就労移行支援 キズキビジネスカレッジ(KBC) ADHDのケアレスミス対策法 ADHDとケアレスミスの関係を解説

こんにちは、就労移行支援事業所・ キズキビジネスカレッジ(KBC) の内田青子です。
ADHD(注意欠如・多動性障害)の特性に関連して、仕事や私生活でケアレスミスが多くて悩んでいます。
キズキビジネスカレッジ(KBC) には、ADHDで、仕事や私生活でのケアレスミスでお悩みの人が多く相談に来られます。
また、ADHDとの診断をまだ受けていない人や、ADHDでケアレスミスの多い部下や同僚を持つ職場の人からのご相談もお受けします。
このコラムでは、ADHDとケアレスミスとの関係からADHDのケアレスミス対策法、ADHDの相談先、自分ではなく、周りの人(部下、同僚、配偶者など)がADHDではないかと思ったときの対処法などについて解説します。
このコラムは、主には発達障害のある人を想定していますが、未成年の人・親御さん・配偶者・診断をまだ受けていない人、同じ職場の人などの参考にもなると思います。
なおこのコラムは、 キズキビジネスカレッジ(KBC) の知見と、書籍『 新版 大人の発達障害に気づいて・向き合う完全ガイド 』黒澤礼子著を参考に執筆しています。
目次
ADHDとケアレスミスとの関係
この章では、ADHDとケアレスミスとの関係について解説します。
①ADHDの特性の具体的な現れ方が、ケアレスミスにつながる
ADHDの特性である不注意や多動性および衝動性は誰にでもある程度は当てはまります。
その上で、年齢不相応に落ち着きがない、不注意が多いなど、生活に支障をきたす場合にADHDと診断されます。
特性の具体的な現れ方は主に以下のような例があります。
- 気が散りやすい
- 人の話を聞いていない
- 片付けができず、部屋が散らかっている
- 忘れ物や失くし物が多い
- おしゃべりが止まらず、人が口を挟む隙を与えない
- 我慢ができずにトラブルを起こす(些細なことで口論するなど)
- 順番が待てない
- 衝動買いをする
これらの特性でケアレスミスなどの困り感を抱える人は多いと思われます。
②ケアレスミスの原因はADHD以外の可能性もある
ADHDはケアレスミスの多さ(不注意)を特徴とします。
しかし、必ずしもケアレスミスが多い人=ADHDというわけではありません。
「ケアレスミスが過度だ」と思ったとしても、その原因は性格、社会経験の未熟さ、ほかの精神的不調などADHD以外にもさまざまに考えられます。
自分が(ある人が)ADHDかどうかは医師だけが判断できます。
ADHDのケアレスミス対策法:4つの観点から解説
ADHDのある人のケアレスミスについて、これからすぐにできる対策法はたくさんあります。
この章では、以下の4つの観点からADHDのケアレスミス対策法について解説します。
なお、「あなた向きの、より具体的な方法」は、ここでご解説する対策以外にもたくさんあるはずです。
解説する対策は、「ADHDのケアレスミス対策はたくさんある」という安心材料にしていただいた上で、参考書籍を探したり後で紹介するサポート団体と話したりすることで、あなた向きの方法も見つけやすくなります。
※科学的根拠の薄い書籍や団体もあるので、著者や団体の経歴・資格・運営方針などを確認するようにしましょう。
対策①忘れ物・失くしもの対策
ADHDが関係するケアレスミスのうち、忘れ物・失くしものへの対策には、以下のようなものがあります。
