社会不安障害(SAD)のある人に向いてる仕事 仕事を続けるためのコツを解説
こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。
対人関係への不安からコミュニケーションに恐怖を抱くようになる社会不安障害(SAD)。
「向いてる仕事はないのではないか」と悩んでいる社会不安障害(SAD)のあなたにも、マッチする仕事は必ずあります。
このコラムでは、社会不安障害(SAD)のある人に向けて、社会不安障害(SAD)のある人に向いてる仕事や向いてない仕事、仕事上で抱えやすい悩み、仕事に与える影響、仕事を探す際のポイント、仕事を続けるためのコツについて解説します。あわせて、社会不安障害(SAD)のある人が利用できる支援機関を紹介します。
私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、社会不安障害(SAD)のある人のための就労移行支援事業所です。
- 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
- 通常52%の就職率が、KBCでは約83%
- 通常約1年半かかる就職内定が、KBCでは平均4ヶ月
神田・新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。
目次
社会不安障害(SAD)のある人に向いてる仕事・職場環境
社会不安障害(SAD)のある人でも、自分に向いてる仕事を見つけることができます。
この章では、社会不安障害(SAD)のある人に向いてる仕事・職場環境について解説します。
ここで解説する仕事・職場環境は、社会不安障害(SAD)のある人でも比較的ストレスを感じにくく、自分のペースで働けるものが多いはずです。自分の得意な分野や興味のある分野を考慮しながら、あなたの症状にあわせてを選ぶと良いでしょう。
社会不安障害(SAD)のある人に向いてるアルバイトについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
仕事①対人接触が少ない仕事
他人と直接接触する機会が少ない仕事は、社会不安障害(SAD)のある人に向いています。緊張や不安を感じる場面を減らすことができるためです。
具体的には、以下の仕事が挙げられます。
- 研究職:実験やデータ分析など、一人で集中できる作業が多い
- エンジニア:プログラミングやシステム開発など、個別の作業が中心
- 翻訳家:文書を翻訳する仕事で、他人と直接関わることが少ない
- 清掃員:建物の清掃業務など、一人で行うことが多い
- 警備員:建物や施設の監視業務など、対人接触が少ない業務が多い
仕事②定型的な仕事
イレギュラーな対応が少なく、予測可能な作業が多い仕事は安心感を与えます。決まった手順で進められる業務は、ストレスを感じにくい傾向があります。
具体的には、以下の仕事が挙げられます。
- 事務職:データ入力や書類整理など、決まった手順で行う業務
- 司書:図書館での書籍管理や貸出業務など、予測可能な作業が多い
- 工場勤務:製造ラインでの作業など、同じ手順で進める業務
仕事③在宅勤務がしやすい仕事
自宅で仕事をすることで、自分のペースで働けるため、精神的な負担が軽減されます。自分の環境でリラックスしながら作業を進められることが大切です。
具体的には、以下の仕事が挙げられます。
- Webデザイナー:Webサイトのデザイン作業を自宅で行う
- Webライター:記事やコンテンツの執筆を自宅で行う
- 動画編集:映像編集の作業を自宅で行う
- イラストレーター:イラストやデザインの制作を自宅で行う
- 個人事業主・フリーランス:自宅で自分のペースで仕事を進められる
社会不安障害(SAD)のある人に向いてない仕事・職場環境
社会不安障害(SAD)のある人には、避けた方が良い仕事や職場環境もあります。
この章では、社会不安障害(SAD)のある人に向いてない仕事・職場環境について解説します。
ここで解説する仕事・職場環境は、社会不安障害(SAD)のある人にとって強いストレスを感じる場面が多く、適応が難しいことがあります。
解説した仕事で働く場合、サポートや支援体制が整っているかどうかを十分確認しましょう。
仕事①対人接触が多い仕事
他人との直接的なコミュニケーションが頻繁に求められる仕事は、強い不安や緊張を引き起こしやすくなります。
具体的には、以下の仕事が挙げられます。
- 営業職:新規顧客との交渉や提案など、対人コミュニケーションが中心
