朝起きられない大人の対処法 原因や関連する病気・障害を解説
こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。
このページをご覧になっているあなたは、朝起きられずに以下のような不安を抱えているのではないでしょうか?
- 朝起きられないのは自分のせいなのか?
- 朝起きられるようになるにはどうしたらいいのか?
このコラムでは、大人が朝起きられない原因や原因となりえる病気・障害、朝起きられない状態が続くと起きえるリスク、朝起きられないときの対処法について解説します。
朝起きられずに悩んでいる人や病気かどうか不安を感じている人は、健康的な生活を送るためにぜひ参考にしてみてください。
私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、朝起きられない大人のための就労移行支援事業所です。
- 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
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目次
大人が朝起きられない5つの原因
この章では、朝起きられない原因について解説します。
原因①寝不足
普段から寝不足が続いていると、目覚まし時計に反応できず、朝起きられないことがあります。
また、目覚まし時計に反応できても二度寝してしまい、結局寝坊につながる可能性もあります。
原因②低血圧
低血圧の人は朝が苦手な人も一定数います。低血圧だと体温が低く、十分な睡眠が取れていない状態になります。
十分な睡眠を取るためには適切な体温を維持する必要がありますが、血圧が低いと体をめぐる血液の量が少なく、十分な体温になりません。その結果寝不足につながり、目覚まし時計に反応できず起きれなくなるのです。
原因③生活習慣
生活習慣が整っておらず、夜更かしをしたり、就寝時間がバラバラだったりする人は質の良い睡眠が取れません。その結果寝不足におちいり、朝起きられなくなるのです。
また、就寝時間だけでなく、就寝前の習慣も寝不足の原因となるので注意しましょう。例えば、寝る前にご飯を食べたり、寝る直前にスマートフォンなどのブルーライトを浴びたりすると、睡眠の質が低下する恐れがあります。
原因④ストレス
ストレスが原因の寝不足も朝起きられない事態につながります。
ストレスや悩みを抱えていると、体内のストレスホルモンが増加し、交感神経が刺激されます。その結果、なかなか寝付けなかったり、夜中に目覚めたりして、十分な睡眠時間が確保できません。
また、ストレスを溜め込み過ぎると、精神的にも肉体的にも影響が出るだけでなく、深刻な病気につながることもあるので注意が必要です。
原因⑤病気や障害
朝起きられない原因は、病気や障害の症状である可能性があります。
病気や障害の治療や対処をしないでいると、いつまで経っても朝起きられるようにならないだけでなく、心身にも悪影響が出る恐れがあります。
ただし、病気や障害の診断は医師だけが可能です。病気や障害の疑いがある場合、専門の医療機関の受診をオススメします。
原因となりえる病気・障害については、こちらで解説します。
朝起きられない原因となりえる病気・障害7選
この章では、朝起きられない原因となりえる病気・障害について解説します。
病気・障害①睡眠時無呼吸症候群
睡眠時無呼吸症候群とは、睡眠中に何度も呼吸が止まったり、浅くなったりする病気のことです。(参考:近畿中央呼吸器センター「睡眠時無呼吸症候群」)
呼吸が止まることにより体は低酸素状態になり、息苦しくなって目が覚めたり、起床時の頭痛や体のだるさを感じたりします。また気道が狭くなることによるいびきを伴う場合があります。
睡眠時無呼吸症候群は、 低酸素状態や寝不足によるストレスの原因となり、以下のようにさまざまな合併症を引き起こす可能性があります。
- 高血圧
- 脳卒中
- 心筋梗塞
- 糖尿病
- 高脂血症
中には命にかかわるような病気もあるため、早期発見と適切な治療が重要です。
病気・障害②不眠症・過眠症
不眠症は、主に寝付きの悪い入眠障害、夜中に目が覚めてしまう中途覚醒、早朝に目が覚めてしまう早朝覚醒、寝ているのに脳や体が休まらない熟睡障害の4つに分類されます。
不眠症の原因は人によってそれぞれですが、ストレスや不安、生活習慣、薬の副作用などがあります。
