就労移行支援 キズキビジネスカレッジ(KBC) 転職したいASDのある人へ 失敗しないためのポイントや、向いてる仕事を解説

こんにちは、就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。
- ASDがあっても、転職できるのだろうか…
- 転職したいけれど、また同じことで悩むことになるのではないか…
ASD(自閉症スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)のある人でも、転職は可能です。
しかし、自分の特性に合わない仕事や職場環境を選ぶと、転職を繰り返したり、新しい職場でも同じ困りごとが起きたりするリスクがあります。
だからこそ大切なのは、やみくもに転職活動を進めるのではなく、自分の特性をきちんと理解した上で、合う仕事・環境を見極め、正しいステップで転職活動を進めることです。
このコラムでは、ASDのある人が転職で失敗しないためのポイントや、 向いてる仕事・避けた方がよい仕事について解説します。
あわせて、ASDのある人が利用できる就労支援サービスを紹介します。
「自分に合った働き方を見つけたい」と考えているあなたの参考になれば幸いです。
目次
ASDのある人の転職は「進め方」が重要
ASDのある人の転職は、進め方ひとつで結果が変わります。
特性に合わない仕事・環境を選んだまま転職しても、同じ困りごとが繰り返されるリスクがあるためです。
しかし、自分の特性を深く理解し、無理なく働けるようになることもあります。
例えば、コミュニケーションが頻繁に求められる職場で消耗していたASDのある人が、ルールやマニュアルの整った職場に転職したことで、正確性や集中力が強みとして評価されるようになったケースがあります。
これは能力の問題ではなく、特性と仕事・環境のマッチングの問題です。
大切なのは、早く転職先を見つけることではなく、自分の特性に合った仕事・環境を見極めた上で、正しいステップで進めることです。
ASDのある人が転職でつまずきやすい理由
この章では、ASDのある人が転職でつまずきやすい理由について解説します。
理由①自己理解が不足している
1つ目は、自己理解が不足していることです。
自分の特性を十分に把握できていないまま転職活動を進めると、また今の職場と同じような困りごとが起きやすくなります。
以下のような状況に心当たりがある人は、まず自己理解を深めましょう。
- 自分がどんな状況で消耗するか、うまく説明できない
- 「なんとなく合わない」とは感じるが、何が原因かわからない
- 面接で「苦手なことは何ですか?」と聞かれても答えに詰まる
自己理解を深める簡単な方法の1つが、困りごとの記録です。
今の職場でしんどいと感じた場面を書き出し、どんな状況で・何が原因で・どのくらい消耗したかを整理するだけで、自分の特性と苦手なパターンが見えてきます。
理由②職場環境のミスマッチが起きやすい
2つ目は、職場環境のミスマッチが起きやすいことです。
仕事の内容だけでなく、働く環境が合っているかどうかも、ASDのある人にとって重要です。
ASDのある人が働く上で困りやすいこととして、合わない職場環境、上司や同僚などの理解不足、障害に特化した合理的配慮の欠如などがあります。 (参考:早稲田大学 梅永雄二「発達障害と就労をめぐる現状と課題」)
どれだけ仕事内容が自分に合っていても、職場環境の問題によって働き続けることが難しくなるケースがあるのです。
ASDのある人がとくにミスマッチを感じやすい職場環境は、以下のとおりです。
- オープンオフィスや工場など、騒音・感覚刺激が多い
- 指示が口頭のみで曖昧、またはそのつど変わる
- 暗黙のルールや空気を読むことが求められる
- 上司や同僚などの職場の人間関係が複雑で、板挟みになりやすい
転職先を選ぶ際は、仕事の内容だけでなく、職場環境が自分の特性に合っているかを必ず確認しましょう。
理由③スキル不足のまま転職に挑戦する