- 接客業:レストランやカフェなどでの接客業務
- 販売員:店舗での顧客対応や商品説明など
仕事②臨機応変な対応を求められる仕事
突発的な事態に対処しなければならない仕事は、ストレスが高く、不安を増幅させることがあります。
具体的には、以下の仕事が挙げられます。
- 教師:生徒への指導や保護者対応など、予測不能な状況が多い
- 秘書:上司のスケジュール管理や臨時の対応が求められる
- 旅行添乗員:ツアーの進行管理や顧客対応など、柔軟な対応が必要
仕事③来客や取引先とのコミュニケーションが多い仕事
外部の人とのやり取りが多い仕事は、緊張を感じる場面が多くなります。
具体的には、以下の仕事が挙げられます。
- コールセンタースタッフ:電話での顧客対応やクレーム処理など
- 美容師:顧客との対面でのコミュニケーションが中心
仕事④異動や転勤が多い仕事
新しい環境や人間関係に頻繁に適応する必要がある仕事は、大きなストレスを伴います。
具体的には、以下の仕事が挙げられます。
- 総合職:頻繁に異動や転勤がある職種
- 国際業務担当:海外出張や駐在が多い職種
社会不安障害(SAD)のある人が仕事上で抱えやすい悩み9選
この章では、社会不安障害(SAD)のある人が仕事上で抱えやすい悩みについて解説します。
転じて、以下の悩みが少ない仕事であれば、社会不安障害(SAD)のある人に向いてる仕事である可能性は高いでしょう。
悩み①電話対応が怖い
社会不安障害(SAD)のある人の場合、電話越しでも、相手の反応や評価が気になり、緊張することがあります。電話が鳴るたびに、強い不安を感じます。
悩み②窓口応対が怖い
対面での窓口応対が苦手という社会不安障害(SAD)のある人もいます。相手の顔を見て話すことや、その場での対応が求められ、強いプレッシャーを感じます。
悩み③会議で緊張しすぎる
会議など、多くの人前で発言する場面で極度に緊張することも悩みのひとつです。発言の順番が回ってくることを考えるだけで心臓がドキドキし、声が震えたり、頭が真っ白になったりします。
悩み④通勤手段が限られる
社会不安障害(SAD)のある人は、混雑した電車や、バスなどの公共交通機関を利用することが苦痛になることもあります。
満員電車での他人との接触や視線が気になり、通勤自体が大きなストレスとなります。
悩み⑤人前での口頭説明ができない
プレゼンテーションや報告など、人前で口頭説明をすることが非常に難しいケースもあります。
視線を感じるだけで緊張が高まり、言葉が出なくなったり、声が震えたりします。
悩み⑥視線を向けられるだけで声が震える
他人からの視線が気になりすぎて、話すことが難しくなります。特に、注目される場面では声が震えることもよくあります。
悩み⑦異動や転勤で慣れない人と話すのが怖い
新しい環境や慣れない人とのコミュニケーションに対して強い不安を感じます。異動や転勤で新しい職場に適応することが難しく、ストレスが増大します。
悩み⑧周囲の人に症状を理解してもらえない
同僚や上司など職場の人に社会不安障害(SAD)の症状を理解してもらえないことが多く、孤立感を覚えます。
理解が得られないことで、さらに不安が増してしまいます。
悩み⑨人に相談すること自体に抵抗感がある
困ったときに助けを求めること自体が難しい人も多くいます。相談することに対して強い抵抗を感じ、結果的に問題を一人で抱え込むこともあります。
社会不安障害(SAD)が仕事に与える影響3選
この章では、社会不安障害(SAD)が仕事に与える影響について解説します。
影響①生産性の低下
電話が鳴るたびに強い不安を感じるため、電話に出るのを避けるようになり、業務の進行が遅れることがあります。
また、会議で発言することが難しく、意見を伝えられないことでプロジェクトの進行に支障をきたすこともあります。
影響②コミュニケーション不足
窓口応対への恐れなどによって、職場の人とのコミュニケーションが円滑に進まないことがあります。
そのため、誤解や情報の伝達ミスが発生しやすくなり、業務に支障をきたすことがあります。
影響③転職や離職のリスク
異動や転勤による新しい環境での適応が難しく、結果的に退職を選択せざるを得ないことがあります。
社会不安障害(SAD)の症状が強く、適切なサポートが得られない場合には、離職のリスクも高まります。
こうした状況は心身に強い負担を与えます。
仕事中の緊張やストレスが蓄積することで、精神的な健康だけでなく、身体的な健康にも影響をおよぼす可能性があります。
働くのが辛いと感じたら、早めに職場や医師、専門家、支援機関に相談し、必要なサポートを受けられるよう相談してみましょう。
