障害年金とは? 受給条件や受給額、申請する流れを解説
こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。
病気やケガをしたり、障害に悩んだりしているあなたは、障害年金とはどんな制度なのか気になっているところでしょう。
または、あなたのご家族が、病気・ケガ・障害に苦しんでいるのかもしれません。障害年金はわかりにくいと感じている人や、申請する条件や方法がわからず戸惑っている人も多いでしょう。
このコラムでは、障害年金の概要や受給条件、受給対象者、受給額、受給期間、申請する流れ・手続き、受給するメリット、注意点について解説します。
障害年金への理解が深まるとスムーズに申請できるようになるので、ぜひ最後まで読んでみてください。
ただし、解説する内容は、法改正などによって変更となる可能性があります。また、実際のあなたが受給できるかは、状況によって異なります。
このコラムは、障害年金を受給する目安としていただいた上で、お住まいの自治体の障害福祉を担当する部署・窓口や年金事務所、街角の年金相談センターなどに確認してみてください。
私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、障害年金の申請を検討している人のための就労移行支援事業所です。
- 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
- 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
- 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月
神田・新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。
目次
障害年金とは?
障害年金とは、病気やケガ、障害などによって仕事や生活などに支障を生じている場合に、年金加入者が受給できる支援制度のことです。(参考:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」、日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」、日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」、日本年金機構「国民年金」、日本年金機構「障害年金ガイド令和5年度版」、日本年金機構「20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等」)
事故で足を失った場合や生まれつき四肢が不自由な場合、知的障害がある場合などのケースだけでなく、発達障害・精神疾患、あるいは癌や生活習慣病などで生活に困難を生じている場合も受給の対象になります。
一般的な年金は高齢者にならなければ受け取れませんが、障害年金は現役世代でも受給できることが特徴です。
申請は、お住まいの自治体の障害福祉を担当する部署・窓口・年金事務所・年金相談センターなどで行えます。
障害年金の種類
この章では、障害年金の種類について解説します。(参考:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」、日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」、日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」、日本年金機構「国民年金」、日本年金機構「障害年金ガイド令和5年度版」、日本年金機構「20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等」)
種類①障害基礎年金
障害基礎年金とは、以下のいずれかの期間に初診日がある、病気やケガ、障害により一定レベル以上の障害のある状態になった人が受給できる障害年金のことです。
- 国民年金に加入している期間
- 年金制度に加入していない20歳未満または60歳以上65歳未満の間
国民年金とは、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する公的年金制度のことです。(参考:日本年金機構「国民年金」)
また初診日とは、障害の原因となった病気やケガになって、初めて医師の診療を受けた日のことです。
障害基礎年金は、初診日が年金制度に加入していない期間の場合も、20歳以上で日本に住んでいる人であれば受給できます。逆に言うと、20歳になるまでは受給できません。
ここでいう病気やケガ、障害については、こちらで詳しく解説します。
種類②障害厚生年金
障害厚生年金とは、厚生年金保険に加入している間に初診日がある、病気やケガ、障害により一定レベル以上の障害のある状態になった人が受給できる障害年金のことです。
厚生年金保険とは、70歳未満の公務員・対象企業に勤務する従業員が加入する、国民年金に上乗せで支払う公的年金制度のことです。
障害厚生年金は、障害基礎年金に上乗せして受け取れることが特徴です。
ここでいう病気やケガ、障害については、こちらで詳しく解説します。
種類③障害手当金
障害手当金とは、障害基礎年金と同様の対象期間に初診日がある、病気・ケガにより軽度の障害のある状態になった人が受給できる一時金のことです。厳密には、障害年金ではありませんが、関連する支援制度としてあわせて解説します。
初診日から5年以内に病気・ケガが治った人や、障害厚生年金を受給するよりも軽い障害が残った人が受給対象者です。
障害年金の受給条件
この章では、障害年金の受給条件について解説します。あなたやあなたの家族が受給できるか確認してみましょう。
