大人の癇癪をコントロールする方法7選 原因や治療法を解説 | キズキビジネスカレッジ  

大人の癇癪をコントロールする方法7選 原因や治療法を解説

こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。

癇癪(かんしゃく)があるあなたは、以下のようなことに悩んでいませんか?

  • 怒りやイライラを抑えられない
  • 怒ったときに暴力を振るって周囲の人を傷つける
  • 急に攻撃的な言葉や態度になる

癇癪といえば子どものイメージが強いかもしれませんが、大人でも症状が出ることはあります。大人が癇癪を起こすと、人間関係や仕事といった社会生活へ影響することも。

このコラムでは、大人の癇癪の概要や原因、治療法、コントロールする方法、コントロールできるようになるメリットなどについて解説します。あわせて、周囲の人や職場ができる対応について解説します。

大人の癇癪も原因や治療法がわかれば、うまく対処できるようになります。感情のコントロールで悩んでいる人は、ぜひ読んでみてください。

私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、癇癪を起こす大人のための就労移行支援事業所です。

  • 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
  • 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
  • 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月

神田・新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。

大人の癇癪とは?

この章では、大人の癇癪の概要や症状、子どもの癇癪との違いなどについて解説します。

大人の癇癪の概要

癇癪(かんしゃく)とは、医学的な定義はありませんが、怒りを抑えられず、急激な怒りによる行動をコントロールできない状態のことです。(参考:安藤 俊介『「怒り」のマネジメント術』、おおかみこころのクリニック「癇癪を持つ大人のための克服マニュアル【原因と対処法を知ろう!】」

行動がコントロールできなくなると、周りの人に攻撃的な言葉を言い放ったり、暴力をふるったりすることがあります。詳しい症状については、こちらで解説しています。

1〜2歳の幼児によく見られる癇癪ですが、大人でも起こる可能性は十分にあります。

また、子どもの癇癪は子どもだから仕方がないと思われることが多いですが、大人の癇癪は、周りの人が離れる原因にもなり、仕事や人間関係に影響することもあるのです。

大人の癇癪で見られる症状

大人の癇癪では、以下のような症状がよく見られます。(参考:安藤 俊介『「怒り」のマネジメント術』、おおかみこころのクリニック「癇癪を持つ大人のための克服マニュアル【原因と対処法を知ろう!】」

  • ささいなことでも急激に怒る
  • 怒ると言葉が攻撃になる
  • 他者に暴力をふるう
  • 物を破壊する
  • 家族など信頼できる人だけに激しく怒る
  • イライラで仕事・勉強などに手をつけられない
  • カッとなるがすぐに気持ちが収まる

通常の怒りであれば、ある程度自分自身でコントロールできたり、友人や家族に愚痴を聞いてもらって解消できたりするでしょう。

しかし、大人の癇癪では、怒りの感情が強くなりすぎるあまり、自分自身の言動をコントロールできなくなるのです。

子どもの癇癪との違い

大人と子どもの癇癪は、原因と解決までの流れが異なります。

子どもの癇癪は、幼児期によく見られる成長過程の一部で、自分でやりたいのにできなかったり、思う通りにいかなかったりするストレスや怒りを、うまくコントロールできず、癇癪を起こします。(参考:七ヶ浜町子育てポータルサイト「こどもの「かんしゃく」ってどう対応したらいいの?」、浜松市子育て情報サイトぴっぴ「ちょっとしたことですぐに腹をたて、癇癪(かんしゃく)をおこす子どもに、どう対応すればいいですか。」

一方、大人の癇癪の原因は、ストレスやプレッシャー、精神障害の症状など、さまざまな可能性が考えられるのです。大人の癇癪の原因については、こちらで解説しています。

また、癇癪の解決までの流れとしては、子どもの癇癪の場合、成長するにつれて感情を言葉で表現できるようになったり、怒りをコントロールできるようになったりすることで改善されていきます。

一方で、大人の癇癪の場合は、生活習慣を改善したり、リラックス方法を取り入れたりするなどの日常生活の見直しから、原因によっては薬物療法や心理療法など、医療機関で治療が必要なります。

