就労移行支援 キズキビジネスカレッジ(KBC) オープン就労とは? 年収ダウンを防ぎキャリアを諦めない方法について解説

こんにちは、就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。
転職活動や就職活動を始めようと考えるなかで、自身の病気や障害などを開示すべきか悩んでいる人もいるのではないでしょうか。
「理解と配慮がある就職先を見つけて、安定して無理なく働きたい。でも収入は減らしたくない…」と、判断に迷うこともあるでしょう。
オープン就労には、メリットとデメリット・注意点があります。自身の状況に合わせて、開示するかを判断することが大切です。
このコラムでは、オープン就労・クローズ就労の基礎知識やメリット、デメリット・注意点、向いてる人、失敗を防ぐ方法について解説します。あわせて、オープン就労を成功させた事例も紹介します。
就職・転職活動の方向性で悩んでいる人は、ぜひご覧ください。
目次
オープン就労とは?
オープン就労とは、病気や障害を開示して就職活動・就労することです。
反対に、クローズ就労とは、病気や障害を開示せずに就職活動・就労することです。
そのほかにも、直属の上司や採用担当者のみに開示する、セミオープン就労もあります。
オープン就労と一口にいっても、実際には、さらに3つの選択肢があります。(参考:厚生労働省『「特例子会社」制度の概要』)
- 一般企業の一般雇用で就職する
- 一般企業の障害者雇用で就職する
- 特例子会社(障害のある人の雇用促進と安定を目的とする会社)に就職する
どの方法を選ぶかによって、就職活動の方向性が異なります。
そのため、どう働きたいのか、配慮が必要か、病気や障害が仕事にどのような影響をおよぼすのかなどを踏まえて、就職方法を慎重に検討する必要があるでしょう。
障害者手帳なしでもオープン就労できる
オープン就労は、あくまでも病気や障害を開示しての就職活動・就労を指すことばであり、雇用形態を限定するものではありません。
そのため、障害者手帳がなくても、オープン就労は可能です。
ただし、障害者手帳の有無によって、検討できる選択肢が以下のように異なります。障害者雇用を希望する際は、原則として、障害者手帳が必要です。
障害者手帳の取得手続きには、一定の時間がかかります。障害者雇用を希望する場合は、準備期間を考慮して早めに行動することが大切です。
障害者手帳を取得するメリットについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
オープン就労のメリット
この章では、オープン就労のメリットについて解説します。
メリット①業務内容や配属先への配慮を受けられる
オープン就労をすると、病気や障害の特性に配慮した業務・環境への配属が叶う場合があります。
病気や障害の特性によって、特定業務が苦手だったり、相性が悪かったりする場合もあるでしょう。
例えば聴覚過敏の症状があって、騒がしい職場での仕事やことばの聞き取りが苦手という人であれば、その旨を開示することで、静かなオフィスに配属されたり、電話応対を業務から除外できたりします。
ほかにも、ASD(自閉症スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)やADHD(注意欠如・多動性障害)などのある人であれば、過集中によって疲れすぎないように休憩の時間を設けたり、未完了の業務がなくなるような配慮を受けたりできます。
一方で、職場の同僚に対して病気や障害を開示していなければ、苦手な業務からの除外やこまめな休憩について、納得してもらうことが難しくなるでしょう。
ときには、なぜあの人だけ扱いが違うのかと、従業員間でトラブルになる場合もあるかもしれません。
こうした業務内容や配属先への配慮の有無は、長く働けるかどうかに関わります。周囲との関係にも影響するため、病気や障害の開示は、今後のキャリアに関わる重要なポイントといえるでしょう。
メリット②障害を開示できることによる安心感がある
オープン就労であれば、あなたの状態を理解してもらったうえで働けるため、安心感につながります。
もし体調が悪化して業務がつらくなっても、病気や障害を開示してあれば状況を伝えやすくなるはずです。
一方、クローズ就労を選ぶと、病気や障害を隠さなければならない場面もあるため、人によっては精神的な不安が生じます。
たとえば、ケアレスミスが多い、指示を理解しにくい場合があるなど、自身の特性によって周囲に負担が生じていると感じたときに、後ろめたさや申し訳なさが精神的な負担になる可能性もあるでしょう。
メリット③支援機関と就職先が連携したサポートを受けられる
