「うつ病は甘え」ではない! 勘違いされやすいうつ病の症状を解説 | キズキビジネスカレッジ  

「うつ病は甘え」ではない! 勘違いされやすいうつ病の症状を解説

こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。

あなたは、「うつ病は甘え」という考えに苦しんではいませんか?

「うつ病は甘え」という言葉は、現在でも至るところで耳にしますが、うつ病は病気です。正しい知識に基づいて、治療に取り組んでください。

一方で、知識がなければ、うつ病の症状の一部を甘えと混同しやすいのも事実です。

このコラムでは、「うつ病は甘え」と考える人に勘違いされやすいうつ病の症状や「うつ病は甘え」という考えの問題点、対処法について解説します。

実際にうつ病を経験した筆者の体験を交えつつ、「うつ病は甘えではない」ということを詳しくみていきましょう。

うつ病に悩んでいる人だけでなく、ご家族やご友人がうつ病であるという人も、ぜひご一読ください。

私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、うつ病のある人のための就労移行支援事業所です。

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「うつ病は甘え」ではない

この章では、「うつ病は甘え」ではないということについて解説します。

「うつ病は甘え」と言う考えは誤り

まず結論から言うと、「うつ病は甘え」という考えは誤りです。うつ病は甘えではなく、適切な治療が必要な病気です。

うつ病の認知度が高まってきた現在でも、「うつ病は甘え」「うつ病と言って逃げているだけだ」という言葉はあらゆる場面で聞かれます。

実際、筆者がうつ病で休職をした際にも、家族や親類の一部から「怠けているだけ」「働かなくてはならない状況になったらどうせ働くだろう」というような言葉を投げかけられたことがありました。

もしかしたらうつ病のあるあなたも、そんな経験をしたことがあるかもしれません。

特に、理解者だと思っていた家族や友人などの周囲の人から、そういった言葉や根拠のない励ましを投げかけられると、余計に負担に感じるものです。

一般的に、「甘えとは何か」「どういう状態が甘えか」の判断基準は人によって異なります。「甘えかどうか」という目に見えない心理状態について、何かを断言できる知見を備えている人は少ないはずです。

「うつ病は甘え」と考える人がいる理由

本人がうつ病の症状でつらい状態にあっても、周囲からはそう見えないことがあります。

筆者の経験上、「うつ病は甘え」だという考えを持つ人の多くは、うつ病への理解がなく、そもそも「うつ病は病気ではない」と思い込んでいる傾向があります。

しかし、もし、病気でないとしたら、何のために医師は時間を掛けて診察をしてうつ病という診断を下すのでしょうか?

「うつ病は病気でない」と考えること自体が、医学的な知識がない証拠です。

うつ病と診断されたらまずは休養すること

うつ病であるという診断は、心が休養のサインを出している状態なのにもかかわらず、「甘えているだけだ」とうつ病であることを認めず、自分自身に無理を強いる当事者にストップを掛けてくれます。

医師からうつ病という診断が下りている以上は、甘えかどうかと悩む必要はありません。まずは、ゆっくりと休養することが大切です。

それでも「うつ病は甘え」という考えがつきまとうのであれば、うつ病について正しい知識を得たうえで、どのような症状が「甘え」と勘違いされやすいのかを知って、対処法を考えることをオススメします。

「うつ病は甘え」と言われたときの対処法はこちらで解説します。

うつ病のある人の最新の状況

厚生労働省によると2022年時点で、うつ病などの精神疾患のある人は約263万1000人いるそうです。(参考:厚生労働省「令和4年国民生活基礎調査」

さらに、2020年以降のコロナ禍による生活様式の変化が、精神に大きな負担をかけていることも指摘されています。(参考:日本うつ病学会「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行下における、こころの健康維持のコツ(日本語翻訳版)」

また、うつ病を含む気分障害の患者数は、以下のように推移しています。(参考:厚生労働省「患者調査」

うつ病を含む気分障害の患者数の推移
  • 2011年:約95万8000人
  • 2014年:約111万6000人
  • 2017年:約127万6000人
  • 2020年:約172万1000人

うつ病の患者数は年々増えていますが、特に2017年から2020年の間では、患者数が約45万人も増加しています。

コロナ禍による社会の変化は、こころの健康にも大きな影響を及ぼしたと言えるでしょう。

「うつ病は甘え」と勘違いされやすい2種類の抑うつ

うつ病にはさまざまな症状がありますが、どのような状態が甘えと勘違いされやすいのでしょうか?

