就労移行支援 キズキビジネスカレッジ(KBC) 発達障害のある人の転職・就職完全ガイド 障害者雇用・支援機関・定着のコツまで解説

こんにちは、就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。

  • 発達障害があり、就職や自立に向けて何から始めればいいかわからない
  • 転職を繰り返していて、どうすれば定着できるのか悩んでいる

そんな不安や悩みを抱えていませんか?

発達障害のある人は、特性と仕事内容・職場環境が合わないと、働きづらさを感じたり、転職を繰り返す状況になったりすることがあります。

また、働き方の選択肢や使える支援を知らないまま、1人で悩みを抱え込みやすいケースも少なくありません。

このコラムでは、発達障害の定義や転職・就職で悩みやすい背景、雇用環境、転職する前に確認したいこと、働き方の選択肢、転職先を選ぶ際のポイント、長く働くためのコツについて解説します。

あわせて、支援機関・転職サービスや実際の転職事例、転職に関するよくある質問を紹介します。

自分に合った働き方を見つけ、無理なく働き続けるためのヒントを、このコラムで一緒に整理していきましょう。

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定着率

95%

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58%

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最短期間

4ヶ月

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  • ※各種グラフは、厚生労働省及び大手就労移行支援事業所HPの公開情報をもとに、株式会社キズキで作成
  • ※KBCは2020年9月1日〜2025年11月1日の集計データ

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発達障害とは?

発達障害とは、脳の機能的な問題や働き方の違いにより、物事の捉え方や行動に違いが生じることで、日常生活および社会生活を送る上で支障が出る、生まれつきの脳機能障害のことです。 (参考: American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修 『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』 、こころの情報サイト 「発達障害(神経発達症)」 、NHK福祉ポータル ハートネット 「そもそも「発達障害」って?|大人の発達障害ってなんだろう? - 大人の発達障害」 、宮尾益知・監修 『ASD(アスペルガー症候群)、ADHD、LD 職場の発達障害』 、松本卓也、野間俊一・編著 『メンタルヘルス時代の精神医学入門 ーこころの病の理解と支援ー』 、福西勇夫・山末英典・監修 『ニュートン式 超図解 最強に面白い!! 精神の病気 発達障害編』

発達障害は主に、以下の3つの診断名に分類されます。

  • ADHD(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)
  • ASD(自閉スペクトラム症/広汎性発達障害)
  • LD/SLD(限局性学習症/限局性学習障害)

同じ診断名でも、人によって多様な特性が現れるのが発達障害の特徴です。また、いずれかの発達障害のある人は、他の発達障害が併存している可能性もあります。

発達障害のある人が転職で悩みやすい4つの背景

この章では、発達障害のある人が転職で悩みやすい背景について解説します。

  1. 背景①特性と仕事内容・職場環境が合わず、働きづらさを感じやすい
  2. 背景②人間関係やコミュニケーションで負担が大きくなりやすい
  3. 背景③配慮が得られず、仕事が続かない・転職を繰り返しやすい
  4. 背景④自分に合う働き方や配慮の伝え方がわからず悩みやすい

背景①特性と仕事内容・職場環境が合わず、働きづらさを感じやすい

1つ目の背景は、特性と仕事内容・職場環境が合わず、働きづらさを感じやすいことです。

発達障害のある人は、得意・苦手なことや働きやすい環境が人によって大きく異なります。そのため、仕事内容や職場の進め方が特性に合わないと、それが働きづらさに直結しやすくなります。

こうした課題は働く本人だけが感じているわけではなく、企業側にも同様の難しさがあります。

厚生労働省の調査によると、事業主が発達障害のある人の雇用で感じる課題は、以下のとおりです。(参考:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査結果報告書」2023年6月

  • 業務の適切な割り振りの難しさ:約76.9%
  • 雇用のイメージ・ノウハウ不足:約49.7%
  • 採用時の適性・能力把握の難しさ:約42.9%

また、障害者職業総合センターの調査(2021〜2023年度、5698人対象)では、発達障害のある人の平均勤続年数は4.6年にとどまり、内部障害(16.3年)や肢体不自由(14.3年)と比べて顕著に短いことが示されています。(参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター「障害者の雇用の実態等に関する調査研究」報告書No.176、2024年3月

