もやもや病のある人に向いてる仕事 後遺症と仕事への影響を解説 | キズキビジネスカレッジ  

もやもや病のある人に向いてる仕事 後遺症と仕事への影響を解説

こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。

脳の血管が細く狭まり、塞がることで発症する「もやもや病」。

難病にも指定されているこの病気ですが、発症時の症状には個人差があります。また、後遺症が残るかどうかも人それぞれです。

このコラムでは、もやもや病の概要や後遺症と仕事への影響、もやもや病のある人に向いてる仕事・働きやすい条件について解説します。

このコラムが、もやもや病のあるあなたの参考になれば幸いです。

私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、もやもや病のある人のための就労移行支援事業所です。

  • 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
  • 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
  • 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月

神田・新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。

もやもや病が仕事に与える影響

もやもや病を発症した後、どのように仕事に影響を与えるのでしょうか?

こちらでも解説しますが、もやもや病を発症した場合、基本的に脳卒中に対するものと同じ治療が行われます。その後、症状が安定した段階で外科的治療が選択肢に挙がってきます。(参考:難病情報センター「もやもや病(指定難病22)」)

症状が落ち着くまでの数日間、場合によっては外科手術を受けている期間中、仕事をすることはできなくなります。

個人差はありますが、2週間以上の長期に渡って仕事を休む必要があるケースも珍しくありません。

もやもや病の後遺症と仕事への影響

もやもや病を発症すると、なにかしらの後遺症が残ることもあります。例えば、脳卒中のある人のおよそ6割は、後遺症が残っていると言われています。

発症して間もない、症状が安定せずに集中的な治療が必要な時期である急性期の重症度や、損傷した脳の部位によっても後遺症の程度や仕事への影響は異なります。

この章では、代表的なもやもや病の後遺症と仕事に与える影響について解説します。(参考:高木誠『脳梗塞・脳出血 蜘蛛膜下出血 脳腫瘍、もやもや病など、その他の脳の病気』)

後遺症①高次脳機能障害

もやもや病を発症して起きやすい後遺症のひとつが、高次脳機能障害です。

高次脳機能障害では、知的活動や精神的活動など、運動や感覚よりも高次な脳機能が障害される後遺症で、記憶や言葉、認知などに障害が現れます。

  • 言葉の障害(失語):話す、書く、読むなど、言葉の理解や表現が難しい
  • 行為の障害(失行):道具を使うなど、これまで行うことができていた行動ができない
  • 認知の障害(失認):空間認識が難しい、体の部位の呼び名がわからない
  • 記憶の障害:日時や場所、人の記憶を覚えることが難しい

高次脳機能障害になることで、以上のすべての症状が現れるわけではありません。損傷した脳の部分によって、現れる症状には大きな個人差があります。

しかし、例えば「言葉の障害(失語)が現れている人の場合、言葉を扱う仕事が難しくなる」など、特定の仕事への影響が考えられるでしょう。

高次脳機能障害のある人の就職・復職・転職のポイントや向いてるアルバイトについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

後遺症②運動障害

もやもや病を発症することで、運動障害が後遺症として起こる可能性があります。

運動障害の中でも、もやもや病の後遺症として多くみられるのが片マヒです。片マヒとは、左右いずれかの半身の運動機能が低下した症状のことです。損傷した脳が左脳であれば、反対側の右の手足にマヒが現れます。

マヒの程度には、個人差があります。マヒしている部位がまったく動かないという場合もあれば、筋肉が重く突っ張った感じがするだけで動かすことはできるというケースもあります。