この章では、抑うつ気分を伴ううつ病性障害の中で、甘えと勘違いされやすいものについて解説します。(参考:多田幸司『非定型うつ病とパーソナリティ』、アメリカ精神医学会『DSM-Ⅳ 精神障害の診断と統計マニュアル』、厚生労働省『いわゆる新型うつの理解と対策は?|こころの耳』、松﨑博光『新版 マジメすぎて、苦しい人たち:私も、適応障害かもしれない…』

前提:抑うつ気分を伴ううつ病性障害とは?

抑うつ気分を伴ううつ病性障害とは、情緒面が大きく変動する気分障害のなかでも、憂うつ感といった気分の落ち込みがメインの症状になる疾患のことです。

主な症状としては、うつ病のような抑うつ気分が挙げられますが、実際は別の疾患だったという場合も少なくありません。

種類①非定型うつ病

非定型うつ病は、うつ病性障害の一種です。ただし楽しい出来事があれば、抑うつ気分はすぐに改善されます。

非定型うつ病は、それまで一般に認知されてきた定型うつ病とは異なるものとして、アメリカ精神医学会が定めた精神障害の診察基準『DSM』の第4版にて、定義されるようになりました。

非定型うつ病の特徴としては、以下のようなものが挙げられます。

  • 気分の反応性
  • 著しい体重増加、食欲増進
  • 過眠
  • 鉛様麻痺(手足が重く感じられる)
  • 人間関係を損なうほど長期にわたる拒絶過敏性

一番の特徴は、楽しいことが起こったときには明るい気持ちになるという気分の反応性です。

一般に知られている定型うつ病が、楽しい出来事に関わらず常に気分が落ち込んでいるのに対し、非定型うつ病は場合によっては気分が明るくなるので、甘えと勘違いされることが多いのです。

とはいえ、定型うつか非定型うつかを実際に判断するのには専門的な知識が必要です。気分反応性を感じる人は、かかりつけの医師に確認してみるとよいでしょう。

種類②適応障害

適応障害とは、仕事や職場の人間関係などから生じる特定可能な明確な心理的・社会的ストレスを原因に、心身がうまく対応できず、情緒面の症状や行動面の症状、身体的症状が現れることで、社会生活が著しく困難になっている状態のことです。(参考:アメリカ精神医学会『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、松﨑博光『新版 マジメすぎて、苦しい人たち:私も、適応障害かもしれない…』、新橋スリープ・メンタルクリニック「ストレス性障害(適応障害)」、大阪メンタルクリニック「適応障害」、こころ診療所「適応障害の治し方6つ」

適応障害は、発症した原因から離れることで、病状はよくなっていきます。職場では調子が悪く、やる気がまったく出ないのに、家に帰ると元気で、趣味に熱中して取り組めるということが往々にしてあります。こうした症状の現れ方から、甘えていると勘違いされやすく、理解されづらいこともあります。

適応障害については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

補足:新型うつ

近年、各種メディアにて、新型うつというものが話題になることがあります。

前提として、新型うつは、正式な病気・病名・医学用語ではありません。メディアやマスコミで使用されるようになった俗語が、一般的に定着した呼称です。

主にリーマンショック以降の不況の中で、職場環境の変動によって職場不適応を起こし、休職に入る会社員が増えたことを受けて、メディアやマスコミで使われるようになったマスコミ用語です。