一方、過眠症には突然眠り込むナルコレプシー、ナルコレプシーよりは症状が軽いものの眠気に襲われる突発性過眠症、1日中寝て過ごす状態が2~5日継続する反復性過眠症などがあります。(参考:国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所睡眠・覚醒障害研究部「中枢性過眠症」)
このうち、朝起きられない症状につながるのは突発性過眠症です。
病気・障害③起立性調節障害
起立性調節障害(OD、Orthostatic Dysregulation)とは、自律神経である交感神経と副交感神経の機能が低下することで発生する血行不良に伴い、さまざまな症状が引き起こされる病気のことです。(参考:一般社団法人 日本小児心身医学会「(1)起立性調節障害(OD)」、一般社団法人 起立性調節障害改善協会「起立性調節障害とは?子ども・大人別に特徴を解説」)
起立性調節障害は思春期の若者に多い病気ですが、大人も発症します。(参考:起立性調節障害改善協会「どんな症状が出る?大人の起立性調節障害【医師解説】」)
起立性調節障害になると、自律神経系のバランスが乱れ、朝起きるのが難しくなったり、めまいや立ちくらみを起こしたりと、さまざまな症状を引き起こし、日常生活に支障が出ることも少なくありません。
治療には生活習慣の改善や薬物療法が用いられ、症状に合わせて段階的な対応が取られます。
病気・障害④うつ病
うつ病とは、気分の落ち込みや憂うつ感、さまざまな意欲の低下などの精神的症状と、不眠、食欲の低下、疲労感などの身体的症状が一定期間持続することで、日常生活に大きな支障が生じる精神障害・気分障害のことです。(参考:American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、厚生労働省「1 うつ病とは:」、厚生労働省「うつ病に関してまとめたページ」、、厚生労働省「うつ病」、国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所「うつ病」、株式会社メディカルノート「うつ病について」 、MSDマニュアルプロフェッショナル版「抑うつ症候群」)
また、脳の機能が低下している状態、脳のエネルギーが欠乏した状態を指し、脳の中で神経細胞間のさまざまな情報の伝達を担うセロトニン、ノルアドレナリン、ドパミンなどの神経伝達物質のバランスの乱れや、感情や意欲を司る脳の働きに何らかの不調が生じているものと考えられています。
病気・障害⑤適応障害
適応障害とは、仕事や職場の人間関係などから生じる特定可能な明確な心理的・社会的ストレスを原因に、心身がうまく対応できず、情緒面の症状や行動面の症状、身体的症状が現れることで、社会生活が著しく困難になっている状態のことです。(参考:American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、松﨑博光『新版 マジメすぎて、苦しい人たち:私も、適応障害かもしれない…』e-ヘルスネット「適応障害」)
適応障害は、原因から離れることで、病状はよくなっていきます。職場では調子が悪く、やる気がまったく出ないのに、家に帰ると元気で、趣味に熱中して取り組めるということが往々にしてあります。こうした症状の現れ方から、甘えていると勘違いされやすく、理解されづらいこともあります。
適応障害になると眠れなかったり夜中に目が覚めたりなどの症状が現れることもあり、朝起きられない状態につながります。
病気・障害⑥自律神経失調症
自律神経失調症とは、身体を活発に動かすときに働く交感神経と、身体を休めるときに働く副交感神経の2種類からなる自律神経のバランスが崩れることによって、明らかな病気がないにも関わらず、心身に様々な症状が生じている状態のこととされています。(参考:厚生労働省「自律神経失調症」日本臨床内科医会「自律神経失調症」、こころの耳「自律神経失調症」)
人は普段、交感神経と副交感神経の2つの神経をバランスよく働かせることで、身体の状態を調節しています。しかし、緊張が続いて交感神経が優位の状態に偏り、リラックスできないことで、不調が生じて心身のバランスが崩れた状態が自律神経失調症であるされます。
ただし、自律神経失調症は、医学的には正式な病名ではありません。
診断書に記載されるような病名は、より詳しい検査を経た後に、適応障害やうつ病など、自律神経の乱れを含む一定の診断基準に応じて確定されます。しかし、自律神経失調症自体には、検査値で明確に区別できるような統一された診断基準がありません。
