精神障害者雇用とは? 雇用するときに確認すべきことや企業ができることを解説 | キズキビジネスカレッジ  

精神障害者雇用とは? 雇用するときに確認すべきことや企業ができることを解説

こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。

「精神障害のある人を雇用するとき、気をつけることは?」「長く働いてもらうためにはどうしたらいいのだろう?」精神障害のある人を雇用するにあたって、企業はこのような不安を感じているでしょう。

一定の要件を満たした企業は、障害のある人を雇用することが義務づけられています。

2022年に厚生労働省が発表した「令和4年 障害者雇用状況の集計結果」によれば、精神障害のある人と知的障害のある人の雇用が増えています。(参考:厚生労働省「令和4年障害者雇用状況の集計結果」

精神障害のある人を雇用する際のポイントは、専門家と連携することと障害の特性や症状について正しい知識を身につけることです。

また、本人に必要な配慮やサポートを把握して、負担がかかりにくいようにしましょう。

この記事では、精神障害のある人を雇用する企業の方々に向けて、精神障害者の雇用の概要と、面接および雇用にあたってのポイントを解説しています。

また、障害のある本人に向けて、雇用を支援する機関や制度にもふれています。

この記事を読むことで、精神障害のある人を雇用する際のポイントを押さえ、安心できる職場環境を整えることができるようになるはずです。

私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、精神障害雇用を検討している人のための就労移行支援事業所です。

  • 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
  • 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
  • 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月

神田・新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。

(精神)障害者雇用とは?

(精神)障害者雇用とは、(精神)障害がある人の就労や労働を支援するための制度です。

制度の目的は以下の2つです。

  1. 障害のない人と共に自らの能力や技能を生かして働けるようにする
  2. 社会的に自立した生活を送れるようにする

厚生労働省は障害のある人と障害のない人が共に働ける環境を目指し、障害者雇用対策を進めています。

障害者雇用促進法により、一定の要件を満たす企業は、障害のある人の雇用が義務づけられています。2018年4月1日からは、精神障害のある人もその対象に加わりました。(参考:厚生労働省「障害者雇用義務の対象に精神障害者が加わりました」

障害者雇用の概要

障害者雇用は、障害の特徴や内容に合わせて働きやすくするための雇用枠です。

障害者雇用は障害のある人に安心して働いてもらうことを目的としているため、一般の雇用枠(一般枠、一般雇用枠)とは就労条件が異なります。

一般の雇用枠とは、障害者雇用以外の雇用枠です。なお、一般の雇用枠へは障害の有無にかかわらず応募できます。

企業が障害者雇用で得られるメリットは以下の3つです。

  1. 法定雇用率を守れる
  2. CSR(企業の社会的責任)や、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)などの観点から、広報になる
  3. 障害のある人が働きやすい環境は、障害のない社員や、子育て・介護中の社員などにとっても働きやすい環境になることが多いため、従業員の満足度が上がりやすい

障害者雇用の条件

障害者雇用で採用するときの条件は、原則、本人が障害者手帳を持っていることです。

障害者手帳とは、障害のある人がその程度や内容によって交付される手帳のことです。障害者手帳は3つあり、それぞれ条件を満たせば発行できます。

手帳の種類と交付対象を以下にまとめました。

手帳の種類と交付対象
  • 身体障害者手帳:身体機能に障害がある人
  • 療育手帳:知的障害がある人
  • 精神障害者保健福祉手帳:精神障害がある人

障害者手帳を所持している人は、さまざまな福祉および支援サービスを受けられます。

障害者手帳について詳しく知りたい人は、下記のコラムから確認してください。

障害者雇用の現状

民間企業における精神障害者雇用の現状を以下にまとめました。(参考:厚生労働省「令和4年障害者雇用状況の集計結果」

なお、データは2022年に厚生労働省が発表した結果に基づいています。

障害者雇用の現状
  • 雇用障害者数:約61万3958人(前年比約2.7%増)
  • 実雇用率:約2.25%(前年約2.20%)
  • 法定雇用率達成企業:約48.3%(前年約47.0%)

2022年には、雇用障害者数、実雇用率ともに過去最高記録を達成しました。

障害の種類別にみると、精神障害および知的障害のある人の雇用が増えています。

雇用障害者数の約61万3958人のうち、精神障害のある人は約10万9764人、知的障害のある人は約14万6462人でした。

以下、前年比を含めてまとめました。

障害の種類別の雇用数
  • 精神障害のある人:約10万9764.5人(前年比11.9%増)
  • 知的障害がある人:約14万6462人(前年比4.1%増)

厚生労働省は、43.5人以上の従業員を雇用している民間企業に対して、障害のある人を1人以上雇用することを義務づけています(※)。

補足

要件を満たす民間企業は、「従業員の2.3%」の障害者雇用が義務付けられています。この義務としての割合のことを、法定雇用率と言います。参考として、公的団体の法定雇用率は民間企業よりも高く設定されています(国や地方公共団体は2.6%、都道府県の教育委員会は2.5%)。(参考:厚生労働省「公務部門における障害者雇用に関する制度」、厚生労働省「障害者雇用のルール|1.障害者雇用率制度」