社会不安障害(SAD)のある人が仕事を探す際の3つのポイント
この章では、社会不安障害(SAD)のある人が仕事を探す際のポイントについて解説します。(参考:厚生労働省「障害者雇用対策」、高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者の雇用支援」)
ポイント①待遇よりも長く働けられるかを重視する
障害者職業総合センターの報告によると、一般企業に就職した精神障害者の職場定着率は、就職後1年時点でおよそ半数です。(参考:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者の就業状況等に関する調査研究」)
社会不安障害(SAD)のある人も、給与や福利厚生制度などの待遇が良いあまり、「つらくても我慢すれば問題ない」と考えることがあるかもしれません。
しかし、症状を悪化させないためには、長く働き続けられるかどうかを重視することがオススメです。
特に、業務内容や職場環境や通勤経路などは、必ず前もって調べておくことが大切です。また、短時間勤務制度や在宅勤務制度があるかなど、調子にあわせて柔軟な働き方を選べるかもチェックしておきましょう。
ポイント②支援機関に相談する
社会不安障害(SAD)のある人には、支援機関に相談することをオススメします。
社会不安障害(SAD)のある人の中には、自分の症状について相談すること自体に抵抗がある人もいます。
しかし、社会不安障害(SAD)についての相談を受け付けている支援機関は、あなたの症状を理解しています。メールなど、無理のない方法で相談できるはずです。
支援機関に相談することで、向いてる仕事を見つけやすくなることはもちろん、日々の生活も送りやすくなります。
複数の機関で話を聞いてみて、あなたに合いそうなところ、あなたの希望する仕事があるところを見つけましょう。
社会不安障害(SAD)のある人が利用できる支援機関について、こちらで解説します。
ポイント③雇用枠の変更を検討してみる
社会不安障害(SAD)がある場合、雇用枠を障害者雇用に切り替えるという方法があります。
障害者雇用とは、障害のある人を対象とした雇用枠のことです。障害の特徴や内容に合わせて安心して働けるようにするため、いわゆる一般雇用とは就労条件が異なります。
一般雇用とは、障害者雇用以外の雇用枠のことです。障害の有無にかかわらず誰でも応募することが可能です。
障害者雇用では、社会不安障害(SAD)の特性や程度に応じて業務内容や業務量への配慮を得ながら働くことができます。
一方で、障害者雇用は一般雇用に比べると、給与水準や昇進などのキャリア面において待遇が低い傾向にあります。
障害者雇用を選択肢に入れた就職活動では、以下のように柔軟な求人探し・エントリーが可能です。
- 障害者雇用の求人に限ってエントリーする
- 基本的には障害者雇用の求人にエントリーしながら、向いていそうな一般雇用の求人があればそれにもエントリーする
- 基本的には一般雇用の求人にエントリーしながら、向いていそうな障害者雇用の求人があればそれにもエントリーする
障害者雇用については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
社会不安障害(SAD)のある人が仕事を続けるための5つのコツ
この章では、社会不安障害(SAD)のある人が仕事を続けるためのコツについて解説します。
コツ①カウンセリングを受ける
社会不安障害(SAD)のある人が長く働き続けるためには、カウンセラーをはじめとした専門家のサポートを継続的に受けることが重要です。専門家と定期的に話をすることで、自分の不安や悩みを整理し、対処方法を学ぶことができます。
社会不安障害(SAD)のある人の場合、症状に関連して、他人に話すことが苦手な人もいます。しかし、社会不安障害(SAD)に関する知識があるカウンセラーなら、あなたの症状にも寄り添ってくれるはずです。
また、カウンセリングには、あなたの対人不安や緊張を和らげながら、コミュニケーションに慣れさせる効果も期待できます。職場への相談の仕方についてもアドバイスをくれるはずです。ぜひ、カウンセリングを受けてみてください。
コツ②上司や同僚の理解を得る
上司や同僚などの職場の人の理解を得ることも、大切なポイントです。
信頼できる上司や同僚などの職場の人に、社会不安障害(SAD)があることを説明し、どのような場面で不安を感じるかを伝えましょう。普段から症状について情報を共有することで協力を得やすくなり、必要なサポートを受けやすくなります。
