ADHDのある人に向いてる仕事 働き方やミス対策も解説 | キズキビジネスカレッジ  

ADHDのある人に向いてる仕事 働き方やミス対策も解説

こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。

近年、発達障害の一種であるADHD(注意欠如・多動性障害)による仕事上の困難を抱えている人が多くなっていると言われています。

ADHDのあるあなたも以下のような悩みを抱えていませんか?

  • 今の仕事を続けられるの?
  • この就職先で大丈夫か…

このコラムでは、ADHDのある人に向いてる仕事や向いてる働き方、向いてない仕事について解説します。

ADHDと向き合いながら働き続けられる環境を見つける手助けになれば幸いです。大人のADHDと仕事については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

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ADHDの特性の仕事上の強み・弱み

ADHDのある人に向いてる・向いてない仕事があるといわれるのは、ADHDの特性には、仕事上の強み・弱みになる部分があるからです。

この章では、ADHDの特性の仕事上の強み・弱みについて解説します。

紹介した以外の仕事を探す参考にもなると思います。ぜひご覧ください。

①ADHDの特性の仕事上の強み

ADHDのある人が就職する上で強みになる点として、以下の5つが挙げられます。(参考:榊原洋一、高山恵子『図解 よくわかる大人のADHD』)

ADHDの
  • 独創性に富んでいて発想力がある
  • 好奇心旺盛でチャレンジング
  • 感覚に優れていて周囲の環境に敏感
  • 興味のある分野であれば寝食も忘れて没頭できる
  • 決断力があってスピーディーに物事を判断できる

中でも、ADHDのある人の発想力や独創性が大きな強みになるという話は有名です。

福島学院大学大学院教授の星野仁彦氏は、ADHDのある人の独創性が「過集中」の傾向とあわさることで優れた成果をあげられると指摘しています。

「過集中」とは、自分の興味、関心の有無によって集中力と意欲が一気に高まるADHDのある人に典型的な特徴の一つです。(参考:星野仁彦『発達障害に気づかない大人たち』)

ADHDのある人の好奇心や独創性は、強みにも弱みにもなる症状です。

過集中傾向とあわせてプラス方向に活用できれば、自分の才能や能力にあった職種で生き生きと仕事をすることができ、結果的に素晴らしい業績を残せる可能性があります。

②ADHDの特性の仕事上の弱み

ADHDのある人が就職する上で弱みになる点として、以下の5つが挙げられます。(参考:日本精神神経学会『今村明先生に「ADHD」を訊く』)

ADHDの弱み
  • 書類の記入漏れなどのミスをしやすい
  • 仕事の優先順位をつけるのが苦手で先延ばししがち
  • マルチタスクをしようとすると業務効率が落ちる
  • 机のうえを散らかしがちで、書類や物を失くす
  • 他人の意見を聞かずに応答したり行動する

以上の特徴はADHDのある人の職務上の困難としてよく挙げられるものです。これらをカバーするための工夫は、サポート団体などと一緒に考えていくことが可能です。

就職先を探すときには、こうした短所の影響が出来にくい仕事や弱みへの対策が立てやすい職場を選んでみるのも一つの手です。

ADHDのある人に向いてる仕事

この章では、ADHDのある人に向いてる仕事について解説します。

なお、解説する仕事は、あくまで一般論です。その特性や程度は人によって異なります。以上の仕事以外にも、同様の特徴がある仕事であれば、ADHDのある人に向いてる可能性が高いでしょう。

同じの仕事であっても、向いてるかどうかは、実際のあなたや実際の職場の環境、マニュアル、サポート体制などによって異なります。

実際のあなたに向いてる仕事は、支援機関に相談する中で、具体的に見つかっていくはずです。働きたい仕事がある場合、以上の仕事を参考にしつつ、ご自身で調べてみたり、専門家や支援機関に相談したり、実際の求人元に問い合わせたりしてみましょう。