なお、特記がない場合、障害基礎年金・障害厚生年金のいずれも受給条件は同じです。
条件①初診日に保険へ加入している
初診日に、年金保険料を支払って保険へ加入している人は、障害年金を受給できる可能性があります。
ただし、障害基礎年金については、初診日が20歳未満や60歳以上65歳未満の保険へ加入していない場合でも、受給できます。
なお、こちらで解説したとおり、初診日とは障害の原因である病気やケガになって、初めて医師の診療を受けた日です。
転院したり別の医師の治療を受けることになったりしても、最初の医師の診療を受けた日が初診日になります。
注意として、ご高齢になられたり、子どもの頃に病院に連れていってくれた家族が他界していたり、通院していた病院が閉鎖したりした方は、初診日が不明で手続きに苦慮することがあります。
初診日に該当しない人も、手続きをあきらめずに、こちらで紹介する相談先に話してみてください。
条件②一定レベル以上の障害がある
障害年金を受給するためには、一定レベル以上の障害があると認定されることが必須です。
受給の申請においては、対象の病気やケガであるかどうかと、障害の重さが確認されます。
具体的には、障害等級1〜3級に該当することが求められます。
ただし、障害等級3級の人が受給できるのは障害厚生年金のみという点に注意しましょう。
障害等級1〜3級の病気やケガの例については、こちらで解説しています。
条件③保険料の納付要件を満たしている
以下のような保険料の納付要件を満たしていることも、障害年金を受給するための条件です。
- 初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の2/3以上の期間について、保険料が納付または免除されていること
- 初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと
- 20歳前の人の場合には、保険料の納付要件はなし
保険料の納付要件を満たしているか確認する場合は、日本年金機構が運営するサービスねんきんネットに登録するか、年金事務所に相談しましょう。
なお、国民年金に加入できない20歳未満の間に初診日がある人は、保険料の納付要件を満たす必要はありません。
補足①:障害者手帳を所持していない人も受給対象
障害年金と障害者手帳は、異なる支援制度です。そのため、障害者手帳を所持していない人でも障害年金を受給できる可能性があります。
なお、障害年金と障害者手帳の障害等級は基準が異なります。障害者手帳の等級が1級でも、障害年金が1級になるとは限らない点に気をつけましょう。
障害手帳については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
補足②:障害年金の支給停止条件
以下のような年金の受給を選択すると、障害年金の支給は停止されます。(参考:日本年金機構「老齢年金」、日本年金機構「遺族年金」)
- 老齢年金:65歳以上になると受け取れる
- 労災年金:労働中の病気やケガで障害が残ると受け取れる
- 遺族年金:国民年金や厚生年金の被保険者が亡くなったときに、被保険者により生計を維持されていた遺族が受け取れる
受給額や税金などを考えて、いずれかを選ぶ必要があります。社会保険労務士などに相談することで、よりよい選択ができるでしょう。
また、障害の現況届・診断書を提出しないときも、支給が停止する、または受給する権利がなくなります。
ほかにも、刑事施設などに拘禁されているときや少年院に収容されているとき、日本国内に住所を有しないときにも支給停止となります。(参考:「年金制度の仕組みと考え方_第12_障害年金」)
障害年金の受給対象者
障害年金の受給対象者は、病気・ケガによる一定レベルの障害がある人です。
具体的な病名や障害の重さを詳しく紹介します。自分が対象者か判断する目安として活用してみてください。
対象①外部障害・精神障害・内部障害がある
外部障害・精神障害・内部障害がある人は、障害年金を受給できる可能性があります。
以下のように、目に見える障害だけでなく、一目見ただけではわからない障害も受給の対象です。
- 外部障害(目に見えやすい障害)…眼、聴覚、肢体(手足など)の障害など(ケガによるものも含む)
- 精神障害…統合失調症、うつ病、認知障害、てんかん、知的障害、発達障害、若年性アルツハイマーなど
- 内部障害(目に見えにくい障害)…呼吸器疾患、心疾患、腎疾患、肝疾患、血液・造血器疾患、糖尿病、がんなど
あくまで一例なので、ほかの病気・ケガであっても受給できる可能性があります。
障害の重さもあわせて、受給できるか知りたい方は後述する相談先に確認してみてください。
対象②障害等級1〜3級に該当する
障害年金を受給するためには、以下のように障害等級1〜3級に該当する必要があります(ただし、障害等級3級の人が受給できるのは障害厚生年金のみという点に注意しましょう)。(参考:日本年金機構「障害等級表」)
- 障害等級1級:他人の介助を受けなければ自分の身の回りのことができない程度
- 障害等級2級:必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、日常生活は極めて困難で労働により収入を得ることができない程度
- 障害等級3級:労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度
たとえば視覚障害の障害等級は、以下のように分類されます。
- 1級:両眼の視力がそれぞれ0.03以下のもの(障害者手帳の等級は1〜2級)
- 2級:両眼の視力がそれぞれ0.04以上0.07以下のもの(障害者手帳の等級は3級)
- 3級:両眼の視力がそれぞれ0.07以上0.1以下のもの(障害者手帳の4級~5級)
等級ごとに受給可能な障害年金は以下のとおりです。
- 1級:障害基礎年金あり、障害厚生年金あり
