仕事に行けないのは「甘え」ではありません 相談することで状況は変わります
こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。
「今日は仕事に行けない」と感じるとき、「これは甘えではないか?」という疑問が浮かぶ人は少なくありません。
あなたも、そのようにお悩みなのではありませんか?
他の人が働いていることを思うと、仕事に行けないことに後ろめたさを感じても、おかしなことではありません。
しかし、「仕事に行けない」という感覚の背景には、それなりの理由があります。
このコラムでは、就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)および筆者の知見に基づき、仕事に行けないと思う理由と、その対処法について解説します。
筆者自身、実際に1年近く休職した経験があります。そんな経験がある筆者の「仕事に行けないというのは甘えか」についての考えも合わせて書いてあります。
仕事に行く気にならずに悩んでいるあなたがこの記事を読むことで、「仕事に行けない気持ちとの付き合い方」がわかって気が軽くなり、「仕事に行けないときに取るべき行動」がわかって次の一歩に進みやすくなるはずです。
なお、仕事に行けない悩みに関連して近年では、新型うつ病というものが語られることも多くあります。しかし、新型うつ病は医学的な定義・名称ではありません。誤解を避けるために、本コラムではあえて紹介しません。
私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、仕事に行けないとお悩みの人のための就労移行支援事業所です。
- 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
- 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
- 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月
神田・新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。
目次
仕事に行けないのは甘えとは断言できません
まずはじめに、仕事に行けないのは甘えとは断言できません。
また、実際に甘えだったとしても、仕事に行けない気持ち・状態への対応方法は変わりません。(参考:佐藤隆『職場のメンタルヘルス実践ガイド 不調のサインの見極め方 診断書の読み方から職場復帰のステップまで』、川上憲人『基礎からはじめる職場のメンタルヘルス 改訂版』)
「甘え」の定義は曖昧
明確な理由が思い当たらずに「仕事に行けない」と思うとき、自ら「甘えではないか」と感じたり、他人に「甘えだ」と言われたりすることがあると思います。
筆者もかつては、同じように思っていたことがありました。
しかし、「何が甘えなのか(この気持ちは甘えなのか)」は、人によって判断基準の異なる曖昧なものです。
そのため、「仕事に行けない気持ちは、○○という条件ならば甘えだ」などと、断言できるようなものではないのです。
甘えかどうかに関わらず、人に相談することが重要
そもそも、あなたが「仕事に行けないのは甘えかどうか」を知りたい理由は、甘えか否かで対応が異なると思っているからではありませんか?
ですが、「仕事に行きたくない気持ち」への一番オススメな対応は、甘えか否かに関わらず同じです。
それは、「一人で悩みを抱え込まずに、家族・友人・職場・専門家などに相談すること」です(その後の対応は、人によって異なります)。
ぜひ、あなたの気持ちを相談してみてください(相談先の例は、こちらの章で紹介します)。
「仕事に行けない気持ち」には、病気が関係することもある
「仕事に行けない」という気持ちや状態は、仕事に関するストレスや嫌悪感が、うつ病や適応障害などの「病気の症状」として現れている(現れかけている)こともあります。
もちろん、仕事に関係のない原因による病気や障害が関係する場合もあるでしょう。
病気や障害が関係する(しそうな)場合は、無理をして仕事に行くと、症状や状態が悪化することもあります。
実際に、筆者は「これ以上、仕事に行けない」という気持ちにフタをして働き続けた結果、うつ病になり、休職せざるを得ない状況になりました。
