適応障害のある人ができるセルフケア 仕事中や日常でできる方法を解説

こんにちは。就労支援移行事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。
現在、適応障害と向き合いながら仕事をしているあなたには、以下のような悩みがあるかもしれません。
- 仕事中に気分が落ち込むことが多くつらい
- 1日休んでも心と体の疲れがとれない
このコラムでは、適応障害のある人が仕事中や日常生活の中でできるセルフケアについて解説します。
このコラムがあなたの悩みの解決に、少しでも役立つよう祈っています。
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目次
適応障害のある人ができる基本のセルフケア

適応障害とは、仕事や職場の人間関係などから生じる特定可能な明確な心理的・社会的ストレスを原因に、心身がうまく対応できず、情緒面の症状や行動面の症状、身体的症状が現れることで、社会生活が著しく困難になっている状態のことです。(参考:American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、松﨑博光『新版 マジメすぎて、苦しい人たち:私も、適応障害かもしれない…』e-ヘルスネット「適応障害」)
適応障害は、原因から離れることで、病状はよくなっていきます。
そのため、セルフケアを行うための第一歩として、ストレス要因の把握が重要です。自分がどんなことにストレスを感じているのか、「つらい」「しんどい」と感じるのはどんな場面かを紙やスマホのメモなどに書き出してみてください。
ストレス要因を特定できれば、環境の調整や改善を行いましょう。例えば、仕事量や仕事の時間を調整したり、家事を分担したりするなどが考えられます。
ただし、ストレス要因の特定や環境の調整は、あなた一人で行う必要はありません。主治医やカウンセラー、支援機関に相談しながら、無理のないペースで進めていきましょう。
適応障害のある人が仕事中にできるセルフケア方法5選
この章では、適応障害のある人が仕事中にできるセルフケア方法について解説します。
方法①ストレッチなどの軽い運動をして体を動かす

1つ目は、ストレッチなどの軽い運動をして体を動かす方法です。
運動には、暗い気分を解消し、心身をリラックスさせる効果があります。また、筋肉をゆっくりと伸ばすストレッチには、筋肉の緊張をゆるめ血行を促進し、心身をリラックスさせる効果があるとされています。
以下のストレッチは、仕事中でも椅子に座りながら簡単にできます。
- 両手を組んで上に伸ばしながら胸を張る
- 肩を上げて少し止め、息を吐きながら力を抜いてストンと落とす
いずれも、自然な呼吸のまま、はずみをつけずに無理のないところまでゆっくり伸ばす動作を10~30秒間、笑顔で行うことなどがポイントです。
方法②今の気持ちを書く
2つ目の方法は、今の気持ちを書くことです。
仕事の中でもやもやとした気持ちを感じるときは、紙などに書きだしてみましょう。手元に紙がない場合、携帯やパソコンで打ち出すのもよいです。
今の気持ちを書き出すことで、自分の頭の中で抱えている悩みや気持ちが可視化され、問題を客観的に見られるようになり、結果として落ち着いて物事を考えられるようになります。落ち着いて物事を考えられれば、今まで気づけなかった問題への対応方法や解決策などに気づけるようになるはずです。
誰かに見せる必要はないので、自分の気持ちをありのままに書きだしてみましょう。
方法③落ち着ける環境をつくる

