過敏性腸症候群(IBS)で仕事に支障が出ているときの対処法 症状と付き合う方法を解説
こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC) です。
過敏性腸症候群(IBS)の疑いがあったり、診断されたりして、仕事はどうすればいいのだろうかと悩んでいる人もいるのではないでしょうか?
日々のコンディションがお腹の調子に大きく左右されるなかで、仕事を続けていくのは無理だと悩むかもしれません。
しかし、過敏性腸症候群(IBS)と診断されても、症状との付き合い方を知れば、仕事を続けられます。
このコラムでは、過敏性腸症候群(IBS)の概要や症状と付き合う方法、仕事に支障が出ているときの対処法などについて解説します。
症状でお悩みの人は、ぜひ参考にしてくださいね。
私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、過敏性腸症候群のある人のための就労移行支援事業所です。
- 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
- 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
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神田・新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。
目次
過敏性腸症候群(IBS)とは?
この章では、過敏性腸症候群(IBS)の概要や症状などについて解説します。
過敏性腸症候群(IBS)の概要
過敏性腸症候群(IBS、Irritable Bowel Syndrome)とは、腸そのものには異常がないにもかかわらず、下痢や便秘などの便通の異常や腹痛が起きる病気のことです。国内の有病率は、約10〜20%と報告されています。
幅広い年代で発症する病気ですが、なかでも、若年層や働き盛りの年代で発症するケースが多い傾向にあるとされています。(参考:日本大腸肛門病学会「過敏性腸症候群について」 )
過敏性腸症候群(IBS)の症状
過敏性腸症候群(IBS)は、脳や腸が刺激に対して敏感になったり、腸が痙攣(けいれん)する異常が起きたりすることで生じます。(参考:日本大腸肛門病学会「過敏性腸症候群について」、MSDマニュアル「過敏性腸症候群(IBS)」、eJIM「過敏性腸症候群(Irritable bowel syndrome:IBS)と補完療法について知っておくべき7つのこと」)
主な症状は、以下のとおりです。
- 便秘
- 下痢
- ガス排出の増加
- 下腹部の痛み
- 腹部の張り
- 吐き気
- 頭痛
- 疲労
- 筋肉痛
- 残便感
これらの症状は目覚めている間に起こることがほとんどで、眠っている最中に症状で目が覚めるといったケースは少ない傾向にあります。
過敏性腸症候群(IBS)の種類
過敏性腸症候群(IBS)の種類は、症状に応じて4つに分けられます。(参考:日本大腸肛門病学会「過敏性腸症候群について」、ナース専科「RomeⅣ診断基準」、一般社団法人愛知県薬剤師会「6.便でわかる体の調子」)
- 下痢型:柔らかい便が多く、硬い便やコロコロとした形の便が少ないタイプ
- 便秘型:硬い便やコロコロとした形の便が多く、柔らかい便が少ないタイプ
- 混合型:下痢型・便秘型が交互に生じるタイプ
- 分類不能型:下痢型・便秘型・混合型のいずれにも該当しないタイプ
このうち、男性は下痢型が、女性は便秘型または混合型が多く見られるとされます。ほかにも、ガスが多くできて、お腹の張りに悩む人も少なくありません。
過敏性腸症候群(IBS)の原因
過敏性腸症候群(IBS)の原因は、明確にはわかっていません。ただし、原因となっている可能性が指摘されているものには、以下の項目があります。(参考:MSDマニュアル「過敏性腸症候群(IBS)」)
- ストレス(感情的要素)による自律神経の乱れ
- 腸の炎症
- 食事の偏り
- 下剤などの影響
- ホルモンバランスの乱れ
特にストレスは、関連性が高いことがわかっています。
