障害者雇用の面接でよく聞かれる質問5選 回答のコツを具体例とあわせて解説 | キズキビジネスカレッジ  

障害者雇用の面接でよく聞かれる質問5選 回答のコツを具体例とあわせて解説

こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。

障害のある人が就職活動で悩みやすいことのひとつに、「面接対策」があります。面接対策で大切なことは、「あなた一人だけで考えようとせず、様々にあるサポート団体を利用すること」です。

この記事では、障害者の就職面接について、よくある質問、面接時のポイント、支援団体などを徹底解説します(3,500人規模の職場で人事を担当していた筆者の視点、就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)の知見、各種参考資料をもとにしています)。

就職や転職をお考えの障害者の人は、ぜひ読んでみてください。就職活動をいっそう上手に進められるようになり、望む仕事に就きやすくなるはずです。

このコラムは、「オープン就労で、障害者枠」での面接対策について主に解説します。

一般枠やクローズ就労をお考えの人にも役立つ内容が入っています。適宜、参考にしていただければ幸いです。(参考資料:紺野大輝『障がい者の就活ガイド』

オープン就労とクローズ就労については、それぞれ下記のコラムを参考にしてみてください。

私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、障害者雇用の面接の対策をしたい人のための就労移行支援事業所です。

  • 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
  • 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
  • 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月

新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。

障害者雇用の面接でよく聞かれる質問5選:回答のコツを具体例とあわせて解説

障害者の人が面接対策をする上では、面接でよくされる質問を前もって理解し、回答を練っておくことが効果的です。

この章では、一般論としての、「障害者雇用の面接でよくある質問」と「回答のコツ」を紹介します。

この章の内容は、「面接は、対策可能である」という安心材料にしてください。

その上で、「実際のあなた」や「実際の応募先」での対策(よくある質問・回答の例など)は、後述するサポート団体と話をすることで、具体的にわかっていくと思います。

Q1.障害・特性に関する質問

障害・特性に関する質問

障害者の人の面接において「障害・特性に関する質問」は、やはり定番です。具体的には、以下のような質問が考えられます。

障害・特性に関する質問
  • ご自身の障害の内容について詳しくお伺いできますか?
  • どのようなときに症状が出るのでしょうか?
  • 現在、服薬していますか?
  • 前職で症状が出たことはありますか?また、そのときの対策を教えてください。
  • 症状が出た際に、自発的に相談することは可能ですか?
  • 診断されたのはいつですか?
  • 定期通院はありますか?
  • フルタイムでの勤務は可能ですか?
質問・回答の例①

ご自身の障害の内容について詳しくお伺いできますか?

私の障害は、○○です。私の場合は特に2つの症状があります。
(「障害名」「一般的にどういう障害なのか」「自分の症状+現在の症状」を伝えましょう)

質問・回答の例②

どのような時に症状が出るでしょうか?

一度に複数の音がしていたり、大勢の中にいたりする環境だと、聴覚過敏によって耳鳴りがするため、耳栓などをさせていただけると助かります。

回答の際には、あなたの障害特性や症状を、面接担当者がイメージしやすいように、具体的な言葉で伝えることが大切です。

逆に言うと、答えられない、または「特にない」という回答だと、自己分析ができていないというマイナスな判断がされる傾向があります。

日頃から「こういう場面でこういう症状が出る」「○○をするときにこういう困り事がある」というのをあなた自身が自覚するとともに、紙やスマホのメモなどに記録しておくとよいでしょう。

なお、キズキビジネスカレッジの実感としては、「日常生活での困りごと」は面接ではあまり聞かれないようです。面接相手が知りたいのは、「仕事のとき」にどういう症状が出るかだからでしょう。

Q2.業務遂行能力や得意・不得意に関する質問

あなたの「業務遂行能力や得意・不得意に関する質問」もよくあるものです。

業務遂行能力や得意・不得意に関する質問
  • (転職の場合)これまでにどういった業務をしてこられましたか?
  • これまでに磨いてきた技能や特技などはありますか?
  • 得意・不得意な作業があれば、教えてください
質問・回答の例①

これまでどういった業務をしてこられましたか?

