マルチタスクが苦手なADHDのある人ができる対策 マルチタスクを苦手とする理由を解説 | キズキビジネスカレッジ  

マルチタスクが苦手なADHDのある人ができる対策 マルチタスクを苦手とする理由を解説

こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。

ADHD(注意欠如・多動性障害)のあるあなたは、マルチタスクが苦手なことで、以下のようにお悩みではありませんか?

  • マルチタスクが苦手だけれど業務上やらなくてはならない
  • どういう対策をすればADHDの特性をカバーできるの?
  • マルチタスクが苦手でもできる仕事は?
  • ADHDに関する具体的な仕事の悩みを相談できるところは?

このコラムでは、マルチタスクが苦手なADHDのある人ができる対策やマルチタスクを苦手とする理由、意識すべきポイント、抱えやすい困難について解説します。

マルチタスクが苦手なADHDのある人ができる対策8選

この章では、マルチタスクが苦手なADHDのある人ができる対策について解説します。

あくまで例の一つです。この他にもたくさんありますので、試行錯誤したり、サポート団体に相談したりしてご自身にあった方法を見つけていくことをオススメします。

解説する各対策自体がマルチタスクの一つになるかもしれないというお悩みも、そうした中で解決していくはずです。

私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、ADHDのある人のための就労移行支援事業所です。

  • 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
  • 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
  • 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月

新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。

対策①ToDoリストを作る

対策①ToDoリストを作る

対策の1点目は「ToDoリストを作る」という方法です。

「ToDoリスト」とは、業務の中で実際に取るべき行動、これから「すべきこと」に焦点を絞って項目化したものです。

理想的なToDoリストは、「記載事項を順次実行するだけで、目標達成や課題解決に至る」リストです。

実際に処理が終わったら、その項目を線で塗りつぶしたり、末尾に「済み」と記載したりと進捗などの状況確認をすることも大切です。

そうすることで、現在の状態が把握できるだけでなく、達成感も得られるため、モチベーションも上がるというメリットも期待できます。

このようなタスクのリスト化は、マルチタスクをしなくてはならないときに、自分のするべき仕事を見失わないための道しるべになります。

自作のメモ帳などが向いてる場合もあれば、アプリやエクセルなどが向いてる場合もあります。

いくつか試して、ご自分に合いそうなToDoリストを見つけてみましょう。

ToDoリスト以外のアプリなどについては、対策⑧でご紹介します。

対策②優先順位を付けて順番に片付ける

何から手をつけて良いのか分からない時には「優先順位を付けて順番に片付ける」ことも大事です。

今自分が抱えている作業(タスク)を書き出し、締め切りや難易度などで分類分けをしてみるとやるべきことが明確になるでしょう。

仕事の状況は日々変わるので、「今日の優先順位は、毎朝9時に確認する」など、優先順位を都度、見直すルーティンをつくるようにしましょう。

「優先しなければいけないのは分かっているけど、苦手だ、やりたくない…」と後回しにしたり、なかなか着手する気になれないこともあるかもしれません。

そのようなときは、「とにかく今日はこの案件だけは片付けよう」など、タスクの絞り込みをすることでうまくいく場合もあります。

と、言うのはカンタンですが、「優先順位づけにも苦労がある」というのもよく聞くお話です。慣れないうちは一人で抱え込まず、職場の先輩や上司の助けを借りることも一つの方法です。

対策③周囲の人にリマインドをお願いする

対策③周囲の人にリマインドをお願いする

3点目は「周囲の人にリマインドをお願いする」です。

ADHDのある人は、何かの案件に取り組んでいるときに別の案件が舞い込むと、新しい方に気を取られて、元々行っていた案件を後で思い出せなくなったり、次の予定を忘れたりするということも多いと言われています。

周囲の人と予定(「もともと行っていた案件の締切」や「この後の会議の時間」など)を共有して、リマインドをお願いしておくことで「うっかり忘れてしまう」ことの予防をすることができます。