- 2級:障害基礎年金あり、障害厚生年金あり
- 3級:障害基礎年金なし、障害厚生年金あり
- 軽い障害:障害基礎年金なし、障害厚生年金の障害手当金のみ
上記も参考としつつ、実際のあなたが支給対象となるかどうかは、後述する申請先や社会保険労務士などに相談してみてください。
補足:就労中でも障害年金は受け取れる
障害年金は、就労している人でも受け取れます。
一般的な年金とは異なり、高齢者だけでなく現役世代も受給の対象です。また、職業訓練や就労移行支援の通所中でも受給可能です。
ただし障害基礎年金には、所得制限がある点に注意しましょう。
障害の状況を問わず、前年の所得が370.4万円を超えると年金額が2分の1に、472.1万円を超えた場合は支給停止になります。
扶養家族がいる人は、扶養家族1人につき所得制限の金額が38万円増えます。
なお、障害厚生年金には所得制限がありません。
障害年金の受給額
障害年金の受給額は、障害基礎年金と障害厚生年金で異なります。
受給額を詳しく解説するので、自分ならいくら受け取れそうか確認してみましょう。
金額①障害基礎年金の受給額
障害基礎年金は、等級によって年間の金額が決まっています。
2023年4月時点の障害基礎年金の受給額は、以下のとおりです。
- 1級
- 2級
1956年(昭和31年)4月2日以後生まれ:99万3750円+子の加算額
1956年(昭和31年)4月1日以前生まれ:99万750円+子の加算額
1956年(昭和31年)4月2日以後生まれ:79万5000円+子の加算額
1956年(昭和31年)4月1日以前生まれ:79万2600円+子の加算額
障害基礎年金の場合、子どもの人数や配偶者の有無に応じて、子の加算額が追加されます。子の加算額は、以下のとおりです。
- 1〜2人:1人につき22万8700円
- 3人目以降:1人につき7万6200円
子ども・配偶者のいずれも、障害年金を受給する人の収入で生活していることが条件です。
なお、年金額が加算される対象は、18歳になって最初の3月31日が経過するまでの子ども、または障害等級1〜2級の状態にある20歳未満で子どもです。
金額②障害厚生年金の受給額
2024年4月分からの障害厚生年金は、以下の計算式で年金額が決まります。
- 1級:(報酬比例の年金額)×1.25+配偶者の加給年金額(23万4800円)
- 2級:(報酬比例の年金額)+配偶者の加給年金額(23万4800円)
- 3級:(報酬比例の年金額)
3級に該当する人の最低保証額は、以下のとおりです。
- 昭和31年4月2日以後生まれの人:61万2000円
- 昭和31年4月1日以前生まれの人:61万300円
報酬比例の年金額とは、年金の加入期間・加入期間中の報酬に基づいて計算される年金額のことです。
報酬比例の年金額の詳細は、日本年金機構のWEBサイトをご覧になるか、お住まいの自治体の障害福祉を担当する部署・窓口などにご確認ください。
報酬比例の年金額の最低保証額は、以下のとおりです。
- 1956年(昭和31年)4月2日以後生まれ:59万6300円
- 1956年(昭和31年)4月1日以前生まれ:59万4500円
障害厚生年金は、障害等級1〜2級の人に配偶者がいる場合、受給額に22万8700円が加算されます。
障害等級1〜2級の人は、障害基礎年金に上乗せした金額を受け取れます。
障害等級3級の人が受け取れるのは、障害厚生年金のみです。
金額③障害手当金の受給額
障害手当金の受給できる金額は、報酬比例額の年金額✕2です。
- 1956年(昭和31年)4月2日以後生まれ:119万2600円
- 1956年(昭和31年)4月1日以前生まれ:118万9000円
障害年金の受給期間
障害基礎年金・障害厚生年金の受給期間は、基本的に病気や障害がある限り死亡する月までです。
障害年金には、更新の必要ない永久認定と、数年ごとに更新する有限認定があります。
有限認定の場合、数年ごと定期的に、日本年金機構に更新の診断書を提出する必要があります。
この更新の診断書に書かれた障害が、前回の診断書よりも改善されて基準に該当しなくなった場合には、翌月の支給分から停止されるのです。
具体的には、以下のような事例に減額・支給停止になる可能性があります。
- 発達障害の程度が軽くなって等級が変わった
- 仕事や生活に支障がないと判断された
- 前年の所得が370万4000円を超えた
実際に、就労移行支援を利用中で、通院も安定している、ご自宅住まいの精神疾患のある人が受給を更新できなかったという話は、キズキビジネスカレッジ(KBC)の事例としてもないわけではありません。
病気や障害が快方に向かうことは喜ばしいことですが、障害年金を受給できなくなる可能性があるという点には注意しておきましょう。
障害年金を申請する流れ・手続き
障害年金の申請に関しては、事前に流れを把握しておくとスムーズに手続きできます。
この章では、障害年金を申請する流れ・手続きについて解説します。
ただし、あなた一人で準備を行う必要はありません。こちらで紹介する支援機関と相談することで、よりよい方向に進めると思います。 (参考:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」、日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」、日本年金機構「障害年金を請求する方の手続き」、日本年金機構「さ行 障害認定日」)障害年金を申請する流れ
障害年金を申請する流れは、以下のとおりです。
- 初診日(障害の原因となった病気やケガについて初めて医師または歯科医師の診療を受けた日)の確認
- 市区町村役場や年金事務所に、受給要件や必要書類などを確認
- お住まいの自治体の障害福祉を担当する部署・窓口・年金事務所・年金相談センターなどで、「年金請求書」を受け取り
