双極性障害のある人に向いてる仕事・職場 続けるコツも解説 | キズキビジネスカレッジ  

双極性障害のある人に向いてる仕事・職場 続けるコツも解説

こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。

双極性障害のあるあなたは、以下のようなことをお悩みではないですか?

  • 双極性障害になっても仕事は続けられる?
  • どんな仕事が向いてるのかわからない…
  • いまの働き方で働きつづける自信がない…

このコラムでは、双極性障害のある人に向けて、双極性障害が仕事に与える悩み・影響や仕事を続けるコツ、向いてる仕事・職場、向いてない仕事・職場、仕事に行きたくないときの対処法、仕事探しのポイントについて解説します。

このコラムが、双極性障害の症状にお困りのあなたの悩みを軽くする手助けになれば幸いです。

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双極性障害とは?

双極性障害とは、気分が高揚する躁状態と、気分が落ち込むうつ状態を繰り返す精神障害の一種のことです。かつては、躁うつ病という名前で知られていました。(参考:こころの情報サイト「双極性障害(躁うつ病)」、日本精神神経学会・監修『DSM-5 精神疾患の精神疾患の診断・統計マニュアル』、加藤忠史『これだけは知っておきたい双極性障害 躁・うつに早めに気づき再発を防ぐ! ココロの健康シリーズ』、MedlinePlus「Bipolar Disorder」、MSDマニュアル家庭版「双極性障害」、国立国際医療研究センター病院「双極性障害とは?」、大塚製薬「双極性障害とは」)

双極性障害の躁状態は、過度の身体活動やその状況にふさわしくない程度の高揚感を特徴としています。

双極性障害の発生率に性差の影響はありません。また、通常、10代から30代までに発症するとされており、小児が双極性障害を発症することは少ないそうです。

双極性障害には、大きく分けて以下の種類にわかれます。

  • 双極性障害Ⅰ型(双極Ⅰ型障害)
  • 双極性障害Ⅱ型(双極Ⅱ型障害)

主な違いは、躁状態の激しさと社会生活への影響です。

双極性障害については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

双極性障害が仕事に与える悩み・影響5選

この章では、双極性障害が仕事に与える具体的な悩み・影響について解説します。

あなた自身のこれまでを振り返り、どのようなことに気をつけながら働くべきか対策を考えましょう。(参考:あしたのクリニック精神科 心療内科「双極性障害で仕事ができないと感じたときの対処法|就職方法も紹介」)

悩み①躁状態のときに仕事を引き受けすぎる

双極性障害のある人の仕事上の悩みとしてよく挙がる悩みに、躁状態のときに遂行できないことを引き受けすぎることがあります。

躁状態になっていると、あまり休まなくても仕事がはかどるため、自分だけではできない仕事まで引き受けがちです。

また、そこからうつ状態に転じると仕事がままならなくなり、「自分から引き受けたのに仕事をやり切らないじゃないか」と、周囲からの社会的信用を失うことに繋がる場合もあります。

悩み②ミスが増える

2つ目の悩みは、ミスが増えることです。

双極性障害には、認知機能の低下がみられるというデータがあります。

認知機能には、以下のものが挙げられます。

  • 注意力
  • 記憶力
  • 計画力
  • 学習能力
  • 意思決定力

うつ状態では集中力や思考力などの低下がみられ、躁状態では注意力散漫や衝動を抑えられないなどの症状がみられるとしています。

双極性障害のある人は、交互に訪れる、または混合してみられるさまざまな症状によって、仕事に集中できなかったり仕事が思うように進められなかったりするようです。

悩み③うつ状態のときに仕事を休みたくなる

3つ目は、仕事を休みたくなることです。

こちらでも解説したとおり、躁状態のときは、体力と気力を使いすぎることがあります。

その結果、うつ状態に転じたときにはぬけ殻のようになって何もしたくなくなり、欠勤が続くケースがあります。

自分なりに気を付けたり工夫したりしていても、ミスが増えることで仕事に行くことが苦痛に感じ、休みたくなる人もいるようです。

これはうつ状態によって意欲が湧きにくくなるためだと考えられています。

調子がすこぶる良かったのに、突然休みがちになったことで、職場の同僚や上司から「長期間の仕事やプロジェクトは任せられない」と判断され、昇進が遅れることもあるようです。

