ASDの転職を成功させる5ステップ 転職をサポートする支援機関を紹介 | キズキビジネスカレッジ  

ASDの転職を成功させる5ステップ 転職をサポートする支援機関を紹介

こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。

あなたは、ASD(自閉症スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)の特性がある中で、転職について以下のようにお悩みではありませんか?

  • 転職したいけど、どうやって進めればいい?
  • ASDの特性にどう対処すればいいのだろう…
  • 転職をサポートしてくれる場所はないかな…
  • 自分にどんな仕事・職場が向いてるんだろう?

同じような転職のお悩みを抱えるASDのある人は少なくありません。ですが、ASDのある人が自分に合う仕事・職場に転職することは、もちろん可能です。

このコラムでは、ASDのある人が転職活動を成功させるステップや向いてる仕事について解説します。あわせて、ASDのある人の転職をサポートする支援機関を紹介します。

このコラムが、ASDの特性で転職について悩むあなたのヒントになりましたら幸いです。

私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、転職を検討しているASDのある人のための就労移行支援事業所です。

  • 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
  • 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
  • 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月

神田・新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。

ASDのある人が転職を成功させるための5ステップ

この章では、ASDのある人が転職を成功させるためのステップについて解説します。

各ステップを意識することで、自分に向いてる仕事・職場への転職が実現しやすくなるはずです。

ステップ①医療機関や支援機関と相談する

転職に向けた事前準備を行う前に、まず以下2点を行っておきましょう。

  1. うつ病、社交不安障害などの二次障害がある場合は、医療機関で治療を行う
  2. 発達障害の支援機関を利用する

ASDの特性に由来する困難から、うつ病などの二次障害を併発することがあります。あなたが二次障害を併発していれば、その治療を優先しましょう。そうすることで、健康的に働き続けられる職場への転職に着実に近づけます。

確定診断や二次障害があってもなくても、発達障害のある人をサポートする支援機関を利用しましょう。サポートを利用した方が転職が進みやすくなるはずです。

例えば、以下のようなメリットが考えられます。

  • 自己の特性への理解が深まり、向いてる仕事や働き方がわかった
  • 自己のコミュニケーション上の課題がわかり、エントリーシートへの記載内容や面接での話し方を改善できた
  • 同じような特性のある人が転職を成功させた方法を知って、自分に流用できた

また、ASDを疑っているが、診断は受けていない人も、転職・仕事・生活などを相談できるところはたくさんあります。

これからお伝えする各ステップも、支援機関と随時相談することで、実際のあなたのための具体的な方法や内容がわかっていくはずです。

ステップ②特性理解、知識やスキルの獲得する

転職の事前準備には、以下のようなものがあります。いずれも自分に合う転職を成功させるために必要です。

  • 雇用枠や就労方法など転職後の働き方の種類の理解する
  • 特性に関連した自己分析し、自分の特性・性質やそれへの対応法、得意・不得意などを言語化する
  • 特性以外の部分の自己分析し、希望条件、ワークライフバランスのあり方、将来の希望などを言語化する
  • 必要に応じて、または可能性を広げるために、ビジネススキル・ビジネスマナー・特性対策などの獲得する

自己分析や、ビジネススキル・ビジネスマナー・特性対策などの獲得は、自分一人では難しい部分もあります。転職活動をサポートする支援機関の利用もご検討しましょう。

ステップ③自分に合う転職先を探す

事前準備を行ってから、または事前準備と並行しつつ、自分に合う業界や職種、雇用枠、働き方、求人などを探しましょう。

転職先探しでは、一般論や待遇だけではなく、実際のあなたの自己分析と転職先候補との相性を意識することが大切になります。

ASDのある人に向いてる仕事については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

ステップ④エントリーシートや面接の対策・実施する

転職先候補が見つかったら、希望する働き方・自己分析・求人内容などをすり合わせて、エントリーシートを作成し、面接に臨みます。

ASDのある人は、社会性、コミュニケーション、想像力に困難があることが多いので、支援機関を利用して、しっかり対策を行いましょう。

対策をきちんと行えば、なぜこの仕事を希望したのか、どういった業務を希望するのかなどをうまく伝えられるようになるはずです。

特に、障害者雇用やオープン就労の場合、ASDのことを転職先に伝える場合は、特性や自分なりの対策とともに、職場にお願いしたい配慮なども言語化しておきましょう。

ステップ⑤転職後もサポートを利用する

転職後にも、支援機関を引き続き利用することは可能です。

特にオープン就労や障害者雇用の場合は、あなたと支援機関、職場の三者で情報を共有したり、話し合いなどを設けたりすることもできます。

「転職した後にしんどくならずに働き続けられるのかが一番心配」と不安を感じている人もいますが、これまでのステップがうまくいっていて、転職後のサポートも引き続き利用していれば、自分に合った職場で、長く働き続ける可能性が高まります。