特性と業務のミスマッチは個人の努力だけでは解消しにくいものです。だからこそ、自分の特性を理解したうえで合った環境を選ぶことが、長く働き続けるための重要な第1歩となります。

背景②人間関係やコミュニケーションで負担が大きくなりやすい

2つ目の背景は、人間関係やコミュニケーションで負担が大きくなりやすいことです。

発達障害のある人の中には、相手の意図を読み取ることや、自分の考えを言葉で伝えることに負担を感じやすい人もいます。

そのため、職場でのやり取りが重なると、疲れやストレスが大きくなる傾向があります。

障害者職業総合センターの調査でも、職業生活上の課題として、以下のようなコミュニケーション面の困りごとが報告されています。(参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター「障害者の雇用の実態等に関する調査研究」

  • 上司や同僚の話を理解しにくい
  • 自分の考えや困りごとを伝えにくい
  • 職場の暗黙のルールや雰囲気を理解しにくい
  • 相手の感情を読み取りにくい

企業へのヒアリングでも、コミュニケーション面の課題や対人関係のトラブルへの言及が複数ありました。

転職先を選ぶ際は、仕事内容だけでなく、相談しやすさや配慮の有無も確認することが重要です。

背景③配慮が得られず、仕事が続かない・転職を繰り返しやすい

3つ目の背景は、職場で十分な配慮が得られず、仕事が続かず、転職を繰り返しやすいことです。

発達障害のある人は、適切な配慮やサポートがある環境では力を発揮しやすくなります。

一方、配慮が得られない環境では特性による困りごとが積み重なり、離職につながりやすくなります。

障害者職業総合センターの調査によると、発達障害のある人の就職後の定着率は、以下のとおりです。

  • 就職後3か月時点:約84.7%
  • 就職後1年時点:約71.5%(約3割が1年以内に離職)

また、同調査では、障害者求人(開示就職)による1年後定着率は約70.4%であるのに対し、一般求人での障害非開示では約30.8%と、約40ポイントの差が生じています。

配慮・支援の有無が定着率に大きく影響することがわかります。

転職先を選ぶときは、仕事内容だけでなく、配慮を相談できるか、支援につながれるかも確認することが大切です。(参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター「障害者の就業状況等に関する調査研究」

背景④自分に合う働き方や配慮の伝え方がわからず悩みやすい

4つ目の背景は、自分に合う働き方や、必要な配慮の伝え方がわからず悩みやすいことです。

発達障害のある人の中には、自分の得意・不得意や、どのような配慮があると働きやすいかを整理しきれていない人もいます。

自己理解が不十分なまま転職活動を進めると、職場選びや面接での配慮の伝え方に迷いが生じ、入社後のミスマッチにもつながりやすくなります。

障害者職業総合センターの調査によると、支援現場における課題は以下のとおりです。(参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター「就業経験のある発達障害者の職業上のストレスに関する研究」「障害者の雇用の実態等に関する調査研究」

  • 本人の自己理解不足による支援者との関係づくりの難しさ
  • 職場が提供できる合理的配慮と本人の希望のすり合わせの難しさ
  • 企業の3割以上が面談や相談しやすい環境づくりに苦慮

転職を考えるときは、自分に合う働き方や必要な配慮を事前に整理し、支援機関と一緒に言語化していくことが重要です。

発達障害のある人を取り巻く雇用環境

この章では、発達障害のある人を取り巻く雇用環境について解説します。

  1. 雇用環境①人手不足を背景に採用ニーズが高い職場もある
  2. 雇用環境②障害者雇用は広がっている

雇用環境①人手不足を背景に採用ニーズが高い職場もある

1つ目の雇用環境として、人手不足を背景に、障害のある人の採用ニーズが高まっている職場が増えていることが挙げられます。

企業には障害のある人を一定割合以上雇用する義務がありますが、厚生労働省の令和7年集計によると、法定雇用率を達成できていない企業の割合は約54.0%と、依然として過半数にのぼります。

具体的な状況は以下のとおりです。

  • 2024年4月に法定雇用率が約2.3%から約2.5%に引き上げ済み
  • 2026年7月にさらに約2.5%から約2.7%へ引き上げ予定
  • 令和7年集計では未達成企業65,033社のうち約57.3%が0人雇用企業

