就労移行支援とは? 支援内容やメリット、利用までのステップを解説
こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。
このコラムでは、就労移行支援の概要や支援内容、利用条件、期間、費用、メリットとデメリット・注意点、あなたに合う就労移行支援事業所の探し方、利用までのステップなどについて解説します。
就労移行支援を利用したいが、どうしていいかわからないという人のお悩みを解消できれば幸いです。
また、このコラムは、障害のあるご本人だけでなく、ご家族のお役に立てる内容にもなっております。ぜひ参考にしてみてください。
目次
就労移行支援事業所とは?
就労移行支援事業所とは、一般企業などへの就職を目指す病気や障害のある人に向けて、就職のサポートをする支援機関のことです。体調管理の方法、職場でのコミュニケーションの基礎スキル、就職に必要な専門スキルなどを学ぶことができ、実際の就職活動でのアドバイス、就職後の職場定着支援も含む、総合的な就労支援を受けることが可能です。
就労移行支援は、障害者総合支援法に基づいて行われる福祉サービスです。実際のサービスは、国の基準を満たしたさまざまな民間の就労移行支援事業所が行います。(参考:e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」)
就労移行支援事業所は各地にあります。私たち、キズキビジネスカレッジ(KBC)もその一つです。それぞれ特徴が異なるため、気になるところがあれば問い合わせてみてください。
私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、就労移行支援事業所の利用を検討している人のための就労移行支援事業所です。
- 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
- 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
- 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月
神田・新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。
就労移行支援事業所の6つの支援内容
就労移行支援事業所の支援内容は多岐に渡ります。単に就職先を探すだけでなく、自分の可能性を広げられるというメリットがあります。
この章では、就労移行支援事業所の支援内容について解説します。
なお、支援内容は事業所によって異なります。具体的な支援内容については、利用を検討している各事業所に確認してみてください。
支援内容①基本スキルの習得
1つ目の支援内容は、基本スキルの習得です。
就労移行支援事業所では、基本的にどの企業でも用いられそうなWord、Excel、PowerPointなどに関するPCスキルの指導を行っています。全くの初心者でもわかる内容から始められるため、ご安心ください。
ほかにも、職場でのコミュニケーション術やビジネスマナー講習といった、社会人に求められる基本スキルの実習も受けることができます。
就労経験のない人も、就労経験のある人も、知っているようで知らない基礎を改めて確認するよい機会になるでしょう。
支援内容②専門スキルの学習
2つ目の支援内容は、専門スキルの学習です。事業所によって特に内容に差が出る項目になります。
参考までに、私たち就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)では、専門的なスキルを活かせる仕事に就きたい人たちを支援するという意図から、以下のような講習を行っています。
- 会計:企業の財務分析、簿記試験に関連した内容
- 英語:英会話講座(初級と上級)、TOEIC講座、翻訳インターン
- プログラミング:プログラミング入門、JavaScript、Webアプリ作成、Pythonプログラミング
- Webライティング:SEO記事の作成:SEO記事の執筆(プロコース)
- ウェブマーケティング:広告作成、アクセス解析
- WEBデザイン:HTMLとCSSを使ったWebページ作成
- その他:Photoshopを使った画像加工、Illustratorを使ったイラスト作成、Premiere Proを使った動画編集、エシカルハッカー(情報セキュリティ)コース、動画クリエーターコース
どれも入門講座から始めることができる、専門分野に特化した内容です。また、座学だけでなくグループワークを含む実践もあります。
製図ソフトのCADなど、以上の挙げたもの以外の専門的なスキルを学べる事業所もあります。自分がどのようなスキルを身につけたいか、どのような仕事で働きたいかを考えることで、利用する就労移行支援事業所も異なってきます。
就職先で即戦力になりたい、専門スキルを活かせる就労をしたいという人は、各事業所の専門スキル講座の内容を調べてみましょう。
支援内容③体調管理やメンタル面の相談
3つ目の支援内容は、体調管理やメンタル面の相談です。
就労移行支援事業所では、あなたの到達目標を個別支援計画として定めます。
個別支援計画があることによって、あなたの障害や病状、性格やスキル、希望する業界や働き方、就労準備の段階などに合わせて、体調管理やメンタル面に関する様々なアドバイスを受けられます。個別支援計画は、状況によって適宜更新していきます。
個別の相談以外にも、次のような生活改善についての講座を行う事業所は珍しくありません。
- 一般的な生活改善についての講座
- 睡眠について科学的に理解を深める研修
- ヨガやウォーキングを取り入れた健康管理
支援内容④就職活動のサポート
4つ目の支援内容は、就職に向けた準備のサポートです。
就職準備のサポートには、以下のような例があります。
- 雇用枠の相談
- 障害者手帳の取得検討
- 履歴書・エントリーシートの書き方講座
- 面接対策
特に重要なのが、雇用枠と病気や障害などを開示するかどうかの相談です。以下のの組み合わせがあります。
- 障害者雇用:障害のある人を対象とした雇用枠のこと
- 一般雇用:障害者雇用以外の雇用枠のこと
- 正規雇用:雇用期間や職務地などを定めずにフルタイムで勤務する雇用形態
- 非正規雇用:契約期間が決まっている雇用形態
- オープン就労:病気や障害などを開示して就職活動・就労をすること
- クローズ就労:病気や障害などを開示せずに就職活動・就労をすること
これらをどう組み合わせるかは、大きな分かれ目です。
障害者雇用とオープン就労、クローズ就労については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
支援内容⑤インターン・職場体験先の紹介と職場探しの手伝い
5つ目の支援内容は、インターン・職場体験先の紹介と職場探しの手伝いです。
インターンを経験することは、就職後の職場定着の観点からも有効です。就労移行支援事業所は、あなたに合ったインターン先を紹介します。
