就労移行支援 キズキビジネスカレッジ(KBC) アスペルガー症候群(現:ASD)のある人に向いている仕事とは? 困りごと・働きやすい環境も解説

こんにちは、就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。
このコラムを読んでいる人は、アスペルガー症候群(現:ASD)の特性により仕事で悩みを抱えているのではないでしょうか。
結論からいえば、アスペルガー症候群(現:ASD)の特性を理解したうえで、自分に合った仕事を見つけることは可能です。
このコラムでは、アスペルガー症候群(現:ASD)のある人が仕事で経験しやすい困りごとや向いてる仕事、負担に感じやすい仕事、相性がよい仕事、働きやすい環境にするための工夫について解説します。
あわせて、アスペルガー症候群(現:ASD)のある人が仕事や生活の悩みを相談できる支援機関も紹介しますので、自分らしく働くための一歩を踏み出すきっかけとなれば幸いです。
目次
前提:アスペルガー症候群という診断名・分類について
かつて使用されていたアスペルガー症候群を含む以下の診断名・分類は、ASD(自閉症スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)という診断名・分類に統合されています。
- アスペルガー症候群
- 自閉症
- 高機能自閉症
- 広汎性発達障害(PDD)
それぞれ別の発達障害として、診断基準も異なっていましたが、2013年に行われたアメリカ精神医学会が定めた精神障害の診察基準『DSM』の改訂の際に、厳密に区分するのではなく、地続きの=スペクトラムな障害として捉える現在のASDに変更されました。(参考:American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』)
ただし、アスペルガー症候群という変更前の診断名・分類が、法令や病院、日常会話などで現在も使用されることがあります。
また、かつてアスペルガー症候群などと診断された人が、現在のASDという名称を認知していないこともあります。
それらを受けて、このコラムでは、内容的には現行のASDについて解説しつつ、表記としては、アスペルガー症候群(現:ASD)といたします。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人が仕事で経験しやすい困りごと
この章では、アスペルガー症候群(現:ASD)のある人が仕事で経験しやすい困りごとについて解説します。
困りごと①曖昧な指示で混乱しやすい
1つ目の困りごとは、曖昧な指示で混乱しやすいことです。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人は、曖昧な指示を受けるとどのように動くべきか判断できず、混乱しやすい傾向があります。(参考:国立精神・神経医療研究センター 神尾 陽子・稲田 尚子「アスペルガー症候群について」)
曖昧な指示によって混乱が生じやすい場面は、以下が挙げられます。
- 「適当にまとめておいて」と言われると、合格ラインが分からない
- 「空気を読んで対応して」と言われると、具体的な行動が定まらない
- 冗談や皮肉をそのまま受け取り、意図とのずれが生じる
- 「なるべく早く」と言われると、締め切りが明確でなく不安になる
これらは、能力の問題ではなく、指示の基準や手順が明確でないと判断が難しくなる特性に基づくものです。
指示を出す側と受ける側の双方が、数字や具体的な言葉で情報を共有することが大切です。
困りごと②優先順位づけが難しい
2つ目の困りごとは、優先順位づけが難しいことです。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人は、行動がパターン化しやすい傾向があるほか、興味や活動が特定の対象に集中しやすい特性があります。
そのため、状況に応じて柔軟に優先順位を入れ替えることが難しく感じられる場合があります。(参考:国立精神・神経医療研究センター 神尾 陽子・稲田 尚子「アスペルガー症候群について」)
優先順位づけの難しさがあらわれやすい場面は、以下のとおりです。
- 急ぎの依頼が入っても、いま取り組んでいる作業を中断しづらい
- 複数のタスクを同時に指示されると、重要度の判断に迷う
- 自分の関心が強い業務に集中し、ほかの業務への切り替えが難しい
- 締め切りよりも作業の正確さを優先し、時間配分に偏りが出る
こうした特性から、複数の業務を同時に進める環境では負担を感じやすい場合があります。
困りごと③対人関係のすれ違いが起きやすい
3つ目の困りごとは、対人関係のすれ違いが起きやすいことです。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人は、職場の対人関係において周囲との間にすれ違いが生じやすい傾向があります。(参考:国立精神・神経医療研究センター 神尾 陽子・稲田 尚子「アスペルガー症候群について」)