「仕事に行けない」という状態を「甘え」で片づけず、「仕事に行けない・行きたくない」と感じている自分を認める・自覚するようにしましょう。
その上で、「一人で抱え込まないようにする」ことを心に留めておいていただければと思います。
仕事に行けないと感じる5つの理由と、それが「甘え」につながる思考回路
それでは、どのような理由が「仕事に行けない」という感覚・状態に繋がり、ひいては「甘えではないか」と思い至るのかを考えてみましょう。
明確な理由が見つかれば、それを相談して解消する方法も見つけやすくなり、仕事に行きやすくなる可能性もあります(これは、「甘えか否か」は関係ありません)。
ここでは5つの理由と、それを「甘え」と考える思考回路の例を紹介します。
理由①職場の人間関係がうまくいかない
筆頭に挙げられる理由が、「職場の人間関係がうまくいかない」です。
ここで言う「人間」には、同じ法人で働いている人だけではなく、顧客や取引先のことも含みます。
うまくいっていない人間関係の具体的な例は、以下のようなものがあります。
- 協働している同僚との相性が悪い
- 上司とのコミュニケーションで緊張してしまう
- 連携している部署の人との関係がぎくしゃくしている
- 何らかのハラスメントを受けている
関連して、以下のように考えがちな人は、少なくありません。
- 「人間関係の悩みがない人はいない。それで仕事に行けないなんて甘えだ…」
- 「うまく人間関係を築けないのは、自分に原因がある。だから甘えてないで自分ががんばらないとないと」
理由②業務内容や職場環境が合っていない
2つ目は「業務内容や職場環境が合っていない」です。
得意(苦手)とする業務や、自分に合った職場環境は、人によって異なります。
例えば、以下のような場合には、ストレスを溜め込む場合があります。
- バックオフィス部門を志望していたのに、配属が営業や渉外担当であった
- 外回りなどの仕事をしたいのに、ずっと屋内で仕事をしている
- 職場がある街が、自分の好みと合わない(繁華街、静かな街、住宅街、オフィス街など)
こうしたミスマッチな毎日が続くことで「仕事に行けない・行きたくない」と思う人は少なくありません。
前項と同じく、「仕事なんだから、希望と配属が合わないことがあるのは当たり前。それで行けないなんて甘えだ」などと、つい考えていませんか?
理由③業務時間や通勤時間が長い
3つ目は「業務時間や通勤時間が長い」です。
残業が多い勤め先だと、体力も時間も仕事に奪われて、仕事に行きたくなくなるのも無理はありません。
また、通勤時間が長いために、出勤だけでもつらいというケースもあります。
生活に支障を来たすほど拘束時間が長い状態だと、「これ以上、仕事に行けない」と思うのは自然なことです。
そもそも、体力は人によって違いますから、「どれくらいの時間ならOKか」も人によって異なるのです。
その上で、それらによって仕事に行けないことは、以下のような考えから「甘え」と認識するのかもしれません。
- 残業が多いのは、仕事を任せてもらえてありがたいはずだ
- 長時間労働が続いている気がするけど、過労死ラインを超えていないんだから、大丈夫なはずだ
- 通勤時間は長いし、満員電車や渋滞があるけれど、その時間は「仕事」はしていないんだから問題ないはずだ
理由④業務をスムーズに処理できない
4つ目は「業務をスムーズに処理できない」という理由です。
とりわけ、社会人になって間もない新卒者や、異動や転職から日が経っていない人などは、円滑に業務を進められないことが多いと思います。
それが原因で「自分は能力が劣っているのではないか」と考え込む人もいます。
また、仕事で大きなミスをしたことで自信を失い、「恥ずかしくて職場に顔を出せない」と思う人もいるようです。
職場には「仕事」をしに行くのですから、それが苦手だと、以下のようについ「甘えだ」と思うのも無理はありません。
- 「自分だけが仕事ができない。でも仕事ができないから仕事に行きたくないなんて言えない」
- 「失敗が恥ずかしいなんて、言えない。でも他のみんなは成功してるように見えて、やっぱり恥ずかしい」
理由⑤心身の不調で出勤するのがつらい
最後は「心身の不調で出勤するのがつらい」という理由です。