転職・就職後に受けるサポートのことを、一般的に職場定着支援と言います。職場定着支援については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

ASDのある人の職場での対処法については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

ASDのある人に向いてる仕事・向いてない仕事

ASDのある人には、以下のような仕事が向いてると考えられます。

ASDのある人に向いてる仕事
  • 経理事務
  • 会計士
  • 法務
  • 専門事務
  • 設備点検
  • トラック運転手
  • プログラマー
  • ソフトウェアなどのテスター
  • デバッガー
  • ゲームクリエーター
  • 校正・校閲
  • テクニカルライター・専門的な技術に関する文章を書くライター
  • 研究者
  • 数学者
  • 設計技術者
  • 工学系デザイナー
  • CADオペレーター
  • フリーランスのデザイナー・ライター
  • アニメーター
  • カメラマン
  • 駅員
  • 動物の調教師
  • ライン作業
  • 軽作業
  • 清掃員
  • ルーティンワーク・定型的な業務が可能な仕事

ASDのある人には、以下のような仕事が向いてないと考えられます。

ASDのある人に向いてない仕事
  • ウェイターなどの接客業
  • 自動車ディーラーなどの販売代理店
  • 営業職
  • コールセンター、案内係などの窓口対応業務
  • 総務職
  • 秘書

ASDのある人に向いてる仕事や向いてない仕事については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

ASDのある人の転職をサポートする支援機関5選

この章では、ASDのある人の転職をサポートする支援機関を紹介します。

団体①就労移行支援事業所

就労移行支援事業所とは、一般企業などへの就職を目指す病気や障害のある人に向けて、就職のサポートをする支援機関のことです。体調管理の方法、職場でのコミュニケーションの基礎スキル、就職に必要な専門スキルなどを学ぶことができ、実際の就職活動でのアドバイス、就職後の職場定着支援も含む、総合的な就労支援を受けることが可能です。

就労移行支援は、障害者総合支援法に基づいて行われる福祉サービスです。実際のサービスは、国の基準を満たしたさまざまな民間の就労移行支援事業所が行います。(参考:e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」

就労移行支援事業所は各地にあります。私たち、キズキビジネスカレッジ(KBC)もその一つです。それぞれ特徴が異なるため、気になるところがあれば問い合わせてみてください。

就労移行支援事業所については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

支援機関②ハローワーク

ハローワーク(公共職業安定所)とは、仕事を探している人や求人を募集したい事業者に対して、就労に関連するさまざまなサービスを無償で提供する、厚生労働省が運営する支援機関のことです。正式名称は公共職業安定所で、職安と呼ぶ人もいます。

主に職業相談や職業訓練、求人情報の提示などを行っており、具体的な支援内容は事業所によって異なりますが、一般的には以下のような幅広いサポートを行います。

全国に500ヶ所以上あり、主に職業相談や職業訓練、求人情報の提示、雇用保険や雇用対策など、地域密着型の雇用に関する幅広いサポートを行います。

また、病気や障害のある人に向けたサポートも行っています。障害者手帳を所持していない人でも、医師による診断書があれば、障害の特性や希望職種に応じた職業相談や履歴書や面接での病気・障害の伝え方などのサポートを受けることができます。

ハローワークについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

支援機関③発達障害者支援センター

発達障害者支援センターは、発達障害の早期発見と早期支援を目的として、発達障害のある人とその家族などをサポートするための支援機関のことです。(参考:国立障害者リハビリセンター 発達障害情報・支援センター「発達障害支援センターとは」

保健、医療、福祉、教育、労働など、さまざまな分野の関係機関と連携しながら、地域の支援ネットワークを構築し、多様な相談に応じて、指導や助言を行っています。また、求人に関する情報提供や就業先へのアドバイスなども行っています。

