就労移行支援 キズキビジネスカレッジ(KBC) 発達障害はなぜ疲れやすい? 原因と対策を解説

こんにちは。就労移行支援事業所・ キズキビジネスカレッジ(KBC) です。

発達障害のあるあなたは、日々疲れやすいと感じていませんか?

その疲れやすさは、発達障害の特性に由来するかもしれません。

音に過敏である、集中しすぎるなどの発達障害の特性から、疲れやすさに困る発達障害のある人は多いと言われています。

このコラムでは、発達障害のある人が疲れやすい原因や疲れやすいへの対策について解説します。

このコラムが、発達障害の特性に由来する疲れやすさに悩むあなたの一助となれば幸いです。

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  • ※各種グラフは、厚生労働省及び大手就労移行支援事業所HPの公開情報をもとに、株式会社キズキで作成
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発達障害のある人が疲れやすい4つの原因

この章では、発達障害のある人が疲れやすい原因について解説します。 (参考:伊東若子、本多真、成澤元 「ADHDと過眠症の新たな指標の解析―脳波定量解析からみるADHDと過眠症の関係―」 、日本医事新報社 「(3)注意欠如多動性障害(ADHD)と睡眠障害─眠気との関連[特集:成人期の発達障害への取り組み]」 、就労移行支援施設salad 「【大人の発達障害】仕事で疲れやすいのは、『過剰適応』かも?」 、医療社団法人ハートクリニック 「運動機能の特異的発達障害」 、NHK 「熱中しすぎる:困りごとのトリセツ(取扱説明書)|発達障害プロジェクト」

  1. 原因①周囲に適応しようと無理をしている
  2. 原因②集中しすぎる
  3. 原因③睡眠をうまく取れない
  4. 原因④身体を上手に動かせない

原因①周囲に適応しようと無理をしている

発達障害のある人は、周りの人や環境に適応しようとする中で神経をすり減らすことで疲れやすいことが多いです。

例えば、ASD(自閉症スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)のある人の場合、周囲の雰囲気を読み取りづらい特性があるために、周囲の人の雰囲気や感じていることを把握するために、頭をフル回転して周りの状況を分析するようなケースが挙げられます。

このように、発達障害ではない多くの人が無意識にしていることでも、発達障害のある人にとっては心身に過度の負荷をかけていることがあるのです。

この原因への対策は、 こちら で解説します。

原因②集中しすぎる

発達障害のある人は、注意がそれやすい一方で、自分の興味がある事に対しては過度に集中することで疲れやすいことがあります。

過集中には、締め切り間近の書類仕事を短時間で終わらせたり、学校の試験中に問題へ没頭することで高得点を取ったりできるなどのメリットも見られます。

ですが、過集中は、多くの場合で心身に大きな負担がかかります。

この原因への対策は、 こちら で解説します。

原因③睡眠をうまく取れない

発達障害のある人は、睡眠障害を併発しやすいと言われており、その結果疲れやすいことが多いです。

特にASD・ADHD(注意欠如・多動性障害)のある人は、子どもの場合過半数に問題を抱えていると言われています。

社会的に望ましいリズムで眠れない睡眠リズム障害、夜に横になると足がそわそわむずむずして眠りにくいムズムズ脚症候群などがあります。

さらに、特性の影響で、エアコンの音が気になって寝つけなかったり、日中の仕事で疲れ果てて夜に寝すぎたりして、日常生活に支障をきたす場合もあります。

睡眠不足や過眠は、疲れにつながります。

この原因への対策は、 こちら で解説します。

原因④身体を上手に動かせない

発達障害のある人は、極端に不器用だったり、力の入れ具合を調節することが苦手だったりするために、身体を効率よく動かせないことで疲れやすいことがあります。

電車でつり革を持って立つ、靴ひもを結ぶなどの日々行われる動きを上手にできず、普通に生活しているだけでも疲れる人が多く見られます。

この原因への対策は、 こちら で解説します。

発達障害のある人が実践できる疲れやすさへの対策5選

この章では、発達障害のある人が実践できる疲れやすいへの対策について、 キズキビジネスカレッジ(KBC) の利用者から聞いた発達障害のある人の実践から解説します。 (参考:伊東若子、本多真、成澤元 「ADHDと過眠症の新たな指標の解析―脳波定量解析からみるADHDと過眠症の関係―」 、日本医事新報社 「(3)注意欠如多動性障害(ADHD)と睡眠障害─眠気との関連[特集:成人期の発達障害への取り組み]」 、就労移行支援施設salad 「【大人の発達障害】仕事で疲れやすいのは、『過剰適応』かも?」 、医療社団法人ハートクリニック 「運動機能の特異的発達障害」 、NHK 「熱中しすぎる:困りごとのトリセツ(取扱説明書)|発達障害プロジェクト」

