うつ病のある人が社会復帰を成功させるコツ 社会復帰するまでの流れを解説
こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。
うつ病で休職・退職したあなたは、社会復帰を考えているものの、以下のようにお悩みではありませんか?
- 社会復帰に向けて何から始めてよいかわからない
- うつ病から社会復帰するときの基本的な流れは?
- 社会復帰をしてもうつ病が再発しないか気になる
このコラムでは、社会復帰を成功させるコツや復職して社会復帰するまでの流れ、社会復帰に向けて意識すべき注意点、社会復帰後にすべき再発防止策について解説します。あわせて、うつ病を経験した後に社会復帰した人の体験談を紹介します。
うつ病からの社会復帰についてお悩みの人は、ぜひ一度、読んでみてください。
私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、社会復帰を検討しているうつ病のある人のための就労移行支援事業所です。
- 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
- 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
- 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月
神田・新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。
目次
うつ病からの社会復帰は、元の職場に戻ることとは限らない
うつ病からの社会復帰とは、休職後に、元の職場に戻るだけに限りません。
もしかしたらあなたは、「なんとしても元の職場に戻らなくては」とお考えかもしれません。
ですが、そうした考え方にこだわらずに、あなたにとって無理のない働き方を柔軟に模索することが、社会復帰を検討する上では大切なのです。
うつ病からの社会復帰には、以下のような選択肢があります。
- 退職を経て転職
- 障害者雇用への切り替え
- パート・アルバイトとしての勤務
就労以外の観点も含めるなら、大学などに入って学び直すというルートもあります。
つらくならない範囲で構いませんので、治療を進めながらあなたにとっての社会復帰をどこに設定するかを少しずつ考えていきましょう。
また、社会復帰後にうつ病が再発することは避けたいところです。社会復帰を考える上では復帰後が重要だということは、心に留めておいてください。
うつ病のある人の再就職については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
うつ病のある人の復職については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
うつ病のある人が社会復帰を成功させるコツ
うつ病のある人が就職を成功させるコツは、以下のとおりです。
- うつ病の症状の悩みをひとりで抱え込まない
- 治療に専念する
- 主治医に相談する
- カウンセラーに相談する
- 支援機関を利用する
- 支援制度を利用する
- 経歴以外にアピールできる点を整理する
- リワークを利用する
- スキルを習得する
- 雇用枠を検討する
- 働き方を検討する
- 雇用形態を検討する
- うつ病があることを開示するか検討する
- フリーランスとして働くことを検討する
- アルバイト・パートなどの非正規雇用で働き始めてみる
- 就労継続支援A型/B型での就労する
- 当事者会や相談会に参加する
- 履歴書・職務経歴書・面接の対策をする
このコラムでは、うつ病が仕事に与える影響や就職活動前にすべき準備、就職を成功させるコツについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
うつ病のある人が社会復帰するまでの4つの段階
この章では、うつ病のある人が社会復帰するまでの段階について解説します。(参考:吉野聡・宇佐見和哉『現役 精神科産業医が教える 「うつ」からの職場復帰のポイント[第2版]』)