悩み④対人トラブルが増える

躁状態になると、ちょっとしたことで怒りやすくなったり攻撃的な言動がみられたりすることがあります。

躁状態のときは、アイディアが豊富に湧き、普段では見られないほど精力的に仕事に取り組むため、一見ポジティブな影響があるように思われます。pp

しかし、その状況についていけない周囲の人に対して「こんなこともできないのか」といらだちを覚えることもあるのです。

その結果、職場でもきつい言葉で怒ったり周囲を気にせず感情的になったりするなどの行動につながり、対人トラブルに発展することがあります。

また、こちらでも触れたように、1人で物事を進めて周囲を困らせる、1人では抱えきれない仕事を引き受ける、といったことが対人トラブルにつながる可能性もあるでしょう。

このようなことが影響し、結果的に周囲からの信用を得られなくなり、仕事を辞めざるを得なくなることもあるようです。

なお、うつ状態の場合、人と関わることに興味を持てず避ける傾向がみられます。そして、コミュニケーションが不足し、仕事に行けなくなる場合があります。

悩み⑤身体的症状が見られる

5つ目は、身体的症状が見られることです。

仕事でのミスが増えたり、自身の気分の高低差にストレスを感じたり、それによって対人トラブルが増えたりすると、食欲不振や不眠などといった体調不良を引き起こすことがあります。

さらに、身体症状をそのまま放置すると、深刻な状態にまでつながることもあるようです。

そのため、仕事に行くことはできても体調が優れないと感じたり、不調が続くときは積極的に休息時間を設けましょう。

双極性障害のある人に向いてる仕事・職場

この章では、双極性障害のある人に向いてる仕事・職場について解説します。

精神科医の加藤忠史氏によると、双極性障害であっても、きちんと病気を理解して受けとめ有効な予防さえすれば、仕事を諦めなければならないことはほとんどないと言います。(参考:加藤忠史『双極性障害[第2版]』』)

ただし、仕事の内容や環境によっては双極性障害を悪化させることがあるのも事実です。

就職・転職を考えている人、どのように仕事を選べばよいかわからない人は参考にしてみてください。

仕事①通院・服薬の配慮が受けられる仕事・職場

1つ目は、通院・服薬の配慮が受けられる仕事・職場です。

双極性障害の治療・改善にあたっては、服薬や通院が必要です。そのことから、必要な通院・服薬への理解が十分にあり、適切な配慮が受けられる仕事・職場を選びましょう。

躁状態やうつ状態が続くと、自分でも思いもよらない言動が出ることもあります。そういった意味でも、配慮が受けられる仕事や職場を選ぶことは、働く上でもっとも重要です。

例えば、在宅ワークという働き方を選ぶと、自分のペースで通院・服薬が可能です。ただし、職場には事前に通院が必要になることを申し出ることを忘れないようにしましょう。

仕事②障害者雇用に注力する職場

2つ目は、障害者雇用に注力する職場です。

双極性障害症状が強まると、仕事に行きたくなくなることも少なくありません。

そのようなことをあらかじめ考慮し、障害者手帳の交付を受けて、障害者雇用に注力する職場で働くのも方法の1つです。

障害者雇用に注力する職場であれば、症状が出ているときにきちんとした配慮が受けられます。

双極性障害について職場に開示した上で働く、オープン就労を選んで働く方法も視野に入れましょう。

仕事③業務量・勤務時間の変動が少ない仕事

3つ目は、業務量・勤務時間の変動が少ない仕事です。

業務量や勤務時間に変動のある仕事だと、躁状態では多少無理がきいても、うつ状態になったときに症状がひどくなることがあります。

躁状態のときに仕事が抑えられるよう、業務量や勤務時間の変動がない仕事を選ぶことで、調子を維持しながら働くことができます。

例を挙げるとするなら、事務職や在宅ワークのように自分のペースで取り組める職種や、残業の少ない仕事がオススメです。

仕事④人との交流が少ない仕事

4つ目は、人との交流が少ない仕事です。

双極性障害の状態によって、周囲の人とトラブルにつながることもあります。逆に、周囲の人とのトラブルが症状の悪化につながることもあるでしょう。

そのため、「人との交流は避けた方が良いかも」と考えている場合は、在宅ワークや倉庫内の軽作業スタッフ、調理スタッフなど、人との交流が少ない仕事を選びましょう。

双極性障害のある人に向いてない仕事・職場

双極性障害のある人に向いてない可能性がある仕事には、どのようなものがあるでしょうか?