どれも実際に効果があった対策です。あなたもぜひ試してみてください。

  1. 対策①社会常識にとらわれず、一人の時間を大切にする
  2. 対策②敏感な感覚を緩和するため、器具を使ったり服装を工夫したりする
  3. 対策③集中しすぎるときは、アラームを使う
  4. 対策④睡眠のためのリラックス法を行う
  5. 対策⑤苦手な動作などを避ける

対策①社会常識にとらわれず、一人の時間を大切にする

周囲に適応しようと無理をして疲れやすい人は、社会常識にとらわれない考え方を身につけるとよいでしょう。

常識に無理に合わせないことで、疲れづらくなります。

具体例:H.Kさん

人と交流すべきだ、友達は多い方がよい、のような社交に関する社会常識に流されずに、1人で行動する時間を増やしました。

そのおかげで、周りの人に合わせるために無理をすることが減り、人間関係のストレスも和らぎました。

対策②敏感な感覚を緩和するため、器具を使ったり服装を工夫したりする

感覚が過敏で疲れやすい人は、ITやテクノロジーの力を借りたり、身体に触れるものを工夫してみましょう。

特に、周囲の環境によって症状を大きく左右される人にオススメです。

自分の特性に合う器具や工夫が見つかれば、疲れなくなります。

具体例:K.Fさん

音に対して敏感なため、外出中はノイズキャンセリングのヘッドホンをつけています。

このヘッドホンがあると普段大きなストレスを感じる音、人の話し声やクーラーの作動音などが気にならなくなり、以前よりも快適に過ごせるようになりました。

具体例:Y.Kさん

タートルネックなど首もとが詰まった服を着るときや、ネクタイを締めるときに、首に違和感をおぼえて息苦しくなります。

そこでTシャツのように、首が圧迫されない服装で生活するように心がけ、就職活動もTシャツで出勤できる条件をつけて行いました。

そのおかげで、服装から起こる身体の疲れは大きく減りました。

対策③集中しすぎるときは、アラームを使う

集中しすぎて疲れやすい人は、アラームを使って、意識的に集中を途切れさせるとよいでしょう。

特に、自分では集中していることに気づかない人にオススメです。

過集中が発生しなければ、過度に疲れることも少なくなるでしょう。

具体例:R.Nさん

本を読むときに没頭しすぎることを防ぐため、15分ごとにアラームで区切りの時間を教えてくれるスマホアプリを使っています。

このアプリを利用するようになってから、適度に休憩を取りながら、身体に負担なく読書や勉強をできるようになりました。

また、結果的に1日に読めるページ数も以前と比べて多くなっています。

対策④睡眠のためのリラックス法を行う

睡眠をうまく取れなくて疲れやすい人は、寝る前にリラックスする方法を試すとよいでしょう。

良質な睡眠を取れれば、過度に疲れることも少なくなるでしょう。

具体例:Hさん

入浴時に冷水シャワーと温水シャワーを交互に目へ当てる、アイシングと呼ばれるリラックス法を実践しています。

これによって、PC作業で緊張した目の筋肉をゆられます。

目は脳とつながっているため、目の筋肉がゆるむと脳の興奮もおだやかになり、スムーズに入眠しやすくなります。

また、睡眠に悪い影響がある、脳や体を興奮させる刺激を避けることも必要です。お茶やコーヒーなどのカフェインは夕方以降は摂取しない、タバコを吸わない、お酒を控えめにする、夜に明るい光を見ないようにして、寝スマホはしないようにするなどのことを心がけましょう。

対策⑤苦手な動作などを避ける

体を上手に動かせなくて疲れやすい人は、苦手な動作を求められる状況をなるべく避けるとよいでしょう。

自分の苦手な動作、得意な動作を見つけて、変えられるものは変えてみることで、疲れにくくなります。

具体例:K.Tさん

手先が不器用なため、靴ひもをうまく結べません。

対策として、スリッポンやローファーなどの、ひもを結ばずに履ける靴を選んで買っています。

具体例:H.Wさん

人ごみの多い道を歩いていると、向かいから来る通行人とぶつかります。

人混みを歩くことで身体も心も疲れ果てるので、なるべく人通りの少ない道や、時間帯を選んで通勤するようにしています。

例えば、早起きして通勤ラッシュの時間帯を避けるように心がけています。

疲れやすさを克服した発達障害のある人の体験談2選

発達障害に由来する疲れやすさは、人によって、原因や対策はさまざまに考えられます。

この章では、発達障害のある キズキビジネスカレッジ(KBC) 利用者の疲れやすさに関する体験談を紹介します。

  1. 体験談①ADHDのある30代女性
  2. 体験談②ASD、ADHDのある30代男性

体験談①ADHDのある30代女性

私はADHDの特性上、環境に適応する力が低いようで、外出するととても疲れます。

何も対策をしていなかったころは、帰ってすぐ気を失うように眠りにつくこともありました。

いろいろと考えるうちに、私の疲れやすさの原因は、屋外の暑さなど自宅と外界との環境差に適応できていないことであるとわかりました。

対策を試行錯誤した結果、効果があった方法は、深呼吸しながらゆっくり移動することでした。

まず、自宅を出て玄関の鍵を閉めたらそこで深呼吸をする。ゆっくり歩き始めて、電車に乗り、職場のビルのエントランスに入ったら深呼吸してから自席に向かい、仕事に取り掛かる前に深呼吸をする。