また、2026年7月の引き上げにより雇用義務の対象企業が従業員37.5人以上へ拡大され、新たに義務対象となる中小企業を含めて採用ニーズはさらに高まる見込みです。(参考:厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」

発達障害のある人にとって、就職・転職のチャンスは以前より広がっています。

自分の特性に合った職場を見つけるための準備を整えることが、これまで以上に重要になっています。

雇用環境②障害者雇用は広がっている

2つ目の雇用環境として、障害者雇用全体が着実に広がっていることが挙げられます。

厚生労働省の令和7年集計によると、民間企業における障害者雇用の状況は以下のとおりです。(参考:厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」

  • 民間企業で働く障害のある人は70万4,610人で、前年比4.0%増(22年連続で過去最高を更新)
  • 実雇用率は約2.41%で過去最高
  • すべての障害種別で雇用者数が増加
  • 精神障害のある人の雇用は前年比約11.8%増

発達障害のある人の中には、精神障害者保健福祉手帳を取得し、精神障害の枠で雇用される人もいます。

精神障害のある人の雇用が増えている流れは、自分の特性や希望に合った職場を探す環境が以前より整ってきているといえるでしょう。

発達障害のある人が転職する前に確認したいこと

この章では、発達障害のある人が転職する前に確認したいことについて解説します。

  1. 確認①今の職場で働き方を調整できるか
  2. 確認②体調が不安定なときは転職を急がなくてよい

確認①今の職場で働き方を調整できるか

1つ目の確認ポイントは、今の職場で働き方を調整できるかどうかです。

発達障害のある人が働きづらさを感じていても、すぐに転職が必要とは限りません。

業務内容や伝え方、配慮の受け方を見直すことで、今の職場で働きやすくなる場合もあります。

筑波大学とKaienが発達障害のある就業者649人を対象に実施した調査によると、現在就業中の発達障害のある人の状況は以下のとおりです。(参考:株式会社Kaien・筑波大学「発達障害のある方の就業実態調査」

  • 合理的配慮を受けている人:約58.4%
  • 合理的配慮を受けていない人:約41.6%
  • 障害者雇用で働く人は、一般枠より他者の評価や処遇・上司の能力と態度・定着志向で満足度が高い

職場での配慮や働き方の調整は、働きやすさや仕事を続けたい気持ちに大きく影響します。

まずは上司や人事担当者に、業務量・指示の受け方・相談先・勤務形態を調整できないか相談してみましょう。

確認②体調が不安定なときは転職を急がなくてよい

2つ目の確認ポイントは、体調が不安定なときは転職を急がないことです。

発達障害のある人は、強いストレスや無理な環境が続くと、うつ病や不安障害などの二次障害を併発する場合があります。

そのため、まずは体調を整えることを優先するのが大切です。

Kaienと筑波大学の調査では、以下の傾向が示されています。(参考:Kaien・筑波大学「発達障害のある方の就業実態調査」

  • 精神疾患を併存している人は、過去に就業経験があり現在失業・無職の割合が31.3% (精神疾患がない人は約21.0%)
  • 精神疾患を併存している人の平均転職回数は3.98回(精神疾患がない人は2.56回)
  • 離職中の人の職務満足度は46.28点で、現在就業中の人の54.69点より低い
  • 離職中の人の年収は232.94万円で、現在就業中の人の291.36万円より低い

体調が整わないまま転職を繰り返すと、働きづらさが続きやすくなります。

つらさが強いときは、まず休養や通院、働き方の見直しを優先し、転職は体調が落ち着いてから進めることも大切です。

発達障害のある人の働き方の選択肢

この章では、発達障害のある人の働き方の選択肢について解説します。

  1. 選択肢①特性を開示せずに働く(一般雇用・クローズ)
  2. 選択肢②特性を開示して働く(一般雇用・オープン)

選択肢①特性を開示せずに働く(一般雇用・クローズ)