3つ目は、スキル不足のまま転職に挑戦することです。
未経験歓迎・スキル不問とある求人でも、実際の業務には最低限必要なスキルがあるためです。
以下のようなスキルは、多くの職場で身につけていて当たり前とされることが少なくありません。
- 基本的なPCスキル(Word・Excel・メール操作など)
- 報連相(報告・連絡・相談)の習慣
- ビジネスメール・文書の基本的な書き方
- 業務の優先順位をつける段取り力
スキルがあると転職先の選択肢が広がり、自分の特性に合った環境を選ぶ側になれます。
特に、プログラミングや簿記など、専門的なスキルを習得することで、リモートワーク可能な職場や、1人で集中して取り組める業務の求人に応募しやすくなります。
理由④1人で抱え込みすぎる
4つ目は、1人で抱え込みすぎることです。
転職活動を1人で進めようとすると、客観的な視点が得づらく、判断を誤りやすくなります。
ASDのある人は、自分の特性を客観的に把握することが難しい場合があり、求人選びなどの判断を1人で行うと、思い込みや偏りが生じやすくなるためです。
以下の状況に心当たりがある人は、転職活動を始める前に相談できる環境を整えることを優先しましょう。
- 求人を見ても、自分に合っているかどうか判断できない
- 転職の不安や悩みを打ち明けられる人が周囲にいない
- 面接対策や書類作成をすべて自分でこなそうとしている
- 過去の転職でも、1人で抱え込んで消耗した経験がある
就労移行支援事業所やハローワークなど、相談できる環境を早めに整えることで、転職活動をより安心して進められます。
理由⑤特性への配慮が得づらい
5つ目は、特性への配慮が得づらいことです。
ASDのある人の場合、外見からは特性が見えにくいため、職場の上司や同僚などの職場の人に必要な配慮が伝わらないまま働き続けるケースが少なくありません。
2016年の障害者雇用促進法改正以降、事業主には障害のある人への合理的配慮の提供が義務づけられていますが、言わなくても配慮を得られるという状況はほぼありません。
以下のような経験がある人は、配慮を伝えられていないことが困りごとの原因になっている可能性があります。
- 口頭のみで曖昧な指示を出され続け、ミスが重なった
- 騒音の多い環境で感覚過敏の症状が悪化し、体調を崩した
- 「普通にやればできるはず」と言われ、無理をして消耗した
- 特性を伝えたかったが、どう説明すればいいかわからなかった
配慮を得るためには、自分から特性と必要なサポートを伝えることが前提です。
転職先を選ぶ際には、配慮を求めやすい環境かどうかを事前に確認することも、職場選びの重要な基準になります。
転職したいASDのある人に向いてる仕事・避けた方が良い仕事
この章では、転職したいASDのある人に向いてる仕事・避けた方が良い仕事について解説します。
①転職したいASDのある人に向いてる仕事の特徴
ASDのある人に向いてる仕事には、以下のような特徴があります。
- 人と接することが少ない仕事
- 静かな環境で、1人で進められる仕事
- ルールやマニュアルに沿って進められる仕事
- 定型作業が中心で淡々と取り組める仕事
- 専門性やこだわり、視覚的な処理能力を活かせる仕事
ASDのある人の中には、対人コミュニケーションに負担を感じやすい特性がある人がいます。そのため、人と接する機会が少なく、一人で業務を完結できる仕事が向いていると言えます。
また、手順ややるべきことが明確な仕事であれば、臨機応変な対応やトラブルが生じない限り、安定して働きやすいと考えられます。
毎日同じ手順で進められる定型作業も、変化への対応が苦手なASDのある人にとっては力を発揮しやすい環境です。
ほかにも、ASDのある人の中には、興味・関心のある分野に対して強い集中力を発揮する特性がある人がいます。
そのような特性がある場合、専門性やこだわりを活かせる仕事で強みを発揮できるでしょう。
②転職したいASDのある人に向いてる仕事例