対人関係のすれ違いがあらわれやすい場面は、以下のとおりです。
- 相手の表情や声の抑揚から気持ちを読み取ることが難しい
- 自分の表情や身振り、話し方が独特に受け取られる場合がある
- 雑談や世間話の意図が分かりにくい
- 職場で親しい関係を築くことに時間がかかる
こうしたすれ違いは、悪意や配慮不足によるものではなく、対人関係のとらえ方や表現の仕方に特性があることが背景にあるのです。
困りごと④予定変更で強いストレスを感じる
4つ目の困りごとは、予定変更で強いストレスを感じることです。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人には、行動がパターン化しやすい傾向がみられ、急な変化に戸惑いやすい特性があります。(参考:国立精神・神経医療研究センター 神尾 陽子・稲田 尚子「アスペルガー症候群について」)
予定変更による負担が生じやすい場面は、以下のとおりです。
- 当日のスケジュールが直前に変更される
- 予定していた流れが途中で差し替わる
- 事前に説明のない変更が加えられる
- 準備していた段取りが使えなくなる
こうした場面では、気持ちの切り替えに時間がかかる場合があり、強い緊張や疲労につながる場合があります。
困りごと⑤感覚刺激で疲労が蓄積する
5つ目の困りごとは、感覚刺激で疲労が蓄積することです。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人は、音や光、におい、肌触りなどの感覚刺激に敏感な傾向があります。(参考:国立障害者リハビリテーションセンター研究所「発達障害者の感覚・知覚の特徴(1)順応やフィルタリングの問題」)
感覚刺激による負担が生じやすい場面は、以下のとおりです。
- 周囲の話し声や物音が気になり続ける
- 蛍光灯の光や画面の明るさで目が疲れる
- 衣服のタグや素材が気になって集中できない
- 人混みやにおいで強い疲労を感じる
周囲の刺激が強く感じられることで、集中力や作業の持続に影響が出ることがあります。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人に向いている仕事の特徴
この章では、アスペルガー症候群(現:ASD)のある人に向いている仕事の特徴について解説します。
①正確性が評価される仕事
1つ目は、正確性が評価される仕事です。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人は、一度やり方を覚えると、手順通りに丁寧に物事を進めることが得意な傾向があります。
そのため、ルールが明確で、細かな部分まで正確に仕上げることが求められる職種では、周囲から高く評価される場面が多くあります。
正確性が評価されやすい仕事の特徴は、以下のとおりです。(参考:山梨県立大学「アスペルガー症候群を持つ方の就労における「自分運営マニュアル」の意義」)
- 作業手順が明確に定められている
- 同じ作業を一定時間継続できる
- 判断基準が数値やルールで示されている
- 指示が口頭だけでなく、文書やメモで共有される
1つひとつの工程を正確に積み重ねていく仕事は、特性を活かせる場となるでしょう。
②1人で完結しやすい仕事
2つ目は、1人で完結しやすい仕事です。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人は、複数人との頻繁なやり取りよりも、1人で課題に向き合う環境のほうが力を発揮しやすい場合があります。
1人で完結しやすい仕事の特徴は、以下のとおりです。(参考:山梨県立大学「アスペルガー症候群を持つ方の就労における「自分運営マニュアル」の意義」)
- 担当業務の範囲が明確に決まっている
- 作業の大部分を個人で進められる
- 成果物が個人単位で評価される
- 頻繁な雑談や即時判断を求められにくい
個人の裁量が大きく、1人の時間で完結する仕事は、安定して働ける可能性が高まります。
③手順やルールが明確な仕事
3つ目は、手順やルールが明確な仕事です。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人は、業務が構造化されている環境で力を発揮しやすい傾向があります。
そのため、作業の流れや判断基準が明確であるほど、スムーズかつ確実に取り組みやすくなります。
手順やルールが明確な仕事の特徴は、以下のとおりです。(参考:山梨県立大学「アスペルガー症候群を持つ方の就労における「自分運営マニュアル」の意義」)
- 作業工程が具体的に示されている
- 写真付きの手順書など視覚的な情報がある
- 1日のスケジュールが事前に共有されている
