もしかしてうつ病? うつ病の初期症状や職場でとる行動を解説 | キズキビジネスカレッジ  

もしかしてうつ病? うつ病の初期症状や職場でとる行動を解説

こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。

仕事をしているときにふと、「もしかしたらうつ病?」と感じることがありませんか?

うつ病は、放置していると徐々に悪化し重症化していきます。

そのため、うつ病は初期症状が出たタイミングで気づき、早急に対処する必要があるのです。

このコラムでは、うつ病の初期症状、仕事でうつ病の初期症状が出たときにすべき対応などについて解説します。あわせて、うつ病の初期症状に関する事例やうつ病のある人が利用できる支援機関を紹介します。

なお、解説する事例は、うつ病の症状である可能性はありますが、場面ごとの状況などによって誰にでも起こりうるものです。1~2週間程度その症状が続く場合は、精神科や心療内科を受診することをオススメします。

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身体面にあらわれるうつ病の初期症状7点

身体面にあらわれるうつ病の初期症状として、以下が挙げられます。

  • 睡眠障害:寝付けない、何度も目が覚める
  • 慢性疲労:だるい、身体が重い
  • めまいや動悸:目が回る、呼吸が苦しい
  • 食欲の減退:ご飯を食べる気が起きない
  • 性欲の減退:性的なものへの興味が減る
  • 身体の痛み:原因不明の頭痛や腹痛がある

以上に共通するのは、慢性的に続くという点です。

例えば、疲労の場合、通常は休養を取れば解消されるはずです。頭痛や腹痛も一過性の場合が多いでしょう。

しかし、うつ病の場合、波はあるものの症状が長く続きます。

とはいえ、うつ病以外の疾患による症状の可能性もあるため、身体の痛みなどを感じた際にはまず内科を受診するようにしましょう。

内科を受診して、特に原因が見つからなかったり自律神経失調症などと判断されたり、ストレスの影響であると明言されたりしたら、うつ病を疑ってみてください。

ちなみに、筆者の友人が仕事をしながら「うつ病かもしれない」と思ったときは、睡眠障害や慢性疲労などを初期症状として感じていたそうです。

何度か内科へ通院はしましたが、いつも自律神経失調症としか診断されなかったため、心療内科を訪れたところ、はじめてうつ病という診断を下されたと言います。

以上の初期症状をもとに、内科などに行っても解決しない場合は、心療内科などにセカンドオピニオンを求めてみるといいでしょう。

精神面にあらわれるうつ病の初期症状3点

精神面で見られるうつ病の初期症状として、以下が挙げられます。

  • 気分が沈む:憂鬱で気が晴れない
  • 思考力・集中力の減退:判断力が落ちる、思考がまとまらない
  • 意欲の低下:何もする気になれない

以上の中でも特に注意してほしいのは、3つ目の意欲の低下です。

うつ病になると、それまで楽しめていた趣味や他人に対する関心をすっかり失う場合があります。

これは、普段から趣味がなかったり、あまり行動的でなかったりするタイプの人には気づきにくい点です。

人によっては「疲れているだけだろう」「忙しいから興味を持てないだけだろう」と思って見逃がすこともあります。

感情や欲求だけでなく意欲も減退していないか、自分の心に注意して観察してみましょう。

今まで週末にやっていた何かの遊びや趣味、活動を最近できていない、する気になれないという時は要注意です。

行動面にあらわれるうつ病の初期症状4点

行動面に見られるうつ病の初期症状として、以下が挙げられます。

  • ボーっとすることが増えた
  • 時間を守れなくなった
  • 人との接触を避けるようになった
  • 身だしなみを整えなくなった

以上の点は、自分ひとりではなかなか気づきにくいかもしれません。

特に1つ目と2つ目の症状は、周囲の人がうつ病の初期症状を疑いはじめたときにまず挙げられる症状です。ちなみに、筆者のうつ病経験のある友人は、時間の感覚が狂ったと言っていました。

「ボーっとすることが増えた」せいもあるかもしれませんが、気がつくとあっという間に締め切りや約束の時間になって、慌てて支度を始めるといった感覚です。

結果として遅刻が増えるという現象で自覚されます。

うつ病を疑いはじめたときは、以上のような傾向が最近ないかを身近な人に尋ねてみるといいでしょう。

うつ病のある人が職場でとる行動

うつ病のある人がとる行動は、以下のとおりです。

  • 物忘れやケアレスミスが多くなる
  • 同僚との会話を避けるようになる
  • 遅刻や欠勤が増える
  • 離席が増える
  • 机上が散らかりはじめる
  • 電話の受け答えが緩慢になり沈黙が増える
  • 眠気が強く日中でも朦朧としている
  • 自分を責めるような発言が増える
  • 話し方に抑揚がなくなり声が小さくなる
  • 身だしなみを整えなくなる

