障害者就業・生活支援センターとは? 支援内容や利用の流れを解説 | キズキビジネスカレッジ  

障害者就業・生活支援センターとは? 支援内容や利用の流れを解説

こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)、精神保健福祉士の西村です。

みなさんは、障害のある人の就業面と生活面の両方を支援する、障害者就業・生活支援センターという支援機関をご存知でしょうか?

以下のような悩みを持った人が、障害者就業・生活支援センターを利用しています。

  • どうやって就職活動をしていけばいいか分からない
  • 面接が苦手でどうしても上手く話せない
  • 朝起きられないため、働けるか不安
  • 働き続ける自信が持てない

このコラムでは、障害者就業・生活支援センターの概要や利用対象者、利用料金、就業面の支援内容、生活面の支援内容、利用の流れについて解説します。

障害者就業・生活支援センターとは?

障害者就業・生活支援センターとは、雇用や保健、福祉、教育に関する関係機関と連携し、障害のある人の雇用の促進・安定を目的とした一体的な支援を行っている支援機関のことです。(参考:厚生労働省「障害者就業・生活支援センター」、厚生労働省「障害者就業・生活支援センターについて」、厚生労働省「障害者の雇用の促進等に関する法律」、厚生労働省「障害者就業・生活支援センターの指定と運営等について」

障害のある人の就職活動の支援や求人の紹介、職場定着のためのサポートなどを行います。

就業面だけでなく、金銭管理などの経済面や生活面のことまで、日常および地域生活に関する支援も行っています。

生活習慣や金銭管理、健康管理などについても幅広く相談できるため、生活面のサポートも受けたい人にオススメです。

2024年4月1日時点で、障害者就業・生活支援センターは全国に337箇所設置されています。

私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、障害者就業・生活支援センターの利用を検討している人のための就労移行支援事業所です。

  • 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
  • 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
  • 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月

新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。

障害者就業・生活支援センターの利用対象者

主な利用対象者は、身体障害、発達障害などを含む精神障害、知的障害など何らかの障害がある、就労を希望している人です。

厚生労働省によると、障害者就業・生活支援センターの利用対象者は、以下のように定義されています。(参考:厚生労働省「障害者就業・生活支援センターの指定と運営等について」

  • 就職するため、また、継続的に雇用されるため、就業に係る支援と同時に日常生活において相当程度の支援が必要な者
  • 一旦就職したものの、職場不適応を起こし離職、若しくは休職するおそれがある者、又は職場不適応により離職した、若しくは休職している者など、職場定着のために継続的な支援が必要な者

障害者就業・生活支援センターは、原則として障害者手帳を持っている人を対象としています。しかし、一部の障害者就業・生活支援センターでは、障害者手帳がなくても相談することは可能です。

就職活動や日常生活に困難を感じている人は、一度最寄りの障害者就業・生活支援センターに相談してみてください。

障害者就業・生活支援センターの利用料金

就職や生活に関する相談・支援は、基本的に無料で利用可能です。(参考:特定非営利活動法人まひろ「障害者就業・生活支援センター アイ-キャリア」、大阪労働局「障害者就業・生活支援センターのご案内」、社会福祉法人であい共生舎「枚方市障害者就業・生活 支援センター」

ただし、交通費などについては自己負担となります。他にも、職場実習に伴う損害保険の加入などで、自己負担が発生することがあります。その点には注意しておきましょう。

具体的にどのような自己負担が発生するか不安であれば、利用を検討している障害者就業・生活支援センターに問い合わせておきましょう。

障害者就業・生活支援センターの就業面の支援内容

障害者就業・生活支援センターには、就業支援担当員というスタッフが在籍しています。

就業支援担当員とは、関係機関と連携しながら、利用者に必要な就業支援および職業生活に関する支援を行う人のことです。(参考:厚生労働省「障害者福祉施設指導専門員(生活支援員、就労支援員等)」、厚生労働省「専門人材の役割と職務の整理表 資料2」

施設のスタッフには、社会福祉士、精神保健福祉士などの資格を持った人も在籍しており、それぞれが専門的な経験や知見から、さまざまなサポートをしてくれます。

この章では、筆者の知見に基づき、障害者就業・生活支援センターの就業面の支援内容について解説します。

支援内容①職務適性の見極め

はじめに、職務適性の見極めをします。

スタッフが利用者と面談をする中で、性格や能力、障害の特性を一緒に把握し、利用者が企業から受けたい配慮や利用者自身の希望条件を整理していきます。

支援内容②就職活動の準備

自身の障害の特性や就職の希望条件について整理できたら、次は実際の就職活動の準備に移ります。

就職活動の準備として、履歴書の作成や電話・メール対応、ビジネスマナーなど、就職活動において必要なスキルを学ぶための相談支援、練習、訓練を行います。

また、利用者との面談の中で障害の特性や希望条件に合う職場を探していきます。その際、ハローワークや企業、関係機関と連携しながら、どういった企業が利用者に合ってそうか一緒に考え、企業の候補を提案します。

