コミュニケーション障害のある人に向いてる仕事 仕事上での強みを解説 | キズキビジネスカレッジ  

コミュニケーション障害のある人に向いてる仕事 仕事上での強みを解説

こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC) です。

コミュニケーション障害のあるあなたは、仕事に対して以下のような悩みがありませんか?

  • どんな仕事が向いているのかわからない...
  • 自分の強みを活かせる仕事はないのか?
  • 合わない仕事をしていて不安に感じる...

せっかく仕事をするなら、自分の強みを活かして働きたいですよね。

このコラムでは、コミュニケーション障害のある人に向いてる仕事や向いてない仕事、仕事で抱える困難、仕事を選ぶ際のポイントについて解説します。

あわせて、コミュニケーション障害のある人が利用できる支援制度・支援機関を紹介しています。

不安や悩みを解消しながら、自分に向いている仕事を見つけてくださいね。

コミュニケーション障害とは?

「コミュニケーション障害」と一言で表現しても、いくつかの種類があり人によって症状も異なります

この章ではコミュニケーション障害の概要や種類、症状などを解説していきます。

コミュニケーション障害については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

コミュニケーション障害の概要

コミュニケーション障害とは、「発声や発音、文法の組み立てが難しい」「社会の場で人とやりとりするのが難しい」など、人とのコミュニケーションに困難が生じる障害のことです。

アメリカ精神医学会が定めた精神障害の診察基準『DSM-5』によると、発達期に発症する「神経発達症群/神経発達障害群」のグループに含まれます。そして、「コミュニケーション症群・コミュニケーション障害群」は、人とのコミュニケーションに困難が生じるグループを指します。(参考:日本精神神経学会・監修『DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル』

コミュニケーション障害の種類と症状

コミュニケーション障害には以下の種類・症状があります。

  • 言語症/言語障害:言語症は、言葉の理解や話したり書いたりして自分の気持ちを外に出すことに困難が生じる症状
  • 語音症/語音障害:発声や発音に関して困難が生じる症状
  • 小児期発症流暢症(吃音症)/小児期発症流暢障害(吃音):言葉をなめらかに話しにくい症状
  • 社会的(語用論的)コミュニケーション症/社会的(語用論的)コミュニケーション障害:言葉や言葉以外でのやりとりが、社会生活の中でうまくできない症状
  • 特定不能のコミュニケーション症/特定不能のコミュニケーション障害:他の判断基準に完全には当てはまらない場合などの症状。

コミュニケーション障害の原因

コミュニケーション障害は発達期の障害で、生まれつきの脳機能の障害によるものと考えられています

脳機能の障害をもたらすはっきりとした原因はわかっていませんが、親の育て方などのせいではないことが明らかになりました。

言語症や小児期発症流暢性障害の場合、遺伝的要素も大きいとされています。(参考:日本精神神経学会・監修『DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル』、国立障害者リハビリテーションセンター「親に伝える」

コミュニケーション障害の診断基準

コミュニケーション障害の診断には、医師の診察が必要です。

大人の場合、精神科や心療内科、小児の場合、小児科、精神科、心療内科などで行われます。

語音症や小児期発症流暢症(吃音)の診断は、耳鼻咽喉科やリハビリテーション科で行います。

症状の境界はあいまいで、いくつかの症状を併せ持つ人もいます。そのためはっきりとした診断がつきにくいことや、途中で診断が変わることも多くあるのです。(参考:政府広報オンライン「大人になって気づく発達障害 ひとりで悩まず専門相談窓口に相談を!」、発達障害情報のポータルサイト「発達障害支援に関する地方自治体等の取組および関連情報データベース」

コミュニケーション障害の治療方法

一言でコミュニケーション障害といっても症状はさまざまで、必要な治療も異なります

治療内容の例は以下のとおりです。

  • 周囲への働きかけによる環境調整
  • 正しい発音の練習(語音症)
  • 言葉の理解、発信の練習(言語症)
  • 想定される場面ごとに、対応方法をアニュアル化して練習する(社会的コミュニケーション症)
  • 細かいルールもわかりやすく提示する(社会的コミュニケーション症)

補足:いわゆる「コミュ障(コミュ症)」との違い

インターネット上の投稿などでよく見かける「コミュ障(コミュ症)」とは、ネットスラングに由来する俗語の一種のことで、医学用語ではありません

明確に定められた定義や特徴はありませんが、一般的には次のような特徴を指すようです

  • 常に周りの人に対して遠慮しがちで、自分の意見が話せない
  • 空気を読まない発言や言葉遣いで話す
  • 人見知りや緊張が激しく、人と話すときに動揺する
  • 人前に立つと緊張して頭が真っ白になる
  • 人の話をさえぎってまで自分の話をするため、周りが迷惑していることに気づかない
  • 周りの会話のペースについていけず、押し黙る
  • 会話や質問などにうまく受け答えできない

私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、コミュニケーション障害のある人のための就労移行支援事業所です。

  • 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
  • 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
  • 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月

新宿・横浜・大阪に校舎があり、通える範囲にお住まいであれば、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。

