発達障害のある人の遅刻対策7選 遅刻しやすい発達障害の種類を解説 | キズキビジネスカレッジ  

発達障害のある人の遅刻対策7選 遅刻しやすい発達障害の種類を解説

こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。

発達障害があるあなたは、遅刻が多いことに悩んではいませんか?

  • 遅刻しないと思っていてもなぜか遅刻する
  • どのような遅刻対策が有効か、わからない
  • 発達障害に原因があるならどうしようもない

このような悩みゆえに、「遅刻癖は治らない」とあきらめている人もいるかと思います。

しかし、発達障害のある人でも、工夫次第で遅刻を減らすことは可能です。

このコラムでは、発達障害のある人が遅刻するときのパターンと、効果のある遅刻対策について解説します

私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、遅刻に悩む発達障害のある人のための就労移行支援事業所です。

  • 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
  • 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
  • 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月

神田・新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。

発達障害のある人の遅刻対策7選

この章では、発達障害のある人が実践したい遅刻対策について解説します。(参考:村上由香『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害のある人が上手に暮らすための本』)

基本的には、あなた自身で講じられる対策にはなりますが、発達障害は脳の機能の偏りに原因があるため、独力ですべてをカバーするのは難しいと言われています。

そのため、ご家族やご友人、職場の同僚といった、周囲の人の助けを求めることも大切です

特に、絶対に遅刻できないという状況のときは、できるだけ周りの人にも助けを仰ぐようにしましょう。

その上で、これから紹介する7つの遅刻対策を取り入れてみてください。

対策①作業ごとにアラームアプリを設定する

作業ごとにアラームアプリを設定する

1つ目の対策は、アラームアプリを設定するです。

これは、ASDの特徴の一つである特定の分野に関して強い興味を持つ特性のある人、ADHDの特徴の一つである時間経過を体感的に把握しづらい特性のある人に有効です。

作業に過集中していると、食事を忘れて深夜まで取り組み続けるなどの場合には、作業ごとや予定ごとにアラームを設定することがオススメです

予定を守るために、支度を開始する時間までアラームとして設定しておくと、後から慌てて準備をして、遅刻をするといったリスクを下げることができます。

しかし、人によっては、アラームの設定をしたいけれど、アラーム音が不快だから抵抗感があるという人もいるかと思います。

そういった人は、例えば「おこしてME(App StoreGoogle Play)」というアプリのように、端末に保存してある音楽が鳴るように設定できるものがオススメです。

また、周りにアラーム音を聞かれたくないという人や、作業に集中するためにイヤホンをしているという人は、「イヤホン目覚まし時計(App Store)」のようなアプリを利用するとよいでしょう。

いずれも無料ですので、手軽に利用できるアラームアプリで遅刻対策をしてみてください

対策②持ち物などは前日に準備する

持ち物などは前日に準備する

2つ目は、持ち物などを前日に準備するという対策です。

この対策は、当日の支度に時間がかかって遅刻しやすい人だけでなく、つい忘れものをして取りに戻ることが多い人にも効果的です。

前日に持ち物などを準備する際は、できるだけ一つのバッグにまとめることをオススメします

バッグを複数に分けると、バッグごと忘れる可能性もありますので、特に普段から持ち歩くものは、一つのバッグにまとめておくとよいでしょう。

また、バッグを複数に分けた上で、忘れないように目に付く場所に並べておくといった対策も考えられますが、これは注意がほかの場所に向いた結果、忘れ物をするというリスクにつながります。

