障害者雇用の面接でよく聞かれる質問 回答例や面接対策のコツを解説
こんにちは、就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC) です。
障害のある人が就職活動で悩みやすいことのひとつに、面接対策があります。
例えば、あなたは今、以下のような悩みがあるのではないでしょうか?
- 面接対策をしたいけど、何から始めればいいかわからない
- 質問にどう受け答えをすればよいかわからない
- 面接の流れや面接時のマナーを知りたい
就職活動での面接に苦手意識がある人も、事前にしっかりと面接対策をすれば面接担当者に好印象を与えられます。
このコラムでは、キズキビジネスカレッジ(KBC)の知見に基づいて、障害のある人の就職面接でよく聞かれる質問、面接担当者がチェックしているポイント、面接の流れ、面接のマナー、面接対策を行う際のコツついて解説します。あわせて、障害のある人の面接対策をサポートする支援機関を紹介します。
また、このコラムは、オープン就労・クローズ就労、障害者枠雇用・一般雇用などに関係なく、役立つ内容となっています。
就職や転職を考えている障害のある人は、ぜひ読んでみてください。
私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、障害者雇用の面接を対策したい人のための就労移行支援事業所です。
- 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
- 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
- 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月
神田・新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。
目次
障害者雇用の面接でよく聞かれる質問と回答のコツ8選
障害のある人に限らず、面接対策として面接でよく聞かれる質問を前もって把握しておき、回答を考えておくことが効果的です。
この章では、一般論としての、障害者雇用の面接でよく聞かれる質問と回答例について解説します。
実際のあなたや実際の応募先を踏まえた面接対策は、こちらで紹介する支援機関と話をすることで、具体的に対策ができます。(参考:紺野大輝『障がい者の就活ガイド』)
Q1.障害・特性に関する質問
障害のある人の面接において障害・特性に関する質問は、よく聞かれる質問の1つです。具体的には、以下のような質問が考えられます。
- ご自身の障害の内容について詳しくお伺いできますか?
- どのようなときに症状が出るのでしょうか?
- 現在、服薬していますか?
- 前職で症状が出たことはありますか?また、そのときの対策を教えてください。
- 症状が出た際に、自発的に相談することは可能ですか?
- 診断されたのはいつですか?
- 定期通院はありますか?
- 最近の体調や症状の程度はどうですか?
- フルタイムでの勤務は可能ですか?
- Q.ご自身の障害の内容について、詳しくお伺いできますか?
- A.私の障害は、〇〇です。私の場合は特に2つの症状があります。いずれも、▲▲の場面に特に症状が強く現れます。
- Q.どのような時に症状が出るのでしょうか?
- A.一度に複数の音がしていたり、大勢の中にいたりする環境だと、聴覚過敏によって耳鳴りがするため、耳栓などをさせていただけると助かります。
回答する際は、障害名や一般的にどういう障害なのか、自分の症状と現在の症状などを伝えましょう。
また、あなたの障害の特性や症状は、面接担当者がイメージしやすいよう説明する必要があります。そのため、医学用語や抽象的な言葉などではなく、実際の症状や必要なサポートを交えながら具体的に伝えることが大切です。
また、質問に対して答えられない場合や、「特にない」と回答した場合は、自己分析ができていないというマイナスな判断がされる傾向があります。
自己分析を深めるためにも、日頃から以下のようなことを自分自身で把握するようにし、紙やメモに記録しておきましょう。
- こういう場面でこういう症状が出る
- 〇〇をするときにこういう困りごとがある
なお、キズキビジネスカレッジ(KBC)の実感としては、日常生活での困りごとは面接ではあまり聞かれないようです。
面接担当者が知りたいのは、仕事のときにどういう症状が出るかだからでしょう。
Q2.業務遂行能力や得意・不得意に関する質問
あなたの業務遂行能力や得意・不得意に関する質問も、よくあるものです。
- (転職の場合)これまでにどういった業務をしてこられましたか?経歴やキャリアと合わせて教えてください。
- これまでに磨いてきた技能や特技などはありますか?
- 得意・不得意な作業があれば、教えてください。
- Q.これまでどういった業務をしてこられましたか?経歴やキャリアと合わせて教えてください。
- A.前職では入社時から退職まで、主にデータ入力と資料作成を行っていました。資料作成では〇〇を工夫することで、取引先の企業様から見やすくなったとの評価をいただくことができました。
- Q.これまでに磨いてきた技能や特技などはありますか?
