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ASDの大人が実践したい職場での対処法5選 向いている職業と合わせて解説

こんにちは、就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)の寺田淳平です。

大人のASDでお悩みのあなたは、職場での人間関係や職業のことで困ってはいませんか

2013年にアメリカ精神医学会による診断基準「DSM-5」においてASDが規定されて以来、大人のASDが広く知られるようになりました。

最近では、確定診断が下りないものの、ASDの傾向に悩む「グレーゾーン」の大人の存在も認知されつつあります。

そこで今回は、大人のASDに悩む人に向けて、職場での対処法と向いている職業を徹底解説いたします

3,500人規模の職場で人事を担当していた私の視点から、お勤め先の同僚にお願いしたいこともあわせて解説します。大人のASDでお悩みなら、ぜひ読んでみてください。

ASDの大人が実践したい職場での対処法5選

ここからは、大人のASDに悩む人が、職場で実践したい対処法を見ていきましょう。(以下参考:梅永雄二『大人のアスペルガーがわかる』、備瀬哲弘『大人の自閉スペクトラム症』、星野仁彦『発達障害に気づかない大人たち〈職場編〉』)

前提として大切なのは、日頃から医師に相談することです

発達障害に悩む人は、二次障害を併発していることがあります。その場合まずは二次障害を治すことが大切です。

二次障害があってもなくても、かかりつけ医に相談できるようにしておきましょう。

対処法①具体的な指示をお願いする

対処法①具体的な指示をお願いする

1点目は、「具体的な指示をお願いする」です

仕事の現場では「適当に」や「よしなに」といった、本人の判断が求められる曖昧表現が頻繁に用いられます。

しかし、大人のASDの人は、こういった裁量を委ねる表現をされると混乱しがちです。

そのため、日頃から「具体的な指示をください」とお願いするようにしましょう

コミュニケーションは相手があって成り立つものですので、協力を求めることは悪いことではありません。

自分の特性を理解してもらい、仕事をスムーズに進めるためにも、具体的な計画や指示をお願いするようにしてください。

対処法②情報伝達の媒体を変えてもらう

2つ目は、「伝え方を変えてもらう」です

発達障害を持つ人の中には、特定の情報媒体だと頭に入らないという人もいます。

ASDに限らず、発達障害のある人の中には、理解しやすい情報・伝え方/理解しにくい情報・伝え方に差がある人が多いといわれています。

例えば、大人のASDの場合、口頭での指示・説明よりも、文字や図で示してもらう方がわかりやすいという傾向を持つ人がいるようです。

その場合、伝達するときの媒体を変えるだけで、発言や指示内容がスッと頭に入ってくることがあるのです。

同僚とコミュニケーションを取る際には、特性に応じて伝え方を変えてもらうように相談してみましょう。

対処法③時間管理にアラーム機能を用いる

対処法③時間管理にアラーム機能を用いる

3つ目は、「時間管理にアラーム機能を用いる」です

大人のASDの人は「自分の体調や状態を把握しづらい」傾向があるため、疲れているにも関わらず、長時間にわたって作業をした結果、倒れ込むことがあります。

特に、「こだわり」のあることに夢中になる「過集中」のときには、寝食も忘れて作業に没頭するケースも珍しくありません。

そうした事態を防ぐのに有効なのが、「時間管理にアラーム機能を用いる」です。

時間を忘れていても、「アラームが鳴ったら何分だけ休憩する」という風に、明確なルールを定めることで、自分の体調も管理できるようになります

大人のASDでお悩みなら、ぜひ仕事の現場で、アラーム機能を活用してみてください。

対処法④イヤホンなどのグッズを利用する

4つ目は、「イヤホンなどのグッズを利用する」です

ASDの人は自分のスペースや感覚に乱れが生じると、パニック状態になることがあります。

特に、感覚過敏のある人には、些細な騒音がストレスになります。

そういう人にオススメなのが、「イヤホンなどのグッズを利用する」です。

最近は、外界のノイズを遮断できるノイズキャンセリング機能のついたイヤホンも複数出回っています。

「静かな環境でないとストレスが溜まる」という大人のASDの人は、こういった道具に頼るのもひとつの手段でしょう。

ただし、あなたの特性を知らない人から、「就労中に音楽を聴いている」と誤解される可能性があるため、周囲に事情を説明した上で、イヤホンなどを用いるといった工夫を取り入れてみましょう。

