就労移行支援 キズキビジネスカレッジ(KBC) 社会不安症(社会不安障害)でも働くことは可能? 向いてる仕事と働き続けるポイントを紹介

こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。
- 人と話すときに緊張が止まらない
- 職場でミスをしたらどうしようと焦る
- 会議で発言するだけで、動悸や吐き気が生じる
このような経験が続いていて、仕事がつらいと感じていませんか?
社会不安症(社会不安障害)のある人の中には、症状のつらさから「自分はもう働けないのかもしれない」と感じている人も少なくありません。
しかし、社会不安症があっても、自分の特性に合った仕事を選んだり、適切なサポートを活用したりすることで、無理なく働き続けることは十分に可能です。
このコラムでは、社会不安症の特徴や仕事で抱えやすい困りごと、向いてる仕事の特徴や具体例、避けたほうがよい仕事の特徴、長く働き続けるためのポイントについて解説します。
目次
社会不安症(社会不安障害)とは?
社会不安症(SAD:Social Anxiety Disorder)とは、人前や社会的な場面に強い不安や恐怖を感じる精神疾患のことです。
以前は社会不安障害や社会恐怖とも呼ばれていましたが、2018年に改訂されたDSM-5-TR(精神疾患の診断・統計マニュアル)の見直しにより、現在は「社会不安症」が正式な名称として使われるようになりました。
「人前で話すときに緊張する」「初対面の人と話すのが苦手」という経験は、多くの人にあるものです。しかし、社会不安症の場合その不安や恐怖が非常に強く、日常生活や仕事に大きな支障をきたすほどであることが特徴です。
具体的には、以下のような状況で強い不安や恐怖が生じます。
- 人前でのスピーチや発表
- 電話での対応
- 上司や権威のある人との会話
- 知らない人との会話や集まり
- 人に見られながら何かを行う
恐怖や不安から「また失敗したらどうしよう」「変に思われたらどうしよう」といった考えが頭を占領し、その場面を避けようとする行動(回避行動)につながることも少なくありません。
社会不安症は、適切な治療や支援によって症状が和らぐことがあります。まずは、自分の状態を正しく知ることが働き続けるための大切な第一歩です。(参考:医学書院『DSM-5-TR 精神疾患の分類と診断の手』)
社会不安症でも働くことは可能
社会不安症は、決して働けない障害ではありません。適切な治療や支援を活用しながら、自分に合った環境で活躍している人は多くいます。
社会不安症は、認知行動療法(CBT)や薬物療法によって症状が改善されることもあり、治療と仕事を両立している人も少なくありません。
また、近年はテレワークの普及や障害者雇用制度の整備が進み、社会不安症のある人が働きやすい環境は以前よりも広がっています。
大切なのは、自分のペースと特性に合った働き方を見つけることです。自分に合った仕事環境や、働き方を知ることがキャリアを継続していくためのポイントです。
社会不安症(社会不安障害)のある人が仕事で抱えやすい困りごと
この章では、社会不安症のある人が抱えやすい困りごとについて解説します。自分の経験と照らし合わせながら、読んでみてください。
困りごと①人からの視線や評価が気になる
社会不安症のある人は、「周囲から変に思われていないか」「自分の言動が評価されているのではないか」という意識が、人一倍強くなりやすい傾向があります。
職場で何気ない会話をしたときに、「相手を不快にさせたかもしれない」と気になり続けることも少なくないでしょう。また、上司や同僚からのフィードバックをひどく気にするあまり、業務に集中できなくなることもあります。
こうした人の目が気になるという感覚は、意志の力でコントロールしようとしても難しい場合があります。症状の1つとして認識しながら、適切な対処法を身につけることが大切です。
困りごと②会議やプレゼンなどで人前に出るのが怖い
社会不安症の症状が特に出やすいのが、人前に立って話す場面です。
会議での発言、プレゼンテーション、朝礼などの人前に出る場面が近づくにつれ、強い緊張や恐怖を感じやすくなります。場合によっては、動悸や発汗、震えなどの身体症状が現れることも。
その場を乗り越えたあとも、「あの発言は変だったかもしれない」「笑われていたのでは」と振り返り続けるケースも多く、精神的な消耗が続くことがあります。
困りごと③ミスを過剰に恐れやすい
社会不安症のある人の中には、「ミスをして周囲から責められたり、批判されたりするのでは」という恐怖が強く出る人もいます。
そのため、以下のようなことが起こりやすいのが特徴です。
- 仕事の完成度への不安から何度も確認を繰り返す
- ミスを恐れて業務を引き受けることを躊躇う
- 小さなミスをいつまでも引きずる
こうした傾向は、真面目さや責任感の裏返しでもあります。自分をだらしないと責める必要はありません。症状の影響として理解することが大切です。