- A.就労移行支援事業所ではExcelの学習を行い、Microsoft office specialist2019の資格を取得することができました。
- Q.得意・不得意な作業があれば、教えてください。
- A.特性上、突発的に発生した業務があると焦り、ミスが起きることがあります。ですが、作業の手順を整理する時間をいただけましたら、問題なく作業を進めることができます。
得意なことや強みを伝える場合は、単に「〇〇ができる」「〇〇の仕事をしてきました」で終わるのではなく、以下のような内容について付け加えて話すことが有効です。
- それができるようになった過程
- できる・できないと自覚した出来事
- 技能や特技を磨くために努力してきたこと
このような具体的なエピソードを併せて話すと、あなたの人柄やこれまでの努力が面接担当者に伝わりやすくなるため、あなた自身のアピールに繋がります。
また、特性や症状に関連した不得意なことを伝えるときは、不得意を補うための方法や職場に求めるサポートなどを付け加えて伝えるようにしましょう。
ほかにも、「〇〇の作業をする際に〇〇の症状が出るのが要因だと考えています」など、自分なりに苦手な原因を分析して話せると、回答の説得力が増します。
さらに、「今は苦手だけれど、こういった努力をしている」ということまで話せると、向上心をアピールできて、尚よいでしょう。
Q3.志望動機に関する質問
障害者雇用やオープン就労に関わらず、志望動機は必ず聞かれます。多くの場合、「弊社を志望した理由を教えてください」といった質問をされるはずです。
回答する際は、以下の4点が盛り込まれているとよいでしょう。
- 志望先の事業内容のどのような点に共感したか
- 志望先の事業内容やビジョンのどのような点が自分の興味や未来像と合致しているか
- 志望先でどのように活躍できるか
- 以上のポイントに関連する自分の能力を活かした実績・経験
志望動機では、これらの全てが盛り込まれていなくても、あなたの特性・能力・興味と、志望先の事業内容・方針・ビジョンなどが、どのように関わっているのかを話すことができれば、充分でしょう。
自分の能力や人間性だけでなく、志望先の事業内容にも理解があることが伝われば、視野の広さをアピールすることにもつながります。
ただし、企業について話す際は、上から目線だと思われる可能性がある言い方にならないように、言葉選びに気をつけましょう。
また、自分ができることを話す際に、具体的にどういった職種であれば活躍できそうかということを話すのも、ひとつのコツになります。
これらのことを意識した上で、志望動機を考えると、以下になります。
- ①志望理由:「〇〇に惹かれたため」など
- ②活かせる能力、実績のエピソード:「前職では(学生時代には)〇〇を行っていました」など
- ③応募先に貢献できる点:「今までの経験を活かし、貴社に貢献していきたいと考えています」など
志望動機でも、エピソードや経験を具体的に伝えることが大切です。
Q4.退職理由や前職に関する質問(転職の場合)
転職の場合には、前職を退職した理由や、前職に関する質問をされるでしょう。
志望先によって、ストレートに質問されるケースもあれば、話の流れの中で「前職を退職した理由をお聞きしてもよろしいですか?」と質問されるケースもあります。
ネガティブな退職理由をそのまま伝えると、「同じ理由で辞めてしまうかもしれない」と面接担当者に思われる可能性があります。
そのため、できるだけネガティブな理由にならないように、「前職ではこういう業務をしていたが、こういった仕事に挑戦してステップアップをしたいと思ったため」など、ポジティブな回答ができるとよいでしょう。
- Q.前職を退職された理由はなんですか?
- A.前職では、人事部の入力作業、面接の補助、新人のサポートを行っていました。その中でも、メイン業務が入力作業であったため、他の人事業務に挑戦してみたいと思い、転職を考えました。
なお、以下のような場合は、ポジティブな回答をするのが難しいと感じる人もいるかもしれません。
- 障害に対する配慮が足りなかったというのが退職理由になっている場合
- 二次障害が発症した場合
そんな場合も、前職の悪口や自己否定のような内容にならないように意識して答えましょう。
また、前職の退職理由を伝えることで、志望先に求めたい配慮も伝えやすくなる場合もあるため、面接担当者が具体的にイメージしやすいように伝え方を工夫しましょう。
Q5.就業中の配慮に関する質問
就業中の配慮に関する質問も、障害者雇用の面接ではよく聞かれます。
- どういったサポートがあれば働きやすいと考えていますか?
- どのような部門の配属をご希望ですか?
- 業務内容に関する希望などはございますか?
回答する際は、理由と併せて希望を伝えましょう。
- Q1.どういったサポートがあれば働きやすいと考えていますか?
- Q2.特性上、マルチタスクが苦手です。Googleカレンダーなどを使用して、スケジュールを可視化できるようにしていますが、抜けてしまう場合があります。担当者と、定期的にスケジュールの確認をさせていただく時間をいただけると助かります。
配慮が必要な点が複数ある場合は、最初に「◯点あります」と伝えましょう。
回答の際のポイントは、「特性上できないことがあるが、自分で努力をしていて、それでもできないことがあるからそこをサポートしてほしい」という伝え方にすることです。
「自分も精一杯努力しているけど、特性上、どうしても難しい」と伝えることで、面接担当者の理解を得やすくなるはずです。
逆に、面接担当者に「努力していないのに配慮を求めている」と思われるような伝え方をすると、印象が悪くなる可能性があるため注意しましょう。
希望を伝えるのは気が引けるという人は、自分から面接担当者にどのような配慮やフォローを得られるかを確認してみるのも一つの手段です。
- ○○な特性をカバーするために、○○な対応をしてもらえるとありがたいのですが、どの程度の範囲であれば可能でしょうか。
面接の際に、自分の希望を伝えたり配慮やフォローについて質問したりすることに、抵抗を感じる人もいるかもしれません。しかし、面接の際に就業上の配慮についてきちんと話し合うことで、就職後のミスマッチを減らせます。
