うつ病のある人に向いてるアルバイト 探す方法や注意点を解説
こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。
うつ病のある、あるいはうつ病の経験があるあなたは、「少しずつなら働けるかも」と思いながら仕事を探しているのではないでしょうか?
仕事をするということは、金銭を得るだけでなく社会と関わっているという気持ちの面でも重要ですよね。とはいえ、心身の状態によっては複雑な作業や人間関係の構築がなかなか難しいのが、うつ病の悩ましいところです。
仕事の中でも、アルバイトという選択肢なら、少しずつ仕事に慣れていくことがしやすいはずです。
このコラムでは、うつ病のある人、うつ病の経験がある人に向けて、うつ病のある人がアルバイトする際の大前提、向いてるアルバイト、アルバイトを探す方法、アルバイトをする上での注意点について解説します。
「これならできるかも!」「この探し方なら見つかるかも」という手助けになれば幸いです。
アルバイトに限らず、うつ病のある人に向いてる仕事については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、うつ病のある人のための就労移行支援事業所です。
- 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
- 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
- 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月
神田・新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。
目次
うつ病のある人がアルバイトする際の大前提3点
うつ病のある人、うつ病の経験がある人に向いているアルバイトの特徴や業種などを紹介する前に、まずは3つの大前提をお伝えします。
大前提①医療機関とのつながりを保つ
うつ病の継続的な治療のために、医療機関とのつながりを保っておくようにしましょう。通院や服薬は、自己判断でやめず、医師の指示に従いましょう。
治療方針に不安があるときも、まずはかかりつけの医師に相談をしてみてください。相談が難しいときは通院そのものをやめるのではなく、セカンドオピニオンを求めて別の病院に行くことも1つの手です。
また、実際に求職活動やアルバイトなどを始めてもよいかどうかも、かかりつけの医師に確認しましょう。
大前提②支援機関を利用する
アルバイトに限らず、うつ病と仕事について相談できる支援機関はたくさんあります。
あなた一人で抱え込まず、ぜひ支援機関と話をしてみてください。
うつ病のある人が利用できる支援機関などについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
大前提③前職とうつ病が関係するかを分析する
就労時にうつ病と診断された人は、仕事とうつ病がどう関係するかを分析することも大切です。
分析する際は、一人で考えるとふさぎこみがちになることもあるので、医療機関や支援機関と話しながら考えることをオススメします。
人がうつ病になる原因はさまざまですが、人間関係のトラブルや仕事であれば昇格・降格などライフステージの変化も関わっているといわれています。(参考:厚生労働省こころの耳「2 うつ病の主な症状と原因」)
あなたのうつ病のきっかけが仕事に関係あるようであれば、うつ病の再発や悪化を避けるために、発症時の環境や仕事内容が似たようなアルバイトは避けた方がよいかもしれない、ということです。
きっかけの具体例としては、以下のようなものが考えられます。
- 職場の雰囲気が体育会系すぎて、ついていけなくなった
- 人間関係が険悪で、精神的につらくなった
- 業務過多で、キャパシティの限界を超えた
- 業務内容が合っていなくて、ミスを連発して叱責された
これを受けて、アルバイト選びの際には、以下のようなことが考えられます。
- 自分に合った環境を見つめなおす
- 体育会系のノリが苦手なら、違うところを探す
- 業務量が原因なら、量が少ないところや簡単な作業のところを選ぶ
- 自分の得意・不得意にあった業務内容の仕事を考える
ある状況をきっかけにうつ病になったのは、あなたが弱いからではありません。状況や出来事をどうとらえるか、また何をきっかけにうつ病になるかは、人によって異なります。
仕事関連以外にも、自分の向き不向きを医師などと一緒に考えることもオススメです。
うつ病のある人に向いてるアルバイトの特徴6選
この章では、うつ病のある人、うつ病の経験がある人に向いてるアルバイトの特徴について解説します。
特徴①忙しすぎずマイペースにできる
