双極性障害のある人が就職活動を成功させるための7つのポイント 事例やサポートもまとめて紹介
こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。
双極性障害のあなたは、以下のようにお悩みではありませんか?
- 双極性障害の支障が仕事で出ている
- 双極性障害とのつき合い方がわからず、就職活動に向けた具体的な行動も取れない
- 就職活動(転職活動)を成功させたいけれど、どうしたらよいのかわからない
双極性障害があっても、向いてる仕事や働き方に向けて就職/転職することはもちろん可能です。
このコラムでは、双極性障害の就職活動のノウハウや利用可能な経済的サポートなどを解説します。
双極性障害で就職活動にお悩みでしたら、ぜひご一読ください。
- 就職活動に関係してもしなくても、双極性障害の人にとって大切な大前提は、「医療機関とのつながりを適切に保つこと」です。自己判断で通院や服薬をやめたりせず、治療を継続しましょう。
- 本コラムの主な想定読者は、「在職中で、転職としての就職活動を始めようとする人」です。ただし、新卒の人、退職済みの人、すでに就職・転職活動を進めている人の参考にもなると思います。「双極性障害と就職活動」にお悩みがあるなら、どなたもぜひご覧ください。
- このコラムは、全体的に、就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)の知見及び、以下の書籍の内容を参考にしています。
- 『新版 双極性障害のことがよくわかる本』(講談社 野村総一郎著)
- 『これだけは知っておきたい双極性障害 躁・うつに早めに気づき再発を防ぐ! 第2版 ココロの健康シリーズ』(翔泳社 加藤忠史著)
- 『みんなの双極症 日常の悩みから最新知識まで』(合同出版 南中さくら著)
特に「双極性障害と仕事」の全般的な内容については、コラム「双極性障害の人が仕事を続けるコツとは?向いている仕事も徹底解説!」をご覧ください。
私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、双極性障害のある人のための就労移行支援事業所です。
- 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
- 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
- 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月
神田・新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。
目次
就職活動(転職活動)の一般的な流れ
最初に、双極性障害かどうかに関わらず、就職活動(転職活動)の一般的な流れを紹介します。各段階でやるべきことなどを検討しましょう。
- (1)転職活動の準備(転職エージェントへの登録、情報・条件の整理(経歴・スキル・資格・向き不向き・希望条件・やりたいこと・やりたくないことなど))
- (2)興味のある求人のチェック
- (3)応募書類の作成
- (4)応募
- (5)面接
- (6)内定
- (7)内定受託・現職の退職や引き継ぎの手続き
- (8)新しい職場での勤務開始
就職活動には、数か月を要することもあります。長期にわたる活動であり、現職や治療と同時に一人で進めようとすると、心身ともに疲れる可能性が高いです。
そのため、双極性障害の人の就職・転職をサポートするサービスやエージェントを利用して、効率的に進めるのがオススメです。
そうしたサポート団体では、スキル獲得、社会人としてのマナーの勉強、書類作成や面接対策のサポートなどのためにも利用できますし、病気や自己への理解も深めることができます(サポート団体の例は後で紹介します)。
双極性障害の人が、就職活動を進めるための7つのポイント
次に、特に双極性障害に関連して、就職活動の際にするべきこと、考えるべきこと、知るべきことなどを紹介します。
各事項を検討することで、双極性障害との付き合い方がわかったり、自分の適性に合った仕事・働き方に出会いやすくなったりすると思います。
前提:「いま」が就職活動をするタイミングか、立ち止まって考えてみる
双極性障害の人の就職活動については、まず、「双極性障害があっても、病気を受け止めて、適切な予防や措置を取れば、いまの仕事を続けることもできる」ということをお伝えします。
大前提として大切なことは、病院との繋がりを保ち、治療を続けることです。後で紹介するサポート団体なども、適切に利用しましょう。
その上で、「いま」が就職活動をするタイミングかどうかを、よく検討しましょう。