- 指示系統が一本化されている
やるべきことが整えられた環境は、本来持っている丁寧さを存分に活かせる場となります。
自分に合った「見える化」の工夫を取り入れることで、より安定して力を発揮できるようになるでしょう。
④専門性を積み上げられる仕事
4つ目は、専門性を積み上げられる仕事です。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人は、特定の分野に強い関心を持ち、細部まで丁寧に取り組む力を発揮する場合があります。
物事を体系立てて整理しようとする傾向や同じ作業を継続できる特性が、専門性の向上につながることもあります。
専門性を積み上げやすい仕事の特徴は、以下のとおりです。(参考:山梨県立大学「アスペルガー症候群を持つ方の就労における「自分運営マニュアル」の意義」)
- 知識や技術を継続的に深められる
- 細部へのこだわりを業務に活かせる
- 物事を仕組み化(システム化)する視点が求められる
- 1つの作業を長時間、丁寧に進められる
細部へのこだわりやシステム化志向は、専門分野では強みとして活かされる場合があります。特定の分野で経験を積み重ねられる環境では、安定した力が発揮できるでしょう。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人が負担に感じやすい仕事の特徴
この章では、アスペルガー症候群(現:ASD)のある人が負担に感じやすい仕事の特徴について解説します。
①臨機応変な判断が常に求められる仕事
1つ目は、臨機応変な判断が常に求められる仕事です。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人は、決められた手順や見通しがある環境で力を発揮しやすい一方で、突発的な変更やイレギュラーな対応が続く状況に負担を感じやすい場合があります。
臨機応変さが常に求められる仕事の特徴は、以下のとおりです。(参考:山梨県立大学「アスペルガー症候群を持つ方の就労における「自分運営マニュアル」の意義」)
- 状況に応じてその場で判断を変える必要がある
- 予定外の対応が頻繁に発生する
- 明確なマニュアルがなく即時判断が求められる
- 優先順位が流動的に変わる
常に変化し続ける現場での仕事は、エネルギーを過剰に消耗する原因になります。
自分のペースを守りやすい環境やルールが整った職場を選ぶことで、こうした負担を和らげられるでしょう。
②マルチタスクを短時間で処理する仕事
2つ目は、マルチタスクを短時間で処理する仕事です。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人は、一度に複数の物事に注意を向けるのが難しく、ひとつの作業に集中する傾向がみられる場合があります。
マルチタスクが中心となる仕事の特徴は、以下のとおりです。(参考:山梨県立大学「アスペルガー症候群を持つ方の就労における「自分運営マニュアル」の意義」)
- 複数の依頼を同時に進める必要がある
- 優先順位を瞬時に判断する場面が多い
- 作業を中断しながら別業務に切り替える
- 短時間で処理量を求められる
一度にたくさんのことを求められる環境では、本来の丁寧さが発揮しづらくなります。
1つひとつの業務を完結させてから次へ移れるような、シングルタスク中心の働き方を選ぶと、安心して力を発揮できるでしょう。
③対人調整が中心となる仕事
3つ目は、対人調整が中心となる仕事です。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人は、社会的なやり取りの場面で理解や調整に時間がかかる傾向があります。
会話の流れを追うことや報告・相談のタイミングを判断することに負担を感じる場合もあります。
対人調整が中心となる仕事の特徴は、以下のとおりです。(参考:山梨県立大学「アスペルガー症候群を持つ方の就労における「自分運営マニュアル」の意義」)
- 複数の関係者との調整が頻繁に発生する
- 会話のなかで即時判断が求められる
- 状況に応じた報告や相談が必要になる
- 感情面への配慮が重視される
人との調整が複雑に絡む仕事は、ストレスの原因になる可能性があります。
役割分担がはっきりしている職場や文字でのやり取りが中心の環境を選ぶと、円滑に仕事を進めやすいでしょう。
④暗黙の了解や空気を読む場面が多い仕事
4つ目は、暗黙の了解や空気を読む場面が多い仕事です。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人は、曖昧な表現や行間を読み取るやり取りに難しさを感じる場合があります。
暗黙の了解が多い仕事の特徴は、以下のとおりです。(参考:山梨県立大学「アスペルガー症候群を持つ方の就労における「自分運営マニュアル」の意義」)
- 指示が抽象的で具体性に欠ける