コミュニケーション障害のある人に向いてる仕事

この章では、コミュニケーション障害のある人に向いている仕事を解説します。

コミュニケーション障害のある人は会話が少なく、自分のペースで働ける仕事が向いているとされています。

必ずしも全ての人に該当するわけではありません。自分の強みを発揮できる仕事を見つけてくださいね。

仕事①工場作業員

工場作業員は、工場のなかの製造ラインで製品の組み立てや梱包などを行う仕事です。コツコツとした作業が求められます。特別なスキルや経験が必要ない場合もあります

繰り返し作業をすることで、コツを掴んで効率的に作業できるようになり、コミュニケーション障害のある人に向いている仕事の1つです。

仕事②清掃員

清掃員は、公共施設やオフィスなどの清掃をするお仕事です。コミュニケーションが少なく基本的な清掃技術を身につけることで、コミュニケーション障害のある人も働くことができます

仕事③データ入力

データ入力は、パソコンを使って文字や数字などのデータを入力する仕事です。コミュニケーションが少なく、自分のペースで作業できる点が特徴です。

正確性が求められますが、特別なスキルが求められないため、コミュニケーション障害のある人も挑戦できます。また、コミュニケーション障害のある人の特徴の1つでもある高い集中力が活かせる仕事です。

仕事④農業従事者

農業従事者は、農地での作物の栽培や畜産物の育成など、農業に関する様々な作業を行います。

自然との関わりが深く、コミュニケーションよりも土地や作物との関係性が重要です。のんびりとした環境で働きたい人や自然と触れ合いたい人に向いています。

仕事⑤イラストレーター

イラストレーターは、絵を描いて表現する仕事です。コミュニケーション能力よりも芸術的センスや技術が求められます

独創性や想像力が重要で、高いスキルが求められるケースもありますが、在宅で自分のペースで働ける魅力のある仕事です。

仕事⑥動画編集者

動画編集者は、映像素材を編集して動画を制作する仕事です。編集技術やクリエイティブ能力など動画編集に関するスキルが求められます

YouTubeなど動画コンテンツは年々市場規模が拡大しており、今後も需要が増えるとされている仕事の1つです。興味がある人は音楽や映像のリズム感を理解し、ストーリーを構築する能力を磨きましょう。

仕事⑦校閲者

校閲者は、文書や出版物の校正を行う仕事で文章力や正確性が求められます。校閲者は対人関係が少なく1人でも作業ができます。文章の文法やスタイルをチェックし、読みやすく修正する能力が必要です。

仕事⑧翻訳者

翻訳者は、異なる言語間で文章や音声を翻訳する仕事です。言語力や各分野の専門知識が求められます。コミュニケーションは不要ですが正確かつ自然な翻訳を行う能力が必要で高いスキルが求められます

翻訳者になるにはTOEICや英検など資格を取得したり翻訳学校に通ったりする手段があります。

仕事⑨長距離ドライバー

長距離ドライバーは、大型トラックやバスなどを運転して長距離の移動を行う仕事です。

仕事は基本的に1人のためコミュニケーション障害のある人も苦にならないといえます。長距離ドライバーは安全に運転する技術や長距離を移動するため体力が求められます。

仕事⑩配達員

配達員は、荷物や郵便物を指定された場所に届ける仕事です。対人とのコミュニケーションは少なく、正確性や配達スピードが求められます。地理知識やルートの最適化を図って仕事を効率化することが重要です。

仕事⑪警備員

警備員は、施設やイベント会場などでセキュリティを担当する仕事です。

用心深さや冷静さが求められ、状況によっては危険を察知し、適切な対処を行う能力が必要です。警備員はコミュニケーションが少ない仕事ですが、場合によっては臨機応変な対応が求められるため注意が必要です。

仕事⑫スーパーのレジ担当

スーパーのレジ担当は、お客様から商品を受け取り、精算を行う仕事です。必要最低限のコミュニケーション能力は必要ですが、コミュニケーション能力より正確性や計算能力が求められます。時間帯によっては忙しくなるので、落ち着いて対応する能力が必要です。

仕事⑬図書館司書

図書館司書は、図書館での貸出や資料の整理管理などを行う仕事です。コミュニケーション能力よりも情報整理や丁寧な対応が求められます。利用者の要望に応じて情報提供する能力が必要です。

仕事⑭新聞配達員

新聞配達員は、地域内で定期購読者に新聞を配達する仕事です。コミュニケーション能力よりも正確性やルート管理が求められます。早朝からの仕事ですが人と会話をすることは少なくコミュニケーション障害のある人も始めやすい仕事です。

仕事⑮タクシードライバー

タクシードライバーは、乗客を目的地まで運ぶ仕事です。乗客がいるので安全に走行する運転技術や最短ルートで目的地に到達できる地理知識が求められます。

タクシードライバーは会話は少ないですが、長距離ドライバーとは違い乗客がいるので最低限のコミュニケーション能力は必要です。

仕事⑯IT系技術職 (プログラマー、システムエンジニアなど)

IT系技術職は、コンピューターシステムの開発や保守を行う仕事です。論理思考や技術力が求められ、問題解決能力や新しい技術への理解が重要です。

プログラマーやシステムエンジニアなどのIT系技術者は、ここまで紹介した仕事のなかでも高収入が期待できます。高いスキルが必要ですが対人関係が少なく、コミュニケーション障害がある人も挑戦できる仕事なので興味がある人はぜひ挑戦してみてください。