双極性障害の「躁」「軽躁」の状態で仕事を変える人は多いようです。しかし、この状態のときに仕事を変えるのは大きなリスクとなりえます。
理由として、「自分ならどこでもやっていける!」と、普段とは違うハイテンションで就職活動を成功させても、躁(軽躁)状態からうつ状態になったときに後悔をすることがあるからです。
しっかり通院しながら、病状を落ち着かせることから始めることを推奨します。
そして、心が安定したとき(寛解期)に、「いまの職場で続けていくか」「やはり就職活動を始めて、次の仕事をやってみるか」と考えても遅くはありません。
そうしたことは、あなた一人で考える必要はありません。後で紹介するように、現在は、双極性障害のような精神疾患を本人自身が受け止めるために、多くの相談先があります(無料で利用できるところもあります)。
ぜひ、悩みや希望を、そうした人たちと話してみてください。
なお、双極性障害の人が現職を続けるコツについては、コラム「双極性障害の人が仕事を続けるコツとは?向いている仕事も徹底解説!」の、「双極性障害の人が仕事を続けるコツ5選」の章をご覧ください。
ポイント①双極性障害に関連する、仕事上での悩みを知る
双極性障害の人には、仕事を続ける中で起こしやすい悩みがあります。
それを知り、予防できると、就職活動も、就職後の業務や人間関係も、円滑に進めやすくなります。
- 自信満々な精神状態で仕事を意欲的にこなせるが、相手に感情的で強く当たりすぎる
- エネルギーが無限にあふれる感覚を覚えて、じっとすることができない
- 体調が過度に悪くなって、欠勤を続けることが何度もある
以上は例ですので、個人によってトラブルの内容は他にもさまざまあるでしょう。
職場で不安定な状態が慢性化すると、(就職活動が成功した新しい職場でも)休職や退職のきっかけにつながります。
予防策としては、以下のようなものがあります。
- 自分の状態を観察してみる
- 相談できる相手(家族、医師、信頼している人など)と話してみる
医療機関やサポート団体を通じて、自分を客観視できるような取り組みを行ってみましょう。
ポイント②「障害者枠」を知る
障害者枠とは、特定の病気や障害がある人に向けた雇用枠のことです。双極性障害の人も利用できます。厚生労働省が中心となって推進している制度です。
障害者枠の目的は、誰もが能力・適性に応じて雇用される機会を創出して、地域で自立した生活を送れる社会を実現するところにあります。
障害者枠では、病気や障害の特性などと関連して、その人の能力と特性に応じて働けるような配慮が行われます。
次項とも関連して、障害者枠のことを知っておくと、就職活動(応募先・働き方)の選択肢が増えます。障害者枠が多い、「特例子会社」という形態の会社もあります。
障害者枠の詳細な情報は、以下のコラムをご覧ください。
ポイント③「一般枠(クローズ就労)」「一般枠(オープン就労)」「障害者枠」の3つを比べてみる
前項の障害者枠に対して、「障害者枠ではない雇用や求人枠」のことは、俗に「一般枠」と言います。そして、一般枠で就職活動する場合は、以下の選択肢があります。
- (1)オープン就労(病気や障害を開示して応募・勤務すること)
- (2)クローズ就労(病気や障害を開示せずに応募・勤務すること)
前述の障害者枠は、必ずオープン就労になります(一般的に、障害者枠の利用のためには、障害者手帳の取得と開示が必要なためです)。
これら3つの雇用枠を、就職活動の判断基準となりそうな項目ごとにまとめると、以下のように考えられます。もちろん、職場によって異なる部分もありますが、就職活動の参考としてご覧ください。
- 一般枠(クローズ就労):幅広い業界・職種・雇用形態がある
- 一般枠(オープン就労):上に同じ
- 障害者枠(オープン就労):一般枠よりも少ない傾向にある
- 一般枠(クローズ就労):障害者枠と比べると、給料や出世の観点で待遇がよい傾向にある
- 一般枠(オープン就労):上に同じ
- 障害者枠(オープン就労):一般枠と比べると、給料や出世の観点で待遇がよくない傾向にある
- 一般枠(クローズ就労):なし。自分で、通院、休憩、業務の負担軽減をコントロールする
- 一般枠(オープン就労):職場が可能な範囲で対応(合理的配慮)。現実的には配慮されないこともある
- 障害者枠(オープン就労):必要な配慮が得られる可能性が高い
- 一般枠(クローズ就労):一般枠で働く他の同僚と同じ
- 一般枠(オープン就労):上に同じ
- 障害者枠(オープン就労):休日や労働時間を調節しやすい
- 一般枠(クローズ就労):病気・障害を理由とした採用の敬遠がない
- 一般枠(オープン就労):現実的には、病気・障害への偏見や違法な独自ルールによって、採用を敬遠されることがある