うつ病のある人がとる行動については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

仕事でうつ病の初期症状が出たときにすべき7つの対応

うつ病の初期症状は無視してはいけません。

この章では、仕事でうつ病の初期症状が出たときにすべき対応について解説します。

対応①職場に相談する

まずは、職場に相談するのがオススメです。うつ病の初期症状が出ていることや原因と思われることを話してみましょう。

原因が仕事環境によるものであれば、職場に相談すると、仕事の量や人間関係などに関して対処してくれる可能性があります。

職場に相談窓口があればそこへ連絡し、なければ、まず直属の上司に相談してみるのがいいでしょう。

対応②産業医面談を実施する

労働者が希望した場合には、産業医の面談を受けることが可能です。

産業医とは、労働者の健康管理に関して、専門的な立場から助言や指導を行う医師のことです。

労働安全衛生法では、常時50人以上の労働者を使用する事業所に1人以上、3000人超の事業所では2人以上の産業医を選任しなければならないことが定められています。(参考:厚生労働省「産業医について」

以上の条件を満たしていれば、あなたが勤めている職場にも産業医がいるはずです。一度確認してみるといいでしょう。

面談の結果次第では、人事や給与査定に影響が出るのではないかと心配されるかもしれませんが、産業医は中立的な立場から面談を行い、医師としての守秘義務もあるため、会社に開示しないでほしいと伝えた内容の秘密も守られます。

もし、企業側から説明を求められても、守秘義務の観点から共有していいかを原則ご本人に確認することになります。

料金等も発生しません。メンタルに不調を感じるなら、産業医面談を実施するのもひとつの手段です。

対応③職場外の相談窓口に相談する

以下のような理由で、職場に相談しづらい人もいるでしょう。

  • 何を言われるかわからない
  • 信用できる人がいない

そんな場合は、職場外の相談窓口を利用するのがオススメです。

たとえば、厚生労働省が委託している「こころの耳」では、仕事に関する相談やこころの健康に関する相談など、さまざまなケース別で相談窓口を紹介しています。

国が設置している機関であれば安心でしょう。勤務先に相談できないときはこちらを利用してみてください。

参考

こころの耳「相談窓口案内」

対応④医療機関に相談する

医療機関に相談することも大切です。

うつ病の初期症状を自覚した場合や職場に相談先がない場合、職場との提携の対応が自分に合っていないと思う場合、病院に行かずに症状が悪化したと感じた場合などには、ためらわずに医療機関に相談しましょう。

うつ病になると、思考力と判断力が鈍ります。

ご自身ではまだ大丈夫だと思っていても、専門家の目から見るとすぐに治療・療養した方がいいと判断される場合があります。

診断を受けた段階で服薬や休職を提案されたときには、素直に受け入れてみてください。

医師の診断にどうしても納得できなかったり、処方された治療薬を服用することに抵抗があったりする場合は、セカンドオピニオンを求めて別の病院へ行くのもひとつの手です。

当初の医師と違う方針を示された場合には、あなたが安心して治療を進められそうな方に従ってください。

ただし一般論として、セカンドオピニオンでも治療の方針があまり変わらないようなら、多少納得できないところがあっても、当初の方針に従うことをオススメします。

また、代替医療や民間療法ではなく医療機関の治療を受けることも重要です。

相談を検討している機関が正式な医療機関かどうかを確認してから利用するようにしましょう。

対応⑤休職を検討する

職場に相談しても状況が改善されなかったり、医師から休職を提案されたときは、休職を検討してみましょう。

心に余裕がないことが原因でうつ病の初期症状が出ていた場合は、一旦休職して仕事から距離を置くことで改善するケースがあります。

休職する際は、家族へ連絡したり経済面が大丈夫かを確認したりしましょう。

うつ病のある人が休職する際の確認事項については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

対応⑥退職を検討する

うつ病の原因が職場にあって改善の兆しが見えない場合、または復職してすぐにうつ病が再発した場合は、退職を検討するのもひとつの対応です。

パワハラやセクハラ、残業の常態化など原因の根本が職場にある場合は、何度復職してもうつ病は治りません。

しかし、退職は大きな決断になるため、慎重になりましょう。

特に、うつ病を発症している場合、思考力や判断力が低下しているため、退職などのライフイベントに関わる重大な判断はしないことが望ましいとされています。判断を先延ばしにできるのであれば、なるべく先延ばしにしましょう。