このように、同じ癇癪と言っても、子どもと大人の癇癪では、原因と解決までの流れが大きく異なるのです。

大人の癇癪が起こる原因

大人の癇癪は、さまざまな原因で起こる可能性があります。

原因によって治療法・対処法が異なる場合もあるので、自分がなぜ癇癪を起こすのか知ることが大切です。

この章では、大人の癇癪が起こる原因について解説します。

原因①ストレスやプレッシャーなどの精神的な問題

大人の癇癪は、ストレスやプレッシャーなどの精神的な問題によって起こるケースがあります。(参考:林寧哲『発達障害の人が"普通"でいることに疲れたときに読む本』、おおかみこころのクリニック「怒りを抑える方法5選|すぐに怒ってしまう原因についても解説」、小西統合医療内科「ストレスホルモン「コルチゾール」と副腎の関係」

人間は嫌なことが起こると、ストレスホルモンのアドレナリンが分泌されます。ストレスが続くとコルチゾールというストレスホルモンも過剰になり、これらのホルモンの影響により、怒りっぽくなったり癇癪を起こしやすくなったりするのです。

ストレスが溜まっていたりプレッシャーを感じ続けたりする生活をしている人は、ストレス解消が癇癪をなくすきっかけになるかもしれません。

原因②睡眠不足や体調不良などの身体的な問題

睡眠不足や体調不良など、身体的な問題で癇癪が出る人もいます。(参考:林寧哲『発達障害の人が"普通"でいることに疲れたときに読む本』、おおかみこころのクリニック「怒りを抑える方法5選|すぐに怒ってしまう原因についても解説」、阪野クリニック「睡眠時間が足りないときの症状について」、恩賜財団済生会「心と身体がしんどい原因は、自律神経⁈」、厚生労働省「良い睡眠の概要(案)」

生活リズムが崩れると自律神経が乱れ、不安・イライラ・怒りっぽいなどの感情が強くなります。このような、ネガティブな感情を強く感じるようになると、自分自身でも感情をコントロールできなくなり、癇癪を起こすことがあるのです。

寝不足や体の不調を感じている人は、まず生活習慣を整えるとよいでしょう。

原因③精神障害による症状

大人の癇癪は、精神障害による症状として出てくる場合もあります。

例えば、以下のような精神障害がある人は、怒りのコントロールに苦手意識を持っている傾向があります。

  • 境界性パーソナリティ障害
  • 双極性障害
  • 間欠性爆発性障害

境界性パーソナリティ障害とは、気分変動が激しく、対人関係や自己イメージに不安定さを抱える精神疾患のことです。怒りのコントロールが不得意なので、ささいなことで強い怒りを感じることが少なくありません。(参考:MSDマニュアル「境界性パーソナリティ障害(BPD)」

双極性障害は、気分が大きく沈むうつ状態と、病的に高揚する躁状態の両方がある気分障害のことです。感情の波が激しく、躁状態では攻撃的な行動を取ることもあります。(参考:理化学研究所脳神経科学研究センター「双極性障害とは」

間欠性爆発性障害は社会生活に影響が出るほど、突発的に感情が爆発して怒りを抑えられなくなる障害のことです。脳機能や遺伝などが原因の障害で、状況に見合わないほど強い怒りを感じることがあります。(参考:ハートクリニック「こころの病気のはなし」

このように、精神障害による症状によって、怒りを強く感じることから癇癪が起こる場合もあるのです。

原因④発達障害による特性

ADHD(注意欠如・多動性障害)やASD(自閉スペクトラム症、自閉症スペクトラム障害)のような発達障害による特性から癇癪を起こす人もいます。(参考:林寧哲『発達障害の人が"普通"でいることに疲れたときに読む本』

ADHD(注意欠如・多動性障害、Attention-Deficit Hyperactivity Disorder)とは、不注意性や多動性・衝動性の特性から日常生活などに困難が生じる発達障害の一種のことです。

衝動性があり感情が不安定なので、急な怒りを抑えられないことも。多動性が強い人のなかには、癇癪を起こして暴力をふるう場合もあります。

ASD(自閉症スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害、Autism Spectrum Disorder)とは、人とのコミュニケーションなどに困難が生じる発達障害の一種のことです。