ASDのある人には、以下のような仕事が向いてると考えられます。
- 経理事務
- 会計士
- 法務
- プログラマー・エンジニア
- ソフトウェアテスター・デバッガー
- 校正・校閲
- 研究者・専門職
- CADオペレーター・設計技術者
- テクニカルライター
- ライン作業・軽作業・清掃員
- アニメーター・フリーランスのデザイナー
経理事務・会計士・法務などは、数字や法令といった明確なルールに基づいて進める仕事のため、正確性や規範意識の高さを強みとして活かしやすいです。
ログラマー・エンジニア・ソフトウェアテスター・CADオペレーターなどは、論理的な思考力や細部への集中力を発揮しやすく、1人で黙々と取り組める環境が多い点でも向いてる傾向があります。
校正・校閲・テクニカルライターは、言葉や専門知識へのこだわりが直接評価につながりやすい仕事です。
ライン作業・軽作業・清掃員は定型作業が中心で人との関わりも少なく、アニメーターやフリーランスのデザイナーは個人で作業を完結できる環境が多いため、ASDの特性にあった仕事と言えるでしょう。
③転職したいASDのある人が避けた方が良い仕事の特徴
ASDのある人が避けた方が良い仕事には、以下のような特徴があります。
- 電話応対や取引先との交渉が多い仕事
- 対人コミュニケーションが重視される仕事
- マルチタスクが求められる仕事
- 予想外の出来事が多い仕事
- 機転を利かせて処理しなくてはならない仕事
ASDのある人の中には、相手の気持ちを察したり、その場の空気を読んで柔軟に対応したりすることに困難を感じやすい特性がある人がいます。
そのため、顧客対応や取引先との交渉など、対人コミュニケーションが業務の中心になる仕事では、特性による負担が蓄積しやすくなります。
また、予期せぬ変化やイレギュラーな対応に強いストレスを感じやすい特性があるため、マニュアルでは対応しきれない突発的な出来事が日常的に起きる仕事も、ミスマッチが生じやすいです。
複数の業務を同時並行で進めるマルチタスクも、混乱やミスにつながりやすくなります。
ただし、実際の職場環境やサポート体制によって向き・不向きは変わるため、支援機関や専門家に相談しながら判断しましょう。
④転職したいASDのある人が避けた方が良い仕事例
ASDのある人には、以下のような仕事は避けた方が良い可能性があります。
- 接客業
- 営業職
- コールセンター・窓口対応業務
- 総務職
- 秘書
接客業・営業職・コールセンターなどは、顧客や取引先との対人コミュニケーションが業務の中心となるため、特性による負担が蓄積しやすい仕事です。
総務職・秘書は、社内外との調整や急な対応が多く、マルチタスクや臨機応変さが常に求められる傾向があります。
一方で、実際の職場環境やサポート体制によっては問題なく働けるケースもあります。実際の職場環境も含めて、支援機関や専門家に相談しながら判断しましょう。
ASDのある人が転職で失敗しないためのポイント
この章では、ASDのある人が転職で失敗しないためのポイントについて解説します。
ポイント①自己理解を深める
1つ目のポイントは、自己理解を深めることです。
ASDのある人は、自分が苦手なことや苦痛を感じやすい状況を、言語化できていないケースが少なくありません。
「なんとなくこの職場は辛かった」「うまくいかなかった」など、感覚のまま転職活動を進めると、同じような環境を選び、転職後も同じ困りごとが繰り返されるリスクがあります。
ASDのある人は、特定の刺激に強く反応したり、暗黙のルールや曖昧な指示への対応に困難を感じやすかったりと、苦手なことのパターンに特性が反映されやすいです。
だからこそ、自分はどんな状況で苦痛を感じるのか、どんな環境であれば力を発揮できるのかを具体的に把握しておくと、転職先選びで失敗しづらくなります。
ポイント②自分に合う仕事・環境を見極める
2つ目のポイントは、自分に合う仕事・環境を見極めることです。