前職では、主にデータ入力と資料作成を行っていました。資料作成では○○を工夫することで、取引先の企業様から見やすくなったとの評価をいただくことができました。

質問・回答の例②

これまでに磨いてきた技能や特技などはありますか?

就労移行支援事業所ではExcelの学習を行い、Microsoft office specialist2019の資格を取得することができました。

質問・回答の例③

得意・不得意な作業があれば、教えてください

特性上、突発的に発生した業務があると焦り、ミスが起きることがあります。ですが、作業の手順を整理する時間をいただけましたら、問題なく作業を進めることができます。(『ネガティブな事実+ポジティブな内容』で伝えることを心がけましょう)

また、こうした質問に対しては、具体的なエピソードを交えながら回答することが有効です。

単に「○○ができる」「○○の仕事をしてきました」で終わるのではなく、「それができるようになった過程」「できる・できないと自覚した出来事」「技能や特技を磨くために努力してきたこと」などを併せて話すと、あなた自身のアピールに繋がります。

また、障害に関連して特定の作業が苦手という場合には、「○○の作業をする際に○○の症状が出るのが要因だと考えています」など、自分なりに苦手な原因を分析して話せると、回答の説得力が増します。

「今は苦手だけれど、こういった努力をしている」というところまで話せると、向上心をアピールできて、尚よいでしょう。

Q3.志望動機に関する質問

志望動機に関する質問

「志望動機」は必ず聞かれます。多くの場合、面接の冒頭などで「まずは弊社を志望した理由を教えてください」といった質問をされるはずです。

回答の際には、例えば、以下の3点が盛り込まれているとよいでしょう。

志望動機に関する質問
  • 志望先の事業内容のどのような点に共感したか
  • 志望先の事業内容やビジョンのどのような点が自分の興味や未来像と合致しているか
  • 上記に関連して、自分の能力を活かした実績・経験など

志望動機としては、上記の全てが盛り込まれていなくても、「あなたの特性・能力・興味」と、「志望先の事業内容・方針・ビジョン」などが、どのように関わっているのかを話すことができれば、充分でしょう。

ご自身の能力や人間性だけでなく、志望先の事業内容にも理解を示すといった視野の広さをアピールできると尚よいかもしれません。

また、ご自身ができることを話す際には、具体的にどういった職種であれば活躍できそうかということを話すのも、回答の際のひとつのコツになります。

志望動機の基本構成

上記を意識しつつ、志望動機は、次のような構成で作成してみましょう。

  1. 志望理由
    『○○に惹かれたため』など
  2. 活かせる能力、実績のエピソード
    『前職では(学生時代には)○○を行っていました』など
  3. 応募先に貢献できる点
    『今までの経験を活かし、貴社に貢献していきたいと考えています』など

Q4.退職理由や前職に関する質問(転職の場合)

転職の場合には、「前職を退職した理由や、前職に関する質問」をされるはずです。

志望先によって、ストレートに聞いてくるケースもあれば、話の流れの中で緩急を交えながら「ところで退職したのはどういった理由から?」などと質問されるケースがあります。

できるだけネガティブな理由にならないように、「前職ではこういう業務をしていたが、こういった仕事に挑戦してステップアップをしたかった」など、ポジティブな回答ができるとよいでしょう。

質問・回答の例①

前職を退職された理由はなんですか?

前職では、人事部の入力作業、面接の補助、新人のサポートを行っていました。その中でも、メイン業務が入力作業であったため、他の人事業務に挑戦してみたいと思い、転職を考えました。

前職次第では、ポジティブな回答をするのが難しいと感じる人もいるかもしれません(障害に対する配慮が足りなかったというのが退職理由になっている場合など)。

そんな場合も、前職の「悪口」にならないようにした上で、志望先に求めたい配慮を具体的にイメージしてもらうための伝え方を考えましょう。

Q5.就業中の配慮に関する質問

就業中の配慮に関する質問

最後は「就業中の配慮に関する質問」です。

就業中の配慮に関する質問
  • どういったサポートがあれば働きやすいと考えていますか?
  • どのような部門の配属をご希望ですか?
  • 業務内容に関する希望などはございますか?

回答の際には、理由と併せて希望を伝えましょう。

質問・回答の例①

どういったサポートがあれば働きやすいと考えていますか?