特定のもの・行動へのこだわりが強い特性があるため、臨機応変な対応を求められると、不安になったり癇癪を起こしたりすることがあります。

大人の癇癪の治療法・治し方

大人の癇癪が生じる原因が精神障害や発達障害であれば、医療機関などを受診して治療を受けることで、怒りをコントロールできるようになります。

この章では、大人の癇癪の治療法・治し方について解説します。

治し方①薬物療法

医療機関を受診すると、薬物療法での治療を受けられます。治療薬の服用により癇癪の原因となる症状が緩和され、激しい怒りを感じにくくなるでしょう。

特にADHDが原因で癇癪が起きている場合、薬物療法が有効といわれています。ADHDの癇癪や不注意さといった特性に、ダイレクトな効果が期待できる治療薬が複数あります。(参考:あらたまこころのクリニック「ADHD治療薬の種類や使い分け方とは?コンサータやストラテラ、イニチュティブの効果や違いも解説」、林寧哲『発達障害の人が"普通"でいることに疲れたときに読む本』、新百合ヶ丘総合病院「大人の発達障害について」 、野江内代クリニック「大人の発達障害」

またASDにも、有効とされている治療薬が存在します。

高い効果が認められているわけではありませんが、興奮を抑えて反復行動を改善する治療薬や攻撃性をしずめる治療薬の服用によって、癇癪を抑えられるようになることがあります。

境界性パーソナリティ障害や双極性障害、間欠性爆発性障害といった精神障害も、薬物療法を行うことが一般的です。(参考:MSD マニュアル プロフェッショナル版「境界性パーソナリティ障害(BPD)」、ハートクリニック「間欠爆発症/間欠性爆発性障害」

なお、薬物療法を行う際は、他の治療法と併用するケースが多くあります。

治療薬や治療法については、まずは医療機関を受診して、医師の指示にしたがって治療に取り組むようにしましょう。

治し方②心理療法

大人の癇癪は、心理療法で治療するケースも珍しくありません。

心理療法とは、傾聴・共感をしながら話し合い、治療することを指します。また、症状や問題のある状態を解決するために、物理的または化学的に対話・訓練をします。(参考:林寧哲『発達障害の人が"普通"でいることに疲れたときに読む本』、新百合ヶ丘総合病院「大人の発達障害について」 、野江内代クリニック「大人の発達障害」

カウンセリングと区別されない場合が多くありますが、正確には異なる治療法で、カウンセリングよりも医学的な要素が強い点が心理療法の特徴です。

精神障害や発達障害の治療や、ストレス・プレッシャーを取り除くために、心理療法は用いられます。

薬物療法だけでは効果が感じられない人は、心理療法が効果的かもしれません。

心理療法は主に以下の2種類があります。

  • 認知行動療法
  • 対人関係療法

認知行動療法とは、認知・行動にはたらきかける心理療法のことです。(参考:林寧哲『発達障害の人が"普通"でいることに疲れたときに読む本』、新百合ヶ丘総合病院「大人の発達障害について」 、野江内代クリニック「大人の発達障害」、MSD マニュアル プロフェッショナル版「境界性パーソナリティ障害(BPD)」、MSD マニュアル 家庭版「双極性障害」、ハートクリニック「間欠爆発症/間欠性爆発性障害」

具体的には、ストレスやプレッシャーによる認知の歪みを改善し、自分で精神的なバランスがうまく取れるようになるための治療を行っていきます。

認知の歪みとは、証拠もなく「◯◯は怒っているに違いない」と決めつけたり、ネガティブなことに注目したりするような、偏ったものの見方をしている状態のことです。

考え方を見直して思考の幅を広げることで、認知の歪みをやわらげていくのです。

認知の歪みが和らいできたら、生活スタイルを振り返って、楽しいことややりがいを感じられる活動を優先的に行います。また、運動などにより身体を動かすこともあります。

こういった活動や行動によって、症状にアプローチすることも少なくないのです。

認知行動療法は、精神障害の改善・予防や、発達障害の特性による生きづらさの軽減といった効果を期待できます。

対人関係療法とは、重要な他者との対人関係を中心としたカウンセリングのことです。(参考:林寧哲『発達障害の人が"普通"でいることに疲れたときに読む本』、新百合ヶ丘総合病院「大人の発達障害について」 、野江内代クリニック「大人の発達障害」、MSD マニュアル プロフェッショナル版「境界性パーソナリティ障害(BPD)」、MSD マニュアル 家庭版「双極性障害」、ハートクリニック「間欠爆発症/間欠性爆発性障害」