具体的には、うつ病などの精神障害や、発達障害に伴う困難が「つらさ」になって感じられているケースが考えられます。
病気や障害を発症した理由には、前述した①~④が関係する場合もあれば、しない場合もあります。
また、何らかの疾患や障害を抱えているのに、自覚がないことで、「つらい」という所感になっている場合もあるでしょう。
実際に、心身の調子を崩して病院にかかったところ、はじめて発達障害であることが発覚したという人もいます(つまり、それまで自覚がなかったということです)。
その他にも、風邪のような比較的軽い不調から、専門病院で検査を受けなくてはならないような重篤な身体疾患まで、さまざまな場合が考えられます。
「社会人なのに体調管理ができていないなんて、甘えだ」と思う人もいます。
もちろん、病気の予防は、一般論としては大事です。
ですがその上で、病気にはいつ・誰がなってもおかしくありません。生まれついての障害など(に気づいていないこと)もあります。
「仕事に行けないのは甘えか」とお悩みの人に知ってほしい3つの相談先
ここからは、「仕事に行けない」「でもそんな気持ちは甘えではないか」とお悩みの人に知ってほしい相談先を紹介していきます。
繰り返しますが、「仕事に行けないのは甘えだ」と考えて、一人で抱え込まないようにしてください。
「甘えだ」という考えが自分を追い詰めることにつながり、労働や私生活の妨げになる可能性があります。
自力で解決しようとせずに、ご家族、職場の人、友人、医師、支援団体などに協力を求めるようにしましょう。
相談先①同僚や上司などに相談する
1つ目の相談先は「同僚や上司」です。
同じ職場の人であれば、あなたの状況をわかった上での相談が可能でしょう。
相談によって具体的な解決策が見つかることもあれば、話をするだけで気持ちが軽くなることもあります(これは、②③でも同じです)。
「同じ職場の人に、仕事に行きたくないなんて甘えたことを話したくない…」と思うかもしれません。その気持ちはよくわかります。
ですが、信頼できる相手であれば、きっと真摯に対応するはずです。
具体的な対応を依頼する場合には「仕事のどういう面がつらくて行けないと思うのか」「どうなればその気持ち・状態が解決しそうか」を、あなたなりに考えて伝えるのがベターです。
あなたがつらくならない範囲でいいので、同僚や上司への相談を考えてみてください。
「特定の相談相手」が思い浮かばない場合は、人事担当部署に相談する方法もあります。
相談先②専門の支援団体に相談・通所する
「つらい気持ち」についての専門の支援団体に相談・通所するというのも、効果的な対処法です。
一例として、厚生労働省ウェブサイトの「悩み別 相談窓口情報等を紹介するサイト」をご覧ください。
公的な相談先がいくつか掲載されていますので、気になるところがあれば相談してみましょう。
また、お住まいの都道府県や市区町村が独自の相談先を設けていることもありますので、そちらも探してみることをオススメします。
特に病気や障害が関係する(かもしれない)人のための、無料の相談・支援団体には、「精神保健福祉センター」と「発達障害者支援センター」が挙げられます。
精神障害の診断が下りていなくても、疑われる症状があれば相談が可能です。一覧は全国精神保健福祉センター長会(事務局)のウェブサイト「全国精神保健福祉センター一覧」にあります。
発達障害の早期発見と早期支援を目的として、特に発達障害の可能性がある当事者や家族の生活をサポートする支援機関です。一覧は、国立障害者リハビリテーションセンター発達障害情報・支援センターウェブサイトの「発達障害者支援センター・一覧」にあります。
こちらは、「病気や障害かもしれないけど、病院に行くのはまだ迷う…」と思う人が、病院の前に利用できるという利点もあります。
相談先③医師の診察やカウンセリングを受ける
病気や障害が関係しそうな場合は、医師の診察やカウンセリングが一番の対応策です。
体の調子、仕事に行きたくない気持ち、それを甘えだと思う気持ちなどを、正直に話してみましょう。
「自分は病気・障害じゃないと思うんだけど…」と思うかもしれませんが、病気や障害には自覚がないこともあります。
身体の不調よりも精神的なつらさが強い場合には、きちんとした医療機関の「心療内科」を受診することをオススメします。