仕事①不注意の傾向が強いADHDのある人に向いてる仕事3選

不注意性の傾向が強いADHDのある人は、クリエイティブ系の仕事で活躍できるかもしれません。

クリエイティブ系の仕事
  • デザイナー
  • アニメーター
  • イラストレーター

不注意性の傾向が強いADHDのある人は、好奇心が強く、感受性に優れています。そのため集中するべき場面でも取りとめのない考えやアイディアが浮かび、気が散りやすくなります。

そのような場合は、以上のような仕事で、そうした発想力や独創性を活かせるかもしれません。

仕事②多動性・衝動性の傾向が強いADHDのある人に向いてる仕事4選

多動性・衝動性の傾向が強いADHDのある人は、行動力を活かせる仕事が合うかもしれません。

行動力を活かせる仕事
  • 営業職
  • ジャーナリスト
  • カメラマン
  • 起業家

以上のような仕事は、一か所に留まることが少ないため、行動力のある多動性・衝動性の傾向が強いADHDのある人に向いてる場合があります。

以下のような特性の活かし方が考えられるかもしれません。

  • 営業職として営業先を回る
  • ジャーナリストとして取材に行く
  • カメラマンとして撮影場所を転々とする
  • 起業家として様々な事業を立ち上げる

ただし、多動性・衝動性の傾向が強いADHDのある人の中には、段取りを頭の中で組み立てながら並行して作業をするのが苦手だと感じる人もいます。

そのため、作業のリスト化や自分専用のマニュアルを作るなどの仕事の工夫が必要になってくるかもしれません。

仕事③興味のある分野への集中力が高いADHDのある人に向いてる仕事3選

不注意性や多動性・衝動性の傾向に限らず、興味のある分野への集中力が高いADHDのある人もいます。

興味のある分野に高い集中力を発揮できるADHDのある人には、専門性の高い仕事が合うかもしれません。

興味のある分野への集中力を活かせる仕事
  • プログラマー
  • エンジニア
  • 研究者

ADHDとプログラマーについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

ADHDのある人は、関心分野と職種の専門性が合致したときに、能力を発揮しやすく、活躍しやすいと言われています。

福島学院大学大学院教授の星野仁彦氏は、専門的な資格を取ることでなれる専門的技術職こそがADHDのある人の一番の適職だと言います。(参考:星野仁彦『発達障害に気づかない大人たち〈職場編〉』

とはいえ、興味を持てる分野は人によって異なるため、以上の3つの仕事が必ずしも適職であるとは限りません。また、関心分野への専門知識や技能を活かして、作曲家や音楽家などの芸術方面へ進むケースもあるかもしれません。

大切なのは自分が何に関心を持っているのかを吟味することと、その一方で、自分の特性を理解して、苦手なことを避けることです。

ADHDのある人に向いてる3つの働き方

この章では、ADHDのある人に向いてる働き方について解説します。

働き方①裁量労働制

裁量労働制とはみなし残業制の一種で、実際に働いた時間は何時間であれ、契約した労働時間分を働いたことにする制度のことです。

労働者の裁量で残業や業務の進め方を決められるため、自由度の高い働き方となっています。

主に経営に関わるような企画業務や、保守開発といった技術性を求められる専門業務で適用されることが多いです。

ただし、職場によっては、あらかじめ定められた残業時間と残業代を含む給料のバランスが悪かったり、事実上、残業時間が非常に長くなったりすることもあります。

就職や転職にあたっては、その職場の裁量労働制は、実際はどのように機能しているかを確認するとよいでしょう。

働き方②フレックス制

フレックス制とは、会社の決めた必ず労働していなくてはならないコアタイムや所定労働時間・総労働時間に就業していれば、始業と終業の時間を労働者本人が選択できる就労形態のことです。

例えばコアタイムは14時から16時で、所定労働時間は7時間という場合、7時間働いていれば、14時前ならいつ始業してもよく16時以降ならいつ終業してもよいとされます。

裁量労働制と似て見えるかもしれませんが、フレックス制は、基本労働時間・残業時間などについて実際の労働時間が測られるのに対して、裁量労働制では実労働時間を測られないという違いがあります。