思い出すための時間を削減できますし、失念することも減るはずです。

マルチタスクに伴う困難を一人で解決しようとせず、周りの同僚やご家族に協力してもらえることがないかを考えてみましょう。

「人に頼むのは迷惑かも…」と思う人は、「頼まなかった結果として仕事が滞る方が迷惑」と考えるようにするといいかもしれません。

対策④手帳・メモ帳・スマホを携帯してすぐにメモを取る

「手帳・メモ帳・スマホなどを常に携帯して、タスクが発生したら、すぐにメモを取る習慣をつける」というのも効果的な対策です。

そうすることで、注意散漫による物忘れなどを防止することができます。

ADHD向けのクリニックを開院している福西勇夫先生は、「アイデアが思い浮かんだときにはひとまずメモしておいて、『書き留めたらToDoリストをまず確認する』といったルール設定をすると、効果が上がりやすい」と述べています。
(参考:『マンガでわかる 大人のADHDコントロールガイド』)

アイデアをメモすることは、「もしかしたらこのアイデアを忘れてしまうかもしれない」という焦りを軽減できて、安心にもつながるそうです。

次々に浮かんだアイデアに翻弄されて時間が過ぎることが多いというADHDのある人は、手帳やメモ帳をポケットに入れるなど、携帯するための工夫を取り入れてみるのも一つの手です。

なお、詳しくは対策⑥でお伝えしますが、「メモ帳を使うならメモ帳に一本化する」こともポイントです。

対策⑤リストをすぐに引き出せるようにする

対策⑤リストをすぐに引き出せるようにする

4点目とも関連して、5点目は、「リストをすぐに引き出せるようにする」です。

これには「タスクをすぐに記録できるようにする」「タスクを確認しやすくする」という2つの目的があります。

整理整頓が苦手の場合、リスト(メモ帳など)が机の上や引き出しの中に埋もれていたり、必要なファイルをどこに保存したのか分からなくなってしまうといったことが起こりやすいと言われています。

メモ帳・手帳・スマホなどは机・カバン・ポケットの決まった場所に配置したり、パッと確認できるところに掲示したりするのがオススメです。アプリやExcelなどを利用するなら、スマホを開いてすぐにアクセスできる場所や、PCのデスクトップ上など、目につきやすいところに配置するようにしましょう。

対策⑥タスク管理の媒体をできるだけ一つにまとめる

6つ目は、「タスク管理の媒体をできるだけ一つにまとめる」です。

ADHDのある人の中には、「メモを付ける習慣は身についているけれど、手帳、ノート、電子ファイルなど、複数の媒体に記録が散らばっている」ということがあります。

タスクを記入する媒体は、できるだけ一つのファイルや手帳にまとめましょう。

急いで書き留めたメモがあったなら、すぐにメインの媒体に集約することが大切です。そうすることで、抜けや漏れといったタスク管理の難しさを緩和できるはずです。

対策⑦整理整頓だけする時間を作る

対策⑦整理整頓だけする時間を作る

7つ目は、「整理整頓だけする時間を作る」という方法です。

ADHDのある人は、「マルチタスクをして作業に追われているうちに収拾がつかなくなる」と感じていることが珍しくありません。

一日のうちに整理整頓だけする時間を作ることで、自分の行動や抱えているタスクを一度落ちついて見直すことができるようになります。

整理整頓だけをする時間に、付箋やメモなどを一つの媒体に転記してまとめたり、優先順位を再検討したりすれば、タスクの見通しがずっとよくなるはずです。

対策⑧アプリやツールを利用する

最後にオススメしたいのは、「アプリやツールを利用する」ことです。

すでにご紹介したToDoリスト以外でも、スマートフォンの内蔵アプリや、Googleの提供しているアプリのように、効果的なタスク管理を可能にする無料のツールがたくさんあります。設定した時間になると画面上にアラートを表示する「リマインダー機能」が付いているものもあります。

また、近年はADHDの特性をカバーすることを目的に開発されたタスク管理ツールが注目を集めています。

例えば、社会福祉法人SHIPの提供している「タスクペディア」は、ADHDの当事者が編みだしてきたタスク管理の手法を採用して開発されています。

また、医療分野において幅広いソリューションを提示している株式会社Welbyが開発した「AOZORA」も、ADHDのある人向けのタスク管理ツールとして知られています。