Q6.自己紹介や自己PRに関する質問
障害者雇用・一般雇用を問わず、自己紹介や自己PRに関する質問があります。
これらの質問は、履歴書や職務経歴書だけではわからない、応募者の人柄や魅力を知るために設けられているものです。多くの場合、回答時間は1分から3分程度になっています。
- Q.自己紹介を1分程度でお願いします。
- A.〇〇と申します。本日は貴重なお時間をいただき、ありがとうございます。私は〇〇学校を卒業後、株式会社〇〇で〇年間経理事務の仕事に就いていました。経理事務として伝票の発行や入金管理などに携わるなかで、経理の知識や業務処理のスピードを培ってきました。障害の特性上、新しいことを覚えることが苦手です。新たな業務や知識が必要なときは、事前に伝えていただけると幸いです。御社でも業務処理のスピードを活かして、活躍したいと思っています。本日はよろしくお願いいたします。
自己紹介の冒頭は、自分の名前と面接の機会を設けてもらえたことへのお礼を述べましょう。これは、下手に出なければならないということではなく、お互いに気持ちよく面接をするための最低限の礼儀であり、忙しい面接担当者への心遣いです。
こういった小さな心遣い一つでも、あなたの印象がよくなります。加えて、自己紹介の最後には、「本日はよろしくお願いいたします」と伝えましょう。
また、自己紹介の中で、今までの簡単な経歴や、自身の保有しているスキル、配慮してほしいことを伝えることも大切です。
応募先企業で活かせるスキル・経験があれば、どんな業務でどのように活かせるか話すとよいでしょう。
- Q.自己PRを1分程度でお願いします。
- A.私は地道な努力が得意です。プログラミングスクールではコツコツと課題を進め、受講生のなかで1位の成績を獲得しました。なお、私は障害の特性上、長文での指示が苦手です。短く伝えていただいたり、メモを取る時間をいただけると幸いです。スクールで学んだ知識と得意の努力をもとに、御社へ貢献できればと思います。
自己PRでは、具体的なエピソードをもとに、自分の強みや魅力を伝えることが重要です。さらに、エピソードの中に、順位・成績・売上などの数値を入れると説得力が増します。
また、障害者雇用やオープン就労では、必要な配慮を具体的に伝えられると、自分の特性をしっかりと理解できているという印象にもつながるため、プラスに働くでしょう。
Q7.目標やビジョンに関する質問
仕事における将来の目標やビジョンに関する質問もよく聞かれます。
目標やビジョンなど未来に関する質問を通して、面接担当者はあなたの自主性ややる気を見ています。
- Q1.将来の目標はありますか?
- A.私は◯年以内に、日常的な業務をミスなくスピーディーに行えるスペシャリストになりたいと思っています。そして5年後までに簿記1級を取得し、正確な知識で経理上の異常に気づけるようになりたいと考えています。そのためにも簿記の勉強を日々の習慣にできるよう努めます。実務では、ミスをなくすためにも複数回確認するようにいたします。
目標やビジョンを聞かれた際は、具体的なキャリアプランを伝えるようにしましょう。
キャリアプランが思いつかない人は、身につけたいスキルや取得したい資格について話すこともオススメです。
Q8.逆質問
障害者雇用・一般雇用のどちらであっても、面接の最後に逆質問の時間が設けられることがほとんどです。
逆質問とは、応募者が面接担当者にする質問のことです。「何か質問がありますか?」と聞かれることが一般的です。
面接担当者は逆質問を通して、応募者の熱意や会社との相性をチェックします。
- 御社ではどんな人が活躍していますか?
- 御社へ入社するまでに勉強しておくとよいことはありますか?
- 障害の関係で通院するために、時差出勤はできますか?
- 障害者雇用でもステップアップする方法はありますか?
応募先への熱意が伝わるように、業務で活躍する方法を聞くとプラスの評価を得やすいでしょう。主体的に学ぶ姿勢やキャリアアップを目指した質問も、好印象につながります。
一方、企業の公式サイト・求人票を見ればわかることや、給料・福利厚生について聞くと、「情報収集が足りないのでは?」「それほど志望度が高くないのかも」とよくない印象を持たれる可能性があるので注意しましょう。
給料・福利厚生などの気になるポイントは、内定後に質問・交渉ができます。
障害のある人の面接で面接担当者がチェックしているポイント5点
この章では、障害のある人の面接を行う面接担当者がチェックしているポイントについて解説します。
こちらも一般論であり、企業・団体の採用方針やあなたの障害特性によって、企業がチェックしているポイントが異なることはあります。
繰り返すとおり、実際のあなたと実際の企業・団体の対策は、こちらで紹介する支援機関と話し合いましょう。(参考:紺野大輝『障がい者の就活ガイド』)
ポイント①障害の状態や病状が安定しているか
面接担当者は、障害の状態や病状が安定しているかを見る傾向があります。
例えば、精神障害のある人の中には、心身の調子の波が大きい人もいるでしょう。面接担当者としては、入社後に継続的に働けるかを見極める必要があるため、面接時に心身の調子やその波がどの程度のものなのかを把握しておきたいはずです。
つまり、面接担当者に「今の状態では短期で退職することになるかも」「体調が悪化するかも」と思われた場合は、面接に通過することが難しくなります。
そのため、就職活動を始める以前に、障害や病状を安定させるために治療や対策を進めることが重要だということを覚えておきましょう。
ポイント②自分に必要な支援を理解しているか
自分に必要な支援を理解しているかも面接でチェックされます。
面接担当者は、単に障害の名前や内容を伝えられても、具体的にどのような支援が必要なのかを検討しづらいことがあります。
本人から「こういった支援があるとスムーズに就労できる」という提案があれば、面接担当者も支援方法についてイメージしやすくなります。
さらに、面接時に自分に必要な支援を伝えられると、「必要に応じて周りにサポートを求められる人だ」と、安心感を与えることができるため、採用につながりやすくなる可能性もあるのです。
ほかにも、適切にサポートを求められるということは、コミュニケーション力がある、協調性があるなどの印象にも繋がるでしょう。