また、職場の人から受けいれられているという安心感が得られれば、不安を軽減できる可能性もあります。
必要に応じた短時間勤務への切り替えなどもしやすくなり、より自分に適した働き方ができるようになります。
コツ③自分なりのリラックスの方法を見つける
社会不安障害(SAD)のある人は、リラックスの方法を身につけることが大切です。リラックスできる時間や方法を見つけることで、日々のストレスを軽減し、心のバランスを保つことができます。
リラックスの方法は、人それぞれ異なります。散歩やストレッチなど、自分が実践しやすい方法を探してみましょう。
コツ④負担の少ない通勤経路や時間帯を選ぶ
社会不安障害(SAD)がある場合、電車・バスなどの交通機関の長時間乗車や、自家用車での通勤は、避けた方がよいでしょう。
こちらで解説したとおり、一部の公共交通機関を利用することが苦痛になることもあります。
また、社会不安障害(SAD)のある人にとっては、自家用車は一人でいられる空間ではなく、他の車や歩行者から緊張を受けることがあります。加えて、自分で運転をすること自体に緊張する人が多いようです。そのため、自家用車での通勤も、あまりオススメできないと言われています。
できるだけ徒歩や自転車での通勤を選択するのが無難です。とはいえ、勤務地によってはやむを得ず交通機関に頼らなくてはならない場合もありますよね。その場合、以下の対策を講じてみてください。
- 混雑しない時間帯や車両を調べる
- 何かあったときに休憩の時間を設けられるよう、可能な範囲で早い時間帯の電車に乗る
- 利用する路線を変更する
なお、通勤時の路線を変更する際、就業規則に「交通費は最短経路にて支給」などと定められている場合、上司や人事を担当する部署に相談する必要があります。その場合は産業医なども交えた上で相談することがオススメです。
産業医とは、労働者の健康管理に関して専門的な立場から助言や指導を行う医師のことです。(参考:厚生労働省「産業医について」)
産業医は労働安全衛生法に基づいて、常時50人以上の労働者を使用する事業所に1人以上、3000人超の事業所では2人以上が配置されています。診察にあたって料金は発生しません。
また、リモートワークや在宅勤務が可能な場合は、それを利用することも考えましょう。在宅勤務は、通勤自体を避けることができるため、最もストレスの少ない選択肢です。
コツ⑤生活習慣を整える
規則正しい生活を送ることで、心身の健康を保ち、不安やストレスを軽減することができます。
十分な睡眠時間を確保し、食事のバランスを考えるなど、規則正しい生活を心がけましょう。
社会不安障害(SAD)のある人が利用できる支援機関7選
この章では、社会不安障害のある人が利用できる支援機関を紹介します。
支援機関①就労移行支援事業所
就労移行支援とは、一般企業などへの就職を目指す、病気や障害のある方向けに、「障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)」に基づいて行われる福祉サービスのことです。(参考:e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」)
就労移行支援事業所では、体調管理の方法、職場でのコミュニケーションの基礎スキル、就職に必要な専門スキルなどを学ぶことができます。
さらには、実際の就職活動でのアドバイス、就職後の職場定着支援も含む、総合的な就労支援を受けることが可能です。
就労移行支援事業所は各地にあります。私たち、キズキビジネスカレッジ(KBC)もその一つです。それぞれ特徴が異なるため、気になるところがあれば問い合わせてみてください。
就労移行支援事業所については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
支援機関②精神保健福祉センター
精神保健福祉センターとは、精神障害のある人のサポートを目的とした支援機関のことです。(参考:東京都福祉保健局「精神保健福祉センターとは」)
精神疾患に関連する悩みの相談や社会に適応するための指導と援助を行っています。
支援機関③地域障害者職業センター
地域障害者職業センターとは、病気や障害のある人に対して、職業評価や職業指導、職業準備訓練、職場適応援助などの専門的な職業リハビリテーションを提供する支援機関のことです。
