ひきこもりの居場所となる当事者会とは?見つけ方や参加するための5つのポイントを解説〜ひきこもりから社会復帰への道(6)〜
こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)利用者でひきこもりを経験した橋本大樹(仮名)です。
私は6年のひきこもり期間を経て、社会復帰のために少しずつ行動してきた者です。
私の経験や、長年ひきこもり支援を行ってきた「株式会社キズキ」の知見にもとづくと、ひきこもりの方には以下のお悩みがあるかと思います。
- このままでいいとは思っていないけど、何から始めたらいいのかわからない…
- 誰も味方がいない気がして、不安で動けない…
- 働いたり、施設に通ってみても、続かないのではないか…
- 無職の期間があるか、働いたことがなく、就職に希望を持てない…
これらの問題を解消してひきこもりが社会復帰する方法を、シリーズ記事として、段階ごとにご紹介していきます(記事は随時公開していきます)。
今回はひきこもりの居場所となる当事者会について、見つけ方やおすすめの当事者会、参加するための5つのポイントなどを解説します。
ひきこもりの方の社会復帰を目指すきっかけに、少しでもなれば幸いです。
※この記事は、シリーズ「ひきこもりから社会復帰への道」の第6弾です。
前回のコラムは下記よりご覧ください。
シリーズ全体のまとめは下記よりご覧ください。
私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、ひきこもり状態にある人のための就労移行支援事業所です。
- 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
- 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
- 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月
神田・新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。
目次
ひきこもりが社会復帰するには、対人コミュニケーションのリハビリが大事
社会復帰するために、人との関わりを少しずつ増やしてみましょう。
特に就職を通じた社会復帰をする際には、選考の際に面接などで人とのやりとりがありますし、全く人と関わらない仕事もありません。
人との関わりを練習していた方が、有利に進めやすくなります。
自信を持った就職活動ができるように、ご自身にとって交流がしやすそうな場で、まずは慣らしとして人と会話をしてみるのはいかがでしょうか。
ここではひきこもりの方の居場所となるような福祉施設や団体のひとつとして、当事者会をご紹介します。
ひきこもりの当事者会とは?
当事者会とは、病気や障害などの困難を抱える当事者同士が互助のために自発的に集まり、話し合いや情報共有を行う組織や団体、集団のことです。
本記事でいう当事者とは、ひきこもりの方や精神障害の方を指します。
当事者会には、全国規模の団体や都道府県ごとの団体、病院に付属した団体、地域を基盤とした集団、同じ理念のもとに結集した集団など、さまざまな組織形態があります。
それぞれの当事者会によって活動方針は違います。
ひきこもりや精神障害の当事者会の場合、参加者同士で悩みや心配ごとを話し合い、悩みを共有することを目的とした団体が多い傾向にあります。
また、ピア活動をしている当事者会もあります。
ピア活動とは、「同じ体験をしたもの同士が、お互いに相談に乗ったり、困りごとに対して解決策や情報提供をしあう活動」を指します。
対人コミュニケーションのリハビリには、当事者会への参加は効果的かもしれません。
似たような体験をした人が集まる場なら、当事者間で相互理解がしやすく、思ったことを安心して話しやすくなるはずです。
また、居場所ができることで精神が安定しやすくなります。
「当事者会」というひとつの居場所ができることで、精神の安全や承認欲求が満たされ、安心感と共に自分の存在意義を見出しやすくなるでしょう。
存在意義を感じるようになると、次第に自信がついていきます。
自信がつくと段々意欲が湧いて行動的になり、最終的には生活が安定していきます。
精神科医などの専門家に相談しつつ、社会復帰のひとつの手段として、当事者会への参加を検討してみてください。
ひきこもりの当事者会を見つける方法6選
