ひきこもりを支える自立訓練(生活訓練)事業所とは?利用までの流れや利用料金を解説| キズキビジネスカレッジ  

ひきこもりの自立を支援する自立訓練(生活訓練)事業所とは?利用までの流れや利用料金を解説〜ひきこもりから社会復帰への道(5)〜

こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)利用者でひきこもりを経験した橋本大樹(仮名)です。

私は6年のひきこもり期間を経て、社会復帰のために少しずつ行動してきた者です。

私の経験や、長年ひきこもり支援を行ってきた「株式会社キズキ」の知見にもとづくと、ひきこもりの方には以下のお悩みがあるかと思います。

  • このままでいいとは思っていないけど、何から始めたらいいのかわからない…
  • 誰も味方がいない気がして、不安で動けない…
  • 働いたり、施設に通ってみても、続かないのではないか…
  • 無職の期間があるか、働いたことがなく、就職に希望を持てない…

これらの問題を解消してひきこもりが社会復帰する方法を、シリーズ記事として、段階ごとにご紹介していきます(記事は随時公開していきます)。

今回はひきこもりの自立を支援する自立訓練(生活訓練)事業所について、利用までの流れや利用条件、利用料金などを解説します。

ひきこもりの方の社会復帰を目指すきっかけに、少しでもなれば幸いです。

※この記事は、シリーズ「ひきこもりから社会復帰への道」の第5弾です。
前回のコラムは下記よりご覧ください。

ひきこもりを支える精神科デイケアとは? 利用までの流れや利用料金を解説

シリーズ全体のまとめは下記よりご覧ください。

ひきこもりから社会復帰への道 4つのステップから細かく解説

私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、自立訓練(生活訓練)事業所の利用を検討しているひきこもり状態にある人のための就労移行支援事業所です。

  • 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
  • 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
  • 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月

新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。

ひきこもりが社会復帰するには、対人コミュニケーションのリハビリが大事

ひきこもりが社会復帰するには、対人コミュニケーションのリハビリが大事

社会復帰するために、人との関わりを少しずつ増やしてみましょう。

特に就職を通じた社会復帰をする際には、選考の際に面接などで人とのやりとりがありますし、全く人と関わらない仕事もありません。

人との関わりを練習していた方が、有利に進めやすくなります。

自信を持った就職活動ができるように、ご自身にとって交流がしやすそうな場で、まずは慣らしとして人と会話をしてみるのはいかがでしょうか。

ここではひきこもりの方が対人コミュニケーションを練習できる場所、居場所となるような福祉施設や団体のひとつとして、自立訓練(生活訓練)事業所をご紹介します。

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自立訓練(生活訓練)事業所とは?

自立訓練(生活訓練)事業所とは?

自立訓練(生活訓練)事業所とは、精神科や心療内科への通院を前提とした障害者総合支援法に定められた指定障害福祉サービスのことです。

自立した生活を送れるように、日常生活で必要なさまざまな能力の維持・向上のための訓練を行います。

厚生労働省のウェブサイトによると、支援対象が「継続した通院により症状が安定している者等であって、地域生活を営む上で、生活能力の維持・向上などの支援が必要な者」となっています。

参考資料

自立訓練(生活訓練)事業所のサービスは大きく分けて、下記の2つです。

自立訓練(生活訓練)事業所のサービス
  1. 生活訓練
  2. 機能訓練

機能訓練は、身体障害のある人が支援対象です。

ひきこもりに関して言えば、精神科医や心療内科に通院した場合、生活訓練が支援対象となる可能性があります。

そのため、本記事中では、「自立訓練=生活訓練」というかたちで、お話をしていきます。

主な支援内容は、入浴、食事や家事などの、日常生活全般を送るための訓練や助言になります。

就労支援など、基本的な生活が送れるようになった後の支援を行っている事業所もあります。

自立訓練(生活訓練)は、支援施設や障害福祉サービス事業所か自宅で行われます。

事業所によって、利用者の事業所への通所や宿泊、支援員の自宅訪問など支援形態が変わってきます。

自立訓練(生活訓練)利用までの流れと利用条件

自立訓練(生活訓練)利用までの流れと利用条件について解説します。

利用までの流れ①主治医に自立訓練(生活訓練)事業所の利用の相談する

利用までの流れ①主治医に自立訓練(生活訓練)事業所の利用の相談する

まずはかかりつけの主治医に、自立訓練(生活訓練)事業所の利用を考えていることを、伝える必要があります。

ちなみに、これから精神科や心療内科の通院を考えている方は、精神障害者に対して社会復帰の助言や相談、訓練、指導などを行う精神保健福祉士がいる病院を選ぶと、自立訓練(生活訓練)事業所の利用相談の際にスムーズにいきやすいかもしれません。

