就労移行支援 キズキビジネスカレッジ(KBC) うつ病で仕事できないと感じるあなたへ 職場への伝え方や利用できる制度を紹介

こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。
うつ病と診断され、仕事に行けない日が続いている人の中には、以下のような気持ちを抱えている人も多いのではないでしょうか。
- 仕事ができない自分が情けない
- 休むことは甘えではないかと感じる
- お金や職場への影響が心配で休職を踏み切れない
- このまま働き続けるべきか判断できない
うつ病のときに仕事ができなくなるのは、意志の弱さや甘えではありません。脳と体が「これ以上は無理だ」と限界を告げているサインです。
このコラムでは、うつ病で仕事ができないと感じたときの考え方や選択肢、利用できる制度、会社への伝え方、休職中の過ごし方について解説します。
あわせて、社会復帰を支える支援機関も紹介します。
ぜひ最後まで読んで、今の自分にあった一歩を見つけてみてください。
目次
うつ病で仕事ができないのは甘えではない
うつ病のときに「仕事に行けない自分は怠けているのでは」と自分を責める人は少なくありません。
しかし、うつ病で仕事ができなくなるのは、甘えでも怠けでもありません。
この章では、その理由を3つに分けて説明します。
理由①すでに十分すぎるほど頑張っていることが多い
うつ病を発症する人の多くは、発症前から長期間にわたって無理をし続けています。
責任感が強く、周囲に迷惑をかけたくないという気持ちから、限界を超えてもなお仕事を続けてきた人もいるかもしれません。
仕事ができないと感じる時点で、すでに相当な負荷を抱えながら長く頑張り続けてきた状態ともいえます。
できていないことに目を向けるのではなく、まずはここまで頑張ってきた自分を認めてみてください。
理由②脳の働きが低下している状態だから
うつ病は、気分の落ち込みや意欲の低下だけでなく、脳の機能そのものに影響を与えます。集中力や判断力、記憶力などが低下する状態です。
そのため、「やる気を出せばできる」という状態ではないことを認識しておく必要があります。
骨折しているときに走れないのと同じように、うつ病のときに仕事が思うようにできないのは、意志で解決できる問題ではありません。
むしろ自分を責めて無理に続けることで、症状が悪化するリスクもあります。自分が悪いのではなく、病気による脳の変化であるという視点を持つことが大切です。
理由③早めに休息を取ることが回復につながるから
うつ病を発症したときに無理をすると、長引いたり悪化したりしやすくなります。
適切な時期に適切な休息を取ることが、回復を早める上で重要です。仕事を休むことは逃げることではなく、回復に向けた積極的な選択です。
早い段階で立ち止まる勇気が、その後のスムーズな社会復帰につながります。
仕事を続けるか迷ったときの考え方
うつ病の症状がある中で仕事を続けるべきか、休むべきかという判断に迷う人もいるでしょう。
症状が重い時期は判断力も低下しているため、1人で結論を出そうとすると余計に追い詰められることがあります。
この章では、うつ病のある人が仕事を続けるか迷ったときの判断基準を解説します。
判断基準①日常生活への影響はどうか
まずは仕事のことを一旦置いて、日常生活がどの程度送れているかを確認してみてください。
例えば、以下のような状態が続いている場合は、仕事を続けることよりも休息を優先すべきサインと考えられます。
- 朝起き上がることができない日が続いている
- 食事や入浴など、基本的な生活行動が億劫になっている
- 睡眠が十分に取れないまたは眠りすぎる状態が続いている
- 強い希死念慮や、消えてしまいたいという気持ちがある
日常生活に大きな支障が出ている状態で無理に仕事を続けると、症状がさらに悪化するリスクがあります。まずは、自分の状態を客観的に把握することが大切です。
判断基準②医師による見解を聞く
うつ病の状態で仕事を続けるかどうかの判断は、医師に相談した上で行うことをオススメします。
自分では、「まだ大丈夫」と感じていても医師から見ると休職が必要な状態であることは珍しくありません。
適切な治療と環境調整によって、仕事を続けながら回復できるケースもあります。