障害者雇用を最も積極的におこなっているのは、従業員数1,000人以上の大企業です。

また、100~300人未満の中小企業も、半数以上が積極的に取り組んでいます。

なお、障害者雇用の雇い入れに関して、適正実施勧告を受けたにもかかわらず改善がみられない場合、雇入れ計画作成命令や行政指導が実施され、改善が見られない場合は厚生労働省より企業名が公表されます。

公表によるペナルティや罰則はないものの、障害者雇用が義務づけられている企業は前向きに取り組みましょう。

補足:障害者雇用促進法では障害者手帳を取得していない障害のある人も対象だが…

障害者雇用促進法では、障害者手帳を取得していない障害のある人も「障害者雇用」の対象です。(参考:厚生労働省「障害者雇用促進法における障害者の範囲、雇用義務の対象」

しかし、障害者手帳を取得していない障害のある人を障害者雇用で雇用したとしても、障害者雇用促進法上、法定雇用率に算定できません

そのため、企業は障害者手帳を取得していない障害のある人を積極的に採用しない傾向にあります。

精神障害の主な4種類と特徴

精神障害の主な4種類について説明します。

精神障害は、脳の器質的な変化や、神経伝達物質が機能しにくくなったことによって起こります(参考:厚生労働省「精神障害(精神疾患)の特性(代表例)」

精神障害は、誰もがかかる可能性があります。

また、考え方や気の持ちよう、根性論などで改善できるものではありません。

医師による適切な指導やカウンセリングの元、時間をかけて治療します。

種類①統合失調症

統合失調症は100人に1人が発症するといわれている病です。発症する原因は解明されていません。

幻覚や妄想などの症状があることで知られています。生活のさまざまなシーンで影響を及ぼす症状が現れます。

主な治療は服薬やカウンセリングです。

社会との接点を持つことも治療の1つですが、周囲からの理解とサポートが求められます

本人向けの内容になりますが、統合失調症については、下記のコラムが参考になるはずです。ぜひご覧ください。

種類②気分障害

気分障害の主な症状は、感情の揺らぎです。気分が落ち込んだ状態(抑うつ状態)や、高揚した状態(躁状態)を指します。

抑うつ状態のみを認めるときは「うつ病」、躁状態と抑うつ状態を繰り返すときは「双極性障害」と呼びます。

抑うつ状態の特徴は、気持ちがふさぎ込んだり無気力になったりし、死にたいという思いから実行に移そうとすることです。

躁状態は、通常では考えられないような浪費(借金)をしたり不眠不休で働き続けたりします。また、ささいなことでかっとなってトラブルを起こすことがあります。

気分障害における医療は、専門家の指導の下、服薬も含めて家族や周囲の人たちと一緒に本人をサポートすることです。特に金銭や刃物などの管理には気をつけましょう。

本人向けの内容になりますが、気分障害については、下記のコラムが参考になるはずです。ぜひご覧ください。

種類③てんかん

てんかんは、一時的に脳の一部が過剰に興奮して発作が起こります。発作の現れ方は人によって異なるものの、けいれんしたり突然意識を失ったりします。

ただし、専門家の指導を受ける(服薬も含む)ことで一般的な生活を送れます。

発作が起こったときは、本人の安全を確保したうえで専門機関に相談してください。

本人向けの内容になりますが、てんかんについては、下記のコラムが参考になるはずです。ぜひご覧ください。

種類④依存症

依存症は、その行為を繰り返さなければ満足できず自らの意思で止められなくなった状態を指します。結果として家庭および社会生活に悪影響がおよびます。

依存の代表的な対象は以下の3つです。

  • アルコール
  • ギャンブル
  • 薬物

依存症は本人や家族が自覚していないことがあるため、治療が必要であることを理解してもらうことが大切です。

治療にあたっては、家族が同伴して依存症の専門家に相談します。なぜなら、他者からの批判を始めとしたストレスから逃れるためにさらに深くのめり込む可能性があるためです。

依存対象から離れてからも、引き続き経過を観察しましょう。何らかのきっかけでまた依存するリスクがあります。

補足①:高次脳機能障害

高次脳機能障害とは、事故や脳血管障害などによって脳がダメージを負ったことで起こる障害です。外見上の異変がみられないため、見えない障害といわれることがあります。

高次脳機能障害のある人が精神障害を併発している事例や、精神保健福祉手帳を取得している事例は少なくありません。

高次脳機能障害の症状を以下にまとめました。

症状と特徴
  • 記憶障害
  • 物事を記憶しにくくなる、何度も同じことを質問する

  • 注意障害
  • 集中力が低下する、2つのことを同時に進行することが困難になる

  • 遂行機能障害
  • 計画を立てて実行することが難しくなる、効率よく順序立てて行動しにくくなる

  • 社会的行動障害
  • ささいなことでカッとなる、思い通りにいかないときの暴力に訴えることがある

  • 病識欠如
  • 症状が現れていることを自覚しにくくなる、できているつもりで行動してトラブルが起こる

記憶障害がみられるときは、本人と周囲とで認識を確認、一致させるためにアラームやメモなどを使います。

注意障害がある人には、焦らず1つずつ物事をこなせるようなサポートや、こまめな休憩が必要です。

遂行機能障害のある人には、段取りを文書化したりチェックリストを作成したりして目に付くところに掲示するようにしましょう。

社会的行動障害がみられる人には、感情が高ぶったときは、クールダウンのために話題や場所を変えるようにしましょう。また、事前にその日おこなうべきことを確認しておきましょう。