発達障害支援センターは、幼少期に発達障害の診断を受けた人だけでなく、大人になってから発達障害の診断を受けた人も支援の対象です。また、医師から発達障害の診断を受けていない人でも支援を受けることが可能で、発達障害がある可能性がある人からの電話相談なども受け付けています。

運営は都道府県や政令市が主体です。うち約75%は社会福祉法人・特定非営利活動法人などの民間法人が委託を受けて運営しています。(参考:発達障害者支援センター全国連絡協議会「発達障害者支援センターについて」

各施設には、発達障害者支援センター運営事業実施要綱に基づき、最低3名の専任職員が配置されることになっています。要綱には社会福祉士の配置が規定されていますが、センターによっては臨床心理士、言語聴覚士、精神保健福祉士、医師などの専門家も配置されているところもあります。

2024年8月時点で、全国に約100か所の施設があります。窓口は、各自治体や指定の事業所に設置されています。

支援機関④障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターとは、雇用や保健、福祉、教育に関する関係機関と連携し、障害のある人の雇用の促進・安定を目的とした一体的な支援を行っている支援機関のことです。(参考:厚生労働省「障害者就業・生活支援センター」、厚生労働省「障害者就業・生活支援センターについて」、厚生労働省「障害者の雇用の促進等に関する法律」、厚生労働省「障害者就業・生活支援センターの指定と運営等について」

障害のある人の就職活動の支援や求人の紹介、職場定着のためのサポートなどを行います。

就業面だけでなく、金銭管理などの経済面や生活面のことまで、日常および地域生活に関する支援も行っています。

生活習慣や金銭管理、健康管理などについても幅広く相談できるため、生活面のサポートも受けたい人にオススメです。

2024年4月1日時点で、障害者就業・生活支援センターは全国に337箇所設置されています。

支援機関⑤精神保健福祉センター

精神保健福祉センターとは、精神障害のある人のサポートを目的とした、地域の精神保健福祉の中核を担う支援機関のことです。(参考:東京都福祉保健局「精神保健福祉センターとは」、e-Gov法令検索「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」

精神保健福祉法(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)に基づき、各都道府県に設置されています。地域によって、こころの健康センターや心と体の相談センターなど、一部名称が異なります。

精神保健福祉センターでは、精神疾患に関連する悩みの相談や社会に適応するための指導と援助を行っています。

精神障害による症状で悩んでいる本人だけでなく、ご家族や周囲の人の相談も受け付けています。また、匿名での相談も受け付けています。医師から正式な診断を受けていなくても相談は可能です。

詳しくは、お住まいの自治体の精神保健福祉センターにお問い合わせください。

改めて、ASDとは?

この章では、改めてASDについて解説します。

既にご存知かもしれませんが、これまでに紹介した内容の理解も深まると思いますので、ご覧ください。(参考:『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、宮尾益知『ASD(アスペルガー症候群)、ADHD、LD 職場の発達障害』、姫野桂『発達障害グレーゾーン』、厚生労働省「ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について」

①ASDの概要

ASDとは、自閉スペクトラム症、自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder)を意味する発達障害の1種です。

ASDには多くの特性がありますが、その中でも以下の2点がよく見られるものとして挙げられます。

  1. 社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的な欠陥
  2. 行動、興味、または活動の限定された反復的な様式

ほかに、感覚過敏(光や音や刺激への敏感さが目立つ)、発達性協調運動障害(不器用さが目立つ)などの特性がある人もいます。

なお、スペクトラムとは、特性にさまざまなグラデーションがある、という意味です。一口にASDと言っても、その特性の現れ方はひとりひとり異なります。

②ASDの名称・分類

ASDという名称・分類が使用されはじめたのは、2013年に、アメリカ精神医学会が前掲の『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引』を定めてからです。

それよりも昔には、自閉症やアスペルガー症候群、広汎性発達障害などの名称・分類であり、診断基準も現在とは異なっていました。

かつての分類では、言語発達に遅れのある場合を自閉症、知能が定型の人と同等で言語発達の遅れがないケースをアスペルガー症候群と区分して判断する傾向がありました。

一方、ASDという分類では、厳密な区分ではなく、地続きの障害(=スペクトラム)としてとらえようとしています。

なお、現在も正式な医学用語以外の場面(日常会話や法令名など)では、アスペルガー症候群などの旧名称・分類が残っていることもあります。

③ASDによる具体的な困難

ASDの特性は、具体的には以下のような形・傾向で現れることがあります(例であり、ASDのある人には必ずこのような傾向がある、このような傾向があれば必ずASDであるわけではありません)。