対処法⑤就労支援を受ける

対処法⑤就労支援を受ける

最後の対処法は、「就労支援を受ける」というものです

公的機関でも民間機関でも、発達障害のある人を対象に、福祉サービスを提供している機関が複数存在します。

一例では、国の法律に基づいて設置されている「就労移行支援事業所」では、障害者手帳がなくても、医師による診断書のみで、最低0円からサービスを受けることが可能です。

具体的なサービス内容としては、定期面談による精神的なケア、専門的なスキルの講習、勤め先との業務内容の調整などがあります。

また、就職後の職場定着を促す「就労定着支援」も、大人のASDの人が職場で長く働きつづけるためには効果的です。

障害者職業総合支援センターの調査研究によれば、職場定着支援を受けた人とそうでない人で、1年後の職場定着率に「20%」近い差が出ています(下図はクリックで拡大します)。

職場定着率

(出典元※PDF:障害者職業総合支援センター「障害者の就業状況等に関する調査研究」)

私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、うつ病や発達障害などの人のための就労移行支援事業所です。

  • 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
  • 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
  • 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月

新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。

ASDの大人に向いている職業

ASDの大人に向いている職業

ASDの大人に向いている職業を考える上で大切なのは、以下の2点に着目することです。

  • 静かな環境で、ひとりで仕事ができるか
  • 規則やマニュアルに沿って進められるか

上記の観点から、「ASDの大人に向いているかもしれない職業」には、以下のものがあります。

  • プログラミングなどのIT系
  • 経理
  • 事務
  • 法務

このような手順ややるべきことが明確な職業であれば、臨機応変な対応が求められたりトラブルが生じたりしない限り、大人のASDでお悩みの人でも働きやすいかと思われます。

ただし、裁量の範囲があまりにも広く曖昧な指示が多い場合やマルチタスクが求められる場合は、混乱してしまう可能性もありますので注意してください。

また、大人のASDと一口に言っても、その特性や程度は人によって異なります。

したがって、上述した職業に就いていても、職場や担当業務によっては多少の向き・不向きがあると思います(次章の「向いていない仕事」も同様です)。

これから就職活動をされる人は、上記の職業を参考にしつつ、前の項目で述べた支援機関の専門家と一緒に、職場や業務を吟味することをオススメします。

ASDの大人に向いていない職業

ASDの大人に向いていない職業

反対に、ASDの人には難易度の高い職業として、以下のものが挙げられます。

  • 営業職
  • 窓口業務
  • 接客業

この3つには、「対人コミュニケーションが多い」「予想外の出来事が多い」という共通点があります。

これまで述べてきたように、大人のASDでは、社会性やコミュニケーションに困難があることが多いため、「対人折衝が必要になる接客系の職業は難しい」と考えられます。

ただし、「ソーシャル・スキル・トレーニング(SST)」などを通じて対人折衝スキルを身に着けられている場合や、職場で「一次対応が完全にマニュアル化されていて、それ以外の対応になったら別の担当者に引き継ぐ」体制が徹底されている場合、また、オペレーションが定型的かつ単純であるような場合には、上記の職業も問題なくこなせるかもしれません。

さて、ここまで向いている職業と向いていない職業を解説してきましたが、先述のとおり、上記はあくまでも一例です。

ASDの程度や職場の特徴次第で、「その仕事にマッチするかどうか」は多少変わってきますので、上述の職業は参考に留めて、実際の就職活動では専門家の意見を取り入れつつ、職場ごとに判断するようにしてください