- 言葉の裏の意図を推測する場面が多い
- 指示なのか助言なのか判断が難しい
- その場の雰囲気で対応を変える必要がある
はっきりと言葉にされないルールを読み取る必要がある環境は、特性とミスマッチが起こりやすいです。
マニュアルが完備されていたり、具体的な言葉でやり取りが行われたりする環境を選ぶと、自分らしく働けるでしょう。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人と相性がよい仕事8選
この章では、アスペルガー症候群(現:ASD)のある人と相性がよい仕事について解説します。
仕事①一般事務
1つ目の仕事は、一般事務です。
一般事務は、業務手順が比較的明確で、正確性や継続性が評価されやすい職種です。
マニュアルやルールに沿って進める業務が多く、環境が整えば安定して取り組みやすいでしょう。
一般事務の主な業務内容は、以下のとおりです。
- 書類作成やデータ入力
- 電話やメールの対応
- 資料の整理やファイリング
- スケジュール管理や備品管理
実際にアスペルガー症候群(現:ASD)のある人が配慮を受けながら継続して就労している事例もあります。(参考:高齢・障害・求職者雇用支援機構「発達障害者の事務職における合理的配慮事例」)
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人にとって、決まった枠組みのなかで丁寧に進める事務作業は、本来持っている正確性という強みを存分に発揮できる場となるでしょう。
仕事②データ入力
2つ目の仕事は、データ入力です。
データ入力は、決められた形式に沿って正確に文字や数字を打ち込んでいく仕事です。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人は、細かな違いに気づきやすく、集中力を切らさずに丁寧な作業を続けるのが得意な傾向にあります。(参考:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「アスペルガー症候群の人を雇用するために~英国自閉症協会による実践ガイド~」)
データ入力の主な業務内容は、以下のとおりです。
- 顧客情報や売上データの入力
- アンケート結果の集計入力
- 書類内容のシステム登録
- 入力内容の確認や修正
手順が明確で、自分のペースでコツコツと積み上げていける仕事は、安心感を持って取り組める適職の1つといえます。
仕事③プログラマー
3つ目の仕事は、プログラマーです。
プログラマーは、コンピューターを動かすための指示(コード)を論理的に組み立てる仕事です。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人は、物事を体系立ててとらえたり、法則性を見つけ出すのに長けていたりする傾向があります。(参考:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター「アスペルガー症候群の人を雇用するために~英国自閉症協会による実践ガイド~」)
プログラマーの主な業務内容は、以下のとおりです。
- プログラム(コード)の作成
- システムやアプリの機能実装
- プログラムのテスト・デバッグ
- 既存システムの改修や保守
明確なルールに基づいて積み上げていくプログラミングは、アスペルガー症候群(現:ASD)の特性との相性が非常によい職種といえます。
仕事④ITサポート
4つ目の仕事は、ITサポートです。
ITサポートは、システムの操作方法の案内や不具合の調査などを行う仕事です。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人は、マニュアルを正確に理解し、それに基づいて原因を特定していく作業に強みを持っています。(参考:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター「アスペルガー症候群の人を雇用するために~英国自閉症協会による実践ガイド~」)
ITサポートの主な業務内容は、以下のとおりです。
- パソコンの設定や操作の案内
- システムトラブルの1次対応
- マニュアルの整備
- 対応履歴の記録
問題を分解し、順を追って解決していく業務は、アスペルガー症候群(現:ASD)のある人の構造的な思考と好相性といえるでしょう。
仕事⑤統計・データ分析職
5つ目の仕事は、統計・データ分析職です。
統計やデータ分析は、大量の情報から傾向を読み取ったり、数値を整理したりする仕事です。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人は、細かなデータの変化に気づきやすく、客観的な事実に基づいて判断するのを得意としています。(参考:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター「アスペルガー症候群の人を雇用するために~英国自閉症協会による実践ガイド~」)