段階①要治療期
要治療期とは、治療に専念し、病状の安定化を優先させる時期のことです。
うつ病の症状が重い人は、治療薬を服用して眠ることだけで精一杯かもしれません。しかし、要治療期には、できるだけ何も考えずに、ゆっくりと休むことが何よりも大切なのです。
ですので、医師の診断に従いながら、焦らずに、心身が回復するのを待ちましょう。
ちなみに、「処方された薬を服用することに抵抗がある」「医師の診断にどうしても納得できない」という場合は、セカンドオピニオンを求めて別の病院を受診するのも手段のひとつです。
ただし、一般論として、セカンドオピニオンでも治療の方針があまり変わらないようなら、多少納得できない面があったとしても、元の方針に従うことをオススメします。
また、代替医療や民間療法ではなく、医療機関の治療を受けるという点も重要です。
信頼できる病院・医師を見つけて、焦らず治療を進めるようにしましょう。
段階②リハビリ期
リハビリ期とは、行動意欲が回復してくる時期のことです。リハビリ期には、休養で衰えた体力や認知機能のリハビリが目標になります。
この時期は、生活習慣の安定化や軽い運動に努めながら、ある程度の日課・目標を立てることが大切になります。
同時に、リハビリ期は、働いていないことへの後ろめたさや焦燥感が生じる時期とも言われています。
社会復帰を焦って無理をせず、徐々に慣らしていくこと、負荷は少しずつ掛けていくことを意識しましょう。
段階③職場環境調整期
職場環境調整期とは、現実的な社会復帰に向けて、職場との労働環境の調整を進められる時期のことです。
現職に復帰することになった場合、通常は上司や人事の担当者などの職場の人と面談をすることになります。
面談では、休職に至った原因だけでなく、「どの業務が負担になったのか」「業務量はどのくらいがちょうどよいか」を念入りに聞かれるでしょう。
職場側には、あなたのうつ病の症状や程度について理解が得られるように、業務内容や業務量についてしっかりと回答するようにしてください。
同じ職場に復帰する場合でも、部署異動も視野に入るかもしれません。就職活動を行って転職をすることになった場合も、新しい職場の仕事内容や業務量について、前もって話し合うようにしましょう。
どのような就職活動・就業を行うかについても、あなただけで抱え込まずに、支援機関などを利用して検討していくことをオススメします。
元の職場への復帰や転職活動が叶いましたら、ひとまずはうつ病からの社会復帰が達成できたと考えてよいでしょう。
段階④再発予防期
再発予防期とは、社会復帰後にうつ病再発の予防が求められる時期のことです。
長き働き続けるためには、治療の継続や、計画的な休養などが必要です。
他にも、職場で実施されるストレスチェックでご自身の状態を確認したり、産業医による面談を受けたりするなど、予防のための手段はたくさんあります。
社会復帰をしたからもう大丈夫と思うのではなく、その後の生活も意識することが大切だということを心に留めておきましょう。
うつ病のある人が復職して社会復帰するまでの流れ
うつ病から復職して社会復帰するまでに大事なのは、見通しをもつことです。
しっかり回復し必要な手続きを踏むことで、また働ける。そのことが分かれば安心して休養できます。
この章では、うつ病のある人が復職して社会復帰するまでの流れについて解説します。
うつ病のある人の復職については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
流れ①休職をする
うつ病の症状が続き、つらさが軽減しない場合、休職を検討することになります。
休職に必要なのは診断書です。できるだけ早く専門の医療機関で診断書を書いてもらいましょう。
診断書とは病気を証明する書類のことで、以下の項目が記載されます。
- 症状
- 病名
- 治療内容
- 治療期間
この診断書を職場に提出することで、職場から休職命令が出され、休職の手続きがスムーズになります。
それだけではありません。公的福祉制度の申請や、障害や疾患に応じた業務の調整も可能となります。
