ひきこもりの生活を改善する食事を紹介! おすすめの朝食メニューもあわせて解説
こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)利用者でひきこもりを経験した橋本大樹(仮名)です。
私は6年のひきこもり期間を経て、社会復帰のために少しずつ行動してきた者です。
私の経験や、長年ひきこもり支援を行ってきた「株式会社キズキ」の知見にもとづくと、ひきこもりの方には以下のお悩みがあるかと思います。
- このままでいいとは思っていないけど、何から始めたらいいのかわからない
- 誰も味方がいない気がして、不安で動けない
- 働いたり、施設に通ってみても、続かないのではないか
- 無職の期間があるか、働いたことがなく、就職に希望を持てない
これらの問題を解消してひきこもりが社会復帰する方法を、シリーズ記事として、段階ごとにご紹介していきます(記事は随時公開していきます)。
今回はひきこもりの心身の安定に役立つ食事について解説します。
ひきこもりの方の社会復帰を目指すきっかけに、少しでもなれば幸いです。
※この記事は、シリーズ「ひきこもりから社会復帰への道」の第2弾です。
前回のコラムは以下よりご覧ください。
シリーズ全体のまとめは以下よりご覧ください。
私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、ひきこもり状態にある人のための就労移行支援事業所です。
- 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
- 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
- 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月
神田・新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。
目次
ひきこもりが社会復帰するには生活管理(心身の安定)が必要
ひきこもりの方の安定した社会復帰のためには、生活管理(心身の安定)をする必要があります。
特に就職を通じた社会復帰をする際には、生活管理(心身の安定)が、就職後の「出勤時間などの就業規則を守れる状態」をつくることにつながります。
そして、生活管理(心身の安定)は、就職の前段階の「継続的な就職活動」のためにも必要です。
また、面接や書類作成など、本格的な就職活動がはじまると、精神的負荷が強くかかりやすくなっていきます。
そして、精神に負荷がかかっても就職活動を継続していくには、挫折しないようにご自身でも生活管理(心身の安定)をしていく必要があります。
その生活管理(心身の安定)のなかでも、軽視されがちなポイントが食事です。
生活管理のために食事が大事な理由
生活管理(心身の安定)には、食生活が大きく関わってきます。
なぜなら食事をとる時間によって、体内時計が設定され、生活リズムに影響してくるからです。
また、適切な栄養素をとることでも、心身が安定して生活管理がしやすくなります。
ここではメンタルケアに焦点を当てた食事を紹介していきます。食生活改善の参考にしてみてください。
大切なことは朝食を食べること
まず、ひきこもりから社会復帰を目指す上で大切なのは、朝食を食べることです。
朝食を食べることの大事さは、さまざまな研究によって証明されています。
たとえば、日本人1万人以上の調査では、朝食を食べる人のほうが、食べない人よりもうつ病になる機会が少ないという結果が出ています。
さらに、インドで行われた学生を対象とした研究でも、朝食を食べる人のほうが日中活動を意欲的に行っており、うつ症状も少ないことが明らかになっています。
また、朝食を食べることは、体内リズムを整える役目も果たしています。
体内リズムが整うことで、夜に眠気が来るようになり、夜間の睡眠の質が上がります。
そして良質の睡眠をとることにより、朝に目覚めやすくなります。
このようにして、生活リズムが整っていきます。
睡眠については、コラム「ひきこもりの昼夜逆転は睡眠で変わる!〜ひきこもりから社会復帰への道(1)〜」を参考にしてみてください。
朝食を食べる時間の目安は朝7時
朝食は、朝7時にとることをおすすめします。
また、前日の夕食から朝食までの時間が、三食の中で一番長くなるようにしましょう。
なぜなら身体が1日の始まりとみなす時間は、三食の中で絶食時間(食べ物を摂取しない時間)が最も長く空いた後の食事だからです。
つまり前日の夕食から朝食までの間隔が一番長ければ、実際の朝と体内時計にとっての朝が合い、生活リズムが整いやすくなります。
■例:前日の夕食を20時、朝食を7時に食べている場合
前日の夕食から朝食までの間隔は11時間。