- 日常的に必要とする道具や持ち物(財布・時計・スマホ・メモ帳など)は、小型のカバンやポーチなどに入れて、常に離さず持ち歩くようにする。道具・持ち物は、使い終わったら必ずその中にしまうことも習慣化する。家や職場でカバンを体から離す必要がある際は、カバン自体の置く場所を決める(※1)
- 家庭や職場で、物を置く位置を決める。特に日常的に必要とする持ち物(財布・時計・スマホ・メモ帳など)は、目につくところにまとめて置いておく(※2)
- 翌日に必要な荷物は、前日の夜に玄関にまとめて置いてから就寝する
- カフェなどで席を立つときに、荷物を忘れていないか振り返る習慣をつける
- 家の鍵やスマホは蛍光色など目立つデザインの物を使用したり、大きなキーホルダーを付けたりする
- 外出する前に「必要な道具」を声に出しながら(リストを見ながら)指差し確認する
対策②スケジュール管理対策
以下に、スケジュール管理への対策を紹介します。
- スケジュール(行うべきこと)は必ずメモする
- 頭の中で覚えておこうとしない
- スケジュール(行うべきこと)を細分化する(例:スケジュールを書く際に「○○会議」「○○社訪問」などの大きな予定だけでなく、そこで何を行うかをメモする。「○○をコピー」などの小さなこともすべて手帳や大きな紙に書き、行う順番に番号をふって、終わったら消す)
- スケジュール(行うべきこと)を書いた紙や手帳は、何度も見直す
- スマホアプリのカレンダーを活用する
対策③見落とし防止対策
続いて、見落としを防止するための対策法です。
- 何か行動をしたら、その度に見直す習慣をつける(例:紙をコピーしたら内容を見直す、メールを書いたら送信前に見直す、書類を作成したら間違いがないか見直す、買い忘れがないかメモを見直すなど)
- PC上のデータや情報も、声に出して指差し確認しながら読み上げる(周囲の迷惑にならない範囲の音量で)
対策④遅刻対策
最後に、遅刻対策です。
- 何事も時間に余裕を持たせてスケジュールを立てる
- 「実際の予定」の前に「準備の時間」も確保する(例:手帳に「○時から××の準備」「○時から××のために移動開始」など、準備開始時間から手帳に書いておく)
- 出発前に必ず10分間(例)のバッファを持たせる
- 段階を踏んだアラームを掛ける(1時間前・30分前・10分前など)
ADHDの相談先
「ADHD(発達障害)」にはケアレスミスに関してもそれ以外でも、たくさんの相談先があります。
診断を受けていない人やADDHDのあるご本人ではない職場の人、ご家族が相談できる機関もたくさんあります。
専門家に相談することで、あなた一人で悩みを抱えるよりも「よりよい方法」が見つかります。
相談先の候補と概要を紹介します。お近くの相談機関にぜひ足を運んでください。
相談先①医学的な相談先
- 職場の産業医・産業カウンセラー
- 病院(精神科、心療内科、メンタルクリニックなど)
- 民間のカウンセリングルームなど(※)
- 厚生労働省「産業医について」 一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
相談先②生活なども含む全体的な相談先
- 発達障害者情報・支援センター(※)
- 発達障害の当事者会・互助会・家族会
相談先③就職・転職・仕事についての相談先
- 地域障害者職業センター(※1)
- ハローワーク(※2)
- 地域若者サポートステーション(※3)
- 就労移行支援事業所(※次項で紹介)
以上は、主には職業や仕事についての相談先ではありますが、SST(ソーシャルスキルトレーニング)などの心理療法を行っているところもあります。
就職・転職・仕事についての相談先について補足します。
補足:就労移行支援事業所とは?