主治医に「今の状態で仕事を続けることは可能か」「休職が必要な状態か」を率直に聞いてみましょう。自分1人では気づきにくい視点が得られます。
判断基準③職場に調整の余地があるか
症状の程度によっては、完全に仕事を休まなくても、職場環境や業務内容を調整することで負担を減らせる場合があります。
例えば、以下のような調整が考えられます。
- 残業をなくして定時退社を徹底する
- 業務量や担当業務の範囲を一時的に縮小する
- テレワークや時短勤務など、働き方を変える
- 部署異動や担当替えによってストレスの原因を取り除く
職場に相談しやすい環境があるかどうか、また上司や人事を担当する部署が対応に理解を示してくれそうかどうかも判断の重要な要素です。
ただし、この場合も1人で判断しようとせず、医師に判断を仰ぐことがポイントです。
うつ病で仕事ができないと感じたときの選択肢
うつ病で仕事が難しくなったとき、取れる選択肢は大きく3つあります。
この章では、うつ病で仕事ができないと感じたときの選択肢を解説します。
それぞれの内容を理解したうえで、自分の状況に合った選択ができるようにしておきましょう。
選択肢①休職制度を利用する
休職とは、雇用関係を維持したままで一定期間仕事を休む制度です。
うつ病による休職は決して珍しいことではありません。多くの企業で制度として整備されています。
休職中は給与が支払われないことが多いですが、後述する傷病手当金を利用することで、一定の収入を確保できます。
休職を検討する際は、まず主治医に診断書を作成してもらい、会社の人事を担当する部署や上司に提出する流れが一般的です。
休職したいと伝えることを不安に感じる人もいるかもしれませんが、休職は体調を整えて職場復帰することを目指すための正当な制度です。
1人で抱え込まず、まずは主治医や信頼できる窓口へ相談し、休養への一歩を踏み出してみてください。
選択肢②働き方について相談する
症状が比較的軽い場合や、職場の理解が得られそうな場合は、完全に休職せず、働き方を調整しながら様子を見るという選択肢もあります。
具体的には、主治医や産業医を通じて、時短勤務やテレワーク、業務量の軽減といった配慮を求めることが可能です。
ただし、この場合でも、医師の指示のもとで進めることが重要です。「迷惑をかけたくない」という気持ちで無理をすると、かえって回復が遠のくこともあります。
選択肢③会社を退職する
休職制度がない、あるいは休職期間が終了しても回復が難しい場合など、状況によっては退職という選択肢も視野に入ります。
健康を取り戻すことを最優先にした判断として、退職が最善になることも考えられるでしょう。
退職後は、失業手当などの支援制度を活用しながら、焦らず回復に専念できます。
ただし、勢いで決断するのではなく、医師や支援機関に相談した上で判断するのがオススメです。
働けない間のお金が心配なときに利用できる制度
うつ病で仕事ができなくなると、収入面への不安が回復の妨げになることがあります。
働けない期間を支えるための制度は複数あるため、自分が利用できるものを把握しておくことが大切です。
この章では、うつ病で働けないときに利用できる制度を紹介します。
制度①傷病手当金
傷病手当金とは、病気やケガで仕事を休んでいる間に、健康保険から支給される給付金で、うつ病による休職中に利用できる代表的な制度の1つです。
主な支給条件は、以下のとおりです。
- 健康保険の被保険者であること
- 医師から労務不能と診断されていること
- 連続して3日間仕事を休み、4日目以降から支給対象
支給額は、1日あたり「標準報酬日額の3分の2」が目安です。支給期間は、支給開始日から通算して最長1年6か月とされています。
国民健康保険に加入している自営業・フリーランスの人は原則として対象外となるため、加入している保険の種類を確認しておきましょう。
傷病手当金の詳細は、以下のコラムで解説しています。
制度②自立支援医療制度
自立支援医療制度は、精神疾患の治療にかかる医療費の自己負担を軽減するための制度です。
うつ病で継続的に通院・服薬が必要な場合、医療費の負担が積み重なることがあり、この制度を活用することで、治療を続けやすくなります。