働き方③フリーランス

3つ目は、フリーランスです。

フリーランスとは、組織に属さずに個人で仕事を請け負う働き方のことです。

単発の仕事毎に契約をし、自分の経験や専門技術を活かせるため、最も自由度が高いと言えます。

ただし、仕事を取る努力は会社員よりも大変なことも多く、また、仕事がないときには収入もなくなります。さらに、社会保険の加入手続きや法人税の申告等も、基本的には自力でやらなければなりません。

近年では、インターネット環境の整備やクラウドサービスの浸透によって、フリーランスとして時間や場所を気にしない働き方も増えてきています。

行動力を活かせるADHDのある人向きの働き方とは言えるものの、収入の面や、マルチタスクになりやすいことには、注意しておいた方がよいでしょう。

ADHDのある人がフリーランスに向いているかどうかについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

ADHDのある人に向いてない仕事3選

一般的に、ADHDのある人には、スケジュール管理を求められる仕事や正確性を求められる仕事は向いていないと言われています。

ADHDのある人には、以下のような仕事が向いてないと考えられます。

ADHDある人に向いてない仕事
  • 秘書
  • 経理
  • 総務

秘書のように細かなスケジュール調整が必要となる仕事は、時間感覚の実感が弱いADHDのある人には向いてないことがあります。

経理と総務は、細かな作業が必要となる事務職の代表例です。

経理職は淡々とした定型的な作業をこなすことが基本となる上に財務管理を行うため、ミスに厳しい職種です。

一方、総務は扱う業務内容が多岐にわたるため、一見するとADHDのある人の多動性を活かせるように思います。

しかし、マルチタスクをする必要があるので、ADHDのある人の場合は作業効率がガクンと落ちることがあるかもしれません。

また、いずれもデスクワークが主であり、行動力を活かせないという点もADHDのある人にはネックになってくるでしょう。

なお、以上の仕事は、あくまで一般論です。以上の仕事以外にも、同様の特徴がある仕事であれば、ADHDのある人に向いてない可能性が高いでしょう。

同じの仕事であっても、向いてないかどうかは、実際のあなたや実際の職場の環境、マニュアル、サポート体制などによって異なります。例えば、ADHDのある人が接客業で活躍する事例もあります。

実際のあなたに向いてる仕事は、支援機関に相談する中で、具体的に見つかっていくはずです。働きたい仕事がある場合、以上の仕事を参考にしつつ、ご自身で調べてみたり、専門家や支援機関に相談したり、実際の求人元に問い合わせたりしてみましょう。

ADHDのある人が抱えやすい仕事上の困りごと

ADHDのある人は、仕事上で以下の困りごとを抱えることがあります。

  • 整理整頓がうまくできない
  • 記入漏れなどのミスや忘れ物が多い
  • スケジュールの先延ばしや遅刻をしやすい
  • タスク管理がうまくいかない
  • 気が散りやすくて集中できない
  • 興味のあることしかする気になれない
  • 自分に合う働き方や向いている職業がわからない
  • 誰に(どこに)相談すればよいかわからない