うつ病での退職前にすべきことについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

また、うつ病で退職する場合、失業保険を受け取れる可能性があります。

うつ病のある人が失業保険を受給する方法については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

対応⑦転職を検討する

職場が原因でうつ病を発症したが働くことは辞めたくない場合は、転職を検討することも選択肢の一つです。

職場環境が改善したところ、うつ病の初期症状が治まったケースもあります。

うつ病の転職のポイントについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

「うつ病のある人が転職なんてできるの…?」と思われる方もいるかも知れません。そう思った方は、以下のコラムを読んでみてください。うつ病は転職に不利とは限らないことがわかるはずです。

また、40代になってうつ病を発症し、転職を考えている方もいるでしょう。年を重ねてからの転職は不安ですよね。

そんな方は、以下のコラムを読んでみてください。40代での転職のポイントを紹介しています。

うつ病の初期症状が見られたときにできるセルフケア7選

うつ病に限らず、病気のときは適切に医療機関を利用することが大切です。

その上で、うつ病の症状が重症化しないようにできるセルフケアはあります。

この章では、うつ病の初期症状が見られたときにできるセルフケアについて解説します。

セルフケア①生活リズムを整える

うつ病を予防するために最初にしておきたいことは、生活リズムを整えることです。

不眠などの症状が出るとつい二度寝をしたり、夜更かしをしたりして、生活リズムが乱れてしまいます。日中も眠気を感じることが増えるでしょう。

しかし、それによって生活リズムが崩れると、意識が朦朧とした中で仕事をしなくてはならないため、ストレスが倍増します。

睡眠不足を感じた際は、夜間の睡眠を大切にし、短時間の仮眠をとることなどで対処をしましょう。

休むことは大切ですが、「休日は不規則に過ごす」のではなく、休日であってもできるだけ平日と同じ生活リズムを保つようにしてください。

夜更かしをせず、また、必要以上の早起きもせず、毎日規則正しく睡眠時間を確保することを心がけましょう。うまく寝つけない場合には、積極的に医師に相談をしましょう。

セルフケア②散歩や軽い運動をする

2つ目のセルフケアは、散歩や軽い運動をすることです。

運動をすることで、脳の血流が増え、脳神経の回復を促す物質のBDNFや、不安や恐怖感といったうつ病の初期症状を抑える精神伝達物質セロトニンも分泌されるという科学的な根拠があります。(参考: The New York Times「Phys Ed: Why Exercise Makes You Less Anxious」

セロトニンには、精神を落ちつかせるだけでなく、痛みをやわらげる効果もあります。

特に日光を浴びながら身体を動かせば目も覚めて、生活リズムも整ってくるでしょう。

具体的な運動メニューとしては以下の3つがオススメです。

  • 近所を散歩する
  • 縄跳び
  • スクワット

以上を行うことで、血流がよくなり、頭が冴えてくるというメリットも期待できます。

不安や緊張などが強い時には、ぜひ散歩や軽い運動を取り入れてみてください。

セルフケア③身近な友達や家族に悩みを話す

セルフケアの3点目は、「身近な友達や家族に悩みを話す」です。

うつ病の初期症状のひとつとして、人と話すのが面倒になるというものがあります。

その状態を維持していると、コミュニケーションがますます苦手になり、人と話しづらくなるという悪循環に陥るおそれがあります。

とはいえ、初対面の人といきなり話をするというのは難しいものです。

そこで、仲のいい身近な友達や家族に悩みを打ち明けて相談に乗ってもらうといいでしょう。

信頼できる人に話してみることで、自分の感情や考えを俯瞰的に見られるようになります。

悩みの解決法が具体的に見つかったり、話すだけで気が楽になったり、悩みが大したことではないと気づいたりして、初期症状が緩和される場合があるのです。

また、声を出すことで、身体があたたまると同時に自然と呼吸が深くなってくるので、心を落ちつけられるという効果があります。

ひとりで抱え込まずに、身近な友人や家族にご自身の状態について相談してみてください。

もし、身近な人に話すことに抵抗がある場合はカウンセリングなどを使ってみるのも1つの手です。

セルフケア④日光浴をする

日光浴をするというのも、セルフケアとして有効な手段です。意識的に日光を浴びる時間を増やすようにしましょう。

例えば、近年話題にのぼるうつ病の一種として、冬季うつと呼ばれるものがあります。

冬季うつは季節性情動障害(SAD)の一種で、秋から冬にかけて抑うつ状態が続くのが特徴です。

要因としては、体内時計が狂う概日リズム障害のような状態が生じたりすることや、根底にある問題として、季節変化に伴う日照時間の減少で、セロトニンの分泌が低下することが考えられています。