ASDのある人が転職後にミスマッチを感じやすい場面としては、以下のようなものが挙げられます。
- 職場の騒音や照明など、感覚的な刺激が強い環境
- 口頭での曖昧な指示が多く、何をすればよいかわからない
- 暗黙のルールや人間関係の複雑な駆け引きが職場文化として根づいている
- タスクが頻繁に変わり、マルチタスクが常態化している
こうしたミスマッチを避けるために、まず過去の経験を振り返ってみましょう。
「以前の職場でどんなときに強いストレスを感じたか」「どんな指示の出し方が苦手だったか」などを紙に書き出すことで、自分が避けるべき環境の条件が整理されてきます。
また、転職先を選ぶ際にはブラック企業を避ける視点も欠かせません。
残業が恒常化している、指示系統が不明確、上司によって言うことが変わるなどの職場は、ASDのある人にとって特に負担が大きくなりやすいです。
口コミサイトや面接時の職場見学を活用し、働き方の実態を事前に確認しておくことをおすすめします。
ポイント③無理なく働ける雇用形態を選ぶ
3つ目のポイントは、無理なく働ける雇用形態を選ぶことです。
転職先を探す際、「正社員でなければ」と考えている人もいるかもしれません。
しかし、働き方の選択肢は正社員や一般雇用だけではありません。自分の特性や体調、生活リズムに合った雇用形態を選ぶことが、長く安定して働き続けることにつながります。
例えば、在宅勤務が可能な契約社員や派遣社員を選ぶことで、感覚過敏やコミュニケーションへの負担を軽減できる場合があります。
また、障害者雇用枠(オープン就労)を利用することで、職場側に配慮を求めやすくなり、無理なく働ける環境が整いやすくなります。
雇用形態の種類や特徴については、以下のコラムも参考にしてください。
ポイント④スキルを身につける
3つ目のポイントは、スキルを身につけることです。
スキルを身につけてから転職活動を始めると、選べる仕事や職場の幅が広がり、自分の特性に合った環境を選びやすくなります。
ASDのある人が身につけると役立つスキルは、以下が挙げられます。
- ITスキル(ExcelやWord、プログラミングなど)
- 事務スキル(文書作成、データ管理、ファイリングなど)
- コミュニケーションスキル(報連相、メールの書き方など)
就労移行支援事業所では、こうしたスキルを訓練しながら転職準備を進めることができます。
転職を焦らず事前に準備を整えておくと、転職後の安定にもつながります。
ポイント⑤配慮してほしいことを伝える
5つ目のポイントは、配慮してほしいことを伝えることです。
「言わなくてもわかってもらえるだろう」という意識でいると、入社後に困りごとが発生する可能性があります。
履歴書や面接の場で配慮事項を伝えておくことで、職場側も事前に受け入れ体制を整えやすくなります。配慮事項の伝え方の例は、以下のとおりです。
配慮事項を伝える際は、自分の困りごととどうしてほしいかという具体的な配慮の内容をセットで伝えるのがポイントです。
苦手なことだけを伝えると、企業側がどう対応すればよいかわからなくなることがあるため、具体的な対応策まで一緒に提示しましょう。
ASDのある人が知っておきたい転職活動のステップ
この章では、ASDのある人が知っておきたい転職活動のステップについて解説します。
ステップ①自己分析
1つ目のステップは、自己分析をすることです。
自己理解が不十分なまま転職先を探すと、同じ困りごとが繰り返されるリスクが高まります。まずは、以下の3つの軸で自己分析してみましょう。
- できること:これまでの経験やスキルの中で、比較的スムーズにこなせたこと、評価されたこと
- 苦手なこと:繰り返しミスが出た場面、強いストレスを感じた状況、うまく対応できなかった経験
- 配慮事項:職場に事前に伝えておきたいこと(感覚過敏、口頭指示の苦手さ、マルチタスクへの困難さなど)
また、これまで働いてきた職場で苦痛だった場面や力を発揮しやすかった環境などを振り返りながら書き出していくと、自分の傾向が見えやすくなります。