主な対象者は、精神疾患(うつ病・統合失調症・双極性障害など)により、継続的な通院治療が必要な人です。
自立支援医療制度は、お住まいの自治体の窓口で申請できます。申請には専用の診断書が必要になるため、まずは主治医に制度を利用したい旨を伝え、診断書の作成を依頼しましょう。
自立支援医療制度についての詳細は、以下のコラムもご参考ください。
制度③失業保険
失業手当は、離職後に次の仕事を探している間の生活を支えるための給付金です。
会社を退職した後に利用できる制度で、ハローワークで手続きを行います。
支給条件は、雇用保険に一定期間加入していることに加えて、働く意志と能力があり、積極的に求職活動をしていることです。しかし、うつ病による退職の場合、症状が重くすぐに働ける状態ではないというケースも少なくありません。
その場合は、受給期間の延長申請を行うことで、体調が回復してから給付を受けられます。
退職後すぐに申請が難しい状況であっても、制度を使えなくなるわけではないため、再就職への余裕が出てきたタイミングでハローワークに相談してみましょう。
制度④障害年金
障害年金は、病気やケガによって生活や仕事に支障が生じている人を対象に、国から支給される年金です。うつ病も、一定の条件を満たせば受給対象となります。
国民年金加入者が対象となる障害基礎年金と厚生年金加入者が対象となる障害厚生年金があります。受給のための主な条件は、以下のとおりです。
- 初診日に年金保険料を一定期間納めていること
- 障害の程度が「障害等級」に該当すること(うつ病の場合は主に1級・2級が対象)
申請から受給開始までは数か月かかることが多く、手続きも複雑です。
社会保険労務士や支援機関に相談しながら進めることをオススメします。うつ病のある人が利用できる支援制度については、以下のコラムでも解説しています。
会社への伝え方と例文
うつ病で仕事を休む必要が生じたとき、会社への伝え方に悩む人は多くいます。
「どこまで話すべきか」「どう切り出せばいいかわからない」という不安は自然なことです。
休職を申し出る際はまず、主治医に診断書を作成してもらい、会社に提出するのが一般的です。診断書があることで、会社側も手続きを進めやすくなります。
うつ病の原因や経緯について、詳しく説明する義務はありません。
「医師から休養が必要と診断された」という事実を伝えれば十分です。話したくないことまで無理に打ち明ける必要はありません。
体調が優れず、直接話すことが難しい場合は、メールや文書での連絡でも問題ありません。まずは「相談したいことがある」と一言伝えるだけでも大丈夫です。
以下に、口頭で相談する場合と、メールでの例文を示しました。
なお、病名をどこまで開示するかは個人の判断で構いません。「体調不良による療養」という表現にとどめることも選択肢の1つです。
会社のルールや職場の状況に合わせて、無理のない範囲で伝えるようにしてください。
社会復帰を支える支援機関
うつ病からの回復と社会復帰は、1人で進めようとすると負担が大きくなりがちです。
利用できる支援機関を知っておくことで、適切なタイミングで適切なサポートを受けやすくなります。
この章では、うつ病のある人が社会復帰するために活用したい支援機関について紹介します。
機関①医療機関
うつ病の治療において、医療機関への通院は回復の土台になります。精神科や心療内科では、症状に応じた薬物療法や心理療法を受けることが可能です。
主治医は治療のサポートだけでなく、診断書の作成や休職・復職のタイミングに関するアドバイスも行ってくれます。
「仕事を続けるべきか」「そろそろ復帰できそうか」といった判断も、主治医と相談しながら進めることが大切です。
まだ医療機関を受診していない人は、まず近くの精神科・心療内科に相談することから始めてみてください。
機関②精神保健福祉センター
精神保健福祉センターは、精神的な健康に関するさまざまな相談に対応している公的な機関です。
各都道府県・政令指定都市に設置されており、無料で利用できます。
うつ病に関する相談はもちろん、家族からの相談にも対応しています。「病院に行くほどではないかもしれない」「まず誰かに話を聞いてほしい」という段階でも気軽に相談できる場所です。