詳しい対応や配慮の仕方については、リハビリテーション専門医やリハ専門職などに相談します。

本人向けの内容になりますが、高次脳機能障害については、下記のコラムが参考になるはずです。ぜひご覧ください。

補足②:発達障害

発達障害とは、生まれつきの脳の発達機能に偏りがあるために起こる障害です。得手不得手の特性や環境、周囲の人とのかかわり方によって社会生活が困難になることがあります。(参考:厚生労働省「発達障害|病名から知る|こころの病気を知る」、宮尾益知『ASD(アスペルガー症候群)、ADHS、LD 職場の発達障害』、NHK健康チャンネル「意図せず体が動く チック症・トゥレット症」、NHK健康チャンネル「言葉がなめらかに出ない吃音症(きつおんしょう)とは」

発達障害のある人が精神障害を併発している事例や、精神保健福祉手帳を取得している事例は少なくありません。

発達障害の主な特性と特徴を以下にまとめました。

特性と特徴
  • ASD(自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)
  • 文字や図形、ものへの関心が高い、見通しの立たない状況で強い不安を抱く、人混みや気温の変化などに敏感

  • SLD(学習障害/限局性学習症)
  • 読み書き、計算が極端に苦手

  • ADHD(注意欠陥・多動性障害)
  • さまざまなものに興味を示す、周囲の環境にかかわらず突発的に行動を起こす

  • チック症、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群
  • 静かにすべき環境でも声が出たり体が動いたりする

  • 吃音症
  • 話すときに言葉がつかえたりどもったりする

すべての特性において重要なのは、専門家に相談しながら本人がやりやすい環境を整えることです。

ASD(自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害)は他者の表情や感情の機微をつかみにくいため、文章や図などを用いて説明すると伝わりやすくなります。

SLD(学習障害/限局性学習症)は、本人が得意な部分を生かして情報を理解しやすくなるように工夫しましょう。

本人が理解しやすいように、文字を大きくしたり行間をあけたりするなどが主な対処法です。

ADHD(注意欠陥・多動性障害)は、短い言葉ではっきりと意図を伝えてください。また、不安を和らげられるようストレスケアの仕方についても検討しましょう。

チック症、ジル・ドゥ・ラ・トゥレット症候群や吃音症では、本人が落ち着いた気持ちで過ごせる環境を構築します。決して本人を笑ったり冷やかしたりしてはいけません。

本人向けの内容になりますが、発達障害については、下記のコラムが参考になるはずです。ぜひご覧ください。

補足③:HSP

近年メディアで取り上げられることが多いHSP(Highly Sensitive Person/ハイリー センシティブ パーソン)は、医学的に正式な精神障害ではありません。

HSPとは人一倍繊細な人という意味で、持って生まれた気質を指す俗称です。そのため、医師による診断(病気としての治療)ができません。

ただ、病気ではないとは言え、「HSPによると思われる苦しさ・生きづらさがある」という自覚がある人にとっては、病院やカウンセリングに行くのは一つの方法です。

もしかすると、HSPではなく治療可能な病気が見つかるかもしれませんし、HSPという表現をするかどうかはともかく、苦しさ・生きづらさへの対応法が見つかるかもしれないからです。

何にせよ、「悩み事を一人で抱え込まない(ようなサポート)」が大切です。

障害のある人の面接で、企業が確認すべき7つのこと

企業が精神障害のある人の面接をおこなうときに確認すべきことを、7つ紹介します。

①面接する場所の雰囲気や環境

面接する場所の雰囲気や環境を、本人に合わせて整えておきましょう。精神障害のある人との面接では、以下の点に注意して面接場所を選定してください。

  • リラックスしてもらうために和やかな雰囲気を作る
  • 必要に応じて保護者や支援機関のスタッフに同席してもらう
  • 面接中は他者の出入りがないようにする

和やかな雰囲気を作るのは、緊張して通常のパフォーマンスを発揮できなくなる可能性があるためです。

保護者や支援機関のスタッフに同席してもらうと、待遇やルールについての確認がしやすくなります。

他者の出入りがないようにするのは、予測できない事態にパニックになるリスクを回避するためです。

②病気・障害や体調の変化

病気・障害の程度や体調の変化について、本人がどの程度把握できているのかを確認します。ただし、障害について根ほり葉ほり尋ねるのはプライバシーにかかわります

目的や理由を明らかにしたうえで、以下の内容に関してのみ質問しましょう。

  • 障害と治療の状況
  • 業務中に通院する可能性があるかどうか
  • 症状が出たときに自分で対応できるかどうか
  • 得意な業務と不得手な業務
  • 1日あたりの労働時間