お住まいの地域に当事者会を開催している組織・団体があるかを知るためには、市区町村や保健所などの行政機関に問い合わせてみるのが第一の手段です。
しかし、地域によっては、行政機関と当事者会の連携に乏しく、問い合わせをしてみても、当事者会に関する情報を得られない可能性があります。
ここでは私の知りえる限りで当事者会をみつけるためのサイト&オンラインサービスを紹介していきます。
見つける方法①こくちーずプロ
こくちーずプロとは、個人から法人まで幅広い主催者がイベント情報を掲載するイベント集客プラットフォームです。
興味のあるイベントの情報を検索できるサイトで、イベントの開催日程やジャンル、料金、イベント形式、開催地域など、さまざまな条件からイベントの検索が可能です。
ひきこもりや精神障害に関するイベントに特化したサイトではないですが、ひきこもりや障害者など、生きづらさを感じている人たちが集まるイベントも多く掲載されています。
ひきこもりの当事者会に関するイベントは、「福祉」のジャンルに入っている傾向にあります。
条件を設定して自身が参加しやすいイベントを探してみてください。
検索は、セミナー・勉強会・イベント検索のキーワード欄に、2つ以上のキーワードを、総当たりで組み合わせて検索してみると希望のイベントが出てくる可能性が高まります。
<検索ワードの例>
- ひきこもり
- 精神疾患
- 精神障害
- 生きづらさ
- 診断が降りている障害名
- 当事者会
- 自助会
- ピア
見つける方法②特定非営利活動法人 地域精神保健福祉機構・COMHBO
現在、社交不安障害や対人恐怖症などの精神疾患がある方は、精神障害の当事者会に参加をしてみるのもいいでしょう。
特定非営利活動法人 地域精神保健福祉機構・COMHBOとは、2007年12月に設立、2015年9月に千葉県から「認定NPO法人」の認定を受けたNPO法人です。
英語名である「COmmunity Mental Health & welfare Bonding Organization」の頭文字をとって、「COMHBO(コンボ)」と称しています。
「精神障害をもつ人たちが主体的に生きて行くことができる社会のしくみづくり」を目的としています。
COMHBOのサイトには、全国のピア活動グループの紹介ページがあります。
ここから、お近くの当事者団体を探してみて、参加を検討してみてはいかがでしょうか。
ちなみに、COMHBOは、地域で活動するさまざまな人たちと連携し、科学的に根拠のあるサービスの普及に努めています。
また、当事者とその家族および関連する専門職を対象とした情報提供をしており、就労支援プログラムの実践や普及活動も行っています。
地域精神保健福祉に役立つような活動をしているので、精神科医などによる専門的な情報を得られます。
実際に「こんぼ亭月例会」という、一般の人にもわかるメンタルヘルス講座が、毎月開催されています。
現在精神疾患がある方は、メンタルケアのイベントにも参加を検討してみてはいかがでしょうか。
見つける方法③発達障害2.0
「発達障害2.0」とは、発達障害向けのイベント掲載サイトです。
発達障害に限らず、生きづらさを抱えた人や精神障害者向けのイベントも掲載されています。
フリーワードに「ひきこもり」「精神障害」「精神疾患」「生きづらさ」や、ご自身の精神障害名などを入力し、「当事者会」「自助会」「ピア」「当事者会」「自助会」「ピア」のキーワードを組み合わせて、検索してみてください。
また、お住いの県もあわせてフリーワードに入力すると、より参加しやすい当事者会がみつかると思います。
見つける方法④SNS(Facebook、Twitter)
FacebookやTwitterなどのSNSを活用して、オンライン上で当事者会を探すのも有効な方法です。
性質上、ほかの当事者と直接連絡をとることもできるため、繋がってみましょう。
Facebookには、「グループ」という機能があり、それを利用した当事者会も存在します。
当事者会を探すには、「ひきこもり」「精神障害」「精神疾患」「生きづらさ」や、ご自身の精神障害名などを検索してみてください。
そして、検索フィルターの中にある「グループ」をクリックすると、すぐに検索結果が出てきます(Facebookヘルプセンター「検索方法」参照)。
また、Facebook全体に公開されているグループであれば、メンバーがどんな投稿をしているかを閲覧できます。
投稿やコメントを確認してみて、雰囲気が合いそうだと思ったら、グループに参加してみましょう(Facebookセンター「グループへの参加の仕方」参照)。