日々の業務に忙殺されると、どうしても調子が悪くなります。
シフトや時間管理がしやすいなどご自身の体調を見つつ、働きやすいペースを維持できる環境が望ましいです。
特徴②人との関わり方を選べる
うつ病の症状として、意欲低下や、不安感を抱きやすいことも挙げられます。
日常生活では人間関係にエネルギーを消費しがちだったり、対人関係に悩みやすかったりすることがあります。自分の状態によって、人との関わり方を選べる環境であると負担になりにくいでしょう。
特徴③休みやすく、勤務時間が一定
うつ病の悪化を防ぐためには、安定した生活リズムを維持することが重要です。
起床時間や就寝時間に大きな変動を生じさせないために「勤務時間が一定であること、不規則ではないこと」も検討してみてください。
特徴④プレッシャーが少ない
責任が重い仕事がプレッシャーとなり、うつ病再発・悪化のきっかけとなることがあります。
ご自身にとって負担の少ない業務であると良いでしょう。
特徴⑤うつ病への理解がある
キズキビジネスカレッジ(KBC)の見聞きする範囲では、うつ病のある人、うつ病の経験がある人の職場満足度が高いときには、うつ病について、周囲の理解を得ていることが多いです。
よって、病気に理解のあるアルバイトを見つけて、自分の病状もオープンにできると、よりよいかと思います。
理解のある職場をどうやって見つければいいのかわからない、にしたくない、オープンにしたいけど、伝え方に迷う」などの相談も、支援機関で可能です。
特徴⑥一人でできる
在宅ワークなどの一人でできる仕事は、自分のペースで進められるため、うつ病のある人、うつ病の経験がある人に向いてます。
ただし、注意点として、自己管理力が必要、すぐに気軽に相談できる人がいないなどはあります。
うつ病のある人に向いてるアルバイト4選
この章では、うつ病のある人、うつ病の経験がある人に向いてるアルバイトについて解説します。
なお、解説するアルバイトは、あくまで一般論です。その適性は人によって異なります。解説する仕事以外にも、同様の特徴がある仕事であれば、うつ病のある人、うつ病の経験がある人に向いてる可能性が高いでしょう。
同じアルバイトであっても、向いてるかどうかは、実際のあなたや実際の職場の環境、マニュアル、サポート体制などによって異なります。
実際のあなたに向いてるアルバイトは、支援機関に相談する中で、具体的に見つかっていくはずです。働きたいアルバイトがある場合、解説するアルバイトを参考にしつつ、ご自身で調べてみたり、専門家や支援機関に相談したり、実際の求人元に問い合わせたりしてみましょう。
また、医療機関の利用は継続するようにしましょう。自分の判断で通院や服薬をやめないようにしてください。
アルバイト①倉庫内の作業
倉庫内の作業は、黙々と作業をこなすことが多いアルバイトです。
注文書などを見ながらの商品のピックアップ、梱包・検品などの業務を行います。また、コミュニケーションがあまり必要ない職場もあるようです。
ただし、倉庫内を動き回るのである程度の体力は必要でしょう。まだ体力面で不安がある人は注意が必要です。
アルバイト②清掃業
清掃業も、こちらと同様、黙々と作業をするコミュニケーションが少なめのアルバイトです。ただし、こちらも体力が必要なアルバイトです。
清掃業は、ルーティンワークが多いことも特徴です。毎日同じ業務を行いたい人には、清掃業が向いてるでしょう。
アルバイト③バックヤード・品出し
スーパーマーケットやドラッグストアなどのバックヤード・品出しも、コミュニケーションがあまり多くない、ルーティンワークの多いアルバイトです。
足りなくなった商品や配達された商品をお店に並べたり、スーパーであれば値引きシールを貼ったりなどの業務があります。
ただし、お店によってはレジ打ちなどの別業務も兼任したり、異動したりすることもあります。バックヤード・品出し専門かどうかを事前によく確認しておきましょう。
アルバイト④データ入力
各種情報のデータをPCで入力していくアルバイトも向いてるでしょう。PCの基本的な操作方法がわかっていれば、難しい仕事ではないことが多いようです。
取り扱うデータや雇用主によっては、在宅勤務も可能です。その場合は、外出の負担も少なくなります。
ただし、文字を追うことに不安がある状態の人には、あまりオススメできません。
補足:新聞配達
うつ病のある人、うつ病の経験がある人には、新聞配達のアルバイトがオススメという話を見聞きすることがあります。確かに、新聞配達は、ルーティンワークという利点はあります。
しかし、体力がかなり必要な点、休みを取りづらい点が注意点としてあるのも事実です。
もちろん、新聞配達が向いているうつ病のある人、うつ病の経験がある人もいます。
