就労移行支援 キズキビジネスカレッジ(KBC) 人間関係を築けないと悩む発達障害のあるあなたへ 「人間関係リセット」について解説

こんにちは、就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。
発達障害のあるあなたは、以下のように人間関係について悩んでいるのではないでしょうか?
- 職場で同僚や上司と衝突することが多く、トラブルになりやすい
- 家族や友人とうまく人間関係を築けない
このコラムでは、発達障害の概要や職場で起こりやすい人間関係のトラブル、発達障害による人間関係の悩みを解消するための対処法などについて解説します。
あわせて、発達障害のある人が利用できる支援機関や支援制度を紹介します。
このコラムが、発達障害の特性によって人間関係がうまくいかず悩んでいるあなたのお役に立ちましたら幸いです。
目次
発達障害とは?
発達障害とは、脳の機能的な問題や働き方の違いにより、物事の捉え方や行動に違いが生じることで、日常生活および社会生活を送る上で支障が出る、生まれつきの脳機能障害のことです。 (参考: American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修 『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』 、こころの情報サイト 「発達障害(神経発達症)」 、NHK福祉ポータル ハートネット 「そもそも「発達障害」って?|大人の発達障害ってなんだろう? - 大人の発達障害」 、宮尾益知・監修 『ASD(アスペルガー症候群)、ADHD、LD 職場の発達障害』 、松本卓也、野間俊一・編著 『メンタルヘルス時代の精神医学入門 ーこころの病の理解と支援ー』 、福西勇夫・山末英典・監修 『ニュートン式 超図解 最強に面白い!! 精神の病気 発達障害編』 )
発達障害は主に、以下の3つの診断名に分類されます。
- ADHD(注意欠如・多動症/注意欠如・多動性障害)
- ASD(自閉スペクトラム症/広汎性発達障害)
- LD/SLD(限局性学習症/限局性学習障害)
同じ診断名でも、人によって多様な特性が現れるのが発達障害の特徴です。また、いずれかの発達障害のある人は、他の発達障害が併存している可能性もあります。
発達障害については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
大人の発達障害とは?
大人の発達障害は、医学的に正式な診断名称ではない俗語です。 (参考:林寧哲 『これでわかる 大人の発達障害』 、黒澤礼子 『新版 大人の発達障害に気づいて・向き合う完全ガイド』 )
明確に定められた定義はありませんが、一般的には、幼少期の時点で診断を受けておらず、大人になってから発達障害の確定診断を受けた状態のことを指すようです。
また、幼少期の時点で発達障害の確定診断を受けていた人が、大人になった状態のことを、大人の発達障害と表現することもあるようです。
なお、発達障害は、脳の構造的な特性によって生じる、生まれつきのものです。
本来、発達障害の特徴は一般的に乳幼児から幼児期に現れます。大人と子どもで本質的には異なる部分はなく、現在の医学では、大人になっても継続するものとされています。
そのため、「大人になってから発達障害になる」「成長するにつれて発達障害になる」ということはありえません。
また、「思春期から」「育ち方や親のしつけの影響で」など、成長してから、または成長につれて後天的に発達障害になるということもありえません。
ただし、子どもの頃は環境に恵まれて特性が目立たなかった人が、大人になって複雑な人間関係や業務を求められるようになり、環境とのミスマッチを起こして初めて「障害」に直面すること、大人になってから発達障害になったように感じることは大いにあり得ます。
大人の発達障害については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
発達障害グレーゾーンとは?