そのため、できる限り持ち物は一つのバッグにまとめ、複数に分けることは避けるようにしましょう。

対策③毎日の起床と就寝の時間を定める

毎日の起床と就寝の時間を定める

3つ目は、毎日の起床と就寝の時間を定めるです。

すでに述べたとおり、発達障害のある人は、その集中力の高さゆえに夜更かしをしやすい傾向があります。

しかしその傾向は、起床と就寝の時間を定めて慣習化することで、生活リズムを安定させることができます。

大切なのは、起床と就寝の時間だけは厳守するというように、自分の生活上のルールを明確にすることです

もしかすると、いきなり就寝と起床の時間を固定することは難しい人もいるかもしれません。

その場合は、まずは起床の時間だけ固定してみるといった工夫をすることで、習慣化しやすくなります

また、同居人がいらっしゃる人は、就寝の30分前に声を掛けてもらうなど、協力を仰ぐのもよいでしょう。

結果として、朝寝坊などによる遅刻を減らすことできるはずです。

対策④日頃から所要時間を計測する

日頃から所要時間を計測する

4つ目は、日頃から所要時間を計測するという対策です。

これは特に、時間処理の障害に悩む特性がある人に効果を発揮します

食事や歯磨きなどの日常動作や、定常的に行っている業務を遂行するのに、普段どれだけの時間がかかっているのかを計測してみてください。

その日のコンディションなどによって、多少の違いはあるかと思いますが、目安となる数値を取ることができるはずです。

そうした特定の行動にかかる時間をメモしたり、記憶したりするようにしましょう。

そうすれば、もし行動と体感時間の間にズレがあったとしても、所要時間をある程度、正確に見積もることができるようになるため、遅刻を減らすことができます

また、時間を計測する癖をつけて慣らすことで、多少は体感時間のズレも修正できるでしょう。

時間の逆算が苦手で遅刻しやすいという発達特性のある人は、ぜひ生活に取り入れてみてください。

対策⑤前倒しで行動する癖をつける

前倒しで行動する癖をつける

5つ目の対策は、前倒しで行動する癖をつけるです。

もし、事前準備や下調べが苦手なために計算外の事態」が発生したとしても、日頃から予定より早く行動をする癖をつけておけば、リカバリーできる可能性が高まります。

特に、待ち合わせ場所を勘違いしやすい、遅延や運休が出ているのに、交通情報を調べずに遅刻することが多いという人に有効な対策です。

例えば、遅刻したときに「遅刻した」で終わらせるのではなく、「あと何分あれば遅刻しなかったか」を考えて、前倒しで行動する際の時間の目安にしてみてください

「待ち合わせのときは、20分前に着く予定で行くと時間に間に合う」など、遅刻しやすい人はその度合いに応じてルールを作り、前倒しで行動する癖をつけるとよいでしょう。

対策⑥予定時刻を早めに設定してもらう

予定時刻を早めに設定してもらう

6つ目は、予定時刻を早めに設定してもらうという対策です。

これはあなた自身ではなく、お友達や同僚などにお願いする形の対策になります。

日頃から、「自分と待ち合わせるときは、本来見積もるべき待ち合わせの時刻よりも、早めの時刻を指定してほしい」とお願いしましょう

ただし、このときは、時間の目安は明示しない方がよいかもしれません。

というのも、お互いの中に「何分早める」といったはっきりした取り決めがあると、「あと何分遅れても問題ないはずだ」という慢心につながり、結果として遅刻する可能性も上がるからです。

そのため、どのくらい早めに時間を設定するかは、相手に判断してもらうのがよいでしょう。

あなたの方では、提示された予定時刻にとにかく間に合うように行動するよう心掛ければ、致命的な遅刻を防げるはずです。

対策⑦当日にリマインドできる仕組みを作る

当日にリマインドできる仕組みを作る

最後の対策、は当日にリマインドできる仕組みを作るというもの。

具体的には、以下のような方法があります。

  • 机やドアなどの目に着くところに予定を書いた紙を貼る
  • 家族や同居人にその日の予定を確認するよう促してもらう
  • 毎朝、予定帳を確認することを習慣化する
  • アプリでリマインダーを設定する

紙などに予定をまとめる際には、できるだけシンプルかつ目立つようにすることが肝心です

目に留めても読み飛ばすことのないよう、工夫してみてください。

また、周囲の人に予定を尋ねて教えてもらうだけでなく、あなた自身が確認するように促してもらうことも大切です

最近では、「Googleカレンダー(AppStoreGooglePlay)」のようなカレンダーアプリにも、当日になったら画面上に予定を通知してくれるリマインダー機能を持つものが多くあります。