いずれも、当事者や専門医の監修を経ているので、安心してご利用いただけるでしょう。

ADHDのある人がマルチタスクを苦手とする理由

ADHDのある人がマルチタスクを苦手とする理由

マルチタスクとは、一般に、業務を並行的に進めたり、同時に処理したりすることを指します。

ADHDのある人が、マルチタスクを苦手とする理由として、以下の2つを挙げることができます。

  • タスクに限らず、物事の整理整頓が苦手
  • 新しいタスクやアイデアに気を取られやすい

ADHDのある人の中には、物事の整理整頓が苦手という特性にある人が多いです。

そうした場合、未処理の業務が増えるとタスクそのものを失念したり、スケジュールを確認せずに先延ばしにして、仕事が滞りやすくなります。

また、ADHDのある人は発想力に富むため、次々に新しいアイデアが浮かぶという特徴があります。

新しいアイデアが浮かぶこと自体はよいことかもしれませんが、やろうとしていたことから意識が逸れて抜けたり、新規の案件に気を取られて優先順位を見失ったりするケースが少なくないのです。

こうしたADHDの特性が、マルチタスクを困難にしている要因と考えられます。

マルチタスクが苦手なADHDのある人が抱えやすい困難3選

マルチタスクが苦手なADHDのある人は、様々な場面で困難を感じやすいといわれています。

この章では、マルチタスクが苦手なADHDのある人が抱えやすい困難について解説します。こうした悩み事もご紹介したサポート団体などと話をすることで、「実際のあなた」のための具体的な対策が見つかっていくと思います。

困難①ミスや物忘れが頻発する

困り事①ミスや物忘れが頻発する

1つ目は、ミスや物忘れが頻発するという困難です。

急な依頼や新しい案件の方に気を取られやすいため、1つのことに集中して正確に処理をするのが難しくミスや物忘れが頻発し、業務処理に支障をきたしやすいとされています。

困難②業務の向き・不向きの差が大きい

2つ目は、業務の向き・不向きの差が大きいという困難です。

ADHDのある人は、行動力や発想力は高いものの、精密さや細やかさに欠けるため、厳密なスケジューリングや正確な処理を求められると、力を発揮しづらいと言われています。

例えば、窓口業務と事務処理を同時に進めるようなマルチタスクを求められる仕事だと、事務処理の方の正確性が著しく落ち、ケアレスミスをしやすくなる傾向にあります。

それゆえ、以下のように、業務の向き・不向きがはっきりしやすいとされています。

向き・不向きの例
  • 営業はできるけれど事務が苦手
  • 口頭での説明は得意だけれど資料作成が苦手

困難③どんな職種を選べばいいかわからない

困り事③どんな職種を選べばいいかわからない

3つ目は、どんな職種を選べばいいかわからないという困難です。

程度の差はあれ、マルチタスクはほとんどの職種につきものです。

仕事では、電話応対、会議資料の作成、事務書類の処理、打ち合わせ、業務の進行や進捗管理などさまざまなタスクを、突発的な案件に対応できる余裕も考慮に入れながら、並行的に進めることが求められます。

しかし、ADHDのある人の場合、特定の業務に取り組んでいると他の業務のことを失念しやすく、パフォーマンスを発揮できる職種がないと感じるケースもあるようです。

結果として「どんな職種を選べばいいかわからない」という悩みも、ADHDのある人によくある困難です。

マルチタスクが苦手なADHDのある人が意識すべきポイント3点

マルチタスクが苦手なADHDのある人の、大切な3つの前提

マルチタスクが苦手なADHDのある人が意識すべきポイントは、以下のとおりです。

  1. 試行錯誤して自分に合った方法を見つける
  2. 自分一人で抱え込まず、発達障害の支援機関に相談する
  3. 同時並行が苦手なのか、割り込みが苦手なのかを意識した上で、具体的な困難を記録する

まずは、試行錯誤して自分に合った方法を見つけることです。

書籍やインターネットで解説されている対策は、人によっては合う・合わないがあります。ADHDの特性は人それぞれです

そのため、あくまでも方法論は参考にとどめ、あなたに合った対策を試していくことが大切なのです。

そして、実際に試行錯誤を重ねる際には、自分一人で抱え込まず、発達障害の支援機関に相談することが大切です。

就労移行支援事業所など、専門家のアドバイスを受けながら自分に合う働き方を見つけられるとよいでしょう。

マルチタスクが苦手といっても、大きく分けて同時並行が苦手な場合と割り込みが苦手な場合の2つのパターンがあります

同時並行の例
  • 電話中にメモを取るのが苦手
  • 会議で発言しながら議事録を取ることが苦手
割り込みの例
  • 作業中に電話を取るのが苦手
  • 特定の業務中に話しかけられるのが苦手