なお、経済的な保障や休職の手続きなどに不安がある場合は、人事を担当する部署に相談することをオススメします。
診断書が下りたら、とにかく休養に専念しましょう。うつ病は短期間休んだからといってすぐに働けるようになるものではありません。
今は休むのが自分の仕事と考え、主治医の指示を守ってしっかり休んでください。
うつ病のある人の休職については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
流れ②復職を検討する
一定期間休養し、以下のポイントをクリアできたら、復職を検討します。
- 生活リズムが安定してきたかどうか
- うつの症状が改善してきたかどうか
- 主治医から肯定的な診断が得られているかどうか
大事なのは、自分の判断のみで復職を決めず、主治医や周囲の人の意見を十分に聞くことです。
特に、主治医からの肯定的な診断は必須です。「元気になってきたから」と通院をやめてしまうのは禁物です。
厚生労働省は、主治医からの意見に加え、産業医の意見も加味して復職の判断をすることをすすめています。(参考:厚生労働省「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き~メンタルヘルス対策における職場復帰支援~」)
職場に産業医がいる場合は、そちらからの助言も得た上で、次のステップに進みましょう。
流れ③職場復帰支援プランを作成する
復職することになったら、職場復帰支援プランを作成し、復帰に向けての取り決めをします。
職場復帰支援プランとは、休業していた労働者が復職するにあたって、復帰日、就業上の配慮など個別具体的な支援内容を定めたもののことです。
具体的なプラン作成にあたっては産業保健スタッフなどを中心に、管理監督者、休業労働者と十分な話し合いをして、連携しながら進めることとなっています。(参考:厚生労働省「両立支援プラン/職場復帰支援プランの作成例」)
流れ④復職・再就職をする
本人の状態の確認、産業医や主治医からの意見などを踏まえ、事業者による最終的な職場復帰の決定を行います。
社内制度として「試し出勤」を設けているところもあります。
勤務時間と同様の時間帯に軽作業を行ったり、通勤訓練をしたりした後、本来の職場などに一定期間継続して出勤し、問題なく職場復帰ができるかどうかを判断します。
また、休職ではなく退職を選んだ場合には、主治医などと相談した上で別の職場を探すことになります。
補足:リワークプログラム
うつ病のある人が社会復帰をする場合、リワークプログラムを利用することをオススメします。
リワークとは「return to work」の略で、うつ病や適応障害などの精神疾患が原因で休職中の人を対象とする、復職や転職、再就職に向けたリハビリテーションのことを指します。
「リワークプログラム」と同じ意味で、「復職支援プログラム」や「職場復帰支援プログラム」という名称が使われることもあります。
リワークプログラムで取り組む内容は、自己分析やセルフケア、ディスカッションを含むグループワーク、作業課題、SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)などさまざまです。
リワークについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
うつ病のある人が社会復帰に向けて意識すべき4つの注意点
この章では、うつ病のある人が社会復帰に向けて意識すべき注意点について解説します。
注意点①社会復帰をあまり焦らない
うつ病のある人は、社会復帰をあまり焦らないようにしましょう。
うつ病のある人の中には、休職中や無職の状態に後ろめたさを感じて、「早く復職しなければ」と焦る方が少なくありません。
しかし、その焦燥感は自分へのプレッシャーになって、うつ病の改善を妨げる可能性があるのです。
経済的な事情から、焦らざるを得ないという人もいるでしょう。
そのような場合は、うつ病のある人向けに経済的な支援を受けられる制度が複数あります。それらを利用することをオススメします。
注意点②社会復帰までの期間を長めに見積もる
次に、社会復帰までの期間を長めに見積もりましょう。