特性上、マルチタスクが苦手です。Googleカレンダーなどを使用して、スケジュールを可視化できるようにしていますが、抜けてしまう場合があります。担当者の人と、定期的にスケジュールの確認させていただく時間をいただけると助かります。(※複数個ある場合は、最初に「○点あります」と伝えましょう)

補足

「特性上できないことがあるが、自分で努力をしていて、それでもできないことがあるからそこをサポートしてほしい」というような伝え方を心がけましょう。「自分も精一杯努力しているけど難しい」と伝えることが一番大切です。

希望を伝えるのは気が引けるという人は、自分から確認してみるのも一つの手段です。

確認の例

○○な特性をカバーするために、○○な対応をしてもらえるとありがたいのですが、どの程度の範囲であれば可能でしょうか。

面接の際に就業上の配慮についてきちんと話し合うことで、就職後のミスマッチを減らせます。

障害者の人の面接で人事担当者がチェックしているポイント4点

この章では、障害者の人の面接を行う人事担当者がチェックしているポイントを解説します。

こちらも一般論であり、企業・団体の採用方針やあなたの障害特性によって異なることはあります。

繰り返すとおり、「実際のあなた」と「実際の企業・団体」の対策は、後述するサポート団体と話し合いましょう。

チェック①障害の状態や病状が安定しているか

障害の状態や病状が安定しているか

1点目は、「障害の状態や病状が安定しているかどうか」です。

例えば、精神障害のある人は、心身の調子の波が大きいことがあるでしょう。採用担当としては、採用前に、その波がどの程度のものなのかを判断したいはずです。

就職活動のために面接対策をすることも大切ですが、それ以前に「障害や病状を安定させるために治療や対策を進めること」も重要だということを忘れないでください。

チェック②自分に必要な支援を理解しているか

2点目は「自分に必要な支援を理解しているか」という点です。

採用担当者は、単に障害の名前や内容を知らされても、具体的にどのような支援が必要なのかを検討しづらい面があります。

そういったときに、本人から「こういった支援があるとスムーズに就労できる」という提案があれば、面接担当者はイメージが付きやすくなるだけでなく、「必要に応じて周りにサポートを求められる人だ」と、安心感を持つことができます。

「適切に支援を求められる」という点は「コミュニケーション力がある人」「協調性がある人」という印象にも繋がるでしょう。

チェック③意思疎通や相談がきちんとできるか

意思疎通や相談がきちんとできるか

障害のある人に限った話ではありませんが、面接担当者は、「意思疎通や相談がきちんとできる人かどうか」を見ています。

例えば、実際に就職してからの「業務の内容・進捗・希望・困難など」を話し合うことは、障害の有無に関わらず大切でしょう。病気や障害があるなら、体調・職場環境・配慮についても、きちんと伝える必要があります。

面接対策に限らず、日頃から自分の状態や困り事を、他人にわかりやすく説明できるように練習するのがよいでしょう。

チェック④支援者と協力体制を築いているか

最後は「支援者と協力体制を築いているか」です。

障害のある人が働き続けるためには、支援者の協力体制は大きな力になります。具体的には、次のようなものが考えられます。

  • 障害特性への対策や病気の治療について、(医師や支援団体と)日常的に取り組んでいる
  • 職場での悩みを一人で抱え込まずに共有して、(支援団体と一緒に)解決策などを考える

こうした協力体制があると、あなたにとっても職場にとっても、安心感は大きくなるでしょう。現在は、サポートの種類も団体もたくさんありますので、ぜひ積極的に探してみてください。

一般的な面接の流れ・マナーとWeb面接の流れ・マナー

一般的な面接の流れ・マナーとWeb面接の流れ・マナー

この章では、一般的な面接の流れ・マナーを紹介します。

ご紹介する内容は、障害特性によっては難しいこともあると思います。ですが、障害者枠での面接では、企業・団体は、「面接に来る人は、病気や障害がある」ということを理解しています。

また、「絶対的に正しい面接のマナー」があるわけでもありません。「一般的に丁寧なやりとり」を身につけていれば、多少異なっても問題ありません。

ですので、ご紹介するマナーは一般論としてご覧いただいた上で、「実際のあなた」が行うべきこと・身につけるべきことは、支援者とも話しつつ、できる範囲で練習しましょう。