これらを意識・記録することで、マルチタスクの苦手さについて、職場や支援者などに相談しやすくなり、対策も考えて行きやすくなります。

ぜひ一人で抱え込まずに、周囲の人やサポート団体を頼るようにしてください。

マルチタスクが苦手なADHDのある人に向いてる仕事・向いてない仕事

この章では、マルチタスクが苦手なADHDのある人に向いてる仕事・向いてない仕事について解説します。

ADHDと一言で言っても、人によって特性、得意な部分・苦手な部分は異なります。また、職場環境や業務内容によっても特性との相性が変わります。

ここで紹介する仕事はあくまで一例であり、この仕事なら必ず向いてる・向いてないという意味ではありません。

マルチタスクが苦手であっても向いてる仕事はあるという安心材料の一つとしてお役立てください。

実際のあなたに向いていそうか、環境の合う求人がありそうかなどについては、前章の相談先などにも相談しながら検討することをオススメします。

マルチタスクが苦手なADHDのある人に向いてる仕事

①向いてる可能性がある仕事

マルチタスクの苦手なADHDのある人には、以下のような「クリエイティブ系の仕事」が向いてるかもしれません。

  • デザイナー
  • アニメーター
  • イラストレーター
  • カメラマン

以上の仕事は、一概には言えませんが「シングルタスクの積み重ねで成り立つ仕事」と考えられます。

スケジュール管理や事務仕事が必要とはなりますが、自分の業務に専念できる環境であるため、計算や書類作成の合間に打ち合わせや電話応対が舞い込んくるなどのマルチタスクが生じる可能性は、比較的少ないといえるでしょう。

また、起業家や実業家のような、庶務よりもアイデア出しや企画立案に重点が置かれている仕事や、細かなスケジュール管理は補佐役や秘書がしてくれたりする仕事も向いてる可能性があります。

マルチタスクが苦手なADHDのある人に向いてない仕事

反対に、マルチタスクが苦手な場合は、以下のような「庶務や雑務が発生しやすい」仕事だと活躍しづらいかもしれません。

  • 経理職
  • 総務職
  • 秘書担当

以上の仕事は、細かい単位のマルチタスクや処理の正確さ、スケジューリングの厳密さが求められます。

苦手なマルチタスクの機会が多い→ケアレスミスが頻発する→修正処理に追われてパニックになる。という流れが比較的発生しやすく、活躍がしにくい可能性があります。

マルチタスクが苦手なADHDのある人が利用できる支援機関

この章では、マルチタスクが苦手なADHDのある人が利用できる支援機関を紹介します。

ここで挙げている支援機関の中には、マルチタスクの対策を含めて、ADHDのある人が実際の仕事で活躍するための訓練を実施しているところもあります。

基本的には無料で相談を受け付けている機関のみを紹介していますが、その他にも支援機関は多数ありますので、興味を持ったなら、ぜひ調べてみてください。

支援機関①就労移行支援事業所

相談先①就労移行支援事業所

就労移行支援事業所では、病気や障害と向き合いながら一般企業への就職を目指す人向けに、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスを提供しています。
(参考:厚生労働省※PDF「就労移行支援事業」)

就労移行支援事業の対象となるのは、以下の条件を満たす人です。

  • 原則18歳から65歳未満であること
  • 一般企業への就職または仕事での独立を希望していること
  • 精神障害、発達障害、身体障害、知的障害や難病を抱えていること

※障害者手帳は必須ではなく、専門医による診断書があればサービスを受けることができます。

具体的な支援内容は事業所によって異なりますが、あなたの障害特性に合わせた「個別支援計画」に基づいて、職業相談からメンタル面の相談、基本的なタスク処理の訓練や専門スキルの習得、インターン先から就職先の紹介までと、幅広いサポートを行っています。

相談は無料ですので、支援内容に興味を抱いた事業所に一度、詳細をお問い合わせください。

就労移行支援事業所の詳細は、コラム「就労移行支援とは?サービス内容から就労継続支援との違いまで解説」をご覧ください。

支援機関②発達障害者支援センター

発達障害者支援センターは、発達障害の早期発見と早期支援を目的として、症状に悩む当事者や家族の生活をサポートする支援機関です。

確定診断が下りていなくても、ADHDなどの発達障害の可能性がある人であれば、相談が可能です。

子どもだけでなく、大人も支援の対象です。

センターによっては、精神保健福祉士や社会福祉士などが在籍していますので、より「発達障害に特化したサポート」を受けられます。

具体的な支援内容は自治体ごとに異なりますが、生活上の相談の他にも、就労支援事業として、ハローワークなどの関連機関と連携した求人に関する情報提供や、就業先への障害特性に関するアドバイスなどを行っています。