ASDのある人の中には、自分の特性を客観的に把握することが難しい人もいます。
そのため、就労移行支援事業所やハローワークの専門支援員に相談し、第三者の視点からフィードバックをもらいながら進めることがおすすめです。
ステップ②求人選び
2つ目のステップは、求人を選ぶことです。
ASDのある人にとっては、職場環境や配慮体制に関する情報が特に重要です。そのため、求人票を見る際には、以下のポイントを確認してみましょう。
- 業務内容の明確さ:コミュニケーション能力を活かせるなどの曖昧な表現が多い求人は、暗黙のルールが多い職場の可能性がある
- 職場環境の記載:在宅勤務・フレックス制度・少人数チームなど、働き方に関する具体的な記載があるかを確認する
- 配慮への姿勢:障害者雇用枠の場合は、配慮内容(業務調整・通院休暇など)が具体的に記載されているかを確認する
- 残業・休日の実態:求人票の記載と実態が乖離していないかを、口コミサイトや面接での質問で確認する
また、NG求人を見抜く視点も大切です。「アットホームな職場」「自主性を重んじる」などの表現は、指示が曖昧・業務範囲が不明確な職場を示している場合があります。
さらに、「体力に自信のある方」「ガッツのある方歓迎」などの表現も、長時間労働が常態化している可能性があるため注意が必要です。
ステップ③応募・書類対策
3つ目のステップは、応募書類を準備することです。
職務経歴書では、これまでの業務経験やスキルをわかりやすく伝えることが基本です。
ASDのある人の場合、正確な作業やルールや手順に沿った業務が得意、特定分野への深い知識があるなどの強みを、具体的なエピソードとともに記載すると、採用担当者に伝わりやすくなります。
具体的な例文は、以下のとおりです。
なお、ASDの特性については、職務経歴書に記載するかどうかは任意です。
ただし、障害者雇用・オープン就労で働く場合は、ASDについて記載する必要があり、合わせて配慮事項を簡潔に記載しておくと、採用側との認識のズレを防ぎやすくなります。
記載する際は、「〇〇が苦手です」という表現だけでなく、「〇〇の場合は△△の方法で対応しています」と対処法もセットで記載すると、前向きな印象を与えやすくなります。
具体的な例文は、以下のとおりです。
自分の経験や特性を正直に、自分の言葉で伝えることが、採用担当者に自分をきちんと知ってもらうことにつながります。
ステップ④面接対策
4つ目のステップは、面接対策をすることです。
面接では、予想外の質問への対応や、会話のテンポ・間の取り方など、面接特有のコミュニケーション場面に戸惑い、本来の自分の強みを伝えられないまま終わるケースも少なくありません。
そのため、面接対策をしてから本番に臨むようにしましょう。面接対策として、以下の方法が効果的です。
- 想定質問に対する回答を事前に用意する:志望動機・自己PR・前職を辞めた理由・苦手なことと対処法など、よく聞かれる質問への回答をあらかじめ文章にしておく
- 声に出して練習する:頭の中で考えるだけでなく、実際に声に出して練習する
- ロールプレイングを活用する:就労移行支援事業所のスタッフやキャリアカウンセラーに面接官役をお願いし、本番に近い形で練習する
- 当日の流れをシミュレーションしておく:面接会場までの経路確認、所要時間、入室の手順など、当日の流れを事前に具体的にイメージしておく
緊張への対策は、深呼吸や自分なりのルーティンを決めておくのがおすすめです。
面接前に決まった音楽を聴く、特定の言葉を心の中で繰り返すなど、自分が落ち着ける行動パターンを用意しておきましょう。
面接でよく聞かれる具体的な質問例と回答のポイントについては、こちらで詳しく解説しています。
ステップ⑤入社準備
5つ目のステップは、入社準備をすることです。
転職活動は、内定をもらった時点でゴールではありません。むしろ、転職後に安定して働き続けるための準備が、この段階では最も重要です。
