ADHDの人がフリーランスに向いているかをズバリ語る!
こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。
この記事にたどり着いたあなたは、次のようなことをお考えではないでしょうか。
「ADHDで会社勤務していても周囲と上手くいかず、できればフリーランスで働きたい」
「ADHDでもフリーランスでやっていけるのか」
ADHDの特性がフリーランスに向いている・向いていないは、ネット上でも物議を醸すところで、判断に迷っていることと推測いたします。
結論から言いますと、「ADHDの特性も特性以外の部分も人によって異なるため、『実際のあなた』がフリーランスに向いているかどうかはサポート団体などに相談しながら判断するのがよい」となります。
当記事では、それも踏まえた上で、ADHDの特性がフリーランスに向いているケースとはなにか、フリーランスになるには何を注意するべきかなど、あなたの判断のお手伝いをさせていただきたく存じます。10分程、お付き合いいただければ幸いです。
この記事の内容は、全体的に、書籍『発達障害フリーランス 属さない働き方のすすめ(銀河著)』『大人のADHDコントロールガイド(福西勇夫・福西朱美著)』及び、就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジの知見に基づいています。
私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、フリーランスを目指すADHDのある人のための就労移行支援事業所です。
- 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
- 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
- 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月
新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。
目次
ADHDの特性
フリーランスに向いているか、向いていないかを判断する前に、まずはADHDにはどのような特性があり、あなたはどの特性に当てはまるかを知る必要があります。
そもそも向いている・向いていないにも特性がどのようなものであるかによって異なるためです。
ADHDには、大きく分けて下記の2つの特性があります。
- 多動・衝動性
常に動き回ったりするなど、じっとしていられない特性。
衝動的な言動をする特性。 - 注意欠如
集中力が続かなかったり、すぐに注意が逸れたりする特性。
上記2つに加え、過剰な集中力や、興味のないことは取り掛からないといった傾向もあります。
ADHDに向いているとされる職種
前章を読むと欠点ばかりのように感じるかもしれませんが、ADHDの特性は、長所に変える(長所として活きる)ことができます。
長所に変えると、下記表のとおり、向いている職種が見えてきます。
長所 | 向いている職種 | 向いている理由 | 多動・衝動性 | 行動力がある | 営業職 ジャーナリスト カメラマン 起業家 |
思い立ったらすぐに行動できる 作業場所が1か所に留まらない |
---|---|---|---|
注意欠如 | 新しいものに敏感 変化に気づきやすい |
デザイナー アニメーター イラストレーター |
新しいことをすぐ覚える ひらめきが多く アイディアが湧きやすい |
また、多動・衝動性や、注意欠如に関わらず、集中力が非常に高いケースである過集中型の場合、向いている可能性のある職種の例には、下記が挙げまれます。
- プログラマー
- エンジニア
- 研究者
集中力が必要とされ、かつ興味のあることはすぐに取り掛かる(興味のないことは取り掛からない裏返し)ためです。
このように、特性を長所と捉えることによって、向いている職種は多岐にわたります。
上記の職種は例であり、「実際のあなた」に向いてる職種は、「ADHDと仕事」に詳しいサポート団体に相談することで、具体的に見つかっていくと思います。サポート団体については、コラム「発達障害の方に向いてる仕事を紹介〜職場での対策/仕事の探し方/サポート団体も解説〜」をご覧ください。
ADHDはフリーランスに向いているかは、「特性」と「仕事」次第
さて、お待たせいたしました!!いよいよ本題に入ります!