この冬季うつ対策としては、日光浴のような光療法が有効と考えられています。

特に女性は男性の3倍近くかかりやすいと言われていますので、日に当たる時間が少なくなっていないか注意が必要です。(参考:Royal College of Psychiatrists「季節性感情障害(SAD)」

セルフケア⑤お風呂に浸かる時間を増やす

5点目は、「お風呂に浸かる時間を増やす」というものです。

湯船に浸かって体温を上げることで、不安や恐怖心を和らげることができます。

また、血流が良くなり酸素が頭をめぐるようになることで、うつ病の初期症状として見られがちな「ボーっとする」感覚を軽減する効果もあります。

セルフケア⑥一日にあったことを紙に書きだす

うつ病の初期症状で悩んでいる人は、その日にあったことをぜひ紙に書きだしてみてください。

うつ病になる人は、自分が具体的に何にストレスを感じているのかを理解していないことがあります。

ストレス源がわかっていれば対処が可能ですが、それが認識できていないために行き詰まることが起こり得ます。

一日にあったことを紙に書きだすことで、自分が何にストレスを感じたのかを把握できるようになります。

医療機関からも治療の一環として日記を書くことを勧められることがあり、一日の出来事を紙に書きだすことは、うつ病対策として有効な手段のひとつです。

抑うつ感にお悩みの場合は、その日に起こった出来事や思ったことを紙に書きだして頭の中を整理してみるとよいでしょう。

セルフケア⑦ストレス源から離れる

疲れているときは、「ストレス源から離れる」ことが大切です。

うつ病の初期症状を感じている人は、自責感もあいまって「問題と向き合わないと」と気負うことがあります。

しかし、常に自分を追い込んでいると、どうしても心身ともに疲れてくる場面が出てくるものです。

そうした事態を避けるためにも、ストレス源から距離を置くという選択肢を持っておくといいでしょう。

具体的な方法のひとつに、有給休暇を繋げて休養をとることが挙げられます。

まとまった休暇が取れないようであれば、煩わしさを感じる人間関係から少し距離を取ってみるだけでもかまいません。

本当に疲れ切る前に、ストレス源から離れる方法はないかを考えてみましょう。

うつ病の初期症状に関する2つの事例

風邪であれば、初期症状としてのどの痛みや鼻づまりが出てきても、「これくらいなら大丈夫か」と放っておくうちに治ることもあるでしょう。

しかし、うつ病の初期症状が疑われるときには、無視してはいけません。適切な治療を受ける必要があります。

また、受診することで、「うつ病ではないけれど、別の病気や障害があった」ということに気づける場合もあります。

この章では、うつ病の初期症状に関する2つの事例を紹介します。

事例①初期症状を見過ごしたことで重篤化したケース

事例の1つ目は、初期症状を見過ごしたことでうつ病が重篤化した、Aさんのケースです。

Aさんがうつ病になったのは、オーバーワーク(過労)の結果でした。

初期症状として、書類整理ができなくなったり、電話応答時にうまく言葉が出てこなかったり、という現象があらわれていました。

ですが、「忙しくて疲れているのだろう」「通常の疲労の範囲だろう」と判断して、まとまった休みをとることもなく仕事を続けていたのです。

しかしあるときに、朝起きると身体を動かすことができないほどに疲れ切っていることに気づきました。

少し休暇を取ったのですが、この段階までくると、休みを取った後ですら意欲が枯渇して、掃除洗濯といった日常生活にまで支障をきたすようになっていました。

もはや、トイレや入浴すら面倒になるほどです。結果として、1年近くの休職を余儀なくされました。

仕事などの社会生活に支障をきたしはじめる前の段階で対処しないと、Aさんのように日常生活にも問題が起きて回復までに時間がかかる場合があります。

逆に言うと、うつ病は初期症状が見られた時点で早めに対処することで、回復も早めになります。

事例②うつ病の初期症状ではなく発達障害だったケース

例の2つ目として紹介したいのが、うつ病の初期症状だと思っていたら実は発達障害だったというBさんのケースです。

ADHD(注意欠如・多動性障害)の症状の代表例として以下のようなものがあります。(参考:田中康雄『大人のAD/HD』

  • 忘れ物やミスが多い
  • 時間が守れずに遅刻する
  • 整理整頓が苦手で物をなくしやすい

うつ病の初期症状に似たものがあると、わかるかと思います。

Bさんは、ミスや紛失、遅刻などがあまりにも続くためうつ病を疑って病院に行きましたが、その際に受けた診断結果ではじめて自分がADHD(注意欠如・多動性障害)だということに気づいたのです。