実際の就職活動においても、あなたの病気・障害の特性、性格、適性、希望する待遇にあった職場探しをサポートしています。単独で活動をされている方に比べて就職を有利に進められるでしょう。
また、就労移行支援事業所の利用者が就職した業界や職種については、こちらで解説しています。
あなたが就職を希望している業界での採用例があるかを確認しつつ相談してみるとよいでしょう。
支援内容⑥就職後の職場定着支援
6つ目の支援内容は、就職後の職場定着支援になります。
障害者の雇用の現状として採用枠は年々増えていますが、職場定着が課題として残っています。
特に精神障害がある人の職場定着率はほかの障害にくらべて低いため、いかにして働き続けるかが重要です。(参考:障害者職業総合センター「障害者の就業状況等に関する調査研究」)
そうした職場定着の問題を解消するために、就労移行支援事業所では就職後の定期面談などを実施することで職場定着をサポートしています。
就労移行支援事業所では、就職して終わりではなく、その先を見据えた支援まで受けることができるのです。就労定着支援については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
就労移行支援事業所を利用する3つの条件
この章では、就労移行支援事業所を利用する条件について解説します。
なお、条件実際の利用の可否は、障害の特性や勘案すべき事項を踏まえて、お住まいの自治体にて個別に判断されます。なお、判断によっては、障害者手帳の取得は必須ではありません。
条件①原則18歳から65歳未満である
1つ目の条件は、年齢です。
就労移行支援は、原則18歳から65歳未満の人を対象にしています。
そのため、ほか2つの条件に当てはまる人であっても、18歳未満の人や65歳以上の人など、年齢の条件を満たしていない人は、就労移行支援を利用できません。
条件②一般企業などへの就職または仕事での独立を希望している
2つ目の条件は、本人の意思です。
具体的には、何らかの仕事に携わり働くことを前提に、一般企業などへの就職、または仕事での独立を希望している人が、就労移行支援を利用する条件です。
条件③精神障害や発達障害、身体障害、知的障害、難病などがある
3つ目の条件は、対象となる病気・障害があることです。
対象となる精神障害や発達障害、身体障害、知的障害、難病などの内容や程度はさまざまです。2024年1月現在、この病気や障害であれば利用できるというリストはなく、自治体が個別に利用の可否を判断します。
一般的には、以下のような病気や障害は対象となります。
- うつ病
- 双極性障害(躁うつ病)
- 統合失調症
- 適応障害
- 不安障害
- 高次脳機能障害
- ADHD(注意欠如・多動性障害)
- ASD(自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)
- LD/SLD(学習障害/限局性学習症)
- 肢体不自由
- 視覚障害
- 聴覚障害
- 内部障害
- 精神遅滞など
- パーキンソン病等(障害者総合支援法対象疾病)
対象となる病気や障害は随時見直しがなされ、年々増え続けています。
関連する障害者総合支援法の対象疾病(難病等)の対象は、2015年以前には130種類でしたが、対象の枠を広げ続けて、2024年4月からは369種類へと増加しています。(参考:厚生労働省「障害者総合支援法の対象疾病(難病等)の見直しについて」)
以上で紹介したとおり、この対象に含まれない病気や障害のある人も就労移行支援を利用可能です。
そして、以上の病気や障害の確定診断がなければ利用できないというものではありません。例えば、発達障害の確定診断が出ない、いわゆる発達障害グレーゾーンのある人も、自治体が認めれば利用可能です。
また、事業所によって対象となる病気や障害が異なる場合があります。ご自身の病気や障害に対応しているかどうかは、利用を検討している各事業所に確認するといいでしょう。
就労移行支援事業所の利用可能期間
就労移行支援事業所の利用可能期間は、原則24か月です。場合によっては、12か月以内での延長が認められるケースもあります。
調子が安定せずに転職活動がうまく進まないという人でも、腰を据えてスキルの向上などに集中できる期間設定です。
生活リズムの定着や体調を整えるところから始めたいという方は、時間をめいっぱい使って計画を立ててみるとよいでしょう。
就労移行支援事業所の利用料
この章では、これまでに複数の就労移行支援事業所で勤務した経験があるキズキビジネスカレッジ(KBC)のスタッフの経験に基づいて、就労移行支援事業所の利用の利用料について解説します。
就労移行支援を利用したいが、費用面に不安を抱えている人は、ぜひこれからお伝えする内容をもとに、就労移行支援の利用を検討してみてください。
費用①利用料金
就労移行支援事業所の利用料金は、世帯収入によって異なります。最低額の場合、0円で利用できます。
仮に負担が生じたとしても、月額で最大3万7200円と、利用料に上限が設定されています。(参考:厚生労働省「障害者の利用者負担」)
負担額の詳細は、以下のとおりです。
- 生活保護(生活保護受給世帯):0円
- 低所得(市町村民税非課税世帯)(※1):0円
- 一般1(市町村民税課税世帯(所得割16万円未満))(※2)※入所施設利用者(20歳以上)・グループホーム利用者を除く(※3):9300円
- 一般2(上記以外):3万7200円
(※1)...3人世帯で障害者基礎年金1級需給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象
(※2)...収入が概ね600万円以下の世帯が対象
(※3)...入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、一般2に該当
費用②交通費・昼食費
就労移行支援事業所を利用する上で、通所に必要となる交通費が補助される場合があります。
ただし、補助の有無については、お住いの自治体によって異なります。お住まいの自治体の障害福祉を担当する部署・窓口に確認してみてください。
また、事業所で昼食をとる場合の昼食費についても補助される可能性があります。、主には以下の2つのパターンです。
- 一定額の自己負担(例:1食300円など)+事業所の補助
- 昼食費の全額を就労移行支援事業所が補助
このように、事業所によっては昼食費の全額、もしくは一部が補助される場合もあるのです。
ただし、交通費と同じく昼食費の補助の有無も、自治体や事業所によって異なります。気になる人は、お住いの自治体か利用を検討している各事業所に確認しておくようにしましょう。
補足:一部の就労移行支援事業所では工賃が発生する可能性がある
一部の就労移行支援事業所では、賃金ではなく工賃としてお金が支給されることがあります。ただし、基本的にはお金の支給はないと考えた方がよいでしょう。
賃金とは、労働の対価として労働者に支払われる金銭で、賞与などのほか、実物賃金も含むもののことです。(参考:goo辞書「賃金/賃銀(ちんぎん) とは? 意味・読み方・使い方」)