全身を自由に動かすことが難しくなる後遺症なので、肉体労働などが困難になる可能性があります。

後遺症③感覚障害

手足にしびれや鈍さが残る、感覚障害という後遺症もあります。

感覚障害の程度が重い場合、「感覚の鈍さから、やけどや外傷を負っても痛みに気づかない」といったことも起こりえます。

程度によっては手足を使った仕事が難しくなる可能性が高いといえるでしょう。

ただし、症状が軽ければ、仕事に対する影響は小さいでしょう。

後遺症④構音障害

こちらで手足にマヒが生じる可能性があると解説しましたが、口の周囲や口内に麻痺が生じるのが、この構音障害です。

構音障害の場合、「言葉の理解や本を読む」「文字を書く」などの動作は問題なくできるのですが、喋るときにだけこの障害が現れます。

主な症状は、以下のとおりです。

  • ろれつが回らない
  • 話すスピードをコントロールできない
  • 声の大きさをうまく調節できない

以上の症状から、人と話す機会の多い仕事で就労することが難しくなる可能性があります。

後遺症⑤嚥下障害

食べ物や飲み物をうまく飲み込むことができない嚥下障害は、急性期のもやもや病のある人の50〜70%に起こる障害であると言われています。

ほとんどの場合、もやもや病の発症から回復してくるにつれて嚥下障害はなくなっていきますが、後遺症として残るケースもあります。

嚥下障害において、もっとも注意しておきたいのは誤嚥性肺炎です。誤嚥性肺炎とは、食べ物や唾液がのどの食道ではなく気道に入ってしまうことで起こる肺炎のことです。

嚥下障害は、仕事の場面よりも、日常生活の食事の場面に大きな影響のある後遺症です。

飲み込みやすい食べ物中心のメニューにするなど、誤嚥性肺炎を起こさないための工夫が必要になります。

もやもや病のある人に向いてる仕事・働きやすい条件

この章では、もやもや病のある人に向いてる仕事や働きやすい条件を解説します。

前提:医師と一緒に後遺症の確認をしましょう

もやもや病の症状や後遺症の現れ方は人それぞれです。

まずは、もやもや病回復後のあなたの後遺症について、医師と一緒に確認するといいでしょう。

そうすることで、以下のような仕事探しの軸ができます。

  • 運動障害があれば、外回りの仕事や肉体労働は避ける
  • 構音障害があれば、電話対応や接客対応は避ける

ご自身の症状を見極めて、向いてる仕事を探しましょう。

もやもや病のある人が働きやすい条件

もやもや病の治療後、特に後遺症が残らなかった場合は、発症前と同じように仕事をすることも可能でしょう。

ただし、後遺症がある場合には「自分の症状があっても働ける仕事」「病気や後遺症のことを理解してもらえる職場」を探す必要があります。

それらの条件を満たしていれば、もやもや病を発症した後であっても仕事をしていくことは可能です。

もやもや病のある人に向いてる仕事

障害者職業総合センターによると、もやもや病のある人は以下のような働き方をしているそうです。(参考:障害者職業総合センター「難病のある人の雇用管理マニュアル」、障害者職業総合センター「難病のある人の雇用管理の課題と雇用支援のあり方に関する研究」)

障害者手帳を取得していないもやもや病のある人の場合
  • 事務従事者:約29.8%
  • 専門的・技術的職業従事者:約24.0%
  • サービス職業従事者:14.0%
  • 運搬・清掃・包装等従事者:9.1%
  • 販売従事者:8.3%
障害者手帳を取得しているもやもや病のある人の場合
  • 運搬・清掃・包装等従事者:約29.2%
  • 事務従事者:約22.9%
  • 生産工程従事者:約14.6%
  • サービス職業従事者:約10.4%
  • 販売従事者:約10.4%

以上のデータを見ると、もやもや病のある人は、事務職や運搬・清掃・包装などの仕事などで就労している人が多い傾向にあると言えるでしょう。

後遺症によっては、肉体労働や接客対応などが難しくなるため、以上のような仕事で就労している人が多いと考えられます。

その傾向を踏まえて、もやもや病のある人には、以下のような仕事が向いてる可能性が高いと言えるでしょう。(参考:障害者職業総合センター「難病のある人の雇用管理マニュアル」)

