発達障害のある人の一人暮らし 成功させるポイントや役に立つ対策を解説 | キズキビジネスカレッジ  

発達障害のある人の一人暮らし 成功させるポイントや役に立つ対策を解説

こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。

発達障害のあるあなたは、「一人暮らしをしたいけど、自分にできるだろうか」とお悩みではないでしょうか?

発達障害のある人も、充実した一人暮らしをしている方はたくさんいます。

皆さん、自分の特性を理解して対策をしたり、福祉サービスを活用したりしつつ、一人暮らしを通じて自分に自信をつけていっています。

このコラムでは、発達障害のある人が一人暮らしを成功させるポイントや役に立つ対策について解説します。あわせて、一人暮らしについて相談できる支援機関を紹介します。

このコラムを読むことで、あなたの一人暮らしも実現に近づくはずです。

グループホームの利用を検討している発達障害のある人や一人暮らしとグループホームのどちらがよいか悩んでいる発達障害のある人は、以下コラムも合わせてご覧ください。

私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、発達障害のある人のための就労移行支援事業所です。

  • 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
  • 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
  • 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月

神田・新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。

発達障害のある人が一人暮らしを成功させるポイント4点

発達障害のある人が一人暮らしを成功させる4つのポイント

一人暮らしをすると、いろいろなことを自分で管理する必要があります。

発達障害のある人が一人暮らしを成功させるポイントは、以下の4点です。

多いように見えるかもしれませんが、自分の状況や特性から、特に注意すべきことについてしっかり検討しましょう。

そうすることで、充実した一人暮らしが近づきます。

なお、それぞれのポイントの解決策・対策は、こちらでまとめて紹介します。

また、「対策」は、あなた一人で考える必要はありません。

発達障害のある人をサポートするさまざまな支援機関と話をすることで、実際のあなたの一人暮らしに役立つ具体的な方法などが見えてくるはずです。

支援機関は、こちらの章でまとめて紹介します。

一人暮らしのポイント①金銭管理・お金

この章では、発達障害のある人が一人暮らしを成功させるポイントのうち、一人暮らしを成立させるために一番大切な金銭管理・お金について解説します。

注意点①平均費用を知る

一人暮らしで月々かかる費用を紹介します。あくまで平均ですが、一人暮らしでは、最低限「家賃+141,222円」が必要なようです。(参考:総務省統計局「家計調査 2021年 10~12月期」

一人暮らしの月間平均費用
  • 家賃:地域や条件によって大きく異なる
  • 光熱・水道代:10,949円(うち電気代は5,068円、ガス代は2,577円、水道代は2,306円、その他は998円)
  • 家具・家事用品:5,580円
  • 被服及び履物:5,479円
  • 食費:41,478円(うち外食は9,987円)
  • 保健医療費:7,745円
  • 交通・通信費:19,766円
  • 教育費:28円
  • 教養娯楽費:16,257円
  • その他:33,940円
  • 家賃を除く合計:141,222円

「実際のあなた」にどれくらいのお金が必要なのか、検討してみましょう。

補足1

年間の家賃は年収の20~25%と言われています。家賃以外の支出を捻出しても貯蓄に回す資金を残せるギリギリのラインとなる場合が多いとのことです。

補足2

家賃と公共料金(電気代・ガス代・水道代)の支払い方法には、一般的に、以下の2つがあります。

  1. 都度、送られてくる支払用紙を持って、コンビニなどで支払う
  2. 口座やクレジットカードからの自動引き落とし設定をする

注意点②衝動的な買い物などをする

発達障害ポイント:衝動的な買い物などをする

ADHD傾向のある方に多いのですが、本当は必要ないのに「ほしい」と思ったものを衝動的に購入する(必要・不要をよく検討せずに購入する)ことがあります。特にストレスがあるときは、衝動性を抑えられずに後先考えない行動を取る、ということが起こりがちです。