心療内科にかかることに抵抗があるなら、「産業医面談」も考えられます。
産業医とは、労働者の健康管理について助言や指導を行う医師のことです。
労働安全衛生法に基づき、常時50人以上の労働者が在籍する事業所に1人以上、3,000人超の事業所では2人以上の産業医が配置されています。
以上の条件を満たしていれば、あなたの職場にも産業医がいるはずですので、一度確認してみてください。
また、医師とは別に、臨床心理士・公認心理師によるカウンセリングも、「仕事に行けない」「これは甘えではないか」という悩みを解決するのに役立つ場合があります。
なお、病気や障害は、一度診断がついたら、基本的には「病気・障害である」という事実を変更できません。
自分に病気や障害があると確定することが不安であれば、まずは前項の相談先やカウンセラーと、「病院に行くかどうか」から話し合いましょう。
「病気になりかけ」の段階であれば適切な対応で病気になることを防げたり、「障害の可能性」であれば医学的な治療以外の方法で対応できたりすることもあります。
ただしもちろん、自己判断では、「自分は病気ではない」「医学的な治療は不要」などはわかりません。
最初の相談先が病院であるかどうかは問いませんが、「適切な相談先」にしっかり話をすることが大切です。
「仕事に行けないのは甘えか」とお悩みの人ができる対応7選
前章で紹介した相談先をふまえて、ここからは、個人で取り組めそうな対応をご紹介します。
対応①生活習慣を見直す
1点目は「生活習慣を見直す」です。
仕事に行けない人は、就寝と起床の時間を一定にするようにしましょう。
睡眠リズムの乱れは、生活習慣の乱れに直結するだけでなく、日中のパフォーマンスやストレスにも影響を及ぼします。
また、具合が悪いのであれば、アルコールやカフェインの摂取に注意してください。
これらの嗜好品は、頭痛や不安感の原因になると言われています。
一時的なストレス解消になったとしても、依存性がありますので、控えることをオススメします。
対応②通勤経路を見直す
「通勤経路を見直す」というのも効果的な対処法のひとつです。
毎朝、満員電車に揺られながら、1時間以上かけて通勤している人もいます。
長時間の通勤がストレスになって、「仕事に行けない」「でも通勤時間が長いだけで行けないなんて甘えだ」という所感に繋がっている可能性もあります。
より具体的な見直し方法には、以下のようなものがあります。
- 職場に、家から近い勤務地やリモートワークが可能な部署への異動を相談する
- 職場から近いところに引っ越す
- 異動も引っ越しもしないが、「少しでも楽な通勤ルート」を探す(電車通勤の一部をバス・自家用車・自転車に変更するなど)
対応③短時間勤務制度を活用する
3点目は「短時間勤務制度を利用する」です。
仕事に行けない人は、その日の調子によって「朝はつらいけれど午後からなら働けそう」「調子が安定しないから体調に合わせて勤務時間を変えたい」と思うことがあります。
その場合、短時間勤務制度を活用することで、気持ちが楽になる可能性があります。
まずは人事部門に制度の有無を確認し、申請方法を尋ねてみましょう。
大きく調子を崩す前に、勤務時間を調整しながらやりくりすることが、長く働き続けるコツです。
対応④配置転換や異動を申し出る
今の職場や業務に不満があるなら、「配置転換や異動を申し出る」ことをオススメします。
特に、仕事に行けない原因を専門家が「今の職場・業務にある」と判断した場合には、配置転換をすることで、調子がよくなることも考えられます。
人員の兼ね合いもありますが、パフォーマンスに大きく影響するのであれば、通常は早めの配置転換を考えてもらえるはずです。
ぜひ一度、上司や産業医に相談してみてください。
対応⑤病気の場合には休養に専念する(休職・退職する)
病気の場合には、休養に専念することが大切です。
具体的には、まずは休職の手続きを取って、集中的に休むという手段が考えられます。
ただし、お勤め先によって、休職中の「給与支給の有無」や「適用期間」などの条件は異なりますので、その点をきちんと精査することが大切です。
また、休職を取っても復調しない場合には、退職も視野に入れる必要があるでしょう。
対応⑥公的な(経済)支援を受ける