ADHDのある人の仕事上の困りごとについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

また、ADHDのある人の悩みについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

仕事ができないと悩むADHDのある人にオススメのミス対策5選

ADHDのある人が活躍しづらい業務の担当になった場合でも、仕事を続けることは充分に可能です。

その際には、ADHDの特性を補いつつ活かしたミスを防ぐための対策をすることが重要になってきます。

ミスをカバーする準備ができていれば、安心して仕事に取り組めますよね。

この章では、ADHDのある人にオススメのミス対策について解説します。

ご自身の特性に合わせて取り入れてみてください。

ミス対策①整理整頓する時間をあらかじめ決めておく

ミス対策①整理整頓する時間をあらかじめ決めておく

ADHDの人は、あらかじめ整理整頓をする時間を決めておきましょう。

ADHDの人は掃除が苦手なため、机の上を散らかったままにしがちです。

他の業務に気を取られるあまり、大切な書類をなくすということも起こり得ます。

こうした事態を避けるために、整理整頓だけをする時間を取るとよいでしょう。

これは物理的なレベルにとどまらず、思考のレベルにも応用できるミス対策です。

ADHDの人は優先順位を決めて行動することが得意ではありません。

大変な業務や緊急の業務をつい先延ばしにすることがあります。

そのため、どの業務を優先的にやるべきかなど「頭の中を整理整頓する」ということも、ADHDの人が仕事を進めていく上では大切なのです。

一日のうち短い時間でかまわないので、「整理整頓の時間」を取るようにしましょう。

ミス対策②リスト化を徹底する

ミス対策②リスト化を徹底する

ミス対策の2つ目は、「リスト化の徹底」です。

これも整理整頓に似たものになりますが、見落としや忘れ物が多いADHDの人は、やるべきことを忘れることが多いです。

こうした抜け落ちは、タスクリストをつくることで回避できます。

するべき仕事を書きだして、任務が完了したら線を引いて消す習慣をつけるようにしましょう。

関連して、ADHDとマルチタスクの関係は、下記コラムに書いています。ご覧ください。

ミス対策③自分だけのマニュアルをつくる

ミス対策③自分だけのマニュアルをつくる

オススメしたいミス対策の3番目は、「自分だけのマニュアルをつくる」です。

仕事をしていると、前任者からの引き継ぎを受けるような場面もあるでしょう。

その際には、口頭説明だけでなくマニュアルも一緒に渡されるかもしれません。

しかし、それはあくまでも前任者にとって最適な作業手順であって、あなたにとって最適だとは限りません。

特にADHDの人は仕事の進め方にこだわりを持っている場合もあるため、自分が理解しやすい仕方で業務をまとめた方がよいでしょう。

加えて、ADHDの人は、一般的なマニュアルに注意書きのないところでもミスを避けるために自分なりにアレンジして追記する必要が出てきます。

新しく業務を引き継いだ際には、自分専用のマニュアルを作成するようにしましょう。

ミス対策④メモ帳とペンを常に持ち歩き、活用する

ミス対策④メモ帳とペンを常に持ち歩き、活用する

4つ目のミス対策は、「メモ帳とペンを常に持ち歩き、活用する」というものです。

ADHDのある人は、メモを取ろうと心掛けていても、肝心のメモ帳とペンを忘れるという場合があります。

そのため、持ち歩きに便利な「小さいサイズのメモ帳とペン」をスーツの胸ポケットに入れるなどして、常に携帯できる工夫をするとよいでしょう。

字を書くことが苦手であれば、スマホのメモの機能が便利です。

ADHDの人は、「何が大事な情報なのか」「何をメモしたらよいのか」がわからないことがよくあります。

書く内容(時間・締切・用件・場所など)を決めておいたり、メモのテンプレートを用意しておいたりすると便利です。

ADHDの人にとって、メモを取ることは特に有効です。

というのも、注意力が散漫になりがちなため、他の情報に気を取られて耳から入ってきた情報を記憶するのが困難だからです。

そのようなときにメモ帳があれば重宝します。

手を動かすことは、集中力を保つという意味でも効果的な手段のひとつです。

ぜひ日頃からメモ帳とペンを持ち歩いて、メモをつける習慣を身につけてください。

メモをつけるときには、「メモ帳をなくす」「メモが乱雑になり、後で見返した際に読めなくなる」といった点にも注意をしましょう。

ミス対策⑤ゲーム要素を取り込んでみる

ミス対策⑤ゲーム要素を取り込んでみる

最後にオススメしたいのが、「ゲーム要素を取り込んでみる」という工夫です。

医学博士である星野仁彦先生は、ADHDの人はゲームやネットなどにはまりやすく、寝るのも忘れてのめり込む傾向が顕著だと指摘しています。
(参考:星野仁彦『発達障害に気づかない大人たち』)

これは同時に、ゲームやネットにはまりやすい傾向を利用できれば、仕事に対しても集中力を切らさずに取り組めるということを意味しています。

タイムアタック形式のようにどれだけ早く作業を終えられるか計測してみたり、一緒に仕事をしている同僚とどちらが多く契約を取れるかを競ってみるなど、仕事の中にゲーム性や勝負など楽しめる要因を作ってみるとよいでしょう。