- 必要書類を準備
- 書類を提出
- 日本年金機構による認定審査を通過後、年金証書やパンフレットを受け取り(請求から約3か月)
- 年金証書が届いてから1~2か月後に振り込み開始
- 「有限認定」の場合は、数年ごとに更新書類を提出
流れ①要件を満たしているか確認する
まずは、障害年金の受給要件を満たしているか確認しましょう。
障害年金の受給要件は、以下のとおりです。
- 初診日:発達障害に関する診察を初めて受けた日が、被保険者の期間にある
- 保険料の納付:初診日がある月の前々月までの年金加入期間のうち、保険料納付済期間と免除期間が3分の2以上ある
- 障害認定:障害認定日に一定以上の等級の障害になっている
障害認定日とは、初診日から1年6ヶ月経過した日、または1年6ヶ月以内に治るか治療が見込めず症状が固定された日のことです。
初診日が国民年金加入期間か、20歳未満または日本在住の60歳以上65歳未満で年金制度に加入していない時期であれば、障害基礎年金の支給対象です。
厚生年金保険の被保険者である期間中に初診日がある人は、障害厚生年金が支給されます。
なお、初診日に20歳未満だった場合、保険料の納付要件は不要です。
ただし、2026年4月1日前にある初診日で65歳未満の人は、初診日がある月の前々月までの直近1年間に、保険料の未納がなければ要件を満たせます。
働きながら、または一人暮らししながらでも障害年金は受給できます。しかし、審査へ影響があります。自立できていると評価されれば、審査に落ちることもあるでしょう。
働いている人は、働くと疲れて休日は何もできない、障害者雇用で特別な配慮を受けているなど、雇用形態・仕事内容・自分の状態などを医師に伝えて、診断書に反映してもらうことが大切です。
一人暮らしのケースでは家族が亡くなって一人暮らしになったなど、一人で暮らさなければいけない理由を病歴・就労状況等申立書へ記載しましょう。
また、一人では生活が成り立っていない場合、ゴミが捨てられず溜まっているなどの実態も記入してください。
流れ②必要な書類を用意する
障害年金を申請する際に必要な書類は、以下のとおりです。(参考:日本年金機構「障害年金を請求する方の手続き」)
- 年金請求書:申請に必要な書類、お住まいの自治体の障害福祉を担当する部署・窓口・年金事務所・年金相談センターで受け取り、年金の種類によって形式が異なる点に注意
- 基礎年金番号通知書、または年金手帳などの基礎年金番号を明らかにすることができる書類:加入期間を確認する書類、通知書・年金手帳などいずれか1点
- 戸籍謄本、戸籍抄本、戸籍の記載事項証明、住民票、住民票の記載事項証明書から1点:生年月日を確認する書類、日本年金機構にマイナンバー登録をしている人は不要
- 医師の診断書:障害の詳細を証明する書類、障害認定日より3ヶ月以内のものが必要。障害認定日と年金請求日が1年以上離れている人は、年金請求日より3ヶ月以内のものも必要
- 受診状況等証明書:初診日を証明する書類、初診時と診断書を作成する医療機関が異なるケースで必要
- 病歴・就労状況等申立書:病歴や生活・就労状況など障害についての具体的な状況を記載する書類、一人暮らしの人は一人暮らしである理由を記載しておくことがオススメ
- 本人名義の銀行通帳・キャッシュカードなど:年金を受け取るために必要、カナ氏名・金融機関名・支店番号・口座番号がわかる部分、コピーも可
- 印鑑
さらに、受給対象者に子どもがいる場合は、以下の書類も必要です。
- 子どもの戸籍謄本:子どもと請求者の続柄や氏名・生年月日を確認する書類
- 世帯全員の住民票の写し:請求者が子どもの生計を維持していることを確認する書類、マイナンバー記入の場合は不要
- 子どもの収入が確認できる書類:親と子どもの生計維持関係を確認する書類、義務教育終了前の子どもは不要、高等学校等在学中の子どもは在学証明書・学生証などのコピーを提出、マイナンバー記入の場合は不要
- 医師の診断書:子どもの障害状態が、障害年金を受け取れる等級か確認する書類、障害の状態にある20歳未満の子どもがいるときに必要
第三者が原因で障害の状態になった人は、以下の書類も必要です。
- 第三者行為事故状況届
- 交通事故証明(事故証明が取れない人は、事故が確認できる書類)
- 確認書
- 損害賠償金の算定書
- 同意書(損害保険会社などから届く)
そのほか、受給対象者の状況によって以下の書類が必要な可能性があります。
- 請求者本人の所得証明書(20歳未満で障害の状態になった本人の収入を確認するため)
- 年金加入期間確認通知書(共済組合に加入していた祈願がある人)
- 年金証書(受給対象者やその配偶者がほかの公的年金を受け取っている人)
- 身体障害者手帳・療育手帳(手帳を持っている人)
- 被扶養者を扶養していたことがわかる書類(被扶養者がいる人)
症状や年齢などによって必要書類は異なります。必ず、日本年金機構のWEbサイトや各種窓口に確認したりするようにしましょう。
流れ③必要書類を提出する
最後に、年金の種類に応じて以下のいずれかに必要書類を提出します。
- 障害基礎年金:お住まいの自治体の障害福祉を担当する部署・窓口
- 障害基礎年金(初診日が国民年金第3号被保険者期間中):年金事務所、または街角の年金相談センター
- 障害厚生年金:年金事務所、または街角の年金相談センター
必要書類に関しては、提出前に記入漏れ・誤字などの不備がないかチェックしましょう。
特に医師に作成を依頼した書類についても、医療機関だからと過信せず、必ずチェックしてください。
相談内容がうまく伝わっておらず、実態より症状を軽く書かれてしまうケースもあります。
修正点が見つかったら、医師に修正を相談してください。
補足①:障害年金の請求の種類
障害年金は、障害が確定した「障害認定日」から請求が可能です。