窓口は、各都道府県や指定の事業所に設置されていますので、支援をご希望の場合は以下の参考リンクからお近くの相談窓口を探してみてください。

支援機関③障害者就業・生活センター

障害者就業・生活支援センターでは、就業及びそれに伴う日常生活上の支援が必要な障害のある人に対し、センター窓口での相談や職場・家庭訪問などを実施しています。

そのため、仕事に関する相談だけでなく、生活面でのサポートもあわせて受けたい人にオススメです。

厚生労働省の資料によると、2023年4月時点で337センターが設置されており、当事者の身近な地域において、就業面と生活面を一体に捉えた相談と支援を行っています。

興味のある人は、下記サイトを参考に、お近くの事業所にご相談ください。

支援機関④地域障害者職業センター

相談先④地域障害者職業センター

地域障害者職業センターでは、発達障害に限らず、障害者一人ひとりのニーズに応じて、職業評価、職業指導、職業訓練などの専門的な職業リハビリテーションサービスを提供しています。

とりわけ、自分に合った職業や職種が見つからないことで悩んでいる人にオススメです。

運営は、「独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構」が行っており、全国47都道府県に設置されています。

また、当事者だけでなく、事業主に対しても障害者の雇用管理に関する相談・援助を実施しています。ご興味のある人は以下の参考リンクからお近くの相談窓口を探してみてください。

改めて、ADHDとは?

改めて、ADHDとは?

改めて、ADHDの概要を紹介します。既にご存知かもしれませんし、これまでに紹介した内容と重複する部分もありますが、全体的な理解が深まると思いますので、よければご覧ください。
(参考:『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、田中康雄『大人のAD/HD』、岩波明『大人のADHD:もっとも身近な発達障害』)

①ADHDの概要

①ADHDの概要

ADHDとは、「注意欠如・多動性障害(Attention-Deficit Hyperactivity Disorder)」を意味する発達障害の一種です。

ADHDには多くの特性がありますが、その中でも以下の2点がよく見られるものとして挙げられます。

  • 不注意…忘れ物やケアレスミスが多く、確認作業を苦手とする
  • 多動・衝動性…気が散りやすく、貧乏ゆすりなど常に身体を動かしていないと落ちつかない

その他にもよく挙がる特性の現れ方として、「マルチタスクやスケジュール管理が苦手」といったものがあります。

②ADHDの診断は医師だけが可能

②ADHDの診断は医師だけが可能

「自分が(ある人が)発達障害(ADHD)かどうか」の診断は医師による問診や心理士が実施する心理検査を中心に行われます。逆に言うと、医師以外には「発達障害かどうか」の診断・判断はできません。

あなたが(ある人が)「発達障害かどうか」をハッキリさせたいのであれば病院を受診してみることをオススメします。

「診断を受けるのが不安」と思う人は、発達障害者のサポートを行う団体(各都道府県にある発達障害者支援センターなど)に「病院に行くべきかどうか」「診断をつけるメリットやデメリット」などを相談することができます。

③ADHDの医学的な診断基準

下記は、2013年にアメリカ精神医学会がまとめた『DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル』に挙げられているADHDの診断基準です。

以下のような診断基準に当てはまればADHDの可能性があります(あくまで可能性です。「どの程度なら『当てはまる』と言えるか、他の病気や障害の可能性はないかなども含めて、「ある人がADHDかどうか」は、医師だけが判断できます)。

不注意
  • (a)学業、仕事、または他の活動中に、しばしば綿密に注意することができない、または不注意な間違いをする
    (例:細部を見過ごしたり、見逃す、作業が不正確である)
  • (b)課題または遊びの活動中に、しばしば注意を持続することが困難である
    (例:講義、会話、または長時間の読書に集中し続けることが難しい)
  • (c)直接話しかけられたときに、しばしば聞いていないように見える
    (例:明らかな注意を逸らすものがない状況でさえ、心がどこか他所にあるように見える)
  • (d)しばしば指示に従えず、学業、用事、職場での義務をやり遂げることができない
    (例:課題を始めるがすぐに集中できなくなる、また容易に脱線する)
  • (e)課題や活動を順序立てることがしばしば困難である
    (例:一連の課題を遂行することが難しい、資料や持ち物を整理しておくことが難しい、作業が乱雑でまとまりない、時間の管理が苦手、締め切りを守れない)
  • (f)精神的努力の持続を要する課題(例:学業や宿題、成人では報告書の作成、書類に漏れなく記入すること、長い文書を見直すこと)に従事することをしばしば避ける、嫌う、またはいやいや行う
  • (g)課題や活動に使うようなもの(例:学校教材、鉛筆、本、道具、財布、鍵、書類、眼鏡、携帯電話)をしばしばなくす
  • (h)しばしば外的な刺激(成年後期および成人では無関係な考えも含まれる)によってすぐ気が散ってしまう
  • (i)しばしば日々の活動(例:用事を足すこと、お使いをすること、青年後期および成人では、電話を折り返しかけること、お金の支払い、会合の約束を守ること)で忘れっぽい