発達障害グレーゾーンとは、発達障害と同様の特性や傾向がいくつか認められるものの、診断基準を満たすほどではないため、発達障害と診断されるには至らない状態のことです。 (参考:姫野桂 『発達障害グレーゾーン』 )
発達障害グレーゾーンという言葉は、医学的に正式な診断名称ではありません。
複数ある発達障害の診断基準の一部を満たしていないために、発達障害の確定診断をつけることができない状態のことを、発達障害グレーゾーンと表現しているだけです。
発達障害グレーゾーンについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
発達障害のある人が職場での人間関係が難しいと感じる理由
この章では、発達障害のある人が職場での人間関係が難しいと感じる理由について解説します。
理由①思ったことがつい口に出る
ASDのある人は特性により、相手の表情や身振り手振りの意味、冗談やお世辞などの発言の意図を察することが難しい場合があります。
例えば、職場の同僚や上司が、取引先の担当者と良好な関係を築くため、服装のセンスを褒めていたとします。
しかし、ASDのある人は、良好な関係を築くための会話という意図を汲み取ることが難しく、自分が感じた通りの感想を口にし、取引先の担当者の機嫌を損ねるということが起こるかもしれません。
結果的に、取引先との商談がうまくいかなくなれば、同僚や上司から責められ、職場の人間関係がうまくいかなくなる可能性があるでしょう。
理由②その場の雰囲気を感じ取ることが難しい
こちらで解説した理由に似ていますが、ASDのある人はその場の雰囲気を感じ取ることが難しい傾向があります。
例えば、仕事の打ち上げや歓送迎会などで、終業後に職場のみんなで飲みに行こうという話が出てきた時に、ASDのある人は周りの雰囲気を感じ取ることが難しく、自分が行きたくなければ、誘いをはっきりと断ります。それが自分の歓送迎会だったとしても同じです。
そうなると、誘った側の人やイベントを企画した人は、「あの人は次は誘わないでおこう」という気持ちになり、職場での人間関係を構築しずらくなる可能性があります。
また、飲み会やイベントごとを重視する企業文化がある会社であれば、和を乱す人として扱われるようになり、関係のない業務にも影響が生じることがあるかもしれません。
理由③スピードを求められる業務が苦手
発達障害のある人は、特性により自分自身が得意でない業務の場合、早く仕事を進めるということが難しいことがあります。
例えば、ADHDのある人は1つのことに集中することが苦手であるため、単純作業などは周りASDにある人と比べて時間がかかるかもしれません。
また、ASDのある人は自分の興味のないことに関心を持つのが難しいため、そういった仕事を任されると、必要以上に時間がかかることもあるでしょう。
加えて、ASDのある人は曖昧な指示をされると混乱することがあります。例えば、「なるべく早く」という指示はいつまでに終わらせなければならないのか判断ができず、結局自分の通常のペースで作業を進めるということになります。
発達障害への理解がある職場であれば問題ないかもしれませんが、そうでなければ「あの人は仕事が遅い」というイメージを持たれ、職場の人間関係に影響する可能性があります。
理由④注意していてもミスすることが多い
ADHDのある人は多動性や衝動性があることから、1つのことに長時間集中することが苦手です。
そのため、仕事においては同じ場所でじっとしたまま集中して行わなければならない業務になると、集中ができずミスが起きやすくなります。
また、ASDのある人は、こだわりが強い特性があるため、複数の仕事を同時進行で進めるマルチタスクを求められると、自分が思うように仕事を進められず、ミスにつながることがあります。
そして、これらの特性から、どんなに注意しても同じミスを繰り返すことがあります。
同じミスを何度も繰り返すと、周囲から「あの人は仕事を任せられない」「やる気がない」などと思われ、結果的に職場で人間関係や信頼関係を築くことが難しくなることがあります。
理由⑤遅刻などルールを守れないことが多い
ADHDのある人の中で特に衝動性の強い人は、計画を立てたり、スケジュールを調整したりすることが苦手な傾向にあります。
そのため、自分でも意図せずに遅刻したり約束を忘れていたりすることがあるのです。
また、ASDのある人は、自分の興味があることに集中しすぎる過集中の傾向があることから、出勤前に見ていたテレビのニュースに釘付けになったり、洗面台の鏡の汚れが気になって掃除を始めたりしたために、遅刻するということがあります。
出勤時間を守るなどのルールは、「社会人として守るのは当たり前」という認識を持つ人が少なくありません。そのため、ルールを守れないと信頼されなくなり、職場になじめなくなる可能性があります。
ADHDのある人が人間関係の悩みを解決する方法
ADHDのある人が人間関係の悩みを解決するための方法は、以下の通りです。
- 手帳やアプリを使ってスケジュール管理する
- 発言をする前に、数秒でいいから「言っていいのかな」と考える
- 自分に合ったキャパシティの交流を心掛ける
- 自分の体調・メンタルの状態をよく確認する
- カウンセリングを受けてみる
- 専門機関に相談する
解決方法の詳細については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
ASD・SLD/LDのある人が人間関係の悩みを解決する方法
ASD・SLD/LDのある人が人間関係の悩みを解決するための方法は、以下の通りです。
- 具体的な指示を依頼する
- 自分専用のマニュアルを作る
- 文字や図を用いた説明を求める
- 支援機関に相談する
解決方法の詳細については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
「人間関係リセット」とは?