ポイント③意思疎通や相談がきちんとできるか
障害のある人に限った話ではありませんが、面接担当者は意思疎通や相談がきちんとできる人かどうかも見ています。
例えば、入社後に業務の内容・進捗・トラブルなどを話し合うことは、障害の有無に関わらず、業務を円滑に進めるうえで必要不可欠です。
また、病気や障害による配慮やサポートが必要な場合は、体調・職場環境・必要な配慮についても、きちんと伝えたり相談したりする必要があります。
そのため、面接の際に、円滑にコミュニケーションをとれるか、本人から積極的に周りに相談できるかなどを見ているのです。
面接対策に限らず、日頃から自分の状態や困りごとを、他人にわかりやすく説明できるように練習するのがよいでしょう。
ポイント④専門家や支援機関と協力体制を築いているか
専門家や支援機関と協力体制を築いているかも、面接担当者にチェックされる項目のひとつです。
障害のある人が安心して働き続けるためには、専門家や支援機関との協力体制が欠かせません。具体的には、以下のようなものが考えられます。
- 障害特性への対策や病気の治療について、医師や支援機関と日常的に取り組んでいる
- 職場での悩みを一人で抱え込まずに共有して、支援機関と一緒に解決策などを考える
こうした協力体制があると、あなたにとっても職場にとっても、安心感は大きくなるでしょう。現在は、サポートの種類も支援機関もたくさんあります。ぜひ積極的に探してみてください。
ポイント⑤仕事へ意欲があるか
障害者雇用に限らず、就職・転職活動での面接では、仕事への意欲をチェックされます。
面接時に仕事への意欲が伝わらなければ、面接担当者は「すぐに辞めてしまうかもしれない」と感じ、前向きに採用を検討することが難しくなります。
そのため、将来のビジョンを具体的に説明したり、就職に向けて習得したスキルをアピールしたりして、さまざまな角度から仕事への意欲を伝えましょう。
また、応募先や業界について調べて分析したり、その業種独自の用語を理解しておいたりすると、仕事への意欲が伝わるのはもちろん、その企業への志望度が高いことも伝わるので、効果的です。
対面面接・Web面接の流れ
この章では、一般的な対面面接とWeb面接の流れについて解説します。
新型コロナウイルスの流行以降、ビデオ通話ツールを用いたオンライン上での面接が増えてきました。
対面面接とWeb面接では、流れに大きな違いはありませんが、細かい部分が異なります。事前に流れや違いを把握しておきましょう。
面接の流れ①対面面接
対面面接は、一般的に以下のような流れで進みます。
- 名前を呼ばれたらドアを3回ノックして、「失礼します」「よろしくお願いします」などと挨拶をしてから入室
- 入室後、ドアを閉めてから面接担当者に向かって一礼
- 椅子の左側に立って面接担当者に挨拶をする
- 面接担当者から指示を受けてから着席し、質疑応答を行う
- 終了後は立って謝辞を述べ、一礼してから退出する
入室後と退室前には礼をしますが、足を揃えて背筋を伸ばしたまま、ゆっくりと頭を下げると好印象です。
また、礼の動作と挨拶の言葉が同時にならないよう、挨拶をしてから頭を下げる分離礼を意識しましょう。
面接の流れ②Web面接
Web面接は、一般的に以下のような流れで進みます。
- 志望先から前もってWeb面接の方式についての説明を受ける
- 面接当日、約束していた時間になったら指示に従って、オンライン上で入室する
- 面接担当者と画面が繋がったら座ったまま礼をして挨拶をする
- 質疑応答を行う
- 終了後は謝辞を述べて一礼し、相手の指示に従って退室する
Web面接は、通話が切れるまで面接が続いています。ミーティングルームから退室するまでは、気を抜かないようにしてください。
対策しておくべき面接のマナー7選
この章では、面接に向けて対策しておくべき面接のマナーについて解説します。
前提:絶対的に正しい面接のマナーはありません
前提として、絶対的に正しい面接のマナーがあるわけでもありません。一般的に相手に誠実さが伝わる丁寧な振る舞いやコミュニケーション方法を身につけていれば、多少異なっても問題ありません。
また、解説するマナーの中には、障害特性によっては難しいこともあると思います。実際に行うことが難しいマナーについては、無理に取り入れたり練習したりする必要はありません。障害者雇用を行う企業や団体は、応募者に病気や障害があることを理解している場合がほとんどだからです。
ここから解説するマナーは、あくまで一般論として参考にしてみてください。実際のあなたが身につけるべきマナーについては、支援機関とも相談しつつ、できる範囲で練習しましょう。
マナー①清潔感のある身だしなみにする
障害者雇用に関わらず、面接時は清潔感のある身だしなみを心がけましょう。
身だしなみが整っていないと、実際の人柄に関係なく、「社会人としての最低限の常識がないのでは?」「信用できる人なのか?」など、ネガティブなイメージを持たれる恐れがあります。
以下のポイントをチェックして、清潔感のある身だしなみに整えましょう。
- 髪を整える
- 爪を切る
- ヒゲを剃る
- 歯を磨く
- 口臭をケアする
- シワ・シミのない服を着る
- メイクはナチュラルにする
- 肌の調子を保つ
また、面接時の服装にも気を配りましょう。特に指定がない場合は、スーツを着用することが一般的です。また、対面面接、Web面接に関わらず、しっかりと身だしなみを整えることが大切です。
なお、障害の特性からスーツの着用が難しい人は、仕事中に着用したい清潔感がある服を着ましょう。
そうすることで、どんな服装なら問題なく働けるのか視覚的に理解してもらうことができ、スーツを着用できない理由も説明しやすくなります。
マナー②応募先への訪問・受付時も気を抜かない
対面面接では、応募先に訪問し受付などを行いますが、その時も気を抜かないようにしましょう。
訪問・受付時の態度も、人事担当者に共有されます。応募先の面接会場に入った時点で面接が始まったと考え、面接会場から出るまで油断しないように気をつけてください。
なお、余裕を持って面接に臨むために、面接会場への道順は前もって調べておき、10分前には到着するようにすることがおすすめです。面接時間に遅刻しないようにすることはもちろん、気持ちにも余裕が出ます。
