広汎性発達障害のある人に向いてる仕事 仕事を探す際のポイントを解説 | キズキビジネスカレッジ  

広汎性発達障害のある人に向いてる仕事 仕事を探す際のポイントを解説

こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。

広汎性発達障害(現:ASD)のあるあなたは、以下のような悩みをお持ちなのではないでしょうか?

  • 広汎性発達障害(現:ASD)由来と思われる特性のために、仕事がなかなか続かない
  • 自分に向いてる仕事がわからない

広汎性発達障害(現:ASD)のある人は、自身の特性を把握することで、向いてる仕事を見つけていくことができます。

このコラムでは、広汎性発達障害(現:ASD)のある人に向いてる仕事・向いてない仕事、仕事を探す際のポイントについて解説します。

広汎性発達障害(現:ASD)のあるあなたによって、一歩踏み出すための参考になれば幸いです。

なお、広汎性発達障害(現:ASD)のある人が、仕事や生活の悩みを相談できる支援機関はたくさんあります。

広汎性発達障害(現:ASD)の特性のために、コミュニケーションや相談が苦手な人もいらっしゃるでしょう。ですが、そうした支援機関は、広汎性発達障害(現:ASD)について理解が深いです。

特性を理解された上で相談ができますので、ぜひ、積極的に利用してみてください。そうすることで、仕事も生活も、より充実していくはずです。(参考:厚生労働省「発達障害の定義について(ICD-10、DSM-IV)」、厚生労働省「疾病、傷害及び死因の統計分類」厚生労働省「自閉症について」、厚生労働省「アスペルガー症候群について」、厚生労働省「ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について」、難病情報センター「レット症候群(指定難病156)」『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、宮尾益知『ASD(アスペルガー症候群)、ADHD、LD 職場の発達障害』、姫野桂『発達障害グレーゾーン』、本田秀夫『自閉症スペクトラムがよくわかる本』、広沢正孝『成人の高機能広汎性発達障害とアスペルガー症候群―社会に生きる彼らの精神行動特性』

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前提:広汎性発達障害(PDD)という診断名・分類について

かつて使用されていた広汎性発達障害(PDD)を含む以下の診断名・分類は、ASD(自閉症スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)という診断名・分類に統合されています。

  • アスペルガー症候群
  • 自閉症
  • 高機能自閉症
  • 広汎性発達障害(PDD)

それぞれ別の発達障害として、診断基準も異なっていましたが、2013年に行われたアメリカ精神医学会が定めた精神障害の診察基準『DSM』の改訂の際に、厳密に区分するのではなく、地続きの=スペクトラムな障害として捉える現在のASDに変更されました。(参考:American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』

ただし、広汎性発達障害(PDD)という変更前の診断名・分類が、法令や病院、日常会話などで現在も使用されることがあります。また、かつて広汎性発達障害(PDD)などと診断された人が、現在のASDという名称を認知していないこともあります。

それらを受けて、このコラムでは、内容的には現行のASDについて解説しつつ、表記としては、広汎性発達障害(現:ASD)といたします。

広汎性発達障害(現:ASD)のある人に向いている仕事・向いてない仕事

広汎性発達障害(現:ASD)のある人には、以下のような仕事が向いていると考えられます。

ASDのある人に向いてる仕事
  • 経理事務
  • 会計士
  • 法務
  • 専門事務
  • 設備点検
  • トラック運転手
  • プログラマー
  • ソフトウェアなどのテスター
  • デバッガー
  • ゲームクリエーター
  • 校正・校閲
  • テクニカルライター・専門的な技術に関する文章を書くライター
  • 研究者
  • 数学者
  • 設計技術者
  • 工学系デザイナー
  • CADオペレーター
  • フリーランスのデザイナー・ライター
  • アニメーター
  • カメラマン
  • 駅員
  • 動物の調教師
  • ライン作業
  • 軽作業
  • 清掃員
  • ルーティンワーク・定型的な業務が可能な仕事

広汎性発達障害(現:ASD)のある人には、以下のような仕事が向いていないと考えられます。

ASDのある人に向いてない仕事
  • ウェイターなどの接客業
  • 自動車ディーラーなどの販売代理店
  • 営業職
  • コールセンター、案内係などの窓口対応業務
  • 総務職
  • 秘書

広汎性発達障害(現:ASD)のある人に向いてる仕事や向いてない仕事については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

広汎性発達障害(現:ASD)のある人が仕事を探す際のポイント7点

広汎性発達障害(現:ASD)のある人が就職先を探す際のポイントとして、以下が考えられます。

  • ルールやマニュアルに沿って働けそうか
  • 専門性やこだわりを活かせそうか
  • 視覚的・聴覚的な処理能力を活かせそうか
  • 臨機応変さを求められないか
  • 対人折衝が少ないか
  • 長く働き続けられそうか
  • 障害の特性に理解があるか

広汎性発達障害(現:ASD)のある人がや就職先を探す際のポイントについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

広汎性発達障害(現:ASD)のある人が利用できる支援制度2選

広汎性発達障害(現:ASD)のある人が利用できる支援制度2選

この章では、広汎性発達障害(現:ASD)のある人が利用できる支援制度を紹介します。「向いてる仕事探し」に直接的には関係しないかもしれませんが、こうした支援を利用できると、仕事探しにも精神的な余裕を持ってのぞめるかもしれません。

※個人の特性によって、必ず利用できるわけではありません。
※他にも支援制度はありますので、(サポート団体を通じて)役所の窓口などに確認してみましょう。

支援制度①自立支援医療制度

自立支援医療制度とは、心身の障害を除去・軽減するための医療について、医療費の自己負担額を軽減する公費負担医療制度です。(参考:厚生労働省「自立支援医療制度の概要」