Facebook内の当事者会は、メンバーの投稿に対して何らかの反応をするかたちが多いため、文字での会話がメインです。
しかし、実際に会って話すようなイベントや、ミーティングツールを使ったイベントが、開かれることもあります。
Facebook内で交流をしてみて、「実際に話してみたい」と感じてみたら、オフラインの当事者会への参加を検討してみてはいかがでしょうか。
Twitterには、Facebookのようなグループ機能はありません。
しかしながら、当事者会につながる情報集めに役立てることができます。
①検索をする
こくちーずプロや発達障害2.0の検索方法と同様に、Twitterのキーワード検索に2つのキーワードを組み合わせて入力して、検索してみてください。
検索結果を閲覧すると、当事者会の代表や団体のアカウントや投稿を確認できます。
興味を持ったアカウントをフォローして、アカウントの発信から情報を得ながら、当事者会への参加を検討してみてください。
②プロフィールを作成する
ご自身のプロフィールに「ひきこもり」や、精神障害名などを載せておくと、当事者とつながりやすくなります。
また、ご自身が日々のなかで思ったことなどを投稿し続けていると、似たような境遇の人が反応をしてくれることがあります。
それをきっかけに、交流がはじまることもあります。
当事者とつながること以外にも、「辛さや悩みなどの思ったことを書くと、思考が整理されて気持ちが楽になる」というメリットもあります。
SNS利用の注意点①炎上
Twitterには、Facebookのようなグループ機能が存在しないので、集団の区画がありません。
そのため、ご自身の投稿が、より不特定多数の人に、閲覧される可能性があります。
このTwitterの仕組み上、ときとして事情をよく知らない人からの心無い言葉が来ることもあります。
ただし、Twitterの利用者数がそもそも多いので、はじめから多くの人に投稿が見られることはなかなかありません。
そのため、誹謗中傷をしないようにすれば、過剰に気にする必要はないと、個人的に思います。
加えて、Twitterには閲覧できる人やコメントできる人を制限できる機能もあります。
ある程度人との関係ができてきたら、Twitterの設定で関わる人を限定することで、ご自身を守ることができるでしょう。
SNS利用の注意点②依存
SNSは気軽に人とつながることができる反面、他人からの反応を求めるあまり、SNS依存状態になる危険性もあります。
また、当事者同士で深く関わると、互いに個人情報を話しすぎてしまうこともあります。
そうすると、共依存になったり、人間関係のトラブルになることもありえるかもしれません。
そのため、「住んでいる地域などの身の上話を、どこまで相手に話すか」を、ある程度決めておくことが必要です。
また、健全な関係を保つために、医師やカウンセラーなどの第三者に相談をしながら、SNSを利用することもおすすめします。
見つける方法⑤オンラインとオフラインを組み合わせてみる
冬の季節などで外出に気乗りしなかったときに、私はオンラインでの交流を主にしていました。
まず、私は当事者とつながるために、Twitterで自身の障害をプロフィールで公開しました。
次に、Twitterを通じて交流をしたり情報を得る中で、SlackやDiscordというオンラインサービスを使ったコミュニティにも参加するようになりました。
その後は、zoomを使ったオンラインイベントに参加をして、実際に話すことで対人のリハビリをしていきました。
そして、ついにはオンラインで会話をしたことがある人と、オフラインでも会って話すようになりました。
すでに何度か面識がある人だったので、対人恐怖をあまり感じなかったのが、良かったのだと思います。
ひきこもりの当事者会のおすすめ3選
ひきこもりの当事者会の個人的なおすすめを紹介します。おすすめ当事者会①特定非営利活動法人KHJ全国ひきこもり家族会連合会
特定非営利活動法人KHJ全国ひきこもり家族会連合会(以下、KHJ)とは、日本で唯一の全国組織の家族会(当事者団体)です。
KHJは、家族・ひきこもり・Japanの略。ひきこもりを抱えた家族や、本人が社会的に孤立しないように活動しています。
ひきこもり当事者の家族に向けた活動がメインですが、ひきこもり当事者のための支援も行っています。
<KHJと私の社会復帰>
私もひきこもり時代に、KHJにお世話になっていました。
各地域のKHJ支部によって、会の方針に違いはあると思いますが、私がKHJをどのように自身の社会復帰に役立てたかをお話します。