うつ病は、再発が懸念される病気です。それを踏まえて、治療では、うつ病の症状がほぼ消失している寛解と言われる状態が一つのゴールになります。
しかし、寛解の状態になるまでにも、ある程度の時間が必要です。(参考:吉野聡・宇佐見和哉『現役 精神科産業医が教える 「うつ」からの職場復帰のポイント[第2版]』)
つまり、一時的に気分の落ち込みや憂うつ感がなくなったように感じても、うつ病の症状が安定したとは限らず、ある程度、様子を見る必要があるということです。
あなたを不安にさせるつもりはありませんが、「症状がなくなったので、すぐに社会復帰に取り掛かれる」と考えて行動すると、うつ病が再発してまた休職することになる可能性もあります。
あなたの予想よりも治療に時間がかかる可能性があります。社会復帰までの期間を長めに見積もり、じっくりと症状改善に取り組むことをオススメします。
注意点③主治医から寛解の診断を必ず得る
社会復帰を検討する上では、医師からの寛解の診断を得ることが大切です。
あなたが「元気になったから大丈夫だ」と感じていても、医師の目から見ると「もう少し治療が必要だ」という場合があります。
特に現職への復職を考えている場合、基本的には専門医の診断書が必要になります。主治医の診断を待つようにしましょう。
注意点④悩みを一人で抱え込まない
うつ病のある人は、できるだけ家族や友人などの周囲の人や上司や同僚などの職場の人を頼るようにしましょう。
周囲の人に悩みを打ち明けることで、ストレス軽減も期待できますので、できる範囲で「人に相談する」ようにしましょう。
また、うつ病のある人が利用できる支援機関はたくさんあります。
いずれも、基本的には無料でサポートを受けられます。支援機関を利用することも検討してみましょう。
うつ病のある人が社会復帰後にすべき再発防止策7選
この章では、うつ病のある人が社会復帰後にすべき再発防止策について解説します。(参考:大谷裕・NPO法人地域精神保健福祉機構(コンボ)・監修『うつ病の人の気持ちがわかる本』、山本晴義・監修『図解 やさしくわかるうつ病からの職場復帰』)
再発防止のためには、治療の過程で培ってきた生活習慣などをできるだけ維持することが重要です。
症状がなくなったからと言って、不規則な生活をしたり、羽目を外したりすると、うつ病がぶり返すリスクが上がります。
特に、睡眠や食事といった生活の基礎になる習慣には留意するようにしましょう。
防止策①治療を継続する
うつ病の再発を避けるためには、第一に治療を継続することが大切です。
定期的な通院や、処方された治療薬の服用は、きちんと続けるようにしましょう。自己判断で断薬したり、通院をやめたりしないでください。
特に、治療薬の服用は絶対に怠らないようにしてください。段階的に減薬するにせよ、医師がまだ必要なものとして処方しているうちは、服用・通院が必要です。
うつ病が改善して医師から「もう通院の必要はない」と言われて日常的な通院をやめた後でも、主治医とのコミュニケーションを取ることを忘れないようにしましょう。
また調子が悪くなることがあったら、まずは診察を受けることを心に留めておいてください。
防止策②職場の制度を活用する
うつ病を経験した人は、「朝はつらいけど午後からなら出勤できる」「調子次第で勤務時間に融通を利かせたい」と感じることが度々あると思います。
働く時間を柔軟に変えられるフレックス制や裁量労働制、短時間勤務制度など、柔軟な勤務形態を導入している職場であれば、比較的働きやすいでしょう。
また、通勤かリモート勤務などの勤務形態を状況に合わせて選べる職場は、うつ病のある人でも働きやすいと言われています。
以上のような仕組みがなくても、個別の事情に応じて一時的な短時間勤務への切り替えができるか、通院のために休みを取りやすいか、服薬の時間を取れるかなども事前に職場に確認しておくとよいでしょう。
職場の制度の有無や利用可否、申請方法などは事前に確認しておきましょう。
防止策②計画的に休みを取る
あなたは、疲労感などのうつ病の症状を自覚したときにはもう身動きすらできず、仕事の当日に休暇申請をするという経験をしたことはありませんか?