支援機関と就職先との連携によるしっかりとしたサポートを受けられる点も、オープン就労の大きなメリットです。
例えば、病気や障害のある人の就労に関する福祉サービスに、就労移行支援があります。
就労移行支援では、就職までのサポートや就職後の定期面談を含む職場定着支援を実施しています。こうしたサポートは、職場定着率に大きく関わっているのです。
以下のチャートを見ると、支援機関によるサポートによって職場定着率が約20%も上がっていることがわかります。(参考:障害者職業総合センター「障害者の就業状況等に関する調査研究」)
このように、支援機関と就職先による定着支援を受けられるのは、オープン就労の大きなメリットといえるでしょう。
クローズ就労の場合も、就職後に支援者とあなたとの間での話し合いは可能です。しかし、そこに就職先を加えるのは難しいことを覚えておきましょう。
メリット④その日の調子に合わせて勤務形態を変更しやすい
オープン就労なら、病気や障害などによって体調に波があっても、柔軟な働き方ができる場合もあります。
症状がつらいときには、体調に合わせてその日を短時間勤務にしたり早退したりと、状況に応じて対処しやすくなるでしょう。
例えば、うつ病は、症状が良くなったり悪くなったりする波を繰り返しながら寛解に向かうのが特徴です。また季節型のうつ病は、特定の季節に症状が出やすいため、該当する時期のみ配慮が必要という人もいるでしょう。(参考:こころの耳「1 うつ病とは」、「3うつ病の治療と予後」))
加えて、うつ病や双極性障害などの精神疾患のある人は自律神経が乱れやすいため、台風の前後などの気圧の変化に弱く、日によって、出勤するのもつらい場合があります。
つらいときに勤務形態を変更しやすいという利点は、長く働きつづけるうえで重要といえるでしょう。
メリット⑤通院のために休みやすい
オープン就労を選んだ場合は、病気や障害の治療で定期的な通院が必要なときにも、休みを取得しやすくなります。
クローズ就労と比較して、病気や障害などへの理解・配慮を得やすく、出勤時間や休日の調整がしやすい傾向にあるでしょう。
一方、クローズ就労や一般雇用で就職すると、有給休暇を使って通院することになるかもしれません。
しかし、通院のために有給休暇を取得していくと、体調不良や冠婚葬祭などで必要なときに、有給休暇が残らない可能性もあります。
この点を踏まえると、通院に合わせて働き方を調整しやすいことは、オープン就労の大きなメリットといえるでしょう。
障害者雇用で働くメリットについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
オープン就労におけるデメリット・注意点
この章では、オープン就労におけるデメリット・注意点について解説します。
注意点①給与水準が比較的低い
1つ目の注意点は、給与水準が比較的低いことです。(参考:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査の結果を公表します」)
厚生労働省によると、2023年度における病気や障害のある人の平均賃金は、以下のとおりです。
- 身体障害のある人:23万5000円(2018年調査時21万5000円)
- 知的障害のある人:13万7000円(2018年調査時11万7000円)
- 精神障害のある人:14万9000円(2018年調査時12万5000円)
- 発達障害のある人:13万円(2018年調査時12万7000円)
一方、同じく2023年における給与所得者全体の平均給与は388万円、平均賞与が71万円でした。(参考:国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査 -調査結果報告-」)
月給にすると、約32万3000円となる計算です。
このように給与所得に差が生じる原因としては、雇用形態の違いや週所定労働時間が少ないことが考えられるでしょう。
病気や障害のある人のうち、正社員として勤務するのは、身体障害のある人は約59.3%、知的障害のある人は約20.3%、精神障害のある人は約32.7%、発達障害のある人は約36.6%です。
また、週所定の労働時間も、通常(週30時間以上)と同様に勤務している人は以下のとおりとなっています。(参考:厚生労働省「令和5年度障害者雇用実態調査の結果を公表します」)
- 身体障害のある人:約75.1%(2018年調査時約79.8%)
- 知的障害のある人:約64.2%(2018年調査時約65.5%)
- 精神障害のある人:約56.2%(2018年調査時約47.2%)
- 発達障害のある人:約60.7%(2018年調査時約59.8%)
こうした違いがあることから、一般的に、病気や障害のある人は給与水準が比較的低い傾向にあるといえるでしょう。