統計・データ分析職の主な業務内容は、以下のとおりです。
- データの整理や集計
- 統計処理
- 分析レポートの作成
- グラフや資料の作成
数値という明確な根拠をもとに考える業務は、曖昧さが少ない環境です。
知的好奇心を満たしながら能力を発揮できる適職といえます。
仕事⑥会計・簿記
6つ目の仕事は、会計・簿記です。
会計や簿記は、お金の流れをルールに従って正確に記録する仕事です。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人は、決められた枠組みのなかで完璧に作業をこなすことにやりがいを感じる傾向があります。(参考:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター「アスペルガー症候群の人を雇用するために~英国自閉症協会による実践ガイド~」)
会計・簿記の主な業務内容は、以下のとおりです。
- 伝票入力
- 帳簿作成
- 経費精算
- 決算補助
処理方法が定められている業務では、判断の基準が明確なため、アスペルガー症候群(現:ASD)の特性と合いやすいといえるでしょう。
仕事⑦機械設計・工学技術職
7つ目の仕事は、機械設計・工学技術職です。
機械設計や工学技術の仕事は、図面を引いたり、機械の仕組みを考えたりする専門的な業務です。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人は、3次元的な空間把握能力や複雑な構造への強い関心を持っている傾向があります。(参考:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター「アスペルガー症候群の人を雇用するために~英国自閉症協会による実践ガイド~」)
機械設計・工学技術職の主な業務内容は、以下のとおりです。
- 設計図の作成
- 構造計算
- 仕様書の確認
- 改良案の検討
仕組みや構造を考える業務は、アスペルガー症候群(現:ASD)のシステム化志向と相性が良いといえます。
仕事⑧校正・文章チェック
8つ目の仕事は、校正・文章チェックです。
校正は、文章の誤字脱字や表記の揺れ、事実関係の誤りなどを確認する仕事です。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人は、ほかの人が見落としてしまうような細かな違和感に気づく、高い検知能力を持っていることが多くあります。 (参考:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター「アスペルガー症候群の人を雇用するために~英国自閉症協会による実践ガイド~」)
校正・文章チェックの主な業務内容は、以下のとおりです。
- 誤字脱字の確認
- 数値や固有名詞のチェック
- 表記ルールの統一
- 文章の整合性確認
一定の基準に沿って確認を重ねる作業は、集中力を活かしやすい職種といえます。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人が働きやすい環境にするための工夫
この章では、アスペルガー症候群(現:ASD)のある人が働きやすい環境にするための工夫について解説します。
工夫①指示内容を文章で確認する
1つ目の工夫は、指示内容を文章で確認することです。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人のなかには、耳で聞いた情報をその場で整理して理解することに負担を感じる人もいます。
口頭だけの指示では、情報の聞き漏らしや解釈のズレが生じやすいため、文字として形に残る方法でやり取りをすると、確実な業務遂行につながります。(参考:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター「アスペルガー症候群の人を雇用するために~英国自閉症協会による実践ガイド~」)
具体的な工夫は、以下のとおりです。
- 口頭での指示を受けたあとに書面で補足してもらう
- 指示の内容を自分でメモに書き出して相手と共有する
- メールやチャットなど視覚化された指示を活用する
指示を見える化すると、いつでも内容を振り返れるため、迷いやミスを防げます。
上司や同僚に「正確に進めたいので、メモでいただけますか」と伝えることで、お互いに安心して仕事を進められるでしょう。
工夫②タスクを細分化する
2つ目の工夫は、タスクを細分化することです。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人は、作業の全体像が曖昧なままだと、どこから着手すればよいか分からなくなる傾向があります。(参考:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター「アスペルガー症候群の人を雇用するために~英国自閉症協会による実践ガイド~」)