社会不安症(社会不安障害)のある人に向いている仕事の特徴と具体例
この章では、社会不安症のある人に向いている仕事の特徴と具体例について解説します。
特徴①対人接触が少ない
社会不安症のある人にとって、人と関わる場面が少ない仕事は、働きやすい環境といえます。
自分のペースで業務に集中できて、不安を感じる場面も少ないため、力を発揮しやすいでしょう。具体的な職種としては、以下が挙げられます。
- プログラマー・システムエンジニア:コードを書く作業が中心で、1人で集中して取り組める時間が多い
- データ入力・事務処理:決まった業務をコツコツ進める仕事で、対人場面が比較的少ない
- イラストレーター・デザイナー:制作作業に集中できる時間が長く、コミュニケーションも比較的少なめ
- ライター・翻訳者・編集者:文章を書く、整える作業が中心で、やり取りの多くはテキストで完結する
自分の作業に集中できる時間が多いかどうかという視点で、仕事選びを進めるのがオススメです。
特徴②ルーティンワークが多い
毎日の業務内容が決まっているルーティンワークは、次に何をすればいいかわからないという不安が生じにくく、社会不安症のある人にとって取り組みやすい仕事です。
具体的な職種としては、以下が挙げられます。
- 経理・会計事務:月次・年次など決まったサイクルで業務が進む
- データ入力・検品作業:手順が明確で、一定のリズムで取り組める
- 図書館スタッフ:蔵書管理・貸出業務など、流れが決まった業務が多い
- 工場の製造・加工作業:決まった手順で作業を進めるため、見通しが立てやすい
業務の流れが決まっていると、予期せぬ場面への対応が少なくなり、精神的な負担が軽減されやすくなります。また、作業に慣れると自信がつき、安定して働き続けやすくなるのも利点です。
特徴③在宅勤務ができる
在宅勤務(テレワーク)は、通勤のストレスや職場での対人場面を大幅に減らせるため、社会不安症のある人にとって働きやすい環境の1つです。
在宅勤務に対応しやすい職種としては、以下が挙げられます。
- プログラマー・エンジニア:コードを書く作業が中心のため、自宅でも業務が完結しやすい
- ライター・翻訳者・編集者:文章の執筆・翻訳作業はパソコン1台で進められ、やり取りもテキストで完結することが多い
- データアナリスト・データ入力:データの集計・分析・入力作業はリモート環境でも取り組みやすい
- カスタマーサポート(チャット対応):電話ではなくチャットでの対応であれば、対面や通話の緊張が軽減しやすい
自宅という安心できる空間で業務に取り組むことで、症状が出にくくなる場合も少なくありません。また、Web会議などのオンラインコミュニケーションは、対面よりも緊張が和らぎやすいと感じる人もいます。
近年在宅勤務が可能な仕事は増えており、社会不安症のある人にとって選択肢が広がっているといえます。(参考:国土交通省「令和5年度テレワーク人口実態調査-調査結果(概要)-」)
社会不安症(社会不安障害)のある人は避けたほうがよい仕事の特徴
この章では、社会不安症のある人が負担を感じやすい仕事の特徴について解説します。
ただし、「避けたほうがよい」とはいえ、絶対に無理ということではありません。サポートや環境次第で対応できる場合もあるため、1つの参考としてご覧ください。
特徴①営業や接客などの対人業務がある
不特定多数の人と関わる営業・接客・受付などの仕事は、社会不安症のある人にとって症状が出やすい場面が多く、負担になりやすい傾向があります。
「うまく話せなかったらどうしよう」「相手からクレームを言われたら…」といった不安が常につきまとい、業務中も気持ちが休まりにくいかもしれません。
また、顧客との関係構築が評価に直結する職種では、人の目や評価への不安も強まりやすいです。
特徴②業務内容の変動が激しい
業務内容や担当案件が頻繁に変わる仕事、急な対応が求められる仕事は、次に何が起こるかわからないため、不安が高まりやすい特徴があります。そのため、社会不安症のある人には負担かもしれません。
見通しが立てにくい環境では、緊張や不安が慢性的に続くことがあり、心身の疲労につながりやすいです。変化への対応を繰り返すうちに、疲弊する人もいるでしょう。
特徴③チームワークが強く求められる
チームでの密な連携や、常に誰かと一緒に業務を進めることが前提の仕事は、プレッシャーを感じやすいことがあります。
「自分のせいでチームに迷惑をかけるのでは」「うまくコミュニケーションが取れないと思われているのでは」といった考えが強くなると、本来の力をうまく発揮できません。
チームワークが求められる環境でも、役割が明確で自分の担当業務がはっきりしている職場であれば、負担が軽減される場合もあります。
仕事を選ぶ際には、チーム内での自分の役割がどの程度明確かを事前に確認しておくことが、ミスマッチ防止につながります。