入社前に取り組んでおきたいことは、以下のとおりです。
- 入社後の流れを事前に把握しておく
- 必要な配慮・サポートを伝えておく
- 業務の流れをあらかじめ確認しておく
- 入社初日までに業務の全体像をつかんでおく
- 相談相手を複数人作っておく
転職後に職場で困りごとが生じた場合、1人で抱え込まずに早めに相談することが、長く安定して働き続けることにつながります。
転職したいASDのある人が面接を突破するコツ
この章では、転職したいASDのある人が面接を突破するコツについて解説します。
コツ①面接のよくある質問を把握する
1つ目のコツは、面接でよく聞かれる質問を事前に把握しておくことです。
ASDのある人の中には、予期しない質問に直面したとき、頭が真っ白になったり、言葉が出てこなくなったりするケースがあります。
こうした事態を防ぐためにも、よく聞かれる質問をあらかじめ把握し、回答を準備しておくことが特に重要です。面接でよく聞かれる質問例は、以下のとおりです。
- 自己紹介・自己PRをお願いします
- 志望動機を教えてください
- 前職を退職した理由を教えてください(転職の場合)
- 得意・不得意なことを教えてください
- どのような配慮があれば働きやすいですか
- 将来の目標やビジョンを教えてください
- 何か質問はありますか(逆質問)
回答を用意する際には、「〇〇が得意です」「〇〇を経験しました」で終わらせるのではなく、具体的なエピソードや数値を交えて話せるようにしておくと、説得力が増します。
コツ②面接で見られているポイント知る
2つ目のコツは、面接担当者がどこを見ているかを把握しておくことです。
チェックされているポイントを知っておくだけで、準備の方向性が定まりやすくなります。
障害者雇用やオープン就労の場合に面接担当者がチェックしている主なポイントは、以下のとおりです。
- 状態が安定しているか
- 自分に必要な支援を理解しているか
- 報告・相談ができるか
- 支援機関との連携があるか
- 仕事への意欲があるか
ASDのある人の場合、自分の特性を正確に把握していることや、困ったときに相談できることを具体的に示せるかどうかが、面接での評価に大きく影響します。
コツ③ASDの特性や空白期間の説明を用意しておく
3つ目のコツは、ASDの特性と空白期間についての説明を事前に用意しておくことです。
準備なしに本番を迎えると言葉に詰まりやすい場面です。
ASDの特性の伝え方の例は、以下のとおりです。
困りごとと対処法、必要なサポートの3点を簡潔にまとめておくと、面接担当者に具体的なイメージを持ってもらいやすくなります。
空白期間の伝え方の例は、以下のとおりです。
空白期間を立ち止まっていた時間ではなく、準備に充てた時間として伝えることで、前向きな印象を与えやすくなります。
ASDのある人が利用できる就労支援サービス
この章では、ASDのある人が利用できる就労支援サービスについて紹介します。
ASDのある人が転職活動で利用できる就労支援サービスは、複数あります。
利用できるサービスを知っておくだけで、1人で抱え込まずに転職活動を進めやすくなります。
- 就労移行支援事業所とは、一般企業などへの就職を目指す病気や障害のある人に向けて、就職のサポートをする支援機関です。体調管理の方法、職場でのコミュニケーションの基礎スキル、就職に必要な専門スキルなどを学べるほか、実際の就職活動でのアドバイスや、就職後の職場定着支援まで含む総合的な就労支援を受けることができます。
- ハローワークは、国が運営する公共の就職支援機関です。求人情報の提供や就職相談、職業訓練の案内など、幅広い就労支援を無料で受けることができます。
- 発達障害者支援センターは、発達障害のある人とその家族をサポートするための専門的な支援機関です。大人になってから診断を受けた人も支援の対象で、医師からの診断を受けていない場合でも相談が可能です。