当事者がコンディションを把握できていれば、どのようなサポートが必要かを考え、提案しやすくなります。

③本人が求めるサポート

本人が会社側に求めるサポートがあるかどうかを確認します。確認が取れたら、サポートの方法や実施する時期について双方で条件をすりあわせましょう

気をつけたいのは、会社側の判断でおこなうサポートが本人のモチベーションを下げたり、プライドを傷つけたりする可能性があることです。

例えば、作業に集中してもらえるよう静かな環境を用意したとします。静かな環境での作業を希望していなかった場合、業務へのモチベーションを下げ、疎外されていると感じさせる可能性があります。

そのため、必ず本人に確認を取ってから実施しましょう。

④本人が担当できる業務の範囲

本人が担当できる業務の範囲を把握して、スムーズに作業できるようにします。

業務内容や部署を決めるときは、本人の希望や能力をヒアリングしたうえで、確認を取りながら進めましょう

部署や業務内容、範囲を決めるときの目安を以下にまとめました。

  • 希望する職種や業務
  • 専門知識や資格、スキルの有無
  • 出張や異動に対応できるかどうか
  • 苦手な作業の有無とその内容

会社側であらかじめ配属先や業務内容の見通しが立っているときは、その旨を伝えて本人の希望や求めるサポートなどについて聞きましょう。

⑤通勤手段

通勤手段を確認する理由は3つです。

  • 通勤手当において規定外の方法や経路でも給付できるかを確認するため
  • (重度障害者等通勤対策助成金を受給して)通勤援助者や駐車場の用意が必要かを検討するため
  • 通勤中の本人の安全を確認するため

本人に確認すべきは以下の2つです。

  • 通勤手段
  • 想定される通勤時間

2点の確認ができたら、社内規定と助成金の支給にどのような影響が出るかを社内で検討してください。

⑥日常生活を送るうえでの不安の有無

日常生活における動作に不安があるかどうかを確認します。

以下の日常的な動作は、障害のある人にとって難しいケースがあります。社内での理解を深めるために、以下の4点について本人に確認しましょう

  • 規則正しい生活を送れているか
  • 身だしなみを整えられるか
  • コミュニケーションを取れるか
  • 冷静な対応ができるかどうか

精神障害のある人は、周囲とのかかわり方に不安を持っていたり突然の事態に冷静に対応できなかったりします。苦手なことや不安があることを把握しておくと、障害のない人と共に働くうえで業務を進めやすくなるでしょう。

⑦コミュニケーションの取り方

コミュニケーションの取り方で、会社側が気をつけることがあるかどうかを確認します。

なぜなら、何気ない一言によって症状を悪化させることがあるためです。

本人を追い詰める言葉として代表的なものは以下の2つです。

  • 頑張って
  • 期待してる

ただし、上記の2つはあくまで例です。上記の言葉でモチベーションがアップする人もいるでしょう。

個々によってキーになるワードは異なります。面談を通して、コミュニケーション上で必要な配慮があるかを確認してください

精神障害のある人を雇用するときのポイント4点

精神障害のある人を雇用するときのポイントを、4点紹介します。

ポイント①医師やカウンセラーに相談できる場所を作る

社内外に医師やカウンセラーに相談できる場所を作ります。

社内に相談室を設置したり、外部と連携したりして本人が悩みや不安を打ち明けられるようにします

また、本人がかかっている医師や支援機関から定期的に状況を聞き出し、本人の心情や状況を把握しておきましょう。ほかに、支援機関による専門的な知識や経験に基づいたケアを受けられるように配慮できます。(参考:厚生労働省「精神障害者雇用事例集「精神障害者とともに働く」事例8中央労働金庫」