とはいえ、2018年調査時と比較すると、病気や障害のある人の平均賃金は上昇傾向にあります。就労スキルを身に着けることで、より高い収入を得ることもできるでしょう。
障害者雇用の給料については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
注意点②求人数が比較的少ない
病気や障害を開示して就職活動をする人が直面するのが、求人数が比較的少ないという点です。
例えば、「求人ボックス」という求人サイトで検索すると、2026年4月時点で以下の結果となりました。
- 正社員/東京都の求人:226万4733 件
- 正社員/障害者雇用/東京都の求人:6万9098件
このことから、一般雇用に比べて、障害者雇用の求人数は少ないことがわかります。
しかし、障害者雇用での求人数自体は年々増加しています。障害者雇用促進法の改正が行われ、障害のある人の法定雇用率が以下のように強化されてきたためです。(参考:厚生労働省「事業主のみなさまへ 障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」)
障害者雇用促進法では、常時一定数の労働者を雇用する事業主に対し、障害のある人を雇用する義務があることを明記しています。
以上のように、対象となる事業主の範囲が拡大するとともに、法定雇用率も高まることで、オープン就労をしやすくなることが見込まれるでしょう。
加えて、障害のある人の就業が困難とされる業種には法定雇用率に除外率が設けられていましたが、2025年4月以降、その基準が10ポイントずつ引き下げられたことも大きなポイントです。
この改正によって除外率制度の対象外となった業種もあり、オープン就労におけるキャリアの選択肢も広がりつつあります。
注意点③職種の選択肢が比較的少ない
障害者雇用での職種は、定型的な一般事務が多く、選択肢が比較的少ない傾向にあります。
営業職や総合職など、機動力や柔軟性を求められる職種の求人は、一般事務と比較するとまだ少ないということは、覚えておいた方がよいでしょう。
例えば、病気や障害のある人向けの転職サービスであるdodaチャレンジには、全体で1837件の求人が掲載されています。(2026年4月時点)掲載数上位5職種の求人件数は、以下のとおりです。
- 事務系職種:1292件
- 技術系職種(IT/通信):167件
- 技術系職種(機械/電気/組み込み):101件
- 販売・サービス系職種:78件
- 技術系職種(建築/土木/プラント/設備):77件
事務系職種の求人数が圧倒的に多く、営業職や医療系専門職種、公務系職種などの求人数は少ないとわかります。
求人数の少ない職種を希望する人は、オープン就労について慎重に検討する必要があるでしょう。
オープン就労が向いてる人
オープン就労が向いてるのは、以下の項目を満たす人です。
- 主治医から、就労の時間や環境に関して配慮が必要と判断されている人
- 働けるが、体調が安定しきっておらず、柔軟な対応が必要な人
- 特定の業務にストレスを感じやすいため、除外などの配慮が必要な人
- 支援機関による継続的な支援を受けるメリットが多い人
病気や障害に関する問題が生じたときにサポートを必要とする人は、オープン就労が向いてるといえます。
オープン就労では、就労移行支援事業所などの支援機関がサポートに入る場合もあり、継続的な支援を受けられることもあるためです。
一方、クローズ就労の場合には、病気や障害による課題は自分で対処する必要があります。支援機関によるサポートも部分的には得られますが、支援機関と就職先企業間の連携は行われません。
「周囲の配慮やサポートがあれば、安定的かつ長期的に働ける」という人はオープン就労が、病気や障害に自身で対処できる人はクローズ就労が、それぞれ向いてるといえるでしょう。
オープン就労での失敗を防ぐ方法
この章では、オープン就労での失敗を防ぐ方法について解説します。
方法①専門スキルを習得する
就職時に「失敗した」と感じる場面として、収入が低くなったケースが挙げられます。
収入の低下を防ぐには、専門的なスキルや資格を取得し、市場価値を高めることが大切です。専門的なスキル・資格としては、例えば以下の5つが挙げられるでしょう。
- プログラミング
- 情報セキュリティマネジメント
- 会計
- ファイナンシャルプランナー
- 宅地建物取引士 など
高いスキルを習得しておき、市場が伸びている業種で就職すれば、高収入を得やすくなります。スキルが無い場合と比較して、「失敗した」と後悔せずに済む可能性が高まるでしょう。
方法②開示方法をよく検討する