- 地域障害者職業センターは、障害のある人の職業的自立を支援するための専門機関です。
- 障害者就業・生活支援センターは、就業と日常生活の両面から、障害のある人の自立を支援する機関です。就職活動中の相談だけでなく、就職後の職場定着に向けたフォローアップも行っており、仕事上の困りごとや生活面の不安を含めた総合的な相談ができます。
- 転職エージェントは、求職者と企業をつなぐ民間の就職支援サービスです。担当のキャリアアドバイザーが求人の紹介から書類添削・面接対策まで一貫してサポートしてくれるため、転職活動を効率よく進めやすくなります。
詳しくは、発達障害のある大人が利用できる支援制度・支援機関をご覧ください。
ASDのある人の就労支援サービスの選び方
就労支援サービスはいくつもあるため、自分の状況に合ったものを選ぶことが大切です。
転職の準備段階から丁寧にサポートを受けたい場合は就労移行支援事業所が適しています。具体的には、以下のような人が向いているでしょう。
- 何から始めればいいかわからない
- 自己分析・スキルアップ・書類対策・面接練習まで一貫してサポートを受けたい
- 転職活動に不安を感じており、時間をかけて準備を進めたい
とにかく早く求人を探して応募を始めたい場合、ハローワークや転職エージェントが適しています。以下のような人におすすめです。
- 求人を探したい
- 障害者雇用枠の求人を探したい
- 求人の絞り込みや応募のスケジュール管理もサポートしてほしい(転職エージェント)
まず自分の特性について相談したい場合は、発達障害者支援センターや精神保健福祉センターが適しています。
具体的には、以下のような人に向いているでしょう。
- 自分はASDかもしれないという段階で、診断をまだ受けていない
- まず誰かに話を聞いてほしい
- 医療機関への相談窓口を探している
就職後の職場定着にも不安がある場合は、障害者就業・生活支援センターや地域障害者職業センターが適しています。
以下のような不安がある人はぜひ一度相談してみてください。
- 転職後のフォローアップまで含めてサポートを受けたい
- 職場で困りごとが生じた際に相談できる環境を整えておきたい
- 「転職できても、また同じことになるかもしれない」という不安がある
いずれのサービスも、自分の状況に合った相談先を早めに見つけておくと、転職活動をスムーズに進める上で大切です。
ASDの特性を活かせる仕事に転職しませんか?
- 転職したいけど、自分に合う仕事が見つかるか不安
- また同じ職場環境で苦労するかもしれない
そんな不安を感じながら転職活動を進めているASDのある人は少なくありません。
キズキビジネスカレッジ(KBC) は、そうした不安を抱えるASDのある人の転職を、サポートしている就労移行支援事業所です。
就労移行支援とは、一般企業への就職を目指す病気や障害のある人に向けた、障害者総合支援法に基づく福祉サービスです。
体調管理の方法、職場でのコミュニケーションの基礎スキル、就職に必要な専門スキルなどを学ぶことができ、就職活動でのアドバイスや就職後の職場定着支援まで含む、総合的なサポートを受けることができます。
キズキビジネスカレッジ(KBC) には、ASDのある人が転職活動で感じやすい不安や悩みに応えられる、以下のような強みがあります。
- 自分に合う仕事が本当にわからない人に向けた適職診断
- 転職後も通用する実践的なスキルが身につく講座
- 「頑張った後の反動が大きい」「不調に気づくのが遅れる」という悩みにも対応
- 就職して終わりではなく、定着まで見据えたサポート
転職に不安を感じているASDのある人は、まず気軽に相談してみてください。
就労移行支援については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
ASDと転職に関するよくある質問
この章では、ASDと転職に関するよくある質問を紹介します。
Q1.ASDの特性を活かして働きたいけど未経験職種の転職は可能?