こうしたツールを頼ることで、適切なタイミングで予定を思い出せば、遅刻を減らせるはずです。

発達障害のある人が遅刻するときの4つのパターン

それでは、発達障害のある人が特性によって遅刻するパターンには、どのようなものがあるのでしょうか。(参考:司馬理英子『大人の発達障害 アスペルガー症候群・ADHD シーン別解決ブック』、星野仁彦『発達障害に気づかない大人たち』)

この章では、発達障害のある人が遅刻するときに、よくある事例について解説します。

なおASDやLDのある人の中にも、ADHDの特性を併せ持つ人が少なからずいます。

そのため、これ以降の項目ではADHDに限定せず、発達障害という総称でまとめるかたちで紹介します。

パターン①別のことに過集中している

別のことに過集中している

1つ目は、別のことに過集中しているというパターンです。

発達障害の特性の一つとして、一つの物事や興味・関心のある分野の作業に没頭して、ほかのことに注意が一切引かれない状態になる過集中というものがあります

この特性は、ASDやADHDのある人に見られることが多いです。

過集中状態では、時間に関係なく、体力が続く限り作業に没頭することがあるため、ほかのことに気が回らなかった結果、遅刻することがあります。

それ以外にも、発達障害の特性としてこだわりの強さがある場合には、仕事の進め方にこだわりがあり、自分のペースで取り組む人もいます。

それゆえ、時間を気にせずに作業していたことが、遅刻につながるケースも見られるのです

パターン②時間の逆算が苦手である

時間の逆算が苦手である

2つ目は、時間の逆算が苦手であるというパターンです。

先述したとおり、ADHDの傾向がある人の中には、時間処理の障害がある人がいます。

また、その特性に加えて、整理整頓が苦手という特性が見られる人には、時間の逆算が苦手というパターンも見られます

整理整頓が苦手な場合は、いざ出かけようと思っても、持っていくべき物が見つからなかったり、所持品の確認に時間がかかったりしやすいです。

時間処理の障害と整理整頓が苦手という2つの特性がある場合、結果として準備に手間取り、時間の逆算がうまくいかず、遅刻するということが少なくないようです。

パターン③待ち合わせ時間・場所についての計画が苦手

待ち合わせ時間・場所についての計画が苦手

3つ目は、待ち合わせ時間・場所についての計画が苦手というものです。

これは、衝動性と不注意性の特性のある人によく見られるパターンです

衝動性が強い場合には、待ち合わせ場所について、「ひとまず最寄り駅に着けばどうにかなるだろう」と考える傾向があります。

そして、目的地だけ確認して、交通手段や所要時間を調べずに、予想以上に時間がかかって遅刻するといったケースがあるのです。

また、不注意性が強い場合は、待ち合わせ場所を勘違いしたり、乗り込む電車を間違えることで、遅刻につながったというケースも見られます。

パターン④朝寝坊をする

朝寝坊をする

最後のパターンは、朝寝坊をするというものです。

先述した過集中傾向がある場合に顕著ですが、特定の作業に没頭するなどして、夜更けまで作業をしていると、眠るのが遅くなる場合があります

特に、生活リズムが後ろ倒しになっているときに、朝早くに予定が入っていると、早く眠りに就くことに難しさを感じる人もいます。

結果として、朝寝坊による遅刻を繰り返すという場合があるようです。

発達障害の特性で遅刻に悩む人は就労移行支援所もオススメ

もし、あなたが発達障害の特性によって遅刻している場合、その特性は仕事のやりづらさにも繋がっているかもしれません。

そうしたときに利用できるのが、就労移行支援です。

就労移行支援とは、障害者総合支援法(正式名称:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)に基づいて行われる、病気や障害のある人の(再)就職・転職を援助する福祉サービスのことです(このコラムの運営元であるキズキビジネスカレッジ(KBC)もその一つです)。

発達障害などを経験した方々のために、一般企業での再就職や仕事で独立をサポートしています。

※本格的な利用は、基本的には退職した後の人(離職状態にある人)が可能ですが、相談は退職前から可能です。

就労移行支援の特徴
  • 就労を希望する65歳未満の障害者のある人が利用可能
  • 利用料金は所得に応じて上限あり
  • 利用可能期間は、原則として、最長24か月