対して、工賃とは、物を製作・加工する労力に対する手間賃、工料のことです。(参考:goo辞書「工賃(こうちん) とは? 意味・読み方・使い方」)
工賃の意味からも分かるように、工賃が発生するのは、就労移行支援事業所が企業と契約を結んだ上で作業を請け負い、それらの業務を就労移行支援の利用者が行う場合のみです。
また、工賃が発生する作業は、主に以下の2つのパターンがあります。
- 就労移行支援事業所での内職・授産製品制作・販売
- 事業所外での仕事の訓練、契約企業での作業・施設外就労
工賃の具体的な金額については、事業所や作業内容によって異なりますが、2時間あたり200円~800円などの事例があります。
工賃の有無や金額については、就労移行支援事業所によって大きく異なります。就労移行支援事業所は就労のための訓練や準備をする場所であるため、工賃が出ない事業所も多いです。
そのため、交通費や昼食費と同じく、就労移行支援事業所での作業に対して工賃が出るかどうかについても、事前に利用を検討している各事業所に確認しておくことが大切でしょう。
就労移行支援事業所の利用に必要な書類
就労移行支援事業所の利用に必要な書類は、基本的には以下の2つです。
- 診断書
- 障害者福祉サービス受給者証
障害者福祉サービス受給者証は、お住まいの自治体の障害福祉を担当する部署・窓口で発行されます。詳細はお住まいの自治体の障害福祉を担当する部署・窓口にお問い合わせください。
なお、障害者手帳は必須ではありません。
医師の診断や定期的な通院だけで自治体が可能と判断すれば、利用することができます。
就労移行支援事業所に在籍するスタッフ
就労移行支援事業所には以下のような職員・スタッフが在籍しています。なお、事業所の規模によって異なります。
- 管理者:就労移行支援事業所の運営統括やスタッフ管理
- サービス管理責任者:支援員への技術的指導やサービス全般の指揮
- 就労支援員:個別支援計画に基づく求職者の指導や関係機関との連携、就職後のサポート
- 職業指導員:個別支援計画に基づく就職するために必要な知識や技術を身につけるためのサポート
- 生活支援員:個別支援計画に基づく日常生活の支援
事業所によっては、社会福祉士や精神保健福祉士、臨床心理士などが在籍していることもあります。
就労移行支援事業所を利用する5ステップ
この章では、就労移行支援事業所を利用するステップについて解説します。
ステップ①無料相談・見学・体験利用
まずは、利用を検討している事業所へ問い合わせてみてください。
ほとんどの事業所は、無料相談・無料見学・無料体験利用を行っています。
この段階では、あなたに就労移行支援に関する詳しい知識がなくても大丈夫です。
WEBサイトやパンフレットだけではわからない事業所の雰囲気があります。就労移行支援事業所の利用を検討している人はまずは相談し、見学に行きましょう。
ステップ②障害者福祉サービス受給者証の発行&入所
利用したい事業所が決まったら、お住まいの自治体の障害福祉を担当する部署・窓口に行って障害者福祉サービス受給者証を発行します。
記入しなくてはならない書類や項目は、自治体によって異なりますが、基本的には診断書が必要となります。ご準備ください。
診断書も障害者福祉サービス受給者証も、取得の方法は就労移行支援事業所に相談すると、あなたの事情に合わせて詳しく教えてくれるはずです。
障害者福祉サービス受給者証が発行されたら、診断書と一緒に事業所へ持って行き、利用手続きを進めましょう。
なお、障害者手帳が必要になる場合もありますが、医療機関や自治体の判断によっては必要ないこともあります。
ステップ③個別支援計画に合わせた職業訓練
就労移行支援事業所の通所前期は、就職に向けた職業訓練を基本的に進めていきます。
これはこちらで解説した個別支援計画に基づいて行われます。あなたのペースに合わせて希望したプログラムを受講することができます。
具体的には、ビジネスマナーやPC講座などの基本的なスキル学習や、経理やプログラミング等の専門スキルの習得を目指します。
そのほかにも、自己管理方法、コミュニケーション術、面接指導なども受講できます。事業所ごとの訓練メニューを確認しつつ、支援員と相談して決めていきましょう。
ステップ④適性に合う職場探しの開始・就職活動・就職
通所後期になると、実際に就職先を探すことになります。
とはいえ、自分だけで求人を探したり、いきなり書類選考や面接に入るのは不安という人もいるでしょう。
就労移行支援事業所は、就職活動本番の前段階として、インターン・職場体験の斡旋も行っているため、ご安心ください。
また、一般雇用の障害者雇用のどちらにするか、障害者手帳を前もって取得していくかなども入念に考える必要があります。
就労移行支援事業所ではそうした相談に対応できるスタッフも在籍しています。疑問や不安を感じたら、その都度相談するようにしましょう。
そして、実際の就職活動にあたっても、あなたの適性に合った職場探しのお手伝いをします。安心して相談してみてください。
また、履歴書や志望動機の書き方、面接の受け方なども練習できます。就職活動の準備や練習を行い、採用試験に合格したら、いよいよ就職です。
ステップ⑤就職後の職場定着支援
就労移行支援事業所では、就職先が決まってから6か月までは職場定着支援を行っています。
具体的には、定期面談などを行って、通所者のメンタルケアや新たに生じた問題へのアドバイスを行っています。
こちらで解説したように、職場定着は障害のある人にとっての大きな課題であると同時に、ひとりでは解決することの難しい問題です。
就労移行支援事業所を利用することで、就職後も手厚いサポートを受けられるということを覚えておきましょう。
就労移行支援事業所のメリット7選
この章では、就労移行支援事業所のメリットについて解説します。
自分が得たいメリットや効果と、就労移行支援で得られるものが一致しているかどうか確かめるためにも、ぜひ参考にしてみてください。
メリット①生活リズムを整えられる
1つ目のメリットは、生活リズムを整えられることです。
就労移行支援の利用を検討している人の中には、仕事を退職したことで生活リズムが乱れている場合もあるでしょう。
しかし、また改めて働き始めるためには規則正しい生活に戻していく必要があります。
就労移行支援を利用することになれば多くの場合は事業所に通所することになるため、毎日決まった場所に行く予定ができます。
そのため、毎日一定の時間に起きて、時間に応じて食事を食べて、決まった時間に寝るといったリズムが整いやすくなるのです。
ただし、これまでの疲労の蓄積や病気の症状から、眠れなかったり寝すぎたりするといった人は、生活リズムを整えることよりも休息をとることを優先しましょう。
メリット②自分に合ったサポートを受けられる
2つ目のメリットは、自分に合ったサポートを受けられることです。
就労移行支援事業所のサポートは、利用者一人ひとりに合わせて行われます。そのため、自分の希望に沿った支援を受けられたり、自分の病気の症状を踏まえた就職について相談できたりするのです。
また、これらの支援やサポートは、基本的に事業所内で行われ、事業所のスタッフと同じ空間で過ごすことが多くなるため、自分でも気づいていないような細かい部分の支援やサポートを受けられることもあります。