重要な他者とは、親・配偶者や恋人・友人などの周囲の人で、何かあったときに自分へ影響を与える人物を指します。

治療の目的は、対人関係の問題への対処法を身につけ、症状へ対応できるようになることです。

認知の歪みに注目する認知行動療法に対し、対人関係療法は患者の感情や気持ちに焦点を当て、誰の何によりその感情が起こったのかを見る特徴があります。

対人関係療法では、以下4つのテーマから1〜2つを選んでから治療を始めます。

  • 重要な他者が喪失した状態
  • 対人関係での役割へズレがある状態
  • 生活での役割の変化についていけない状態
  • 社会的に孤立し、対人関係が欠如した状態

選んだテーマでの感情をもとに、対人関係で起こったことややり取りを話します。

生じた問題・感情と症状の関係などを整理して、解決方法を思いつく限り挙げます。

複数の解決方法のなかで実施する行動を決定し、練習してから実在の他者にはたらきかけるのです。

精神障害や発達障害への治療として効果的なので、精神障害や発達障害による癇癪で対人関係で悩んでいる人はぜひ取り入れてみてください。

大人の癇癪をコントロールする方法7選

大人の癇癪は治療だけでなく、自身の行動を変えるだけでもコントロールできるようになることがあります。

この章では、大人の癇癪をうまくコントロールする方法について解説します。(参考:林寧哲『発達障害の人が"普通"でいることに疲れたときに読む本』、片田珠美「すぐ感情的になる人」、安藤俊介『アンガー・マネジメント イライラ、ムカムカを一瞬で変える技術』

方法①生活環境を整える

大人の癇癪をコントロールするためには、生活環境を整えることが効果的です。

生活習慣が乱れていると、睡眠不足や体調不良になりストレスが溜まりやすくなります。こちらで解説したとおり、ストレスは癇癪を起こす原因の1つです。

そのため、バランスのよい食生活と適切な睡眠時間を確保して、生活リズムを整えましょう。適度な運動も、気持ちの安定に有効です。

まずは生活環境を整えて、癇癪が起こる原因を1つずつなくしていきましょう。

方法②怒りを客観的に評価する

怒りを客観的に評価すると、感情に振り回されにくくなります。客観的な評価をするためには、怒りの度合いの数値化がオススメです。

自分の怒りが1〜10で表すとどれくらいかを考えると、怒りの感情と冷静に向き合うことができ、「そんなに怒ることでもないかも」と考えられるようになります。

怒りを感じたら、10点満点で評価することを習慣づけてみましょう。

方法③深呼吸をしてリラックスする

癇癪を起こしたら、深呼吸してリラックスしましょう。

深呼吸をすると自律神経のひとつである副交感神経が優位になり、リラックスしやすくなります。

具体的な方法としては、怒りを感じたら深く息を吸い、少し呼吸を止め、ゆっくり息を吐いてみましょう。深呼吸は1回だけ行うよりも、2〜3回繰り返したほうが効果的です。

怒りを感じたその場では感情がおさまったものの後からイライラしてきたら、ヨガや瞑想を行う中で呼吸を整えてもよいでしょう。

方法④現状をポジティブに考える

現状をポジティブに考えると、癇癪がおさまりやすくなるでしょう。

癇癪を起こすときは、相手や自分に対して、ネガティブに考える傾向があります。例えば、他者が自分に対して怒りの感情を向けていると、以下のように考えるかもしれません。

  • 意地悪をしてきた
  • 自分がダメだから怒られる
  • 自分のことが嫌いなんだ

しかし、相手が怒ってる理由をポジティブに変換すると、不必要に怒りすぎずに済むでしょう。「相手だって怒りたくないけど、自分の成長のために怒ってる」「自分に伸びしろがあるんだ」と考えてみてください。

