ニートになる原因は? なりやすい人の特徴や脱出方法を解説 | キズキビジネスカレッジ  

ニートになる原因は? なりやすい人の特徴や脱出方法を解説

こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。

筆者は高校時代の不登校、高校中退をきっかけに、約10年間のニートを経験しました。私の経験上、ニートになる原因を理解することは、ニートからの社会復帰やニートになることを防ぐことに役立ちます。

このコラムでは、ニートから社会復帰を目指す人やそのご家族に向けて、ニートになる原因やニート状態になりやすい人の特徴、ニートから抜け出す方法について解説します。

私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、ニート状態にある人のための就労移行支援事業所です。

  • 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
  • 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
  • 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月

神田・新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。

ニートになる原因

この章では、厚生労働省が2007年に実施した若者自立塾や地域若者サポートステーションなどの支援機関を利用する人・利用を検討している人を対象とした調査の結果に基づき、ニートになる原因について解説します。(参考:厚生労働省「ニートの状態にある若年者の実態及び支援策に関する調査研究報告書」

ただし、いずれもあくまで一般論です。適切な改善策を知るための情報として読み進めてみてください。

前提:さまざまな原因から誰しもニートになりうる

ニートになる原因は、人それぞれです。

世間には、以下のような固定観念を持っている人も少なからずいます。

  • ニートは怠け者がなるもの
  • ニートは甘え
  • 自分はしっかりしているからニートにならない

しかし、実際は以下のように、どんな人でもさまざまな原因でニートになる可能性があります。

  • いじめ・勉強不振が原因の不登校を経てニートになる人
  • 人間関係・将来の不安が原因の高校中退を経てニートになる人
  • 働くことに興味が持てなかったり、やりたい仕事がわからなかったりしてニートになる人
  • 病気・職場環境・家族の介護などを原因に退職してニートになる人
  • 人から見るとちょっとしたことが原因で外出できなくなってニートになる人
  • 過去に社会人として働いたことはあるものの、当時に経験したトラウマになるようなことがきっかけで、社会に出ることに恐怖心を持つようになってニートになる人
  • 自分でも「しっかりしたい」と思っているのに、どうしても一歩踏み出せないことが原因でニートになる人

例えば、一般社団法人若者教育支援センター代表理事の廣岡政幸氏は、国の復興や豊かな暮らしの獲得が働く目的だった戦後から高度経済成長期までの時代から、ある一定の水準以上の暮らしの獲得が当時と比較して容易になり、生き方が多様化した現在へと変化したことで、多くの人が働く目的や生きていく目標などを見失ったのではないかと指摘しています。(参考:廣岡政幸 『「大人の引きこもり」を救え!』

ニートであってもなくても、現代社会に暮らす人々のなかには、働く理由そのものを見つけられずにいる人も多いと考えられます。とはいえ、同じような原因となる可能性のある状況を経験しても、ニートにならない人もいます。

転じて言えば、さまざまな原因・状況によって、誰しもニートになりうるとも言えるでしょう。ニート状態にあるからといって自責の念を持つ必要はありません。

そして、その人がニートになった原因を知ることが、ニートになることを防ぐこと、またはニートからの社会復帰に繋がるでしょう。

原因①学校または会社に馴染めない

1つ目は、学校または会社に馴染めないことです。

調査結果によると、全体の約37.1%が不登校を経験しており、ニートになる前に学校でいじめられた経験を持つ人が約55%もいることがわかりました。

また、同世代の水準からみて、進学率は特に低いと言えない数値になる一方、高校、大学・短大、専門学校などの各段階での中退者は、あわせると30%を超え、在学中の1ヶ月以上の長期欠席経験者も高校で約16.6%、大学・短大で約25.8%と、低くない数値が出ています。

さらに、「人と話すのが不得意」と回答した人が全体の約64.4%と、対面コミュニケーションに苦手意識を持っているために、学校や会社という集団の場所になじみにくさを感じ、ニートになっているという背景がわかりました。

同省が就労に必要な生活行動への苦手意識を尋ねてみると、入社までの面接や入社後の職場の人間関係全体に苦手意識があると回答しています。苦手と答えた割合は、以下のとおりです。