自律神経失調症は、病気ではなく、自律神経の失調に関連して症状が生じている状態の総称であるという点には注意が必要でしょう。
なお一般的に、不眠や倦怠感、肩こり、腰痛などさまざまな症状が現れるとされています。
自律神経が乱れると、睡眠ホルモンの一種であるメラトニンがうまく分泌されず、副交感神経が優位になりません。その結果、心拍や体温、血圧が高いままとなり、深い眠りに入れず朝起きられなくなるのです。
病気・障害⑦その他の睡眠障害
そのほかにも朝起きられない病気や障害には、以下のようなものがあります。(参考:国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所睡眠・覚醒障害研究部「睡眠時随伴症」、e-ヘルスネット「レストレスレッグス症候群 / むずむず脚症候群」、MSDマニュアル家庭版「周期性四肢運動障害(PLMD)とレストレスレッグス症候群(RLS) - 09. 脳、脊髄、末梢神経の病気 -」、e-ヘルスネット「概日リズム睡眠障害」)
- 睡眠時随伴症:睡眠中に起きる異常行動や体験を特徴とする病気。夜驚症や睡眠時遊行症などが含まれる
- むずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群):就寝時に脚がむずむずする不快感が生じ、動かさずにいられなくなる病気
- 周期性四肢運動障害(PLMD):睡眠中に脚や腕が周期的に動く病気
- 概日リズム睡眠障害:体内時計と社会的な睡眠・活動のリズムが合わないことで、睡眠時間がずれる病気
病気や睡眠障害は、専門の医療機関で検査しなければ診断できないため、自己判断で治療しようとするのはオススメできません。眠りの質を調べるには、病院に宿泊して脳波を調べる睡眠検査入院が必要です。
朝起きられない状態が続くと起きえる2つのリスク
この章では、朝起きられない状態が続くと起きえるリスクについて解説します。
リスク①日常生活や仕事への悪影響
朝起きられない状態が続くと、日常生活や仕事にさまざまな悪影響を及ぼすリスクが高まります。
例えば、寝坊による遅刻や欠勤が頻発することで、仕事のパフォーマンスが低下したり、周囲の人から信頼を失ったりする可能性があります。
また、寝不足による生産性の低下や集中力の欠如は、仕事で周囲の人に負担をかけることになるため、職場での評価が下がったり居心地が悪くなったりもするでしょう。
さらに、生活リズムが崩れることで疲労感が蓄積し、体調不良につながる可能性もあるため、早期の対策が重要です。
リスク②健康リスクの増大
朝起きられない状態が続くと、生活リズムの乱れにより健康リスクが増大します。
夜型の生活が習慣化することにより睡眠の質が低下し、慢性的な疲労感やストレスが蓄積しやすくなります。
また、ホルモンバランスの乱れが原因で、免疫力の低下や肥満、高血圧、糖尿病などの生活習慣病のリスクも高まります。さらに、うつ病や不安障害などの精神疾患も引き起こされる可能性もあるので注意が必要です。
朝起きられないときの対処法5選
この章では、朝起きられないときの対処法について解説します。
対処法①生活習慣を見直す
まずは生活習慣を見直しましょう。病気ではなく生活習慣が原因で朝起きられない人は、生活習慣を見直すだけで大きく症状が改善する可能性があります。
ここで重要なのは、規則正しい生活を送ることです。具体的には、毎日同じ時間に寝て起きることが重要になります。
成人の場合、個人差はあるものの、睡眠時間は6時間以上を目安に確保する必要があります。自身の仕事や生活サイクルを考慮して、起きなければならない時間から逆算してみてください。(参考:健康づくりのための睡眠指針の改訂に関する検討会「健康づくりのための睡眠ガイド 2023(案)」)
また、食事も決まった時間にとることで、生活リズムが整います。なお、質の良い睡眠をとるために、寝る前はパソコンやスマートフォンといったブルーライトの出るものの使用を控えましょう。
対処法②睡眠環境を整える
質の良い睡眠をとるためには、睡眠環境を整えることも重要です。室温が高過ぎたり低すぎたりすると、体温調節のために自律神経が働き続けてしまいます。
具体的には、夏は25〜26度、冬は20〜22度で、湿度は通年50〜60%が理想と言われています。