ASDの大人が抱えやすい就労上の困難3点

ASDの大人が抱えやすい就労上の困難3点

この章では、ASDの大人が抱えやすい就労上の代表的な困難を、具体的に3つ紹介します。(以下参考:宮尾益知『ASD(アスペルガー症候群)、ADHD、LD 大人の発達障害 日常生活編』、宮尾益知『ASD(アスペルガー症候群)、ADHD、LD 職場の発達障害』)

基本的に、仕事の場では、大なり小なり「他人との意思疎通」が生じます。

そのため、ASDの大人が最も直面しやすい困難は「コミュニケーション」とも言われています

しかし、コミュニケーション以外にも、ASDの大人には、本人にしかわからない就労上の困難が複数あります。

困難①報告・連絡・相談などが上手くできない

先述したように、大人のASDの人の一番の困難は、「コミュニケーションが取りづらい」です。

職場で現れる具体例は、以下のようなものが挙げられます。

  • 報告、連絡、相談がうまくできない
  • 会議の目的や意図、暗黙の了解を理解しづらい
  • 上下関係や立場を踏まえた言葉遣いがしづらい
  • 話を聞いていないと誤解されやすい
  • 雑談ができない

上記のうち、「報告、連絡、相談」は業務の基本ともいえるため、大人のASDの人が仕事において悩みやすい点でしょう。

情報の取捨選択が上手くできず、「何をどう報告・連絡したらいいのかわからない」「相談内容が相手に上手く伝わらず、結局悩みなどを一人で抱え込む」などの状況が発生しがちです。

また、「直接的な仕事の話」以外に、同僚などとの雑談の際にも、「なぜその話題が自分に向けて話されているのか」を理解できずに、同僚から「コミュニケーションが取りづらい」と思われやすい傾向があるのです。

困難②自分の状態を把握しづらい

2点目は、「自分の状態を把握しづらい」です。

大人のASDの人は、自分の身体感覚や精神状態を自身で感じ取ることが難しいため、自分の限界を把握しづらいのです。

加えて、仕事をする上では、次のような状態になることもあります。

  • 「こだわり」の強さから、過度な集中力を発揮する「過集中」をして、休みを取らずに作業を続ける
  • 「仕事に行かなければ」というプレッシャー(こだわり)がある

その結果、「発熱しているのに出勤」「極度の疲労を抱えたまま連勤」「自分の限界を超えて出勤」などをすることがあり、中には「職場で倒れる」といったケースも見られます。

困難③感覚過敏で疲れやすい

3点目は、「感覚過敏で疲れやすい」です

大人のASDに限らず、発達障害のある人の中には、聴覚や嗅覚が敏感な人がいます。

特に通勤中などは、電車内の物音・におい・熱気などが耐えがたく、疲れて仕事に回せる体力がなくなる人も多いようです。

出勤してからも、職場内の様々な音が気になって仕事に集中できないことがあります。

「発達障害による疲れの対策」は、下記コラムに記していますので、ご興味がありましたらご覧ください。

大人のASDの同僚がいる人にお願いしたいこと

大人のASDの同僚がいる人にお願いしたいこと

大人のASDの同僚がいる人の中には、接し方や指示の出し方がわからずに、お困りのことがあるかと思います。

特に、大人のASDの特性の範囲はコミュニケーション全般にかかりますので、日頃のやり取りにも困惑する場合があるでしょう。

しかし、大人のASDに限らず、発達障害は生まれつきの脳の機能の偏りに原因があるため、本人の努力だけではカバーできない場合もあります。

それゆえコミュニケーションをうまく取るためには、歩み寄ることが必要となります。

そのためにも、まずは、ASDの同僚の「特性を理解すること」から始めましょう

「コミュニケーションの癖」という観点で言えば、一般的に、大人のASDの人は、以下のような傾向があると言われています。(参考:木津谷岳『これからの発達障害者「雇用」』)