メリット③自己理解をできる
3つ目のメリットは、自己理解をできることです。
就労移行支援事業所では、自分と上手に付き合う方法をわかった上で、自分に合った仕事を見つけられるよう支援やサポートが行われます。
そして、自分と上手に付き合う方法や自分に合った仕事を見つけるためには、自分自身を理解することが大切なのです。
自己理解をすることで、「どんな環境であれば働きやすいのか?」「自分の特性を活かすためにはどんな仕事がいいのか?」などがわかり、長く安心して働ける就職先が見つかりやすくなります。
メリット④集団でのコミュニケーション力・協調性が身につく
4つ目のメリットは、集団でのコミュニケーション力や協調性が身につくことです。
就労移行支援事業所に通うことになると、さまざまな人と接することになります。
例えば、講座や面談、就職活動などを行う中で、事業所のスタッフとさまざまなコミュニケーションをとることになります。
また、自分以外の利用者と講座の中でディスカッションやグループワークをしたり、休憩中に雑談をしたりすることもあるでしょう。
こうした経験の中で、人とのコミュニケーションの取り方や人間関係を構築する方法を学べるのです。
また、事業所のスタッフとは、働くことを意識した会話ややり取りが多くなるため、言葉遣いやメールの送り方などのビジネスコミュニケーションも身に着けられます。
ほかにも、事業所によっては、コミュニケーションに特化した講座を行っている場合もあるので、気になる方は調べてみてください。
とはいえ、集団での活動が苦手であったり、個人での活動を希望していたりする場合は、無理に参加する必要はないため、事前にスタッフと相談するとよいでしょう。
メリット⑤専門スキルを身につけられる
5つ目のメリットは、専門スキルを身に着けられることです。
身に着けられるスキルは、事業所によって大きく異なりますが、就労移行支援を利用するとさまざまな講座を受けられるため、講座を通して知識やスキルを身に着けられます。
ここでは、例としてこちらのサイトを運営しているキズキビジネスカレッジ(KBC)の講座を紹介します。
- 会計:企業の財務分析、簿記試験に関連した内容
- 英語:英会話講座(初級と上級)、TOEIC講座、翻訳インターン
- プログラミング:プログラミング入門、JavaScript、Webアプリ作成、Pythonプログラミング
- Webライティング:SEO記事の作成:SEO記事の執筆(プロコース)
- ウェブマーケティング:広告作成、アクセス解析
- WEBデザイン:HTMLとCSSを使ったWebページ作成
- その他:Photoshopを使った画像加工、Illustratorを使ったイラスト作成、Premiere Proを使った動画編集、エシカルハッカー(情報セキュリティ)コース、動画クリエーターコース
自分が身に着けたい知識やスキルがあれば、それを学べる講座がある就労移行支援事業所を選ぶとよいでしょう。
また、どの講座を選ぶべきかわからない場合も、スタッフと相談したうえで決められるため、1人で悩むことはありません。
メリット⑥相談しながら就職活動ができる
6つ目のメリットは、相談しながら就職活動ができることです。
さきほども紹介しましたが、就労移行支援では就職活動について次のような支援やサポートを受けられます。
- 採用枠の相談(オープン就労かクローズ就労か)
- 障害者手帳の取得検討
- 履歴書・エントリーシートの作成
- 面接対策
履歴書・エントリーシートの作成や面接対策など、基本的な就職活動の支援はもちろん、「オープン就労かクローズ就労か」「一般就労か障害者雇用か」などについても相談できます。
また、自己理解にもつながりますが、どんな仕事や会社、環境が自分に合うかなどを個別に相談することも可能です。
メリット⑦就職後に相談できる
最後に紹介するメリットは、就職後に相談できることです。
就労移行支援を行っている事業所の多くは、就職後にも支援やサポートをする職場定着支援を行っています。
職場定着支援では、定期的な面談が行われ、次のようなことを相談できます。
- 業務中の様子や困難などの課題
- 生活リズムや体調の乱れなど、就労に伴って生じている生活面の課題
- 障害特性と担当業務・業務量・働き方に関する課題
また、場合によっては就職先の就職先の担当者などに、改善策を提案したりする場合もあるため、安心して働くことができ職場に定着しやすくなるのです。
職場定着支援については、下記コラムで解説しています。ぜひご覧ください。
就労移行支援を利用する際の4つの注意点
この章では、就労移行支援のデメリット・注意点について解説します。
就労移行支援事業所を本当に利用するかどうかを検討するためには、メリットだけでなくデメリット・注意点についても知っておくことが大切です。
自分が納得できる決断をするためにも、ぜひご覧ください。
注意点①無収入になる
1つ目の注意点は、無収入になることです。
就労移行支援の利用中は、原則アルバイトや就職ができないため、自分自身で働いてお金を稼ぐことができません。
ただし、傷病手当や失業保険を受け取ることは可能です。そのため、就労移行支援を利用する期間に必要なお金については、傷病手当や失業保険などの支援制度を利用したり、自身の貯金を切り崩したり、家族や知人から支援を受けたりする必要があるでしょう。
傷病手当や障害年金、障害者手帳については、下記コラムで解説しています。ぜひご覧ください。傷病手当については、うつ病のある人に向けたコラムにはなりますが、参考になるかと思います。
こちらでも解説しましたが、一部の就労移行支援事業所では、「工賃」としてお金が支給されることがあります。
また、自治体によっては、就労移行支援を利用している期間中も、活動に支障のない範囲内でのアルバイトの許可やフリーランスとしての活動許可が出ることもあります。収入面に不安のある方は調べてみてください。
注意点②利用期間に限りがある
2つ目の注意点は、就労移行支援を利用できる期間は2年間に限られることです。
もちろん2年間で就職先が決まる人はたくさんいます。しかし、その一方で2年間という期間では足りない人がいることも事実です。
そのため、就労移行支援を利用する場合は2年間という期限があることを覚えておき、就労移行支援を有意義に活用できるよう行動することが必要になります。
ただし、無理をしすぎることで、体調や症状が悪化するのは本末転倒なので、気負い過ぎず就労移行支援のスタッフなどと相談しながら、2年間の使い方を検討しましょう。
また、就労移行支援の利用期間である「2年間」の捉え方は、自治体によって様々です。
- 一生涯で2年間に限る。
- 一度就職をしたら利用期間がリセットされ、再度利用する際はまた2年間利用できる。
- 転居して住む自治体が変わることで利用期間がリセットされ、再度利用する際はまた2年間利用できる。
気になる方は、お住まいの自治体の障害福祉を担当する部署・窓口に相談したり、利用を検討している就労移行支援事業所に相談したりしてみてください。