オープン就労といっても、一般企業へ応募するのか、障害者雇用を選ぶのかによって、働きやすさが大きく異なります。
一般企業の一般雇用での就職、一般企業の障害者雇用での就職、特例子会社への就職、セミオープン就労など、開示方法をよく検討しておく必要があるでしょう。
開示方法を検討する際には、以下のポイントを押さえて考えることが大切です。
- 就労上やシフト上で配慮が必要か
- 問題が発生した際に自身で対応できるか
- 心身の状態が安定しているか
主治医や支援機関とも相談しながら、適切な開示方法を見つけましょう。
方法③開示内容を整理して伝える
オープン就労の際には、採用担当者と病気や障害について話をすることになります。しかし、今までのつらい経験やトラウマをすべて話す必要はありません。
重要なのは企業がどのような対応をすればよいのか、どのような配慮があれば働けるのかという点です。
採用担当者が理解しやすいように、特性に関する配慮事項をまとめて整理して伝えることで、ミスマッチを防げるでしょう。例えば、以下のような伝え方ができます。
- 感覚過敏があるため、静かな環境があることが望ましい
- 体調の波があるため、勤務時間を柔軟に対応できるとよい
- 業務連絡は、あらかじめ文字媒体でまとめてもらえると対応しやすい など
障害者雇用の面接でよく聞かれる質問については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
方法④周囲の意見も参考にする
「オープン就労にすべきか、クローズ就労にすべきか」と悩む場合は、周囲の意見も参考にしてみましょう。
自身では大丈夫と思っても、主治医やカウンセラー、家族などから見ると、配慮が必要と感じるところもあるかもしれません。第三者の意見も参考にしつつ、慎重に検討することが大切です。
また、就職活動は、業界・職種や仕事との適性についても理解したうえで、方向性を検討する必要があります。
自身の得意・不得意・特性と企業との相性などに悩む場合には、就労移行支援事業所などの支援機関を利用するのもよいでしょう。
支援機関では、仕事との適性や特性への理解を深めるためのサポートを受けられます。
病気や障害のある人を支援してきた実績のある機関を頼ることで、自身に適した就職先を見つけられるとともに、開示方法も決めやすくなります。
悩んだら、主治医やカウンセラー、家族、支援機関などのサポートを受けながら、慎重に検討を進めることをオススメします。
オープン就労を成功させた事例
オープン就労での就職を叶えた事例として、私たち、就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)の卒業生の事例を紹介します。
佐々木春花さん(仮名)は、初めての就職活動で、在宅勤務が可能な障害者雇用を選び、オープン就労を成功させました。
履歴書・職務経歴書作成や面接対策などのサポートを受けて、体調に合わせた働き方ができる職場に就職した後、幅広い業務に携わり、充実した就労ができています。
酒井哲也さん(仮名)は、病気や障害のある人への理解があり、相談員もいる職場へのオープン就労を叶えました。
有給休暇や休憩が取りやすく、無理せずに自分のペースで勤務できています。今では、主体性を持って課題解決ができるようになり、安心して就労できています。
まとめ:慎重に検討してあなたに合う就職を
就職・転職時には、病気や障害を開示するか悩むこともあるでしょう。
オープン就労とクローズ就労にはそれぞれメリットとデメリット・注意点があるため、慎重な検討が必要です。
さらに、オープン就労にも種類があるため、適切な開示方法を選ぶのは大変かもしれません。
開示方法で悩んだときには、主治医や支援機関、家族などの意見も参考にすることをオススメします。就労時における支援の必要性についてよく検討し、あなたに合う就職を実現しましょう。
このコラムをご覧になったあなたが、いきいきと働ける職場が見つかるよう願っています。
よくある質問(1)
- オープン就労のメリットは何ですか?
-
以下が考えられます。
- 業務内容や配属先への配慮を受けられる
- 障害を開示できることによる安心感がある
- 支援機関と就職先が連携したサポートを受けられる
- その日の調子に合わせて勤務形態を変更しやすい
- 通院のために休みやすい
詳細については、こちらで解説しています。
よくある質問(2)
- オープン就労での失敗を防ぐ方法は何ですか?
監修キズキ代表 安田祐輔
サイト
運営キズキビジネスカレッジ(KBC)
うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。2026年9月現在、首都圏・関西に12校舎を展開しています。トップページはこちら→