  • 事務職(商品管理、ファイリング、書類作成、病院受付、データ入力など)
  • 運搬
  • 清掃
  • 包装
  • プログラマー
  • Webライター

以上はあくまで例です。

あなた自身の症状を見極めた上で、その仕事があなたに向いてるかどうかを検討してみてください。

もやもや病のある人には就労移行支援事業所がオススメ

もやもや病のある人がひとりで、仕事探しなどを行うのはとても大変です。

そこでオススメしたいのは、就労移行支援事業所の利用です。

就労移行支援とは、一般企業などへの就職を目指す、病気や障害のある方向けに、「障害者総合支援法」に基づいて行われる福祉サービスのことです。 (参考:e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」)

実際のサービスは、国の基準を満たしたさまざまな民間の「就労移行支援事業所」が行います。

就労移行支援事業所では、体調管理の方法、職場でのコミュニケーションの基礎スキル、就職に必要な専門スキルなどを学ぶことができます。

さらには、実際の就職活動でのアドバイス、就職後の職場定着支援も含む、総合的な就労支援を受けることが可能です。

就労移行支援事業所は各地にあります。私たち、キズキビジネスカレッジ(KBC)もその一つです。それぞれ特徴が異なるため、気になるところがあれば問い合わせてみてください。

就労移行支援事業所については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

もやもや病とは?

もやもや病という病名は、脳梗塞や脳卒中ほどは知られていないでしょう。

「歌手の徳永英明さんなど、芸能人のニュースでもやもや病という病名を知った」という人もいるかもしれません。

この章では、もやもや病の概要や症状などについて解説します。(参考:高木誠『 脳梗塞・脳出血 蜘蛛膜下出血 脳腫瘍、もやもや病など、その他の脳の病気』、厚生労働省「医療関係者・教育関係者のためのもやもや病修学支援マニュアル」、厚生労働省「指定難病」、難病情報センター「もやもや病(指定難病22)」、中京病院「脳神経外科」)

もやもや病の概要

もやもや病とは、脳の血管が何らかの原因で細く狭まり(狭窄)、塞がる(閉塞)ことで発症する病気のことです。厚生労働省が定める指定難病のひとつであり、狭窄・閉塞した血管の周辺に細い血管が発生するのが特徴です。

正式にはウイリス動脈輪閉塞症と言い、1957年に日本で発見されました。

この病気がもやもや病と呼ばれるのは、狭窄・閉塞した血管の周辺に発生した細い血管が、画像診断装置で見ると、煙のようにもやもやとして見えるからです。

多くの場合、細い血管から出血し、脳出血やくも膜下出血を起こしたタイミングで、もやもや病であることが発覚します。

日本人に発症が多く、発症のピークは10代以下の子ども、30〜40代の成人と言われています。

もやもや病の症状

もやもや病の症状は、以下の2パターンで異なります。

  • 脳血流不足で発症した場合
  • 脳出血で発症した場合

脳血流不足は、以下のような動作によって起こる可能性があります。

  • 熱い食べ物を冷ますときに勢いよく息を吹く
  • 走る
  • 楽器を演奏する

脳血流不足で発症した場合、以下の症状が現れます。多くの場合、しばらくすると回復します。

  • 手足のしびれ
  • 麻痺
  • ろれつが回らなくなる

脳出血で発症した場合、出血部位によりますが、強い頭痛と同時に、以下の症状が現れます。

  • 手足のマヒ
  • 意識障害
  • 言語障害
  • 生命に関わる事態(出血が多い場合)

もやもや病を大人が発症する場合、脳出血での発症が多いといわれます。

もやもや病の原因

もやもや病の原因は、残念ながらわかっていません。そのため、根本的な治療は今のところ存在しません。

発症後は、脳卒中を起こさないよう日常的に予防することが大切になります。

もやもや病の予防についてはこちらで解説します。

もやもや病の検査方法

もやもや病の検査は、MRI、MRAなどの脳検査によって行われます。

かつては、脳の血管に検査薬を注入し、その様子をⅩ線撮影する脳血管造影という検査によって診断を確定させることが多かったのですが、現在ではMRIやMRAのみで検査できるようになっています。