  • 時間や場所の指定など、具体的すぎるくらいの指示だと安心する
  • 柔軟な対応や受け答えよりも、定型的な応答や繰り返しの方がラク
  • 口頭での伝達よりも、図説の方が理解しやすい場合がある

上記の傾向に注意して、よりよいコミュニケーションの方法を探ってみてください。

その上で、協働したり指示を与えたりするときには、「できないことよりもできること」に着目し、「その人に向けたマニュアルを作る」と効果的です。

その人にあったマニュアルを作ることができれば、互いに負担なく仕事に臨め、成果にも結びつきやすくなるでしょう。

同僚の特性を理解して、その人にあった仕事やマニュアルをカスタマイズするようにしてください。

改めて、大人のASDとは?

この章では、「大人のASD」について改めて解説します。既にご存知かもしれませんが、これまでに紹介した内容の理解も深まると思いますので、ご覧ください。(参考:『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、宮尾益知『ASD(アスペルガー症候群)、ADHD、LD 職場の発達障害』、姫野桂『発達障害グレーゾーン』、厚生労働省「ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)について」

①ASDの概要

ASDとは、「自閉スペクトラム症、自閉症スペクトラム障害(Autism Spectrum Disorder)」を意味する発達障害の1種です。

ASDには多くの特性がありますが、その中でも下記の2点がよく見られるものとして挙げられます。

  1. 社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的な欠陥
  2. 行動、興味、または活動の限定された反復的な様式

他に、感覚過敏(光や音や刺激への敏感さが目立つ)、発達性協調運動障害(不器用さが目立つ)などの特性がある人もいます。

なお、「スペクトラム」というのは、特性に様々なグラデーションがある、という意味です。一口に「ASD」と言っても、その特性の現れ方はひとりひとり異なります。

②ASDという名称・分類について

ASDという名称・分類が使用されはじめたのは、2013年に、アメリカ精神医学会が前掲の『DSM-5 精神疾患の分類と診断の手引』を定めてからです。

それよりも昔には、「自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」などという名称・分類であり、診断基準も現在とは異なっていました。

かつての分類では、「言語発達に遅れのある場合を自閉症」、「知能が定型の人と同等で言語発達の遅れがないケースをアスペルガー症候群」と区分して判断する傾向がありました。

一方、ASDという分類では、厳密な区分ではなく、「地続きの障害(=スペクトラム)」としてとらえようとしています。

なお、現在も「正式な医学用語」以外の場面(日常会話や法令名など)では、アスペルガー症候群などの旧名称・分類が残っていることもあります。

③ASDによる具体的な困難について

ASDの特性は、具体的には次のような形・傾向で現れることがあります(例であり、「ASDの人には必ずこのような傾向がある」「このような傾向があれば必ずASDである」というものではありません)。

  • 人と目線が合いにくい
  • 場の状況や上下関係に無頓着である
  • 名前を呼ばれても反応しない
  • 一方的に言葉をまくしたてる
  • 会話による意思疎通がうまくできず、コミュニケーションの齟齬が生じやすい
  • 他人の発言をそのまま繰り返す
  • 相手の身振りの意味、意見・気持ちなどを察しづらい
  • 自分の考えと別の可能性を想定しづらい(相手の立場に立って考えることが苦手)
  • 質問の意図や発言の狙いを理解しづらい
  • 比喩や冗談を理解しづらい
  • 表情から気持ちを察しづらい
  • 自分だけのルールにこだわる
  • 決まった順序や道順にこだわる
  • 予定が急変するとパニックになる(パターン化した行動をする方が落ちついた生活を送ることができる)

④ASDの診断は医師だけが可能

「自分が(ある人が)ASDかどうか」の診断は、医師による問診や心理士が実施する心理検査を中心に行われます。

逆に言うと、医師以外には「ASDかどうか」の診断・判断はできません。

あなたが(ある人が)「発達障害かどうか」をハッキリさせたいのであれば病院を受診してみることをオススメします。

「診断を受けるのが不安」と思う人は、発達障害者のサポートを行う団体(各都道府県にある発達障害者支援センターなど)に「病院に行くべきかどうか」「診断をつけるメリットや注意点は何か」などを相談することができます。