社会不安症(社会不安障害)のある人が働き続けるためのポイント
社会不安症のある人は、仕事選びと同時に働き続けるための工夫も大切です。
この章では、社会不安症のある人が長く安定して働き続けるためのポイントについて解説します。できそうなことから、少しずつ試してみてください。
ポイント①リラックス法を身につける
緊張や不安を感じたときに、自分を落ち着かせる方法を持っておくと、社会不安症のある人が働き続けるうえでとても役立ちます。
代表的なリラックス法には、以下のようなものがあります。
- 腹式呼吸・深呼吸:ゆっくりと息を吸って吐くことで、体に酸素を送り込み、緊張状態を和らげる方法
- 漸進性筋弛緩法:体の各部位に力を入れてから一気に抜く動作を繰り返すことで、体の緊張をほぐす方法
- マインドフルネス:「今この瞬間」に意識を向け、不安な考えから少し距離を置く方法
なかでも、呼吸法は会議前やプレゼン前など、緊張する場面の直前にも比較的取り組みやすい方法です。いくつか試してみて、自分にとって続けやすいものを見つけるとよいでしょう。
ポイント②生活習慣を整える
生活習慣の乱れは、不安症状を悪化させる要因になることがあります。心身の状態を安定させるためにも、生活習慣を整えることが大切です。
できる限り十分な睡眠を取り、毎日同じ時間に寝起きするリズムを作ることを心がけましょう。また、栄養バランスの取れた食事を取り、日の光を浴びる習慣を取り入れることで、変化を感じる人もいます。
ただし、完璧にこなすことを目指すのではなく、今より少し整えるという意識で取り組むことが大切です。小さな積み重ねが、働き続けるための土台になります。
ポイント③負担の少ない通勤方法を選ぶ
社会不安症のある人にとって、満員電車や混雑した場所での通勤は、職場に着く前から心身の消耗につながることがあります。
通勤方法を工夫することも、働き続けるための大切なポイントです。例えば、以下のような方法が挙げられます。
- 自転車や徒歩通勤に切り替える:公共交通機関の混雑を避けられるうえ、適度な運動につながる
- 職場の近くに住む:引っ越しが可能な場合、通勤時間そのものを短縮できる
- 時差通勤を活用する:ラッシュの時間帯を避けて出勤・退勤することで、混雑のストレスを軽減できる
- 在宅勤務の日を増やす:週に数日だけでも在宅勤務にすることで、通勤の負担を減らせる
また、職場に相談することで、通勤に関する配慮を得られる場合もあります。時差通勤やテレワークを認めている職場も増えているため、まずは相談してみるとよいでしょう。
ポイント④理解のある職場環境を選ぶ
社会不安症への理解がある職場かどうかは、長く働き続けられるかどうかに大きく影響します。
就職や転職の際には、職場の雰囲気や制度面もよく確認することが大切です。
職場選びの段階では、面接時に「緊張しやすい場面がある」「人前での発表が苦手」といった点をあらかじめ伝えておくことで、入社後に配慮を受けやすくなる場合があります。
すべてを詳しく話す必要はありませんが、自分が働きやすくなるために必要な配慮をできる範囲で伝えておくとよいでしょう。
また、障害者雇用枠(オープン就労)の利用は、職場からの合理的配慮を正式に受けられる選択です。
時差通勤や在宅勤務の許可、会議での発言方法への配慮など、働きやすさに直結するサポートを得やすくなるのが利点です。
ポイント⑤治療を継続する
社会不安症は、適切な治療を続けることで症状が和らぎ、働きやすくなります。治療の主な選択肢としては、認知行動療法(CBT)や薬物療法があります。
認知行動療法は、不安を引き起こす思考のクセに気づき、少しずつ修正していく練習を重ねる方法です。
薬物療法では、症状そのものを和らげることで、仕事や日常生活に取り組む余裕が生まれやすくなります。
仕事が安定してきたときほど、「もう治療しなくても大丈夫かも」と感じることがあるかもしれません。
しかし、自己判断で通院や服薬をやめることは、症状の再燃につながる可能性があります。変化を感じたときは、医師に相談しながら治療の方針を決めることが大切です。
まとめ:社会不安症(社会不安障害)のある人も働き続けることは可能
社会不安症があると、職場での不安や緊張がつらく感じることもあるかもしれません。
しかし、自分の特性に合った仕事環境を選び、適切な治療やサポートを活用することで、安定して働き続けることは十分に可能です。
1人で抱え込まず、使えるサポートや支援をうまく活用しながら、自分らしい働き方を探していきましょう。
よくある質問(1)
- 社会不安症のある人には、どのような仕事が向いていますか?
よくある質問(2)
- 社会不安症のある人が働き続けるためには、どのような工夫が必要ですか?
監修キズキ代表 安田祐輔
サイト
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