その人はご自身の障害を理解した上で仕事の進め方を工夫したり、同僚にADHD(注意欠如・多動性障害)を開示することで配慮を受けたりすることで、問題解決に至りました。

以上のように、うつ病の初期症状だと思っていたら、実は発達障害の性質のひとつだったというケースもあるのです。

自己判断で「自分はうつ病になりかかっている」と決めつけて対応せず、適切に医療機関を頼ったことで「自分に合った対応」が見つかりました。

うつ病の初期症状のある人が利用できる支援機関5選

この章では、うつ病の初期症状のある人が利用できる支援機関を紹介します。

支援機関①就労移行支援事業所

就労移行支援事業所とは、一般企業などへの就職を目指す病気や障害のある人に向けて、就職のサポートをする支援機関のことです。体調管理の方法、職場でのコミュニケーションの基礎スキル、就職に必要な専門スキルなどを学ぶことができ、実際の就職活動でのアドバイス、就職後の職場定着支援も含む、総合的な就労支援を受けることが可能です。

就労移行支援は、障害者総合支援法に基づいて行われる福祉サービスです。実際のサービスは、国の基準を満たしたさまざまな民間の就労移行支援事業所が行います。(参考:e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」

私たち、キズキビジネスカレッジ(KBC)もその一つです。新宿・横浜・大阪に校舎があり、通える範囲にお住まいであれば、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。

支援機関②ハローワーク

ハローワーク(公共職業安定所)とは、仕事を探している人や求人を募集したい事業者に対して、就労に関連するさまざまなサービスを無償で提供する、厚生労働省が運営する支援機関のことです。正式名称は公共職業安定所で、職安と呼ぶ人もいます。

主に職業相談や職業訓練、求人情報の提示などを行っており、具体的な支援内容は事業所によって異なりますが、一般的には以下のような幅広いサポートを行います。

全国に500ヶ所以上あり、主に職業相談や職業訓練、求人情報の提示、雇用保険や雇用対策など、地域密着型の雇用に関する幅広いサポートを行います。

また、病気や障害のある人に向けたサポートも行っています。障害者手帳を所持していない人でも、医師による診断書があれば、障害の特性や希望職種に応じた職業相談や履歴書や面接での病気・障害の伝え方などのサポートを受けることができます。

支援機関③地域障害者職業センター

地域障害者職業センターとは、病気や障害のある人に対して、職業評価や職業指導、職業準備訓練、職場適応援助などの専門的な職業リハビリテーションを提供する支援機関のことです。(参考:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「地域障害者職業センター」、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「地域障害者職業センターによる支援」、厚生労働省「地域障害者職業センターの概要」

独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営しており、障害者雇用促進法に基づいて、全国47都道府県に設置されています。(参考:厚生労働省「障害者の雇用の促進等に関する法律」

ハローワークや医療・福祉機関と連携しているため、仕事に関する相談や訓練、復職するためのサポートを行っています。

病気や障害に悩む当事者だけでなく、障害のある人を雇用する事業所に対して、雇用管理に関する相談・援助も行っています。

支援機関④障害者就労・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターとは、雇用や保健、福祉、教育に関する関係機関と連携し、障害のある人の雇用の促進・安定を目的とした一体的な支援を行っている支援機関のことです。(参考:厚生労働省「障害者就業・生活支援センター」、厚生労働省「障害者就業・生活支援センターについて」、厚生労働省「障害者の雇用の促進等に関する法律」、厚生労働省「障害者就業・生活支援センターの指定と運営等について」

障害のある人の就職活動の支援や求人の紹介、職場定着のためのサポートなどを行います。

就業面だけでなく、金銭管理などの経済面や生活面のことまで、日常および地域生活に関する支援も行っています。

生活習慣や金銭管理、健康管理などについても幅広く相談できるため、生活面のサポートも受けたい人にオススメです。

2024年4月1日時点で、障害者就業・生活支援センターは全国に337箇所設置されています。

支援機関⑤精神保健福祉センター

精神保健福祉センターとは、精神障害のある人のサポートを目的とした、地域の精神保健福祉の中核を担う支援機関のことです。(参考:東京都福祉保健局「精神保健福祉センターとは」、e-Gov法令検索「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」