ADHDの人がフリーランスとして活躍できるか(向いているか)は、「いかに特性を活用するか」に尽きます。
一般論かつ極端な例を1点挙げますと、事務作業は細かい作業および正確性を最も求められるため、注意欠如型のADHDの人に向いていないとされています。ですので、「会計関係のフリーランス」を目指すのはオススメできないということになります。
逆に言えば、特性を活かせば、フリーランスとして活躍できる・働きやすくなる・生きやすくなる可能性が高いことになります。
次のようなことを検討するのが、フリーランスに向いているか・向いていないかを判断する第一歩ということです。
- 自分の特性は何か
- その特性に向いていると言われる仕事は何か
- その仕事が『実際の自分』や『フリーランス』に向いているのか
ただし、上記のいずれも、「あなた一人」では分析や検討が難しいケースもよくあります。特性についても仕事についても、後述する就労移行支援事業所などの、「発達障害と仕事」をサポートする団体に相談することをオススメします。
そうすることで、「フリーランスに向けて準備を進める」「やはり『雇われる』方が向いてるから、自分に合う就職先を探す」などの道筋も見えてくるはずです。
ADHDの人がフリーランスになる際の注意点
フリーランスの場合、自分でやるべきことが多岐にわたり、苦手なこともこなさなくてはなりません。
そうした状況では、ADHDの特性は、欠点となりうることもあります。例えば、前述のとおり、注意欠如型のADHDは事務作業が苦手な傾向があります。
そのため、実際にフリーランスになるにあたっては、「メインの仕事」以外に、次のような対策を検討することも大切です。
- 苦手なことは他人にやってもらう(外注する)
- 作業をPCソフト等で自動化する
- 自分専用のマニュアルを用意する
また、これはADHDに限ったことではありませんが、収入です。一般論としては、フリーランスになると収入は安定しません。したがって、「フリーランスになる」のは、一定期間の生活費を確保した上で行うのが望ましいです。副業から始めてみるのも一つの方法です。
ADHDのフリーランス体験談
この章では、「ADHDの特性があり、フリーランスになった人」の体験談を紹介します。
職種:ファイナンシャルプランナー(ライフプランの作成および保険の提案)
特性:多動・衝動性
仕事上の強み:行動力と発想力を活かして、思い立ったらすぐに行動し、お客さまへの提案活動を行っている。
仕事上の弱み及び対策:事務作業が苦手。事務作業のみを行う日を設けて、マルチタスクにしない。
フリーランスになったメリット:
・時間の使い方が自由になった。
・お客さまを選べるようになった。
職種:グラフィックデザイナー
特性:興味のあるものは深く追求
仕事上の強み:独学が得意で、様々な分野の知識を身に付け、仕事につないでいる。デザインソフトも独学から始めた。
仕事上の弱みおよび対策:要望が不明確な案件の対応が苦手。指示された内容への認識が合っているかを相手に必ず確認することでトラブルを回避。
フリーランスになったメリット:
・嫌な人と仕事をしなくてもよくなった。
・自分のペースで仕事を進められる。
・通勤の必要がなくなった。
職種:システムエンジニア
特性:衝動性・注意欠如
仕事上の強み:意欲的に様々な知識を自学で身に付けられる。
仕事上の弱みおよび対策:注意欠如の特性のため、すぐに他のことに気を取られて、事務作業は苦手。締め切りを設けて、締め切りまでは同じ作業を行うことで回避。
また、約束事を忘れがちなので、スマホやGoogleのリマインド機能を利用して回避。
フリーランスになったメリット:
・自分で時間調整が可能になり、家族との時間が増えた。
・前職では病気が理解されずによく叱責を受けたが、叱責がなくなり、ストレスが軽減した。
就労移行支援事業所とは
発達障害のある人が、フリーランスとしての独立や再就職・転職を目指すなら、就労移行支援事業所の利用がオススメです。
各事業所は、公的な認可を得た民間事業者が運営しています。そのサービス内容は、次のように多岐にわたります(一例であり、事業所ごとに様々なサービスを行っています)。
- 独立・転職のための知識・技能の習得
- 独立・転職のための知識・技能の習得
- 履歴書・経歴書・エントリーシートの作成支援
- メンタル面のサポート
- 再就職・転職先候補や、職場体験実習(インターン)の紹介
- 転職後の職場定着支援
利用の可否は、お住まいの自治体が、下記などに基づいて判断します。
- 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病などがある
- 18歳以上で満65歳未満
- 離職中(例外あり)
※上記を満たすなら、障害者手帳を所持していなくても利用可能です。
ご自身が利用できるかどうかは、自治体や、各就労移行支援事業所に相談してみましょう。
就労移行支援についてさらに詳しく知りたい人は、コラム「就労移行支援とは?サービス内容から就労継続支援との違いまで解説」をご覧ください。
まとめ
この記事では、次のようなことをご紹介しました。
- ADHDには特性が2つある
- ADHDの特性を強みと捉えると、向いている職種が見えてくる
- ADHDの人がフリーランスに向いているかは、特性が活かせるかどうか
- ADHDの人がフリーランスになる注意点は、苦手な部分の対策および収入面
- ADHDの人の中には、特性を活かしてフリーランスとして成功している人はもちろんいる
記事中でもご紹介したとおり、特性や向いてる仕事・働き方は、「あなた一人」で考えるよりも、「発達障害と仕事」のサポート団体を利用した方が効率的です。ぜひ、就労移行支援事業所などを利用しつつ、あなたに向いた働き方や仕事を探してみてください。きっと見つかります。
監修キズキ代表 安田祐輔
発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。
【著書ピックアップ】
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』
Amazon
翔泳社公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)
【その他著書など(一部)】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)
うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。トップページはこちら→
ADHDの自分は、フリーランスに向いているんでしょうか。
特性も特性以外の部分も人によって異なるため、一概に「向いてる」「向いてない」と言うことはできません。一般論としては、サポート団体も利用しつつ、次のようなことを検討することをオススメします。
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- その特性に向いていると言われる仕事は何か
- その仕事が『実際の自分』や『フリーランス』に向いているのか
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ADHDの人がフリーランスになる際の注意点を知りたいです。
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