うつ病の再発サイン 再発率や予防する方法を解説

こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。
あなたは今、うつ病の再発についてさまざまな不安や疑問があり、以下のように悩んでいるのではないでしょうか?
- うつ病により休職中で、職場復帰後の再発が心配
- 現在の症状は再発のサインではないか?
- うつ病が再発したときはどのように対処したらいい?
このコラムでは、うつ病の再発率や再発する原因、再発のサイン、再発を予防する方法について解説します。あわせて、職場でうつ病の再発を防ぐためのコツについても解説します。
ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
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目次
うつ病とは?

うつ病とは、気分の落ち込みや憂うつ感、さまざまな意欲の低下などの精神的症状と、不眠、食欲の低下、疲労感などの身体的症状が一定期間持続することで、日常生活に大きな支障が生じる精神障害・気分障害のことです。(参考:American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、厚生労働省「1 うつ病とは:」、厚生労働省「うつ病に関してまとめたページ」、、厚生労働省「うつ病」、国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所「うつ病」、MSDマニュアルプロフェッショナル版「抑うつ症候群」)
また、脳の機能が低下している状態、脳のエネルギーが欠乏した状態を指し、脳の中で神経細胞間のさまざまな情報の伝達を担うセロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンなどの神経伝達物質のバランスの乱れや、感情や意欲を司る脳の働きに何らかの不調が生じているものと考えられています。
うつ病の概要や原因などについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
うつ病の再発率
この章では、うつ病の再発率について解説します。
うつ病の再発率

うつ病は治療を通じて症状が改善するものの、再発するリスクが高い病気です。経過には個人差があるものの、うつ病と診断された人の約60%が再発するとされています。(参考:厚生労働省「うつ対応マニュアル-保健医療従事者のために-:資料1 うつ病について」)
また、再発のリスクは、うつ病を経験した回数が多いほど高くなることもわかっています。
具体的には、2回うつ病を経験した人の再発率は約70%、3回経験した人では約90%にものぼります。
この数字から、うつ病の再発予防がどれほど重要であるかがわかります。
うつ病を再発しやすい人の特徴
うつ病を再発しやすい人には、以下のような特徴を抱えている場合が多いとされています。(参考:厚生労働省「こころの耳」内「2 うつ病の主な症状と原因:ご存知ですか?うつ病」)
- 仕事熱心
- 几帳面
- 完璧主義
- 凝り性
- 義務感が強い
- 人間関係を過度に気にする
以上に加えて、がんや糖尿病などの慢性的な疾患や、妊娠・出産、更年期といったホルモンバランスの変化も、うつ病の再発に影響を与える可能性があります。
うつ病を再発しやすい時期

うつ病の治療期間は急性期、回復期、再発予防期と、大きく3つに分かれます。その中で最も再発しやすいのが回復期です。(参考:厚生労働省「こころの耳:3 うつ病の治療と予後:ご存知ですか?うつ病」)
回復期には、症状がある程度改善する寛解と呼ばれる状態を迎えます。
しかし、実際にはまだ注意が必要な段階です。回復期に自分自身の判断で服薬や治療を中止することで、再発のリスクが高まるのです。
うつ病が再発する3つの原因
うつ病は再発しやすい病気の1つです。そのため、再発のリスクを把握し、予防することは非常に大切です。再発にはさまざまな原因が関与しており、それぞれが複雑に絡み合っています。
この章では、うつ病が再発する原因について解説します。
原因①環境変化などのストレス

うつ病の再発を引き起こす最も一般的なきっかけは、環境の変化とそれに伴うストレスです。(参考:厚生労働省「こころの耳:2 うつ病の主な症状と原因:ご存知ですか?うつ病」)
例えば、大切な人の死や離別、引っ越し、就職、退職などが挙げられます。
さらに、結婚や妊娠、仕事の昇格などの一般的に喜ばしいこととされる出来事もストレスとなる場合があります。
どれも人生において、ときに避けられないイベントですが、特にストレスの多い状況では、うつ病を経験した人にとって再発のトリガーになりやすいと言われています。
また、人間関係のトラブルや家庭内での問題、経済的な問題なども再発のリスクを高める要因になります。
原因②病気の発生
慢性的、あるいは重症の身体の病気を抱えていることも、うつ病再発の原因となり得ます。(参考:大分県こころとからだの相談支援センター「うつ病について」)
特に、糖尿病や高血圧、悪性腫瘍、脳卒中後遺症、睡眠時無呼吸症候群などの疾患は、肉体だけでなく精神にも大きな負担を与えます。
これらの治療を続ける中でストレスが蓄積し、再発のリスクが高まるのです。
さらに、病気が慢性化している場合、症状をコントロールするため生活全般の調整が必要になります。そのため自分でも予想外に精神的負荷がかかっている場合もあります。
原因③通院の中断