精神保健福祉法(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)に基づき、各都道府県に設置されています。地域によって、こころの健康センターや心と体の相談センターなど、一部名称が異なります。

精神保健福祉センターでは、精神疾患に関連する悩みの相談や社会に適応するための指導と援助を行っています。

精神障害による症状で悩んでいる本人だけでなく、ご家族や周囲の人の相談も受け付けています。また、匿名での相談も受け付けています。医師から正式な診断を受けていなくても相談は可能です。

詳しくは、お住まいの自治体の精神保健福祉センターにお問い合わせください。

うつ病とは?

うつ病とは、気分の落ち込みや憂うつ感、さまざまな意欲の低下などの精神的症状と、不眠、食欲の低下、疲労感などの身体的症状が一定期間持続することで、日常生活に大きな支障が生じる精神障害・気分障害のことです。(参考:American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、厚生労働省「1 うつ病とは:」、厚生労働省「うつ病に関してまとめたページ」、、厚生労働省「うつ病」、国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所「うつ病」、株式会社メディカルノート「うつ病について」、MSDマニュアルプロフェッショナル版「抑うつ症候群」

また、脳の機能が低下している状態、脳のエネルギーが欠乏した状態を指し、脳の中で神経細胞間のさまざまな情報の伝達を担うセロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンなどの神経伝達物質のバランスの乱れや、感情や意欲を司る脳の働きに何らかの不調が生じているものと考えられています。

うつ病の概要や症状、治療方法などについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

まとめ:うつ病は初期症状の段階で対処しましょう

うつ病は、初期症状を自覚しはじめた段階で対処することが大切です。

自分がうつ病になっていることを認めたくないと思う気持ちもあるかもしれません。しかし、やせ我慢を続けていると無理がたたって起きあがることすらできなくなる場合があるのです。

初期症状の段階でセルフケアをしたり、医療機関で診察を受けたり、周囲の人に頼ったりすることができれば、あらかじめ対策できます。安心してください。

このコラムが、仕事の場でうつ病の初期症状に悩んでいるあなたの助けになれば幸いです。

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よくある質問(1)

うつ病による身体面の初期症状を教えてください。

以下が考えられます。

  • 睡眠障害:寝付けない、何度も目が覚める
  • 慢性疲労:だるい、身体が重い
  • めまいや動悸:目が回る、呼吸が苦しい
  • 食欲の減退:ご飯を食べる気が起きない
  • 性欲の減退:性的なものへの興味が減る
  • 身体の痛み:原因不明の頭痛や腹痛がある

詳細については、こちらで解説しています。

よくある質問(2)

うつ病のあるができるセルフケアを知りたいです。

以下が考えられます。

  • 生活リズムを整える
  • 散歩や軽い運動をする
  • 身近な友達や家族に悩みを話す
  • 日光浴をする
  • お風呂に浸かる時間を増やす
  • 一日にあったことを紙に書きだす
  • ストレス源から離れる

詳細については、こちらで解説しています。

監修志村哲祥

しむら・あきよし。
医師・医学博士・精神保健指定医・認定産業医。東京医科大学精神医学分野睡眠健康研究ユニットリーダー 兼任准教授、株式会社こどもみらいR&D統括。 臨床医として精神科疾患や睡眠障害の治療を行い、また、多くの企業の産業医を務める。大学では睡眠・精神・公衆衛生の研究を行っており、概日リズムと生産性、生活習慣と睡眠、職域や学校での睡眠指導による生産性の改善等の研究の第一人者。

【著書など(一部)】
子どもの睡眠ガイドブック(朝倉書店)』『プライマリ・ケア医のための睡眠障害-スクリーニングと治療・連携(南山堂)』
他、学術論文多数

日経新聞の執筆・インタビュー記事一覧
時事メディカルインタビュー「在宅で心身ストレス軽減~働き方を見直す契機に」

監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。

【著書ピックアップ】
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』

Amazon
翔泳社公式 【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)

【その他著書など(一部)】
学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧

【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

監修角南百合子

すなみ・ゆりこ。
臨床心理士/公認心理師/株式会社こどもみらい

サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)

うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。2024年10月現在、首都圏・関西に6校舎を展開しています。トップページはこちら→

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