職の準備だけでなく、働く上での能力・自信を、プログラムを通して身につけることも含まれています。
自分では思いもよらなかった「好き」や「得意」がわかることもあれば、プログラムを通じてあらたに身につけることもできます。
いきなり入所するのは気が引けるという方もいらっしゃると思いますが、たいていの事業所では無料見学や体験利用を行っていますので、軽い気持ちで話を聞きに行くことができます。
就労移行支援の詳細は、下記コラムをご覧ください。
私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、うつ病や発達障害などの人のための就労移行支援事業所です。
- 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
- 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
- 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月
神田・新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。
まとめ:あなたが適職や支援者を見つけられることを心から祈って
発達障害者が適職を見つけるための考え方について、解説してきました。
少しでもあなたの参考になることを書けていたなら幸いです。
適職を考えるために有効な方法などを挙げてきましたが、「全ての条件に納得できる適職」を見つけることは当然難しく、最終的には自分の我慢できる範囲で妥協していくことも必要になると思います。
そのための相談先として、私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)のような就労支援施設などを活用することは悪い手ではないはずです。
あなたが適職や支援者を見つけられることを、心から祈っています。
発達障害の自分が、得意・不得意を知るための方法はありますか?
例として、次の3点が挙げられます。「WAIS-4(精神科病院)」「一般職業適性検査(ハローワーク、障害者職業センター等)」「就労移行支援事業所、及びそれを通じたインターン」。詳細はこちらをご覧ください
監修キズキ代表 安田祐輔
発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。
【著書ピックアップ】
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』
Amazon
翔泳社公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)
【その他著書など(一部)】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)
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