障害認定日は基本的に以下の日を指します。
- 初診日から1年6か月を経過した日
- 1年6か月以内に治った日(その症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)
- 先天性障害の場合、20歳に達した日(20歳の誕生日の前日)
- 初診日が18歳6か月よりの場合、20歳に達した日(20歳の誕生日の前日)
障害年金の請求は、障害認定日に応じて、以下の3種類があります。
- 認定日請求(本来請求)
- 遡及請求
- 事後重症請求
障害認定日請求は、障害認定日に障害等級に該当する障害の状態である場合、障害認定日時点での診断書を取得して、障害認定日から1年以内に請求することを指します。
遡及請求は、障害認定日に障害等級に該当する障害の状態でありながらなんらかの理由で請求をしなかった場合、障害認定日から1年以上経過した後で障害認定日時点にさかのぼって請求することを指します。
事後重症請求は、障害認定日に受給対象の障害等級に該当しなかったが、その後症状が悪化して、受給対象の障害等級に該当する状態になった場合、請求することを指します。ただし、65歳に達する日(65歳のお誕生日前日)を過ぎると請求することができません。
補足②:障害基礎年金の場合の年金請求書の受取と書類提出の注意点
お住まいの市区町村役場・年金事務所・「街角の年金相談センター」のいずれかに行き、「年金請求書」を受け取ります。
「年金請求書」に必要書類を添えて、住所地の市区町村役場の窓口に提出します。
補足③:障害厚生年金の場合の年金請求書の受取と書類提出の注意点
年金事務所か「街角の年金相談センター」のいずれかに行き、「年金請求書」を受け取ります。
「年金請求書」に必要書類を添えて、年金事務所か「街角の年金相談センター」に提出します。
補足④:初診日が国民年金第3号被保険者期間中の場合の年金請求書の受取と書類提出の注意点
年金請求書と必要書類の提出先は、年金事務所または街角の年金相談センターになります。
※第3号被保険者:国民年金の加入者のうち、厚生年金、共済組合に加入している第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者(年収が130万円未満の人)のこと。(参考:日本年金機構「第3号被保険者」)
補足⑤:不支給の場合は再審査請求が可能
障害年金を申請して不支給と判定されたら、再審査請求ができます。
以下のようなケースは、不支給決定後すぐに再申請が可能です。
- 支給申請をしたが不支給になった
- 等級認定を受けられたが、想定より低い等級だった
- 更新時に等級が下がったことで不支給になった
ただし、更新時に1級から2級に下がった人は、1年経過してからのみ再申請できます。
再審査請求は、以下の流れで行いましょう。
- 診断書や病歴・就労状況等申立書などの書類を再度用意する
- 必要書類を日本年金機構に提出する
なお、再審査請求では、初回の申請で提出した書類と、再審査請求時の書類に矛盾がないように気をつけてください。
一貫性がないと、信用性に欠けると判断される可能性があります。
障害年金を受給する6つのメリット
障害年金を受給すると、障害年金というお金そのもの以外にも、さまざまなメリットを受けられます。
発達障害のある人が障害年金を受給するメリットについて解説します。
メリット①国民年金の支払いを免除できる
障害等級1〜2級の人が障害年金を受給すると、国民年金の支払い免除を受けられる法定免除制度を利用できます。
国民年金の支払いを免除してもらうためには、お住まいの自治体の障害福祉を担当する部署・窓口への申請が必要です。自動的に免除されるわけではない点には気をつけましょう。
一方で、こちらでも解説しますが、支払いが免除された場合には、65歳から受給できる老齢年金が低額になるため注意してください。
メリット②就労していても受給できる場合もある
障害者雇用など一定のサポートや配慮を受けて就労している場合、働きながらでも障害年金を受給できる可能性があります。
厚生労働省の発表によると、障害年金を受給している人のうち約34.0%が就業しています。(参考:厚生労働省「年金制度基礎調査(障害年金受給者実態調査)令和元年」)
つまり、3人に1人程度は、働きながら障害年金を受給しているということです。
通常の給料にくわえて障害年金も受給できれば、生活や精神の安定につながるでしょう。
ただし、障害年金の申請時には就労状況も確認されます。
就労して十分な給料を稼いでいると、日常生活を送れる能力があるため支給は不適切と判断される場合がある点は覚えておきましょう。
障害者雇用については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
メリット③経済面の不安・ストレスが減る
経済面の不安・ストレスが減る点は、障害年金を受給する大きなメリットです。
病気や障害が原因でうまく働けないと、そもそも安定した生活を維持することが難しくなります。貧すれば鈍するということわざがあるように、経済的に追い詰められれば、誰でも強いストレスや不安にさらされるでしょう。
定期的な収入があると、心の支えになったり生活の基盤が安定したりします。病気や障害の症状や特性や性格によって、一つのことがずっと気になって他のことが手につかない人にとっては、不安やストレスの軽減につながるはずです。
障害年金ではありませんが、筆者は適応障害が原因で休職し、傷病手当金を受給していた時期があります。実際に受給できるまでは、常に生活費のことを計算し続けるほど金銭面に不安を感じていました。
しかし、支援制度を利用してからは家賃や生活費に困ることなく、治療に専念できました。あなたがもし、病気や障害が原因で金銭的に悩んでいる場合、現状を改善するためにも障害年金の申請を検討してみてはいかがでしょうか?