年齢やスキルの状況によって、現実的かどうかが変わります。
25歳前後までの第二新卒枠であれば、ポテンシャルを重視する企業が多いため、未経験職種への転職は比較的進めやすいです。
基本的なビジネスマナーやPCスキルがあれば、事務職やデータ入力、ITサポートなどへの転職が実現できるケースがあります。
30代以降になると、企業側が即戦力を求めることが多くなるため、スキルなしでの未経験転職は難しくなります。
プログラミング・Webデザイン・経理など、ASDのある人が強みを活かしやすい分野のスキルを習得した上で転職活動を進めると、選択肢が広がりやすくなります。
「やりたい仕事はあるけど何から始めればいいかわからない」という場合は、まず支援機関に相談してみてください。
Q2.ASD障害のある人にとって一般雇用と障害者雇用どちらがいい?
どちらが絶対によいとは言えず、個人の状況や優先したいことによって変わります。
障害者雇用は、特性を開示した上で配慮を受けながら働けるため、職場定着を重視する場合に合っています。
口頭指示への対応や業務量の調整など、具体的な配慮を求めやすい点がメリットです。
ただし、一般雇用と比べて給与水準が低くなる場合があります。
一方で、一般雇用は給与水準やキャリアの選択肢が広がりやすい反面、クローズ就労では配慮を受けにくく、ミスマッチが生じるリスクがあります。
なお、一般雇用でも特性を開示するオープン就労を選べば、配慮を求めながら働ける場合もあります。
1つの目安としては、配慮がなくても業務に支障が出にくい場合は一般雇用、過去に職場環境のミスマッチで離職を繰り返してきた場合は障害者雇用を検討するとよいでしょう。
Q3.ASDと診断されてから転職すると年収は下がる?
必ずしも下がるわけではありませんが、雇用形態によっては下がるケースがあります。
障害者雇用枠での転職は、一般雇用と比べて給与水準が低くなる場合が多いためです。
しかし、配慮が受けられることで長期的に安定して働き続けられれば、キャリアを積む中で収入が上がる可能性もあります。
また、転職前にスキルを習得しておくことで、年収を維持しながら転職できるケースもあります。
特性に合わない環境で消耗し続けることで体調を崩したり、離職を繰り返したりする方が、長期的なキャリアへのダメージは大きくなりがちです。
年収への不安は転職エージェントや支援機関と一緒に現実的な見通しを立てた上で、まずは自分に合った仕事・環境を見極めることを優先してみてください。
まとめ:ASDの転職は正しい方法で成功できる
ASDのある人が転職を成功させるためには、自己理解を深め、自分に合う仕事・職場・雇用形態を正しい手順で選んでいくことが大切です。
自分の特性がわからない、どこから手をつければいいかわからないと感じているなら、就労移行支援などの支援機関に相談することから始めてみてください。
1人で抱え込まず、専門家と一緒に進めることで、転職活動はよりスムーズになります。
このコラムが、ASDのある人の転職のヒントになりましたら幸いです。
よくある質問(1)
- ASDのある人が転職で失敗しないためのポイントについて教えてください。
-
以下が考えられます。
- ①自己理解を深める
- ②自分に合う仕事・環境を見極める
- ③無理なく働ける雇用形態を選ぶ
- ④スキルを身につける
- ⑤配慮してほしいことを伝える
詳細については、こちらで解説しています。
よくある質問(2)
- ASDのある人が利用できる就労支援サービスはどのようなものがありますか。
-
ASDのある人が転職活動で利用できる就労支援サービスは、複数あります。詳細については、こちらで解説しています。
監修志村哲祥
監修キズキ代表 安田祐輔
監修角南百合子
すなみ・ゆりこ。臨床心理士/公認心理師/株式会社こどもみらい。
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運営キズキビジネスカレッジ(KBC)
うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。2025年9月現在、首都圏・関西に9校舎を展開しています。トップページはこちら→