- 障害者枠(オープン就労):病気・障害そのものを原因に採用が敬遠されることはない。ただし、「実際の症状・特性」「伝え方」「病気・障害以外の原因」によっては、採用されないことはもちろんある
- 一般枠(クローズ就労):病気を開示できないことで、心に負担が生じる場合もある
- 一般枠(オープン就労):病気を開示することで、心に負担が生じる場合もある
- 障害者枠(オープン就労):上に同じ
※特にこちらは、「実際のあなた」や「実際の職場」によって、双極性障害を開示する・しないのどちらが気が楽なのかは分かれるところです。
オープン就労・クローズ就労については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
ポイント④専門機関に相談してみる
双極性障害の人は、病気・障害のある人のための専門機関・サポート団体を利用しながら就職活動をすることをオススメします。そうすることで、ご自身の症状、特性、長所や短所への理解を深めながら、就職活動の相談ができるからです。
具体的には、以下のようなサポートを受けられます。
- ビジネススキルの学習・練習
- ビジネスマナーの学習・練習
- 自己分析・障害理解の相談
- 履歴書・エントリーシート・職務経歴書の添削
- 面接練習など
こちらの詳細(サポート団体やサポートの内容)は、後で改めて紹介します。
ポイント⑤就職先の障害への配慮を調べておく
自分が希望する就職先の、合理的配慮の実践状況を調べましょう。
- 事業主は、(略)募集・採用に当たり障害者からの申出により障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければなりません。また、(略)障害の特性に配慮した、施設整備、援助者の配置などの必要な措置を講じなければなりません。(略)(障害者雇用促進法第36条の2~36条の4)(参考:厚生労働省「事業主の方へ」)
合理的配慮の実践状況を知ることで、就職・転職後のミスマッチを予防できます。ただし、あなた一人で調べるのは難しいと思います。こちらもサポート団体に相談することをオススメします。
ポイント⑥障害者枠の面接では、支援スタッフなどの同行を検討する
障害者枠での面接では、サポーターの同行が可能な場合もあります。
ここでいうサポーターとは、専門機関やサポート団体の支援スタッフを指します。
同行時には、ご自身に必要な合理的配慮などを、支援スタッフから客観的に面接担当者に伝えることもできます。これで、ミスマッチの発生を防ぎやすくなります。
ただし、サポーターが面接に同行できるかどうかは、応募先によって異なります。事前に問い合わせるなどして、確認するようにしておきましょう。
ポイント⑦「職場定着支援」を利用する(就労移行支援などを利用して就職した場合)
「職場定着支援」とは、就職後のサポートのことです。就労移行支援の事業所などで実施されています。
職場定着支援では、実際の就職後の状況・困りごとなどを相談できます(オープン就労の場合は、就職先を交えて話し合うことも可能です)。
就職後は、新しい環境での風土や規則、人間関係になれるまでにそれなりの負担がかかります。職場定着支援を利用することで、新しい環境に馴染みやすくなり、負担も軽くなるはずです。
職場定着支援については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
双極性障害の人に向いているとされる仕事、働き方
双極性障害の人には、一般的には、体調の浮き沈みが起きにくい仕事・働き方が向いています。
例えば、以下のような特徴のある仕事・働き方です。
- 年間を通して、業務量が安定している
- 勤務時間の変動が少ない
- 自分のペースで仕事を進めることができる
- ストレスとなる対人折衝が少ない
具体的な職種や働き方の例には、以下のようなものがあります。
- 事務職
- フリーライター
- 在宅ワーク
その上で、双極性障害であることを受容して、適切に付き合うことができれば、仕事や働き方の選択肢は広がっていく可能性もあります。
なお、双極性障害の人に向いてる仕事の詳細は、コラム「双極性障害の人が仕事を続けるコツとは?向いている仕事も徹底解説!」の、「双極性障害の人に向いている可能性がある仕事」の章をご覧ください。
双極性障害の人が避けたい仕事、働き方
一方で、双極性障害の人にはあまり推奨されていない仕事・働き方もあります。
それは、勤務時間が変動しやすい仕事や職種です。理由は、生活リズムが不規則になるからです。
不規則な生活リズムは、症状の再発リスクを高めたり、不安定なメンタルにつながったりと、私生活にも支障がでる恐れがあります。
避けたい働き方は、以下のようなものです。
- 業務内容の大部分が対人関係を占めている
- 勤務時間が不規則になりがちになる仕事