ゲーム要素を取り入れることで、楽しみを見出し、興味を持ちづらい事柄であっても意欲的に取り組めるようになるはずです。

ADHDのある人に合った仕事を見分けるためのチェックポイント2点

この章では、ADHDのある人に合った仕事を見分けるためのチェックポイントについて解説します。

適職を探す上で重要なのは、ADHDの特性の中でも、自分はどの特性があるのかを見極めることです。

ADHDの特性が原因で仕事がうまく進められずに転職を考えている人や、これから就職先を探そうとしている人は、ぜひ以下のタイプ別チェックポイントを参考にしてあなたに合った仕事を考えてみてください。

自分の特性がわかりにくいときや実際に仕事を探すときは、客観的に強みや弱みを判断してくれる人や支援機関に相談することをオススメします。

ポイント①不注意の傾向が強いADHDのある人:正確性を求められない仕事かどうか

不注意の傾向が強いADHDのある人:正確性を求められない仕事かどうか

不注意の傾向が強いADHDのある人は、正確性を求められないことを基準に仕事を考えるとよいでしょう。

このタイプの人は、見落としや物忘れをしやすいため、細かな事務作業や確認作業を必要とする仕事はあまり向いていません。

特に一つのミスが大きな損失に繋がるような仕事は避けた方がよいでしょう。

電車の車掌やバスの運転手のような仕事に就くと、ちょっとした不注意が大きな事故に繋がる可能性があるため特に注意が必要です。

反対に、豊かな発想力や独創性を活かせるクリエイティブな仕事だと才能を活かせる可能性があります。

不注意の傾向が強いADHDのある人は、正確さの代わりに企画力が試される仕事に就くと活躍できるでしょう。

ポイント②多動・衝動性の傾向が強いADHDのある人:じっとすることを求められない仕事かどうか

多動・衝動性の傾向が強いADHDのある人:じっとすることを求められない仕事かどうか

じっとしているのが苦手な多動・衝動性の傾向が強いADHDのある人は、「じっとしなくてもよいか」を軸に職種を選びましょう。

このタイプの人は、デスクワークよりも外回りが基本になる仕事や、出張が多い業種に就くと能力を活かせる可能性があります。

また、淡々とした日常の繰り返しが苦手な人もいます。

そのため、就労時間や業務内容が固定されている仕事は苦痛に感じることがあるかもしれません。

フレックス制やフリーランスに多い仕事に就くことで、成功しやすくなることもあるでしょう。

多動・衝動性の傾向が強いADHDのある人は、行動力を活かすことのできる、自由度の高い仕事に就くと活躍できるでしょう。

ADHDのある人が転職を成功させるためのステップ

ADHDのある人が転職を成功させるためには、以下のステップを踏むことが重要です。

  1. 自分のADHDの特性を洗い出す
  2. 自分の状態に適した次の一歩を検討する
  3. ADHDであることを明かすかどうかを検討する
  4. 一般論ではなく、自分に合う転職先・働き方を探す

このステップを踏んだ上で、こちらで解説する対策もあわせて実践してみてください。

ADHDのある人の就職活動については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

ADHDのある人が自分に合った仕事を探すためにできる対策4選

この章では、ADHDのある人が自分に合った仕事を探すためにできる対策について解説します。

ADHDのある人が利用できる支援機関はたくさんあります。また、無料で利用できるものもたくさんあります。

悩みを一人で抱え込まずに、支援機関に相談することをオススメします。

対策①医師やカウンセラーに相談する

対策①医師やカウンセラーに相談する

まずは、医師やカウンセラーに相談してみることが大切です。

特性に関する悩みならともかく、就労の悩みは医師に話すべきでないと思う人もいるかもしれません。

しかし、ADHDに伴って生じる悩みである以上、専門の医師はそういった相談も受け付けています。安心して悩みを打ち明けてみてください。

継続して診てもらっているかかりつけの医師であれば、あなたの特性や悩みに合ったアドバイスを得られるでしょう。

また、現在、医師の診断しか受けていないという人は、専門の臨床心理士・公認心理師などによるカウンセリングを受けるのも一つの手段です。

カウンセラーとあなたの特性や困っていることについて一緒に解決策を考えたり、職場に関する相談もできますので、お困りであれば、カウンセリングも視野に入れてみてください。