また、「自宅に何があるかを覚えておらず、同じものを購入する」ということも見受けられます。

さらに、クレジットカードで支払っていると、「今月どれくらい使っているか」をその場で確認できず、結果として支払いが予想外の金額になった、という人も多いです。

注意点③家賃や公共料金を払い忘れる

「払い忘れ」は、自動引き落としではなく、自分で支払う方法を選択している場合にありがちなことです

日々の生活に追われ、公共料金の支払用紙が届いても後回しにしたり、届いていても気づかずに後から督促状が送られてきたり、ということが発生します。

一人暮らしのポイント②食生活

一人暮らしでは、食事も自分で用意します。日々の食事をどのように摂るのか、想像してみましょう。

この章では、一人暮らしをする際に大切な食生活について解説します。

自炊か、惣菜か、外食か。栄養バランスは考える必要がありますが、自由度が高いのが一人暮らしの食生活の魅力ですね。

注意点①自炊レシピは豊富にある

一般論としては、節約や健康のためにも自炊はオススメです。

自炊のためのレシピは、「クックパッド」、「クラシル」、「白ごはん.com」のようなウェブサイトやアプリがあったり、YouTubeで多くの方が自身の調理方法を紹介していたりと、豊富にそろっています。

注意点②自炊をしようとしても続かない

注意点②自炊をしようとしても続かない

自炊のためには、調理方法に合わせた道具や材料などをそろえたり、洗って片付けたりなど、管理を大変に思うことがあります。

料理自体も、洗う、皮を剥く、切る、煮炊きするなど、やることがたくさんあります。また、レシピにある「コショウ 適量」などの曖昧な表記に戸惑い、料理のハードルを高く感じることもあります。

発達障害の特性によっては、こうした「大変さ」は、発達障害のない方に比べて「自炊が続かない」という状況につながりやすいのです

ですが、面倒だからと食べるものがパンや米などのみになると、栄養も偏り、体調不良につながるでしょう。

注意点③外食は(予想外に)高い

外食をすると、自炊の負担は減ります。しかし、一般的には自炊よりも出費は増えるでしょう。

以下の食事内容で、平日5日間・1か月(4週間)の食費を想定してみましょう。

  • 朝食:コンビニのおにぎり(120円)
  • 昼食:コンビニの弁当(600円)
  • 夕食:ファミレスのセット(メイン500円、セット400円、ライス100円)
平日食費の合計
  • 1日:120円 + 600円 + (500円 + 400円 + 100円) = 1,720円
  • 1週:1,720円 × 5日 = 8,600円
  • 1月:8,600円 × 4週 = 34,400円

平日朝昼晩の食事だけで、1か月に約3.5万円が必要になります(参考として、先ほど紹介したように、外食の平均費用は9,987円です)。飲み物代と土日分は計算に入れていないので、実際にはさらに必要でしょう。また、栄養バランスも考える必要があります。

補足

外食のコストが高いこと自体は、発達障害の有無は関係ありません。また、収入によっては、ある程度の外食費が発生しても問題ないかもしれません。しかし、発達障害の特性によって金銭管理に苦手意識があると、「『思っていた以上に』外食費を使っていた」という状況が発生しえます。

注意点④食べられるもの(栄養)が偏る

注意点④食べられるもの(栄養)が偏る

自炊でも外食でも、発達障害の特性に伴って、食べ物(栄養)が偏りやすいのも注意点かもしれません

例えば、「調理が楽で味が好みだから」とインスタント麺ばかり食べると、ビタミンなどの必要な栄養が不足するでしょう。

「野菜やソーセージなどを切ってインスタント麺に加える」など、作業を1つ2つ増やせばよいかもしれませんが、特にADHDの方は、その「1つ2つ増やす」が苦手な場合もあります。

また、特にASD傾向があれば、「好きな食べ物を優先」というレベルを超えて、「限られた物しか食べられない」という特性を抱えていることもあります。

一人暮らしのポイント③掃除・整理整頓

日常的には、部屋で掃除機や雑巾をかけたり、浴室やトイレを綺麗にしたり…、ということがあります

この章では、掃除・整理整頓について解説します。

注意点①掃除する場所を知る

注意点①掃除する場所を知る

家の広さにもよりますが、掃除しなければならないところは、居間、台所、風呂場、洗面所、トイレ、窓、ベランダなどなど、意外と多いです。夏場は、油断をすると水が溜まりやすい場所にカビが生えたりなんてことも。

また、自治体ごとに出すゴミの種類が曜日で決まっていて複雑なため、混乱することもあります。ゴミを出し忘れて放置し、ゴキブリやコバエが出る場合には、殺虫剤も必要になるでしょう。

注意点②整理整頓ができない

整理整頓は、「生活のしやすさ」や「部屋をきれいに保つ」などのために、もともと大切です。うまくいかないと、「どこに何があるかわからない」「この前しまった書類がどこにあるか忘れた」といった問題も起こります。