  • 人と目線が合いにくい
  • 場の状況や上下関係に無頓着である
  • 名前を呼ばれても反応しない
  • 一方的に言葉をまくしたてる
  • 会話による意思疎通がうまくできず、コミュニケーションの齟齬が生じやすい
  • 他人の発言をそのまま繰り返す
  • 相手の身振りの意味、意見・気持ちなどを察しづらい
  • 自分の考えと別の可能性を想定しづらい(相手の立場に立って考えることが苦手)
  • 質問の意図や発言の狙いを理解しづらい
  • 比喩や冗談を理解しづらい
  • 表情から気持ちを察しづらい
  • 自分だけのルールにこだわる
  • 決まった順序や道順にこだわる
  • 予定が急変するとパニックになる(パターン化した行動をする方が落ちついた生活を送れる)

④ASDの診断は医師だけが可能

自分が(ある人が)ASDかどうかの診断は、医師による問診や心理士が実施する心理検査を中心に行われます。

逆に言うと、医師以外にはASDかどうかの診断・判断はできません。

あなたが(ある人が)発達障害かどうかをハッキリさせたいのであれば病院を受診してみることをオススメします。

「診断を受けるのが不安」と思う人は、発達障害者のサポートを行う団体(各都道府県にある発達障害者支援センターなど)に病院に行くべきかどうか、診断をつけるメリットや注意点は何かなどを相談できます。

⑤ASDの医学的な診断基準

以下は、2013年にアメリカ精神医学会がまとめた『DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル』精神障害の診察基準などを記した書籍)に挙げられているASDの診断基準を抜粋・一部編集したものです。

以下のような診断基準に当てはまればASDの可能性があります(あくまで可能性です。どの程度なら当てはまると言えるか、ほかの病気や障害の可能性はないかなども含めて、ある人がASDかどうかは、医師だけが判断できます)。

A.複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的欠陥がある
  1. 相互の対人的-情緒的関係の欠落で、例えば、対人的に異常な近づき方や通常の会話のやり取りのできないことといったものから、興味、情動、または感情を共有することの少なさ、社会的相互反応を開始したり応じたりすることができないことに及ぶ
  2. 対人的相互反応で非言語的コミュニケーション行動を用いることの欠陥、例えば、まとまりのわるい言語的、非言語的コミュニケーションから、アイコンタクトと身振りの異常、または身振りの理解やその使用の欠陥、顔の表情や非言語的コミュニケーションの完全な欠陥に及ぶ
  3. 人間関係を発展させ、維持し、それを理解することの欠陥で、例えば、さまざまな社会的状況に合った行動に調整することの困難さから、想像上の遊びを他者と一緒にしたり友人を作ることの困難さ、または仲間に対する興味の欠如に及ぶ
B.行動、興味、または活動の限定された反復的な様式が2つ以上ある
  1. 情動的または反復的な身体の運動、ものの使用、または会(例:おもちゃを一列に並べたり物を叩いたりするなどの単調な常同行動、反響言語、独特な言い回し)
  2. 同一性への固執、習慣への頑ななこだわり、または言語的、非言語的な儀式的行動様式(例:小さな変化に対する極度の苦痛、移行することの困難さ、柔軟性に欠ける思考様式、儀式のようなあいさつの習慣、毎日同じ道順をたどったり、同じ食物を食べたりすることへの要求)
  3. 強度または対象において異常なほど、きわめて限定され執着する興味(例:一般的ではない対象への強い愛着または没頭、過度に限局したまたは固執した興味)
  4. 感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ、または環境の感覚的側面に対する並外れた興味(例:痛みや体温に無関心のように見える、特定の音または触感に逆の反応をする、対象を過度に嗅いだり触れたりする、光または動きを見ることに熱中する)

⑥いわゆる「大人のASD」とは?

大人のASDという言葉を聞くことがあるかもしれません。大人のASDとは、医学的な定義がある言葉ではありません。以下のような状態を指す俗語です。

  1. 学童期には目立った特性や困難が見られなかった、またはその診断等を受けることはなかったものの、成人してから仕事の場などでその特性が顕在化し、ASDの診断を受けることになった例
  2. 子どもの頃からASDの診断を受けていた人が大人になった状態

1に関連して、発達障害は生まれつきのものであり、大人になって(大人になるにつれて)発達障害になることではありません。その上で、大人になって受けた検査でASDであることが初めて判明するケースは少なくないようです。

⑦ASDの「グレーゾーン」とは?