ですが、私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)の知見としては、自信を持って向いてるとは言い難いことを、正直にお伝えします。
うつ病のある人がアルバイトを探す4つの方法
この章では、うつ病のある人、うつ病の経験がある人がアルバイトを探す方法について解説します。
方法①「アルバイト うつ病」などのキーワードでネット検索する
インターネットで「アルバイト うつ病」「うつ病でもできるバイト」などとで検索すると、求人サイトがヒットすることがあります。
そうした求人サイトを見てみると、うつになったことのある人でも歓迎しているアルバイトやうつ病なども含め精神疾患のある人に配慮のあるアルバイトが見つかりやすいと思います。
方法②自分ができそうなことを検討する
今の自分にどんな仕事・作業ができそうか改めて考えてみましょう。
これまでの職歴から考えることもできますし、様々なアルバイト求人の内容を参考にメモしていく方法もあります。
こちらで解説した探し方で見つからなくても、業務内容をよくよく確認すると「これ、自分もできるのでは?」という求人も見つかっていきます。
方法③うつ病のある人向けに仕事を紹介しているサイト・団体で探す
実は、うつ病などの精神疾患になった人向けの求人を紹介しているWebサイトや支援機関があります。
気になったところがあったら確認してみてください。
うつ病のある人が利用できる支援機関などについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
方法④正規雇用登用があるかを確認する
正規雇用登用があるかどうかについては、必ず検討しなくてはいけないというものではありません。
アルバイト求人を探す際に、その職場に、正規雇用への登用制度があるかを確認することも選ぶ基準になるでしょう。
将来的に正規雇用で働きたいと思っている方には、オススメの確認ポイントです。実際にアルバイトを始めてから、仕事内容や職場環境が合っていると思った場合には、仕事のモチベーションにつながるでしょう。
「まだアルバイトとしても採用されてないのに気が早いのでは?」と思う方もいるかもしれませんね。ですが、条件や待遇が似ている、興味のある求人が複数あるのであれば、志望の優先度を考える際に利用しても良いと思います。
うつ病のある人がアルバイトをする上での注意点4選
「アルバイトを始めたら、しっかり働きたい」とはやる気持ちがあると思いますが、あせりはよくありません。
この章では、うつ病のある人、うつ病の経験がある人がアルバイトをする上での注意点について解説します。
こちらで解説した前提を踏まえた上で、検討してみてください。
注意点①「ちゃんとやらないと!」と気負いすぎない
「せっかく仕事を任されたのだから、ちゃんとやらないと!」と、職務をきちんと実施しようとすることは、よいことでしょう。
ですが、アルバイトに気負いすぎて再び体調を崩すのは、よいこととは言えません。
気負いすぎない方法やリフレッシュ方法など、医師や支援機関にも相談してみましょう。
注意点②調子が悪いときは無理をしない
調子が悪いときは、無理をせず休むことも検討しましょう。
「なんだかだるいな」「ちょっと気分が落ち込んでいるな」という状態で無理をしてしまうと、後々思った以上の反動となって帰ってきてしまうことがあります。
無理をせず、少し休息をとることも選択肢の1つです。また。「ちょっとがんばれそう」「がんばりたい」という状態にも注意が必要です。
注意点③できること・できないことなどをリストアップする
今の自分にできる仕事・できない仕事をリストアップしてみましょう。
そして、「難しいな」と思う仕事を頼まれたときには、断ることも必要です。断る際の言葉や言い方などに困った際は、医師や支援機関に相談してみてください。
依頼された仕事に何でも挑戦しようとする気持ちは、大切ではありますが、「現在の自分ができる範囲で仕事をする」ことも意識してみてください。
うつ病のある人、うつ病の経験がある人は、発症前はできていたことが苦手になることもあります。
「前はできていたのに、なんでできないんだろう?」と自分に不甲斐なさや焦りなどを感じるかもしれません。そんなときは、体が「これ以上無理をするのはよくないよ」と教えてくれている、と思ってみてはいかがでしょうか。
今は無理せずに働き、中長期的に「できること」を増やしていくことを意識してみてください。
注意点④体調に気をつける
当然とも言えますが、うつ病のある人、うつ病の経験がある人は、体調に気をつけるようにしましょう。
具体的には、次のようなことを意識するとよいと思います。
- 生活リズムを一定にする
- 劇的な変化を求めない
- 状態がよい日もあれば悪い日もあることを理解する
うつ病とは?