しかし、特定の刺激があったら症状が出るような一貫性がないケースもあり、感情的な要素やさまざまな物質など、複数の要因が合わさって引き起こされるケースも少なくありません。
過敏性腸症候群(IBS)の診断基準
過敏性腸症候群(IBS)の診断には、基本的に、国際的な基準(RomeⅣ)が用いられています。(参考:ナース専科「RomeⅣ診断基準」、KOMPAS「過敏性腸症候群(IBS)」、一般社団法人日本大腸肛門病学会「過敏性腸症候群について」)
繰り返す腹痛が3ヶ月のうちに平均1日/週以上あり、かつ、以下の症状が2項目以上当てはまることが主な基準です。
- 排便に関連している
- 排便の頻度が変化している
- 便の硬さや形状が変化している
また、以上の条件を満たす必要はないものの、症状が診断の6ヶ月以上前に認められていることも求められます。
過敏性腸症候群(IBS)の治療方法
過敏性腸症候群(IBS)の治療方法は、症状に応じた投薬が主です。(参考:日本大腸肛門病学会「過敏性腸症候群について」、KOMPAS「過敏性腸症候群(IBS)」)
- 腸内環境を整える治療薬
- 便の固さを調整する治療薬
- 気持ちを落ち着かせる治療薬
また、きっかけや原因、悩みに応じて、生活指導や食事指導、心理療法などのアプローチも実施します。医師と相談し、きっかけや悩み、症状に応じた治療方法を選択しましょう。
過敏性腸症候群(IBS)の症状と付き合う方法
この章では、過敏性腸症候群(IBS)の症状と付き合う方法について解説します。
方法①医師と連携して症状緩和を目指す
過敏性腸症候群(IBS)の症状を和らげるために、症状に適した治療薬を処方してもらうことが重要です。
過敏性腸症候群(IBS)は、内科・消化器内科・心療内科・精神科などで診察や診断をしています。悩みごとに対応する診療科を受診し、症状を緩和できる治療薬を処方してもらいましょう。
また、治療を受けながら、自身の体質や、過敏性腸症候群(IBS)の原因と思われる物事に合わせたケア方法を探っていくことも大切です。
方法②生活を見直す
治療薬を用いた治療で症状を緩和させながら、生活習慣や就労状況を見直すことも大切です。とくに、食生活は以下のポイントを押さえておくとよいことがわかっています。
- 暴飲暴食をしない
- コーヒー・アルコール・香辛料などの刺激物を避ける
- 炭水化物や脂質、牛乳を摂取しすぎない
食生活を整えるとともに適度な運動を取り入れ、腸の動きを整えるとよいでしょう。
方法③働き方を見直す
就労環境の見直しも必要です。
過敏性腸症候群(IBS)は、ストレスによって症状が悪化すると考えられています。仕事にストレスを感じている場合、必要に応じて転職も視野に入れてみるとよいかもしれません。
転職までしなくても、上司や人事に打ち明けられる場合は説明し、トイレに行きやすい部署や、長時間労働・残業になりにくい部署への異動、在宅勤務への切り替え、シフトの変更などを打診するのも効果的です。
就労環境の見直しがたいへんと感じるときには、就労支援に関係する支援機関も利用しつつ、無理せずに取り組みましょう。(参考:MSDマニュアル「過敏性腸症候群(IBS)」、KOMPAS「過敏性腸症候群(IBS)」)
方法④市販薬を服用する
仕事中に下痢症状が出て困る場合は、市販の下痢止めを服用することも選択肢でしょう。
ただし、下痢止めを服用する際は、数時間から1週間前までの食事に、食中毒につながりそうなものがなかったかを確認しておくことが大切です。
食中毒が原因の下痢は止めると逆効果となるため、下痢止めの使用は避ける必要があります。下痢止めはどうしてもというときのみの使用に留め、処方された治療薬や生活習慣の改善などからのアプローチ方法をメインに検討しましょう。(参考:ライオン株式会社「仕事などのストレスよる下痢について、西田先生が解説!」、くすりと健康の情報局「下痢・食あたり(食中毒)の対策」、東京都保健医療局「食中毒になるとしたら、何時間後くらいに具合が悪くなるのですか?【食品安全FAQ】」)
過敏性腸症候群(IBS)で仕事に支障が出ているときの対処法
この章では、過敏性腸症候群(IBS)の症状によって、仕事に支障が出ているときの対処方法について解説します。
対処法①症状をまとめる
まずは、自身の症状について整理しておくことが大切です。いつ、どのタイミングで症状が出やすいのかがわかれば、対策もしやすくなるはずです。