仕事⑰研究職

研究職は、大学や企業など学術研究や産業研究で新しい知識や技術を生み出す仕事です。コミュニケーション能力よりも独創性や専門知識が求められます

研究職につくには大学院にまで進学することが一般的で、継続的な学びと研究への情熱が必要です。

仕事⑱アクセス解析士

アクセス解析士は、ウェブサイトのアクセスデータを分析し、改善策を提案する仕事です。データ分析力や課題発見能力が求められます。

ユーザーの動向を読み解き、効果的な施策を考える能力が必要です。WEBマーケティングに力を入れている企業は増えているので需要がある仕事の1つです。

仕事⑲ライター

ライターは、記事やコンテンツを執筆する仕事です。人との会話が少なくWeb上のライティングであれば、比較的挑戦しやすいといえるでしょう。テーマに沿った情報を分かりやすく伝える能力が必要ですが、在宅でも仕事ができる魅力があります

ただし、取材系ライターは高いコミュニケーション能力が求められます。一言でライターと言ってもいくつか種類があるので始めてみる前に確認しましょう。

仕事⑳ビルメンテナンス

ビルメンテナンスは、オフィスビルや商業施設の保守・管理を行う仕事です。コミュニケーション能力よりも技術力や応急処置の能力が求められます

建物を利用する人たちが快適に過ごせるように、建物の構造や設備に関する知識が必要です。ビルメンテナンスも人との会話が少ないので、選択肢にいれてもよいかもしれません。

コミュニケーション障害のある人に向いてない仕事

この章では、コミュニケーション障害のある人に向いてない仕事を解説します。

コミュニケーション障害のある人は、接客や職場のスタッフと頻繁に会話することが求められる仕事は向いていないとされています。

必ずしも全ての人に該当するわけではありません。自分の特性と照らし合わせながら参考にしてください。

仕事①対人業務が必要な仕事

対人業務が中心となる仕事は、コミュニケーション障害のある人にとっては向いてる仕事ではありません。

例えば、接客業やカウンセラー、営業など、顧客やクライアントとのコミュニケーションが業務の中心である仕事は、適切な対応や円滑なコミュニケーションが求められます。

人との会話が多い仕事は、コミュニケーション障害のある人には負担が大きく感じられるでしょう。

仕事②臨機応変に対応する必要がある仕事

状況に応じて柔軟に対応することが求められる仕事は、コミュニケーション障害のある人にとって難しい場合があります。

顧客とやり取りをしていなくても職場で緊急事態の際は上司や同僚などの職場の人に助けを求める必要性があります。

例えば、緊急の対応やトラブルシューティングが必要な仕事、変化に富んだ環境下での業務などで相談ができず、ストレスを引き起こす可能性が高いです。

コミュニケーション障害のある人は自分のペースで働ける環境が望ましいといえるでしょう。

仕事③マルチタスクが求められる仕事

同時に複数のタスクをこなす必要がある仕事は、コミュニケーション障害のある人にとっては負担がかかることがあります。

プロジェクト管理やイベント企画など、複数の業務を同時に進行させる必要がある仕事は、タスク管理能力が求められますが、これらが課題となることがあるでしょう。

例えば、話すことだけでなく、文字の読み書きも苦手な人はタスク管理の面で苦労する可能性があります。

仕事選びの際は、マルチタスクが求められる仕事は極力避けた方が無難かもしれません。

コミュニケーション障害のある人が仕事で抱える困難

コミュニケーション障害のある人は、仕事で3つの困難があるとされています。

この章では、コミュニケーション障害のある人が仕事で抱える困難を解説します。

仕事上において、どのような点で困りやすいかを事前に把握しておきましょう。

困難①意思疎通が困難

コミュニケーション障害のある人は、仕事上で他者との意思疎通に困難を抱えるケースがあるでしょう。

コミュニケーション障害のある人は言葉の選び方や表現をすることが苦手であることもあるため、メッセージの伝達がうまくいかないことも珍しくありません。

また、相手の意図を正しく理解することが難しいこともあります。例えば、非言語的なサインや微妙なニュアンスを読み取ることが難しいため、相手の本当の意図を見誤ることがあるでしょう。

これらの理由から、業務上の指示や要望を正確に理解することが難しく、誤解やミスが生じることがあります。

困難②人間関係の構築

コミュニケーション障害のある人は、仕事上で人間関係を構築することが難しい場合があります。

コミュニケーション障害のある人は他の人とのコミュニケーションが苦手であるため、チームワークや協力関係の築き方に課題を抱えることがあります。

例えば、意思疎通が難しいため、他のメンバーとの意見の交換や協力がうまくいかないことがあります。また、コミュニケーションの障害によって、職場の人との関係が悪化し、孤立感や不安を感じることがあります。

これによって、職場でのストレスが増大し、働きがいをもつことが難しくなってきます。

困難③ストレスがかかりやすい

コミュニケーション障害のある人にとって最も大きな困難は、コミュニケーションに関連する業務や人間関係によってストレスを感じやすい点です。

例えば、職場でのコミュニケーションのプレッシャーや、理解されにくいことによる不安、対人関係の問題によるストレスが蓄積しやすく、心理的な負担が大きいとされています。