ある日もともとKHJの家族会に参加していた私の母に、「一番近い支部の代表の人もひきこもりなんだって。会って話してみない?」と言われました。
私には人と会う不安もありましたが、他にひきこもりの知人がいなかったので、会ってみることに。支部の代表である吉川さん(仮名)にいろいろと教えてもらいました。
その出会いをきっかけに、私は当事者会や家族会にも何度か参加していました。
吉川さんに他の当事者につないでもらって、話をしたこともありました。
そうやって当事者と交流をしながら、「自分はどうやって生きていきたいか」を考えられるようになったと思います。
また、私の生き方が少し見えてきても、それに伴う準備が難しいときは、吉川さんに福祉や障害に関係した支援の相談をして情報をもらっていました。
ときには、ひとりで役場へ行くことに不安を感じた日に吉川さんに同行してもらうこともありました。
<KHJ参加によりわかった当事者会やピア活動団体参加のメリット>
吉川さんは、福祉職員や医師のような意味においては「専門家」ではありません。
しかし、はじめにひきこもり当事者にサポートしてもらえたことは、私にとって社会復帰の大きなきっかけになったと思います。
吉川さんのサポートのおかげで、私の人に対する恐怖心は薄れました。
私は、吉川さんに助けてもらった後に、専門家に相談しようと思えるようになりました(実際に、福祉職員に社会復帰に関する相談をしました)。
ひきこもりに対する公的支援や社会復帰の方法があっても、そもそも情報を知らなかったり、人とのやりとりが怖いという障壁が当事者にはあります。
そんなときに、似たような経験を共にした当事者が専門家につなげてくれるのが、当事者会やピア活動団体のいいところだと思います。
KHJ支部によって環境や人は違うので、私と同じような経験ができるかはわかりません。
それでもきっと役に立つはずなので、ひきこもりで生きづらさを抱えている方はKHJに相談をしてみてください。
おすすめ当事者会②ミーティングツール(zoomなど)を使ったオンライン当事者会
zoomなどのミーティングツールを使った、オンライン当事者会も存在します。
私はオフラインの当事者会に参加する前に、まずはオンライン当事者会に参加してみることをおすすめします。
オンライン当事者会であれば、当事者会に参加する際の2つの精神負荷を軽減できます。
1.場所や環境による精神的負荷の軽減
zoomなどミーティングツールなら、自宅にいながら参加ができます。
そして、気軽に退出することも可能です。当事者会が開かれていない地域に在住の方でも参加できます。
もし、参加中に体調が悪くなったり、「会の雰囲気が合わないな」と思ったときも気軽に退出がしやすくなります。
会によって制度が異なりますが、チャット機能を使って一言退出を申し出れば、話の腰を折ることなく去ることもできます。
オフラインで退出する場合は、ドアまでの移動が人目につき、どうしても多少目立ちます。
しかし、オンラインでは、文字で伝えるだけでいいのです。口頭で退出を伝える必要もないので、あまり目立つことなく退出ができます。
2.対面での交流による心的負荷の軽減
もしお顔を参加者に見られることに抵抗がある場合は、画面をオフにすることができます。
zoomなどのミーティングツールには、基本的に映像をON/OFFに切り替える機能があります。
もし、話すことが難しい状態であれば、前述のチャット機能で文字による交流もできます。
おすすめ当事者会③コミュニケーションアプリ(Slack、Discordなど)を使ったオンライン当事者会
SlackやDiscordというコミュニケーションアプリを使った、オンライン当事者団体も存在します。
基本的に参加者同士で文字による交流をしますが、音声での交流も可能です。
多くの場合、アプリ内では「雑談」、「悩み相談」など、カテゴリーごとに話題が分かれています。
カテゴリーは、他の参加者が閲覧できるように設定されていることが多いです。
また、他の参加者に見られることがない状態で、個人間でやりとりもできます。
なお、コミュニケーションアプリを使ったオンライン当事者団体は、イベントではないため、上記のウェブサイト&オンラインサービスでは検索できません。
まずは実際に当事者会に参加したり、SNS上で情報を得ながら、探してみることをおすすめします。
ひきこもりの当事者会を安心して参加するために必要な5つのポイント
当事者会には似た境遇の人が集まるとは言え、さまざまな人が参加します。