注意点③就労移行支援の利用期間がブランクになる
3つ目の注意点は、就労移行支援の利用期間が職歴としてはブランクになることです。
この注意点は、主に一般雇用を希望される方に限るデメリットです。就労移行支援を利用している期間は離職期間となるため、いわゆるブランクとなるのです。
本人としてはブランクを気にしない方もいるかもしれません。ですが、ブランクがあることやブランクの期間が長いことを、不安要素と感じる企業は少なくありません。
そのため、就職活動の際に企業から「離職期間がありますが、何か理由があるのですか?」「離職期間はどのように過ごされていましたか?」などと、質問される可能性があります。
もちろん、就労移行支援の中で面接対策をしっかりと行っておけば、大きなデメリットにならないことが多いですが、念のため覚えておきましょう。
一方で、こちらでもお伝えしましたが、就労移行支援を利用すると、自分に合った仕事や企業を見つけられたり、就職後に定着支援を受けられたりします。
そのため、今後自分に合った企業でより長く働きたいと考える人にとっては、ブランクができたとしても、就労移行支援を利用した方が良いと感じる人もいるでしょう。
注意点④合わない事業所を選ぶと、将来に活きる活動ができない
4つ目の注意点は、合わない事業所を選ぶと、将来に活きる活動ができないということです。
たとえば、一般雇用を目指している人が障害者雇用に力を入れている事業所を選ぶと、満足の行く就職活動がしにくくなるでしょう。
また、IT系のスキルを身につけたい人が、ビジネスマナーやコミュニケーション力を身につけることに力を入れている事業所を選ぶと、自分が望む将来につながらないことが考えられます。
このように、就労移行支援を利用しても、自分に合わない事業所を選ぶと、そこでの学びが将来に活かせない可能性があるのです。
自分に合った就労移行支援事業所を選ぶためには、複数の事業所を見学したり、気になる事業所で相談したりするとよいでしょう。
また、あなたに合う就労支援事業所の見つけ方はこちらで解説しますので、ぜひそちらも参考にしてみてください。
あなたに合う就労移行支援事業所を見つける4つのポイント
この章では、あなたの病気・障害や性格にあった就労移行支援事業所を見つけるための4つの大切なポイントを紹介します。
各ポイントを確認することで、あなたにとってよりよい就労移行支援事業所を見分けられるかと思います。
もちろん全てを満たせば最高なのですが、お近くにそういう事業所がない場合もあるでしょう。
そんなときは、どれを重視したいかを考えて探しましょう。
就労移行支援事業所の選び方のポイントについては、下記コラムで解説しています。ぜひご覧ください。
ポイント①あなたの必要とするサポート内容があるかどうか
1つ目のポイントは、「あなたの必要とするサポート内容があるかどうか」です。
就労移行支援事業所のメニュー・プログラムは事業所によって大きく異なりますし、「特徴」や「強み」も異なります。
例えば、コミュニケーション方法に不安がある人、基礎からPCスキルを学びたい人、経理など具体的に学びたいことがある人などによって、向いている事業所が変わってくる、ということです。
事業所のウェブサイトを見たり問い合わせたりする際に、特にどういった点に力をいれているか、どういった入所者が多いかということを利用を検討している各事業所に確認するようにしましょう。
ポイント②あなたの病気や障害に特化した専門員がいるかどうか
2つ目のポイントは、「あなたの病気や障害に特化した専門員がいるかどうか」です。
原則として、就労移行支援事業所には、支援に関する実務経験や資格を持ったサービス管理責任者が在籍します。
その上で、社会福祉士や臨床心理士などの専門員も在籍する事業所があります。
精神障害がある人であれば精神保健福祉士、身体障害であれば介護福祉士等が在籍しているかどうかを利用を検討している各事業所に確認してみるとよいでしょう。
ただし、そうした有資格者がいなければ「あなたに向いていない」ということではありません。
有資格者はいなくても、基本的には各病気や障害に対応しているのが就労移行支援事業所だからです。
資格の有無という観点に限らず、自分の病気や障害への対応状況や実績について尋ねてみてください。
ポイント③支援員とあなたの相性がいいかどうか
3つ目のポイントは、「支援員の性格があなたに合っているかどうか」です。
カウンセリングや通院と同様に、どうしても支援員との相性というものはあります。
就労移行支援をスムーズに進めるためには、あなたの性格と支援員の性格が合っているか、事業所の雰囲気がいいと感じられるか、各スタッフとの交流で違和感がないかなどの点は、利用を検討している各事業所に確認した方がいいでしょう。
相性を確認する手段としては、やはり見学や体験通所がもっとも有効です。
こちらで解説したとおり、無料見学、無料体験を行っている事業所はたくさんあります。
ぜひそうした機会を活かして、自分の性格とマッチした支援員が多くいそうな事業所を探してみてください。
ポイント④あなたが希望する職種への就職実績があるかどうか
4つ目のポイントは、「あなたが希望する職種への就職実績があるかどうか」です。
例えば「プログラマーになりたい」というはっきりした意志がある場合は、プログラマーの就職実績が豊富な事業所がオススメ、ということです。
プログラマーとして必要なスキルが学べる講座や、紹介できる就職先の候補がたくさんあることが想定されるからです。
「こういう職業に就きたい」と考えている方は、就労移行支援事業所への問い合わせの際に、かならず希望する職種での就職実績があるかを、利用を検討している各事業所に確認しましょう。
ただし、実績のない事業所であっても、該当する講座があって、かつ①〜③のポイントが気に入った事業所の場合などは、総合的に検討して入所することも考えられます。
就労移行支援で実際に行われている支援事例3選
この章では、キズキビジネスカレッジ(KBC)の利用者の体験談に基づき、就労移行支援で実際に行われている支援事例を紹介します。
ただし、紹介する支援事例は、あくまでキズキビジネスカレッジ(KBC)のものです。ほかの就労移行支援事業所でも、同様の支援が行われているとは限りません。
ですが、支援事例を知ることで、就労移行支援事業所に通うことをイメージしやすくなるかと思います。ぜひ参考にしてみてください。
支援事例①自己理解のサポート
1つ目の支援事例は、自己理解のサポートです。
ASD(自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)の特性があり、ライターとして独立するためにキズキビジネスカレッジ(KBC)を利用し始めたTさんは、キズキビジネスカレッジ(KBC)の自己理解に関する講座が、大きく役立ったそうです。
文字どおり、「自分についての理解」を深めるために様々な方法を学ぶ講座です。この講座を通じて、「無意識のうちに、ついつい自分が陥りがちなマイナスの思考法」を知って、思考を柔軟にするハウツーを学んでいます。