長期間にわたってストレスが続くと、身体的な健康問題や精神的な不調を引き起こす可能性もあります。

ストレスを感じやすい場合は、自分の特性を理解してくれる職場で探すことも1つの手段です。

コミュニケーション障害のある人が仕事選ぶ際のポイント

この章では、コミュニケーション障害のある人が仕事を選ぶ際のポイントを解説します。

人によって適職は異なるため、自己分析や自己理解が欠かせません。また、同じ仕事でも企業によってリモートワークの導入や障害への配慮の有無など違いがあります。

あなたが少しでも働きやすくなるように参考にしてください。

ポイント①自分の適職を理解しておく

コミュニケーション障害のある人が仕事を選ぶ際は、自分の得意なことや興味を持っている分野を理解し、それに適した職種を見極めることが重要です。

コミュニケーションに苦手意識がある場合でも、得意な作業や興味を持っている仕事なら、モチベーションを保ちながら取り組むことができます

自己理解を深め、自分に合った職種を選ぶことが大切です。

ポイント②職場の環境を事前に調べる

職場環境を事前に調べることも重要なポイントです。

職場の雰囲気や人間関係、業務内容などを事前に調査し、自分に合った環境で働ける職場を見つけましょう

コミュニケーション障害のある人にとっては、人間関係やコミュニケーションの難しさがストレス要因となることがあります。仕事を探す際は職場の環境に適応しやすいかどうかを慎重に考えることが必要です。

WebサイトやSNSを調べるなど、方法は様々です。もし、Webサイトに記載がない事項については、直接問い合わせることも一つの手段です。

ポイント③就職・転職エージェントを利用する

自分の適職や職場環境がわからない場合は就職・転職エージェントの利用もオススメです。

就職・転職エージェントを利用することで、自分に合った職場や求人情報を収集しやすくなるでしょう。

就職・転職エージェントは、個々の希望や条件に合った求人情報を提供してくれるだけでなく、面接のサポートや労働条件の交渉など、就職活動全般を支援してくれます。

就職・転職エージェントのなかには障害のある人を専門にしているものもあります。コミュニケーション障害のある人も安心して利用できるでしょう。

コミュニケーション障害のある人が利用できる支援制度10選

この章では、コミュニケーション障害のある人が利用できる制度について紹介します。

利用できるかは人によって異なります。利用する前に確認しておきましょう。

支援制度①傷病手当金

傷病手当金とは、何らかの病気やケガ、障害のために仕事を休む場合に「健康保険」の被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた支援制度のことです。国民健康保険の加入者は対象外です。(参考:全国健康保険協会「傷病手当金」、全国健康保険協会「傷病手当金について」

傷病手当金は、退職前の在職中に受給するお金です。ただし、一定の条件を満たせば、退職後も継続して受給できます。

傷病手当金の受給対象は、病気やケガ、障害によって就労不能であり、十分な給与が支給されない人です。そのため、医師の診断書が必要です。

傷病手当金の窓口は、全国健康保険協会や各健康保険組合、各共済組合です。

全国健康保険協会(協会けんぽ)の例では、以下のすべての条件を満たしている必要があります。

  • 業務外の病気やケガ、障害で療養中であること
  • 療養のための労務不能であること
  • 4日以上仕事を休んでいること
  • 給与の支払いがないこと

各条件には、さらに「給与が一部だけ支給されている場合は、傷病手当金から給与支給分を減額して支給される」などの補足が付いています

そのため、対象となる協会・組合に問い合わせたりウェブサイトを参照したりして、しっかりと条件を確認することが大切です。

また、傷病手当金の受け取りのためには、基本的に病気であることを証明する診断書の提出が必要になります。

具体的な支給額は、対象者の標準報酬月額などによって異なります

さらに詳しい支給額を知りたいという方は、まずは職場の人事部に一定期間の給与額などを確認した上で、お住まいの自治体の障害福祉を担当する部署・窓口にご相談ください。

気になる方は、ご自身の加入している健康保険に問い合わせてみましょう。

傷病手当金については、以下のコラムで解説しています。うつ病のある人に向けて書かれたコラムですが、参考になると思います。ぜひご覧ください。

支援制度②自立支援医療制度

自立支援医療制度とは、心身の障害を除去・軽減するための医療に関する医療費の自己負担額を軽減する公費負担の支援制度のことです。(参考:厚生労働省「自立支援医療について」、厚生労働省「自立支援医療制度の概要」、東京都福祉保健局「自立支援医療(更生医療)」

通常、医療保険による医療費の自己負担額は3割です。自立支援医療制度を利用すれば、原則1割まで軽減することができます。この制度は、指定の医療機関・薬局のみで利用可能です。

さらに、自己負担額には上限が設定されています。1割負担であっても、月額の上限以上となる金額は、原則として負担を免除されます。ただし、世帯の総所得額によっては、自己負担額が変動したり、対象外になったりする場合があります。

また、費用が高額な治療を長期にわたり継続しなければならない場合や所得の程度に応じて、さらに軽減措置が行われます。

自立支援医療は、以下の3種類に分けられます。

  • 精神通院医療:精神疾患の治療など
  • 更生医療:身体障害に関わる治療など
  • 育成医療:身体障害がある子どもに関わる治療など

特定の精神疾患がある人以外に、身体障害者手帳を持つ人なども対象です。

具体的な支援内容や条件、名称は、自治体によって異なります。

気になる方は、お住まいの自治体の障害福祉を担当する部署・窓口にご相談ください。

支援制度③労災保険(労働が原因の疾病の場合)