どういったカウンセラーを選んだらよいかわからなければ、日本臨床心理士会のウェブサイト「臨床心理士に出会うには」から検索が可能です。

対策②支援機関を利用する

2つ目は、支援機関を利用することです。

ADHDでお悩みの人が頼れる公的な支援機関として、以下が挙げられます。

発達障害者支援センターでは、確定診断が下りていなくても、ADHDの特性に伴う困難があれば相談を受け付けています。

また、地域障害者職業センター障害者就業・生活支援センターでは、就労に関するお悩みや職業相談を受け付けているので、特に仕事のことでお困りの人に向いているかもしれません。

いずれの支援機関も、基本的には無料でサービスを提供しています。

また、ADHDに特化していなくても、ハローワーク職業訓練校などで、専門的な職業訓練を受けながら、「どんな仕事が自分に合っているのか」を考えるのもよいでしょう。

どの支援機関を利用すべきかわからない場合には、お住まいの自治体の障害福祉を担当する部署・窓口に相談してみてください。

対策③就労移行支援事業所に通所する

「就労移行支援事業所」は、発達障害や病気がありで、一般企業への就職を目指す人に向け、就労移行支援を実施しています。
(私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)もその一つです)

職業相談だけでなく、メンタル面のケアや、専門的なスキルの講習、実際の就職活動の支援、インターン先の紹介など、包括的なサポートを行っている点に特徴があります。

運営主体は様々ですが、いずれも公的機関から認可を受けていますので安心してご利用いただけます。

事業所によっては、就職後の職場定着までサポートしているところもあります。

職場定着支援とは、あなたと職場の間に入って、仕事での悩みを調整したりするということなどです。

実際、障害者職業総合支援センターの調査研究によれば、職場定着支援を受けた人とそうでない人で、1年後の職場定着率に20%近い差が出ています。
(出典元:障害者職業総合支援センター「障害者の就業状況等に関する調査研究」)

インターネットで「就労移行支援事業所 ○○市」などと検索すると、お近くの事業所が見つかると思います。

相談は無料ですので、支援内容に興味を抱いた事業所に、詳細を問い合わせてみることをオススメします。

就労移行支援事業所の詳細は、下記コラムをご覧ください。

対策④障害者雇用を検討する

4つ目は、障害者雇用を検討することです。

求人・雇用の中には、障害者雇用というものがあります。

障害者雇用とは、障害のある人を対象とした雇用枠のことです。障害の特徴や内容に合わせて安心して働けるようにするため、障害者雇用以外の雇用枠である一般雇用とは就労条件が異なります。