利用者が希望する職場の候補が見つかったら、その職場への問い合わせ、見学、体験実習の手配を行っていきます。

支援内容③就職活動のサポート

障害者就業・生活支援センターでは、「企業に求める障害への配慮をどのように伝えるか」「面接で、どのような内容をどのような態度で伝えれば、あなたの魅力が伝わるか」などの視点から、スタッフが面接練習を行います。

また、必要に応じて就職面接に同行します。利用者のニーズに合わせて、職業能力や障害の特性を企業に説明するサポートを行います。

支援内容④職場定着

利用者の就職後も、障害者就業・生活支援センターは継続した支援を行います。

就職することはひとつの目標ですが、さらに大切なのはその職場で無理をせずに働き続けることです。

障害者就業・生活支援センターのスタッフは、入社手続きの支援や、就職後の定期面談も行います。面談時に、職場で困ってることや悩みなどを相談することができます。

スタッフは利用者からの話だけでなく職場の上司などからも話を聞きながら、利用者の困りごとや悩みが解決されるよう、連携して働きかけていきます。

補足①:職場に対する助言

障害者就業・生活支援センターのスタッフは、利用者と企業の間を取り持つ支援を行います。

職場の上司や事業主などに対しても、定期的に面談を行い、利用者の障害の特性、職業能力を踏まえた雇用管理について助言を行うことで、職場定着を目指します。

また、利用者が体調を崩して休職した場合にも、利用者と企業の間に立ち、職場復帰に向けた相談支援を行います。

補足②:関係機関との連絡調整

企業以外にも、地域障害者職業センターや就労移行支援事業所とも連携しながら就職支援を行います。

障害についての専門的な支援が必要な場合には地域障害者職業センター、就職に関する専門的な訓練が必要な場合には就労移行支援事業所などと、その時々の利用者の必要に応じて、関係機関と連携しながら柔軟な支援を展開します。

補足③:休職・退職後の支援

就職活動を行い、無事に就職できたとしても「働く中で、また少ししんどくなってきた」「働き続けることができなくて退職した」ということも起こりえます。

障害者就業・生活支援センターはそういった休職中・退職後の支援も行っています。

休職した人には、定期的な面談や職場復帰への支援を行います。面談の際には体調の確認や、生活の相談、仕事に関する悩みを聞き取ります。

また、退職した人には退職に至った課題の明確化を一緒に行いながら、再就職に向けた支援を行います。

障害者就業・生活支援センターの生活面の支援内容

障害者就業・生活支援センターには、生活支援員というスタッフも在籍しています。

生活支援員とは、家庭や職場と連携しながら、利用者に必要な日常生活・社会生活に関する支援を行う人のことです。(参考:厚生労働省「障害者福祉施設指導専門員(生活支援員、就労支援員等)」、厚生労働省「専門人材の役割と職務の整理表 資料2」

この章では、筆者の知見に基づき、障害者就業・生活支援センターの生活面の支援内容について解説します。

支援内容①生活習慣、生活リズムの形成の支援

「朝起きられない」「夜寝るのが遅くなってしまう」など、利用者の中には、生活習慣・生活リズムに関する悩みを持っている人が少なくありません。

障害者就業・生活支援センターでは、規則正しい生活を身につけるためにいま現在の生活状況の聞き取りや改善可能な生活習慣の見極め、改善していく方法、改善していく期間の設定などの相談支援を行います。

障害の特性や服薬している薬由来の悩みがある人には、利用者のかかりつけの医師とも連携しつつ、理想とする生活習慣の形成のための相談に対応しています。

支援内容②健康管理の支援

「体力が落ちていて、毎日活動することが難しい」「つい薬を飲み忘れてしまう」など、利用者の中には、健康に関する悩みを持っている人も多くいます。

障害者就業・生活支援センターでは、自分に合った体力を身につけていくための方法や服薬の管理方法を、スタッフと相談しながら探していくことができます。

支援内容③金銭管理の支援

「働いて生活する」ということを考えたときに大切になるのは、金銭管理です。働き続けることができていても、入ってくる金額以上にお金を使ってしまうと、生活に支障が出るでしょう。

障害者就業・生活支援センターでは、月々の収支管理や家計簿記帳などの金銭管理の支援も行っています。どのようなものに、どれくらいお金を使ったのかを把握することは、長期的な生活を考えていく上でもとても大切です。