  • 面接に通る:約75.1%
  • 面接で質問に答える:約64.8%
  • 職場で友達をつくる:約64.6%
  • 上司から信頼される:約64.1%

ニートになる原因の一つには、対面コミュニケーションへの苦手意識があるとも言えるでしょう。

原因②家庭環境の問題

2つ目は、家庭環境の問題です。家庭環境の問題と一口に言っても、さまざまなケースがあります。

例えば、家族との関係性に問題があり、家庭で少しずつ養われるはずの人間関係の構築がうまくできず、社会での人間関係に悩みニートになる場合があります。

しかし、家族の入院や介護によって外で働くことが難しく、家族の面倒を見やすいためニート状態にある人も少なからずいます。

筆者も、両親や祖母の通院の送迎・入院手続き・介護経験などに携わっていたため、その数年間はフルタイムで働くことが難しく、ニート状態にありました。

やや話は逸れてますが、イラストエッセイストの犬山紙子氏も、家族の介護をしていたものの、仕事を辞めてお金を稼いでいない現状に引け目を感じ、その当時はニートと名乗っていたそうです。(参考:プレジデントオンライン 「母の介護をしていたのにニートと名乗っていた」犬山紙子さんが振り返る”20代の介護生活”」

このように、家庭環境のなかにも複雑な問題が交錯し、ニートでいることがベストだと判断する人もいれば、現状による引け目からニートと言わざるを得なかった人もいたりと、さまざまな理由によって、ニートになる人も少なくありません。

原因③働かなくても不自由なく暮らすことができる

3つ目は、働かなくても不自由なく暮らすことができることです。働かなくても問題なく暮らせる場合でも、ニートになることはあるようです。

調査結果から、ニート状態にある人の出身家庭は非常に幅広く、あらゆる経済状況の出身者がいると考えられています。

家庭の経済状況については、以下のように回答されており、全体の約14%が比較的余裕があると回答しています。

  • ふつう:約47.1%
  • やや苦しい:約28.0%
  • やや余裕がある:約10.8%
  • 非常に苦しい:約8.9%
  • 余裕がある:約3.3%

無理に働く必要がない環境下にいる人がニートになるケースも少なくないようです。

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ニートになりやすい人の特徴

ニートになる可能性がある状況を経験している人の中に、ニート状態になる人とならない人がいるのはなぜなのでしょうか?

筆者の経験から考えると、最初の原因が何であれ、ニート状態になる人の多くは、自己否定と無気力の悪循環に陥りやすい特徴があるのではないかと考えています。

以下のように、自分のことをどんどん否定的にとらえる傾向があり、その考え方がさらに状況を悪くするのです。

  • 失敗の経験から自信を失う
  • 周りからのプレッシャーを強く感じる
  • 無理にがんばろうとするが結果が追いつかない

こうなると、悪い状況を変えたいと思ってもなかなか変えられません。

そして、自己否定がさらに進み、ますます希望と気力をなくしてニートになる、という負のスパイラルが生まれるのです。単純化した例として、以下のような過程が考えられます。

  1. 自信喪失
  2. 同僚は仕事ができると思い焦る
  3. さらなる自信喪失
  4. 「もっと仕事をがんばらないと」とプレッシャーを感じる
  5. でも、なかなか結果が出なくてますます自信喪失
  6. 「自分はダメ人間だ」と自己否定をする
  7. 「もうやる気が出ない、何もできない…」と無気力になる
  8. ニートになる

また、仕事が原因の負のスパイラルに陥ると、人間関係・体調・生活リズムなど、ほかのさまざまな面でも悪循環を抱えることが多いでしょう。

こうした複数の悪循環が同時に生じると、新しい道に進むことが難しくなります。

ニートになりやすい人の特徴は、何かの原因をきっかけに、無気力への悪循環に陥りやすい点だと、私は考えています。

ニートから抜け出す方法:筆者の体験談から解説

この章では、ニートから抜け出す方法について、筆者の体験談から解説します。

ニートから脱出する方法については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。。

方法①第一歩は無気力による悪循環を断ち切る

筆者の場合、ニートになった最初の原因は、高校時代に不登校になったことでした。そこからニート・ひきこもり状態になり、無気力の悪循環に陥っていきました。

やはり複数の悪循環を抱えていたのですが、一例を挙げれば、以下のような感じでした。

  1. 不登校になって外出が減り無気力になる
  2. 生活が不規則になり、体力もなくなる
  3. 睡眠時間が長くなり、1日の生活リズムが24時間以上になる
  4. リズムを正そうとしても朝に起きれず、自分がイヤになる
  5. 希望を持てず、何もやる気が起きなくなる
  6. 余計に外に出なくな る…

私は、こうした悪循環からなかなか抜け出せませんでした。ニートは長期化するほど脱出が難しくなると言われるのは、悪循環が長引けば長引くほど、深い無気力におちいるからだと思います。

そのため、ニートからの脱出には、無気力の悪循環を断ち切る必要があるのです。

方法②成功体験を積み、自己肯定感を保つ・高める

同じ原因となりえる状況を経験しても、そこからニート状態になる人とならない人がいます。また、ニートからすぐに脱出できる人となかなか脱出できない人がいます。

その差は、原因にこだわりすぎず、成功体験を積み、自己肯定感を保てるか・高められるかどうかではないかと、筆者は考えています。

また、違いが分かりやすいように単純化すると、以下のようになります。

  • 「営業成績が悪かった。自分はもう全部がダメだ…」と考えがちな人は、ニートになりやすい
  • 「営業成績が悪かった。それはそれとして、趣味のゴルフは上達してきているし、明日の社内コンペはがんばろう」と考えられる人は、ニートになりにくい