私の場合、「~をしないといけない」「~でないとおかしい」という、「~すべき思考」が強かったことがわかりました。
~~中略~~
また、それだけでなく「自己理解面談」として、精神保健福祉士のスタッフさんと二人で次のような対話もして、自分の心を整理しています。
「なぜ、ライターとして仕事をしたいのか?」「このような状況のとき、あなたはどうするか?」
対話を通じて、ライターとしての仕事をして、継続するためには、自分がどのような心持ちをしたらいいのかを、サポートしてもらっています。
このように、自己理解が深められると、健康を維持しやすくなったり、今後の働き方について深く考えられるようになったりするため、これからの人生の「生きやすさ」にもつながるのです。
Tさんの体験談をより詳しく知りたい人は、以下の体験談をご覧ください。
支援事例②スキル向上の支援
2つ目は、スキル向上の支援についてです。
キズキビジネスカレッジ(KBC)の利用者であるMさんは、もともとフリーランスのライターとして活動していましたが、発達障害の特性や収入面の厳しさから限界を感じていました。
そんな時に、Webライティング講座を行っているキズキビジネスカレッジ(KBC)を見つけ、通所を決めたそうです。
現在は、これまで仕事で培ってきたライティングスキルを一層高めるための「Webライティング(SEO・Google検索で上位になりやすい記事の書き方)」の講座などを受講しています。
記事に必要な要素を短時間でリサーチ・構成し執筆する技法は、スキルの向上につながっています。
~~中略~~
今後は、「Webライティング」の講座で学んだことを活かして、防災をテーマにした文章を書いてみたいです。
私は兵庫県西宮市の生まれで、27年前(1995年)の阪神淡路大震災で被災しました。当時はライフラインが使えずにつらい思いをしたので、「災害への備え」が一番伝えたいテーマです。
このように、就労移行支援事業所は、自分自身のスキルや強みを、さらに伸ばす機会としても活用できます。Mさんの場合は、Webライティングのスキルでしたが、ほかにも様々なスキルを学ぶことができ、今後の就職や独立への自信につながるでしょう。
Mさんの体験談をより詳しく知りたい人は、以下の体験談をご覧ください。
支援事例③ES・面接対策などの選考対策
3つ目の支援事例は、ES・面接対策などの選考対策です。
Iさんは、大学卒業後にフリーランスの動画編集者として働いていました。しかし、仕事をする中で、ASD(自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)とADHD(注意欠如・多動性障害)の特性から、悩みや困りごとを抱えるようになったそうです。
そして、自分の特性を活かせる仕事を探す中で、キズキビジネスカレッジ(KBC)の存在を知り、通所を決めました。
就労移行支援事業所を利用する中で特に役立ったのが、就職活動の中で行うESや面接対策などの選考対策だったそうです。
就職活動にあたって、KBCの履歴書・エントリーシート(ES)対策と、面接対策はすごく役立ちました。
大学新卒時に就活を行っていないということもあり、「こうするんだ」と新鮮な印象を受けながら学びました。
特に履歴書・ESでは、「まずは自分なりに書いたもの」をスタッフの米倉さんに見てもらって、「この視点が抜けてる」「ここはもっとアピールできる」などのアドバイスを受けて、ブラッシュアップしていくことができました。
このような選考対策を行った結果、Iさんは自身の特性を活かせる職場への就職が決まり、現在は充実して働いています。
就職活動の経験がないから不安な人や、病気や障害の特性から就職活動を1人で行うのが難しいという人でも、就労移行支援を利用することで、安心して就職活動を進められるのです。
Iさんの体験談をより詳しく知りたい人は、以下の体験談をご覧ください。
就労移行支援を利用した人の体験談4選
この章では、キズキビジネスカレッジ(KBC)の利用者による就労移行支援を利用した人の体験談を紹介します。
こちらで紹介した支援事例と同様に、あくまでキズキビジネスカレッジ(KBC)を利用した人の声です。また、それぞれ個人の感想・意見となります。
とはいえ、就労移行支援を利用するかどうかを検討するための判断材料になるはずです。個人の感想・意見であると捉えた上で、ご自身の今後について考えるためのヒントにしてみてください。
体験談①自分のことがわかるようになった
Y.Mさんは、現在、大東コーポレートサービス株式会社 RPA推進事業部に所属し、アシスタント契約・パートタイムで、4日出社、1日在宅の週5日勤務で働いています。
幼少期から自分のことがわからないことで苦労することが多く、大学卒業後に就職した職場は2ヵ月で離職、その後も転職を繰り返し、うつ病とADHD(注意欠如・多動性障害)の診断を受けたそうです。
しかし、キズキビジネスカレッジ(KBC)の就労移行支援を利用したことで、自分のことがわかるようになり、今の仕事に就くことができました。
KBCは、「自分」や「障害・特性」を知ることに繋がる講義が多いことも特徴です。
私自身について、「無理をしたらすぐに心身に影響が出る」「考えごとをすると体力を多く消耗する傾向がある」「睡眠は、時間だけでなく、質も意識しないと体力を回復できない」などがわかりました。
自分についての理解が深まることで、学生時代に苦労していた自己理解・履歴書作成に役立つとともに、「仕事」以外の部分でも今後を生きやすくするためのポイントを知ることができました。
Y.Mさんの体験談をより詳しく知りたい人は、以下の体験談をご覧ください。
体験談②「好きなこと・やりたいこと」に目を向けられるようになった
Hさんは、就労移行支援を受けることで、自分の好きなこと・やりたいことに目を向けられるようになりました。
Hさんが、自分自身にADHD(注意欠如・多動性障害)があることを知ったのは、社会人になってからだったそうです。当時のHさんは公務員として働いていましたが、ADHD(注意欠如・多動性障害)の特性による仕事上のミスや人間関係の悪化があり、辛い状況が続いていました。
職場の担当医のすすめで休職することとなり、はじめは就労移行支援に対して抵抗がありましたが、キズキビジネスカレッジ(KBC)を利用することを決意しました。
実際に通所してからは、発見の連続でした。
特に、自己理解講座を通して自分自身の特性を理解できたことは、大きな気づきになりました。
自分が「どうしても苦手にしていたこと」は、自身が持つ「ADHD(注意欠如・多動性障害)の特性的に難しいこと」だったのだと理解したときには、どこかすっきりとした気持ちになりました。
それまでは、「自分は周りと違う」「周りと同じことは自分にはできない」と、自身を責めるばかりでしたが、それはADHD(注意欠如・多動性障害)の特性なのだと気づけた瞬間に、そういった思い込みを切り離すことができるようになったのです。
「自分にできることは何か」「特性を活かせることは何か」と、自身の特性を前向きに見つめ直すことができるようになったのは、大きな成果だと思っています。
Hさんの体験談をより詳しく知りたい人は、以下の体験談をご覧ください。