3つ目の方法は、落ち着ける環境をつくることです。
職場の自分のデスクの周りに、お気に入りの文房具を置いたり、机や椅子、パソコンなどを好きな配置にしたりするなど、可能な限り、落ち着ける環境をつくってみましょう。
また、休憩中などに、自分が落ち着くことのできる場所へ移動してリラックスするのもオススメです。
落ち着ける環境へ移動したら、その時の気分に合った自分の好きな音楽を聞いたり、好きな飲み物を飲んだりすることで、心が落ち着くでしょう。
ほかにも、自分が安心できる自宅で仕事をする、リモートワークも1つの選択肢になるでしょう。今の職場でリモートワークができる制度があれば、活用を検討してみてください。
自分のできる範囲で落ち着く場所をつくったり見つけたりすることによって、穏やかな気持ちで仕事に臨めるようになることでしょう。
方法④腹式呼吸をする
4つ目の方法は、腹式呼吸をすることです。
仕事中、特に激しい動作をしているわけでもないのに息があがるようなときは、不安や緊張が強くなっているのかもしれません。
そんな時は意識して深い呼吸をしてみてください。
まずは、職場の椅子に腰かけて背筋を伸ばし、軽く目を閉じておなかに手を当てましょう。立っている場合も同様です。
そして、頭の中で1~3までの数を数えながら口からゆっくりと息をはき出します。
息をはきだせたら、今度はまた1〜3まで数えながら鼻から空気を吸い込み、この動作を5〜10分ほどくりかえします。
このときに、さまざまな思いや思考が頭に浮かぶかもしれませんが、おなかの動きに集中することが大切です。腹式呼吸を通して、息を整えることで気持ちも次第にリラックスできるでしょう。
方法⑤失敗しても笑顔を心がける

5つ目の方法は、失敗しても笑顔を心がけることです。
適応障害と向き合いながら仕事をしている場合、何か失敗すると大きく気持ちが落ち込むことがあると思います。
しかし、気持ちが落ち込んだとしても、極力笑顔でいることを心がけましょう。笑顔には、ネガティブ感情が低下させ、ポジティブな感情が増加させる効果、さらに⼼⾝へのリラックス効果があると考えられているためです。(参考:愛媛大学教育学部「笑顔と笑いに関する⽂献研究」)
落ち込んでいる状態で、笑顔でいることは難しいと感じるかもしれませんが、自分のものの見方を変える練習だと思って、無理のない範囲で試してみましょう。
また、笑顔には周りの人とのリラックスした関係を築く効果もあるので、仕事はもちろん、日々の生活の中にも取り入れることをオススメします。
適応障害のある人が日常でできるセルフケア方法6選
この章では、適応障害のある人が日常でできるセルフケア方法について解説します。
方法①規則正しい睡眠を心掛ける

1つ目は、規則正しい睡眠を心掛けることです。(参考:MSDマニュアル家庭版「適応反応症」)
しかし、規則正しい睡眠は、睡眠だけに目を向けるのではなく、生活習慣を整えることが大切です。例えば、以下のポイントを意識してみましょう。(参考:全国健康保険協会「【睡眠】眠りの質を高めよう!」)
- 1日3食の食事をとる
- 寝る時間と起きる時間を毎日一定にする
- 目覚めたら自然光を浴びる
- 就寝3時間前の適度な運動を習慣にする
- 就寝2~3時間前に入浴する
- 就寝前はカフェインを含む飲食物は控える
- 就寝前はPCやスマートフォンなどの画面を長時間見ない
睡眠については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
方法②自然に触れる機会を多く持つ
2つ目の方法は、自然に触れる機会を多く持つことです。
日常生活の中で自然に触れる機会があると、ストレスの軽減につながります。
仕事のお昼休憩を近くの公園で過ごす、河原や小川など家の近くの自然のある場所を探して散歩に出かける、など気軽にできることから始めてみてください。
身近に自然がない場合は、自然音を聞いたり、自然豊かな場所の動画を見たりするだけでも気分転換になるでしょう。
方法③仕事とは関係ない趣味を持つ

3つ目の方法は、仕事とは関係ない趣味を持つことです。
適応障害と向き合いながら仕事を続けている場合、仕事への不安から退勤後や休日も仕事のことを考え続けていることがあるかもしれません。
このような状態が続くと、なかなか気持ちが休まらず、ストレスが溜まっていく一方です。
そのため、仕事とは関係ない趣味を探して、始めてみましょう。
趣味に没頭できれば、自然と仕事のことが頭から離れていき、充実した時間を過ごすにつれて、気分もリフレッシュできます。
趣味については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
方法④マインドフルネスを行う
マインドフルネス瞑想とは、今ここの五感の経験に没頭する技法です。
人は何もしてなくても、思考や感情が出てきて、それに囚われることがあります。周りの目を気にするのも、その一つです。
マインドフルネス瞑想を行うことで、それらの思考や感情に囚われることなく、今この瞬間に意識を集中させることができます。
マインドフルネス瞑想のもっとも簡単な方法は、呼吸に集中する方法です。
深く呼吸を吸う、吐く、それに集中することを繰り返します。
思考や感情が出てきたとしても、それを肯定するでもなく否定するでもなく、「あ、出てきたな」程度にとらえて、呼吸に戻ります。(参考:『反応しない練習』)
マインドフルネスを日々行うことで、感情に振り回されづらくなったり、周りの目線を気にせず自分に集中しやすくなったりするため、ストレスを感じづらくなっていくでしょう。
方法⑤親しい人たちと交流する時間を持つ