※以上を踏まえた上で、お住まいの各地区町村が、個別に利用の可否を判断します。利用にあたって、障害者手帳の所持は必須ではありません。

就労移行支援のサービス内容
  • ビジネススキルの習得:PCスキル、コミュニケーション方法など
  • 専門スキルの学習:会計、英語、プログラミング、マーケティングなど
  • 体調管理やメンタル面の相談:個別支援計画にあわせた面談
  • 就職活動のサポート:雇用枠の検討、面接対策など
  • インターン先や就職先の紹介:あなたにあった職場探しの手伝い

また、就労移行支援事業所の種類によっては、就職後に職場定着支援も受けられます。職場定着支援では、就職後の労働環境や業務内容について、職場とあなたの間に入って調整を行います

就労移行支援の詳細については、以下ののコラム・関連リンクで解説しています。ぜひご覧ください。

関連リンク

遅刻しやすい発達障害の種類とは?

遅刻しやすい発達障害の種類とは?

発達障害には、主に以下の3種類があります。(参考:中島美鈴『もしかして、私、大人のADHD?』)

ASD(自閉症スペクトラム障害)
  • 「社会性・コミュニケーション・想像力」の3つに特性を有し、主に対人コミュニケーションの場で困難が生じる
ADHD(注意欠陥・多動性障害)
  • 「不注意・多動性・衝動性」の3つに特徴的な傾向があり、正確さや忍耐力に難点が見られる
LD(学習障害)
  • 「読む・聞く・話す・書く・計算する・推論する」といった6つの能力の1つ以上に、習得や使用の困難がある

この3つの発達障害のうち、特性に伴って遅刻が多く見られると言われているのがADHDです

ADHDによる遅刻の主な要因は、不注意と衝動性にあるとされています。

特に、障害特性として衝動性が強い人は、計画を立てる、スケジュールを調整するということをした上でも、意図せずして注意の対象がほかのことに向くことで、予定そのものを忘れたというケースも見られます。

専門家の中には、こうした時間管理が苦手な傾向を時間処理の障害(Temporal Processing)として、まとめて考えている人もいます。

臨床心理士の中島美鈴氏によれば、ADHDのある人の中には、時間の経過を正確に把握することが難しいという特性を持っている人もいるそうです。

そうした特性を持っている人の場合、本人の見積もっている時間と実際にかかる所要時間との間にズレが生じやすいと言われています

その結果、計画を立てても時間内に終わらずに締切りを過ぎたり、想像以上に準備に時間がかかり、待ち合わせに遅刻したりするのです。

このように、ADHDに一般的に見られる不注意や衝動性、時間処理の障害などの特性は、遅刻しやすいことにつながる可能性があります

まとめ:発達障害でも工夫次第で遅刻は減らせます

発達障害でも工夫次第で遅刻は減らせます

遅刻しやすい発達障害の種類から、遅刻するときのパターン、具体的な対策までを紹介してきましたが、あなたの生活に取り入れられそうなものはありましたか?

前にも述べたように、発達障害のある人が、困りごとを自力で全てカバーすることは難しいです。

頼れることがあれば、一人で抱え込まずに、周囲の人に頼るようにしましょう。

発達障害者の支援に特化した発達障害者支援センターや、生活だけでなく就労上の相談にも乗ってもらえる就労移行支援所など、専門的な知識を持っている人に助力を仰ぐのも一つの手段です。

ぜひ、周囲の人の力も借りながら、発達障害に伴う困難をひとつずつ解決していってみてください。

このコラムが、遅刻に悩む発達障害のある人の助けになれば幸いです。

よくある質問

発達障害の自分ができる遅刻対策はありますか?

一般論として、次の7点が考えられます。「作業ごとにアラームアプリを設定する」「持ち物などは前日に準備する」「毎日の起床と就寝の時間を定める」「日頃から所要時間を計測する」「前倒しで行動する癖をつける」「予定時刻を早めに設定してもらう」「当日にリマインドできる仕組みを作る」。詳細はこちらをご覧ください。

監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。

【著書ピックアップ】
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』

Amazon
翔泳社公式 【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)

【その他著書など(一部)】
学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧

【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)

うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。2024年10月現在、首都圏・関西に6校舎を展開しています。トップページはこちら→

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