うつ病とは、気分の落ち込みや憂うつ感、さまざまな意欲の低下などの精神的症状と、不眠、食欲の低下、疲労感などの身体的症状が一定期間持続することで、日常生活に大きな支障が生じる精神障害・気分障害のことです。(参考:American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、厚生労働省「1 うつ病とは:」、厚生労働省「うつ病に関してまとめたページ」、、厚生労働省「うつ病」、国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所「うつ病」、株式会社メディカルノート「うつ病について」、MSDマニュアルプロフェッショナル版「抑うつ症候群」)
また、脳の機能が低下している状態、脳のエネルギーが欠乏した状態を指し、脳の中で神経細胞間のさまざまな情報の伝達を担うセロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンなどの神経伝達物質のバランスの乱れや、感情や意欲を司る脳の働きに何らかの不調が生じているものと考えられています。
うつ病の概要や症状、治療方法などについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
まとめ:小さな「できた」を積み重ねてください
うつ病のある人、うつ病の経験がある人には「今のままではマズイのでは」という焦りが生じがちです。
「うつ病前の状態に戻りたい」「ちゃんと働きたい」という切実な気持ちになることもあると思います。
しかし、そこで無理をして悪化・再発させないことが大切です。
医療機関や支援機関を利用しつつ、アルバイトなどを通じて、少しずつ、小さな「できた」を積み重ねてください。
アルバイトを通じて、さまざまな「できた」が見つかるはずです。
- 働くことが「できた」
- 体調を見て休む判断が「できた」
- 自分が得意な仕事が何なのか理解「できた」
- 医師に相談「できた」
それはきっと自信となって、さらなる次の一歩にも進めると思います。
このコラムが、うつ病のあるあなたのアルバイト探しに役立ったなら幸いです。
うつ病のある人に向いてるアルバイトを教えてください。
うつ病のある人がアルバイトを探す方法を教えてください。
以下が考えられます。
- 「アルバイト うつ病」などのキーワードでネット検索する
- 自分ができそうなことを検討する
- うつ病のある人向けに仕事を紹介しているサイト・団体で探す
- 正規雇用登用があるかを確認する
詳細については、こちらで解説しています。
監修志村哲祥
しむら・あきよし。
医師・医学博士・精神保健指定医・認定産業医。東京医科大学精神医学分野睡眠健康研究ユニットリーダー 兼任准教授、株式会社こどもみらいR&D統括。
臨床医として精神科疾患や睡眠障害の治療を行い、また、多くの企業の産業医を務める。大学では睡眠・精神・公衆衛生の研究を行っており、概日リズムと生産性、生活習慣と睡眠、職域や学校での睡眠指導による生産性の改善等の研究の第一人者。
【著書など(一部)】
『子どもの睡眠ガイドブック(朝倉書店)』『プライマリ・ケア医のための睡眠障害-スクリーニングと治療・連携(南山堂)』
他、学術論文多数
日経新聞の執筆・インタビュー記事一覧
時事メディカルインタビュー「在宅で心身ストレス軽減~働き方を見直す契機に」
監修キズキ代表 安田祐輔
発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。
【著書ピックアップ】
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』
Amazon
翔泳社公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)
【その他著書など(一部)】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
監修角南百合子
すなみ・ゆりこ。
臨床心理士/公認心理師/株式会社こどもみらい。
サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)
うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。2024年10月現在、首都圏・関西に6校舎を展開しています。トップページはこちら→