医師は障害福祉サービスを専門としていない場合があり、自立訓練(生活訓練)事業所の存在を知らないケースもあるからです。

精神保健福祉士なら、障害福祉サービスの利用などに関する相談ができるため、主治医がとり次いでくれることもあります。

利用までの流れ②特定相談支援事業所に問い合わせる

主治医から自立訓練(生活訓練)事業所の利用の許可が降りたら、次は障害福祉サービス等情報検索で、お住いの市区町村にある特定相談支援事業所に問い合わせてみてください。

参考資料

特定相談支援事業所を探す必要がある理由は3つあります。

特定相談支援事業所を探す理由
  1. 自立訓練(生活訓練)事業所は障害福祉サービスであり、障害福祉サービスを利用するには、特定相談支援事業所に必要書類を作成してもらう必要がある
  2. ひとりで自立訓練(生活訓練)事業所利用の準備を進めようとすると、手続きが複雑なため、申請までに時間がかかる可能性があり、特定相談支援事業所に、役場や福祉施設の間をと取り持ってもらったほうが、簡単に申請手続きが済む
  3. お住まいの地域によっては、障害福祉サービス利用に関する管轄が細分化されており、役場の相談先がわかりづらいことがある

特定相談支援事業所は、お住まいの地域の役場の事情を知っているため、スムーズに事が運びやすくなります。

そのため、管轄が細分化されている役場でも、ストレスによる疲労感を軽減することができます。

ちなみに、相談支援事業者は、利用する自立訓練(生活訓練)事業所を一緒に探してくれたり、自立訓練(生活訓練)事業所利用後の相談先にもなってくれます。

ほかに困りごとがあれば、受給可能な福祉サービスの提示や申請もしてくれます。

特定相談支援事業所を利用する際の注意点

①「特定相談支援事業所」に相談する

相談支援事業所には「特定相談支援事業所」と「一般相談支援事業所」の2種類があり、障害福祉サービス利用の場合は前者となります。

②障害窓口に問い合わせても、事業所事情に詳しくないことがある

市区町村の障害者窓口で、特定相談支援事業所を紹介してもらえます。

地域によっては窓口の担当者の方が詳しくない場合もあります。

もしも役場への相談から始めに行うときは、役場に行く前に障害福祉課に電話をしてみましょう。

電話をした上で、役場と特定相談支援事業所のどちらに相談をするかを判断してください。

③受け入れ可能な特定相談支援事業所が、すぐに見つからない場合がある

障害福祉サービスの利用希望者が多い地域もあり、すぐに利用可能な場所が見つからないこともあります。

そのため、問い合わせをする特定相談支援事業所を、念のため数件リストアップしておくといいでしょう。

利用までの流れ③役場での面談と審査

利用までの流れ③役場での面談と審査

次に、役場の職員による聴取や提出書類によって、受給可否の審査を受けることになります。

審査が通れば受給者証が届き、自立訓練(生活訓練)事業所を利用可能になります。

なお、役場や特定相談支援事業所の状況によって、役場の職員との面談の予約日が1か月かかったり、書類作成に時間がかかって受給者証が届くまでに数か月かかったりすることもあります。

また、役場や自立訓練(生活訓練)事業所の状況によっては、「3役場での面談と審査」と「4.利用を検討している自立訓練(生活訓練)事業所の見学や利用体験」の順序が逆であったり、並行して行われることもあります。