5つ目の方法は、親しい人たちと交流する時間を持つことです。
適応障害と向き合いながら仕事をしていると、日々の仕事や日常生活で感じるストレスが多く、他人と交流する意欲がわきづらいかもしれません。
しかし、自分が信頼できる親しい人との交流であれば、ストレスにはなりづらく、逆にリラックスできたり、活力を得られたりする機会になります。
また、気分が落ち込んでいる際に、信頼できる人に話を聞いてもらえれば、気分の落ち込みが和らぎ、安心感を得られるでしょう。
方法⑥主治医やカウンセラーに相談する
6つ目の方法は、主治医やカウンセラーに相談することです。
周りに親しい人や安心して相談できる人がいない場合は、主治医やカウンセラーと積極的に話をすることをオススメします。
また、ほかにもさまざまな相談先があるので、自分が相談しやすいところを探してみてください。
相談先については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
方法⑦タバコやお酒などに依存しないように注意する

7つ目は、タバコやお酒などに依存しないように注意することです。
仕事や日常生活の中で感じているストレスが大きくなると、タバコやお酒などでストレスを発散しようと考える人もいるでしょう。
ほかにも、衝動買いや暴飲暴食、ギャンブルなども考えられます。
これらの方法は一時的にストレスや不安を解消できたとしても、根本的な解決にはならず、少し時間が経てば「お酒に逃げてしまった…」と後悔や自己嫌悪にさいなまれる可能性もあります。
さらに、これらは依存性が高いため、長期的に続けていると依存症になり、健康に悪影響を及ぼす危険性があります。
そのため、タバコやお酒などの依存性が高いものでのストレス発散は、避けましょう。
適応障害のある人が利用できる支援機関
適応障害のある人が利用できる支援機関は、以下のとおりです。
- 就労移行支援事業所
- 精神保健福祉センター
- 地域障害者職業センター
- 障害者就業・生活支援センター
- 基幹相談支援センター
- ハローワーク(公共職業安定所)
- 転職エージェント
- 適応障害のある人を支援する団体や自助会、互助会、家族会、ピアサポート団体
適応障害に関する悩みの相談はもちろん、休職や転職、働き方について相談できる支援機関もたくさんあります。
各支援機関の詳細については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
まとめ:自分に合ったセルフケアの方法を見つけましょう

適応障害のある人が仕事を続けるためには、自分に合ったセルフケアの方法を覚えておくことが大切です。
また、適応障害の症状がつらい場合は、無理に仕事を続けようとはせずに、休暇の取得や休職などを検討することも大切です。
ただし、適応障害に関する悩みや仕事への不安は、1人で抱え込む必要はありません。
家族や友人などの周囲の人はもちろんですが、主治医や支援機関を頼り、積極的に相談しましょう。
このコラムが、いま、適応障害と向き合いながら仕事を頑張っているあなたの助けになりましたら幸いです。
適応障害のある人が仕事中にできるセルフケア方法を教えてください。
適応障害のある人が日常でできるセルフケア方法はありますか?
以下が考えられます。
- 規則正しい睡眠を心掛ける
- 自然に触れる機会を多く持つ
- 仕事とは関係ない趣味を持つ
- マインドフルネスを行う
- 親しい人たちと交流する時間を持つ
- 主治医やカウンセラーに相談する
- タバコやお酒などに依存しないように注意する
詳細については、こちらで解説しています。
監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。
【著書ピックアップ】
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』
Amazon
翔泳社公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2025年6月現在17校+オンライン校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2025年6月現在8校)
【その他著書など(一部)】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
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