1つ目の選択肢は、特性を開示せずに働くクローズ就労です。

発達障害のある人の中には、一般雇用で特性を伝えずに働く人もいます。

求人の幅を広く持ちたい人や、障害を伝えることに不安がある人にとっては、選びやすい働き方の1つです。

ワークリアの調査では、精神障害者保健福祉手帳を取得した後に就業経験のある人のうち、約50%がクローズ就労を経験していました。

また、クローズ就労を選んだ理由としては、以下が多く挙げられています。

  • 開示すると採用されにくくなると感じた:約47.7%
  • 仕事の選択肢が狭まると感じた:約45.0%
  • 給与が下がることを不安に感じた:約34.3%

一方で、クローズ就労の1年後定着率は約30.8%にとどまっており、配慮のない環境での就労継続の難しさが表れています。(参考:ワークリア「精神障害者保健福祉手帳を取得後の就労経験調査」、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター「障害者の就業状況等に関する調査研究」

クローズ就労は選択肢の1つですが、働きやすさよりも採用されやすさや求人の幅を優先したい人向けといえます。

今の自分に必要なのが、求人の多さなのか、配慮の受けやすさなのかを整理してから選ぶことが大切です。

選択肢②特性を開示して働く(一般雇用・オープン)

2つ目の選択肢は、特性を開示したうえで一般雇用で働くオープン就労です。

オープン就労は、一般雇用の求人に応募しながら、発達障害の特性や必要な配慮を会社に伝えて働く方法です。

一般雇用の選択肢を持ちながら、一定の配慮も相談しやすい働き方といえます。

ワークリアの調査(精神障害者保健福祉手帳を取得した人を対象)では、オープン就労でよかったこととして、以下が挙げられています。

  • 通院への配慮を受けやすい:約37.7%
  • 勤務時間・日数を調整しやすい:約27.4%
  • テレワークを活用しやすい:約19.4%

一方で、デメリットを感じた人も少なくありません。(参考:ワークリア「精神障害者保健福祉手帳を取得後の就労経験調査」、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター「障害者の就業状況等に関する調査研究」

  • 採用されにくいと感じた:約37.7%
  • 仕事の選択肢が狭まった:約35.4%
  • キャリアアップしづらいと感じた:約31.4%

また、障害者職業総合センターの調査によると、オープン就労の1年後定着率は約49.9%で、クローズ就労の約30.8%よりは高いものの、障害者雇用枠の70.4%よりは低い水準です。

開示することで配慮は得やすくなる一方、採用や待遇面での不利益も生じやすく、どちらを優先するかは人それぞれの状況によって異なるため、慎重に判断することが大切です。

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発達障害のある人が転職先を選ぶ際のポイント

この章では、発達障害のある人が転職先を選ぶ際のポイントについて解説します。

  1. ポイント①自分に合う仕事の特徴を整理する
  2. ポイント②働きやすい職場環境を見極める
  3. ポイント③配慮事項を伝えやすい職場か確認する

ポイント①自分に合う仕事の特徴を整理する

1つ目のポイントは、自分に合う仕事の特徴を整理することです。

発達障害のある人は、得意なことや苦手なことが人によって大きく異なります。

そのため、仕事内容が特性に合っているかどうかが、長く働き続けられるかどうかに直結します。

厚生労働省の調査によると、発達障害のある人が就いている職業で最も多いのはサービスの職業(27.1%)です。

一方で、企業側の約76.9%が、発達障害のある人の雇用において「会社に適当な仕事があるかどうか」を課題に挙げており、特性と業務のミスマッチが定着を妨げる構造的な問題であることが明らかになっています。(参考:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査」

転職先を選ぶときは、以下のような視点で整理してみましょう。

  • マニュアルや手順が明確か
  • こだわりや専門性を活かしやすいか
  • 曖昧な指示や急な変更が少ないか
  • 対人対応の多さが自分に合っているか

職種名だけで判断せず、どんな進め方の仕事なら働きやすいかまで整理しておくことが大切です。

仕事内容の特徴を先に言語化しておくと、自分に合う求人を選びやすくなります。

ポイント②働きやすい職場環境を見極める

2つ目のポイントは、転職先の職場環境が自分の特性に合っているかを事前に見極めることです。

仕事内容が合っていても、職場環境が特性に合わないと、働き続けることが難しくなります。求人票だけでなく、面接や職場見学を通じて確認することが大切です。

障害者職業総合センターの調査(3,456社が回答)では、発達障害のある人の職業生活上の問題として以下が上位を占めています。

  • マルチタスクが苦手(複数の作業を並行して行うことが困難など)
  • 仕事の優先順位を付けられなかった
  • 不注意によるミスが多かった
  • 上司・同僚の言ったことをうまく理解できなかった
  • 自分の言いたいことを相手にうまく伝えられなかった