具体的な職種や働き方の例には、以下のようなものがあります。
- 営業職
- 接客業
- 看護師
- シフト制の勤務(深夜勤務がある仕事)
なお、双極性障害の人に向いてない仕事の詳細は、コラム「双極性障害の人が仕事を続けるコツとは?向いている仕事も徹底解説!」の、「双極性障害の人に向いていない可能性がある仕事」の章をご覧ください。
双極性障害の人が就職活動を成功させた事例・エピソード
この章では、双極性障害当事者の人の就職活動の成功例を、ご本人が語る形で紹介します。発症当時から現在の仕事に至るまでの経緯をお聞きしました。
※個人の特定に繋がらないよう、一部事実を変更しています。
①仕事のことしか考えられない日々で、双極性障害の診断を受ける
以前の職場で、私は周りから「真面目で仕事熱心ですね」とよく言われていました。
実際にそのとおりで、私は仕事が大好きでした。
一方で、仕事に没頭するあまり、休日も仕事のことで頭がいっぱいでした。
そのうち、仕事のことしか考えられない日々が3~4年続いて体調不良となり、休職を余儀なくされました。
最終的に、「双極性障害」という診断を受け、離職しました。
②信頼できる医師と治療を続け、気力がよみがえる
療養のために実家で母と2人暮らしをしながら、働けない自分にふがいなさを感じる日々でした。
しかし、信頼できる医師とのコミュニケーションを続けて自分に合った薬が見つかったことで、体調がよくなってきました。
そして、定期的に運動も始めて、体力も少しずつ取り戻すことができました。
この頃から、少しずつ仕事をする気力がよみがえってきました。
③就労継続支援で経験を積み、自身も持てるように
そこから私は、地域の相談支援施設に通って、就労継続支援B型(※)で2年間働きました。
就労継続支援B型は、「自分の体調に合わせて、仕事をする日を選べる」のがメリットでした。
ここで、継続して働くという経験を踏めたことに私は自信が持てるようになり、就労継続支援A型(※)の事業所に転職しました。
A型では、「雇用契約を結び、給料を稼ぐ」ことができました。
ここで2年間勤めたことで、「次はこんな働き方をしたい」と、自分が望むキャリアを考えられるようになってきました。
この4年間は、非常に有意義な時間だったと思っています。
- 就労継続支援とは、病気や障害に関連して、就労支援を利用しても雇用につながらなかった人や、一般企業での勤務が困難な人などに、軽作業や生産活動の機会を提供する福祉サービスです。詳細を知りたい場合は、以下のリンクをご覧ください。
- 『就労継続支援B型とは?概要・作業内容・事業所選びのコツなどを、10年間の通所経験者が紹介!』(A型とB型の違いについても解説しています)
④一般企業への就職活動を開始。さまざまなサポート団体を利用して、障害者枠で就職
そして私は一般企業への就職活動を決意し、行動に移しました。
まず、無料で利用できる「ハローワーク」「障害者職業センター」「障害者就業・支援センター」で求人を探しました。
また、「障害者就業・生活支援センター」に行って、相談したりもしました。(※これらの施設は、次章で紹介します。)
就労継続支援A型でお世話になっていたスタッフさんにも相談をしました。
就職活動をする上で、私が一番強く指摘されたのは「病気を再発させないように、仕事とプライベートを切り分けて考える」ということでした。
面接では、そのスタッフさんに同行してもらい、希望する就職先と私の間でミスマッチが生まれないように、客観的に合理的配慮を伝えてもらいました。
結果として私は、小売業の仕事に障害者枠で転職することができました。
転職してから今年で6年目になり、現在も充実して働いています。
⑤一人で悩み込まないで
これが私の発病から現在までの経緯です。
最後に、私と同じ双極性障害で悩んでいる人に伝えたいことがあります。
それは、「一人で悩みこまないで」ということです。
双極性障害に限らず、人には言いにくい症状や特性を持っている人は、とにかく「誰に相談していいのかわからない」という状況は避けるべきだと思います。
あせらずに、適切な医療機関、サポート団体を見つけるところから、就職活動を始めることをお勧めします。
双極性障害の人が就職活動で利用できる機関やサービスの紹介
双極性障害などで仕事に支障がある方に向けて、さまざまな支援先やサポート団体が存在します。
自分の症状の度合いに合わせて、適切な相談先を確保するだけでも安心することができると思います。
この章では、具体的な相談機関や支援先を紹介します。
①就労移行支援事業所
就労移行支援事業所は、病気や障害があり、一般企業の就労を希望する人や、仕事での独立を目指す人のためのサポート団体です。
就労に必要な知識の習得や能力向上を目的とした訓練や、就職活動のサポートなどを受けることができます。