この方法のおかげで、以前よりは環境差に適応できるようになったと思います。全く疲れなくなるわけではないのですが、帰宅後の疲労がだいぶ軽減され、すぐ寝ることはほとんどなくなりました。

気温差に弱い、移動することによって目まぐるしく変わる環境に適応力がついていかない人にはオススメの方法です。

体験談②ASD、ADHDのある30代男性

私は発達障害の特性から、日常生活を送る中で疲れやすい場面がたくさんありました。

例えば、苦手なことも過集中で乗り切ろうと無理をする、感覚過敏でほかの人が感じないものを感じて不快になる、睡眠障害による不安定な睡眠がこれらに拍車をかけるなど、書ききれないほどです。

あるとき、通院していた病院で、これまで疲れに繋がっていたエピソードを振り返り、疲れやすさの原因を特定して対処する認知行動療法を受けました。

その経験を経て、疲れに繋がっていた環境やものをできる限り避けることを意識するようになりました。おかげで日常生活の中で疲れが少なくなったと感じています。

今でもストレスを強く感じる場合はその原因を自身で特定し、向き合いすぎないことを意識しています。

発達障害とは?

発達障害とは、脳の機能的な問題や働き方の違いにより、物事の捉え方や行動に違いが生じることで、日常生活および社会生活を送る上で支障が出る、生まれつきの脳機能障害のことです。 (参考: American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修 『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』 、こころの情報サイト 「発達障害(神経発達症)」 、NHK福祉ポータル ハートネット 「そもそも「発達障害」って?|大人の発達障害ってなんだろう? - 大人の発達障害」 、宮尾益知・監修 『ASD(アスペルガー症候群)、ADHD、LD 職場の発達障害』 、松本卓也、野間俊一・編著 『メンタルヘルス時代の精神医学入門 ーこころの病の理解と支援ー』 、福西勇夫・山末英典・監修 『ニュートン式 超図解 最強に面白い!! 精神の病気 発達障害編』

発達障害は主に、以下の3つの診断名に分類されます。

  • ADHD(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)
  • ASD(自閉スペクトラム症/広汎性発達障害)
  • LD/SLD(限局性学習症/限局性学習障害)

同じ診断名でも、人によって多様な特性が現れるのが発達障害の特徴です。また、いずれかの発達障害のある人は、ほかの発達障害が併存している可能性もあります。

発達障害の概要や種類、原因、治療方法などについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

まとめ:疲れやすいからとあきらめる必要はありません

発達障害の特性に由来する疲れやすさに悩む人は、日常生活の中でさまざまな困難にぶつかるかもしれません。

しかし、発達障害に由来する疲れやすさは、多くのことをあきらめなくてはならない​という意味ではありません。

疲れやすいポイントがたくさんあるということは、その対策もたくさんあるということです。

発達障害の特性がいろいろあるように、疲れへの対策方法も人によってさまざまです。

また、自分ひとりで疲れやすさと向き合う必要もありません。

家族や医師、同じような悩みを持つ人、行政のサービスなどの力も借りて、あなたなりの疲れと向き合いながら自分らしく生きる方法を探しましょう。

さて、発達障害のある人は、疲れやすいこと以外にも、キャリアプランや人間関係などについても悩みをかかえがちです。

そうした悩みについても、あなた一人で抱える必要はありません。

自身の発達障害と、キャリアプラン・プライベートでの人生計画をどう考えようか、発達障害の自分に向いた仕事は何だろうかなどのお悩みがあるなら、就労移行支援事業所に相談しましょう。

よくある質問(1)

発達障害のある人が疲れやすいのはなぜですか?

以下が考えられます。

  • 周囲に適応しようと無理をしている
  • 集中しすぎる
  • 睡眠をうまく取れない
  • 身体を上手に動かせない

詳細については、 こちら で解説しています。

よくある質問(2)

発達障害のある人が実践できる、疲れやすいことへの対策を教えてください。

以下が考えられます。

  • 社会常識にとらわれず、一人の時間を大切にする
  • 敏感な感覚を緩和するため、器具を使ったり服装を工夫したりする
  • 集中しすぎるときは、アラームを使う
  • 睡眠のためのリラックス法を行う
  • 苦手な動作などを避ける

詳細については、 こちら で解説しています。

監修志村哲祥

監修キズキ代表 安田祐輔

監修角南百合子

すなみ・ゆりこ。臨床心理士/公認心理師/株式会社こどもみらい。

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