休養に専念しようにも金銭的に余裕がなくてできない人は、公的な支援を受けるのも一つの手段です。
ハローワーク:「失業保険手続きのご案内」
全国健康保険協会:「傷病手当金」
全国健康保険協会:「傷病手当金について」
一般的な支援で言えば、失職した人が就職するまでの一定期間、給付金を受け取ることのできる「失業手当」が挙げられます。
具体的な受給期間(90日~360日)や金額(在職中の給与の約50~80%)は、その人の状況次第で変わります。
原則として「退職までの一定期間、雇用保険に加入していたこと」と、「求職活動を行っていること」が条件です。
また、何らかの疾患によって休業する際には、「傷病手当金」を受け取れる可能性があります。
傷病手当金は健康保険の被保険者とその家族の生活を保障するための制度です。
窓口は全国健康保険協会、各健康保険組合、各共済組合になります。
受給対象は、病気やケガでお勤め先を休み、かつ十分な給与が支給されない人です。
その他、障害がある人であれば「障害者手帳」を取得することで、医療費や税負担を軽減することができます。
基本的には、お住いの自治体の障害福祉を担当する部門が管轄になりますので、そちらに詳細を問い合わせてみるとよいでしょう。
うつ病の人が受けられる可能性がある経済的な支援については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
障害者手帳の詳細については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
対応⑦転職する
最後は「転職する」という選択肢です。
今のお勤め先での仕事は気が乗らないものの、働く意欲があるなら、別の職種を考えた方がいいかもしれません。
すでに「こういう職場で働きたい」という明確なビジョンがある人も同様です。
実際に転職活動に入る際には、就労移行支援事業所や転職エージェントなどの専門家を頼ると、ミスマッチを防ぎやすくなります。
ただし、もし、単に「現在働いている部門・勤務地」などが合わないというだけでしたら、まずは配置転換や異動の相談をオススメします。
また、心身の調子を崩している人も、一足飛びに転職という結論を出すのではなく、まずは休暇や休職を取った方が、冷静な判断を下せるかと思います。
補足:就労移行支援事業所とは
就労移行支援事業所は、病気や障害のある人の仕事探し(就職・転職・再就職)を援助する福祉サービスです。
「仕事に行けない気持ち」が病気や障害と関係していた場合に、利用することができます。
各事業所は、公的な認可を得た民間事業者が運営しています。
サービス内容は、仕事に就くのための知識・技能の習得、履歴書・経歴書の作成支援、転職後の職場定着支援など、多岐に渡ります。
転職先候補の業務や雰囲気を体験できる職場体験実習(インターン)の紹介も行っています。
利用の可否は、お住まいの自治体が、以下などに基づいて判断します。
- 身体障害、知的障害、精神障害、発達障害、難病などがある
- 18歳以上で満65歳未満
- 離職中(例外あり)
※以上を満たすなら、障害者手帳を所持していなくても利用可能です。
ご自身が利用できるかどうかは、自治体や、各就労移行支援事業所に相談してみましょう。
就労移行支援の詳細については以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
仕事に行けないと感じる人に知ってほしい、3つの働き方
仕事に行けないとお悩みの人は、働き方が合っていない可能性もあります。
この章では、一般的な固定勤務(勤務時間が9〜18時などに固定されている)以外の働き方を3つ紹介します。
多様な働き方があると知ると、今後に向けて気持ちが楽になると思います。
もちろん、いずれの働き方にも人によって合う・合わないがありますので、諸々の条件も含めて考える際には、上述した相談先と話すことをオススメします。
働き方①フリーランス(自由業、個人事業主)
フリーランスとは、組織に属さずに個人で業務を請け負う働き方です。
近年では、インターネット環境の整備やクラウドサービスの浸透により、時間や場所を気にせずに仕事ができるフリーランスの人が仕事しやすい状況が生まれつつあります。
具体的には、Webデザイナー、WebライターといったWeb業界をメインに活躍している人に多く見られます。