正式な病気ではないため、新型うつという言葉には定義もありません。一般的には、主に以下の4つの特徴があるとされています。(参考:徳島大学総合科学部 人間科学研究「「新型うつ」の特徴と現状に関する文献レビューと今後の研究の展望」

  • シチュエーションによって気分の浮き沈みがある(例:職場では低調だが休日は元気)
  • 若い人が発症しやすい
  • 他責的思考(なんらかの問題の原因を他者や周囲の環境などのせいにする考え方)
  • 抗うつ薬が効きづらい

以上のとおり、新型うつといわれるような症状は、甘えと誤解されやすい特徴を持っています。休日や趣味の時間は元気になることも多いことから、「サボっているだけ」と誤解されることも多いことが問題となっています。

ストレスクリニックの院長である松﨑博光氏は、新型うつとされる状態の原因の多くは環境への不適応だと指摘しています。つまり、多くの場合で適応障害の可能性があると考えられるということです。

新型うつ自体は正式な病気ではないため、医師から新型うつと診断されることはありません。心身に不調があるようでしたら、病院に行って診察を受けましょう。

「うつ病は甘え」と考える人に勘違いされやすいうつ病の症状5点

この章では、「うつ病は甘え」と考える人に勘違いされやすいうつ病の症状について解説します。(参考:厚生労働省「うつ病とは:ご存知ですか?」、五十嵐良雄『うつ病・躁うつ病で「休職」「復職」した人の気持ちがわかる本』

前提:うつ病の診断は医師だけが可能

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うつ病の診断は医師だけが可能です。

うつ病の症状があると自分で思っている場合でも、必ずしも、うつ病であるとは限りません。

自己判断で「自分はうつ病だ」と判断すると、正しい治療が受けられなくなる危険があります。

心身の状況に不安があるときは、適切な治療を受けるために医療機関に行きましょう。

うつ病の治療は、早期発見・早期治療を前提に、しっかり病院に通うことが大切です。

すでに病院に通われている場合、かかりつけの医師の方針に従いましょう。必要に応じて、別の病院でセカンドオピニオンを求めることも有効です。

また、うつ病を完全に回復させるまでにはある程度の期間を要します。回復すれば何も気にしなくていいというものではなく、症状が改善した後も、治療を継続し、注意を続ける必要がある病気です。