自分も相手も否定せずに、肯定するポジティブな考え方をすると、怒りを感じにくくなりますよ。

方法⑤怒りを感じた対象から離れる

怒りを感じた対象から、すぐに離れると癇癪を抑えやすくなります。

目の前に怒りの対象がいると、どんどん怒りが増して癇癪を引き起こしやすくなります。

しかし、対象から離れて距離をとると、視界から対象がいなくなるので、冷静に考えられるようになるのです。

自分の環境を変えると気持ちを切り替えやすくなるので、癇癪を起こしそうだと感じることがあれば、怒りの対象から自ら離れるようにしてみてください。

「お手洗いに行ってきます」「飲み物がなくなったので自動販売機に行きます」と言って離れれば、自然とその場から移動できますよ。

その場から離れられたら、こちらで解説した深呼吸を取り入れて、できる限りリラックスすると感情をしずめられます。

方法⑥怒った事柄以外のことを考える

怒りを感じたら、怒った事柄以外のことを考えるとよいでしょう。

癇癪を引き起こすと、怒りを感じた対象について考え続けてしまいます。怒った原因を考えていると、何度も頭のなかで原因の事柄を繰り返すので、怒りが増幅します。

怒りを増幅させないためにも、原因となる出来事とは全く関係がない、楽しいことを思い浮かべるようにしてみましょう。

ゴルフのベストショットや旅先の景色、デートの思い出など、怒りを忘れられることであれば、なんでも大丈夫です。

すぐに楽しいことを浮かべられないときは、スマホ画面の傷を数えたり、英語で数字を数えたりするなど、怒りの対象から気持ちをそらす方法を取り入れてもよいでしょう。

方法⑦信頼できる医療機関や専門機関を見つける

大人の癇癪をコントロールするためには、信頼できる医療機関や専門機関を見つけることも大切です。

こちらで大人の癇癪の原因を解説しましたが、自分1人では、癇癪の原因を明確にすることは簡単ではありません。

医療機関や専門機関に頼ることで、専門的な観点からサポートを受けられます。

支援機関はさまざまな種類があるので、自分に合ったサポート機関を見つけてみましょう。大人の癇癪について相談できる支援機関については、こちらで紹介しています。

大人の癇癪をコントロールできるようになる2つのメリット

怒りの感情は、誰にでもあるものです。「怒らないようにしなきゃいけない」と我慢することで、かえって怒りを増幅し大きな問題に発展する可能性があります。そのためコントロールできるようになることは、とても大事です。

しかし、仕事や人間関係においては、怒りをある程度コントロールできていないと、トラブルの原因になることも考えられます。

この章では、大人の癇癪をコントロールできるようになるメリットについて解説します。前向きな気持ちで治療や対処法に取り組むためにも、読んでみてください。(参考:安藤 俊介『「怒り」のマネジメント術』

メリット①仕事がうまくいく

大人の癇癪をコントロールできるようになると、仕事がうまくいく可能性が高くなります。

仕事を円滑に進めるうえで、職場で良好な人間関係を築くことは欠かせません。しかし、怒りをコントロールできず、頻繁に癇癪を起こすと、良好な人間関係を構築することが難しくなります。

自分だけに限らず、職場の誰かが癇癪を起こすことを想像すると、周囲の人が委縮したり、喧嘩になったり、顧客とのトラブルになったりすることが思い浮かぶでしょう。癇癪をコントロールできるようになれば、こういった職場での人間関係の悪化やトラブルの発生を防ぐことができ、職場で良好な人間関係を築くことができます。

そして、職場での人間関係が良好になれば、周囲からの信頼を得られるようになることはもちろん、業務を円滑に進められるようになる、これまで以上に仕事がうまくいくようになるはずです。

メリット②人間関係がよくなる

さきほどのメリットにも重なりますが、癇癪をコントロールできるようになれば、仕事に限らずさまざまな人間関係がよくなっていきます。

例えば、友人や恋人、家族、親戚など、あなたの周囲の人との関係がよくなることはもちろん、これから新しい人間関係を築く際にも、よい関係を築いていくことができるでしょう。

また、大人の癇癪について悩んでいるあなたは、これまでに癇癪が関連して人間関係がうまくいかなかった経験があるのではないでしょうか?