もやもや病の治療方法

基本的に脳卒中に対するものと同じ治療が行われます。その後、症状が安定した段階で外科的治療が選択肢に挙がってきます。

ただし、こちらで解説したとおり、もやもや病は原因が判明していないため、根本的な治療はありません。

そのため、再出血を予防するのが、目指すべき目標となります。

再出血を予防するために病院で行うもやもや病の治療には、主に以下の2つがあります。

  • 抗血小板薬の使用:血液を固まりづらくする抗血小板薬を使用して再出血を防ぐ
  • 外科的手術でバイパス血管を作る:脳内に、閉塞したウイリス動脈輪の代わりに血流の供給をしてくれるバイパス経路を作成し、血流不足を解消する

以上の治療を、医師と相談しながら検討することが大切です。また、日常生活においても、再出血を予防するための注意をしておくことが必要になります。

ちなみに、脳の手術ではありますが、現在は手術後に髪の毛を残しながら手術することも可能です。手術の方法については、医師と相談してみてください。

もやもや病の予防方法

もやもや病による脳の再出血による症状は、一過性のものから大きく後遺症の残る脳梗塞までさまざまです。

もやもや病が再発すると症状の悪化が考えられます。

再出血を起こさないように、日常生活の中で、以下のような危険因子を減らすことで予防できるでしょう。

主な危険因子
  • お酒
  • タバコ
  • 肥満
  • 高血圧
  • 高脂質症
  • 不整脈
  • 糖尿病

高血圧や高脂質症、不整脈、糖尿病などに関しては、それぞれ適切な治療が必要です。もやもや病を予防するためにも、それぞれきちんと治療するようにしましょう。

もやもや病発症後の経過・予後

もやもや病の経過・予後は個人差が大きく、最初の診断から何年も何十年も悪化せず過ごす人もいれば、徐々に症状が進行していく人もいます。

いずれにせよMRIなどによる定期的な脳検査が必要になります。

適切な治療や検査を受けることで症状が安定し、以前と変わらない生活を送っている人もいます。実際、もやもや病のある人のおよそ7割は、症状を落ち着けて日常を過ごすことができていると言われています。

一方で、発症の原因が脳出血や脳梗塞だった場合は、後遺症と付き合いながら日々を過ごされる方も少なくありません。

あなたのことを考えてくれる医師や専門家、支援機関と繋がることができれば、今後の生活や仕事を考える際の強い味方となるでしょう。

まとめ:医療機関や支援機関とともにこれからを考えましょう

もやもや病を発症したことで、発症前と同じ生活や働き方ができなくなり、悩んでいる人も多いと思います。

ぜひ、医療機関や支援機関とともに、あなたのこれからの仕事や生活について考えてみてください。

よくある質問(1)

もやもや病とはなんですか?

もやもや病とは、脳の血管が何らかの原因で細く狭まり(狭窄)、塞がる(閉塞)ことで発症する病気のことです。厚生労働省が定める指定難病のひとつであり、狭窄・閉塞した血管の周辺に細い血管が発生するのが特徴です。

詳細については、こちらで解説しています。

よくある質問(2)

もやもや病のある人に向いてる仕事を知りたいです。

もやもや病のある人に向いてる仕事として、以下が考えられます。

  • 事務職(商品管理、ファイリング、書類作成、病院受付、データ入力など)
  • 運搬
  • 清掃
  • 包装
  • プログラマー
  • Webライター

詳細については、こちらで解説しています。

監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。

【著書ピックアップ】
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』

Amazon
翔泳社公式 【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)

【その他著書など(一部)】
学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧

【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)

うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。2024年10月現在、首都圏・関西に6校舎を展開しています。トップページはこちら→

相談予約 LINE相談 相談フォーム 無料資料請求 電話相談
LINEで
相談
フォームで
相談
資料
DL
相談
予約