電話や来所だけでなく、場合によってはオンラインでの相談が可能です。お住まいの地域の精神保健福祉センターのホームページは、「都道府県名 精神保健福祉センター」と検索すると見つけられます。
機関③障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターは、障害のある人の就業と日常生活の両面を支援する機関です。
全国各地に設置されており、就職活動中だけでなく、就職後の職場定着に関する相談にも対応しています。
うつ病で仕事から離れた後、「職場復帰・再就職をどのように進めればいいかわからない」という人にとって、具体的なアドバイスや関係機関との連携支援を受けられる頼りになる窓口です。
なお、障害者手帳は必須ではなく、手帳を持っていない人でも相談できます。
機関④就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、障害や疾患のある人が一般就労を目指すための訓練・支援を行う福祉サービスです。
うつ病のある人も多く利用しています。就労移行支援事業所で受けられる主なサービス内容は、以下のとおりです。
- 就労に必要なスキルのトレーニング
- 自己理解・自己分析のサポート
- 求人探しや応募書類の作成支援
- 就職後の職場定着支援
うつ病のある人も体調の回復と並走しながら、自分のペースで就職準備を進められる点が特徴です。
休職中の過ごし方のポイント
休職期間は、心身を回復させるための大切な期間です。
この章では、休職中の過ごし方のポイントを解説します。
ポイント①何もせずに過ごす時間を作る
休職初期は、何かをしなければという気持ちを手放すことが大切です。
読書や資格の勉強、運動など、療養中にできることをしようと焦る必要はありません。
まずは、ただ横になる、ぼーっとする、眠るといった時間を十分に取ることが回復の第一歩です。罪悪感を感じる必要はなく、それ自体が治療の一部と捉えてください。
ポイント②できるだけ生活リズムを整える
症状が落ち着いてきたら、少しずつ生活リズムを整えることを意識してみましょう。
毎日同じ時間に起きる、日中に軽く散歩するといった小さな習慣が、回復を後押しします。
ただし、自分にプレッシャーをかける必要はありません。できる範囲かつ、無理のないペースで取り組むことが重要です。乱れた日があっても、翌日また整えようとするくらいの構えで十分です。
ポイント③回復を焦りすぎない
うつ病からの回復は、直線的に進むものではありません。調子がいい日と悪い日を繰り返しながら、少しずつ上向いていくことになります。
先週は外出できたのに、今週は動けないという状況になっても、それは後退ではなく回復の過程の一部と捉えましょう。
焦って活動量を増やすと症状がぶり返すこともあるため、調子がいいときほど慎重に過ごすことを心がけてください。
復職や再就職の目標は持ちつつも、1日を無事に過ごすことを最優先にする視点が、回復を早めるためにも重要です。
ポイント④1人だけで抱えない
休職中は社会とのつながりが薄くなり、孤独感や不安が強まることがあります。
「誰にも話せない」「迷惑をかけたくない」と感じて、1人で抱え込む人もいるでしょう。
しかし、誰かと話すことや気持ちを吐き出すことは、回復において大切な要素です。
主治医やカウンセラー、家族や友人などの周囲の人、あるいは支援機関のスタッフなど、話せる相手を1人でも見つけておくことをオススメします。
ただし、上手く話そうとする必要はありません。少しでも周囲とつながりを保つようにしてみてください。
まとめ:うつ病で仕事ができないと感じたら立ち止まることも大切
うつ病で仕事ができないと感じたとき、自分を責めたり、無理に動こうとしたりする必要はありません。
適切なサポートを受けながら進めることで、自分に合った働き方を見つけることは十分に可能です。
支援機関や制度を活用しながら、焦らずに自分のペースで回復へと向かっていきましょう。
よくある質問(1)
- 仕事を続けるか迷ったときの考え方を教えてください。
よくある質問(2)
- うつ病で仕事ができないと感じたときの選択肢はありますか?
監修キズキ代表 安田祐輔
サイト
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