友人や家族の前で癇癪を起こしたことで、人格を責められたり否定されたりしたことがあるかもしれません。

しかし、こちらで解説したとおり、大人の癇癪の原因は人格の問題などではなく、ストレスやプレッシャー、精神疾患の症状が原因なのです。

しっかりと原因を突き止めた上で、生活習慣や考え方を改善したり、治療したりすることで癇癪をコントロールできるようになります。「自分は癇癪を起こしてしまうから…」と悩み、人間関係を諦める必要はないのです。

大人の癇癪について相談できる支援機関

この章では、大人の癇癪について相談できる支援機関を紹介します。

支援機関によってサポート内容が異なるので、自分に合ったところを探すための参考にしてください。

支援機関①精神保健福祉センター

精神保健福祉センターは、精神的健康の向上や精神障害者の福祉増進を目的とした総合機関です。(参考:厚生労働省「精神保健福祉センター」、東京都立多摩多摩総合精神保健福祉センター「精神保健福祉センターについて」

各都道府県に設置されており、地方に住んでいる人も利用できます。

精神障害がある人に限らず、家族や周囲の人からの相談も受け付けています。

癇癪の原因が精神障害だとわかっている人は、一度相談してみるとよいでしょう。

支援機関②発達障害者支援センター

発達障害者支援センターは名前のとおり、発達障害がある人への総合的な支援を目的とした支援機関です。(参考:国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害者支援センターとは」

都道府県や指定都市、都道府県知事などから指定された社会福祉法人などが運営しています。

発達障害がある人とその家族のために、医療・福祉・保健・教育・労働などの関係期間と連携して、相談・助言・指導を行っています。

癇癪を始めとする日常生活での相談や、就労支援も実施しています。

発達障害が原因で癇癪が起き、生活に影響が出ている人はぜひ相談してみてください。

支援機関③就労移行支援事業所

就労移行支援事業は、企業への就労を希望する人や、在宅での就労・起業を希望する人のサポートをする支援機関です。(参考:厚生労働省「就労移行支援事業」、厚生労働省「就労移行支援について」

知識・能力の向上や、職場探し・職場定着のサポートなど就労に関する幅広い支援を受けられます。

就労移行支援事業所によっては、職場でのコミュニケーションスキルや体調管理の方法など基礎的なスキルも習得できるでしょう。

国から認められた民間の組織が運営しており、全国各地にさまざまな事業所があります。

私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)も、就労移行支援事業所のひとつです。

癇癪をうまくコントロールしながら就労したい人は、ぜひお気軽にお問合せください。

就労移行支援事業所については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

支援機関④障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、障害がある人の職業生活における自立を目的とした支援機関です。(参考:厚生労働省「障害者就業・生活支援センターについて」

雇用・教育・保険・福祉といった関係機関と連携し、就業・生活の両面から密接な支援を行います。

具体的には、職業準備訓練・職場実習のあっせん・職場定着支援・健康管理・生活習慣の形成といった幅広い支援が受けられます。

精神障害や発達障害が原因で癇癪を引き起こし、就業・生活が安定せず困っている人は、ぜひ一度相談してみてください。

全国に設置されているので、お近くの障害者就業・生活支援センターが気になる人はチェックしてみてください。

支援機関⑤地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、障害がある人への雇用に関する専門的な職業リハビリテーションを受けられます。(参考:高齢・障害・求職者雇用支援機構「地域障害者職業センター」

障害がある人のニーズに応じて支援してくれるため、癇癪により就業が困難な人も安心して利用できます。専門性が高いうえに、関係機関とも密接に連携している点が魅力です。(参考:神奈川障害者職業センター「神奈川障害者職業センターについて」