以上の項目のうち、6つ以上の項目が少なくとも6か月以上続いている
症状のいくつかが2つ以上の環境(職場・家庭・学校など)で見られる
12歳以前から複数の症状が見られる。

多動性および衝動性
  • (a)しばしば手足をそわそわ動かしたりトントン叩いたりする、またはいすの上でもじもじする
  • (b)席についていることが求められる場面でしばしば席を離れる
    (例:教室、職場、その他の作業場所で、またはそこにとどまることを要求される他の場面で、自分の場所を離れる)
  • (c)不適切な状況でしばしば走り回ったり高い所へ登ったりする
    (注:成人では、落ち着かない感じのみに限られるかもしれない)
  • (d)静かに遊んだり余暇活動につくことがしばしばできない
  • (e)しばしば”じっとしていない”、またはまるで”エンジンで動かされているように”行動する
    (例:レストランや会議に長時間留まることができないかまたは不快に感じる;他の人には、落ち着かないとか、一緒にいることが困難と感じられるかもしれない)
  • (f)しばしばしゃべりすぎる
  • (g)しばしば質問が終わる前に出し抜いて答え始めてしまう
    (例:他の人達の言葉の続きを言ってしまう;会話で自分の番を待つことが困難である)
  • (h)しばしば自分の順番を待つことが困難である
    (例:列に並んでいるとき)
  • (i)しばしば他人を妨害し、邪魔する
    (例:会話、ゲーム、または活動に干渉する;相手に聞かずにまたは許可を得ずに他人の物を使い始めるかもしれない;青年または成人では、他人のしていることに口出ししたり、横取りすることがあるかもしれない)

以上の項目のうち、6つ以上の項目が少なくとも6か月以上続いている
症状のいくつかが2つ以上の環境(職場・家庭・学校など)で見られる
12歳以前から複数の症状が見られる。

④ADHDの「治療」について

ADHDの特性に働きかける薬や対応などの治療は確立されてきています。

その例はコラム「大人のADHDとは?その特徴・特性/診断/対応法/サポート団体などを紹介」の「ADHDの特性への4つの対応方法」の章をご覧ください。

⑤ADHDは、生まれつきのもの

⑤ADHDは、生まれつきのもの

ADHD(発達障害)は、生まれつきのものです。ADHDの特徴は幼少期から見られます。

そのため「成長してからADHDになる(成長につれてADHDになる)」ということはありません。

また、以前は「ADHDは、子ども特有のもの」と考えられていましたが、現在の医学では、「ADHDの症状は、大人になっても継続するもの」であるとされています(ただし、多動・衝動性の特性は、一般的に成長するうちに薄れることも多く見られます)。

このコラムでもご紹介してきたとおり、対策、相談先、特性を緩和する薬などもたくさんあります。苦労や困難が生じることもあるとは思いますが、必要以上に不安に感じる必要はありません。

⑥いわゆる「大人のADHD」とは

近年、「大人のADHD」という言葉が使われるようになってきました。

大人のADHDとは?
  • 幼少期からADHDの特性は持っていたものの、「大人になってからADHDだと気づいた状態」を指す俗語のことです。決して「大人になってからADHDになった」わけではありません。
    就職後に正確な処理・確認作業・管理業務を求められるようになったことで、困難に直面しADHDの特性があることに気付いたという人は少なくありません。