また、掃除や片付けをするためにも、ある程度のスペースを確保しなければなりません。衣類、カバン、本などが床やベッドの上に散乱していると、掃除はなかなか難しいです。

そして、発達障害の特性に伴って、整理整頓ができないというのはよく聞く話です。他の人が聞いたら「なぜ?」と困惑される、以下のような状態は日常茶飯事ではないでしょうか。

  • 必要な書類が見当たらない
  • 使いかけのハンドクリームが洗面所から3つも出てきた
  • 調理器具を適当に引き出しにつっこんだら開かなくなった

注意点③ゴミ出し日を忘れる

注意点③ゴミ出し日を忘れる

「決まった曜日に決まったゴミを捨てる」というのも、発達障害特性の人は苦手なことが多いです。出し忘れたり、後回しにしたりして、かなりゴミが溜まってから慌てて捨てることも。

スケジュール管理が元々苦手な場合、これは大きなネックになるでしょう。

注意点④掃除の途中で他のことに興味が出て続かない

いざ「掃除をやろう」と気合を入れて掃除を始めても、実は想定外な伏兵が自分の中にあります。

特にADHD傾向のある人に多いのですが、「他のこと」が気になって、掃除を途中で止めることがあるのです

例えば、散らかった本を整理しようとして、どの本が必要か、どの順番で本を並べるべきか、と本を読みながら取捨選択しようとします。すると「あ、この本面白い!」と本を読み進めて、気づいたら1時間くらい経過していた……ということはありませんか?

↓参考:このコラムの運営元・株式会社キズキ(キズキビジネスカレッジ)の執行役員で、発達障害の当事者である林田絵美による「なぜか部屋の片づけが途中で終わる」ことの図解

一人暮らしのポイント④身だしなみ

この章では、社会人(場合によっては学生も)に求められるTPOスキルの一つである身だしなみ。実際にかかる費用について解説します。

注意点①毎日行うべきことを知る

特に社会人なら、服装、髪や肌のお手入れなどで清潔さを保つ必要がありますが、やるべきことは多いです。

身だしなみの例
  • 毎朝、洗顔・整髪・歯磨き・化粧や髭剃りをする
  • TPOに合った服に着替える
  • 服にしわや汚れがないか確認し、必要ならアイロンをかける
  • 衣類や小物をどこにしまうか決める
  • 定期的に洗濯やクリーニングを行う
  • 必要に応じて買ったり捨てたりする

ちなみに、単身世帯で理容関係の平均費用は、以下のようになっています。(参考:総務省統計局『家計調査 2021年 10~12月期』)

理容関係の月間平均費用
  • 理美容サービス費:2,789円
  • 理美容用品:2,909円

注意点②毎朝、着る服に悩む

注意点②毎朝、着る服に悩む

TPOに合わせた服を考えて用意するのが苦手なのも発達障害の特徴です。

「ビジネスカジュアル」など、本人に服装の判断を委ねられると、自分自身の客観視が難しい発達障害当事者には厳しい部分もあります。場違いな服を着て浮いていても、誰も教えてくれなければどうしようもありません。

また、感覚過敏のある方ですと、着られる服が限られるでしょう。「女性はストッキングとパンプスを履く」「男性はスーツにネクタイで革靴を履く」などの(暗黙の)ルールがある職場もありますが、それらの感覚が苦手な人もいます。

注意点③シワや毛玉などでだらしなく見える

服の管理ができないと、服にシワがよったり、毛玉がついたりします。ハンガーにかけたり、アイロンをかけたり、ブラシで毛玉を取ったりしなければなりません。

ですが、発達障害の特性によって、それらの作業のハードルが高く感じやすい傾向の方もいます。また、「シワがあること」などに気づかず、他の人から「だらしない」と思われることもあります。

夜遅くまで起きていて、翌朝起きる時間がギリギリだと、どうしても服装まで気が回らない、という人もいるでしょう。

発達障害の一人暮らしで役に立つ対策7選

この章では、発達障害のある人が一人暮らしをする上で、可能な限り困りごとをなくしていく対策(方法・解決策)をについて解説します。

対策・解決策を身につけることで、発達障害のある人の一人暮らしはより充実したものになっていきますので、ぜひご覧ください。

補足1

「一人暮らしで利用できる対策」ではありますが、実家やグループホームでも利用できます。一人暮らしを始める前に、試しにやってみることをオススメします。

補足2

あなたの特性によって、ここにご紹介する以外の対策ももちろん考えられます。後で紹介する相談先と話し合うことで、「実際のあなたの一人暮らし」は成功・充実に近づきます。