⑤ASDの医学的な診断基準

下記は、2013年にアメリカ精神医学会がまとめた『DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル』(精神障害の診察基準などを記した書籍)に挙げられているASDの診断基準を抜粋・一部編集したものです。

次のような診断基準に当てはまればASDの可能性があります(あくまで可能性です。「どの程度なら『当てはまる』と言えるか、他の病気や障害の可能性はないかなども含めて、「ある人がASDかどうか」は、医師だけが判断できます)。

A.複数の状況で社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的欠陥がある
  1. 相互の対人的-情緒的関係の欠落で、例えば、対人的に異常な近づき方や通常の会話のやり取りのできないことといったものから、興味、情動、または感情を共有することの少なさ、社会的相互反応を開始したり応じたりすることができないことに及ぶ
  2. 対人的相互反応で非言語的コミュニケーション行動を用いることの欠陥、例えば、まとまりのわるい言語的、非言語的コミュニケーションから、アイコンタクトと身振りの異常、または身振りの理解やその使用の欠陥、顔の表情や非言語的コミュニケーションの完全な欠陥に及ぶ
  3. 人間関係を発展させ、維持し、それを理解することの欠陥で、例えば、さまざまな社会的状況に合った行動に調整することの困難さから、想像上の遊びを他者と一緒にしたり友人を作ることの困難さ、または仲間に対する興味の欠如に及ぶ
B.行動、興味、または活動の限定された反復的な様式が2つ以上ある
  1. 情動的または反復的な身体の運動、ものの使用、または会(例:おもちゃを一列に並べたり物を叩いたりするなどの単調な常同行動、反響言語、独特な言い回し)
  2. 同一性への固執、習慣への頑ななこだわり、または言語的、非言語的な儀式的行動様式(例:小さな変化に対する極度の苦痛、移行することの困難さ、柔軟性に欠ける思考様式、儀式のようなあいさつの習慣、毎日同じ道順をたどったり、同じ食物を食べたりすることへの要求)
  3. 強度または対象において異常なほど、きわめて限定され執着する興味(例:一般的ではない対象への強い愛着または没頭、過度に限局したまたは固執した興味)
  4. 感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ、または環境の感覚的側面に対する並外れた興味(例:痛みや体温に無関心のように見える、特定の音または触感に逆の反応をする、対象を過度に嗅いだり触れたりする、光または動きを見ることに熱中する)

⑥いわゆる「大人のASD」とは

「大人のASD」という言葉を聞くことがあるかもしれません。「大人のASD」とは、医学的な定義がある言葉ではありません。次のような状態を指す俗語です。

  1. 学童期には目立った特性や困難が見られなかった、またはその診断等を受けることはなかったものの、成人してから仕事の場などでその特性が顕在化し、ASDの診断を受けることになった例
  2. 子どもの頃からASDの診断を受けていた人が大人になった状態

1に関連して、発達障害は生まれつきのものであり、「大人になって(大人になるにつれて)発達障害になった」ということではありません。その上で、大人になって受けた検査でASDであることが初めて判明したというケースは少なくないようです。

⑦大人のASDの「グレーゾーン」とは?

ASDの傾向が確認されるものの、確定診断が下りるほどではないほどの状態・人のことを俗に「(ASDの)グレーゾーン」と言います

グレーゾーンの場合、確定診断がないことから利用できる公的なサービスが限定されることがあります(例:障害者手帳を取得できないため障害者手帳が必須なサービスを利用できない)。

ただし、グレーゾーンの人でも「発達障害者支援センター」のようなサポート団体への相談は可能です。

確定診断があってもなくても、またASDに関係してもしなくても「発達障害に関する悩み事」は専門的な知識を持つ人たちに相談した人が対策や解決策を見つけやすくなるでしょう。