ポイント②障害の程度や体調の変化を把握する

障害の程度や体調の変化を把握すれば、業務量や勤務時間を調節できます。

雇用したばかりのとき、れない業務に本人がパニックに陥る可能性があるため、始めは負担の少ない業務を担当してもらい様子をみましょう。

気をつけたいのは、本人がコンディションを過信する可能性があることです。

例えば「今日は体調がよいから」という理由で、残業したり業務を多くこなしたりすることがあります。負担が重くなったために心身の不調を招く恐れがあります。

本人のキャパシティ以上の業務を抱えようとしているときはストップをかけましょう。

ポイント③アルバイトとして採用して様子をみる

アルバイトとして採用して様子をみるのは、勤務時間や業務内容を調節しやすくするためです。

障害がある場合、本人がどの程度の業務をこなせるか、またコンディションの変化に対応できるかがわからないことがあります。

アルバイトとして採用すれば、短時間勤務から徐々に慣れてもらえ、双方の負担を軽減できます。

ポイント④雇用枠を再検討する

雇用枠を再検討するのは、障害者手帳の有無にかかわらず、一般雇用と障害者雇用のどちらでも採用できるためです。

一般雇用枠で雇用したあと、本人の様子から負担が大きいと判断できるときは、障害者雇用に切り替えられます。

ただし、雇用枠を再検討するときは専門家を交えて話し合い、慎重に進めましょう。

ほかにも、障害者雇用として採用してから、本人の能力やコンディション次第で一般雇用に切り替えるケースがあります。

精神障害のある人に安心して働いてもらうために企業ができること7選

精神障害のある人に安心して働いてもらうために、企業ができることを7つ紹介します。(参考:厚生労働省「精神障害者雇用事例集「精神障害者とともに働く」」

①通院や服薬のタイミングを確認して把握する

通院や服薬のタイミングを確認し、把握しておきましょう。(参考:厚生労働省「精神障害者雇用事例集「精神障害者とともに働く」事例3株式会社かんでんエルハート」

あらかじめ通院する日や服薬の時間帯を把握しておけば、本人が忘れていたときに声をかけて促せます。

タイミングがわかっていれば、業務を任せる範囲や量を調節しやすくなるでしょう。

株式会社かんでんエルハートでは、業務日誌から精神障害のある人たちのコンディションを把握できるようにしています。

精神障害のある人のなかには、食事を取らずに食後の薬を服用することがあります。その後、本人の体調がすぐれない様子がみられれば、声をかけられるでしょう。

また、体調や気分の変化は本人の筆跡からも把握できます。

このように、精神障害のある人たちに体調や気分の変化を記録してもらい、企業側で確認できる適切な方法を検討してみてください。

②コンディションに配慮する

コンディションに気を配り、休憩を取るよう促してください。特に就業したばかりのときは、気が張っていて本人が気づかないところで大きなストレスがかかっている可能性があります。

また、本人からも休憩の旨を伝えやすいよう、コミュニケーションの取り方や話し方に配慮しましょう。(参考:厚生労働省「精神障害者雇用事例集「精神障害者とともに働く」事例3株式会社かんでんエルハート」

株式会社かんでんエルハートは、就労初期は毎月4回、社内カウンセラーによるカウンセリングの場を設けています。障害のある人たちの適用状況により、回数は徐々に減らしていきます。

③業務の進捗をこまめに確認する

業務の進捗をこまめに確認して、本人の作業ペースを把握します。(参考:厚生労働省「精神障害者雇用事例集「精神障害者とともに働く」事例1 SMBCグリーンサービス株式会社」

スケジュールや進捗管理が不得手な場合、納期や期限が決まっている作業が進みにくいことでパニックを起こす可能性があります。

落ち着いて作業してもらうために、本人に合った方法で進捗管理できるようにしましょう。

進捗管理に使えるツールとして挙げられるのは、手帳や付箋、スマホアプリなどです

また、精神障害のある人は、業務に集中しすぎてオーバーワークになりやすいことがあります。SMBCグリーンサービス株式会社では業務日誌に「80%を意識して仕事をしよう!」と表記して、心身の負担を軽減できるように努めています。

④就労支援機関との連携を強化する

就労支援機関との連携を強化すると、第三者・専門家の視点から職場の環境や業務内容を判断してもらえます(参考:厚生労働省「精神障害者雇用事例集「精神障害者とともに働く」事例8中央労働金庫」

例えば、企業が被雇用者に、段ボールにシールを貼る作業を任せたとしましょう。

送り先に応じてシールを貼り分けたりシールを貼る場所が異なったりする場合、障害の種類や程度によっては、混乱してうまく働けない可能性があります。

このように、障害のない人からの視点では、当事者に負担の大きな作業であるということはわかりにくいため、業務のミスマッチが起こる可能性があります。

就労支援機関と連携して、本人の能力や技能と業務が一致しているかを判断してもらいましょう。

例えば、中央労働金庫では、業務依頼書やマニュアルの内容が障害のある人にとって分かりやすいかを確認してもらっています。

⑤社内に相談室と休憩室を設ける

社内に相談室と休憩室を設けて、いつでも利用できるようにすると、さらに職場環境の向上につながるでしょう。(参考:厚生労働省「精神障害者雇用事例集「精神障害者とともに働く」事例1SMBCグリーンサービス株式会社」

例えば、SMBCグリーンサービス株式会社の場合は、以前まで倉庫として活用していたスペースを相談室と休憩室に改修しています。相談室は会話の内容が外に聞こえないように、遮蔽性を高めるなどの配慮もしています。

この事例と同様に、休憩室や相談室は社内の空きスペースや使用頻度の低い部屋を活用できるでしょう。

休憩室があれば、就業中に体調に変化があったとき薬を飲んだり呼吸を整えたりできます

また、仕事中のストレスや不安などへの対処法を相談できれば、安心して働いてもらえるでしょう。

⑥精神障害のある人が働きやすい勤務時間を定める

精神障害のある人が働きやすい勤務時間を定めることで、負担を軽減しながら働いてもらえます(参考:厚生労働省「精神障害者雇用事例集「精神障害者とともに働く」事例5第一生命チャレンジド株式会社」

第一生命チャレンジド株式会社では、就労支援機関のスタッフや本人と話し合って個々の状況に合わせて勤務時間を調整できるようにしています。短い人は1日4時間、長くても1日6時間から始められるようにしました。