時として、考えや性格などが、自分と大きく異なる人と出会うこともあるでしょう。
「実際に参加してみたら、思っていた会と違った」ということもあるかもしれません。
ここでは、ひきこもりの方ができるだけ楽しく参加しやすいように、当事者会の参加の際に考えるべきポイントをまとめました。
よろしければ、参考にしてみてください。
ポイント①参加前に当事者会の情報を集めておく
当事者会に初めて参加したり、初対面の人と会うのは、少なからず緊張するでしょう。
ましてや、特に長期間人との関わりがない方なら、より一層不安を感じることも多いと思います。
その不安を解消するために、参加する前にできるだけ情報を集めておくといいでしょう。
たとえば、参加したい当事者会のウェブサイトなどに、情報が掲載されていることがあります。
そういった場合は、前もってインターネット上にある情報に目を通しておきましょう。
また、その当事者会の代表のブログや、SNSも閲覧してみましょう。
代表の人柄が伝わりますし、会の雰囲気もわかると思います。
ただし、当事者会は、個人情報に関するルールを定めていることが一般的です。
そのため、他の場で参加者の情報を口外してはいけないので、全てを知ることはできません。
そのため「当事者会のおおよその雰囲気」として、参考にするといいでしょう。
掲載情報に問い合わせ先がある場合は、実際に質問を送ってみると、会の雰囲気がより想像しやすくなるかもしれません。
- 参加人数の平均は何人くらいですか?
- 開催頻度はどのくらいのペースですか?
- どのような場所で開催されますか?
- 参加者の特徴を教えてください。
- 男女比はどのくらいですか?
- 年齢層を教えてください。
- 話す人が多くて活発ですか?
- 静かで落ち着いた人が多いですか?
- トークテーマはありますか?
- 挙手制ですか?
- 話すのが難しかったら、聞いているだけでもいいですか?
- なかなか話すのが難しく...もしも話したくなったらどうすればいいですか?
- 話が盛り上がっているとき、断りを入れることが難しいです。どうすればいいですか?
- 気分が優れなくなってきた場合、途中退出は可能ですか?
<挙手制について>
挙手制を徹底している当事者会は、「自分から話せる人だけが、たくさん話して終わる」という事態を、未然に防げている場合が多いです。
司会が「ひとりの参加者の話題が長いな」と判断したら、話を切り上げて、他の人に話したいことがないか聞いてくれることもあります。
<トークテーマについて>
「不安だけど話してみたい」と思ったときは、前もってトークテーマが決まっている当事者会だと安心しやすいと思います。
また、自分が話しやすい話題かどうかも、前もって判断できます。
ポイント②ルールが定められている当事者会への参加を検討する
ウェブサイトを立ち上げている当事者会は、ルールが掲載されていることも多いので、確認してみましょう。
当事者会のルールには、代表の「会をこういうものにしたい」という意志が、反映されています。
そのため、参加する前にルールを確認して、「自分の求める当事者会かどうか」を考えてみるのも、ひとつの方法です。
ルールに「参加者の意見を頭ごなしに否定しない」など、否定発言に対しての禁止条項を明示している当事者会は、安心して参加しやすいと感じます。
私の経験上、そういったルールを設けている当事者会は、居心地のいい場であることが多かったです。
「参加者それぞれの思いやつらさに、寄り添える会を目指せているな」「気軽に発言しやすい環境作りをしてくれているな」と思えました。
また、ルールがしっかり定められている会は、代表が責任を持ってとり仕切ってくれる可能性が高いです。
万一参加者同士で言い争いになったとしても、判断基準を明確にしているため、仲裁のための準備ができているはずです。
さらにルールが多く存在するところは、既に何度かトラブルが発生しており、そうしたことが再度起きないよう、きっちりと対策が練られている可能性があります。
一方で「ルールが多いと、気軽に参加ができないのでは」と思う方も、いらっしゃると思います。
しかし、人格否定だけに気を付ければ、大抵は問題ないでしょう。
当事者会は、交流をそもそもの目的としているので、参加者が発言しやすい場を目指しています。
ポイント③気持ちに負担のない場所や環境を考える
自分の居場所となる当事者会を見つけるには、広い意味で負担のない環境を考えることが大事です。
オフラインの当事者会に参加するときは、以下を考えて参加を検討してみてください。
<開催地について考える>