障害者雇用であれば、ADHDの特性や程度に応じて、職場から業務内容や業務量への配慮を得ながら働くことができます。

これまで一般雇用で働いてきた発達障害のある人は、障害者雇用で働くことで、これまでと同じ仕事であっても就労のつらさを軽減できるかもしれません。

一方で、障害者雇用は、一般雇用に比べると給与や昇進などのキャリア面において水準が低いこともよくある話です。

障害者雇用と一般雇用のどちらにするかは、あなたのADHDの特性や程度、経済状況、生活と仕事の優先順位などを総合的に考えて判断することが大切です。

雇用枠を考えるときにも、支援機関や就労移行支援事業所などに相談しながら検討することをオススメします。

障害者雇用については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

ADHDのある利用者さんの転職・就職成功事例

この章では、キズキビジネスカレッジ(KBC)の利用者さんの中で、ADHDのある方の転職成功事例を紹介します。

事例①ADHDの特性への理解を深め転職を成功させた事例

Yさんは転職を繰り返し、うつ病を発症。その際にADHDの診断も受けました。

その後、キズキビジネスカレッジ(KBC)通所し始め、特性への理解を深めたり、新たなスキルの取得したりするなどをしました。

そして、現在は大東コーポレートサービス株式会社 RPA推進事業部に所属し、アシスタント契約(パートタイム)で週5日(4日出社、1日在宅)働いています。

Yさんの体験談をより詳しく知りたい人は、以下の体験談をご覧ください。

事例②ADHDとASDの特性を活かせる仕事に転職した事例

Iさんは、フリーランスの動画編集者として活動していましたが、特性に伴う苦労が増えてきたことから受診し、ADHDとASDの診断を受けました。

診断を受けた後は、特性を活かせる仕事を見つけるために、キズキビジネスカレッジ(KBC)に通所することを決意。

様々なプログラムを受けた上で就職活動に挑み、クローズ就労・一般枠・正規雇用で最初に受けた企業の内定を獲得できました。

Iさんの体験談をより詳しく知りたい人は、以下の体験談をご覧ください。

ADHDとは?

ADHD(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害、Attention-Deficit Hyperactivity Disorder)とは、不注意性や多動性・衝動性の特性から日常生活などに困難が生じる発達障害の一種のことです。(参考:American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、田中康雄・監修『大人のAD/HD』、岩波明『大人のADHD─もっとも身近な発達障害』、司馬理英子『ササッとわかる 「大人のADHD」 基礎知識と対処法』、星野仁彦『それって、大人のADHDかもしれません』、e-ヘルスネット「ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療」

ADHDの特性は大きく、以下の2つの特性に分けられます。

  • 不注意性:忘れ物やケアレスミスが多い、注意散漫、整理整頓・管理が不得意
  • 多動性・衝動性:落ち着きがない、気が散りやすい、後先考えず行動する

ADHDのある人だからといってすべての特性が生じるというわけではありません。いずれかの特性、または複数の特性から困難が生じている人もいます。

ADHDのある人は、必ず不注意性や多動性・衝動性が現れるというわけではなく、人によって特性の現れ方、得意なこと・不得意なことが違う点が大きな特徴です。

ADHDの概要や特性、診断基準などについては、以下のコラムで解説しています。

まとめ:あなたの特性にあった仕事は、きっと見つかります

実際の就職活動で困った際には、一人で抱え込まないでください。

就労移行支援事業所などの支援機関に相談しながら、ご自身のADHDの傾向・特性や求人内容を分析しつつ行うことをオススメします。

このコラムがお役に立ったなら幸いです。

よくある質問①

ADHDの特性に向いてる仕事/職業(適職)には何がありますか?

例としては、デザイナー、アニメーター、イラストレーター、営業職、ジャーナリスト、カメラマン、起業家、プログラマー、エンジニア、研究者が挙げられます。詳細はこちらをご覧ください。

よくある質問②

ADHDの人が自分に向いてる仕事/職業(適職)を見つける方法はありますか?

就労移行支援事業所の利用が考えられます。就労移行支援の詳細は、下記コラムをご覧ください。

就労移行支援とは? 支援内容やメリット、利用までのステップを解説

監修志村哲祥

しむら・あきよし。
医師・医学博士・精神保健指定医・認定産業医。東京医科大学精神医学分野睡眠健康研究ユニットリーダー 兼任准教授、株式会社こどもみらいR&D統括。 臨床医として精神科疾患や睡眠障害の治療を行い、また、多くの企業の産業医を務める。大学では睡眠・精神・公衆衛生の研究を行っており、概日リズムと生産性、生活習慣と睡眠、職域や学校での睡眠指導による生産性の改善等の研究の第一人者。

【著書など(一部)】
子どもの睡眠ガイドブック(朝倉書店)』『プライマリ・ケア医のための睡眠障害-スクリーニングと治療・連携(南山堂)』
他、学術論文多数

日経新聞の執筆・インタビュー記事一覧
時事メディカルインタビュー「在宅で心身ストレス軽減~働き方を見直す契機に」

監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。

【著書ピックアップ】
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』

Amazon
翔泳社公式 【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)

【その他著書など(一部)】
学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧

【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

監修角南百合子

すなみ・ゆりこ。
臨床心理士/公認心理師/株式会社こどもみらい

サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)

うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。2024年10月現在、首都圏・関西に6校舎を展開しています。トップページはこちら→

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