タスクを細分化する際のポイントは、以下のとおりです。
- 作業工程の各ステップを細かく説明してもらう
- 作業の目的をあらかじめ共有してもらう
- 1つの作業にかける時間枠をあらかじめ設定する
作業のプロセスを段階ごとに分けて確認すると、見通しを持って仕事に取り組めます。
管理者と相談しながら、やるべきことを1つずつクリアにしていくことで、確実な成果を積み上げられるようになるでしょう。
工夫③チェックリストを活用する
3つ目の工夫は、チェックリストを活用することです。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人は、複数の作業を同時に管理する場面で負担を感じる場合があります。頭のなかだけで進行状況を整理し続けると、抜け漏れや不安が生じやすくなります。(参考:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター「アスペルガー症候群の人を雇用するために~英国自閉症協会による実践ガイド~」)
チェックリストを活用する際のポイントは、以下のとおりです。
- 業務内容を網羅したチェックリストを用意する
- 1日または1週間の予定表とあわせて活用する
- 完了した項目を視覚的に消していくことで進捗を把握する
チェックリストと予定表を組み合わせることで、仕事の全体像がはっきりし、1つひとつの作業に集中しやすくなります。
自分専用のリストを作れば、無理のないペースで仕事を進められるようになるでしょう。
工夫④音・光・人の動きなどの刺激を調整する
4つ目の工夫は、音・光・人の動きなどの刺激を調整することです。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人は、周囲の物音や照明の眩しさ、人の頻繁な出入りといった外部からの刺激を強く感じ、疲れを溜めてしまうときがあります。(参考:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター「アスペルガー症候群の人を雇用するために~英国自閉症協会による実践ガイド~」)
刺激を調整する際のポイントは、以下のとおりです。
- 作業スペースを整理整頓して視覚的な情報を減らす
- 静かな場所への座席変更やパーテーションの設置を検討する
- 必要に応じて耳栓やサングラスなどの使用について相談する
刺激を調整するだけでも、安定した業務遂行につながる場合があります。
自分にとって何が負担になっているかを整理し、作業時の環境を少しずつ整えていくことで、心身の健康を守りながら働けるでしょう。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人が仕事で悩んだときに相談できる支援機関
この章では、アスペルガー症候群(現:ASD)のある人が仕事で悩んだときに相談できる支援機関を紹介します。
支援機関①就労移行支援事業所
1つ目の支援機関は、就労移行支援事業所です。
就労移行支援事業所とは、一般企業などへの就職を目指す病気や障害のある人に向けて、就職のサポートをする支援機関のことです。
体調管理の方法、職場でのコミュニケーションの基礎スキル、就職に必要な専門スキルなどを学ぶことができ、実際の就職活動でのアドバイス、就職後の職場定着支援も含む、総合的な就労支援を受けられます。
就労移行支援は、障害者総合支援法に基づいて行われる福祉サービスです。実際のサービスは、国の基準を満たしたさまざまな民間の就労移行支援事業所が行います。 (参考:e-Gov法令検索 「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」 )
就労移行支援事業所は各地にあります。私たち、キズキビジネスカレッジ(KBC)もその一つです。それぞれ特徴が異なるため、気になるところがあれば問い合わせてみてください。
支援機関②ハローワーク(公共職業安定所)
2つ目の支援機関は、ハローワーク(公共職業安定所)です。
ハローワーク(公共職業安定所)とは、仕事を探している人や求人を募集したい事業者に対して、就労に関連するさまざまなサービスを無償で提供する、厚生労働省が運営する支援機関のことです。正式名称は公共職業安定所で、職安と呼ぶ人もいます。 (参考:厚生労働省 「ハローワーク」 厚生労働省 「ハローワークインターネットサービス」 厚生労働省 「公共職業安定所(ハローワーク)の主な取組と実績」 、東京労働局 「東京ハローワーク」 、厚生労働省 「こころの健康サポートガイド」 、厚生労働省 「ハローワークにおける障害者の就労支援」 )