労災保険とは、仕事中や通勤中に病気やケガ、障害などの労働災害が発生した場合に、その補償を得られる支援制度のことです。(参考:厚生労働省「労働災害が発生したとき」、労働問題弁護士ナビ「うつ病の労災が認められにくい理由と申請手続きの手順・流れを詳しく解説」、厚生労働省「精神障害の労災補償状況」

職場に経緯を説明した上で、労働災害に相当する条件を満たした場合には、所定書式を記載して労働基準監督署へ提出することになります。

ただし、一般論として、精神障害による労災認定は非常に難しいと言われています

なぜなら、精神障害は原因の特定が難しく、私生活を含む様々な要因が複合的に絡みあって発症するケースが多いからです。

また、発病前の約6か月間に仕事による極度の心理的負荷が認められるなど、原因が仕事や職場にあることを明確化するための条件設定が厳しいという問題もあります。

しかし、認定されるかどうかに関わらず、そのときの状況次第では申請することは可能です。

労災保険の対象と認定される可能性もあります。気になる方は、労働基準監督署や職場の人事部など、労災保険の管轄部署に相談してみるとよいでしょう。

支援制度④失業保険(失業手当、雇用保険給付)

失業保険(失業手当、雇用保険給付)とは、失職した人が就職するまでの一定期間に給付金を支給する支援制度のことです。

原則、以下の2点が条件です。

  • 退職までの一定期間、雇用保険に加入していたこと
  • 求職活動を行っていること

ここで言う求職活動とは、企業への面接訪問などに限らず、窓口相談や職業訓練も含まれています。それらの活動ができる場合、「就職活動をして労働する」ことができない人でも条件を満たすことは充分可能です。

具体的な受給期間(90日~360日)や金額(在職中の給与の約50~80%)は、その人の状況によって異なります。また、病気によって求職活動条件を満たせない場合には、受給期間を延長することも可能です。

また、これまで述べてきた失業保険は「基本手当」と呼ばれるものになります。

病気やケガ、障害によって15日間以上、引き続いて求職活動ができない場合は、「傷病手当」という別の給付金を受給することができます。

なお、雇用保険上の傷病手当は、こちらで解説した傷病手当金とは異なることに加えて、両方を同時に受給できない点には注意してください。また、公務員は対象ではないため、注意してください。

申請は、お住まい自治体に設置されているハローワークで行なえます(参考:ハローワークインターネットサービス「雇用保険手続きのご案内」

気になる方は、お住まいの自治体の障害福祉を担当する部署・窓口にご相談ください。

うつ病と失業保険については、以下のコラムで解説しています。うつ病のある人に向けて書かれたコラムですが、参考になると思います。ぜひご覧ください。

支援制度⑤障害者手帳

障害者手帳とは、障害がある人に交付される手帳のことです。

障害者手帳をお持ちの人は、「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)」の対象となり、さまざまな支援が受けられます。(参考:厚生労働省「障害者手帳について」、e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」

障害者手帳には、障害の内容によって以下の3種類があります。

  • 身体障害者手帳
  • 精神障害者保健福祉手帳
  • 療育手帳

症状の程度にもよりますが、一定程度の精神障害の状態にある場合、「精神障害者福祉保健手帳」を申請できる可能性があります。

障害者手帳のメリットは以下のとおりです。

  • 税金控除の対象になる
  • 各種公共料金などの割引がある
  • 医療費などの助成がある
  • 補装具費用が安くなる
  • 障害者雇用での就職も選択できる

気になる方は、お住まいの自治体の障害福祉を担当する部署・窓口にご相談ください。

障害者手帳については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

支援制度⑥障害年金

障害年金とは、病気やケガ、障害によって仕事や生活に影響が出た場合に年金加入者が年金を受給できる支援制度のことです。(参考:日本年金機構「障害年金」

「事故で足を失った」「生まれつき四肢が不自由」「知的障害がある」などのケースだけでなく、発達障害・精神疾患・生活習慣病なども受給の対象になります。

一般的な年金は高齢者にならなければ受け取れませんが、障害年金は現役世代でも受給できることが特徴です。

障害年金は、大きく分けて「障害基礎年金」と「障害厚生年金」の2種類があります。障害厚生年金に関しては、補足的に障害手当金という制度もあります。

気になる方は、お住まいの自治体の障害福祉を担当する部署・窓口にご相談ください。

障害年金については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

支援制度⑦心身障害者医療費助成制度

心身障害者医療費助成制度とは、精神または身体に重度な障害のある人の福祉の増進を図る目的で、各自治体が医療費の一部または全部を助成する支援制度のことです。「マル障」とも呼ばれています。(参考:東京都福祉局「心身障害者医療費助成制度(マル障)」、渋谷区ポータル「医療費の助成 | 障がい者の医療」

一般的に、各種医療保険の自己負担から一部負担金を差し引いた金額または全額が助成されます。

自治体によって支援内容や受給条件などのルールが異なります

気になる方は、お住まいの自治体の障害福祉を担当する部署・窓口にご相談ください。

支援制度⑧生活困窮者自立支援制度

生活困窮者自立支援制度とは、仕事や住まいの確保に困窮している人に対して、各々の生活状況に応じた支援を提供する支援制度のことです。(参考:厚生労働省「制度の紹介」、東京都福祉保健局「生活困窮者自立支援制度について」