事業所によっては、協力企業での実習(インターン)ができる場合もあります。
就職後も、その職場で長く働き続けるための「職場定着支援」を受けることもできます。
このコラムの運営元であるキズキビジネスカレッジも、就労移行支援事業所の一つです。
就労移行支援については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
②ハローワーク(公共職業安定所)
ハローワークでは、一般枠と障害者枠の両方を探すことができます。
また、採用面接への同行、トライアル雇用など、病気・障害のある人に特化したサービスも行っています。
(参考:ハローワーク「障害のある皆様へ」)
- 障害などのために安定的な就職が困難な人のための制度。3か月の試行雇用を経て、雇用者・被雇用者の両方が同意した場合に、期間の定めのない雇用へ移行することができるサービス。詳細は、コラム「トライアル雇用とは?トライアル雇用の利用を考えている求職者・企業の方への情報まとめ」で解説しています。
障害の専門的な知識を持つ職員・相談員と相談することもできます。
なお、障害者手帳を持っていない人でも相談できます。
ハローワークの全国一覧はこちらです。
③地域障害者職業センター
地域障害者職業センターでは、相談者一人ひとりのニーズに応じて、「職業評価」「職業指導」「職業訓練」などの専門的な職業リハビリテーションサービスを受けることができます。
運営は「独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構」で、全国47都道府県に設置されています。
全国の一覧はこちらです。
④障害者就業・生活支援センター
「障害者就業・生活支援センター」では、就職及びそれに伴う日常生活上の支援が必要な障害のある人に対し、「センター窓口での相談」や「職場・家庭訪問」などを実施しています。
就職活動のような就業面だけでなく、金銭管理などの生活面も相談することができます。
管轄は厚生労働省であり、全国に設置されています。(令和4年4月1日時点で338センター)
障害者就業・生活支援センターの全国の一覧はこちらです。
⑤民間の就職・転職エージェント
民間の就職・転職サービスもたくさんあります。
特に、エージェント(担当サポーター)を利用すると、しっかりと相談をしながら就職活動を進めることができます。
いずれも、基本的なサービスとして、「就職準備のサポート」「キャリア相談」「求人紹介」「求人元と就職希望者の条件の調整」などを行っています。
情報収集としても便利なサービスですが、運営会社によって、求人の数や種類、サポート内容などが異なります。
負担にならない範囲で複数に登録したり話を聞いたりして、自分に合いそうなところを利用してみるとよいと思います。
一般のエージェントの代表例には、以下のようなところがあります。
特に病気や障害のある人に特化したエージェントとしては、以下のようなところがあります。
双極性障害の人が利用できる金銭的なサポート
双極性障害の人は金銭的・経済的サポートを利用できることがあります。
お金があれば、心のゆとりもできていきます。
ご自身の状況に合った経済支援を探すことで、安定した経済状況で療養や就職活動に専念できると思います。
金銭的なサポートは他にも利用できる可能性があります。
お住まいの市区町村役所や、前述のサポート団体に相談しましょう。
①自立支援医療(精神通院医療)
自立支援制度とは、双極性障害などのために継続的な通院が必要な人に向けた制度です。
利用すると、医療費の自己負担額を軽減することができます。
自分が利用できるかどうかは、お住まいの市区町村役所の担当部署に相談しましょう。
②傷病手当金
傷病手当金とは、、病気やけがのために仕事を休み、十分な報酬が受けられないときに、健康保険(社会保険)の加入者とその家族に支給されるお金のことです。
双極性障害に関連して休職・退職した場合は、傷病手当金を受給できるケースもあります。
うつ病で休職する人が傷病手当金を受給する方法については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
③障害年金
障害年金とは、疾病又は負傷(傷病)によって、障害のある状態になった人に対して支給される公的年金のことです。
双極性障害の人も、受給できることがあります。
障害年金については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
双極性障害の種類別解説(Ⅰ型とⅡ型)
この章では、改めて双極性障害の概要を紹介します。
すでにご存じかもしれませんが、これまでに紹介した内容の理解も深まると思いますので、ぜひご覧ください。
①双極性障害とは何か?