また、面接前の控室でも気を抜かないようにしましょう。スマートフォンを触りすぎたり、ゲームをしたり、横柄に見える座り方をしたりすると印象が悪くなります。
スマートフォンは、時間を確認する程度にとどめ、基本的には面接中に音が鳴らない設定にして、カバンの中にしまっておきましょう。どうしても面接までの時間が長く、集中が途切れそうになった場合は、応募書類を見て面接で伝える内容を思い出したり確認したりしておきましょう。
マナー③入室時は3回ノックして挨拶する
対面面接では、3回ノックして挨拶をしてから入室しましょう。入室時にゆっくり3回ノックすることが、一般的なビジネスマナーです。
早くノックすると、急かしている、高圧的などの印象を与えるので、ゆっくり行うことが重要です。
ノックをして面接担当者から「どうぞ」「お入りください」などの応答があったら、「失礼いたします」と言ってから入室しましょう。
応答がなければもう一度3回ノックし、それでも応答がなければ「失礼いたします」と言ってから部屋に入りましょう。
入室したら、笑顔で「本日はよろしくお願いいたします」と挨拶してから椅子へ移動すると好印象です。
マナー④挨拶や面接の受け答えは目を見てハキハキと話す
挨拶や面接の受け答えの際は、面接担当者の目を見て、ハキハキと話すようにしましょう。
目を見て話すと、誠実な印象を与えられます。目を見るのが苦手な人は、面接担当者の鼻のあたりをぼんやり見ると、目を見て話しているように見えるのでオススメです。
また、真剣な表情の方が好印象を与えられると思う人も多いかもしれませんが、笑顔のほうが、プラスな評価につながることが多いです。
ほかにも、ボソボソと話すと自信がないように聞こえ、面接担当者も聞き取りにくいので注意しましょう。
マナー⑤面接担当者の話をさえぎらず対話を意識する
面接中は、面接担当者の話をさえぎらずに、ゆったり構えて対話することを意識しましょう。
話をさえぎったり一方的に話したりすると、会話ができない、人の話を聞けないなどのネガティブな印象につながる可能性があります。
会話のキャッチボールができるように、面接担当者の質問や意見を最後までしっかり聞いてから、質問や話の内容に沿った適切な回答をしましょう。
結論から話すようにすると、論点のズレを防ぎながら回答できます。
マナー⑥Web面接では機材や面接環境を整える
Web面接では、機材や面接に適した環境を整えることが重要です。
機材の不調が多いと準備不足な印象を与え、環境が悪いと落ち着いて面接を受けられません。
以下のポイントをチェックして、機材や面接環境を整えましょう。
- スマホやPCなど、使用する機材の電源やバッテリーを確保できているか
- マイクやスピーカーなどがきちんと機能するか
- 周囲の雑音が入らない落ち着いた環境を確保できているか
- Wi-Fiなどのネット環境は良好か
- 音声や映像が途切れたり止まることはないか
- 背景に面接に関係のないものが映り込んでいないか
面接時間ギリギリではなく、時間に余裕を持ってチェックして準備すると安心です。
マナー⑦Web面接はカメラ目線でゆっくり話す
Web面接では面接担当者の目ではなく、カメラを見てゆっくり話すようにしましょう。
画面に映る面接担当者の目を見ると、下を向いて話しているように見えるため、目線があっているように見せるためにはカメラを見る必要があるのです。
また、タイムラグを考慮して、ゆっくりと間を置きながらはっきりとした口調で話すことも大切です。
なお、Web面接の際には、手元にメモ書きなどを用意する人も多いかと思いますが、メモばかりを見ていると、マイナスの印象に繋がる可能性がありますので、気をつけてください。
メモを見ないと不安という人は、次のような対策があります。
- PCの画面のカメラが塞がらず、目線が前になる位置にふせんで貼っておく
- PCのメモ画面を目線が下がらない位置に表示させておく
Web面接でポジティブな評価を得るためには、うまくメモを活用しつつ、カメラ目線を意識することが重要です。
障害のある人が面接対策をする際の6つのコツ
この章では、障害のある人が面接対策をする際のコツについて解説します。
前提:かかりつけの医師に就職活動をしていいか確認する
前提として、病気を治療中の人や、障害のリハビリ中などの人は、かかりつけの医師に以下のようなことを確認しましょう。
- 就職活動を行ってもよいか
- フルタイムを希望する場合、フルタイムでの勤務は可能か
- フルタイムが難しい場合、どれくらいの時間・日数の勤務なら可能か
あなた自身が復調したと思っていても、専門の医師の目から見れば、治療に専念した方がいいという場合もあります。
かかりつけの医師から就職活動を行っても問題ないと許可を得られた人は、これから解説するコツを意識しながら面接対策を進めましょう。
コツ①支援機関を利用する
面接対策をする際は、支援機関を利用することがオススメです。
障害のある人が就職時や就職後に利用できる支援機関はたくさんあり、支援機関を利用することで、実際のあなたに合わせた対策が可能になります。
また、具体的なサポート内容は、以下のように支援機関によってさまざまです。
- 面接対策
- 職業相談
- 生活面の相談
- 職業訓練
もちろん、就職以外のことを相談できる支援機関もたくさんあります。
支援機関については、こちらで紹介しています。支援機関のサポートを利用していない人は、あわせてチェックしてみてください。
コツ②自分の障害の特性について理解を深める
自分の障害の特性について理解を深めることも、面接対策では重要です。
こちらで解説したように、実際の面接では、自身の障害の特性を質問されることが多く、面接担当者にわかりやすく説明する必要があります。
自分の障害の特性を他者にわかりやすく説明するためには、あなた自身が自分の障害の特性について理解を深めることが欠かせません。
理解を深める際には、一人で考え込むのではなく、できる限り家族や支援者など、身近な人と話をすることをオススメします。
あなた一人では気付かなかった特性や強みが見えてくることもあります。できるだけ周囲の人を頼りましょう。
コツ③自分の障害の特性を自分の言葉で説明できるようにする