対策①スケジュール管理帳やアプリを使う

スケジュール管理帳やアプリを使う

「公共料金の払い忘れ」「ゴミの出し忘れ」といった「○○忘れ」が多発するのが発達障害(特にADHD傾向)の「あるある」です。

この対策として、スケジュール帳やアプリを使って「月・水・金:燃えるゴミ」「31日:ガス代」などと記入して確認できるようにしておく方法があります

また、「日付」だけではなく、「その日のタイムスケジュールを作成して、その中にゴミ出しなどの予定を組み込む」と、より効果的な場合もあります。

リマインダー機能で予定が近づくと知らせてくれるアプリもあります。ちなみに筆者がよく使用しているのはGoogleカレンダー(iPhone版アンドロイド版)です。

また、給料の振り込み日、家賃・公共料金・クレジットカードの引き落とし日なども入力しておくと、いつお金が入るか、出るかを逆算して、収支の調整に役立てることもできます

「○○忘れ」はもちろん、衝動的な買い物や外食による家計の圧迫もだいぶ抑えられるはずです。

対策②家計簿をつける

家計簿をつけて、お金を「見える化」しましょう。1か月にどのくらい出費があるかを確認できるようにすることで、「自分はこれにお金を使いがち」と傾向を分析でき、対策が取りやすくなります。

支出の種類ごとに色分けされて見分けやすくなっている紙タイプの家計簿もあります。書く作業が面倒な方は、スマートフォンのアプリや、パソコンのExcel機能もオススメです。レシートを見ながらポチポチ打ち込むだけなので、ストレスはだいぶ軽減されます。

まずは「どうすれば無理なくできるか」ということに重点を置いてやっていきましょう。

補足:筆者の場合

筆者は、Excelで家計簿を管理しています。まとめ方はかなり大雑把で、家賃、公共料金、医療費、クレジット代、交通費、給料などは費目を書いて、食費・理美容費・娯楽費などは面倒なので「雑費」でくくっています。これには筆者なりの理由があります。厳密に細かく分け過ぎると、結果的に家計簿をつけること自体が嫌になるからです。

補足:KBCでよく聞く話

便利な家計簿アプリとしてよくお聞きするものに、「Moneytree」と「マネーフォワード」があります。口座連携、レシート登録などがあって、簡単便利です。

対策③カードはプリペイドまたはデビッドにする

カードはプリペイドまたはデビッドにする

カード類は、手持ちの現金以上の支払いをしなければならない場面に役立つため、持っておくと便利なことは確かです。

そこで、「支払い状況がわからなくなりがちで、上限まで利用できるクレジットカード」ではなく、プリペイドカードやデビットカードを使用する方法が活かせます

プリペイドカード

使える金額をあらかじめチャージしておくカードです。チャージ金額がなくなれば、使用できなくなります。

デビットカード

使ったその場で口座からお金が引き落とされるカードです。ATMなどで口座残高を確認すれば、「今月はあとどのくらい使用できるか」がわかります。

対策④調理しやすい野菜・冷凍野菜・缶詰を使う

自炊のハードルを下げる方法としては、「調理しやすい野菜を使用して、少しでも手間を省き、栄養も摂れるようにすること」があります

最近は、手間が省けて、保存がしやすい野菜もかなり増えています。

楽な野菜の例
  • 包丁やまな板を使わなくていい野菜
  • カット済みの野菜
  • そのまま調理に使える冷凍野菜
  • ホールトマトのような缶詰

栄養のあるおかずを自炊しておけば、節約にもなります。そして何より、「自分で調理した」という達成感が自己肯定感に繋がります。

栄養が取れ、節約になり、自信に繋がる、というまさに一石三鳥です。「少しやってみようかな」と思ったら挑戦してみるのもいいかもしれません。

具体例(1)

レタスの葉を手でちぎり、プチトマトのヘタを取り、器に適当に盛った後、缶詰のコーンやツナを乗せれば、簡単にツナサラダができ上がります。

具体例(2)

もやしと冷凍ホウレンソウをフライパンにそのまま入れて炒め、醬油をかければ炒め物になります。

対策⑤1週間の服の組み合わせを決めておく

1週間の服の組み合わせを決めておく

平日5日間職場に着ていく服は何がよいかわからない、朝考えるのが難しい場合、パターンを決めて置くとだいぶ楽になります。

職場に「具体的にどんな服装がOK・NGか」を細かく確認しておきましょう(私服勤務や学生の場合は、「一般的に問題ない服装」を友人に聞いたり、「着回し」の紹介をしている本やWebサイトを見たりしましょう)。