補足

新型コロナ禍の影響により、Web面接など、オンライン上での面接も珍しくなくなりました。そのため、一般的な面接の流れ・マナーのほかに、Web面接の流れ・マナーについても簡単に解説します。

①一般的な面接の流れ・マナー

一般的な対面での面接では、以下のような流れを取るケースが多いです。

  1. 名前を呼ばれたら、ドアにノックをして、「失礼します」「よろしくお願いします」などと述べて入室
  2. 入室後、ドアを閉めてから面接担当者に向かって一礼
  3. 椅子の左側に立って面接担当者に挨拶をする
  4. 面接担当者から指示を受けてから着席して質疑応答を行う
  5. 終了後は立って謝辞を述べ、一礼してから退出する

よい印象を与えるためのコツとしては、以下を意識しましょう。

  • 余裕を持って面接に臨むために、面接会場への道順は前もって調べておき、10分前には到着するようにする
  • 面接前の控室でも気を抜かない(スマートフォンを弄りすぎたり、ゲームをしたり、横柄に見える座り方をしたりしない)
  • 礼をする際には足を揃え、背筋を伸ばしたまま、ゆっくりと頭を下げる
  • 礼と挨拶の言葉などを一緒に行わず、分けて行う
  • 挨拶や面接の受け答えの際は、面接担当者の目を見て、ハキハキと話す(目を見るのが苦手なら、鼻のあたりをぼんやり見る)
  • 面接担当者の話をさえぎらずに、ゆったり構えて「対話」を意識する

②Web面接の流れ・マナー

Web面接の流れ

Web面接(オンライン面接)では、以下のような流れを取ることが多いです。

  1. 志望先から前もってWeb面接の方式についての説明を受ける
  2. 当日の時間になったら指示に従ってオンライン上で入室する
  3. 面接開始時に礼をして挨拶をする(無理に立たずに着席のままでOK)
  4. 質疑応答を行う
  5. 終了後は謝辞を述べて一礼し、相手の指示に従って画面を切る

マナーという点では、対面式に比べると、意識すべきポイントは少ないかもしれません。しかし、Web面接では、面接前に以下のような点を意識して準備をすることが重要です。

  • 使用する機材(スマホ、PC)の電源やバッテリーを確保できているか
  • マイク機能やスピーカー機能がきちんと機能するか
  • 周囲の雑音が入らない落ち着いた環境を確保できているか
  • Wi-Fiなどの電波や音声の状態は良好か
  • 背景の映り込みに問題はないか
  • 服装については、対面式と同様に、指定がない限りはスーツを着用するのが望ましい

補足:Webで話す際の注意点

「面接」に限らず、webで話す際の注意点としては、以下があります。

  • 話すときは、画面ではなくカメラのレンズを見る
  • タイムラグを考慮して、ゆっくりと間を置きながら明瞭な発音で話す
  • 画面を閉じるまでは気を抜かない。

なお、Web面接の際には、手元にメモ書きなどを用意する人も多いかと思いますが、あまりそちらを意識しすぎると、マイナスの印象に繋がる可能性がありますので、気をつけてください。

メモを見ないと不安という人は、次のような対策があります。

  • PCの画面(カメラが塞がらず、目線が前になる位置にふせんで貼っておく
  • PCのメモ画面を目線が下がらない位置に表示させておく

障害者の人が面接対策をするときに注意すべき6つのポイント

実際に障害者の人が面接対策をするときに注意すべきポイントを6つご紹介します。

繰り返すとおり、面接対策をする際に、前提として大切なのは、独力で対策を済ませるのではなく、周囲を頼ることです。

また、病気を治療中の人や、障害のリハビリ中などの人は、主治医に次のようなことを確認しましょう。

  • 就職活動を行ってもよいか
  • フルタイムを希望する場合、フルタイムでの勤務は可能か
  • フルタイムが難しい場合、どれくらいの時間・日数の勤務なら可能か

あなた自身が復調したと思っていても、専門医の目から見れば、治療に専念した方がいいという場合もあります。

上記の点に留意して、以下の6点を実践してみてください。

ポイント①支援機関を利用する

支援機関を利用する

1点目は「支援機関を利用する」です。これは、次項以下のポイントの大前提とも言えるものです。サポート団体を利用することで、「実際のあなた」に合わせた対策が可能になります。