あなたが、うつ病と思われる症状に悩んでいる場合、それらの症状との長期的な付き合い方を学んでいくというスタンスで取り組まれることをオススメします。

症状①やる気はあるのに、体が重くて動けない

甘えと勘違いされやすいうつ病の症状の1つ目は、体が重くて動けないことです。

うつ病になると、特に肉体的疲労が溜まるようなことをしていないのに、体が重くて動かなくなるように感じられます。

眠いわけでもないのに起床することができず、目は覚めていてもぼうっと天井を見上げているしかないという状態が続くことがあります。

しかし、これはうつ病の当事者でないと体感的にわからない症状です。そのため、「うつ病は甘え」と考えている人には、ただ怠けているだけに思われやすいのです。

このコラムをお読みの人の中には、ご家族や友人などの周囲の人がうつ病で悩みを抱えているという人もいるかもしれません。

もし、うつ病に悩む人がなかなか起き上がらなくても、症状の一種だとご理解ください。

症状②がんばりたいのに、意欲が湧かない

甘えと勘違いされやすいうつ病の症状の2つ目は、意欲が湧かないことです。

うつ病になると、趣味や好きなことをするのも面倒になります。

ましてや、普段進んでやりたくないようなことに対しては、一切意欲が湧かない状態になります。

家事全般から入浴といった日常動作も含め、どんなことにも行動意欲を示せなくなり、周囲の人から怠惰だと誤解されるのです。

症状③ネガティブな考えがつきまとう

甘えと勘違いされやすいうつ病の症状の3つ目は、ネガティブな考えがつきまとうことです。

特に仕事のミスによる叱責など、失敗をきっかけにうつ病になった人は、ネガティブな考えに支配されやすい傾向があります。

こうした場合、仮に行動意欲が湧いていたとしても、「どうせまた失敗するから意味がない」と消極的になりがちです。

筆者にも経験がありますが、ネガティブな考えを口にすると、「前向きになれ」などと言って励まそうとする人がいます。

そう励ます人は善意で言っているのかもしれませんが、うつ病のある人はネガティブになりたくてなっているのではありません。これは、うつ病の症状の一種です。

前向きになれない自分に自己嫌悪を覚えている人もいるでしょう。周囲の人は、当事者がネガティブな考えを述べたときには、そっと見守るようにしてあげてください。

症状④頑張るとすぐに疲れてしまう

甘えと勘違いされやすいうつ病の症状の4点目は、頑張るとすぐに疲れてしまうことです。

うつ病の症状の1つとして易疲労性(いひろうせい)、つまり通常よりも疲れやすくなることがあります。

うつ病になった初期は、エネルギーが枯渇しているため、もはや頑張ること自体ができません。

それでも少し回復してくると、以前と同じように物事に取り組もうという気分になってきます。しかし、なにかをはじめようとすると、体がすぐに疲れ、思うように動けないことがあるのです。

これは、うつ病の初期に寝込んでいたことによる体力低下が原因の場合もあれば、まだ精神的に療養が必要であったという場合もあります。

こうした状況は、元気になりかけたタイミングで発生しやすいため、周囲の人から「もう治ったはずなのに、寝込んでいるのは甘えだ」と誤解されるのです。

症状⑤食欲が減退しても食べることはできる

食欲が減退しても食べることはできるという点も、甘えと勘違いされやすいうつ病の症状の一つです。

うつ病になると、食欲が減退したり過食したりして、体重が変化することが多いと言われています。

とは言え、食べること自体はできるため、人によっては「食べられるなら元気なはずだ」と思われるのです。

しかし、うつ病のある人の中には、食べたくなくても頑張って食べている人もいます。

傍目には食欲が減退しているように見えなくても、調子がよいわけではないことを覚えておきましょう。

症状⑥プレッシャーさえなければ元気なときもある

最後に、甘えと勘違いされやすい症状として、プレッシャーさえなければ元気なときもあるという点が挙げられます。

これは、うつ病というよりは適応障害に見られる症状です。実際は適応障害なのにうつ病だと誤診されている場合、こうした状況になりやすくなります。

繰り返しになりますが、特定可能な明確な心理的・社会的ストレスを原因に、心身がうまく対応できなくなる病気です。ストレス因子から距離を取れば、基本的には快方に向かいます。

また、特別な原因がないのに長期間に渡って落ち込みが続くうつ病であっても、その日の体調や治療の程度によっては、元気に過ごせるときもあります。

そのため、すぐに元気になったから甘えに過ぎないと判断し、当事者を元の環境へ戻そうとすると、また調子を崩すことになりかねません。

回復を焦らず、医師と相談しながら、経過観察をしていきましょう。

「うつ病は甘え」という考えの3つの問題点

この章では、「うつ病は甘え」という考えの問題点について解説します。

いずれの問題点に共通するのは、復帰に向けて頑張っている当事者に悪影響を与えかねないという点です。

これはうつ病を経験した筆者自身が感じたことでもあります。症状だけでなく、「自分は甘えているのではないか」という疑念とも闘わねばならなくなると、当事者は相当に苦しい思いをすることになります。