例えば、通勤電車ですぐにトイレに行けないことが不安なときは、急行ではなく普通電車に乗るというような対策ができるでしょう。
自身で対応しきれずに病院にかかる場合も、いつどのような症状が出て困っているのか説明できるようにしておくとスムーズです。診察時に問診がされるため、最近の症状を振り返り、以下の項目についてまとめておきましょう。
- 便の形や回数
- 生活スタイルや食生活
- 日常生活への影響、困りごと
- 症状が出るようになった時期
- 症状が出るようになった心当たり、きっかけ
- 現在服用している治療薬や市販薬の有無
- 既往歴や持病の有無
ただし、過敏性腸症候群(IBS)の症状が出るタイミングに一貫性がない場合もあるため、傾向が分かるようにしておくだけでもよいでしょう。
対処法②診断書をもらって仕事を休む
症状がつらく、外出や仕事に強い不安を抱く場合は、診断書をもらって仕事を休むことも検討するとよいでしょう。(参考: 一般社団法人 日本大腸肛門病学会「過敏性腸症候群について」)
診断書は、内科・消化器内科・心療内科・精神科などで発行が可能です。その際は、問診のほか、必要に応じて内視鏡検査も実施します。
また休職中、働けない状態なら、傷病手当金などを受給できる可能性があります。支援制度を利用できるかどうかは原因や症状によって異なるため、医師・産業医、上司と相談をする必要があるでしょう。
休職期間中には、職場を離れて症状がよくなるか、同じ仕事に復帰できそうか、あるいは仕事・職場を変えたほうがよいのかを、ゆっくり検討しておくことが大切です。
過敏性腸症候群(IBS)のある人の仕事の選び方
過敏性腸症候群(IBS)をきっかけに転職や異動を検討する場合は、症状に応じて職場を選ぶ必要があります。
下痢型や混合型の過敏性腸症候群(IBS)のある人は、必要なときにすぐトイレへ行ける仕事だと安心です。裁量度が高い、フリーランスの仕事が向いてるといえるでしょう。
便秘型の過敏性腸症候群(IBS)のある人は、動くと腸の動きを促進できるため、体を動かす仕事が向いてると考えられます。また、対人ストレスの大きな人は、在宅ワークができる仕事が向いてるでしょう。
一方、向いてないと考えられるのは、残業が多い仕事や、休みの少ない仕事、長時間労働・ストレスの多い仕事などです。くわえて、症状によっては、すぐに離席できない営業職・販売職や、プレゼンテーションをする企画・マーケティング職なども向いてない可能性があります。
症状とうまく付き合いやすい仕事はどのような職種なのか、イメージを膨らませてみるとよいでしょう。(参考:独立行政法人労働者健康安全機構 労働安全衛生総合研究所「労働者における過敏性腸症候群」)
過敏性腸症候群(IBS)のある人に向いている仕事
この章では、過敏性腸症候群(IBS)のある人に向いてる仕事について解説します。
なお、紹介する仕事はあくまで一例です。
仕事①WEBデザイナー
WEBサイトを構築する際に、クライアントのコンセプトに沿ったデザインを制作する仕事です。(参考:職業情報提供サイトjobtag「Webデザイナー」 )
メイン業務は、ページのレイアウト・配色や、ロゴ制作などです。くわえて、プログラミングの知識を用い、それらを表示させるためのコーディング業務を担うケースもあります。デザインにはPhotoshopやillustratorなどのデザインソフトを、コーディングにはHTMLやCSSなどのプログラミング言語を用います。
WEBデザイナーは在宅ワークができるケースが多く、裁量度も高い仕事です。症状が出てもすぐにトイレへ行けて安心なうえ、体調にあわせて無理なく働きやすいでしょう。
仕事②WEBライター
WEBライターは、WEBサイトに掲載する記事・コピーなどの文章執筆に携わる仕事です。
文章作成の際は、内容の企画や文章の流れを作る段階から携わることが少なくありません。WEBライターなら在宅・フリーランスで業務ができる場合が多く、対人ストレスを感じやすい人にも向いてるでしょう。
WEBライターは、資格・経験不要ではじめられます。また、ファイナンシャルプランナーや薬剤師・看護師などの専門資格がある人は対応できる仕事の幅が広い傾向にあります。有資格者は、検討してみるのもよいでしょう。