うつ病の治療過程で通院を自己判断で中止することも、再発リスクを大幅に高める要因になります。(参考:厚生労働省「うつ対応マニュアル-保健医療従事者のために-:3.三次予防としてのうつ対策:本人をサポートするネットワーク作りに向けて」)
治療の段階によっては、症状が軽減し「もう治ったのでは?」と感じることもあるでしょう。しかし、自己判断で治療を中断すると、症状が再び現れる可能性が高いことがわかっています。
また、治療薬の服用を突然やめることで離脱症状が出るリスクもあります。
離脱症状とは、治療薬の中断や使用量の減少によって現れる不安やイライラ感などの不快な症状のことです。(参考:厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル ベンゾジアゼピン受容体作動薬の治療薬依存」)
医療機関では基本的に、うつ病の症状が安定してからも6ヶ月〜1年間は同じ量の薬で治療します。その後、少しずつ薬の量を減らし、徐々に治療を終了するのが一般的な流れです。
うつ病の再発サイン
この章では、うつ病の再発サインについて解説します。
「最近少し変かも」と感じた人は、ぜひ参考にしてください。
自覚できる再発サイン

うつ病の再発時には、身体面や精神面にさまざまな変化が現れます。以下のような症状が出たら注意が必要です。
- 寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める
- 身体のだるさ、慢性的な疲労
- めまい
- 動悸
- 食欲の減退
- 性欲の減退
- 気分の落ち込み
- 何もする気にならない
- 集中力や判断力の低下
共通するポイントは、以上のサインが長く続いているかどうかです。「これってただの疲れ?」と感じている場合は、自分自身を観察してみるのも良いでしょう。
うつ病の初期症状については、以下のコラムで詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
周囲が気づく再発サイン
うつ病の再発サインを自分自身で気づくのは難しい場合も多いです。そのため、周囲の人が気づきやすい行動面でのサインを知っておくことが役立ちます。
- 以前よりもケアレスミスが増えた
- 会話を避けるようになった
- 遅刻や欠勤が増えた
- 机の上がいつもより散らかりがちになった
- 電話対応が緩慢になった
- 話し方に抑揚がなくなった
- 清潔感がなくなり、身だしなみに気を遣わなくなった
症状が進行しないうちに再発に気づけるよう、うつ病の再発予防には周囲のサポートが重要です。
うつ病の人がとる行動については、以下のコラムで詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
うつ病の再発を予防する3つの方法
うつ病は、再発のリスクがある精神疾患ですが、日常生活や環境を整えることでそのリスクを下げることが可能です。
この章では、うつ病の再発を予防する方法について解説します。(参考:厚生労働省「こころの耳:4 うつ病を防ぐ:ご存知ですか?うつ病」、「5 ご家族の方へ」、「6 上司・同僚の方へ」)
方法①規則正しい生活習慣

規則正しい生活リズムを身につけることが、うつ病の再発予防に大いに役立ちます。
例えば、毎日同じ時間に寝起きするだけでも睡眠のリズムが整い、再発のリスクが軽減されます。
また、適度な運動を生活に取り入れることも効果的です。毎日20分程度の散歩、週に2〜3回30分程度のジョギング、簡単なストレッチなど、無理のない範囲で体を動かすと、リフレッシュできるだけでなく、ストレスの緩和も期待できます。
うつ病を改善させるコツについては、以下のコラムで詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
方法②ストレス対策とセルフケア
うつ病の再発を防ぐには、普段から自分に合ったストレス対策を見つけておくことが大切です。
特に仕事では、自分で軽減できるストレスとそうでないものがあります。仕事と休憩のメリハリをつける、仕事をひとりで抱え込みすぎないなどのストレス対策を考えてみましょう。
また、うつ病になりやすい人の思考パターンとして、物事を悲観的にとらえる、「全か無か」で判断する、自責的であるなどがあります。
自分の思考パターンを見直してみることで、心の負担が軽くなる可能性があります。
自分でできるストレスマネジメントについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
方法③医学的アプローチ