一方で、特に問題を解消した企業の取り組みとして、以下が挙げられています。(参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター「事業主が採用後に障害を把握した発達障害者の就労継続事例等に関する調査研究」

  • 業務指示の方法を見直す
  • 本人が遂行可能な職務を創出する
  • 職務特性上困難な業務(顧客対応や対面業務など)への配慮や工夫、職務内容を見直す

転職先を選ぶときは、以下の点を面接や職場見学で確認してみましょう。

  • 業務指示が具体的でわかりやすいか
  • 担当業務の範囲が明確か
  • 指示を出す人が決まっているか
  • 急な変更や同時進行が多すぎないか

このような点を事前に確認しておくと、入社後のミスマッチを減らしやすくなります。

ポイント③配慮事項を伝えやすい職場か確認する

3つ目のポイントは、必要な配慮を伝えやすい職場かどうかを確認することです。

発達障害のある人が働き続けるには、仕事内容だけでなく、困りごとを相談しやすい環境かも大切です。

障害者職業総合センターの調査では、就業中の発達障害のある人が職場に求めることとして、以下が多く挙げられています。(参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター「発達障害者の職業生活への満足度と職場の実態に関する調査研究」

  • わかりやすく指示してほしい
  • 仕事が変わるときは前もって伝えてほしい
  • 仕事の優先順位を示してほしい
  • また、職業生活の満足度を高める要素として、以下の3つが示されています。
  • 周囲の人たちの理解
  • 仕事のやりがい
  • 否定的な対応が少ないこと

発達障害のある人にとっては、配慮を受けやすいかだけでなく、相談しやすい雰囲気があるかも重要です。

面接や職場見学では、以下の点を確認しておきましょう。

  • 質問しやすい雰囲気があるか
  • 指示の出し方が具体的か
  • 業務マニュアルがあるか
  • 困ったときの相談先が明確か

事前に確認しておくことで、自分の特性に合った職場を見つけやすくなります。

発達障害のある人が活用できる支援機関・転職サービス

この章では、発達障害のある人が活用できる支援機関・転職サービスを紹介します。

  1. 支援機関①就労移行支援事業所
  2. 支援機関②ハローワーク専門窓口
  3. 支援機関③障害者就業・生活支援センター
  4. 支援機関④障害者雇用に強い転職エージェント

支援機関①就労移行支援事業所

就労移行支援とは、一般企業などへの就職を目指す病気や障害のある人に向けて、就職をサポートするサービスです。

体調管理の方法や、職場でのコミュニケーションの基礎スキル、就職に必要な専門スキルなどを学べます。就職活動のサポートだけでなく、就職後の職場定着支援まで受けられるのも特徴です。

就労移行支援は、障害者総合支援法に基づいて提供される福祉サービスです。実際の支援は、国の基準を満たした民間の就労移行支援事業所などが行っています。就労移行支援事業所は各地にあり、キズキビジネスカレッジ(KBC)もその1つです。

事業所ごとに支援内容や得意分野が異なるため、自分に合う場所を選ぶことが大切です。

支援機関②ハローワーク専門窓口

2つ目の支援機関は、ハローワークの専門窓口です。

ハローワーク(公共職業安定所)とは、仕事を探している人や求人を募集したい事業者に対して、就労に関するさまざまなサービスを無料で提供する、厚生労働省が運営する支援機関です。

正式名称は公共職業安定所で、職安と呼ばれることもあります。

全国に500か所以上あり、職業相談、求人紹介、職業訓練、雇用保険の手続きなど、地域に根ざした幅広い支援を受けられるのが特徴です。

事業所によって対応内容は異なりますが、就職活動を進めるうえで基本的な支援を受けやすい窓口といえます。

また、ハローワークには、病気や障害のある人向けの専門窓口もあります。障害者手帳がなくても、医師の診断書があれば、障害特性に合う仕事の相談や、履歴書・面接での伝え方についてサポートを受けられる場合があります。