専門医やご家族以外にも、後述するように、障害のある人が就職のために、また就職後に利用できる支援機関はたくさんあります。

サポート内容は、面接対策、職業相談、生活面の相談、職業訓練など様々です。もちろん、就職以外のことを相談できる団体もたくさんあります。

ポイント②自分の障害特性について理解を深める

2点目は「自分の障害特性について理解を深める」です。

「よくある質問」の章で述べたように、実際の面接では、ご自身の障害特性をわかりやすく説明することが大切です。

そのためには、面接対策の一環として、あなた自身が自分の障害特性について理解を深めることが必要です。

理解を深める際には、一人で考え込むのではなく、できるだけ家族や支援者など、身近な人と話をすることをオススメします。

あなた一人では気付かなかった特性や強みが見えてくることもありますので、できるだけ周囲の人を頼りながら、障害特性に関する理解を深めてください。

ポイント③障害を「自分の言葉」で説明できるようにする

障害を「自分の言葉」で説明できるようにする

3点目は「障害を自分の言葉で説明できるようにする」です。

通常、障害者枠で就労する際には、障害者手帳のコピーなどを志望先に提出することになります。

しかし、採用担当者が、そのコピーに書かれた言葉だけで障害をイメージするのは難しく、実際の特性や症状も一人ひとりで異なります。

「特に説明しなくても向こうで調べてわかってくれるはずだ」という先入観を持たない方がよいでしょう。

それゆえ、あなたにどういう障害があり、どういうことで苦労しているのかということを、相手にわかってもらえるように、あなた自身の経験に照らして話すことが大切なのです。

特に、「何ができて何ができないか」ということは、仕事をする上では重要なポイントですので、面接対策の段階できちんと説明できるようにしておいてください。

ポイント④基本的に隠し事はしない

4点目は「基本的に隠し事はしない」です。

障害のある人の中には、内部障害や、障害者手帳に書かれているようなメインの障害ではない症状については「話さなくてもいい」とお考えの人もいるようです。

しかし、隠していた症状が職場で発生したときには、自分にも周囲にもよくない結果となることがあります。

「障害のことを詳しく話しすぎると不利になるのではないか」という不安はわかりますが、大切なのは、職場とあなたが相互に理解を深めて、「無理なく働き続けること」です。

面接の際は、できるだけ隠し事はしない方がよいでしょう。その上で、「どのように伝えるか」については、サポート団体と話し合いましょう。

ポイント⑤選考時に配慮してほしいことを考える

選考時に配慮してほしいことを考える

5点目は「選考時に配慮してほしいことを考える」です。

これは面接での受け答えの対策というよりは、「面接に行くまでの対策」「面接中の環境を整えてもらうための対策」と言えます。

一例として、身体障害があって、車椅子で移動している人の場合、会場までの移動手段を前もって調べたり、採用担当者と話し合ったりする、ということです。

そうすることで、遅刻せずに会場に到着できたり、「車椅子でも行ける会場」が用意されたり、「段差を登るためのサポート」を受けられたりするようになります。

ポイント⑥就職後に配慮してほしいことを考える

最後は「就職後に配慮してほしいことを考える」です。障害の特性によって、次のような様々な希望があるかと思います。

  • 定期的に服薬の時間を確保させてほしい
  • できるだけ人の出入りの少ない奥まった環境に配置してほしい
  • 車椅子なのでこれくらいのスペースがほしい

それゆえ、できる限り、就労中のイメージと、それによって生じうる困り事を考えることが大切です。

とはいえ、あなた一人で具体的なイメージを浮かべようとしても、限界があるかもしれませんので、この場合も支援者などと相談しながら、イメージを詰めていくことが重要になります。

障害者の人の面接対策をしている4つの支援団体

障害者の人の面接対策をしている4つの支援団体

最後に、この章では、障害者の人の面接対策を行っている支援団体を4つ紹介します。

いずれも公的な(認可を得た)団体であり、基本的な窓口は、お住いの自治体の障害福祉を担当している部署になります。

どの支援団体が自分に向いているのか分からないという人は、自治体の窓口を訪ねることをオススメします。

①就労移行支援事業所

就労移行支援事業所では、一般企業への就職を目指す病気や障害のある人向けに、障害者総合支援法に基づいて行われる障害福祉サービスを提供しています。

就労移行支援事業の対象となるのは、以下の条件を満たす人です。

  • 原則18歳から65歳未満であること
  • 一般企業への就職または仕事での独立を希望していること
  • 精神障害、発達障害、身体障害、知的障害や難病を抱えていること