精神障害や発達障害により癇癪が抑えられないけれど、就職や職場復帰を目指したい人はぜひ相談してみてください。

支援機関⑥ハローワーク

ハローワークは公共職業安定所とも呼ばれる、国が運営する雇用支援機関です。(参考:厚生労働省「ハローワーク」

障害の有無に限らず、仕事を探している人に対して無償でサービスを提供しています。

職業紹介や面接の受け方・応募書類作りのアドバイス、お役立ち情報の提供といったサービスを受けられます。

癇癪を治療しながら仕事を探したい人は、ぜひハローワークにも相談してみてください。

癇癪を起こす大人に対して周囲の人や職場ができる5つの対応

癇癪を起こす大人に対して、何ができるか悩んでいる人も多いでしょう。

この章では、癇癪を起こす大人に対して周囲の人や職場ができる対応について解説します。

癇癪を起こす大人とうまく付き合っていきたい人は、ぜひ参考にしてください。(参考:片田珠美『すぐ感情的になる人』

対応①怒りを押さえつけない

相手が癇癪を起こしたら、まず怒りを押さえつけないようにしましょう。

怒りをしずめようとしたり、無理に黙らせようとしたり言い返したりすると、かえって怒りを増幅させ、癇癪を抑えることが困難になる可能性があります。

また、その場で怒りがおさまったように見えても、怒りが消えてなくなるわけではないため、後日再び怒りが爆発することもあります。

「早く癇癪を止めないと」という思いから、怒りを押さえつけようとしたくなる気持ちはわかりますが、無理に怒りを押さえつけないことが重要です。

対応②話を聞く

癇癪を起こしている人に対して、話を聞くことはとても大切です。

癇癪を起こしている人の多くは、自分が不正を被っていたり、理不尽に悪いことが起きたりしたと考えています。

話を聞こうとしている気持ちが相手に伝われば、「理解しようとしてくれている」と感じられ、癇癪が収まりやすくなるのです。

激しく癇癪を起こしている人の話を聞くことに難しさを感じるかもしれませんが、話を聞こうとする姿勢を見せることが重要です。焦って対処しようとするのではなく、まずは話を聞きましょう。

対応③気持ちを理解しようとする

相手の気持ちを理解しようとする姿勢を見せると、癇癪を起こしている人の感情が静まりやすくなります。

癇癪を起こしている相手の立場を想像し、相手の目線で物事を考えてみましょう。

とはいえ、本当に相手の気持ちを理解しなければならないということはありません。どんなに頑張って想像しても、理解できないこともあります。

しかし、「あなたの気持ちは理解できない」という気持ちを見せると、相手も怒りがしずまりません。

相手に気持ちを理解しようとしている姿勢を見せることが、癇癪を起こしている人と接するうえでは重要なのです。

対応④相手の真似をしない

相手の真似をして、同じように激しく怒ることはやめましょう。

癇癪を起こしている人の怒りの感情に任せた言葉に対して厳しく言い返すと、火に油を注ぐように状況が悪化します。

相手の発言や態度に腹が立っても、決して言い返さないようにしてください。言い返したいほどの怒りがある場合は、心のなかで言い返すことにとどめ、相手の話を聞いたり気持ちを理解しようとする姿勢を見せたりするようにしましょう。

対応⑤別の見方を伝える

相手の状況を想像した結果、どうしても理解できない場合は別の見方を伝えることも効果的です。

癇癪を起こしている人は、怒りで視野が狭まっていることが多く、別の見方を伝えれば冷静になるケースがあります。

ただし怒っている相手に、突然別の見方を提示しても受け入れられません。

相手の話を聞き、気持ちを理解する姿勢を見せ、相手が落ち着いたタイミングで実践することが大切です。

また、相手を傷つけたり新たな怒りに結びついたりすることがないよう、相手を否定しない言い方を心がけてみてください。

まとめ:大人の癇癪はコントロールできるようになります

大人の癇癪は、ストレス・生活習慣の乱れ・精神障害・発達障害など、さまざまな原因で起こります。

まずは、生活リズムを整えたり考え方を変えてみたりするなど、自分で取り組めることからはじめてみてください。

ただし、精神障害や発達障害などがある場合は、医療機関での治療が必要になる可能性があります。治療法は人それぞれ異なるので、まずは医療機関に相談してみてください。

また、医療機関以外にも専門的な支援機関に頼ると、癇癪への対応や生活・就労のサポートも受けられるので、あわせて確認してみてください。

私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)でも、癇癪を起こす大人のサポートをしています。

癇癪による職場や働き方に関する困りごとがある人は、ぜひお気軽にご相談ください。

よくある質問(1)

大人の癇癪が起こる原因を教えてください。

以下が考えられます。

  • ストレスやプレッシャーなどの精神的な問題
  • 睡眠不足や体調不良などの身体的な問題
  • 精神障害による症状
  • 発達障害による特性

詳細については、こちらで解説しています。

よくある質問(2)

大人の癇癪をコントロールするにはどうすればいいですか?

以下が考えられます。

  • 生活環境を整える
  • 怒りを客観的に評価する
  • 深呼吸をしてリラックスする
  • 現状をポジティブに考える
  • 怒りを感じた対象から離れる
  • 怒った事柄以外のことを考える
  • 信頼できる医療機関や専門機関を見つける

詳細については、こちらで解説しています。

監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。

【著書ピックアップ】
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』

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翔泳社公式 【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)

【その他著書など(一部)】
学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧

【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)

うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。2024年10月現在、首都圏・関西に6校舎を展開しています。トップページはこちら→

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