なお、障害年金以外にも利用できる支援制度はたくさんあります。
メリット④税金がかからない
障害年金は非課税所得なので、税金がかからないというメリットもあります。
年末調整などにも影響しないため、障害年金を受給していることを他人に知られることはありません。
また他に収入がなければ、確定申告も原則不要です。
メリット⑤使い道が自由である
障害年金は、受け取ったお金の使い道に制限がありません。
生活費や治療費はもちろん、貯蓄・ローンなど資産としての利用も可能です。
例えば、生活保護の場合は、受給したお金の利用方法に制限があります。その点受給後の自由度は高いと考えていいでしょう。
メリット⑥生活保護を同時に受給できる
障害年金を受給する人は、生活保護を同時に受給できる可能性があります。
生活保護を同時に受給するメリットは、以下のとおりです。
- 使い道自由な障害年金と、用途が制限された生活保護を使い分けて浪費を防ぐ
- 生活保護で税金や医療費の免除を受けられる
- 生活保護費の障害者加算でお金をプラスで受給できる可能性がある
- 生活保護を受けていれば、障害年金の申請費用を自治体が負担してくれる場合がある
なお、生活保護の詳細については、以下のコラムで解説しています。それぞれ適応障害とうつ病に関するコラムではありますが、参考になると思います。ぜひご覧ください。
障害年金を受給する際の7つの注意点
障害年金の受給にはメリットだけでなく、注意点もあります。
障害年金を受給する際の注意点について解説します。<不安にならず、落ち着いた状態で確認してください。(参考:日本年金機構「国民年金保険料の法定免除制度」、日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」、日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」、厚生労働省「生活保護制度」、日本年金機構「死亡一時金」、日本年金機構「寡婦年金」、日本年金機構「従業員(健康保険・厚生年金保険の被保険者)が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き」)
注意点①法定免除を申請すると、老齢基礎年金が低額になる
国民年金の支払いを免除できる法定免除を申請すると、65歳以降に受け取れる老齢基礎年金が2分の1に減額されます。
これは、法定免除を受けている期間は、国民年金保険料を1/2支払っている、半額だけ支払っていると見なされるためです。
ただし、法定免除を申請しない場合は、老後に受け取る年金は減りません。障害年金を受給する際は、将来的な年金のこともあわせて検討しましょう。
なお、障害年金を受け取ったけど、やっぱり老齢年金を満額受け取りたい」という人は、10年以内であれば後から支払う追納もできます。
一度障害年金で生活を立て直し、後から年金を納める選択も可能なので安心してください。
注意点②働きながら受給できる場合と受給できない場合がある
障害年金を申請する際には、就労状況も審査されます。
障害年金は働きながら受給できる場合と、働いているから受給できない場合がある点には注意してください。
就労状況は、人によって異なります。そのため、トラブルや負担なく働いている人は、日常生活能力があるため支給は不適切と判断される場合があります。特に一般雇用のフルタイムで就労している事例では、申請が却下される傾向があります。
一方で、障害者雇用など一定の配慮を受けながら就労している事例では、就労しながら障害年金を受け取れることも珍しくありません。
自分が働きながら障害年金の受給が可能か気になるときは、こちらで紹介する相談先に相談してみてください。
注意点③未成年は受給できない
障害年金は20歳以上を対象にしているため、未成年は受給できません。
民法改正に伴い2022年から、成人年齢は20歳から18歳に変更されました。しかし、2024年1月現在も障害年金の受給は20歳以上からです。
初診日は20歳未満でも認定できますが、請求・受給は20歳になった日の翌月分からと定められています。
なお、中学や高校を卒業してから会社員として働く10代の場合は、未成年で障害厚生年金を受給できることもあります。
注意点④生活保護とトータルの受給額は変わらない
障害年金と生活保護は同時に受給できますが、受給総額は増えません。
例えば、生活保護では障害年金も収入と考えられるため、生活保護から障害年金分は差し引かれます。
そのため障害年金と生活保護を併用しても合算されず、どちらか多いほうの金額が最大受給金額となります。
例えば、生活保護の方が高額な場合は、障害年金の受給額と同じ金額が、生活保護から減額されます。
結果、トータルの受給金額は変わりません。
- 障害年金で受給できる金額:5万円
- 生活保護で受給できる金額:10万円
- 同時申請で受給できる金額:10万円(障害年金を5万円+生活保護を5万円の合計)
さらに、障害年金は最大で過去5年分遡及して受給できますが、その期間に生活保護を受けていた場合は、その分の生活保護費を返納する必要があります。
なお、生活保護の詳細については、以下のコラムで解説しています。それぞれ適応障害とうつ病に関するコラムではありますが、参考になると思います。ぜひご覧ください。
注意点⑤死亡一時金・寡婦年金が受給できない
障害年金を受給している場合、死亡一時金・寡婦年金は受け取れません。
死亡一時金とは、国民年金に加入している自営業者本人が亡くなったとき、家族に支給される一時金のことです。死亡日の前日までに36か月以上保険料を納めていることが条件です。保険料を納めた月数に応じて、一時金は12〜32万円が支給されます。
寡婦年金とは、国民年金に加入している自営業者の夫が亡くなったとき、妻に支給される年金のことです。支給期間は、妻が60歳から65歳になるまでです。年金額は、夫の老齢基礎年金額の4分の3の額が支給されます。