「大人のADHD」について詳しく知りたい人はコラム「大人のADHDとは?その特徴・特性/診断/対応法/サポート団体などを紹介」をご覧ください。

⑦いわゆる「グレーゾーン」とは

⑦いわゆる「グレーゾーン」とは

ADHDの傾向が確認されるものの、確定診断が下りるほどではないほどの状態・人のことを俗に「(ADHDの)グレーゾーン」と言います。

グレーゾーンの場合、確定診断がないことから利用できる公的なサービスが限定されることがあります(例:障害者手帳を取得できないため障害者手帳が必須なサービスを利用できない)。

ただし、グレーゾーンの人でも「発達障害者支援センター」のようなサポート団体への相談は可能です。

確定診断があってもなくても、またADHDに関係してもしなくても「発達障害に関する悩み事」は専門的な知識を持つ人たちに相談した人が対策や解決策を見つけやすくなるでしょう。

⑧ADHD以外の発達障害

発達障害はその特徴によって、いくつかのグループに分けられています。

ADHD以外の主な発達障害には、ASD(自閉症スペクトラム障害)、SLD(限局性学習障害)などがあります。

ADHD・ASD・SLDの複数が併存する人もいます。気になる人はコラム「【大人の発達障害】発達障害の3つの分類とそのタイプ、対処法、相談先などについてお話します」をご覧ください。

まとめ:ADHDの特性でマルチタスクが苦手でも、対策はあります

まとめ

特性に伴う苦手をカバーするため以下の3つを意識してみてくださいね。

  1. 試行錯誤して自分に合った方法を見つけていくこと
  2. 自分一人で抱え込まず、発達障害のサポート機関と相談をすること
  3. 同時並行が苦手なのか、割り込みが苦手なのかを意識した上で、「具体的に困った話」を記録する

ADHDのある人が仕事をうまく進めるためには、自分の特性を理解して、それに合った方法を身につけることが大切です。

その際には、上司や同僚などの職場の人にサポートを求めたり、かかりつけの医師や専門家、支援機関の意見を取り入れてみてください。

マルチタスクが苦手でも、対策次第で仕事を上手に進めることはできますから、安心してください。

このコラムが、マルチタスクにお悩みのあなたのお役に立ったなら幸いです。

よくある質問(1)

ADHDでマルチタスクが苦手な自分ができる対策を知りたいです。

一般論として、以下のような対策が挙げられます。

  1. ToDoリストを作る
  2. 優先順位を付けて順番に片付ける
  3. 周囲の人にリマインドをお願いする
  4. 手帳・メモ帳・スマホを携帯してすぐにメモを取る

全8点紹介しますので、詳細はこちらをご覧ください。

詳細はこちらをご覧ください。

よくある質問(2)

ADHDでマルチタスクに悩む自分が相談できるところを知りたいです。

代表的な例として、以下のような団体があります。

  1. 就労移行支援事業所
  2. 発達障害者支援センター
  3. 障害者就業・生活センター
  4. 地域障害者職業センター

詳細はこちらをご覧ください。

監修志村哲祥

しむら・あきよし。
医師・医学博士・精神保健指定医・認定産業医。東京医科大学精神医学分野睡眠健康研究ユニットリーダー 兼任准教授、株式会社こどもみらいR&D統括。 臨床医として精神科疾患や睡眠障害の治療を行い、また、多くの企業の産業医を務める。大学では睡眠・精神・公衆衛生の研究を行っており、概日リズムと生産性、生活習慣と睡眠、職域や学校での睡眠指導による生産性の改善等の研究の第一人者。

【著書など(一部)】
子どもの睡眠ガイドブック(朝倉書店)』『プライマリ・ケア医のための睡眠障害-スクリーニングと治療・連携(南山堂)』
他、学術論文多数

日経新聞の執筆・インタビュー記事一覧
時事メディカルインタビュー「在宅で心身ストレス軽減~働き方を見直す契機に」

監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。

【著書ピックアップ】
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』

Amazon
翔泳社公式 【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【その他著書など(一部)】
学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧

【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

監修角南百合子

すなみ・ゆりこ。
臨床心理士/公認心理師/株式会社こどもみらい

執筆寺田淳平

てらだ・じゅんぺい。
高校2年の春から半年ほど不登校を経験。保健室登校をしながら卒業し、慶應義塾大学に入学。同大学卒業後の就職先(3,500人規模)で人事業務に従事する中、うつ病を発症し約10か月休職。寛解・職場復帰後、勤務を2年継続したのち現職のフリーライターに。
2019年に一般財団法人職業技能振興会の認定資格「企業中間管理職ケアストレスカウンセラー」を取得。

サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)

うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。トップページはこちら→

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