その経験がなくとも、急な体調不良を理由に当日に休みを取るということは、うつ病のある人に限らず、一般的な話でしょう。
しかし、休みを申請した当日に、重要な会議や商談などが入っていると、その休みが精神的な負担や後ろめたさにつながり、調子を崩すきっかけになるケースもあります。
特に真面目で責任感の強い人などは、うつ病が改善した後でも、休むタイミングが分からずに、倒れ込むまで働いていることがあります。
そうならないためにも、限界が来る前に計画的に休みを取ることが大切です。そうすれば、急な体調不良が発生する可能性そのものを減らし、仕事のスケジュールも設定しやすくなり、急な休みに伴う負担も減らすことができます。
オススメなのは、あらかじめ月初に休む日を決めて、休暇申請をしておくことです。
前もって休暇を設定しておけば、仕事のスケジュールも設定しやすいため、精神的な負担や後ろめたさによるつらさも軽減しやすくできるでしょう。
ぜひ、前もって計画的に休みを取るという姿勢を持つようにしてください。
防止策③徐々に慣らしていく姿勢を持つ
うつ病がある場合は、どうしてもストレスや負荷を感じやすいため、いきなり仕事に全力で取り組もうとすると、身体がつらくなることが少なくありません。
そうした負荷は、継続的に出勤をして業務に慣れていくことで、徐々に軽減されていきます。
なので、体力に自信がある人でも、まずは無理のない範囲で仕事を進めて、徐々に慣らしていく姿勢を保つようにしましょう。
また、就職活動の段階で、フルタイムの勤務ではなく、パート勤務やアルバイトから始めるというのも一つの手段です。
いずれにせよ、あなたの調子やかかりつけの医師の反応を見ながら、ゆっくり仕事に取り組むようにしてください。
防止策④無理な働き方は避ける
一定以上の調子を保つためには、「調子がよいときでも働きすぎない」心掛けが必要です。無理な働き方は避けましょう。
特にうつ病のある人の場合、症状が改善しても、調子のムラは残る場合があります。
そのため、まだ疲労が残っていても、日によっては「気分が乗っているからもっと残業しよう」「予定を詰めても乗り越えられる」と、無理をすることもあるかと思います。
しかし、そこで無理に予定を組むと、週の後半に体調を崩したり、休日に休んでも疲労が抜けなかったりと、どこかにひずみが生じるかもしれません。
普段から無理をせず、余裕を持つことを心掛けるようにしましょう。
防止策⑤生活リズムの乱れに注意する
起床や就寝の時間を一定にすることで、睡眠が安定し、ストレスからの回復や予防の効果を高められます。
また、毎食きちんと食事を取ることも大切です。
抑うつ症状が出ているときなどは、食事をするのも大変かもしれません。しかし、絶食によって体力が落ちると、余計に行動力がなくなる恐れがあります。
仕事を長く続けたいという人は、生活習慣を見直すようにしましょう。
防止策⑥相談相手をつくる
うつ病のある人は、相談相手を持つことで、気持ちが軽くなったり、サポートが得られたりと、さまざまなメリットが期待できます。
医師やカウンセラー以外にも、あなたに理解のある家族や友人などの周囲の人や上司や同僚などの職場の人、専門家、支援機関など、あなたが相談できる人はたくさんいます。
具体的に有益なアドバイスを得られることもあるでしょうし、そうでなくても気持ちが楽になるなど、ストレスを緩和できる場合もあります。
もちろん、誰にでも相談するべきとは言いません。相手に悪意がなくても、結果としてあなたを傷つける言葉が帰ってくる可能性もあるかもしれません。
まずは、専門的な知識を持つ人に相談するとよいでしょう。
ある程度の人員規模がある職場の場合は、産業医面談もオススメです。(参考:厚生労働省「産業医について」)
産業医とは、労働者の健康管理について専門的な指導やアドバイスを行う医師のことです。
労働安全衛生法に基づき、常時50人以上の労働者が在籍する事業所に1人以上、3000人超の事業所では2人以上の産業医が配置されています。
以上の条件を満たしていれば、あなたの職場にも産業医がいるはずです。料金などは発生しません。一度確認してみてください。
産業医は中立的な立場で診断を行うため、産業医に話した内容が人事評価に影響することはありません。その点はご安心ください。
もし、上司などの職場の人が診断内容を求めても、個人情報保護の観点から、共有してよいかを、原則としてご本人に確認する必要があります。場合によっては上司も同席の上で、業務に関する具体的な相談をすることも可能です。
うつ病を経験した後に社会復帰した人の体験談
この章では、うつ病を経験した後に社会復帰した人の体験談を紹介します。
Y.Mさんは、新卒で入社した職場を2ヶ月で退職した後、転職を繰り返しました。合計で9社ほど経験するも、いずれも平均1年ほどで辞めていたそうです。
すっかり自分に自信を無くしていたY.Mさんは、うつ病とADHDの診断を受けました。そして、キズキビジネスカレッジ(KBC)に通うことを決断したのです。
キズキビジネスカレッジ(KBC)は、専門スキルの習得と多様な進路への就職を支援する就労移行支援事業所です。
うつ病や発達障害による離職期間に高度なビジネススキルを手に入れることができます。
キズキビジネスカレッジ(KBC)では、型にはまらずに自分が学びたいことに集中できるところに魅力を感じたというY.Mさん。会計スキルからMOS講座、ビジネス企画講座などに学びの幅を広げていきました。
加えて、自分自身の特性を知り、仕事以外の部分でも今後を生きやすくするポイントが分かったのだそうです。
キズキビジネスカレッジ(KBC)でのサポートを経て、Y.Mさんはプログラマーとして復職を果たしました。
インターンから出発し、主治医と相談しながら少しずつ勤務時間を伸ばしています。
雇用推進室との面談やキズキビジネスカレッジ(KBC)の担当者による職場定着へのサポートも活用しながら、精神面でも困りごとはなく過ごせているというY.Mさん。
自分らしく生き生きと働いています。
Y.Mさんの体験談をより詳しく知りたい人は、以下の体験談をご覧ください。
うつ病とは?