仕事③イラストレーター
イラストレーターは、クライアントの求めに合わせてイラストを制作する仕事です。(参考:職業情報提供サイトjobtag「イラストレーター」 )
商品や雑誌などのほか、WEBサイト上で用いる素材や、アバターとして用いるためのイラストを制作する場合もあります。WEBデザイナー・WEBライターと同様に、在宅・フリーランスで働けることも多く、体調にあわせて働ける仕事です。
仕事④映像クリエイター・CGクリエイター
映像クリエイターやCGクリエイターは、映像制作を担当する仕事です。
映像クリエイターは、WEBコンテンツ・アニメーション・ゲームなどに用いる映像を撮影・編集し、制作します。CGクリエイターは、絵から形状データを作成し、動きや効果をくわえて映像化させる仕事です。情報セキュリティ上の問題がなければ、在宅で仕事ができるケースも少なくありません。
また、映像制作後には、編集作業も担当する場合もあります。(参考:職業情報提供サイトjobtag「動画制作」、職業情報提供サイトjobtag「CG制作」 )
就労移行支援事業所なら相談しながら再就職を目指せる
過敏性腸症候群(IBS)の症状があっても、仕事の選択肢は幅広くあります。しかし、どの仕事が向いてるのか、本当にできるかなど、不安も多いかもしれません。
その際には、就労に関するサポート機関である、就労移行支援事業所を利用するのがオススメです。
就労移行支援事業所とは、一般企業などへの就職を目指す病気や障害のある人に向けて、就職のサポートをする支援機関のことです。体調管理の方法、職場でのコミュニケーションの基礎スキル、就職に必要な専門スキルなどを学ぶことができ、実際の就職活動でのアドバイス、就職後の職場定着支援も含む、総合的な就労支援を受けることが可能です。
就労移行支援は、障害者総合支援法に基づいて行われる福祉サービスです。実際のサービスは、国の基準を満たしたさまざまな民間の就労移行支援事業所が行います。(参考:e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」)
就労移行支援事業所は各地にあります。私たち、キズキビジネスカレッジ(KBC)もその一つです。
キズキビジネスカレッジ(KBC) には、豊富な就労実績があります。個別相談や面談をしながら専門スキルの習得もできるため、お困りのときは確認してみてください。
まとめ:支援を受けて症状と付き合っていこう
過敏性腸症候群(IBS)は、腸そのものには異常がないにもかかわらず、下痢・便秘などを繰り返す病気です。
明確な原因はわかっていませんが、ストレスや食生活・生活習慣が関係する可能性が指摘されています。過敏性腸症候群(IBS)の症状で仕事ができないと悩む人も、支援を受けることで、転職・再就職を目指すことが可能です。
過敏性腸症候群(IBS)を発症したからといって、仕事ができなくなるわけではありません。
症状との付き合い方を見つけることで、体調に合わせた働き方ができるようになります。このコラムが、症状に悩んでいるあなたの助けになることを願っています。
過敏性腸症候群(IBS)とは何ですか?
過敏性腸症候群(IBS、Irritable Bowel Syndrome)とは、腸そのものには異常がないにもかかわらず、下痢や便秘などの便通の異常や腹痛が起きる病気のことです。国内の有病率は、約10〜20%と報告されています。
詳細については、こちらで解説しています。
過敏性腸症候群(IBS)の症状と付き合う方法はありますか?
監修キズキ代表 安田祐輔
発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。
【著書ピックアップ】
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』
Amazon
翔泳社公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)
【その他著書など(一部)】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
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