ご本人だけでなく周囲にいる人も、これらの問題点について、ぜひ一緒に考えてみてください。

問題点①当事者の自己肯定感を奪う

1つ目の問題点は、当事者の自己肯定感を奪う点です。

うつ病のある人が寝込んだりネガティブな考え方をしたりするのは、それらが症状の一種だからです。

やむを得ずそうした状態になっているにも関わらず、甘えだと決めつけることは、ただでさえ低下している当事者の自己肯定感をさらに奪うことになりかねません。

自分の症状をわかってもらえないことで、精神的に孤立することになるのです。

自己肯定感については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

問題点②対人関係への不安を植えつける

2つ目の問題点は、対人関係への不安を植えつける点です。

これは筆者自身が感じたことでもあります。周囲の人から「うつ病は甘え」という考えを感じ取ると、萎縮して思うように話せなくなります。

そうなると、「ほかの人も自分が休んでいるのは甘えだと思っているかもしれない」と疑心暗鬼に駆られる場合があります。

こうした対人関係への不安から、うつ病からの復帰に希望を抱けなくなることもあるでしょう。

周囲の人は、たとえ甘えだと思っていないとしても、「うつ病は甘え」だという考えに繋がりかねない言動はしないよう、できる限り配慮するようにしてください。

問題点③治療に専念できずにうつ病を悪化させる

「うつ病は甘え」という考えの一番の問題点は、治療に専念できずにうつ病を悪化させる点です。

こちらで解説したとおり、当事者が「自分は甘えている」と思い込み、まだ回復しきっていないのに無理をする場合があります。

中には、甘えだと思われるストレスと無理をするストレスを天秤に掛けて、それなら一刻も早く復帰した方がよいと、焦りを感じることもありえます。

こうした自分自身へのプレッシャーは、うつ病の治療を遅らせるだけでなく、悪化に繋がりかねません。

治療に専念してうつ病を治すためにも、医師にきちんと診断してもらった上で、「うつ病は甘え」という考えに惑わされないことが大切です。

「うつ病は甘え」と言われたときの2つの対処法

「うつ病は甘え」ではないとわかっていても、やはり嫌なことを言われると傷つくものです。

特に、周囲の人からの理解を得られなかったり、関係の薄い人に「うつ病は甘え」と言われたりすると、精神的に大きなダメージを受けます。

この章では、「うつ病は甘え」と言われたときの対処法について解説します。

対処法①専門家や支援機関に相談する

1つ目の対処法は、専門家や支援機関に相談することです。この方法は、家族や友人などの周囲の人から、善意による励ましや叱責を受けたときに有効です。

周囲の人に「うつ病は甘え」「もっとがんばれるはず」などと言われるとうつ病のある人は自分を責めたり、反発を覚えて拒絶したりします。

しかし、うつ病の知識がない人にはその態度の理由がわからず、「あの人はうつ病を治す気がない」などと、さらなる誤解を生む結果になるのです。

うつ病は、身体的な病気やケガと違い、目に見える負傷部分がないため、相手の状況を正しく判断できず、「いまはただ気分が落ち込んでいるだけ」「甘えているだけ」と軽く考える人もいるのです。

また、長引く不調に焦るあまり、回復を急がせようとして無責任な言葉をかける人もいます。

いずれも悪意がない分、考えを改めさせることが難しく、うつ病のある人にとっては新たな負担となりがちです。

そんなときは自分で解決しようとせず、専門家や支援機関の力を借りましょう。

家族であれば、通院に付き添ってもらい、医師から直接説明してもらうのがよいでしょう。友人であれば、うつ病のことをわかりやすく説明した本や動画などを紹介し、正しい知識をつけてもらってください。

また、職場や学校などの関係者には診断書を見せ、症状について簡単に説明する程度でもよいでしょう。

それでも考えを改めない人は、治療の妨げとなりますので、あなた自身のためにもしばらく距離を置きましょう。

対処法②関わらない

2つ目の対処法は、関わらないです。

これは、関係が浅く、丁寧に接する必要のない人に向けた対処法です。

「うつ病になった」と聞くと、興味本位にあれこれ口出しをしたがる人がいるものです。

「昔はそんな病気はなかった」などの言葉は、あなたのことを心配しているからではなく、特に意味のない発言だったり、自分が優位に立っていると勘違いした発言だったりします。そんな言葉をまともに受け止める必要はありませんし、関わる必要もありません。

とはいえ、こちらが相手にしないと決めても、しつこく絡んでくる人もいます。

どうしてもうまく距離を取れない相手であれば、親や学校の先生、職場の上司など、立場が上の人に仲介してもらうことも重要です。

繰り返しになりますが、うつ病は病気です。治療のためには医師の診断と通院が必要です。

素人が思いつきであれこれ言うことを、真に受けないようにしましょう。また、相手に悪いと思う必要もありません。きっぱりと拒絶し、「迷惑だ」と感じてよいのです。

うつ病とは?