当事者会への参加に慣れるまでは、できるだけ近場の開催地を選ぶようにしましょう。
現在ひきこもり状態にある方は、外に出ること自体、負担が大きいと思います。
よって、さらに遠出をするとなると、参加に気が引けて、なかなか人との交流への一歩を踏み出せないと思います。
また、あくまでこれは私の経験ですが、自宅から遠く離れた当事者会に参加したときに、「時間をかけてきたのに、今回はあまり楽しくなかったな」と感じたことがあります。
事前に会について調べていても、そのときに集まった人や会の方針によって、自分に合わないことはどうしてもあります。
そういったときに、「これもひとつの経験だな」と切り替えやすくするためにも、できるだけ気軽に行ける当事者会を選ぶことが大切です。
<途中退出を念頭においた席選びについて考える>
開催地についたあとのことを想定して、座る席についても考えておきましょう。
座席のルールは特に決まっていないことが多く、到着した参加者がそれぞれ好きな位置に座ります。
社交不安や対人恐怖のある方は、当事者会の代表に席の指定をお願いしたり、参加者に面と向かって席を譲ってもらうよう話すのが、難しいと思います。
そういった方は、早めに来場したり、自分の状況を伝えて座席を指定できないか聞いてみたり、できるだけ準備をしておきましょう。
実際に開催地に着いて参加できたとしても、開始後に「帰りたい」と思うことがあるかもしれません。
人との交流にストレスを強く感じて、参加中に気分が悪くなることもあるでしょう。
そんなときのために、おすすめの座席は、ドア付近の席です。
ドアの近くにあらかじめ座っておけば、すぐに退出することができます。
また、移動距離が少ないので人目にもつきにくいです。
<人の視線が気になる場合の席選びについて考える>
当事者会は、交流を目的として行われることが多いです。
そのため、お互いの顔が見えるように、大抵は座席が円状に設置されています。
人の視線が自分に集まらないようにするには、当事者会の代表からできるだけ離れた位置に座るといいでしょう。
当事者会では、基本的に代表が中心となって話を振っていきます。
そのため、視線が代表に集まりやすくなります。
もちろん、「そのときの話題の中心となっている参加者が誰か」によって、視線が集まる位置は変わります。
それでも、代表から離れた位置であれば、ご自身に視線が向くのを軽減できると言えるでしょう。
ちなみに、講演形式の当事者会であれば、一番後ろの席に座ると、参加者の視線を避けることができます。
ポイント④メモ帳を用意する
当事者会には、メモ帳を持っていくといいでしょう。
口頭で話すことが難しい場面もあるでしょう。
そういったことは文章であれば伝えやすいと思います。
また、参加者の話を聞くことで、公的支援に関する情報を知れたり、自分の悩みの解決のきっかけになることもあります。
参考になることがあれば、メモをしておきましょう。
- 自分に合った病院
- 福祉支援情報
- 新たな居場所
- 参加者の生き方など
ポイント⑤いろいろな当事者会に参加する
ひとつ安心できる居場所を見つけて、そこの環境に完全に慣れたら、今度は複数の当事者団体に参加や所属をしてみましょう。
なぜならひとつだけの居心地のいい場所にずっといると、そこ以外での人間関係が過度に希薄になることもあるからです。
こうなると、心の拠り所がひとつだけになり、社会復帰が逆に遠のくこともあります。
また、代表の事情で当事者会が休止されることもあるので、居場所を複数用意しておきましょう。
所属先は複数あったほうがより安心できるものです。無理のない範囲で、少しずついろいろな当事者会に参加してみてください。
また、精神障害やひきこもりの当事者会以外でも、ご自身が参加しやすいイベントを探してみるといいでしょう。
たとえば、ご自身の趣味で、人とつながってみるのはどうでしょうか。
ひきこもりや精神障害以外でも、共通点がある人と交流してみましょう。
もしかしたら、親交を深めることにより、理解者が増えるかもしれません。
こくちーずプロやFacebookで、趣味に関するイベントやグループを検索して、探してみてください。
あなたが前を向いて行動を起こすきっかけに
ここまで、ひきこもりの居場所となる当事者会について解説してきました。お読みいただき、ありがとうございました。
この記事が、あなたが前を向いて行動を起こすきっかけになることを願っています。
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