こちらでも解説したとおり、障害がある人の面接対策では、自分の障害の特性を言葉で説明する必要があります。
通常、障害者雇用で就労する際には、障害者手帳のコピーなどを応募先に提出することになります。
しかし、面接担当者が、そのコピーに書かれた内容だけで障害の特性を理解するのは難しく、実際の特性や症状も一人ひとり異なります。
そのため、「特に説明しなくても向こうで調べてわかってくれるはずだ」と考えるのは危険です。
あなたにどういう障害があり、どういうことで苦労しているのかを、相手にわかってもらえるように、あなた自身の経験を踏まえて話すことが大切なのです。
特に、何ができて何ができないかは、仕事をする上で重要なポイントです。面接対策の段階で、きちんと説明できるように練習しておきましょう。
コツ④基本的に隠し事はしない
基本的に隠し事をしないことも、面接対策で大切なポイントです。
障害のある人の中には、内部障害や障害者手帳に書かれているようなメインの障害ではない症状について、話さなくてもいいと考える人もいるでしょう。
しかし、入社後に隠していた症状が職場で発生したとき、自分にも周囲にもよくない結果となることがあります。
「障害のことを詳しく話しすぎると不利になるのでは…」と不安に思う気持ちはわかりますが、大切なのは職場とあなたが相互に理解を深めて、無理なく働き続けることです。
そのため、面接の際は、できる限り隠し事はしない方がよいでしょう。その上で、どのように伝えるかについては支援機関と話し合いましょう。
コツ⑤選考時に配慮してほしいことを伝える
障害者雇用やオープン就労では、選考時に配慮してほしいことを伝えるようにしましょう。
これは、面接での受け答えの対策というより、安心して面接に臨むための対策と言えます。
例えば、身体障害があり、車椅子で移動している人の場合、会場までの移動手段や面接会場に着いてからの移動について面接担当者と話し合っておくとよいでしょう。
こういった話し合いをしておくことで、遅刻せずに会場に到着できたり、車椅子でも行ける会場が用意されたり、面接会場で段差を登るためのサポートを受けられたりするようになります。
応募先に配慮してほしいことを伝える際は、配慮が必要な理由も伝えるとスムーズに理解を得られやすくなるでしょう。
コツ⑥就職後に配慮してほしいことを考える
就職後に配慮してほしいことを考えることも、障害者雇用やオープン就労では求められます。
障害の特性によって、以下のようなさまざまな希望があるでしょう。
- 定期的に服薬の時間を確保させてほしい
- できるだけ人の出入りの少ない奥まった環境に配置してほしい
- 車椅子なのでこれくらいのスペースがほしい
できる限り就労中のイメージと、それによって生じうる困り事を考えることが大切です。
とはいえ、あなた一人で具体的なイメージを浮かべようとしても、限界があるかもしれません。そのため、専門家や支援機関などと相談しながら、具体的なイメージを詰めていくことが重要です。
障害のある人の面接対策をサポートする支援機関
この章では、障害のある人の面接対策をサポートする支援機関について紹介します。
公的な認可を得た支援機関から民間の支援機関まで、さまざまな支援機関があります。
公的な支援機関であれば基本的な窓口は、お住まいの自治体の障害福祉を担当する部署・窓口です。
どの支援機関が自分に向いているのか分からない人は、お住まいの自治体の障害福祉を担当する部署・窓口に相談することをオススメします。
支援機関①就労移行支援事業所
就労移行支援事業所とは、一般企業などへの就職を目指す病気や障害のある人に向けて、就職のサポートをする支援機関のことです。体調管理の方法、職場でのコミュニケーションの基礎スキル、就職に必要な専門スキルなどを学ぶことができ、実際の就職活動でのアドバイス、就職後の職場定着支援も含む、総合的な就労支援を受けることが可能です。
就労移行支援は、障害者総合支援法に基づいて行われる福祉サービスです。実際のサービスは、国の基準を満たしたさまざまな民間の就労移行支援事業所が行います。(参考:e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」)
就労移行支援事業所は各地にあります。私たち、キズキビジネスカレッジ(KBC)もその一つです。それぞれ特徴が異なるため、気になるところがあれば問い合わせてみてください。
支援機関②ハローワーク
ハローワーク(公共職業安定所)とは、仕事を探している人や求人を募集したい事業者に対して、就労に関連するさまざまなサービスを無償で提供する、厚生労働省が運営する支援機関のことです。正式名称は公共職業安定所で、職安と呼ぶ人もいます。
主に職業相談や職業訓練、求人情報の提示などを行っており、具体的な支援内容は事業所によって異なりますが、一般的には以下のような幅広いサポートを行います。
全国に500ヶ所以上あり、主に職業相談や職業訓練、求人情報の提示、雇用保険や雇用対策など、地域密着型の雇用に関する幅広いサポートを行います。
また、病気や障害のある人に向けたサポートも行っています。障害者手帳を所持していない人でも、医師による診断書があれば、障害の特性や希望職種に応じた職業相談や履歴書や面接での病気・障害の伝え方などのサポートを受けることができます。
支援機関③地域障害者職業センター
地域障害者職業センターとは、病気や障害のある人に対して、職業評価や職業指導、職業準備訓練、職場適応援助などの専門的な職業リハビリテーションを提供する支援機関のことです。(参考:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「地域障害者職業センター」、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「地域障害者職業センターによる支援」、厚生労働省「地域障害者職業センターの概要」)
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営しており、障害者雇用促進法に基づいて、全国47都道府県に設置されています。(参考:厚生労働省「障害者の雇用の促進等に関する法律」)