発達障害のある人にとっては、障害者雇用枠の求人を探したいときや、特性の伝え方に迷うときに活用しやすい支援機関です。

支援機関③障害者就業・生活支援センター

3つ目の支援機関は、障害者就業・生活支援センターです。

障害者就業・生活支援センターとは、雇用や保健、福祉、教育に関する関係機関と連携し、障害のある人の雇用の促進・安定を目的とした一体的な支援を行っている支援機関のことです。 (参考:厚生労働省 「障害者就業・生活支援センター」 、厚生労働省 「障害者就業・生活支援センターについて」 、厚生労働省 「障害者の雇用の促進等に関する法律」 、厚生労働省 「障害者就業・生活支援センターの指定と運営等について」

障害のある人の就職活動の支援や求人の紹介、職場定着のためのサポートなどを行います。

就業面だけでなく、金銭管理などの経済面や生活面のことまで、日常および地域生活に関する支援も行っています。

生活習慣や金銭管理、健康管理などについても幅広く相談できるため、生活面のサポートも受けたい人にオススメです。

2026年4月1日時点で、障害者就業・生活支援センターは全国に340箇所設置されています。

支援機関④障害者雇用に強い転職エージェント

4つ目の支援機関は、障害者雇用に強い転職エージェントです。

障害者雇用に強い転職エージェントとは、障害のある人向けの求人紹介や、応募書類の添削、面接対策、企業との条件調整などを行う民間の転職支援機関です。

ハローワークや支援機関と比べて、求人紹介から選考対策まで一貫してサポートを受けやすいのが特徴です。

エージェントによって得意とする障害種別や対応エリア、保有求人の傾向が異なります。

複数のエージェントに登録し、担当者との相性や求人内容を比較しながら、自分に合ったサービスを選びましょう。

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発達障害のある人が転職後に長く働くためのコツ

この章では、発達障害のある人が転職後に長く働くためのコツについて解説します。

  1. コツ①自分に合う働き方や業務量を無理なく続ける
  2. コツ②困りごとは1人で抱え込まず早めに相談する
  3. コツ③配慮や業務調整を定期的に見直す

コツ①自分に合う働き方や業務量を無理なく続ける

1つ目のコツは、自分に合うペースで業務量を調整しながら働き続けることです。

転職直後は張り切りすぎて無理をしがちですが、体調や特性に合わせたペースをつくることが、長く働き続けるための土台になります。

ワークリアが実施した調査(精神・発達障害のある従業員を採用している企業担当者156人対象)では、企業が職場定着において課題を感じる理由として、体調変動に応じた業務量や勤務時間の調整が難しいこと(約41.1%)が上位に挙げられています。(参考:ワークリア「精神・発達障がいのある方の職場定着に関する企業調査」

まずは、自分が無理なく続けられる仕事量や勤務時間を基準に、働くペースを整えることが大切です。

体調の波を感じたときは、無理をする前に上司や支援者へ相談し、業務量や勤務時間を調整できないか確認してみましょう。

コツ②困りごとは1人で抱え込まず早めに相談する

2つ目のコツは、職場での困りごとを1人で抱え込まず、早めに相談することです。

問題が大きくなってから相談すると、対応が難しくなる場合があります。困りごとが小さいうちに伝えることが大切です。

ワークリアの調査(会社員として勤務している障害のある人196人対象)では、新たな配慮を求めたいときや困りごとが発生した場合に「躊躇する」「伝えられない」と答えた精神障害のある人は約29%でした。

伝えにくい理由として、以下が多く挙げられています。

  • 上司や同僚が忙しそうで、時間を取るのが申し訳ないから:約56.3%
  • 過去に伝えても改善されなかった、または嫌な顔をされたから:約52.1%

一方で、適切な配慮を受けた人の約8割が、安定して働きやすくなったり、仕事のしやすさが高まったりしたと感じています。(参考:ワークリア「障がい者雇用における合理的配慮に関する実態調査」

職場の上司や支援担当者、就労移行支援機関など、相談できる窓口を事前に把握しておくことで、困りごとが小さいうちに解決しやすくなるでしょう。

コツ③配慮や業務調整を定期的に見直す

3つ目のコツは、配慮や業務調整を定期的に見直すことです。働き始めたときに決めた配慮や業務量が、ずっと自分に合うとは限らないためです。

体調や業務内容、人間関係の変化によって、必要なサポートは変わることがあります。

ワークリアの調査では、障害のある人が今後会社に充実させてほしい配慮として、以下が挙げられています。(参考:ワークリア「障がい者雇用における合理的配慮に関する実態調査」