基本的には、こちらで解説した向いてる仕事の内容の裏返しです。

向いてない可能性のある働き方
  • 外的要因で仕事の量が多く変化する仕事
  • 生活リズムが乱れるような仕事
  • 対人折衝の多い仕事

以上のような仕事は、どちらかというと避けた方がいいでしょう。

特に、早朝勤務や深夜勤務といったシフト制は、生活リズムの乱れによる双極性障害の再発の原因になります。

以下のような仕事は残業や夜勤の多さ、業務量の変化が大きいため避けたほうがよいかもしれません。

  • 営業職
  • 接客業
  • 看護師
  • 工場でのシフト勤務

双極性障害の治療では薬物療法が前提となり、ほとんどの向精神薬には、「本剤投与中の患者には、自動車の運転等危険を伴う機械類の操作に従事させないよう注意すること」とという注意書きがあります。

そのため、重機の操作や自動車運転が必要な仕事にも課題は難しい可能性があります。

そのほか、予防療法の第一選択薬であるリチウムには、副作用として手の震えが起こることが知られているため、細かな手作業には向いてないことも考えられるでしょう。

双極性障害のある人が仕事を続けるコツ7選

この章では、双極性障害のある人が仕事を続けるコツについて解説します。(参考:貝谷久宣『よくわかる双極性障害(躁うつ病)』、野村総一郎『新版 双極性障害のことがよくわかる本』、双極はたらくラボ「双極性障害と家族の限界 共倒れしないための工夫」、厚生労働省「職場におけるメンタルヘルス不調者の事例性に 着目した支援方策に関する研究」、厚生労働省「障害者手帳について」)、厚生労働省「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」、厚生労働省「事業主の方へ」、内閣府「「合理的配慮」を知っていますか?」)

コツ①医師や支援者の意見にきちんと耳を傾ける

仕事を続けるための1番のコツは、医師や支援者の意見にきちんと耳を傾けることです。

双極性障害のある人は、躁状態にあるときには気が大きくなるため、人の意見に耳を傾けることが難しくなります。

そのため、躁転しそうな予兆を感じたときや、うつ状態にあるときなど、早い段階で自分の現状を知らせるなどして医師や支援者から意見を聞きましょう。

また、自己判断で治療薬の服用を中断したり通院をやめたりすることは、絶対にしないでください。

先述したように、双極性障害では薬物療法がメインとなるため、怠薬したことで症状が悪化したり再発したりする可能性が高いためです。

このコラムで紹介されているほかのコツを実践しているからと、過信するのも禁物です。

調子が良くなったり、気分が上向いたりしているときでも、家族や主治医、支援者などの意見に耳を傾けましょう。

コツ②疾患を受け入れる

2つ目のコツは、疾患を受け入れることです。

双極性障害は再発しやすく、長期の治療が必要な病気と言われています。

症状が和らぎ、完治したと思っていても、ふとしたきっかけで症状が再発する可能性があります。

そのため、双極性障害であることを受け入れて、長期的なスパンで付き合っていく姿勢を保つことが大切です。

幸い、治療法は確立しています。再発の予兆を自分で把握したり、ストレスを感じたらリラックス法を実践したりするなどを心掛ければ、安定した社会生活を送ることができます。

双極性障害による気分のムラを自分の性質と考えて、疾患を受けいれる姿勢を持つようにしましょう。

コツ③体内時計を整える

長続きのコツの3点目は、体内時計を整えることです。

双極性障害のある人は活動的な躁状態と、そうでないうつ状態が不定期に訪れるため体内時計が乱れやすいです。

体内時計が乱れると、入眠障害や中途覚醒などの睡眠障害を引き起こしたり、日中の抑うつ感が増したりするため、双極性障害を悪化させるさまざまな症状のリスクが高まります。