死亡一時金・寡婦年金のいずれも、老齢基礎年金・障害基礎年金を受けないまま亡くなった場合に支給されます。
そのため障害年金を受給していると、老齢基礎年金・障害基礎年金は受け取れません。
家族や配偶者がいる場合は、死亡一時金・寡婦年金についても考えた上で受給を検討しましょう。
注意点⑥社会保険の扶養から外れる可能性がある
障害年金を受け取ることで、社会保険の扶養から外れる場合があります。
非課税の障害年金ですが、健康保険では収入として加算される対象です。
そのため障害年金を含む年収が180万円以上になった障害年金受給者は、社会保険の扶養から外れます。なお、通常の健康保険では年収130万円以上で扶養から外れます。
扶養から外れると健康保険料を支払う必要があるので、支出が増える点に注意しましょう。
就労しながら障害年金を受給したい人は、収入の合計がいくらになるか確認しておくことが大切です。
注意点⑦受給は2か月に1回
障害年金の受給は、2か月に1回です。
そのため、金銭管理の感覚がいわゆる月給とは少し違う点にも注意が必要です。
1か月に1回受け取るイメージをしている人も多いので気をつけましょう。
例えば、1回の受給額、つまり2か月分の受給額が12万円の場合、1か月に使える平均額は6万円程度になります。
1か月目に多く使いすぎると、2か月目の生活に支障が出るかもしれません。
毎月いくらまで使っていいか、使いすぎないためにはどう工夫するか、事前に考えておくとよいでしょう。
病気・ケガで利用できる障害年金以外の支援制度11選
障害年金以外にも、病気・ケガ・障害がある人に受給・還付されるお金があります。
以下、支援制度を紹介するので、自分や家族が利用できるか確認してみてください。(詳細や利用の可否は、市区町村の窓口や、加入している保険会社に相談してみることをオススメします)。
支援制度①傷病手当金
社会保険加入者が対象。被保険者が業務外の事由による療養のため労務に服することができないとき、その労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から労務に服することができない期間、支給されるお金。(参考:厚生労働省「傷病手当金について」)
支援制度②基本手当
雇用保険加入者が対象。求職者の失業中の生活の安定を図りつつ、求職活動を容易にすることを目的とし、被保険者であった人が離職した場合において、働く意思と能力を有し、求職活動を行っているにもかかわらず、就職できない場合に支給されるお金。(参考:厚生労働省「基本手当について」)
支援制度③労災年金
労働災害により障害が残った人や、被災して死亡した人の収入で生活していた家族が対象。通勤中や業務中の負傷・疾病により、障害が残ったり死亡したりしたら年金が支給されるお金。(参考:厚生労働省・都道府県労働局・労働基準監督署「休業(補償)等給付傷病(補償)等年金の請求手続)」)
支援制度④高額医療費制度
医療費の家計負担が重くならないよう、医療機関や薬局の窓口で支払う医療費が1か月で上限額を超えた場合、その超えた額を支給する制度。(参考:厚生労働省「高額療養費制度を利用される皆さまへ」)
支援制度⑤医療費控除
国民全員が対象。一定の額の医療費を支払ったとき、確定申告を行うことで、所得税及び復興特別所得税が還付される制度。(参考:国税庁「医療費を支払ったとき」)
支援制度⑥重度心身障害者医療費助成制度
身体障害者手帳の1級・2級、愛の手帳の1度・2度、精神障害者保健福祉手帳1級の人が対象。医療保険の対象となる医療費や薬剤費などの自己負担額から、一部負担金を差し引いた金額を助成する制度。(参考:東京都福祉保健局「心身障害者医療費助成制度(マル障)」)
支援制度⑦自立支援医療
特定の精神障害を持つ人や身体障害者手帳を取得している人などが対象。うつ病で継続的な通院が必要な場合などに、医療費の自己負担額を軽減する公費負担の医療制度。(参考:東京都福祉保健局「自立支援医療(更生医療)」
支援制度⑧生活保護制度
世帯収入が、国が定めた基準である最低限度の生活費に満たない世帯が対象。生活に必要な最低限度のお金を持つことが困難な人が、お金を受給できる制度。(参考:厚生労働省「生活保護制度」)
支援制度⑨特別障害者手当
精神または身体に著しく重度の障害があり、日常生活において常時特別の介護を必要とする特別障害者が対象。重度の障害のため必要となる精神的、物質的な特別の負担の軽減の一助として手当を支給する制度。(参考:厚生労働省「特別障害者手当について」)
支援制度⑩特別障害給付金制度
1986年3月以前の専業主婦や、1991年3月以前の学生など、年金加入が任意の時期に障害の状態になった人が対象。障害年金とは異なる「特別障害給付金」が毎月支払われる制度。(参考:日本年金機構「特別障害給付金制度」)
支援制度⑪特別児童扶養手当
20歳未満で精神または身体に障害がある児童を、家庭で監護・養育している父母などの保護者が対象。児童の福祉増進を目的に、毎年4月・8月・12月の3回支給されるお金。(参考:厚生労働省「特別児童扶養手当について」)
補足①:障害基礎年金と児童扶養手当は併用できる?
障害基礎年金と児童扶養手当は、併用が可能です。
以前は、「障害基礎年金の額」が「児童扶養手当の額」を上回ると、児童扶養手当が支給されませんでした。
しかし、2021年3月に改正されてからは、「児童扶養手当の額」が「障害年金の子ども分の加算額」を上回る場合、その差額を児童扶養手当として受給できます。
障害基礎年金と児童扶養手当の両方を受給できる場合は、両方請求するのがおすすめです。
両方とも受給できるか不安な人は、こちらのいずれかに相談してみてください。(参考:厚生労働省「「児童扶養手当」が変わります」)
補足②:障害年金を受け取ると労災年金は併用できる?