人間関係リセットとは、その言葉のとおり、現在の人間関係を一度すべて清算して新しい関係を構築しようとすることです。
発達障害の特性によって人間関係がうまくいかず、精神的に追い込まれると人間関係リセットを考える場合がありますが、人間関係を一度見直し、必要がない関係を切ることは全く悪いことではありません。
また、発達障害の有無に関係なく、現状の人間関係に悩む人や疲れている人であれば、誰しも人間関係をリセットしたいと考えるでしょう。
しかし、1点だけ注意すべきことがあります。それは、仮に人間関係リセットを行なって自分のことを知らない人ばかりいる場所に移ったとしても、また同じことの繰り返しになる可能性があるということです。
人間関係リセットを何度も繰り返すことは悪いことではありません。しかし、自分自身に大きな負担がかかることも事実です。
そのため、人間関係リセットを行う前に、周りの人に発達障害について打ち明けて理解を得られないか、打ち明けない場合でも「自分はこういうことが苦手だから助けてほしい」と協力を得られないかを検討してみましょう。
人間関係に限らず、発達障害に関する悩みを1人で抱え込む必要はありません。
周りに相談できる人がいない場合は、就労移行支援事業所などの支援機関に相談することがオススメです。発達障害のある人が利用できる支援機関は、こちらで紹介しています。
発達障害のある人が利用できる支援機関
発達障害のある人が利用できる支援機関は以下のとおりです。
- 発達障害者支援センター
- 就労移行支援事業所
- 精神保健福祉センター
- 地域障害者職業センター
- 障害者就業・生活支援センター
- 障害者就労支援センター
- 基幹相談支援センター
- ハローワーク(公共職業安定所)
- 転職エージェント
- 地域若者サポートステーション(サポステ)
- ジョブコーチ(職場適応援助者)
- 職業能力開発校
- キャリア形成・リスキリング支援センター
- 障害者雇用支援人材ネットワークシステム
- 発達障害に関連する支援団体や自助会、互助会、家族会、ピアサポート団体
各支援機関の詳細については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
まとめ:発達障害のあるあなたが安心して人間関係を築くために
発達障害のある人は、さまざまな特性によって周りの人とうまく関係を築けないことがあります。
しかし、その悩みを1人で解決しようとする必要はありません。
家族や友人などの周囲の人、上司や同僚などの職場の人に自分の特性について話し、あなたの特性を理解してもらうことができれば、必要なサポートを得られるようになるはずです。
また、身近な人に発達障害であることを話したくない場合でも、支援機関などに相談することで、あなたに合った支援者や解決方法を見つけられます。
まずは、あなたが安心して相談できる相手を探すことから始めてみてください。
このコラムが、あなたの人間関係の悩みを解決する助けになりましたら幸いです。
よくある質問(1)
- 発達障害のある人が職場での人間関係が難しいと感じる理由はどんなものがありますか?
-
以下が考えられます。
- 思ったことがつい口に出る
- その場の雰囲気を感じ取ることが難しい
- スピードを求められる業務が苦手
- 注意していてもミスすることが多い
- 遅刻などルールを守れないことが多い
詳細については、こちらで解説しています。
よくある質問(2)
- 「人間関係リセット」とはどうゆうことですか?
-
人間関係リセットとは、その言葉のとおり、現在の人間関係を一度すべて清算して新しい関係を構築しようとすることです。詳細については、こちらで解説しています。
監修キズキ代表 安田祐輔
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