ASDの傾向が確認されるものの、確定診断が下りるほどではないほどの状態・人のことを俗に(ASDの)グレーゾーンと言います

グレーゾーンの場合、確定診断がないことから利用できる公的なサービスが限定されることがあります(例:障害者手帳を取得できないため障害者手帳が必須なサービスを利用できない)。

ただし、グレーゾーンの人でも発達障害者支援センターのような支援機関への相談は可能です。

確定診断があってもなくても、またASDに関係してもしなくても発達障害に関する悩み事は専門的な知識を持つ人たちに相談した人が対策や解決策を見つけやすくなるでしょう。

⑧ASD以外の発達障害

発達障害はその特徴によって、いくつかのグループに分けられています。

ASD以外の主な発達障害には、ADHD(注意欠如・多動性障害)、SLD(限局性学習障害)などがあります。

ASDとADHDの主な違いは、対人関係でのコミュニケーション能力の差にあらわれます。

ASDの場合

他人の身振りの意味などを察することや、状況の推測・暗黙の了解を理解しにくいことが多いです。運動が苦手なことも多いです。

ADHDの場合

ASDのある人と比べると、コミュニケーションに大きな齟齬が生じたり、会話のやり取りや身振りの意味の理解に不自由さが生じたりすることは少ないです。 一方で、書類の記入間違いや物忘れといったミスが多いです。

ASD・ADHD・SLDの複数が併存する人もいます。詳細については、以下コラムで解説しています。ぜひご覧ください。

まとめ:ASDの特性があっても転職できます

双眼鏡を覗く人のイラスト

ASDの特性があっても、あなたに合う仕事・職場への転職はもちろん可能です。ただし、転職について一人で悩んでいると、考えが悲観的な方向に進みやすくなります。

ご紹介したように、ASDのある人が利用することのできる支援機関はたくさんあります。そうしたところとしっかり話しながら、一緒に対策を考え、転職先を探していくことで、あなたの転職活動はうまく進んでいくことでしょう。

このコラムが、あなたの転職に役立てば幸いです。

よくある質問(1)

ASDの自分が転職を成功させるためのステップを知りたいです。

一般論として、以下の5点が考えられます。(1)医療機関や支援機関と繋がる、(2)特性を理解し、知識やスキルを獲得する、(3)自分に合う転職先を探す、(4)エントリーシートや面接の対策をする、(5)転職後もサポートは引き続き利用する。詳細はこちらをご覧ください。

よくある質問(2)

ASDの転職の支援機関を知りたいです。

よくある例として、以下の6つが挙げられます。(1)ハローワーク、(2)転職エージェント、(3)就労移行支援事業所、(4)発達障害者支援センター、(5)障害者就業・生活支援センター、(6)精神保健福祉センター。詳細はこちらをご覧ください。

監修志村哲祥

しむら・あきよし。
医師・医学博士・精神保健指定医・認定産業医。東京医科大学精神医学分野睡眠健康研究ユニットリーダー 兼任准教授、株式会社こどもみらいR&D統括。 臨床医として精神科疾患や睡眠障害の治療を行い、また、多くの企業の産業医を務める。大学では睡眠・精神・公衆衛生の研究を行っており、概日リズムと生産性、生活習慣と睡眠、職域や学校での睡眠指導による生産性の改善等の研究の第一人者。

【著書など(一部)】
子どもの睡眠ガイドブック(朝倉書店)』『プライマリ・ケア医のための睡眠障害-スクリーニングと治療・連携(南山堂)』
他、学術論文多数

日経新聞の執筆・インタビュー記事一覧
時事メディカルインタビュー「在宅で心身ストレス軽減~働き方を見直す契機に」

監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。

【著書ピックアップ】
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』

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翔泳社公式 【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)

【その他著書など(一部)】
学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧

【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

監修角南百合子

すなみ・ゆりこ。
臨床心理士/公認心理師/株式会社こどもみらい

サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)

うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。2024年10月現在、首都圏・関西に6校舎を展開しています。トップページはこちら→

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