体験談③メンタル・スキルの両面で自信を持てた
Oさんは、キズキビジネスカレッジ(KBC)の講座やスタッフのサポートによって、メンタル・スキルの両面で自信を持てるようになったそうです。
Oさんは、学生時代に7年間のひきこもりを経験。その後、適応障害であると診断されました。
ひきこもりから社会復帰を目指す中で、さまざまなアルバイトを経験していましたが、本格的な就業をしたいという思いが強くなり、キズキビジネスカレッジ(KBC)を利用し始めました。
キズキビジネスカレッジのプログラムは、すぐに実践に移せて、自信を得るきっかけにつながるものが多かったです。
例えば、そのひとつに「Microsoft Office基礎講座」があります。
特にエクセルを利用するスキルについては、大きく成長できた実感があります。
~~中略~~
そして「睡眠講座」は、自身の生活習慣を変える大きな機会になりました。
もともと生活リズムの乱れから、毎日の睡眠時間もバラバラで、立て直しが必要な状態でしたが、適切な知識とアドバイスが得られることで、徐々に改善の傾向が見られました。
講座の他には、スタッフの方との「月1回の面談」も自分にとっては有意義でした。
積極的に相談をすることが苦手な私にとっては、とても貴重な機会でしたし、面談の度に新たな「気づき」を得ることもできました。
こうして、様々な講座や面談を通して、スキルとメンタルの両面から自信をつけることができたのです。
Oさんの体験談をより詳しく知りたい人は、以下の体験談をご覧ください。
体験談④配慮を得られる環境で働けるようになった
Sさんは、就労移行支援を利用したことで、自身の特性への配慮が得られる環境で働けるようになりました。
Sさんは、発達障害の特性から、マルチタスクが求められる料理人の仕事についていけず退職し、働くことに対して不安を感じていました。特に、自分には強みがないという思いが強かったそうです。
そこで、自分の強みを見つけるため、専門的なスキルを身につけられるキズキビジネスカレッジ(KBC)を利用することを決意しました。
さまざまな講座や周りの利用者さんやスタッフとの交流を通して、自信を持てたSさんでしたが、スキルを身につけると同時に、働くことに関する知識や発見、気づきをたくさん得られたそうです。
「障害者枠」に対する印象が大きく変わったことは、私にとって一番大きかったです。
以前の私は、「障害者枠で働くことは、一般枠に比べてやりがいは少ない」と考えていました。しかし、KBCのスタッフの方のサポートの元、インターンや説明会に参加すると、その印象は一変しました。
いざ自身で体験してみると、何ら一般枠と変わらないやりがいを得られることがわかったのです。現に、私が今の会社に就労できたのは、その発見との出会いがあったからだと思っています。
その発見により、自身の就労における選択肢を広げたことで、無事に就職を実現できました。KBCを通じて、その発見をすることができなかったら、私は今の仕事に出会えていないと思います。
Sさんの体験談をより詳しく知りたい人は、以下の体験談をご覧ください。
就労継続支援と就労定着支援との違い
この章では、就労移行支援と就労継続支援、就労定着支援との違いについて解説します。
就労継続支援との違い
就労移行支援と、就労継続支援は、名前が似ているために違いがわかりづらいこともあります。
就労継続支援とは、病気やケガ、障害などが原因で就労が困難な人に向けて、知識や能力を向上させるために必要な就労の機会や生産活動の機会を提供する福祉サービスのことです。(参考:厚生労働省「障害者の就労支援対策の状況」、厚生労働省「令和3年社会福祉施設等調査の概況」、厚生労働省「障害者の就労支援について」)
個々の状況やニーズに合わせて、仕事の技能向上や職場への適応支援などの幅広いサポートを提供します。
就労継続支援は、以下の2種類に分かれます。
就労継続支援事業所は、障害のある人の日常生活や社会生活の支援を目的とする障害者総合支援法(旧・障害者自立支援法、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)の施行に伴い、「共同作業所」や「授産施設」に変わるものとして設立されています。(参考:厚生労働省「障害者自立支援法」、e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」)
就労移行支援と就労継続支援を比較すると、以下のとおりです。
- 対象:病気や障害のある人で就労を目指す人
- 目的:就職・独立のための支援
- 利用期間:最長24か月
- 工費・賃金:事業所による
- 対象:就職が困難または不安を持つ、病気や障害のある人
- 目的:配慮のある職場での就労と能力向上
- 利用期間:なし
- 工費・賃金:あり
就労継続支援については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
就労定着支援との違い
職場定着支援とは、疾患や障害のある人が、就労先の労働環境や業務内容に順応し、長く働き続けられるように支援する福祉サービスのことです。以前から就労移行支援にあった職場定着支援だけを独立させたものです。
就労移行支援の開始以降、自立を目指して働く障害のある人が増えたことから、2018年4月にスタートしました。
一般雇用と障害者雇用いずれの人も利用可能です。
就労移行支援と就労定着支援を比較すると、以下のとおりです。
- 対象:病気や障害のある人で就労を目指す人
- 目的:就職・独立のための支援
- 利用期間:最長24か月
- 工費:事業所による
- 対象:生活介護、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援を利用して就職した、病気や障害のある人など
- 目的:就職後、退職せずに長く働けるようにするための支援
- 利用期間:最長3年間(1年ごとに更新)
- 利用料:住民税が非課税の場合はなし、前年の年収204万円以上の場合は自己負担あり(月額3500円など)
就労定着支援では、就職先の企業やご自宅での定期面談を通じた、生活リズム、家計、体調の管理などに関する指導や助言、場合によっては、企業や関係機関などとも連絡調整を取って問題解決の方法を模索します。
なお、就労定着支援を提供できる事業所は国の指定によって決まります。就労移行支援事業所と定着支援事業所は厳密には異なりますが、就労移行支援事業所が定着支援事業もあわせて実施しているケースがほとんどです。
就労定着支援を受けたい場合、まずは過去にサービスを受けた就労移行支援事業所に問い合わせてみるとよいでしょう。(参考:厚生労働省「障害者の就労支援について」)
就労定着支援については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
就労移行支援事業所に関するよくある質問4選
この章では、就労移行支援事業所に関するよくある質問を紹介します。
就労移行支援に対する不安や疑問をお持ちの人は、ぜひご覧ください。
Q1.複数の就労移行支援事業所を同時に利用することは可能?