障害者手帳は必須ではなく、専門医による診断書があれば支援を受けることができます。

具体的な支援内容は事業所によって異なりますが、面接対策はもちろんのこと、仕事相談からメンタル面の相談、専門スキルの講習、インターン先・就職先の紹介と、幅広い支援を受けられます。

相談は無料ですので、支援内容に興味を抱いた事業所に一度、詳細をお問い合わせいただくとよいでしょう。

就労移行支援 についての詳細は、下記コラムをご覧ください。

②ハローワーク

お住いの市区町村に設置されたハローワークでも、障害者としての求職登録を行えば、専門の相談員から、それぞれの障害特性や希望職種に応じた職業相談や職業紹介、職場適応指導を受けることが可能です。

定期的に面接対策の講座なども実施していますので、そちらに応募すれば、実践的な指導を受けられます。

もちろん、窓口での相談の際に「こういう状況のときに面接でどう答えればいいのか」という疑問を提示することも可能です。

興味のある人は、管轄のハローワークに問い合わせてみるとよいでしょう(全国の一覧はこちらです)。

補足

現実として、職探しについては、ハローワーク「だけ」で行うことはオススメしません(ハローワークに求人を出していない会社・団体も多いため)。ハローワークを利用する場合も、他の求人サービスを併用することをオススメします。

③地域障害者職業センター

地域障害者職業センターでは、障害を抱える一人ひとりのニーズに応じて、職業評価、復職支援、職業訓練などの専門的な職業リハビリテーションサービスを提供しています。

面接対策なども含めた職業相談はもちろんのこと、「治療を進めながらどのように働くか」という悩みをお持ちの人に、特にオススメです。

運営は、「独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構」が行っており、全国47都道府県に設置されています(全国の一覧や詳細はこちらです)。

また、当事者だけでなく、事業主に対しても雇用管理に関する相談・援助を実施しています。

④障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターでは、就業及びそれに伴う日常生活上の支援が必要な障害のある人の身近な地域において、就業面と生活面を一体に捉えた相談と支援(センター窓口での相談や職場・家庭訪問など)を行っています。

障害者就業・生活支援センターの特徴は、就職支援だけでなく、金銭管理などの経済面や住居のことまで、多岐にわたって相談できる点にあります。

職業相談に限らず、生活面での支援も受けたいという人にオススメです。厚生労働省によると、2022年4月時点で338センターが設置されています。(全国の一覧や詳細はこちらです)。

⑤その他の支援団体

面接対策まではしていなくとも、相談が可能な機関として、以下のようなものがあります。気になるようでしたら、ぜひ問い合わせてみてください。匿名でも相談を受け付けています。

  • 精神保健福祉センター
  • 発達障害者支援センター
精神保健福祉センターとは

精神障害のある人のサポートを目的に、精神保健福祉法によって各都道府県に設置された支援機関です。
心の問題やうつ病による症状で困っているご本人だけでなく、ご家族や関係者の人からも、精神衛生に関する相談を受け付けています(全国の一覧や詳細はこちらです)。

発達障害者支援センターとは

発達障害の早期発見と早期支援を目的として、症状に悩む当事者や家族の生活をサポートする支援機関です。
確定診断が下りていなくても、発達障害の可能性がある人であれば、窓口での相談が可能となっています。
精神保健福祉士や社会福祉士などが在籍しているセンターでは、「発達障害に特化したサポート」を受けられます(全国の一覧や詳細はこちらです)。

⑥民間の転職エージェント・転職サイト

公的な(認可を受けている)支援機関のほかに、「民間の就職エージェント」などでも、就職活動をサポートしてもらうことは可能です。

最近では、病気や障害のある人に特化したところもありますので、気になるようでしたら探してみましょう。参考として、例をご紹介します。

病気・障害に特化したエージェントの例

改めて、一般枠・障害者枠、オープン就労・クローズ就労とは?