その後、1カ月ごとに振り返って時間を延ばしたり短くしたりしています。

このように、勤務時間を決めるときは、本人の状態を把握できている主治医や就労支援機関のスタッフなどを交えて話し合ってください

専門家による的確な判断とアドバイスに基づいて、本人と確認を取りましょう。

⑦精神保健福祉士による面談で当事者の不安や悩みをヒアリングする

精神保健福祉士とは、精神障害のある人の相談や援助をおこなう専門家です。

外部と連携する、または直接雇用するなど、精神保健福祉士による面談を受けられるような体制を整えましょう(参考:厚生労働省「精神障害者雇用事例集「精神障害者とともに働く」事例8中央労働金庫」

面談を受けられるようになれば、精神障害のある人の不安や悩みをヒアリングしてもらえます。

そのなかで改善できるところや対処できるところがないかを検討して、実施できるかどうかを本人と確認しながら進められます。

精神保健福祉士には精神面での不調だけではなく、業務中の変化にも対応してもらえるためきめ細かいサポートが可能です。

精神障害のある人を採用するときの4つの課題

精神障害のある人を採用するとき、企業がクリアすべき課題を4つ紹介します。

課題①本人が担当できる業務の範囲を明確にする

本人が担当できる業務の範囲を明確にするのは、コンディションを安定させるためです。

障害の特性によっては、業務量が把握できないことで不安になったり作業を進められなくなったりすることがあります。

明確になった作業量や業務範囲は、社内で共有しましょう。第三者から想定外の仕事を任されるリスクや、一定の業務のみを担当していることをとがめられるのを回避するためです。

課題②障害に関する知識や対応の仕方を共有する

障害に関する知識や対応の仕方を共有して、社内スタッフ間の認識を一致させましょう。

本人が抱えている障害の特性や、どのようなことに困っているのかがわかれば、いざというときにも慌てずに対応できるためです。

また、待遇や業務量について、その目的や理由を説明するうえでも役立つでしょう。

課題③組織のルールを共有して認識を一致させる

組織のルールを障害のある人と共有し、双方の認識を一致させます。

組織として働く以上、自社の規則ややり方に従う必要があるでしょう。そのため、規則ややり方について障害のある人と共有して、できることとできないことを明確にしてください

求める対応のなかで障害のある人にとって難しいことがあるときは、どのように対処すればよいかを検討しましょう。

ルールを共有するときは、本人にとって理解しやすい方法で提示してください。提示の仕方は図や文章、スライドショーなどがあります。(参考:障害者職業総合センター「精神障害者雇用管理ガイドブック」

課題④相談しやすい空気を作る

相談しやすい空気を作り、障害のある人が不安を抱えたままにならないようにしましょう。

例えば、就労前は「何でも相談してくださいね」と言われていたとします。実際には仕事が忙しく、スタッフに余裕がないため相談できる状況ではなかったということがあります。

安心して業務に取り組めるよう、配属先や担当してもらう業務を慎重に検討してください。

在職職員が精神障害を負ったときの対応の仕方

参考として、「精神障害のある人を雇用するとき」のことではなく、「在職職員が精神障害を負ったとき」に企業が行うべき対応を紹介します。

  • 服薬や通院のタイミングを確認する
  • 業務範囲や量を調整する
  • 症状への不安を和らげる方法を検討する

服薬や通院のタイミングを確認して、負担にならないように勤務時間や日数を調整しましょう。同時に、業務範囲や量について、本人や医師と話し合って決めてください。

社内で症状が出たときにどのように対処できるかを話し合い、支援機関やカウンセラーとの連携を検討します。

こちらで解説した通り、障害者手帳を取得していない障害のある人も障害者雇用の対象です。

そのため、本人が障害者手帳を取得していなくても、一般雇用から障害者雇用に切り替えることは可能です。

ただし、その場合は法定雇用率に算定できないため注意が必要です。法定雇用率に算定できるのは、本人が障害者手帳を取得している場合のみです。

手帳の取得に関しては非常にデリケートな話題です。そのため、専門家や支援機関と話し合って慎重に検討してください。また、雇用枠の切り替えに関する細かい手続きなどについては、社労士などの専門家に確認してください。(参考:一般社団法人日本作業療法士協会「精神障害を発症した社員を、障害者雇用に切り替えるべきか?」

精神障害のある人の雇用を支援する制度8選

この章では、精神障害のある人の「働く」や「生活」を支援する制度を紹介します。

「障害者雇用を行う企業向け」ではなく「障害のある本人向け」の内容ですが、企業としても知っておくと、本人に必要なサポートに繋げやすくなると思いますので、参考としてご覧ください。