就労移行支援事業所について、詳しくご紹介します。
就労移行支援事業所では、病気や障害と向き合いながら一般企業への就職を目指す人向けに、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスを提供しています。 (参考:厚生労働省※PDF「 就労移行支援事業 」)
就労移行支援事業の対象となるのは、以下の条件を満たす人です。
- 原則18歳から65歳未満であること
- 一般企業への就職または仕事での独立を希望していること
- 精神障害、発達障害、身体障害、知的障害や難病を抱えていること
以上を満たすなら、障害者手帳を所持していなくても利用可能です。
具体的な支援内容は事業所によって異なりますが、あなたの障害特性に合わせた「個別支援計画」に基づいて、以下のような幅広いサポートを行います。
- 職業相談
- メンタル面の相談
- 基本的なタスク処理の訓練
- 専門スキルの習得
- 就職活動(履歴書・エントリーシート作成、面接など)のサポート
- インターン先や就職先の紹介
相談は無料ですので、支援内容に興味を抱いた事業所に一度、詳細をお問い合わせください。
就労移行支援事業所の詳細は、以下のコラムをご覧ください。
相談先がたくさんあって、どこに行けばいいのか迷いますね。
まずは、職場の産業医・産業カウンセラーや地域の発達障害者支援センターなど、あなたの身近にある相談先に行ってみましょう。
話をした相談先が「自分に合わないな」と思ったら、合う相談先が見つかるまでいくつか専門機関を訪ねてみることをオススメします。
ADHDのある人の周囲にできる対応
部下や同僚、家族のケアレスミスが多く、ADHDを疑っている人もいるでしょう。
そのような場合でも、他人が安易に「君はADHDじゃないか」と指摘することはできません。
言い方によっては何らかのハラスメントに該当することもあります。
部下や配偶者などにケアレスミスが多く、発達障害かもしれないとお思いでしたら、専門家に相談することをオススメします。
ネットや書籍の情報から「ADHDではないか」と疑っていても、発達障害かどうかの判断は医師以外にはできません。また、うつ病などの別の病気や障害である場合もあります。
専門家に適切な対応の方法や医療機関や支援機関へのつなげ方を相談しましょう。
職場に産業医や産業カウンセラーがいる場合は、まずはそちらに相談してみてください。
お住まいの自治体の相談窓口や地域や精神科クリニックでも、職場の人やご家族の相談を受け付けています。
ADHDについては、ご本人だけではなく周りの人が疲弊することも少なくありません。
職場の人やご家族が相談できるところはたくさんありますので、一人だけで対応せずに必ず専門家に足を運んでください。
ADHDとは?
ADHD(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害、Attention-Deficit Hyperactivity Disorder)とは、 不注意性や多動性・衝動性の特性から日常生活などに困難が生じる発達障害の一種のことです。 (参考:American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修 『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』 、田中康雄・監修 『大人のAD/HD』 、岩波明 『大人のADHD─もっとも身近な発達障害』 、司馬理英子 『ササッとわかる 「大人のADHD」 基礎知識と対処法』 、星野仁彦 『それって、大人のADHDかもしれません』 、e-ヘルスネット 「ADHD(注意欠如・多動症)の診断と治療」 )
ADHDの特性は大きく、以下の2つの特性に分けられます。
- 不注意性:忘れ物やケアレスミスが多い、注意散漫、整理整頓・管理が不得意
- 多動性・衝動性:落ち着きがない、気が散りやすい、後先考えず行動する
ADHDのある人だからといってすべての特性が生じるというわけではありません。いずれかの特性、または複数の特性から困難が生じている人もいます。
ADHDのある人は、必ず不注意性や多動性・衝動性が現れるというわけではなく、人によって特性の現れ方、得意なこと・不得意なことが違う点が大きな特徴です。
ADHDの概要や特性、診断基準などについては、以下のコラムで解説しています。
まとめ:ケアレスミスの対策はたくさんあります
ADHDは、ケアレスミスなどを特徴とする発達障害の中の1つのグループです。
ケアレスミスの対策はたくさんあります。
ADHDのあるご本人も上司やご家族など周囲の人も安心していただいた上で、専門家に相談をすることで「あなたに合ったより具体的な方法」がわかると思います。
ケアレスミス対策以外にも、ADHDのある人のためのお役立ち情報を以下のコラムにまとめていますので、ご興味がありましたらご覧ください。
このコラムが、ADHDに関連するケアレスミスでお悩みの人のお役に立ったなら幸いです。
よくある質問(1)
- ADHDの自分にできる、ケアレスミス対策法を知りたいです。
-
「忘れ物・失くしもの」という観点の対策例として、「家庭や職場で、物を置く位置を決める」という方法があります。全4観点・15方法を解説していますので、 詳細はこちら をご覧ください
よくある質問(2)
- ADHDの特性について、相談できるところはありますか?
-
もちろんあります。切り口として、「医学的な相談先」「生活なども含む全体的な相談先」「就職・転職・仕事についての相談先」を紹介しますので、 詳細はこちら をご覧ください。
監修志村哲祥
監修キズキ代表 安田祐輔
監修角南百合子
すなみ・ゆりこ。臨床心理士/公認心理師/株式会社こどもみらい。
サイト
運営キズキビジネスカレッジ(KBC)
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