そのため、日頃から体内時計を整えることを意識してください。

体内時計を整えるためには、以下の3つのリズムを保つことが大切です。

  • 睡眠のリズム
  • 食事のリズム
  • 活動のリズム

睡眠のリズムでは、就寝と起床の時間を一定にするようにしましょう。

また、就寝前には覚醒作用のあるコーヒーや緑茶、エナジードリンクなどのカフェイン飲料は控え、脳を刺激するパソコンやスマホの使用も避けると良いです。

食事も1日3食、決まった時間に食べ、日中はできるだけ太陽の光を浴びるために、外で活動する機会を設けましょう。

数十分のジョギングなど、適度な運動も取り入れることも、体内時計を整えるのに効果的です。

コツ④できるだけ残業を避ける

4つ目のコツは、できるだけ残業を避けることです。

双極性障害のある人が躁状態に転じやすいタイミングとして、繁忙期に遅くまで残業をするなど、過剰に仕事に取り組むときがあげられます。

躁状態のときは疲れを感じることもなく気分が高揚しているため、無理をしてでも仕事を進めたくなる人がいるはずです。

しかし、双極性障害のある人はこうした気分の波をできる限り減らすことが大切になります。勤務時間や仕事量もできるだけ一定にするのが望ましいのです。

とはいえ、躁状態のときは自分で仕事を止めるのも難しいでしょう。そのため、普段から同僚に「あまり残業が続いているようだったら声をかけてください」と一言伝えておくとよいでしょう。

コツ⑤休暇取得日を月初めに決めておく

5つ目のコツは、休暇取得日を月初めに決めておくことです。

こちらで解説したコツと同様に、働きすぎを抑制するための工夫です。

スイッチが入っているときには、休みを挟むことなく立て続けに仕事をするため、休暇を取ることあまり考えなくなります。

そのため、月初にあらかじめ休暇を入れて休日を決めておくことが、大切なのです。

とはいえ、休暇を取得してもきちんと休まなければ意味がありません。

職場によっては、休暇予定日の直前でも休暇の申請をキャンセルできるかもしれませんが、「働けそう」と思っても入れた休暇は絶対に消化すると決め、周囲の人にもそのことを伝えておきましょう。

コツ⑥つらい状況を家族に共有する

6つ目のコツは、つらい状況を家族に共有することです。

双極性障害と診断されたお母様を持つコミックエッセイストのまりげ氏は、「双極性障害を抱える本人から、自発的に心の状態を少しずつしゃべってくれたり共有してくれたりすることに、むやみに心配しなくてよくなった」「家族側からすると、双極性障害を抱える本人の心の中が見えないのがとにかく不安」と話しています。(参考:双極はたらくラボ「双極性障害と家族の限界 共倒れしないための工夫」)

このように、双極性障害のある人は、自身の変化にいち早く気付いてもらうため、家族に共有することが望ましいでしょう。

ただし、家族から理解を得られない場合もあります。家族に伝えたほうがいいのか、どのように伝えるべきかについては、1人で考えるのではなく、主治医や支援機関に相談することをオススメします。

コツ⑦異動・転職を視野に入れる

厚生労働省によると、双極性障害を含むメンタルにまつわる病気と診断した医師の多くは、休業のほか転職を促しているそうです。(参考:厚生労働省「職場におけるメンタルヘルス不調者の事例性に 着目した支援方策に関する研究」)

双極性障害のある人は、躁状態とうつ状態を繰り返したり、時に混在したりすることがあります。

そのため、人間関係がうまくいかなかったり、そんな自分に強い憤りを感じたりすることも少なくないためです。

現在の仕事に対して不満があるとき、自身の症状によって仕事に行きにくくなったときは、異動や転職を視野に将来を考えることも大切です。

補足:症状がつらいなら障害者雇用を検討する

双極性障害がある人が働くには、自身の症状について把握し、上手に付き合っていくことが求められます。

しかし躁状態とうつ状態が混在したり、それぞれの症状が強く出たりすると、仕事に行くことも苦痛に感じるでしょう。

症状がつらいと感じるときは、障害者雇用も検討しましょう。

障害者雇用とは、障害のある人を専用の雇用枠を用いて雇い入れる制度です。障害のある人でも、個々の能力や特性に応じて、安定的に働けるようにすることを目的としています。