ニートになる主な原因として、失敗や挫折の経験が挙げられるでしょう。ニートになりやすい人は、失敗や挫折の経験にこだわりすぎるために、自分に対して失望し、明るい将来が見えない無気力の悪循環に陥り、抜け出しづらくなります。

方法③モチベーションが続く目標を持つ

筆者は、ニートからの脱出のため、ニートにならないために、モチベーションが続く目標を持つことをオススメします。

その目標を達成して成功体験を得ることで、「自分はなかなかやるじゃないか」と自己肯定感が高まり、無気力の悪循環から解放されます。

モチベーションが続く目標とは、具体的には小さな目標や楽しめる目標です。

私の場合、ニート生活の中で久しぶりに行ったフットサルで全く走れず、足がつったことがきっかけで、「体力をつけてフットサルを楽しめるようになりたい」と思い、毎日ランニングをするようにしました。

そして、ランニングを続けることでフットサルも楽しめるようになり、それまでできないと思っていたことが、できるようになったことで希望・自信に繋がりました。

これは、フットサルを楽しみたいという小さな目標、自分が楽しめる目標があったから実現できたのだと思います。

無目的に体力をつけようとしてもランニングは続かなかったと思います。逆にフルマラソンを走りたいという大きな目標を立てていれば、挫折していたかもしれません。

成功体験は、自分への失望や無気力を希望に変えます。そして、希望を持てるようになれば、それがさらなるモチベーションになり、さまざまな目標に向かって進んでいけるようになるのです。

つまり、悪循環を好循環に変えられるということでもあります。

私の場合、ランニングの結果として体力がつくだけでなく、生活リズムが整う、精神的にも活力が出るなどの効果があり、ニートから抜け出すのに大いに役立ちました。

私の場合は、フットサルを楽しむためのランニングでしたが、ほしいものを買うために短期アルバイトをすることなどもオススメです。

もし、あなたやあなたのお子さんが何らかの原因でニートになった、あるいはニートになりそうなら、モチベーションが続く目標を考えてみてほしいと思います。

ニートとは?

ニートとは、一般的に就学・就労・家事などをしていない若者のこととされています。

もともとニートという言葉は、「Not in Education、Employment or Training」の頭文字を取って、イギリスで生まれたものです。直訳すると、就学、就業、職業訓練のいずれもしていない人という意味になり、支援が必要な人たちという意味合いで使われていました。

厚生労働省はニートを、以下のように定義しています。

15~34歳で、非労働力人口のうち家事も通学もしていない人

(出典:厚生労働省「よくあるご質問について」

また、総務省統計局では、ニートに近い概念として、若年無業者と表記することもあります。(参考:総務省統計局「16A-Q10 ニートの人数」

ニートについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

まとめ:原因と向き合うことでニートから抜け出せます

ニートになる原因は人それぞれです。同じ原因となる可能性のある状況を経験しても、ニートになる人とニートにならない人がいます。

ニートになりやすい人に共通する特徴は、自己否定と無気力の悪循環に陥りやすいことだと、筆者は考えています。

そして、人がニートになる理由は、何らかの原因をきっかけに無気力の悪循環に陥ることです。

無気力の悪循環から抜け出しニートから脱出するために、モチベーションが続くような小さな目標や楽しめる目標を持ち、少しずつ成功体験を積んでいきましょう。

成功体験をすることで、自己肯定感が高まり、自分への失望や無気力が希望に変わります。

そして、希望を持てるようになれば、それがさらなるモチベーションになり、さまざまな目標に向かって進んでいくことができるようになり、ニートからの脱出につながっていくはずです。

よくある質問

人がニートになる原因を知りたいです。

人によって異なりますが、例としては、学生時代のいじめや勉強不振、高校中退などの経験、職場の人間関係、将来への不安、病気や職場環境による退職、どうしても一歩踏み出せないなど、が原因として挙げられます。詳細はこちらをご覧ください。

ニートになる人には、共通点はありますか?

全員に当てはまることはありません。ですが、多くの人に自己否定と無気力の悪循環に陥りやすいという共通点があるかもしれません。詳細はこちらをご覧ください。

監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。

【著書ピックアップ】
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』

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翔泳社公式 【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)

【その他著書など(一部)】
学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧

【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)

うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。2024年10月現在、首都圏・関西に6校舎を展開しています。トップページはこちら→

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