うつ病の再発の可能性に気づいたら、早めに医師の力を借りましょう。
特に、日常生活に大きな影響が出ている場合や、症状が長引いている場合は、医療機関の受診をオススメします。
身近な医療機関として、職場の産業医やカウンセラーを活用することも1つの手です。相談することで、自分自身の気持ちが整理され、次の行動に移しやすくなることもあります。
補足:家族や職場のサポート
家族や職場のサポートや理解も、うつ病の再発予防には欠かせません。
身近にいる人たちが、再発サインに気づいて助けてくれる環境はとても心強いものです。
家族として心がけたいのは、本人が話しやすい環境を整えることです。
不調や再発サインに気づいたら、まずは声をかけてみてください。本人が無理をしていないかを確認し、気になる場合は一緒に専門機関を受診してみることも大切です。
職場でも同僚や上司の話を聴く姿勢が大切です。
不調のサインに気づいたら「最近大変じゃない?」など気軽に声をかけてみるだけでも、本人にとって大きな支えになります。
過度なプレッシャーを減らし、休養を取りやすい環境を整えることも重要です。
職場での対応において疑問や不安がある場合は、社内の産業医や心理職、人事担当者のほか、社外の相談機関を利用すると良いでしょう。
職場の人ができるストレスマネジメントについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
うつ病の再発に気づいたときの2つの対処法
この章では、うつ病の再発に気づいたときの対処法について解説します。
うつ病の再発サインに早めに気づき、適切な行動を取ることが重要です。
対処法①早期受診

うつ病の再発サインを感じた場合、最も優先したいのが専門医への相談です。
うつ病は早期に対処することで、症状の悪化を防ぎやすいという特徴があります。(参考:厚生労働省「こころの耳:3 うつ病の治療と予後:ご存知ですか?うつ病」)
特に、過去にうつ病を経験している場合は再発率が高いため、同じサインを見逃さないことが大切です。
再発の初期段階では、短期間の治療で再び症状が寛解することも期待できるでしょう。
対処法②治療計画の見直し
うつ病の再発が疑われる場合、現在の治療計画を見直すことも効果的です。
抗うつ薬の種類や量、精神療法・カウンセリングの頻度が適切かどうかを医師と一緒に確認してみましょう。
また、生活習慣やストレスの要因についても話し合い、必要であれば環境を整える方法を一緒に考えてみると良いでしょう。
長期的な継続療法や維持療法を行うことが、再発予防に効果的であることがわかっています。(参考:国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所 地域精神保健・法制度研究部 「こころとくらし 継続・維持療法とは?」)
「自分にはもう治療は必要ないかも」と思うときほど治療を中断せず、継続することが大切です。
職場でうつ病の再発を防ぐための2つのコツ
職場で過ごす時間は、多くの人にとって生活で大きな割合を占めるからこそ、うつ病の再発のリスクも高まりやすい傾向があります。
この章では、職場でうつ病の再発を防ぐためのコツについて解説します。
コツ①職場でのストレスに注意

職場でのストレスは、うつ病の悪化や再発に直結しやすい要因の1つです。
例えば、仕事の失敗や上司との衝突、長時間労働などは、心身に大きな負担をかけます。まずは自分の限界を理解し、無理をしない範囲で仕事を進めることを心がけましょう。適度な休憩やリフレッシュの時間を確保することも重要です。
また、職場で課題を感じたときに相談できる同僚や上司、相談機関を見つけておくことも大切です。
職場におけるストレスマネジメントについては、以下のコラムで詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
コツ②仕事ができないときの支援制度を活用
もし職場でのストレスが限界を超えてしまい「仕事ができない」となった場合、支援制度の利用を検討してみましょう。
傷病手当金などの支援制度を活用することで、生活費や医療費の不安を軽減しつつ治療に専念できます。休職制度などの社内制度の活用も有効です。
支援制度の利用を検討するときは、労務管理の担当者や専門支援機関に相談し、必要な手続きを進めてください。経済的な心配を軽減することで、早期回復が期待できます。
仕事ができないときの経済的な支援制度については、以下のコラムで詳しく解説しています。ぜひご覧ください。
まとめ: 再発予防が大切です

うつ病は再発リスクが高い病気だからこそ、自分自身のサインと向き合いながら、無理のない方法で再発予防に努めることが大切です。
再発に気づいたときは躊躇せず専門家に相談するなど、一人で抱え込まずに周囲のサポートを活用しましょう。
このコラムが、あなたの不安や疑問を解消する一助となれば幸いです。
うつ病とは何ですか?
うつ病とは、気分の落ち込みや憂うつ感、さまざまな意欲の低下などの精神的症状と、不眠、食欲の低下、疲労感などの身体的症状が一定期間持続することで、日常生活に大きな支障が生じる精神障害・気分障害のことです。
詳細については、こちらで解説しています。
うつ病が再発する原因を教えてください。
監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。
【著書ピックアップ】
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』
Amazon
翔泳社公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)
【その他著書など(一部)】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
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