双極性障害とは、気分が高揚している「躁(そう)状態」、もしくは「軽躁(けいそう)状態」と、ひどく気持ちが落ちる「うつ状態」を定期的に繰り返す、精神障害の一つです。
昔は「躁うつ病」と呼ばれていましたが、現在では、「双極性障害」と病名が変わっています。
このコラムでは簡潔に紹介しますので、詳細を知りたい人は、コラム「双極性障害の人が仕事を続けるコツとは?向いている仕事も徹底解説!」の「1.双極性障害とは?」をご覧ください。
なお現在、双極性障害はI型とII型の2つに分けられています。
②双極性障害I型とは
「双極性障害I型」は、躁状態とうつ状態が数か月〜数年のサイクルで発生する病気です。
躁状態では、自分が万能感に満たされて、常にエネルギーに満ちた感覚を覚えます。
他にも、遂行ができない仕事やお願い事を引き受けたり、態度が尊大になったりすることもあります。
そして、他人に対して強く当たり、社会的信用を失い、離職や離婚などにつながることもあります。
うつ状態では、躁状態から一転して、過剰に自分の言動を責めることになります。
「なんであんなことをしてしまったのか」という後悔に駆られて、睡眠障害、食欲不振(または食欲過剰)などの症状がみられます。
③双極性障害II型とは
「双極性障害II型」は、軽躁状態とうつ状態が、数か月〜数年のサイクルで発生する病気です。
軽躁状態になると、周りの人からは、「明るい、テンションの高い人だな」と見られがちです。
しかし、当事者をよく知っている人(家族やパートナーなど)からは、明らかにハイテンションで、いつもとは様子が違うように見えます。
軽躁状態では、浪費、過食、逸脱した行為をすることがあります。
そして、軽躁状態の反動でうつ状態になると、軽躁状態での自分の言動に過度に後悔したり、悩んだりして、倦怠感などの症状が現れます。
まとめ
以上、双極性障害のあなたに向けて、就職活動のポイント、向いてる仕事、サポート団体などを紹介しました。
双極性障害があっても、就職・転職を成功させることはもちろん可能です。
そのためにも、医師とのつながりを保ち、積極的にサポート団体を利用しましょう。
このコラムがお役に立ったなら幸いです。
監修キズキ代表 安田祐輔
発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。
【著書ピックアップ】
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』
Amazon
翔泳社公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)
【その他著書など(一部)】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)
うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。2024年10月現在、首都圏・関西に6校舎を展開しています。トップページはこちら→
双極性障害のある自分が就職活動(転職活動)を成功させる方法を知りたいです。
一般論として、以下のようなことを検討すると、就職活動は成功に近づきます。
- 前提:「いま」が就職活動をするタイミングか、立ち止まって考えてみる
- 双極性障害に関連する、仕事上での悩みを知る
- 「障害者枠」を知る
- 「一般枠(クローズ就労)」「一般枠(オープン就労)」「障害者枠」の3つを比べてみる
- 専門機関に相談してみる
- 就職先の障害への配慮を調べておく
- 障害者枠の面接では、支援スタッフなどの同行も可能だと知る
- 「職場定着支援」を利用する(就労移行支援などを利用して就職した場合)
詳細はこちらをご覧ください。
双極性障害のある自分に向いてる働き方を知りたいです。
一般論として、以下のような働き方が向いています。
- 年間を通して、業務量が安定している
- 勤務時間の変動が少ない
- 自分のペースで仕事を進めることができる
- ストレスとなる対人折衝が少ない
詳細はこちらをご覧ください。