生活困窮者自立支援制度は、こちらで解説する生活保護の受給に至る前に、対象の人の自立を促進することを目的に制定されました。

経済や就労、住居確保といった幅広い分野について相談することができ、要件を満たす人には家賃相当額を支給するなど経済的な支援も行っています。

また、自立相談支援機関が作成した支援プランに沿って、一定期間、支援員が生活を立て直すためのサポートをしている場合もあります。

生活困窮者自立支援制度の支援内容は多岐に渡り、その内容は自治体によっても異なります。

気になる方は、お住まいの自治体の生活保護を担当する部署・窓口に相談してみてください。

支援制度⑨生活保護

生活保護とは、生活に困窮している人や病気やケガ、障害などで就労できない人に対して、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活の保障と自立の助長を目的とした支援制度のことです。(参考:厚生労働省「生活保護制度」

生活に必要な最低限度のお金を持つことが困難な人がお金を受給できる制度とも言えます。

生活保護で受給できるお金には生活扶助(食費・被服費・光熱費など)や住宅扶助(アパートなどの家賃)、医療扶助(医療サービスの費用など)などがあります。

  • 日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱費など)
  • アパートなどの家賃
  • 義務教育を受けるために必要な学用品費
  • 医療サービスの費用
  • 出産費用
  • 就労に必要な技能の修得などにかかる費用
  • 葬祭費用

また、受給金以外にも、国民年金保険料や住民税、NHK放送受信料などの税金・公共料金の支払いが減免されることがあります。

申請は、お住まいの自治体を所管する福祉事務所で行なえますが、まずは、お住まいの自治体の生活保護を担当する部署・窓口に相談してみてください。

ただし、生活保護は「最後のセーフティネット」とも呼ばれるように、本当に支援が必要な人だけを対象とする支援です。一般的に審査が厳しく、生活保護以外の支援を提案されたり、申請が却下されたりする可能性があるということは、心に留めておいてください。

うつ病と生活保護については、以下のコラムで解説しています。うつ病のある人に向けて書かれたコラムですが、参考になると思います。ぜひご覧ください。

支援制度⑩生活福祉資金貸付制度

生活福祉資金貸付制度とは、所得の低い人や障害のある人などの生活を経済的に支えつつ、その在宅福祉や社会参加の促進を図ることを目的に貸付を行う支援制度のことです。銀行などと比べて、低い金利でお金を借りることができます。(参考:全国社会福祉協議会「生活福祉資金」、厚生労働省「生活福祉資金貸付条件等一覧」、政府広報オンライン「生活にお困りで一時的に資金が必要な方へ「生活福祉資金貸付制度」があります。| 暮らしに役立つ情報」

対象となるのは、「低所得者世帯」「障害者世帯」「高齢者世帯」であり、障害のある人の場合は、障害者手帳などの交付が前提となります。

生活福祉資金貸付制度は大きく分けて以下に分類されます。

生活福祉資金貸付制度の種類
  • 総合支援資金(生活支援費、住宅入居費、一時生活再建費)
  • 福祉資金(福祉費、緊急小口資金)
  • 教育支援資金(教育支援費、就学支度費)
  • 不動産担保型生活資金(不動産担保型生活資金、要保護世帯向け不動産担保型生活資金)

この制度は、あくまで「貸付」です。返済の義務があるという点は注意しましょう

気になる方は、お住まいの自治体の生活保護を担当する部署・窓口に相談してみてください。

コミュニケーション障害のある人が利用できる支援機関11選

この章では、コミュニケーション障害のある人が利用できる支援機関を紹介します。

就労に関する悩みは1人で抱え込まず誰かに相談をしながら解決していきましょう。

支援機関①就労移行支援事業所

就労移行支援とは、一般企業などへの就職を目指す、病気や障害のある方向けに、「障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)」に基づいて行われる福祉サービスのことです。(参考:e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」

実際のサービスは、国の基準を満たした様々な民間の「就労移行支援事業所」が行います。

就労移行支援事業所では、体調管理の方法、職場でのコミュニケーションの基礎スキル、就職に必要な専門スキルなどを学ぶことができます。

さらには、実際の就職活動でのアドバイス、就職後の職場定着支援も含む、総合的な就労支援を受けることが可能です。

就労移行支援事業所は各地にあります。私たち、キズキビジネスカレッジ(KBC) もその一つです。それぞれ特徴が異なるため、気になるところがあれば問い合わせてみてください。

就労移行支援事業所については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

支援機関②精神保健福祉センター

精神保健福祉センターとは、精神障害のある人のサポートを目的とした支援機関のことです。(参考:東京都福祉保健局「精神保健福祉センターとは」

他の支援機関と比較して、精神疾患に特化している点が特徴と言えるでしょう。

「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」により、各都道府県に設置されています。(参考:e-Gov法令検索「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」

精神疾患に関連する悩みの相談や社会に適応するための指導と援助を行っています

精神障害による症状で悩んでいる本人だけでなく、ご家族や周囲の人の相談も受け付けています。また、匿名での相談も受け付けています。医師から正式な診断を受けていなくても相談は可能です。