特定相談支援事業所に段取りを相談しながら、自立訓練(生活訓練)事業所利用の準備をしていきましょう。

利用までの流れ④利用を検討している自立訓練(生活訓練)事業所に問い合わせる

受給者証が届いたら、次は利用する自立訓練(生活訓練)事業所を決めましょう。

障害福祉サービス等情報検索を利用したり、特定相談支援事業所に相談したりしながら行ってください。

参考資料
 

通所型の自立訓練(生活訓練)事業所の利用を検討している方の場合は、実際にプログラムの見学や体験をすることもあります。

支援内容の説明を聞いたり、見学体験を通しながら、ご自身にあった自立訓練(生活訓練)事業所を決めていきましょう。

なお、ひきこもりの方が自立訓練(生活訓練)事業所を利用する際は、2つのパターンをご自身の状況と照らし合わせて、考えてみるといいかもしれません。

①生活リズムの安定を目的としつつ、人と関わることにも少し意欲的になっている場合

そういった方は、通所型の自立訓練(生活訓練)事業所の利用を、検討してみてはいかがでしょうか。

決まった時間に事業所へ向かうことにより、自然と生活リズムが安定してきます。

また事業所によっては、他の利用者との合同訓練もあります。

複数の人と関わることにより、より対人のリハビリになることが期待できます。

人との交流に不安がある場合は、「プログラムには参加せず、事業所へ通う習慣をつけるところから始める」など、利用者の状況によって支援内容を調整できるところもあります。

②まだ外に出るのが難しく、集団への参加に強い不安がある場合

そういった方は、訪問型の自立訓練(生活訓練)事業所の利用を、検討をしてみてはいかがでしょうか。

自宅訪問であれば、ご自宅で職員と1対1で話すことで、少しずつ人と関わることを始めていけます。

職員と交流をしつつ、生活リズムの安定も図ってみてはいかがでしょうか。

利用までの流れ⑤自立訓練(生活訓練)事業所の利用開始

利用までの流れ⑤自立訓練(生活訓練)事業所の利用開始

開始日は、自立訓練(生活訓練)事業所の状況と、利用希望者本人の状況を考慮した上で決まります。

自立訓練(生活訓練)は、自立訓練(生活訓練)事業所の職員によって作成される個別支援計画に従って行われます。

定期的(最低3ヵ月に1回)に、職員と利用状況を振り返りながら、個別支援計画の調整を行います。

具体的には「サービスが適切かどうか」や「今後もサービスを利用するかどうか」などを、自立訓練(生活訓練)事業所の職員と話し合っていきます。

なお、通所期間には期限があり、原則24か月となっています。

この期間内に自立した生活ができるようになったあとは、就労訓練への移行ができる自立訓練(生活訓練)事業所もあります。

自立訓練を終えたあとに、どういった形で次のステップへ進むかは、自立訓練(生活訓練)事業所の職員や特定相談支援事業所と相談しながら決めていきましょう。

参考資料

自立訓練(生活訓練)事業所の利用料金

自立訓練(生活訓練)事業所の利用料金

自立訓練(生活訓練)事業所の利用料金は、前年度の収入の有無で変わります。

前年度にお仕事をされていなかったり、生活保護を受給中の方などは、基本的に無料となります。

また収入があった場合でも、負担上限額があります。

ただし、支援内容によっては一部料金負担が発生することもあるため、下記の表はあくまで目安です。

詳しくは、利用を検討している自立訓練(生活訓練)事業所、役場の障害者窓口、もしくは特定相談支援事業所にご相談ください。

<負担上限額の目安>

  • 生活保護:生活保護受給世帯:0円
  • 低所得:市町村民税非課税世帯(注1):0円
  • 一般1:市町村民税課税世帯(所得割16万円(注2)未満)※入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除きます(注3)。:9,300円
  • 一般2:上記以外:37,200円

(注1)3人世帯で障害者基礎年金1級受給の場合、収入が概ね300万円以下の世帯が対象となります。
(注2)収入が概ね670万円以下の世帯が対象になります。
(注3)入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は、市町村民税課税世帯の場合、「一般2」となります。

参考資料

あなたが前を向いて行動を起こすきっかけに

ひとりで生活管理をすることが難しい場合

ここまで、ひきこもりの自立を支援する自立訓練(生活訓練)事業所について解説してきました。お読みいただき、ありがとうございました。

この記事が、あなたが前を向いて行動を起こすきっかけになることを願っています。

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