⑧ASD以外の発達障害

発達障害はその特徴によって、いくつかのグループに分けられています。

ASD以外の主な発達障害には、ADHD(注意欠如・多動性障害)、SLD(限局性学習障害)などがあります。

ASDとADHDの主な違いは、対人関係でのコミュニケーション能力の差にあらわれます。

ASDの場合

他人の身振りの意味などを察することや、状況の推測・暗黙の了解を理解しにくいことが多いです。運動が苦手なことも多いです。

ADHDの場合

ASDの人と比べると、コミュニケーションに大きな齟齬が生じたり、会話のやり取りや身振りの意味の理解に不自由さが生じたりするということは少ないです。
一方で、書類の記入間違いや物忘れといったミスが多いです。

ASD・ADHD・SLDの複数が併存する人もいます。気になる人は、下記の参考記事をご覧ください。

まとめ:大人のASDでも工夫次第で仕事は続けられます!

まとめ:大人のASDでも工夫次第で仕事は続けられます!

大人のASDの特性から、職場でできる対処法、職業の向き・不向きまでを解説してきましたが、役立ちそうな情報はありましたか?

前提となるのは、周囲の人を頼るという姿勢です

ここで言う「周囲の人」とは、かかりつけ医に限らず、同僚やご家族、支援機関の専門家などのことです。

大人のASDの人は、特にコミュニケーションの面で苦労しやすいため、自分一人で抱え込むのではなく、周囲に協力を求めることが大切になってくるのです。

できるだけ、周りの人に悩みや困りごとを相談するようにしましょう

このコラムが大人のASDで就労に悩む人の助けになれば幸いです。

よくある質問(1)

ASDの大人が職場で実践できる対処法はありますか?

一般論として、次の5点が考えられます。「具体的な指示をお願いする」「情報媒体を変えてもらう」「時間管理にアラーム機能を用いる」「イヤホンなどのグッズを利用する」「就労支援を受ける」。詳細はこちらをご覧ください。

よくある質問(2)

ASDの大人に向いている職業はありますか?

一般論として、次の4種類が挙げられます。「プログラミングなどのIT系」「経理」「事務」「法務」(「実際のあなた」に向いているかどうかは、もちろん個別の事情によって異なります)。詳細はこちらをご覧ください。

監修志村哲祥

しむら・あきよし。
医師・医学博士・精神保健指定医・認定産業医。東京医科大学精神医学分野睡眠健康研究ユニットリーダー 兼任准教授、株式会社こどもみらいR&D統括。 臨床医として精神科疾患や睡眠障害の治療を行い、また、多くの企業の産業医を務める。大学では睡眠・精神・公衆衛生の研究を行っており、概日リズムと生産性、生活習慣と睡眠、職域や学校での睡眠指導による生産性の改善等の研究の第一人者。

【著書など(一部)】
子どもの睡眠ガイドブック(朝倉書店)』『プライマリ・ケア医のための睡眠障害-スクリーニングと治療・連携(南山堂)』
他、学術論文多数

日経新聞の執筆・インタビュー記事一覧
時事メディカルインタビュー「在宅で心身ストレス軽減~働き方を見直す契機に」

監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。

【著書ピックアップ】
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』

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翔泳社公式 【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【その他著書など(一部)】
学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧

【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

監修角南百合子

すなみ・ゆりこ。
臨床心理士/公認心理師/株式会社こどもみらい

執筆寺田淳平

てらだ・じゅんぺい。
高校2年の春から半年ほど不登校を経験。保健室登校をしながら卒業し、慶應義塾大学に入学。同大学卒業後の就職先(3,500人規模)で人事業務に従事する中、うつ病を発症し約10か月休職。寛解・職場復帰後、勤務を2年継続したのち現職のフリーライターに。
2019年に一般財団法人職業技能振興会の認定資格「企業中間管理職ケアストレスカウンセラー」を取得。

サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)

うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。トップページはこちら→

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