通常、医療保険による医療費の自己負担額は3割ですが、自立支援医療制度を利用すれば、原則1割まで軽減することが可能です。

つまり、通院や薬の処方のための費用負担が、「通常の3分の1に抑えられる」ということです。

ただし、世帯の総所得額によっては、自己負担上限額が定められていたり、対象外となったりすることもあります。

助成制度の内実・条件・名称は、自治体によって多少異なることもあるため、利用を希望する場合は、お住まいの自治体窓口や病院にてご確認ください。

また、市区町村に設置されている「障害者就業・生活支援センター」などの支援機関にて、前もって相談するのも良いでしょう。(以上参考、東京都福祉保健局「自立支援医療(更生医療)」、東京都福祉保健局「心身障害者医療費助成制度(マル障)」

支援制度②障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)

精神障害者福祉保健手帳とは、広汎性発達障害(現:ASD)を含む一定程度の精神障害の状態にあると認定された人に交付される、障害者手帳の一種です。

精神障害者福祉保健手帳をお持ちの人は「障害者総合支援法」の対象となり、「医療費の助成を受けられる」「税金の控除の対象になる」「公共料金が割引される」「障害者雇用枠に応募できる」などの様々な支援や福祉サービスを受けることができます。

精神障害者保健福祉手帳についてより詳しくは、下記参考記事をご覧ください。

この手帳の認定は永続するわけではなく、2年ごとに更新が必要です。

精神障害者福祉保健手帳は、取得・所持したことを就職先に報告する義務はありません。また、手帳が不要となった場合には、返却することも可能です。(以上参考:厚生労働省「障害者手帳について」

ASDとは?

ASD(自閉スペクトラム症/広汎性発達障害、Autism Spectrum Disorder)とは、人とのコミュニケーションなどに困難が生じる発達障害の一種のことです。(参考:American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、e-ヘルスネット「ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について」、CDC「Autism Spectrum Disorder (ASD) 」、厚生労働省「No.1 職域で問題となる大人の自閉症スペクトラム障害」、福西勇夫、福西朱音『マンガでわかるアスペルガー症候群の人とのコミュニケーションガイド』

かつて使用されていた以下の診断名・分類は、ASDという診断名・分類に統合されています。

  • アスペルガー症候群
  • 自閉症
  • 高機能自閉症
  • 広汎性発達障害(PDD)

それぞれ別の発達障害として、診断基準も異なっていましたが、2013年に行われた『DSM-5』の改訂の際に、厳密に区分するのではなく、地続きの=スペクトラムな障害として捉える現在のASDに変更されました。

ただし、変更前の診断名・分類が、法令や病院、日常会話などで現在も使用されることがあります。また、かつてアスペルガー症候群などと診断された人が、現在のASDという名称を認知していないこともあります。

ASDの概要や特性、診断基準などについては、以下のコラムで解説しています。

まとめ:あなたに向いてる仕事を探してみましょう

まとめ:医療者や支援者と相談しながら、向いてる仕事を探してみましょう

自分が何に興味があるのか、何が得意で何が苦手かなどを把握していくうちに、向いてる仕事は具体的に見つかっていくと思います。ただ、広汎性発達障害(現:ASD)のある人に限らず、自分のことを理解するというのは難しい作業です。

そこで、医師や支援機関などと相談をしながら、あなたに向いてる仕事を探していくことをオススメします

このコラムの情報が、あなたのお役に立てば幸いです。

よくある質問(1)

広汎性発達障害(現:ASD)の自分に向いてる仕事を知りたいです。

一般論として、以下のような仕事が考えられます。経理事務,法務,設備点検,プログラマー,デバッガー,校正・校閲,研究者,設計技術者,CADオペレーター,フリーランスのデザイナーやライター,カメラマン,動物の調教師。理由とともに、他にも紹介しますので、詳細はこちらをご覧ください。

よくある質問(2)

広汎性発達障害(現:ASD)の自分が利用できるサポート団体を知りたいです。

例として、次の6つが挙げられます。(1)就労移行支援事業所、(2)ハローワーク、(3)転職エージェント、(4)発達障害者支援センター、(5)障害者就業・生活支援センター、(6)精神保健福祉センター。詳細はこちらをご覧ください。

監修志村哲祥

しむら・あきよし。
医師・医学博士・精神保健指定医・認定産業医。東京医科大学精神医学分野睡眠健康研究ユニットリーダー 兼任准教授、株式会社こどもみらいR&D統括。 臨床医として精神科疾患や睡眠障害の治療を行い、また、多くの企業の産業医を務める。大学では睡眠・精神・公衆衛生の研究を行っており、概日リズムと生産性、生活習慣と睡眠、職域や学校での睡眠指導による生産性の改善等の研究の第一人者。

【著書など(一部)】
子どもの睡眠ガイドブック(朝倉書店)』『プライマリ・ケア医のための睡眠障害-スクリーニングと治療・連携(南山堂)』
他、学術論文多数

日経新聞の執筆・インタビュー記事一覧
時事メディカルインタビュー「在宅で心身ストレス軽減~働き方を見直す契機に」

監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。

【著書ピックアップ】
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』

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翔泳社公式 【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)

【その他著書など(一部)】
学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧

【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

監修角南百合子

すなみ・ゆりこ。
臨床心理士/公認心理師/株式会社こどもみらい

サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)

うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。2024年10月現在、首都圏・関西に6校舎を展開しています。トップページはこちら→

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