また、金銭管理スキルを身につけておくことで、働きはじめてから、月々の給与を計画的に使う練習にもなります。

支援内容④住居、年金、事務手続きなど、地域生活や生活設計の相談支援

障害者就業・生活支援センターでは、住居や年金などの各種事務・行政手続きに関する支援や、地域での福祉サービスの利用の支援、今後どのような生活を送っていくかに関する長期的な生活設計の相談支援も行っています。

福祉サービスの利用などに関する手続きの中には、内容の難しいものもあります。「この書類どうしたらいいんだろう?」と悩んだときは、障害者就業・生活支援センターのスタッフに相談してみましょう。

補足:関係機関との連絡調整

障害者就業・生活支援センターは生活の支援においても、利用者の周囲の人とも連携しながら支援を行っています。

時には、ご家族や病院、福祉事務所や保健所などとも協力しながら、利用者が生活しやすい環境を作っていくためのサポートを行います。

障害者就業・生活支援センターの利用の流れ

この章では、障害者就業・生活支援センターの利用の流れについて解説します。

流れ①初回面談・アセスメント

はじめに、電話やメールなどで障害者就業・生活支援センターに問い合わせてみましょう。そうすると、現在の状況の聞き取りが行われます。その後、初回面談日程の調整が行われます。

初回面談の日程が確定したら、予約日に障害者就業・生活支援センターを訪れましょう。その際、履歴書や職務経歴書、障害者手帳、お薬手帳などを持参しておくことをオススメします。それらの情報があれば、相談がよりスムーズに進みます。

初回面談で、利用可能と認められれば、支援を受けることができます。

利用が決定すると、仕事の経験や得意・不得意、障害の特性など、今後の支援のために必要となる情報の聞き取りが行われます。この今後の支援のための情報の聞き取りを、アセスメントと呼びます。

流れ②支援内容の決定・プランニング

利用者登録が完了後、今後の支援方針の計画をスタッフと相談しながら立てていきます。この計画を立てることを、プランニングと呼びます。

就業・生活に関してどのような悩みや困りごとがあるか、スタッフに伝え、自分が納得して取り組んでいくことのできるプランを立てていきましょう。

流れ③職業準備

プランニングが終われば、実際の支援に入っていきます。

この段階で、利用者の必要に応じて、こちらで解説した就業面の支援生活面の支援を行っていくことになります。

自分の障害の特性や職業への興味・関心を明確にし、目標を定め、必要な支援を利用していきましょう。

流れ④求職活動

就業への方向性に応じて、必要書類の作成や面接練習、求人探しを行っていきます。

障害者就業・生活支援センターは、障害者雇用の求人に関する情報を多く持っています。

近年、企業が、一定の割合で病気や障害のある人を雇用する義務である法定雇用率の引き上げの影響で、障害者雇用の仕事も増えてきています。自分の希望する仕事を探してみてください。

流れ⑤職場見学、実習

興味・関心ある仕事が見つかれば、スタッフが企業と利用者の間に立ち、職場見学、職場実習を行っていきます。

実際に職場の雰囲気を知ることで、就職した後のミスマッチを減らすことができます。

流れ⑥就職活動

希望する職場が見つかれば、実際の面接に進んでいきます。その際、障害者就業・生活支援センターでは、利用者の面接に同行する支援も行っています。

また、入社が決定すれば、入社手続き書類の書き方や提出方法などに関する相談支援を受けることができます。

流れ⑦職場定着

就職が決定した後も、定期的な職場訪問や定期面談を通して、安定した就労のサポートを受けられます。

利用者と企業の間を取り持つため、利用者との面談だけでなく、職場の人との面談も必要に応じて行います。

また、必要に応じて、専門の研修を受けた援助者であるジョブコーチによる支援も受けられます。

まとめ:特性を理解して自分の関心を見定めましょう

就職する際に大切なのは、自分の障害の特性を把握すること、そして、自分がどういった仕事に関心があるのか見定めることです。

障害者就業・生活支援センターを利用することで、あなたが無理せず働き続けられる適職に出会えることを願っています。

よくある質問(1)

障害者就業・生活支援センターとはなんですか?

障害者就業・生活支援センターとは、雇用や保健、福祉、教育に関する関係機関と連携し、障害のある人の雇用の促進・安定を目的とした一体的な支援を行っている支援機関のことです。

詳細については、こちらで解説しています。

よくある質問(2)

障害者就業・生活支援センターの支援内容を知りたいです。

以下のような仕事が考えられます。

  • 人との関わりが少ない仕事
  • マイペースに行うことができる仕事
  • 自分の得意分野を活かせる仕事

詳細については、こちらで解説しています。

監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。

【著書ピックアップ】
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』

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翔泳社公式 【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【その他著書など(一部)】
学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧

【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)

うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。トップページはこちら→

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