障害者の人の面接対策は、「応募先に障害を開示するかどうか」「障害者枠か一般枠か」によって、多少異なります。それぞれの就労形態によって、面接時の質問の重点が変わるからです。

改めて、一般枠・障害者枠、オープン就労・クローズ就労について、それぞれの概要や違いなどをカンタンに解説します。

①一般枠・障害者枠、オープン就労・クローズ就労の概要

それぞれの概要

各形態の概要は、次のようになっています。

  • 障害者枠:特定の障害・病気のある人を対象とする雇用枠のこと(この枠で就職するためには、原則として障害者手帳の所持が必須)
  • 一般枠:障害者枠以外の雇用枠のこと
  • オープン就労:就職活動の段階で、応募先(求人元)に、障害があることを伝えること(障害者枠・一般枠のいずれも該当するが、KBCの見聞きする範囲では障害者枠についての話が多い)
  • クローズ就労:就職先(求人元)に、障害があることを伝えないこと(一般枠のみ)

②一般枠・障害者枠、オープン就労・クローズ就労の詳細

障害者枠・一般枠・オープン就労・クローズ就労の詳細は、このコラムで述べると趣旨を外れるので省略します。それぞれの詳細を知りたい人は、下記のコラムをご覧ください。

補足:障害のことは、自分から言わなくてもよい

クローズ就労補足

クローズ就労の場合、病気・障害があることを応募先に伝えないこと自体は、問題ありません。法律的に処罰されることもありません。

ただし、あなたがクローズ就労を望んでいても、面接の場で、相手から病気・障害の有無を聞かれることはあるでしょう。その際には、「嘘はつかない」方がいい(=「病気・障害がない」とは言わない方がいい)でしょう

嘘をついて採用されたとして、採用後に病気・障害があることが発覚すると、職場によっては「面接で虚偽の申告をした」という理由で解雇につながる可能性があるからです。また、特定の病気・障害があると就けない職業もあります。

嘘はつかない上で(=障害があることは伝えた上で)、面接を有利に進めていくためには、やはり対策が必要です。そのため、クローズ就労をご検討中の人も、後述するサポート団体などでの相談・練習をオススメします。

補足

このように、面接の際に障害について伝える状態のことを、「セミオープン」と表現することがあります

まとめ:サポート団体を利用しながら、面接対策を行っていきましょう

面接対策を行うことで、就職・転職はうまく進んでいきます。

障害者の人の面接対策について、よくある質問と回答のコツ、面接時のポイント、支援団体などを解説しました。

病気・障害のある人の面接対策は、そうでない人の場合とは多少異なります。それゆえ、ポイントを押さえた面接対策が特に大切です。

どういった対策が必要かどうかを独力で見極めるのは難しい面もありますので、面接対策をお考えの人には、前の章で述べたような支援団体を利用することをオススメします。

詳しい人の意見を聞きながら面接対策をすることで、就職・転職活動はグッと有利に進むようになります。

よくある質問

障害者の人が、面接でよくされる質問はなんですか?

例としては、障害・特性に関する質問、(業務遂行)能力や得意・不得意に関する質問、志望動機に関する質問、(転職の場合)退職理由や前職に関する質問、就業中の配慮に関する質問が挙げられます。具体例も含めて、詳細はこちらをご覧ください。

人事担当者が、障害者の人の面接でチェックしてることはなんですか?

例としては、障害の状態や病状が安定しているか、自分に必要な支援を理解しているか、意思疎通や相談がきちんとできるか、支援者と協力体制を築いているかが挙げられます。詳細はこちらをご覧ください。

監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。

【著書ピックアップ】
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』

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翔泳社公式 【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【その他著書など(一部)】
学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧

【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

執筆寺田淳平

てらだ・じゅんぺい。
高校2年の春から半年ほど不登校を経験。保健室登校をしながら卒業し、慶應義塾大学に入学。同大学卒業後の就職先(3,500人規模)で人事業務に従事する中、うつ病を発症し約10か月休職。寛解・職場復帰後、勤務を2年継続したのち現職のフリーライターに。
2019年に一般財団法人職業技能振興会の認定資格「企業中間管理職ケアストレスカウンセラー」を取得。

サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)

うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。トップページはこちら→

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