うつ病とは、気分の落ち込みや憂うつ感、さまざまな意欲の低下などの精神的症状と、不眠、食欲の低下、疲労感などの身体的症状が一定期間持続することで、日常生活に大きな支障が生じる精神障害・気分障害のことです。(参考:American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、厚生労働省「1 うつ病とは:」、厚生労働省「うつ病に関してまとめたページ」、、厚生労働省「うつ病」、国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所「うつ病」、株式会社メディカルノート「うつ病について」、MSDマニュアルプロフェッショナル版「抑うつ症候群」)
また、脳の機能が低下している状態、脳のエネルギーが欠乏した状態を指し、脳の中で神経細胞間のさまざまな情報の伝達を担うセロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンなどの神経伝達物質のバランスの乱れや、感情や意欲を司る脳の働きに何らかの不調が生じているものと考えられています。
うつ病の概要や症状、治療方法などについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
まとめ:社会復帰に向けてできることはたくさんあります
うつ病のある人が社会復帰をする上で大切なのは、うつ病の悩みを一人で抱え込まないことです。
うつ病になると、無力感にさいなまれたり、孤独を感じたりすることが増えると思います。
しかし、うつ病のある人が社会復帰のためにできることはたくさんあります。頼りになる支援機関も複数あります。
周囲の人や専門家、支援機関に相談しながら、社会復帰に向けて着実にステップを踏んでいきましょう。
このコラムが、社会復帰を目指すうつ病のある人の助けになったなら幸いです。
うつ病のある人が社会復帰するまでの段階を教えてください。
うつ病のある人が復職して社会復帰するまでの流れを教えてください。
監修志村哲祥
しむら・あきよし。
医師・医学博士・精神保健指定医・認定産業医。東京医科大学精神医学分野睡眠健康研究ユニットリーダー 兼任准教授、株式会社こどもみらいR&D統括。
臨床医として精神科疾患や睡眠障害の治療を行い、また、多くの企業の産業医を務める。大学では睡眠・精神・公衆衛生の研究を行っており、概日リズムと生産性、生活習慣と睡眠、職域や学校での睡眠指導による生産性の改善等の研究の第一人者。
【著書など(一部)】
『子どもの睡眠ガイドブック(朝倉書店)』『プライマリ・ケア医のための睡眠障害-スクリーニングと治療・連携(南山堂)』
他、学術論文多数
日経新聞の執筆・インタビュー記事一覧
時事メディカルインタビュー「在宅で心身ストレス軽減~働き方を見直す契機に」
監修キズキ代表 安田祐輔
発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。
【著書ピックアップ】
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』
Amazon
翔泳社公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)
【その他著書など(一部)】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
監修角南百合子
すなみ・ゆりこ。
臨床心理士/公認心理師/株式会社こどもみらい。
サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)
うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。2024年10月現在、首都圏・関西に6校舎を展開しています。トップページはこちら→