障害者雇用では、一般的には病気・障害についての理解を得ながら働くことができます。

障害者雇用に切り替えて働く場合、障害者手帳を取得して職場に提示するのが一般的です。

障害者手帳とは、障害がある人に交付される手帳のことです。(参考:厚生労働省「障害者手帳について」)

双極性障害は、気分障害の1つであるため、双極性障害のある人でも障害者手帳の取得は可能です。(参考:厚生労働省「精神障害者保健福祉手帳の障害等級の判定基準について」)

障害者雇用促進法では、障害者手帳を取得していない人でも障害者雇用の対象です。ただし、注意が必要です。(参考:厚生労働省「障害者雇用促進法における障害者の範囲、雇用義務の対象」)

障害者雇用促進法では、事業主が雇い入れる労働者の全体人数に対して、一定の割合を障害のある人にするよう義務づけられています。この「労働者の全体人数に対する障害のある人の雇用率(の義務)」のことを「法定雇用率」と言います。(参考:厚生労働省「事業主の方へ」)

しかし、障害者手帳を取得していない障害のある人を障害者雇用で雇用したとしても、障害者雇用促進法上、法定雇用率に算定できません。

そのため、職場は障害者手帳を取得していない、障害のある人を、(障害者雇用という意味では)積極的に採用しない傾向にあります。

障害者雇用での就労を検討しているのであれば、障害者手帳を取得するのが無難でしょう。

なお、双極性障害を含む障害のある人、さらには生活に困りごとがある人は、障害者雇用でなくても合理的配慮を受けることができます。

合理的配慮とは、障害のある人の人権を保証するとともに、教育や就労、社会生活において平等に参加できるよう、障害や特性、困りごとに合わせて講じる配慮のことです。

障害者雇用においては、募集・採用時に障害のある人と障害のない人との均等な機会を確保すること、また障害のある人が業務上で支障があったときに改善するための措置を取ることを目的としています。(参考:内閣府「「合理的配慮」を知っていますか?」)