OKな服装がわかったら、着ていく服の組み合わせを休日中に5通り決めてハンガーにかけておくと、当日の朝は、ハンガーから服を取り外すだけですみます

対策⑥どこに何をしまうか決める

ものが片付かない(ために掃除ができない)理由は、単純に「どこに何をしまうかが決まっていないから」です。

「なんでここにハンドクリーム?」も「今、しまう場所がないから、いったんここに置いておこう」から、存在を忘れて長期間放置するのが理由です(ちなみにこれは筆者の経験談です)。

どこに何を置いておくか決めておきましょう。

具体的な例

そこまで細かくするのが苦手なら(ややパワープレイですが)くくりを大きくして、とにかく仕分けして、「とりあえず、そこに入っている」と目星をつけやすくしましょう。

くくり方の例
  • 衣類箱(衣類上下、下着、靴下等)
  • 化粧品箱(化粧品、薬用リップ、ハンドクリーム等)
  • バッグ箱(仕事用、休日用、エコバッグ等)
  • 何かの書類箱(公共料金、取扱説明書、何かのお知らせ等)
  • 何かの部品箱(ネジ、コード等)

これで大雑把な物の住所(箱や引き出し等)を決めてから、細かい仕分けを一つずつゆっくりじっくりやりましょう。しまう用の入れ物は箱に限らず、タンスの引き出しなどでも同じやり方ができます。

また、この方法は台所や洗面所でも活用できます。「使い終わったらそこにつっこむ」というルールをつくるだけで、部屋はだいぶ見違えるはずです。

台所・洗面所の例
  • 調味料はここ
  • お皿はここ
  • 洗剤はここ
  • タオルはここ
補足:筆者の場合

実際に整理整頓をするときには、「本はここに集合!」「ポーチはこっちに集合!」と言いながら(「今、自分は箱に物を入れている」と言い聞かせながら)、なるべく「物の中身」を見ないでつっこんでいます。途中で本を読んで手が止まるなどを避けられます。

この方法は、先ほど紹介した『仕事&生活の「困った!」がなくなる マンガでわかる 私って、ADHD脳!?』の中で、ゴミの仕分け方として使われている方法です。それを筆者は、物をしまうときにも活用している形です。

対策⑦前日に翌日の準備をする

前日に翌日の準備をする

前日の夜に翌日の準備をしておくと、朝の準備が楽になる上に、「○○忘れ」も防げます

例えば、あなたが勤めているのは「スーツ着用の職場」だとします。翌日は燃えるゴミの日で、水道代の支払い(コンビニ支払い)もしなければならないときには、前日(の夜)のうちに以下のようなことを行うのです。

前日に行うこと
  1. シャツにアイロンをかけ、ハンガーにスーツ一式を用意する
  2. ハンガーのすぐそばには仕事で使うバッグを配置し、水道料金の用紙を入れておく
  3. 玄関に明日捨てるゴミ袋を置き、そのまま持って出て行けるよう準備する
  4. 朝、朝食や弁当の用意が難しいなら、お皿や弁当箱に食べ物を盛って、レンジで温めればすぐ食べられるようにしておく
  5. 最後に、スマホのスケジュールアプリに「水道代」「ゴミ出し」など、翌日の予定をアラームで教えてもらえるように設定して完了!

これだけ準備しておけば、朝の作業量が格段に減り、さらには身だしなみや食事まで手が回るようになります。「○○忘れ」だけでなく、着ていく服(綺麗にメンテナンス済み)もすぐに用意できて、身だしなみも整います。

発達障害のある人の一人暮らしについて相談できる団体4選

発達障害のある人の一人暮らしについて相談できる団体

この章では、発達障害のある人の一人暮らしについて、第三者からの支援を受けられる団体を紹介します。

「一人暮らし」だからといって、諸々の悩みなどをあなた一人で抱え込む必要はありません。専門的な知識を持つ人たちに相談に乗ってもらうことも可能なんです。

いずれも、実際に相談に行く前に、「生活や金銭など、どのようなことで困っているのか」をメモなどしておく、スムーズに行きます。

補足

「一人暮らし」と金銭面などで間接的に関係する「障害年金」「自立支援医療」「精神障害者保健福祉手帳」などについても相談できます。

障害年金とは? 受給条件や受給額、申請する流れを解説

障害者手帳を取得するメリットとは? 種類や申請する流れ、注意点を解説

団体①自治体の相談窓口

各自治体(市区町村役所)には、福祉相談窓口があるはずです。

その窓口で直接相談できることもありますし、より専門の別の機関・団体を紹介してもらえることもあります(このコラムで紹介する団体以外にも、相談できるところはたくさんありますので安心してください)。担当部署がわからないときは、ウェブサイトや総合窓口で確認しましょう。