  • 通院・休暇の柔軟性:約31.1%
  • 周囲の理解促進:約31.1%

つまり、配慮内容は一度決めたら終わりではなく、状況に合わせて見直し続けることが重要です。

また、企業が早期離職を防ぐための取り組みとして、定期的な面談の実施を行っているケースも多く見られます。

そのため、定期面談や1on1などの機会を活用しながら、今の配慮や業務量が自分に合っているかを定期的に確認してみましょう。

必要に応じて上司や人事、支援機関と相談しながら見直すことで、無理のない働き方を続けやすくなります。

発達障害のある人の転職事例

この章では、発達障害のある人の転職事例を紹介します。

  1. 事例①ADHDのある人の転職事例
  2. 事例②ASDとLD/SLDのある人の転職事例

事例①ADHDのある人の転職事例

経理部に配属されたA氏の悩みは、細かな数値の間違いをしたり、請求書や伝票などの書類をすぐに紛失したりすることでした。職場の上司からは机上が整理されていないから改善するよう指摘されていましたが、どこから手をつけていいかわからない上に、片づけてもまた散らかるため、一向に片づける気になりません。

ミスや指摘が重なったことで次第に気を病んだA氏が心療内科を受診したところ、ADHDの可能性を示唆され、検査・診察の結果、発達障害であることがわかりました。

A氏のように、就職をしてから発達障害に気付くことはめずらしいことではありません。特に近年では、大人のADHDという言葉が用いられるようになり、ADHDが就労上の困難であるケースは増えてきているのです。

A氏は、診断を受けたことによって、それまでの悩みの原因が特定されて安心するとともに、カウンセラーから教えてもらった自分の性質を考慮した職種に就こうと転職活動をはじめることにしました。

A氏の場合は不注意の傾向が強く、以前から細かいデータを扱うよりもテキパキと身体を動かして人とコミュニケーションをする方が向いてると感じていました。そこで医師と相談しながら、現職で負ったストレスによるうつ病を治し、接客業や営業といった職種への転職活動を続け、無事に営業職に就くことができました。

レスポンスの早いA氏は、取引先の人に慕われているだけでなく、自分の行動力を活かして営業先回りを楽しむことさえでき、経理職に就いていた頃よりものびのびと業務に励めるようになったといいます。

事例②ASDとLD/SLDのある人の転職事例

B氏は、知的障害ではないものの知能レベルが知的障害の判定基準のボーダーラインの境界知能にあること、LD/SLD傾向があることが幼少期の時点でわかっていました。

「通常と同じ教育を受けてほしい」という両親の希望もあり、特別支援は受けないままに、勉学や人間関係で苦労しつつもどうにか高等学校を卒業することはできましたが、大学への進学は難しく、実家からほど近い物流会社に勤めはじめました。業務内容は、B氏にとっては難しいと感じる作業かつチームワークが重要とされるものでした。

これまでの生活では、コミュニケーションに苦手意識がありながらもなんとかこなせていたB氏ですが、ビジネスの場ではより高度なコミュニケーションが求められます。B氏は業務にも職場にも馴染むことができず、退職することになりました。

退職後、求職のために支援機関を訪れたB氏は担当者から発達障害を懸念されて病院を受診したところ、それまでは性格として自認していた特徴が、ASDの特性によるものであったことがわかりました。

幼少期からわかっていたLD/SLD傾向に加えて、ASD傾向があると明らかになったB氏は、両親の勧めもあって就労移行支援事業所への通所をはじめます。B氏は就労移行支援事業所で特性理解やスキルの習得に励みましたが、すぐには就職に結びつかなかったため、就労継続支援A型への転職を打診されました。

就労継続支援A型では、一般企業への就労の難しい障害のある人を対象に、雇用契約に基づいて働く場所を提供しています。B氏は就労移行支援事業所で得たPCスキルを活かし、データ入力などの定型業務を行う職場に転職することができました。

発達障害の転職に関するよくある質問

この章では、発達障害の転職に関するよくある質問を紹介します。

  1. Q1.転職回数を繰り返している場合、面接でどう説明すべきですか?
  2. Q2.クローズで転職した後、途中から開示することはできますか?

Q1.転職回数を繰り返している場合、面接でどう説明すべきですか?