制度と内容
  • 自立支援医療制度
  • 病気やけがで仕事を休む人のための制度。健康保険に加入している本人とその家族が対象

  • 障害年金
  • 障害のために日常生活や仕事が困難な人のための制度。年金加入者かつ20歳以上の人が受け取れる

  • 特別障害者手当
  • 精神か身体に重度の障害がある人のための制度

  • 特別障害給付金制度
  • 国民年金に加入しておらず障害年金を受け取れない人のための制度

  • 心身障害者医療費助成制度
  • 重度の心身障害者の医療費を一部または全額負担する制度

  • 生活困窮者自立支援制度
  • 仕事や住まいに困窮している人を支援する制度。困窮している人の自立を促す

  • 生活保護
  • 生活に困窮している人の状況に合わせて金銭を給付する制度。審査が厳しく却下される可能性がある

  • 生活福祉資金貸付制度
  • 低所得者や障害者に低金利で融資する制度。障害者の場合は手帳の所有が前提

制度①自立支援医療制度

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自立支援医療制度とは、心身の障害を医療によって除去、軽減する際の医療費の自己負担額を軽減するための制度です。支援対象にはうつ病も含みます。

自立支援医療は以下の3つです。

  • 精神通院医療(精神疾患の治療など)
  • 更生医療(身体障害にかかわる治療など)
  • 育成医療(身体障害がある子どもにかかわる治療など)

通常の医療費の自己負担は3割ですが、自立支援医療制度を利用すると原則1割にまで抑えられます。ただし、適用されるのは指定された医療機関や薬局のみです。

なお、負担額には上限が設けられており、上限は本人の収入によって変動します。また、負担額が上限を超えたときは免除されます。(参考:厚生労働省「自立支援医療制度」

自治体の窓口や病院にて、申請や問い合わせを受け付けています。自治体に設置されている「障害者生活支援センター」でも相談を受け付けています。

制度②障害年金

障害年金とは、病気やけがによって日常生活や仕事に支障が出たときに受け取れる年金です。年金を受け取る条件は、年金加入者かつ20歳以上であることです。 病気やけがが治るまでは、生涯にわたって受給できます。

障害年金を申請できるのは「障害認定日」といって、障害が確定した日からです。

障害が確定したといえるのは、以下の3つのケースです。

  • 初診日から1年6カ月が経過している
  • 1年6カ月以内に治った日(症状が固定され、治療の効果が期待できなくなった日を含む)
  • 先天性障害者の20歳の誕生日(誕生日の前日)

障害年金について詳しく知りたいときは、以下のコラムを参考にしてください。

制度③特別障害者手当

特別障害者手当とは、精神か身体に重度の障害がある人のための制度です。日常的に特別な介護が必要な障害のある人に対し、精神的または物質的な負担を軽減するための手当を支給します。

支給額は2万7980円(令和5年4月現在)です。申請先は各自治体の窓口です。

詳しく知りたいときは、以下の厚生労働省のページから確認しましょう。

制度④特別障害給付金制度

特別障害給付金制度とは、国民年金に加入していないために障害年金を受け取れない人を対象にした制度です。

障害基礎年金や障害厚生年金などを受給できる人は対象外です。

支給額は以下のとおりです。

障害の等級と金額
  • 障害基礎年金1級に相当する場合:基本月額5万3650円
  • 障害基礎年金2級に相当する場合:基本月額4万2920円

詳しく知りたいときは、日本年金機構の以下のページより確認してください。

制度⑤重度心身障害者医療費助成制度

重度心身障害者医療費助成制度とは、重度の心身障害のある人の医療費を、一部か全額負担する制度です。助成されるのは、一般的に各種医療保険の自己負担から一部負担金を差し引いた金額または全額です。

ただし、助成の内容や受給条件などは自治体によって異なるため、問い合わせて詳細を確認しましょう。

制度⑥生活困窮者自立支援制度

生活困窮者自立支援制度とは、仕事や住まいに困窮している人を支援する制度です。

困窮している人の自立を促すことを目的としており、障害の有無にかかわらず利用できます。

要件を満たしていれば家賃相当額の経済的な支援を受けられるほか、経済や就労などさまざまな分野における不安や悩みを相談できます。

生活困窮者自立支援制度が担う支援は幅広いものの、内容や条件は自治体によって異なるため、各自治体の担当課に問い合わせてください。

制度⑦生活保護

生活保護とは、生活に困窮している人の状況に合わせて金銭を給付する制度です。

金銭を給付する目的は以下の2つです。

  • 健康で文化的な最低限度の生活の保障
  • 自立の助長

生活保護で受け取れるお金とその内訳を以下にまとめました。

受け取れるお金と内訳
  • 生活扶助:食費、被服費、光熱費など
  • 住宅扶助:家賃
  • 医療扶助:医療サービスの費用、出産費用など

また、各種年金や税金の支払いが免除されることがあります。

生活保護の申請先は、現住所のある地域を所管する福祉事務所です。ただし、生活保護は申請後の審査が厳しく却下される可能性があるため、申請する前に各自治体の生活保護課に相談しましょう。

うつ病の人が生活保護を受けるための条件や、利用できる公的なサポートについては以下の記事が参考になります。

制度⑧生活福祉資金貸付制度

生活福祉資金貸付制度とは、低所得者や障害者に低金利で医療や介護に必要なお金を融資する制度です。障害者の場合は、障害者手帳を持っていることが前提です。(参考:全国社会福祉協議会「生活福祉資金」