体内時計を整えるためには、朝食~昼食、昼食〜夕食の間隔を11時間より短くする必要があります。
たとえば、朝食7時、昼食12時、夕食20時ならOK。
- 朝食〜昼食の間隔(7時-12時)→5時間
- 昼食〜夕食の間隔(12時-20時)→8時間
- 夕食〜朝食の間隔(20時-7時)→11時間
このように、5時間、8時間<11時間となるようにしましょう。
また、夕食以降の間食は控えるようにしましょう(体内時計が「間食をした時間=夕食の時間」とみなし、夕食〜朝食の間隔が短くなるため)。
朝食のメニュー
朝食では、さまざまな栄養素をバランスよくとることが望ましいです。
朝食は1日の活動の源であり、朝食で食べたものが日中の活動量に関わってくるからです。
朝食メニュー①ビタミンB群やビタミンD、EPAやDHAを含む食べもの
ビタミンB群やビタミンDが不足すると、特にうつ病を発症するリスクが高まるため、積極的に摂取していきましょう。
さらに魚の油に多く含まれるEPAやDHAを摂取できると、なおいいです。EPAやDHAは、脳の発達や機能にかかわる重要な栄養素です。
脳の状態を良くしておくことは、ストレスへの耐性を上げ、精神安定につながります。
朝に食欲が湧かなかったり、栄養バランスのいい食事を用意する余裕がない方は、少しだけ食事をとることから始めましょう。
たとえば、EPAやDHAを摂取するために、コンビニのツナマヨおにぎりを1個だけ食べてみてはどうでしょうか。
朝食メニュー②セロトニン(安心ホルモン)を合成する食べもの
安心感を促すホルモンであるセロトニンは、心身を安定させるために欠かせないホルモンです。
セロトニンの脳内合成には、トリプトファン、葉酸、ミネラル(特に鉄、亜鉛、マグネシウム)の摂取が必要となります。
また、眠気を促すホルモンは、セロトニンから作られているので、いい睡眠のためにも必要です。
心身の安定のために、トリプトファン、葉酸、ミネラルをできる限りとっていきましょう。
朝食メニュー③プロバイオティクスとプレバイオティクス(腸内環境を整える栄養素)
腸内環境を整えるために、腸の働きをよくする善玉菌によって構成されるプロバイオティクスと、善玉菌を育てるプレバイオティクスをとりましょう。
なぜなら腸の状態と脳の状態は、密接に関わっているからです。
脳にストレスがかかると、腸内の善玉菌が減ります。
一方で腸内環境が改善されると、脳のストレス反応が落ち着くことが分かっています。
また、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌を30日間投与された人は、うつや不安などのストレス症状が減少したという報告もあります。
このように、プロバイオティクスとプレバイオティクスの摂取は、心身の安定に大きく関わっています。
①~③で述べた栄養素がとれる食べ物一覧
最後に、前述した栄養素を含む食べ物をご紹介します。
なお、全てを摂取するのは大変かと思うので、とりにくい栄養素は、サプリで補う方法もあります。
その際は、記載されている1日の摂取量を守りましょう。
- DHA、EPA:青魚(イワシ、サバなど)
- トリプトファン:肉、魚、牛乳、乳製品、ナッツ、大豆製品、卵、バナナ
- 葉酸:豚肉(赤身)、ウナギ、玄米、ナッツ
- ビタミンB1:葉物野菜、納豆、レバー
- ビタミンB2:レバー、ウナギ、納豆、卵
- ビタミンB6:刺身、レバー、鶏肉、納豆、ニンニク、バナナ
- ビタミンB12:レバー、赤身肉、魚介、青菜類、納豆
- ビタミンD:牡蠣、ウナギ、牛肉、レバー、大豆製品
- 鉄(ミネラル):貝類、レバー、のり
- 亜鉛(ミネラル):キノコ類、イワシ、鮭
- マグネシウム(ミネラル):海藻類、コーヒー、ココア類、ゴマ
- プロバイオティクス:漬物、キムチ、乳酸菌飲料、ヨーグルト、味噌、甘酒、納豆
- プレバイオティクス:雑穀、大豆、アーモンド、キャベツ、タマネギ、バナナ、はちみつ
あなたが前を向いて行動を起こすきっかけに
ここまで、ひきこもりの心身の安定に役立つ食事について解説してきました。お読みいただき、ありがとうございました。
この記事が、あなたが前を向いて行動を起こすきっかけになることを願っています。
「病気や障害が関連してひきこもりになった方」や「ひきこもり生活中に病気になった方」「ひきこもりからの就職を希望する方」は、キズキビジネスカレッジにご相談ください。
「ひきこもりからの学び直し(高校受験、大学受験など)を希望する方」は、キズキ共育塾にご相談ください。
- 『心の病を治す食事・運動・睡眠の整え方』国立精神・神経医療研究センター精神研究所 室病研究第三部・部長 功刀浩 著
- 『だるさ解消・ぐっすり睡眠 体を整えるすごい時間割』体内時計研究者 田原優 著