転職回数が多い場合は、「自分に合う働き方や職場環境を見つけるために試行錯誤してきた」と整理して伝えることが大切です。

障害者職業総合センターの調査によると、離職経験のある人の離職理由として以下が上位に挙がっています。

  • 人間関係がうまくいかなかった:約61.0%
  • 仕事内容が合わなかった:約49.2%
  • 勤め先の配慮が不十分だった:約28.8%

そのため、転職回数そのものを気にしすぎるのではなく、自分に合う環境を探してきた過程として説明するとよいでしょう。

面接では、以下の3点を意識して伝えるのがオススメです。

  • 離職理由を、特性と環境のミスマッチとして整理して伝える
  • 経験を通じて、自分に合う働き方や職場環境がわかったと伝える
  • どのような配慮があれば長く働きやすいかを具体的に伝える

また、同調査では自分の特徴や配慮してほしいことを職場に伝えている人のほうが今の仕事を続けたいと回答した割合が約57.9%と、伝えていない人(約35.7%)と比べて高いことが示されています。

配慮内容を言語化して伝える準備が、定着にも直結するといえます。(参考:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター「発達障害者の職業生活への満足度と職場の実態に関する調査研究」

Q2.クローズで転職した後、途中から開示することはできますか?

途中から開示することは法的に問題ありません。

障害のある人に開示義務はなく、会社側が本人の意思に反して開示の強要や、開示しなかったことを理由に不利益な取り扱いをすることは禁止されています。(参考:厚生労働省「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」

ワークリアの調査(クローズ就労経験者300人対象)によると、オープンへの切り替えを検討したきっかけは、以下が上位でした。(参考:ワークリア「障がい者の障害開示(オープン・クローズ)に対する意識調査」

  • 体調が悪化・再発したから:約37.8%
  • 体力や意欲が続かなかったから:約34.3%

多くの人が健康面での限界を感じたときに開示を検討していることがわかります。

まず直属の上司や人事担当者に個別に相談し、どのような配慮があれば働き続けられるかを具体的に伝えると、話が進みやすくなります。

1人での対応が不安な場合は、就労移行支援事業所などの支援機関に相談するとよいでしょう。

まとめ:発達障害のある人の転職は自分に合う働き方を見つけることから始めよう

発達障害のある人が転職で悩みやすい背景には、特性そのものだけでなく、仕事内容や職場環境との相性、周囲の理解不足が影響している場合があります。

そのため、転職を考えるときは、求人の多さや条件だけで判断するのではなく、自分に合う働き方や職場環境を知ることが大切です。

どのような仕事なら力を発揮しやすいか、どのような配慮があれば働き続けやすいかを整理することで、選択肢は広がっていきます。

また、転職活動を進める中で、周囲に相談しながら進める選択肢もあります。

急いで答えを出す必要はありません。まずは、自分の特性や働きづらさを整理しながら、無理なく続けられる働き方を探すところから始めてみてください。

このコラムが、発達障害のある人の転職への不安を少しでもやわらげ、自分に合う働き方を考えるきっかけになれば幸いです。

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よくある質問(1)

発達障害のある人が転職で悩みやすい背景はどんなものがありますか?

以下が考えられます。

  • 特性と仕事内容・職場環境が合わず、働きづらさを感じやすい
  • 人間関係やコミュニケーションで負担が大きくなりやすい
  • 配慮が得られず、仕事が続かない・転職を繰り返しやすい
  • 自分に合う働き方や配慮の伝え方がわからず悩みやすい
     

詳細については、こちらで解説しています。

よくある質問(2)

発達障害のある人が活用できる支援機関・転職サービスを教えてください。

以下が考えられます。

  • 就労移行支援事業所
  • ハローワーク専門窓口
  • 障害者就業・生活支援センター
  • 障害者雇用に強い転職エージェント
     

詳細については、こちらで解説しています。

監修志村哲祥

監修キズキ代表 安田祐輔

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すなみ・ゆりこ。臨床心理士/公認心理師/株式会社こどもみらい。

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