主に職業相談や職業訓練、求人情報の提示などを行っており、具体的な支援内容は事業所によって異なりますが、一般的には以下のような幅広いサポートを行います。
全国に500ヶ所以上あり、主に職業相談や職業訓練、求人情報の提示、雇用保険や雇用対策など、地域密着型の雇用に関する幅広いサポートを行います。
また、病気や障害のある人に向けたサポートも行っています。
障害者手帳を所持していない人でも、医師による診断書があれば、障害の特性や希望職種に応じた職業相談や履歴書や面接での病気・障害の伝え方などのサポートを受けることができます。
支援機関③地域障害者職業センター
地域障害者職業センターとは、病気や障害のある人に対して、職業評価や職業指導、職業準備訓練、職場適応援助などの専門的な職業リハビリテーションを提供する支援機関のことです。 (参考:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 「地域障害者職業センター」 、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 「地域障害者職業センターによる支援」 、厚生労働省 「地域障害者職業センターの概要」 )
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営しており、障害者雇用促進法に基づいて、全国47都道府県に設置されています。 (参考:厚生労働省 「障害者の雇用の促進等に関する法律」 )
ハローワークや医療・福祉機関と連携しているため、仕事に関する相談や訓練、復職するためのサポートが可能です。
病気や障害に悩む当事者だけでなく、障害のある人を雇用する事業所に対して、雇用管理に関する相談・援助も行っています。
支援機関④発達障害者支援センター
4つ目の支援機関は、発達障害者支援センターです。
発達障害者支援センターとは、発達障害の早期発見と早期支援を目的として、発達障害のある人とその家族などをサポートするための支援機関のことです。 (参考:国立障害者リハビリセンター 発達障害情報・支援センター 「発達障害支援センターとは」 )
保健、医療、福祉、教育、労働など、さまざまな分野の関係機関と連携しながら、地域の支援ネットワークを構築し、多様な相談に応じて、指導や助言を行っています。
また、求人に関する情報提供や就業先へのアドバイスなども実施しています。
>発達障害支援センターは、幼少期に発達障害の診断を受けた人だけでなく、大人になってから発達障害の診断を受けた人も支援の対象です。
また、医師から発達障害の診断を受けていない人でも支援を受けることが可能で、発達障害がある可能性がある人からの電話相談なども受け付けています。
運営は都道府県や政令市が主体です。うち約75%は社会福祉法人・特定非営利活動法人などの民間法人が委託を受けて運営しています。 (参考:発達障害者支援センター全国連絡協議会 「発達障害者支援センターについて」 )
各施設には、発達障害者支援センター運営事業実施要綱に基づき、最低3名の専任職員が配置されることになっています。
要綱には社会福祉士の配置が規定されていますが、センターによっては臨床心理士、言語聴覚士、精神保健福祉士、医師などの専門家も配置されているところもあります。
発達障害者支援センターは全国に設置されています。2026年2月時点で、支所を含め約100か所あり、各自治体が窓口を担っています。
支援機関⑤障害者就業・生活支援センター
5つ目の支援機関は、障害者就業・生活支援センターです。
障害者就業・生活支援センターとは、雇用や保健、福祉、教育に関する関係機関と連携し、障害のある人の雇用の促進・安定を目的とした一体的な支援を行っている支援機関のことです。 (参考:厚生労働省 「障害者就業・生活支援センター」 、厚生労働省 「障害者就業・生活支援センターについて」 、厚生労働省 「障害者の雇用の促進等に関する法律」 、厚生労働省 「障害者就業・生活支援センターの指定と運営等について」 )
障害のある人の就職活動の支援や求人の紹介、職場定着のためのサポートなどを行います。
就業面だけでなく、金銭管理などの経済面や生活面のことまで、日常および地域生活に関する支援も行っています。
生活習慣や金銭管理、健康管理などについても幅広く相談できるため、生活面のサポートも受けたい人にオススメです。
2025年6月2日時点で、障害者就業・生活支援センターは全国に339か所設置されています。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人の仕事に関するよくある質問
この章では、アスペルガー症候群(現:ASD)のある人の仕事に関するよくある質問を紹介します。
Q1アスペルガー症候群のある人は障害者雇用で働いたほうがよいですか?