- 自由度が高い(業務分野・労働時間・労働場所などを自分で決定できる)
- 「メインの仕事」以外の、社会保険の加入手続きや法人税の申告等も基本的には自力で行う必要がある
- 一般的な会社員や公務員よりも、仕事や収入の有無・多寡が安定しない
働き方②裁量労働制
裁量労働制とは、「実際の労働時間に関わらず、あらかじめ定められた労働時間だけ働いたものとみなす」という、みなし残業制の一種です。
労働者の裁量にしたがって労働時間や業務の進め方を決められるため、自由度の高い働き方が可能になります。
経営に関わる要職や、保守開発といった技術性を求められる専門職に多い働き方です。
プログラマーなど、専門性の高い職種では、一般職でもこの裁量労働制を取っているケースが多いです。
- 効率よく業務を進められると、労働時間が少なくなる
- 労働時間が少なくても、固定の給料を受け取ることができる
- 業務効率が悪いと、労働時間が長くなる
- 労働時間が長くなっても、残業代が発生しないことがある
- 実際には長時間労働が想定されていることがある
働き方③フレックス制
フレックス制とは、始業と終業の時間を固定せずに労働者本人にゆだねる就労形態です。
「一定期間における総労働時間」を定めることで、その範囲内であれば1日単位での始業と終業の時間は労働者本人で決めることができます。
例えば、「1か月の中で、1日あたりの平均労働時間が8時間になればOK」という職場では、「ある日は朝から昼までの4時間だけ働いて、月内の他の日で残りの4時間分をカバーする」などの働き方が可能です。
一見すると裁量労働制と似ていますが、フレックス制は実際の労働時間を測るのに対して、裁量労働制では測らないという根本的な違いがあります。
ただし、完全に自由なわけではなく、以下のような制約は珍しくありません。
- 「コアタイム(必ず働かなくてはならない時間帯)」がある場合とない場合がある
- 「働ける曜日・時間帯」が決まっている場合と決まっていない場合がある(例:土日祝や、深夜から早朝の労働は禁止など)
- その日の調子や予定に合わせて、その日の労働時間を調整できる
- 期間の始めの労働時間が短いと、期間の終わりの方の労働時間が長くなる
仕事に行けないのは「甘え」ではありません
「仕事に行けないのは甘えなのか」という問題から、仕事に行けない理由、対処法などを紹介してきましたが、あなたの感じていた疑問は解消されたでしょうか?
大切なのは、仕事に行けない(行きたくない)という状況や気持ちを一人で抱え込まないことです。
ぜひ、周囲の人や支援団体に相談してみてください。
病気や障害が関係するにしてもしないにしても、お一人で抱え続けるよりも、よい解決策がきっと見つかります。
このコラムが、仕事に行けないことで悩んでいるあなたの助けになれば幸いです。
監修キズキ代表 安田祐輔
発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。
【著書ピックアップ】
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』
Amazon
翔泳社公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)
【その他著書など(一部)】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
執筆寺田淳平
てらだ・じゅんぺい。
高校2年の春から半年ほど不登校を経験。保健室登校をしながら卒業し、慶應義塾大学に入学。同大学卒業後の就職先(3,500人規模)で人事業務に従事する中、うつ病を発症し約10か月休職。寛解・職場復帰後、勤務を2年継続したのち現職のフリーライターに。
2019年に一般財団法人職業技能振興会の認定資格「企業中間管理職ケアストレスカウンセラー」を取得。
サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)
うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。2024年10月現在、首都圏・関西に6校舎を展開しています。トップページはこちら→