障害年金と労災年金は、両方を受け取れます。
ただし、障害年金を受け取ると労災年金の額は調整されるので、受給できる金額は一部です。
労災年金を調整することで、被災前に支給されていた賃金より高額になることを防いでいます。
減額時は、調整された労災年金と厚生年金の合計額が、調整前の労災年金の金額より低くならないようにしているので安心してください。(参考:厚生労働省「障害(補償)年金や遺族(補償)年金などの労災年金と厚生年金の両方を受け取ることはできるのでしょうか。」)
障害年金に関する相談先6選
障害年金は、受給する条件・金額・申請手続きなどに関しては、専門家に相談するとスムーズに進められるためオススメです。
確実に情報を集めてスムーズに手続きするためにも、以下のような専門家に相談してみてください。
相談先①お住まいの自治体の年金を担当する部署・窓口
お住まいの自治体の年金を担当する部署・窓口では、無料で相談できます。
申請書類の提出もできるため、その場でそのまま手続きを進められる点が大きなメリットでしょう。
ただし、相談できるのは障害基礎年金に限られます。
また、役場・役所の職員は業務内容が幅広く、障害年金に関する知識が不十分なこともある点に注意しましょう。
なお、障害厚生年金の相談をしたい人は、別の相談先にサポートを依頼しましょう。
相談先②日本年金機構・年金事務所
日本年金機構・年金事務所とは、無料で障害年金について相談できる支援機関のことです。全国に設置されています。
日本年金機構・年金事務所なら、障害基礎年金・障害厚生年金のいずれも無料で相談できます。
個別の悩みについて正確な解答を得られる点が魅力です。
障害厚生年金であれば、申請書類の提出もできます。
さらに年金記録も確認できるため、保険料の納付要件を満たしているか不安な人はぜひ相談してみてください。
原則、予約が必要です。平日の8:30〜17:15の間に予約受付専用電話(0570-05-4890)に問い合わせましょう。
相談先③街角の年金相談センター
街角の年金相談センターとは、障害年金について無料相談できる支援機関のことです。日本年金機構の委託を受けて全国社会保険労務士会連合会が運営しています。
日本年金機構・年金事務所と同程度に、個別の悩みについて正確な解答を得られます。
基本的に予約不要なので、スケジュール管理が苦手な人でも相談しやすいでしょう。
ただし、街角の年金相談センターは都市部に多く、地方には少ないという点は、注意してください。2024年1月現在、栃木県・山梨県・鳥取県・島根県・高知県・沖縄県にはありません。
相談先④社会保険労務士事務所
社会保険労務士(社労士)とは、社会保険労務士法に基づいた国家資格者で、労働・社会保険の問題に関する専門家のことです。
社会保険労務士(社労士)には申請の代行を依頼できるため、医師への依頼や書類の作成・提出などの負担を減らせる点が魅力です。
専門家が書類を用意するため、不備なくスムーズに受給できる可能性が高くなるでしょう。
ただし、費用は有料です。お金を払ってでも申請の負担をなくしたい人や、治療に専念したい人にオススメです。
相談先⑤民間の年金サポートセンター
民間の年金サポートセンターとは、民間企業が運営する支援機関のことです。
無料電話相談・無料出張相談・社会保険労務士の紹介などのサービスを受けられます。
有料で、有料で申請を代行してくれる民間の年金サポートセンターもあります。なお、年金サポートセンターによって、提供するサービス内容や値段は異なります。
お住まいの地域に相談できる専門家がいない場合や、気軽に相談したい場合、自宅まで出張してほしい場合は、ぜひ検討してみてください。
相談先⑥就労移行支援事業所
就労移行支援事業所とは、一般企業などへの就職を目指す病気や障害のある人に向けて、就職のサポートをする支援機関のことです。体調管理の方法、職場でのコミュニケーションの基礎スキル、就職に必要な専門スキルなどを学ぶことができ、実際の就職活動でのアドバイス、就職後の職場定着支援も含む、総合的な就労支援を受けることが可能です。
就労移行支援は、障害者総合支援法に基づいて行われる福祉サービスです。実際のサービスは、国の基準を満たしたさまざまな民間の就労移行支援事業所が行います。(参考:e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」)
就労移行支援事業所は各地にあります。私たち、キズキビジネスカレッジ(KBC)もその一つです。それぞれ特徴が異なるため、気になるところがあれば問い合わせてみてください。
就労移行支援事業所については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
まとめ:障害年金について、詳しくは各種相談先に確認しましょう
あらためて、障害年金は、病気やケガで障害のある状態になり、生活や仕事に支障が出たときに受給できる年金制度です。高齢者だけでなく、就労中の現役世代の人でも受給できます。
ただし、最初にもお伝えしたとおり、年金に関する法律は、頻繁に変更する可能性があります。
この記事は、「病気・ケガ・障害で働けなくなったら障害年金などの支援制度を利用できるかもしれない」と安心する材料のひとつとしてください。
「実際にあなたが障害年金を受給できるのか」「あなたが受給できる金額はいくらか」ということは、市区町村役場・日本年金機構・年金事務所など各種相談先へ確認してみましょう。
私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)でも、障害年金の相談も受け付けているので、お気軽にご相談ください。
障害年金の受給期間を教えてください。
障害基礎年金・障害厚生年金の受給期間は、基本的に病気や障害がある限り死亡する月までです。
詳細はこちらをご覧ください。
障害年金の受給条件を知りたいです。
監修キズキ代表 安田祐輔
発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。
【著書ピックアップ】
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』
Amazon
翔泳社公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)
【その他著書など(一部)】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)
うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。2024年10月現在、首都圏・関西に6校舎を展開しています。トップページはこちら→