ハローワークや医療・福祉機関と連携しているため、仕事に関する相談や訓練、復職するためのサポートを行っています。
病気や障害に悩む当事者だけでなく、障害のある人を雇用する事業所に対して、雇用管理に関する相談・援助も行っています。
支援機関④障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターとは、雇用や保健、福祉、教育に関する関係機関と連携し、障害のある人の雇用の促進・安定を目的とした一体的な支援を行っている支援機関のことです。(参考:厚生労働省「障害者就業・生活支援センター」、厚生労働省「障害者就業・生活支援センターについて」、厚生労働省「障害者の雇用の促進等に関する法律」、厚生労働省「障害者就業・生活支援センターの指定と運営等について」)
障害のある人の就職活動の支援や求人の紹介、職場定着のためのサポートなどを行います。
就業面だけでなく、金銭管理などの経済面や生活面のことまで、日常および地域生活に関する支援も行っています。
生活習慣や金銭管理、健康管理などについても幅広く相談できるため、生活面のサポートも受けたい人にオススメです。
2024年4月1日時点で、障害者就業・生活支援センターは全国に337箇所設置されています。
支援機関⑤障害者就労支援センター
障害者就労支援センターとは、障害のある人の就労機会の拡大を図るため、自治体が設置する支援機関のことです。
障害のある人の就労全般に関する相談や、就職に向けたサポート、ハローワークへの同行などの支援を行っています。
障害者就労支援センターの設置は自治体によって異なります。お住まいの自治体のWEBサイトをご確認ください。
また、「お住まいの自治体名+障害者就労支援センター」などのインターネット検索で見つけることもできます。
支援機関⑥地域若者サポートステーション(サポステ)
地域若者サポートステーションとは、働くことに悩みを抱えている15〜49歳までの就学中でない人のサポートを目的とした支援機関のことです。サポステとも呼ばれています。
(参考:厚生労働省「地域若者サポートステーション」)
厚生労働省委託の支援機関であり、病気や障害の有無を問わず、就業中ではない人の就職から職場定着までを全面的にバックアップします。
本人や家族だけでは解決が難しい働き出す力を引き出します。就職後も、職場定着するまでを全面的にバックアップしています。
支援機関⑧ジョブコーチ(職場適応援助者)
ジョブコーチとは、障害のある人が職場にスムーズに適応し、働き続けられるようさまざまな支援を行う人のことです。障害のある人が職場への適応に関して課題がある場合、職場に出向いて、障害の特性を踏まえた専門的な支援を行います。職場適応援助者とも呼ばれます。
ジョブコーチは、障害のある人に対して、当事者の職務の遂行や職場の従業員との関わり方、職場内のコミュニケーション、効率の良い作業の進め方など、障害のある人が職場に適応するためのアドバイスをします。
また、障害のある人を雇用する事業主に対しても、障害のある人が実力を発揮しやすい作業の提案や、障害特性を踏まえた仕事の教え方などのアドバイスをすることで支援します。
具体的な目標を定めた上で策定される支援計画に基づいて援助を行い、最終的には上司や同僚などの職場の人の自然な配慮に移行することを目指していきます。
支援機関⑨その他の支援団体
面接対策まではしていなくとも、相談が可能な機関として、以下のようなものがあります。気になるようでしたら、ぜひ問い合わせてみてください。匿名でも相談を受け付けています。
- 精神保健福祉センター
- 発達障害者支援センター
精神保健福祉センターとは、精神障害のある人のサポートを目的とした、地域の精神保健福祉の中核を担う支援機関のことです。(参考:東京都福祉保健局「精神保健福祉センターとは」、e-Gov法令検索「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」)
精神保健福祉法(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)に基づき、各都道府県に設置されています。地域によって、こころの健康センターや心と体の相談センターなど、一部名称が異なります。
精神保健福祉センターでは、精神疾患に関連する悩みの相談や社会に適応するための指導と援助を行っています。
精神障害による症状で悩んでいる本人だけでなく、ご家族や周囲の人の相談も受け付けています。また、匿名での相談も受け付けています。医師から正式な診断を受けていなくても相談は可能です。
詳しくは、お住まいの自治体の精神保健福祉センターにお問い合わせください。
発達障害者支援センターは、発達障害の早期発見と早期支援を目的として、発達障害のある人とその家族などをサポートするための支援機関のことです。(参考:国立障害者リハビリセンター 発達障害情報・支援センター「発達障害支援センターとは」)
保健、医療、福祉、教育、労働など、さまざまな分野の関係機関と連携しながら、地域の支援ネットワークを構築し、多様な相談に応じて、指導や助言を行っています。また、求人に関する情報提供や就業先へのアドバイスなども行っています。
発達障害支援センターは、幼少期に発達障害の診断を受けた人だけでなく、大人になってから発達障害の診断を受けた人も支援の対象です。また、医師から発達障害の診断を受けていない人でも支援を受けることが可能で、発達障害がある可能性がある人からの電話相談なども受け付けています。
運営は都道府県や政令市が主体です。うち約75%は社会福祉法人・特定非営利活動法人などの民間法人が委託を受けて運営しています。(参考:発達障害者支援センター全国連絡協議会「発達障害者支援センターについて」)
各施設には、発達障害者支援センター運営事業実施要綱に基づき、最低3名の専任職員が配置されることになっています。要綱には社会福祉士の配置が規定されていますが、センターによっては臨床心理士、言語聴覚士、精神保健福祉士、医師などの専門家も配置されているところもあります。
2024年8月時点で、全国に約100か所の施設があります。窓口は、各自治体や指定の事業所に設置されています。
障害者雇用・一般雇用、オープン就労・クローズ就労とは?