融資は以下の3世帯を対象としています。

  • 低所得者世帯
  • 障害者世帯
  • 高齢者世帯

銀行と比較して低い金利で融資を受けられます。返済の義務がある点に気をつけましょう。

精神障害のある人の雇用を支援する機関5選

精神障害のある人の雇用を支援する機関は以下の5つです。

「障害者雇用を行う企業向け」ではなく「障害のある本人向け」の内容ですが、企業としても知っておくと、本人に必要なサポートに繋げやすくなると思いますので、参考としてご覧ください。

機関①地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、障害のある人と事業主の就職、雇用に関する支援をおこなう機関です。47都道府県に設置され、その地域に根ざしたサービスを提供しています。

ジョブコーチによる支援もおこなっており、作業体験を通して適正や職場への適応能力を身につけられます。

以下の「高齢・障害・求職者雇用支援機構」が公開するページには、全国にある地域障害者職業センターが記載されています。

機関②広域障害者職業センター

広域障害者職業センターは、国内に3か所ある職業評価、指導およびリハビリテーションをおこなっている機関です。

センターは以下の2県に設置されています。

  • 埼玉県
  • 岡山県

職業訓練校で就職にあたって必要な技能や能力を身につけられるほか、医療機関と連携して障害の内容や程度に合わせたサポートをおこなっています。

広域障害者職業センターの詳細な情報は、「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構」にて公開されている以下のページからしましょう。

機関③障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、就職または職場で安定して働けるように支援する機関です。日常生活で支援が必要な障害のある人に対して、以下の関係機関と連携しています。

  • 雇用
  • 保健
  • 福祉
  • 教育

4つの機関と連携しながら連絡調整し、就業と生活の両面をサポートしています。

全国にある障害者就業・生活支援センターについて知りたいときは、厚生労働省が公開している以下のPDFから確認しましょう。

機関④就労移行支援事業所

就労移行支援事業所とは、障害者総合支援法に定められた障害福祉サービスの1つです。就労に向けたトレーニングによって、働くうえで必要なスキルや能力を身につけられるようサポートしています。

就労継続支援との違いは、一般的な就労を目的としているか否かです。就労継続支援は、一般的な就労が難しいと感じている人のために就労および生産活動の機会を提供しています。

就労支援が提供するのは、一般就労を目指す人への支援です。

機関⑤ハローワーク

ハローワークがおこなっているサポートは、個々の障害の状態や程度に合わせた相談や集団面接会などです。自宅から外出することが難しい場合、求人情報をインターネット上から調べられます。

面接にあたって、スタッフに同行してもらうことが可能です。さらに、就職した後も定期的に面談によるサポートが受けられます。

各都道府県にあるハローワークの所在地は、厚生労働省が公開する以下のページから確認できます。

まとめ:誰もが安心して働ける職場を作るためにできることから始めましょう

精神障害者雇用とは、精神障害がある人の就労や労働を支援するための制度です。一定の要件を満たす企業は障害のある人を雇用することが義務づけられています。

そのため、障害のある人を雇用する義務のある企業は、当事者に安心して働いてもらう環境を作ることが求められます。

障害のある人に安心して働いてもらうためにもっとも重要なのは、本人のコンディションや必要とするサポートを把握することです。

こまめに様子を見て声をかけ、業務が負担になっていないかを確認してください。本人が職場や業務で困っていることを相談できる場所を設け、落ち着いて業務に取り組める環境を構築しましょう。

障害のある人の雇用にあたっては、各種支援機関と制度を活用できます。

障害のない人と障害のある人のへだたりをなくし、誰もが安心して働ける職場を作るためにできることから始めましょう。

よくある質問

精神障害のある自分が障害者手帳を取得していなくても、障害者雇用枠での就職はかのうですか?

障害者雇用促進法では、障害者手帳を取得していない障害のある人も「障害者雇用」の対象です。

しかし、企業は障害者手帳を取得していない障害のある人を積極的に採用しない傾向にあります。

 詳細は、こちらをご覧ください。

精神障害のある人を雇用するときのポイントを教えてください。

一般論として、次の4点が考えられます。

  1. 医師やカウンセラーに相談できる場所を作る
  2. 障害の程度や体調の変化を把握する
  3. アルバイトとして採用して様子をみる
  4. 雇用枠を再検討する

詳細はこちらをご覧ください。

監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。

【著書ピックアップ】
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』

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翔泳社公式 【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)

【その他著書など(一部)】
学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧

【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

執筆寺田淳平

てらだ・じゅんぺい。
高校2年の春から半年ほど不登校を経験。保健室登校をしながら卒業し、慶應義塾大学に入学。同大学卒業後の就職先(3,500人規模)で人事業務に従事する中、うつ病を発症し約10か月休職。寛解・職場復帰後、勤務を2年継続したのち現職のフリーライターに。
2019年に一般財団法人職業技能振興会の認定資格「企業中間管理職ケアストレスカウンセラー」を取得。

サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)

うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。2024年10月現在、首都圏・関西に6校舎を展開しています。トップページはこちら→

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