障害者雇用で働くかどうかは、本人の状況や希望によって異なります。
アスペルガー症候群(現:ASD)のある人は、特性に応じた配慮がある環境で働くことで、能力を発揮しやすくなるとされています。
障害者雇用を利用すると、あらかじめ自分の得意なことや苦手なことを企業側に伝えた上で、必要なサポートを受けながら業務に取り組めます。
そのため、無理をして周囲に合わせる負担が減り、本来持っている能力を発揮しやすくなるのがメリットです。
一方で、一般雇用で活躍している人もいます。
配慮の必要性や開示の希望、職場環境との相性を踏まえ、自分に合った働き方を選ぶことが大切です。(参考:うつ予防ナビ「ASDの人が向いている仕事・適職」)
Q2アスペルガー症候群があると就職は難しいのでしょうか?
アスペルガー症候群(現:ASD)があるからといって、必ずしも就職が難しいわけではありません。
厚生労働省の障害者雇用の調査によると、民間企業で働く障害者数は約67万人を超え、過去最高を更新しています。
一方で、法定雇用率を達成している企業は約46%にとどまっています。(参考:厚生労働省「令和6年 障害者雇用状況の集計結果」)
すべての企業で受け入れ体制が完全に整っているわけではなく、職場によって就職のしやすさに差があるのも事実です。
社会全体の雇用数は増えていますが、大切なのは自分に合った環境を見つけることです。
就職の難しさは個人の能力だけで決まるものではなく、職場環境との組み合わせによって大きく変わります。
まとめ:アスペルガー症候群(現:ASD)の特性を理解し、働きやすい仕事を見つけよう
仕事に難しさを感じる背景には、本人の努力不足ではなく、職場環境や業務内容とのミスマッチが隠れている場合があります。
アスペルガー症候群(現:ASD)の特性を正しく理解し、自分に合う環境を整える工夫ができれば、持っている強みを存分に発揮して働く道が開けるでしょう。
就労移行支援事業所やハローワークなど、専門の知識を持って一緒に歩んでくれる相談先はたくさんあります。
複数の支援をうまく組み合わせながら、無理のないペースで将来を考えていきましょう。
制度を知り、周囲の助けを借りる判断は、自分らしく働き続けるための大切な選択です。
このコラムが、今の不安や迷いを整理し、あなたに合った環境を見つけるための小さなきっかけになれば幸いです。
よくある質問(2)
- アスペルガー症候群(現:ASD)のある人に向いている仕事の特徴は?
よくある質問(2)
- アスペルガー症候群(現:ASD)のある人が負担に感じやすい仕事の特徴は?
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以下が考えられます。
- ①臨機応変な判断が常に求められる仕事
- ②マルチタスクを短時間で処理する仕事
- ③対人調整が中心となる仕事
- ④暗黙の了解や空気を読む場面が多い仕事
詳細については、こちらで解説しています。
監修志村哲祥
監修キズキ代表 安田祐輔
監修角南百合子
すなみ・ゆりこ。臨床心理士/公認心理師/株式会社こどもみらい。
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うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。2026年9月現在、首都圏・関西に12校舎を展開しています。トップページはこちら→