障害がある人の面接対策は、応募先に障害を開示するかどうかや、障害者雇用か一般雇用かによって、多少異なります。
それぞれの就労形態によって、面接時の質問の重点が変わるからです。
改めて、障害者雇用・一般雇用、オープン就労・クローズ就労について、それぞれの概要や違いなどを簡単に解説します。
障害者雇用・一般雇用の概要と違い
障害者雇用と一般雇用の概要は、以下のとおりです。
- 障害者雇用:障害のある人を対象とした雇用枠のこと
- 一般雇用:障害者雇用以外の雇用枠のこと
障害者雇用の場合、障害の特徴や内容に合わせて安心して働けるようにするため、いわゆる一般雇用とは就労条件が異なります。一般雇用は、障害の有無にかかわらず誰でも応募することが可能です。
障害者雇用と一般雇用のどちらで就労するかは、それぞれのメリット・デメリットを比べて決めるとよいでしょう。
オープン就労・クローズ就労の概要と違い
オープン就労とクローズ就労の概要は、以下のとおりです。
- オープン就労:病気や障害などを開示して就職活動・就労をすること
- クローズ就労:病気や障害などを開示せずに就職活動・就労をすること
オープン就労とクローズ就労は、障害があることを周囲に伝えるかどうかが異なります。就労スタイルの違いであり、雇用形態は同じケースがある点に注意しましょう。
オープン就労は障害や通院・投薬への理解を得られるため、配慮を受けながら働ける点が魅力です。なお、オープン就労については、障害者雇用と一般雇用のいずれも該当しますが、キズキビジネスカレッジ(KBC)の見聞きする範囲では、障害者雇用についての話が多いです。
一方でクローズ就労は求人数が多く、キャリアアップや給与の増額を見込めます。
どちらがよいかは人それぞれ異なるので、自分にとって長く働きやすいスタイルを選ぶことがおすすめです。
オープン就労とクローズ就労の詳細やメリット、デメリット・注意点については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
補足:障害のことは自分から言わなくてもよい
クローズ就労の場合、病気や障害があることを応募先に伝えないこと自体は、問題ありません。法律的に処罰されることもありません。
ただし、あなたがクローズ就労を望んでいても、面接の場で面接担当者から病気や障害の有無を聞かれることはあるでしょう。
面接で病気や障害に関する質問をされたら、「病気や障害がない」などと嘘はつかない方がいいでしょう。
嘘をついて採用されたとして、採用後に病気や障害があることが発覚すると、職場によっては、面接で虚偽の申告をしたという理由で解雇につながる可能性があるからです。
また、特定の病気や障害があると就労できない仕事もあります。
嘘をつかず病気や障害があると伝えた上で、面接を有利に進めていくためには、やはり対策が必要です。そのため、クローズ就労を検討中の人も、支援機関などで相談や面接対策をすることをオススメします。
なお、このように、面接の際に障害について伝える状態のことを、セミオープンと表現することがあります。
まとめ:支援機関を利用しながら、面接対策を行っていきましょう
病気や障害のある人の面接対策は、障害のない人の場合とは多少異なります。
採用の可能性を高めるためにも、今回解説したポイントを押さえた面接対策を行いましょう。
また、どのような対策が必要かを自分1人で見極めるのは、難しい場合もあります。そのため、積極的に支援機関を利用しましょう。
障害や採用活動に詳しい人の意見を聞きながら面接対策をすることで、就職・転職活動はグッと有利に進むようになります。
私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)でも面接対策に関するサポートを行っています。気になる人はぜひお気軽にご相談ください。
障害者雇用の面接でよく聞かれる質問はありますか?
以下が考えられます。
- 障害・特性に関する質問
- 業務遂行能力や得意・不得意に関する質問
- 志望動機に関する質問
- 退職理由や前職に関する質問(転職の場合)
- 就業中の配慮に関する質問
- 自己紹介や自己PRに関する質問
- 目標やビジョンに関する質問
- 逆質問
詳細については、こちらで解説しています。
障害のある人の面接で面接担当者がチェックしているポイントを教えてください。
以下が考えられます。
- 障害の状態や病状が安定しているか
- 自分に必要な支援を理解しているか
- 意思疎通や相談がきちんとできるか
- 専門家や支援機関と協力体制を築いているか
- 仕事へ意欲があるか
詳細については、こちらで解説しています。
監修キズキ代表 安田祐輔
発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。
【著書ピックアップ】
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』
Amazon
翔泳社公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)
【その他著書など(一部)】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)
うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。2024年10月現在、首都圏・関西に6校舎を展開しています。トップページはこちら→