うつ病とは、気分の落ち込みや憂うつ感、さまざまな意欲の低下などの精神的症状と、不眠、食欲の低下、疲労感などの身体的症状が一定期間持続することで、日常生活に大きな支障が生じる精神障害・気分障害のことです。(参考:American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、厚生労働省「1 うつ病とは:」、厚生労働省「うつ病に関してまとめたページ」、、厚生労働省「うつ病」、国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所「うつ病」、株式会社メディカルノート「うつ病について」、MSDマニュアルプロフェッショナル版「抑うつ症候群」

また、脳の機能が低下している状態、脳のエネルギーが欠乏した状態を指し、脳の中で神経細胞間のさまざまな情報の伝達を担うセロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンなどの神経伝達物質のバランスの乱れや、感情や意欲を司る脳の働きに何らかの不調が生じているものと考えられています。

うつ病の概要や症状、治療方法などについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

まとめ:「うつ病は甘え」ではありません

「うつ病は甘え」という考えに悩まないためには、まず医師の診断を受け、アドバイスに沿った治療を進めていくことが大切です。

「うつ病は甘え」ではありません。うつ病と診断されたのであれば、安心して治療に取り組んでください。

それでも周囲の人の理解を得られない場合は、カウンセリングなどの場に同席してもらうのもよいでしょう。どうしても理解してくれない人とは、距離を置くことも必要です。

このコラムを読んだ「うつ病は甘え」という誤解にお悩みのあなたが、少しでも楽になれば幸いです。

よくある質問(1)

うつ病は甘えなのでしょうか?

「うつ病は甘え」という考えは誤りです。うつ病は甘えではなく、治療が必要な病気です。

詳細については、こちらで解説しています。

よくある質問(2)

うつ病の症状を教えてください。

以下が考えられます。

  • やる気はあるのに、体が重くて動けない
  • がんばりたいのに、意欲が湧かない
  • ネガティブな考えがつきまとう
  • 頑張るとすぐに疲れてしまう
  • 食欲が減退しても食べることはできる
  • プレッシャーさえなければ元気なときもある

詳細については、こちらで解説しています。

監修志村哲祥

しむら・あきよし。
医師・医学博士・精神保健指定医・認定産業医。東京医科大学精神医学分野睡眠健康研究ユニットリーダー 兼任准教授、株式会社こどもみらいR&D統括。 臨床医として精神科疾患や睡眠障害の治療を行い、また、多くの企業の産業医を務める。大学では睡眠・精神・公衆衛生の研究を行っており、概日リズムと生産性、生活習慣と睡眠、職域や学校での睡眠指導による生産性の改善等の研究の第一人者。

【著書など(一部)】
子どもの睡眠ガイドブック(朝倉書店)』『プライマリ・ケア医のための睡眠障害-スクリーニングと治療・連携(南山堂)』
他、学術論文多数

日経新聞の執筆・インタビュー記事一覧
時事メディカルインタビュー「在宅で心身ストレス軽減~働き方を見直す契機に」

監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。

【著書ピックアップ】
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』

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翔泳社公式 【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)

【その他著書など(一部)】
学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧

【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

監修角南百合子

すなみ・ゆりこ。
臨床心理士/公認心理師/株式会社こどもみらい

サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)

うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。2024年10月現在、首都圏・関西に6校舎を展開しています。トップページはこちら→

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