補足

都道府県・市区町村が、発達障害のある人への支援を外部団体に委託していることもあります(東京都の例:「東京都発達障害者支援センターTOSCA」という団体が、東京都の委託を受けて、「発達障害のある、都内にお住まいのご本人やご家族からの相談や関係機関への支援」を行っています)。

団体②基幹相談支援センター

障害当事者やその家族のサポートをする機関です。

主に「生活全般における、障害者等の相談、情報提供、助言」や「地域の相談支援事業者間の連絡調整や、関係機関の連携の支援」をしています。

団体③特定相談支援事業所

障害当事者が自立できるように、市町村が中心となって運営しています。支援が必要な本人や家族がご利用できます。

具体的には、面談などを通じて相談者の状況に合わせ福祉サービスが受けられるよう「サービス等利用計画」を作成し、定期的にサービスの利用状況などヒアリングします。

団体④一般相談支援事業所

都道府県が指定する相談支援事業所です。

様々な相談に応じる「基本相談支援」に加えて、「地域移行支援」「地域定着支援」も実施しています。

地域移行支援

障害者の方が、施設や病院から出て地域生活を送る際に必要になる支援のこと

地域定着支援

障害者の方が地域で暮らし続けるための支援のこと

発達障害のある人が一人暮らしをする際、就労移行支援事業所の利用もオススメ

就労移行支援事業所

あなたが現在離職中だったり、退職を検討していたりするなら、「(再)就職した後での一人暮らし」のために、就労移行支援事業所の利用もオススメです。就労移行支援事業所とは、「病気や障害のある方の(再)就職・転職を援助する福祉サービス」のことです。

各事業所は、公的な認可を得た民間事業者が運営しています。そのサービス内容は多岐にわたります。

就労移行支援事業所のサービス例
  • 一人暮らしも含めた、自立方法の習得
  • 転職のための知識・技能の習得
  • 履歴書・経歴書・エントリーシートの作成支援
  • メンタル面のサポート
  • 再就職・転職先候補や、職場体験実習(インターン)の紹介
  • 転職後の職場定着支援

利用の可否は、お住まいの自治体が、以下などに基づいて判断します。

就労移行支援事業所の利用条件
  1. 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病などがある
  2. 18歳以上で満65歳未満の方
  3. 離職中の方(例外あり)

満たすなら、障害者手帳を所持していなくても利用可能です。

ご自身が利用できるかどうかは、自治体や、各就労移行支援事業所に相談してみましょう。

就労移行支援については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

まとめ:対策や相談を行えば、発達障害のある人の一人暮らしは充実してきます

まとめ〜対策や相談を行えば、発達障害のある人の一人暮らしは充実してきます〜

ここまで、発達障害のある人の一人暮らしを成功させる方法を解説してきました。

人にも相談しながら、自分ができること、苦手なことを掘り起こして分析し、どうすれば一人暮らしができるようになるか探ってみましょう。

自分の生活をいろんなことを工夫して営むことは、自分に自信をつけられるチャンスにもなります。あなたの一人暮らしが充実したものになるよう祈っています。

よくある質問(1)

発達障害の自分が一人暮らしを成功・充実させる対策はありますか?

一般論として、以下の7点が考えられます。(1)スケジュール管理帳やアプリを使う、(2)家計簿をつける、(3)カードはプリペイドまたはデビッドにする、(4)調理しやすい野菜・冷凍野菜・缶詰を使う、(5)1週間の服の組み合わせを決めておく、(6)どこに何をしまうか決める、(7)前日に翌日の準備をする。詳細はこちらをご覧ください。

よくある質問(2)

発達障害の自分が一人暮らしについて相談できるところはありますか?

例として、以下のようなところがあります。自治体の相談窓口、基幹相談支援センター、特定相談支援事業所、一般相談支援事業所。詳細はこちらをご覧ください。

相談予約 LINE相談 相談フォーム 無料資料請求 電話相談
LINEで
相談
フォームで
相談
資料
DL
相談
予約