詳しくは、お住まいの自治体の精神保健福祉センターに問い合わせてみてください。

支援機関③地域障害者職業センター

地域障害者職業センターとは、病気や障害のある人に対して、職業評価や職業指導、職業準備訓練、職場適応援助などの専門的な職業リハビリテーションを提供する支援機関のことです。(参考:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「地域障害者職業センター」、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「地域障害者職業センターによる支援」、厚生労働省「地域障害者職業センターの概要」

独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営しており、障害者雇用促進法に基づいて、全国47都道府県に設置されています。

ハローワークや医療・福祉機関と連携しているため、仕事に関する相談や訓練、復職するためのサポートを行っています。

病気や障害に悩む当事者だけでなく、障害のある人を雇用する事業所に対して、雇用管理に関する相談・援助も行っています。

仕事を両立したい人や就労状況について相談したい人におすすめです。

支援機関④障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターとは、雇用や保健、福祉、教育に関する関係機関と連携し、障害のある人の雇用の促進・安定を目的とした一体的な支援を行っている支援機関のことです。(参考:厚生労働省「障害者雇用促進法制の整備について」、厚生労働省「障害者就業・生活支援センターについて」

障害のある人の就職活動の支援や求人の紹介、職場定着のためのサポートなどを行います。

就労面だけでなく、金銭管理などの経済面や生活面のことまで、日常および地域生活に関する支援も行っています。

生活習慣や金銭管理、健康管理などについても幅広く相談できるため、生活面のサポートも受けたい人におすすめです。

2023年4月1日時点で、全国に337箇所設置されています。

支援機関⑤障害者就労支援センター

障害者就労支援センターとは、 障害のある人の就労機会の拡大を図るため、自治体が設置する支援機関のことです。

障害のある人の就労全般に関する相談や、就職に向けたサポート、ハローワークへの同行などの支援を行っています。

障害者就労支援センターの設置は自治体によって異なります。お住まいの自治体のWEBサイトをご確認ください。

また、「お住まいの自治体名+障害者就労支援センター」などのインターネット検索で見つけることもできます。

支援機関⑥基幹相談支援センター

基幹相談支援センターとは、障害のある人をサポートを目的に地域の相談事業を行っている支援機関のことです。(参考:厚生労働省「基幹相談支援センターの役割のイメージ」

基幹相談支援センターでは、一般的に以下のような支援を行っています。

  • 病気・障害のある人のための総合的な相談
  • 適切なサポート団体との連携
  • 権利擁護・虐待防止

基幹相談支援センターの設置は自治体によって異なります。お住まいの自治体のWEBサイトをご確認ください。

また、「お住まいの自治体名+基幹相談支援センター」などのインターネット検索で見つけることもできます。

支援機関⑦ハローワーク(公共職業安定所)

ハローワーク(公共職業安定所)とは、仕事を探している人に対して、就労に関連するサポートを行っている支援機関のことです。(参考:東京労働局「東京ハローワーク」、厚生労働省「こころの健康サポートガイド」、厚生労働省「ハローワークにおける障害者の就労支援」

主に職業相談や職業訓練、求人情報の提示などを行っており、具体的な支援内容は事業所によって異なりますが、一般的には以下のような幅広いサポートを行います。

  • 仕事で活かせる知識・技能の習得
  • 仕事や私生活で活かせるメンタル面のサポート
  • 「どのような仕事や働き方が向いているのか」のアドバイス
  • 転職先候補の業務や雰囲気を体験できる「職場体験実習(インターン)」の紹介
  • 履歴書・経歴書・エントリーシートの作成支援
  • 面接対策
  • 転職後の職場定着支援

ハローワークでは、病気や障害のある人に向けた支援を行っています。

ハローワークで求職登録を行うと、障害の特性や希望職種に応じた職業相談を受けられます。病気や障害があることや障害のある人向けの求人を探していることを伝えると、病気や障害のある人に向いていると思われる求人情報を紹介してもらえます。

ほかにも、「病気や障害がある状態でどのように就職活動をすればよいのか?」「面接や履歴書には病気や障害の経験をどのように記載すればよいのか?」など、病気や障害のある人の就職活動や履歴書の書き方、面接での病気や障害の伝え方など、細かい疑問も解決できます。

また、ハローワークには、住まいや生活に関する総合相談を行う窓口もあります。経済面や生活面などについても幅広く相談できるため、心配がある場合は相談してみましょう

支援機関⑧地域若者サポートステーション(サポステ)

地域若者サポートステーションとは、働くことに悩みを抱えている15〜49歳までの就学中でない人のサポートを目的とした支援機関のことです。「サポステ」とも呼ばれています。(参考:厚生労働省「地域若者サポートステーション」

厚生労働省委託の支援機関であり、病気や障害の有無を問わず、就業中ではない人の就職から職場定着までを全面的にバックアップします。

地域若者サポートステーションでは、一般的に以下のような支援を行っています。

  • コミュニケーション講座
  • ジョブトレ(就業体験)
  • 就活セミナー(面接・履歴書指導など)
  • 集中訓練プログラム
  • パソコン講座・WORK FIT・アウトリーチ支援

支援機関⑨リワーク

リワークとは「return to work」の略で、精神疾患が原因で休職中の人を対象とする、復職や転職、再就職に向けたリハビリテーションのことを指します。

「リワークプログラム」と同じ意味で、「復職支援プログラム」や「職場復帰支援プログラム」という名称が使われることもあります。

リワークについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

支援機関⑩ジョブコーチ(職場適応援助者)