ただし現実問題として、十分な合理的配慮ができない事業所もあります。また、何が合理的の範囲なのかが曖昧な部分もあります。

障害者雇用も含めて、どのような仕事や職場、働き方が自分に向いてるかは、支援機関に相談することをオススメします。

障害者雇用の詳細については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

障害者手帳の詳細については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

双極性障害のある人が仕事を休みがちなときの対処法5選

服薬や通院をしていても、どうしても仕事に行きたくないと思うこともあるでしょう。

この章では、双極性障害のある人が仕事に行きたくないときの対処法について解説します。

対処法①家族や主治医、専門家などの意見を聞く

1つ目の対処法は、家族や主治医、専門家などの意見を聞くことです。

躁状態の場合、気が大きくなり人の意見に耳を傾けずに、あらゆることを自分1人で判断することがあります。

例えば、調子の良いときが続いているからといって服薬や受診を自己判断で辞めるなどです。

正確に判断できることもあればできないときもあり、誤った行動を取る可能性も考えられます。

そのため、双極性障害の症状と付き合いながら働くときは、家族のほか、主治医や支援機関の専門家による意見をきちんと聞き、受け入れることが大切です。

対処法②気分転換を意識する

2つ目の対処法は、気分転換を意識することです。

双極性障害の症状は常に複雑に変化し、症状の影響によって仕事に行きづらくなることも少なくありません。

そのため、自分自身の気分を安定させるためにも、気分転換やストレス解消できる工夫を自分なりに考えてみましょう。

仕事に向き合うことが面倒になったり、モチベーションの維持に難しさを感じたりするときは、以下のようなことを試してみてください。

  • 仕事が終わったら楽しめるごほうびを毎日用意する
  • 好きな飲み物をそばに置く、飲んで気持ちを切り替える
  • リフレッシュに効果のある香りをそばに置く

このようなことを取り入れると、自然と仕事に向かえるようになります。

自分にとってのごほうびや仕事に差し支えのない範囲で楽しめるものを取り入れ、躁状態とうつ状態をコントロールしましょう。

対処法③作業内容・作業時間について上司に相談する

3つ目は、作業内容・作業時間について上司に相談することです。

作業内容があっていないと感じていたり、作業時間が長かったりする場合、それらの影響から仕事を休みがちになることもあります。

また、うつ状態になると、躁状態で無理したことで体が思うように動かなかったり、気持ちが後ろ向きになったりすることも少なくありません。

そのため、上司に気分のムラがあることを伝え、心身ともに負担のかからない作業内容・作業時間に変更したいことを伝えましょう。

もし相談することが難しい、または相談しても変化が見られないときは、自分の体調に合う仕事について考え、異動や転職を考えてみてもよいでしょう。

対処法④自身の変化をきちんと把握する

4つ目は、自身の変化をきちんと把握することです。

仕事をする上では、自身の体調の変化にはいち早く気付くことが大切です。

躁状態・うつ状態になるときのサインを自分自身で把握しておけば、残業しない、予定を入れない、無理をしないなど、状態にあわせた働き方ができます。

しかし、躁状態の場合、調子が悪いにもかかわらず「今日はすこし調子が良いかも」と感じることもあり、変化に気付けない場合もあります。

そのようなときでも無理をしないよう、職場の人や家族に躁状態とうつ状態のサインが見られたときは、声をかけてもらえる環境づくりをしておきましょう。

対処法⑤心身のバランスを取り戻すため休業を申し出る

最後の対処法は、心身のバランスを取り戻すため休業を申し出ることです。

躁状態とうつ状態が交互に来る日と混在する日が長期間続くと、不眠症や食欲不振などにつながり、働くことが困難になります。

また、これらの症状によっては、栄養不足に陥り入院を余儀なくされることも考えられます。

どうしても仕事に行く気になれないときは無理をせず、その旨を上司に打ち明け、休職期間を求めることをオススメします。

双極性障害のある人にあった仕事探しのポイント3点

この章では、双極性障害のある人にあった仕事探しのポイントについて解説します。(参考:秋山剛『「はたらく」を支える! 職場×双極性障害』)

繰り返しになりますが、仕事探しをする際にも大切なのは、周囲の人を適切に頼ることです。

特に、就職・転職活動をする際には、定期面談を受けている主治医に相談しましょう。

また、躁とうつの波がまだ激しいときに転職活動をするのは禁物です。

しかし、双極性障害のある人は「自分がまだ安定していないこと」を自覚することが困難な場合も多いので、主治医や家族などの客観的な意見が大切になってきます。

こうした周囲の人を適切に頼るという点を前提として、以下の仕事探しのポイントを見ていきましょう。

ポイント①就労移行支援事業所を利用する

1つ目のポイントは、就労移行支援事業所を利用することです。

双極性障害のような精神障害のある人が仕事探しをするとき、以下のような点で悩むことが多いのではないでしょうか。

  • 障害者手帳を取得すべきか
  • 障害を開示して働くべきか
  • 障害を開示せずに働くべきか
  • 雇用枠をどうすべきか

就労移行支援事業所では、以上のようなお悩みに応えた上で、就職活動のサポートをしています。

就労移行支援とは、一般企業などへの就職を目指す、病気や障害のある人向けに、障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)に基づいて行われる福祉サービスのことです。(参考:e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」)