また、より良い睡眠のためには自分にあった寝具も欠かせません。自分に合った枕、体に負担のない硬さのマットレスや敷き布団、掛け布団というように寝具をそろえることで、寝つきの悪さや不眠が改善する可能性があります。(参考:e-ヘルスネット「快眠のためのテクニック -よく眠るために必要な寝具の条件と寝相・寝返りとの関係」)
対処法③早起きできる方法を試す
朝起きるためには早起きできる工夫も必要です。早起きのためにできることは、以下のようなものがあります。
- 目覚ましのスヌーズ機能を使う
- 快適に起きられる音のアラームを使う
- カーテンを開けて太陽の光を浴びる
- 寝起きに水を飲む
- 早起きできたご褒美を用意する
例えば、カーテンを開けて太陽の光を浴びると、セロトニンという脳内伝達物質の分泌が促されます。セロトニンは幸せホルモンとも呼ばれ、精神を安定させる働きをします。また、夜に眠気を催すメラトニンの材料にもなります。また日光は、体内時計をリセットする効果があります。(参考:小西 正良、吉田 愛実「セロトニン分泌に影響を及ぼす生活習慣と環境」、農林水産省「よい生活リズムと生活習慣を身につけよう」)
対処法④メンタルヘルスに関する情報を調べる
朝起きられない原因がストレスや精神的なものであることが疑われる場合は、メンタルヘルスに関する情報を調べましょう。メンタルヘルスの改善については、インターネットやSNSで公的機関や専門家がさまざまな発信をおこなっています。
調べた情報でも改善しない場合は、心療内科の医師やカウンセラーに相談することも重要です。ストレスは放っておくと適応障害やうつ病などの精神疾患につながる可能性もあるので、早期に対処することをこころがけましょう。
対処法⑤医療機関を受診する
どうしても朝起きられないなら、病気の可能性があるため、専門の医療機関を受診しましょう。
朝起きられない大人が病院に行く目安は、週3日以上の症状が3カ月以上持続する場合です。
強いストレスや悩みが原因で一時的に不眠になることもありますが、この場合はストレスから解放されれば治る可能性があります。
しかし、慢性的に不眠状態が続いたり、日常生活や仕事に影響が出ている場合は、早めに受診した方が良いでしょう。
思い当たる症状に合わせた医療機関を選ぶことが、完治までの最短ルートです。
受診すべき医療機関は、以下のとおりです。
- 内科
- 呼吸器内科
- 循環器内科
- 耳鼻咽喉科
- 精神科
- 心療内科
- 脳神経内科
自己判断による対応と専門家による治療には大きな違いがあります。
自己判断では、生活習慣や睡眠環境の改善などのセルフケアが主で、症状が軽い場合には効果が見られる可能性もあります。しかし、これらの対策だけでは、根本的な原因が解消されない場合もあり、不眠が慢性化するリスクが伴います。
一方、プロによる治療では、心理療法やカウンセリングに加え、投薬治療が検討されることもあります。睡眠薬などの薬物療法は短期間での効果が期待できますが、一方で依存や副作用のデメリットもあるので注意が必要です。
そのため、専門家に相談し、適切な治療計画のもとリスクを最小限に抑えることが重要になります。
まとめ:朝起きられない原因を明らかにして適切に対処しよう
朝起きられない大人は、ただ怠けているわけではなく、病気やストレスなどさまざまな原因を抱えている可能性があります。
「自分はダメな人間だ」と自分を責めるのではなく、まずは原因を究明して健康的な生活サイクルを整えることが重要です。
また、朝起きられないのが慢性化している人は、深刻な病気を発症している可能性もあります。自己判断だけでなく、適切な医療機関への相談を検討するのも忘れないでください。
このコラムが、朝起きられない悩みを解決する手助けになれば幸いです。
朝うまく起きれません。原因を知りたいです。
朝起きれないことと関連する病気や障害はありますか?
監修キズキ代表 安田祐輔
発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。
【著書ピックアップ】
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』
Amazon
翔泳社公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)
【その他著書など(一部)】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
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