ジョブコーチとは、障害のある人の職場適応を支援する職場適応援助者のことです。(参考:厚生労働省「職場適応援助者(ジョブコーチ)支援事業について」

障害のある人が職場への適応に関して課題がある場合、職場にジョブコーチが出向いて、障害の特性を踏まえた専門的な支援を行い、障害のある人が職場に適応するためのアドバイスをします。

また、障害のある人を雇用する事業所に対して、障害の特性を踏まえた作業の提案や、仕事の教え方などをアドバイスします。

ジョブコーチには、以下の3種類があります。

  • 配置型ジョブコーチ:地域障害者職業センターに所属するジョブコーチ
  • 訪問型ジョブコーチ:社会福祉法人などに所属するジョブコーチ
  • 企業在籍型ジョブコーチ:障害のある人を雇用する事業所に雇用されるジョブコーチ

支援機関⑪転職エージェント

転職エージェントとは、転職を希望する人をサポートする人材紹介サービスのことです。

現代の仕事探しにおいて、転職エージェントの利用は一般的な方法です。民間の転職エージェントも、病気や障害のある人が利用できる支援機関と言えます。

近年では、病気や障害のある人に特化した転職支援を行う転職エージェントも増加しています。

ご自身に合いそうな転職エージェントを並行的に利用してみましょう。

補足①:発達障害者支援センター

発達障害者支援センターとは、発達障害の早期発見と早期支援を目的として、発達障害の特性に悩む当事者や家族をサポートする支援機関のことです。

事業者や自治体によって異なりますが、発達障害の特性に関する相談のほか、就労支援事業として、求人に関する情報提供や就業先へのアドバイスを行っています。

発達障害は、一見すると、無関係に思えるかもしれません。

しかし、発達障害のある人は、コミュニケーションがうまく取れないなど、社会生活上の困難から生じるストレスなどが原因で、精神障害を発症する「二次障害」を患うケースが少なくありません。

そういった人であれば利用できる可能性があります。

発達障害支援センターは、幼少期に発達障害の診断を受けた人だけでなく、大人になってから発達障害の診断を受けた人も支援の対象です。また、医師から発達障害の診断を受けていない人でも支援を受けることが可能で、発達障害がある可能性がある人からの電話相談なども受け付けています。

窓口は、各自治体や指定の事業所に設置されています。

補足②:障害者雇用支援人材ネットワークシステム

障害者雇用自然人材ネットワークシステムとは、「障害者雇用管理サポーター」として登録されたさまざまな分野の専門家に相談できるシステムのことです。

障害のある人を雇用する事業所が主な対象です。

障害者雇用に関わる労務管理や従業員の健康管理、また障害のある人のために設備を改修する場合などに、専門家に相談することが可能です。

専門分野や活動地域、障害の種別などの条件で検索が可能です。

補足③:その他のコミュニケーション障害に関連する支援団体や自助会、互助会、家族会、ピアサポート団体

ほかにも、コミュニケーション障害のある人を支援する団体や自助会、互助会、家族会、ピアサポート団体は多数あります。

自助会、互助会、家族会、ピアサポート団体とは、コミュニケーション障害のある人同士の支えあいを目的に、情報交換などを行う団体のことです。お互いの悩みを打ち明けたり、対処方法を共有したりします。

団体ごとに方向性や特色、雰囲気などに特徴があります。

まとめ:コミュニケーション障害のある人も強みを活かした仕事ができます

コミュニケーション障害のある人も向いてる仕事で就労することで、自身の強みを発揮しながら仕事で活躍できます。

人によって自身の強みや適性が異なるため、自分に合った仕事や職場環境を見つけてみてください

仕事や私生活で困ったことがあれば、支援機関に相談したり、支援制度を利用したりすることをオススメします。

よくある質問(1)

私はコミュニケーション障害があるます。向いてる仕事を知りたいです。

コミュニケーション障害のある人に向いてる仕事として、以下が考えられます。

  • 工場作業員
  • 清掃員
  • データ入力
  • 農業従事者
  • イラストレーター
  • 動画編集者
  • 校閲者
  • 翻訳者
  • 長距離ドライバー
  • 配達員
  • 警備員
  • スーパーのレジ担当
  • 図書館司書
  • 新聞配達員
  • タクシードライバー
  • IT系技術職 (プログラマー、システムエンジニアなど)
  • 研究職
  • アクセス解析士
  • ライター
  • ビルメンテナンス

詳細については、こちらで解説しています。

よくある質問(2)

コミュニケーション障害の私に向いてない仕事はなんですか?

コミュニケーション障害のある人に向いてない仕事として、以下が考えられます。

  • 対人業務が必要な仕事
  • 臨機応変に対応する必要がある仕事
  • マルチタスクが求められる仕事

詳細については、こちらで解説しています。

監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。

【著書ピックアップ】
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』

Amazon
翔泳社公式 【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2023年7月現在10校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2022年7月現在4校)

【その他著書など(一部)】
学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧

【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)

うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。トップページはこちら→

相談予約 LINE相談 相談フォーム 無料資料請求 電話相談
LINEで
相談
フォームで
相談
資料
DL
相談
予約