実際のサービスは、国の基準を満たしたさまざまな民間の就労移行支援事業所が行います。キズキビジネスカレッジ(KBC)もそのひとつです。

就労移行支援事業所では、体調管理の方法、職場でのコミュニケーションの基礎スキル、就職に必要な専門スキルなどを学ぶことができます。

さらには、実際の就職活動でのアドバイス、就職後の職場定着支援も含む、総合的な就労支援を受けることが可能です。

就労移行支事業所については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

ポイント②繁閑の差が激しくない仕事を探す

仕事探しのポイント2点目は、繁閑の差が激しくない仕事を探すことです。

双極性障害が悪化したり、再発したりするのは、残業のしすぎなどをきっかけとする生活リズムの乱れが大きく影響します。

そのため、年末などの特定の時期に忙しくなるなど、繁忙期と閑散期の差が激しい仕事だと、躁状態とうつ状態の波が激しくなる可能性があります。

また、繁閑の差が激しくなくても転勤や出張などの頻度が高い仕事だと、移動や環境変化に伴って生活リズムが乱れやすいためあまりオススメできません。

ポイント③障害への配慮が厚い職場かどうかを確認する

最後のポイントは、障害への配慮が厚い職場かどうかを確認することです。

2018年に改正障害者雇用促進法が適用され、障害者の法定雇用率が2.2%に引き上げられました。

それに伴い、コンプライアンスの一環として、事業者側でも障害のある人への配慮を厚くしているところが増えています。

実際に障害に配慮している職場かどうかを見分けるポイントは、2つあります。

  • 障害に関する研修制度が充実しているかどうか
  • 福利厚生制度が整備されているかどうか

障害やメンタルヘルスを重視している職場では、それに関連した研修制度を複数取り入れています。

こうした職場であれば、障害を開示しているかどうかを問わず、障害のある人にどのような配慮をすべきかを考慮していることが多いため、仕事が長続きしやすいでしょう。

また、福利厚生制度を確認するのも重要です。

家賃補助などの金銭的な面よりも休職制度や短時間勤務制度など、従業員が健康を害したときにフォローしてくれる制度があるかどうか、を確認してください。

仕事をしている双極性障害のある人の事例

日本うつ病学会双極性障害委員会は、仕事をしている双極性障害のある人19人の手記を公開しています。(参考:日本うつ病学会双極性障害委員会「仕事をしている双極性障害患者さんの手記」)

30代の専業主婦の人や、50代の男性会社員の人、公務員として働くの人などの手記も読むことができます。

双極性障害と診断されてからさまざまな紆余曲折を経験したことを、詳しく手記として残しており、中には工夫したことなども記載されています。

双極性障害と診断を受けて、これからどのように仕事と向き合えば良いのか不安がある人は、参考にしてみると良いでしょう。

参考

日本うつ病学会双極性障害委員会「仕事をしている双極性障害患者さんの手記

双極性障害のある人が利用できる支援制度5選

双極性障害のある人が利用できる支援制度は、以下の5つが考えられます。

  • 自立支援医療制度(精神通院医療)
  • 障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳)
  • 障害年金
  • 特別障害者手当
  • 心身障害者医療費助成制度

双極性障害のある人が利用できる支援制度については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

双極性障害のある人が利用できる支援機関6選

双極性障害のある人が利用できる支援機関は、以下の6つが考えられます。

  • 就労移行支援事業所
  • 精神保健福祉センター
  • 地域障害者職業センター
  • 障害者就業・生活支援センター
  • 地域若者サポートステーション(サポステ)
  • ハローワーク(公共職業安定所)

双極性障害のある人が利用できる支援機関については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。

まとめ:双極性障害でも上手に障害とつきあえれば仕事を続けられます

双極性障害のある人が仕事をするためには、病気を受け止めて、適切な予防措置を行うことが大切です。

また、あなた自身では気づかない変化を掴むためにも、家族や主治医、支援者といった周囲の人を頼りましょう。

このコラムが双極性障害の症状によって、仕事にっついて悩んでいるよるあなたの助けになれば幸いです。

よくある質問(1)

双極性障害とはなんですか?

双極性障害とは、気分が高揚する「躁」状態と、気分が落ち込む「うつ」状態を繰り返す精神障害の一種のことです。かつては「躁うつ病」という名前で知られていました。

詳細については、こちらで解説しています。

よくある質問(2)

私は双極性障害がありますが、仕事を続けたいです。

双極性障害のある人が仕事を続けるコツについては、以下が考えられます。

  • 医師や支援者の意見にきちんと耳を傾ける
  • 疾患を受け入れる
  • 体内時計を整える
  • できるだけ残業を避ける
  • 休暇取得日を月初めに決めておく
  • つらい状況を家族に共有する
  • 異動・転職を視野に入れる

詳細については、こちらで解説しています。

監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。

【著書ピックアップ】
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』

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翔泳社公式 【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)

【その他著書など(一部)】
学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧

【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)

うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。2024年10月現在、首都圏・関西に6校舎を展開しています。トップページはこちら→

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