複数の就労移行支援事業所を同時に利用することは、通常できません。これは現実的に、同じ日に複数の就労移行支援事業所を利用することはできないからかもしれません。
複数の就労移行支援事業所を同時に利用するのではなく、体験入所で自分に向いてる事業所を見つけたり、入所したが合わなかったときには、こちらで紹介するように、利用する事業所の変更を行ったりしてみましょう。
Q2.入所した就労移行支援事業所が自分に合わなかったら?
入所してから利用している就労移行支援事業所が自分に合わないと感じた場合は、現在在籍している事業所を退所して、別の事業所に入所することが可能です。
事業所の変更によるペナルティや変更回数制限などはなく、障害者福祉サービス受給者証に記載の期間や事業所のスタンプが切り替わるだけになります。
Q3.就職先が合わなかったら?
就労移行支援事業所を利用して就職したが、結果としてその就職先が合わなかった場合は、退職しても問題ありません。
就労移行支援の利用期間内であれば、退職後に再度就労移行支援を利用することもできます。ただし、同じ事業所の利用ができない自治体もあるため、注意してください。
ただし、誰にも相談せずにすぐに退職することはオススメしません。
職場定着支援の一環として、本人、就労移行支援施設、就労先の三者で、就労環境や待遇の変更に向けて話し合うことが可能です。まずは、会社と就労移行支援事業所に相談しましょう。
Q4.仕事をしながら、または学校に在籍しながら利用することは可能?
仕事をしながら、または学校に在籍しながら就労移行支援事業所を利用できるかどうかは、自治体によって異なります。一概には言えませんが、一般的にはできないことが多いです。
ただし、休職中に復職を見込んだ職業訓練の一環として通うことは可能な場合があります。
また、休職者を対象とするリワークプログラムを実施している事業所もあります。
学生については、厚生労働省の規定する以下の条件に該当する場合に利用できます。(参考:厚生労働省「障害者の就労支援について」)
- 学校や地域における就労支援機関等による就職支援の実施が見込めない場合、又は困難である場合
- 卒業年度であって、卒業に必要な単位取得が見込まれており、就労移行支援の利用に支障がない者
- 本人が就労移行支援の利用を希望し、就労移行支援の利用により効果的かつ確実に就職につなげることが可能であると市町村が判断した場合
自分ひとりで、利用可否を判断せず、自治体や利用を検討している事業所に確認してみましょう。
ビジネススキルを学びながら時給1500円を稼げる!キズキBPOがスタート
就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)は、2023年11月1日から、利用者さまに工賃・報酬をお支払いするプログラム・キズキBPOをスタートいたしました。
BPOとは、ビジネス・プロセス・アウトソーシングの略称で、企業の業務プロセスを一括して外部に委託する、アウトソーシングの一種のことです。
キズキBPOは、就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)の利用者にライティング業務・PR記事の改善提案を委託し、工賃・報酬をお支払いする新しい事業です。
この事業によって、利用者さまは、工賃・報酬を得ることで、利用中の生活基盤を安定させられると同時に、実践的なスキルアップを行いながら就職を目指せるようになります。
就労移行支援事業所を利用したいがアルバイトしないと生活が苦しいという人、ライティングのスキルを実践形式で高めて就職につなげたいという人には最適です。
キズキBPOの詳細については、以下のページをご覧ください。
まとめ:就労移行支援が気になる方は気軽に相談を
就労移行支援の利用対象者・利用料などは、国の定めに則っているため各事業所で共通していますが、職業訓練の内容などは事業所によって異なります。
それぞれに強みがあるだけでなく、あなたに合った雰囲気かどうかなどを考慮するためにも、まずは興味を持った就労移行支援事業所に気軽に相談してみてください。
就労移行支援事業所は、就職を検討しているあなたの味方になってくれるはずです。
このコラムが就労移行支援事業所の利用を検討しているあなたの助けになることを祈っています。
就労移行支援で受けられる支援内容を知りたいです。
就労移行支援で受けられる支援内容は、主に以下のとおりです。
- 基本スキルの習得
- 専門スキルの学習
- 体調管理やメンタル面の相談
- 就職活動のサポート
- インターン先の紹介と職場探しの手伝い
- 就職後の職場定着支援
詳細については、こちらで解説しています。
就労移行支援を受けるメリットとはなんですか?
一般論として、以下が考えられます。
- 生活リズムを整えられる
- 個人に合った支援・サポートを受けられる
- 自己理解ができる
- 集団でのコミュニケーション力・協調性が身につく
- 専門スキルを身につけられる
- 相談しながら就職活動ができる
- 就職後に相談できる
詳細については、こちらで解説しています。
監修キズキ代表 安田祐輔
発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。
【著書ピックアップ】
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』
Amazon
翔泳社公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)
【その他著書など(一部)】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)
うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。2024年10月現在、首都圏・関西に6校舎を展開しています。トップページはこちら→