(参考:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「地域障害者職業センター」、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「地域障害者職業センターによる支援」、厚生労働省「地域障害者職業センターの概要」)
ハローワークや医療・福祉機関と連携しているため、仕事に関する相談や訓練、復職するためのサポートを行っています。
病気や障害に悩む当事者だけでなく、障害のある人を雇用する事業所に対して、雇用管理に関する相談・援助も行っています。
支援機関④障害者就業・生活支援センター
障害者就業・生活支援センターとは、雇用や保健、福祉、教育に関する関係機関と連携し、障害のある人の雇用の促進・安定を目的とした一体的な支援を行っている支援機関のことです。
(参考:厚生労働省「障害者雇用促進法制の整備について」、厚生労働省「障害者就業・生活支援センターについて」)
障害のある人の就職活動の支援や求人の紹介、職場定着のためのサポートなどを行います。
就労面だけでなく、金銭管理などの経済面や生活面のことまで、日常および地域生活に関する支援も行っています。
支援機関⑤障害者就労支援センター
障害者就労支援センターとは、障害のある人の就労機会の拡大を図るため、自治体が設置する支援機関のことです。
障害のある人の就労全般に関する相談や、就職に向けたサポート、ハローワークへの同行などの支援を行っています。
支援機関⑥ハローワーク(公共職業安定所)
ハローワーク(公共職業安定所)とは、仕事を探している人に対して、就労に関連するサポートを行っている支援機関のことです。
(参考:東京労働局「東京ハローワーク」、厚生労働省「こころの健康サポートガイド」、厚生労働省「ハローワークにおける障害者の就労支援」)
主に職業相談や職業訓練、求人情報の提示などを行っており、具体的な支援内容は事業所によって異なりますが、一般的には以下のような幅広いサポートを行います。
- 仕事で活かせる知識・技能の習得
- 仕事や私生活で活かせるメンタル面のサポート
- 「どのような仕事や働き方が向いてるのか」のアドバイス
- 転職先候補の業務や雰囲気を体験できる「職場体験実習(インターン)」の紹介
- 履歴書・経歴書・エントリーシートの作成支援
- 面接対策
- 転職後の職場定着支援
支援機関⑦転職エージェント
転職エージェントとは、転職を希望する人をサポートする人材紹介サービスのことです。
現代の仕事探しにおいて、転職エージェントの利用は一般的な方法です。民間の転職エージェントも利用できる支援機関と言えます。
近年では、病気や障害のある人に特化した転職支援を行う転職エージェントも増加しています。
ご自身に合いそうな転職エージェントを並行的に利用してみましょう。
社会不安障害(SAD)とは?
この章では、社会不安障害(SAD)の概要、種類や症状、原因などについて解説します。(参考:American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、MSDマニュアル家庭版「社交恐怖症」)
社会不安障害(SAD)の概要
社会不安障害(Social Anxiety Disorder、SAD)とは、日常的な社交の場面などで人から注目されることに対して強い恐怖や不安を感じることで、人前で話すことや他人と接することを恐れ、日常生活や仕事に支障をきたす障害のことです。一般的に、社交不安障害や社会恐怖症、社交恐怖症とも呼ばれます。(参考:American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、MSDマニュアル家庭版「社交恐怖症」)
社会不安障害(SAD)には、以下の種類があります。
以上の症状は単独で現れることもあれば、複数の症状が重なることもあります。
社会不安障害(SAD)は、思春期に発症することが多いと言われていますが、大人になっても続くことがあります。
なお、社会不安障害(SAD)は、適切な治療を受けることで症状を改善することが可能です。早期に専門の医師による治療や専門家や支援機関によるサポートを受けることで、日常生活や仕事での困難を軽減することができます。
社会不安障害(SAD)の症状
社会不安障害(SAD)のある人は、以下のような状況で極度の緊張・恐怖・不安を感じます。
- 初対面の人と話す
- 集団の中で自分の意見を述べる
- 他人からの評価を受ける
社会不安障害(SAD)の具体的な症状としては、以下が挙げられます。
- 会話中に目を合わせられない
- 手足が震える
- 声が震える
- 顔が赤くなる
- 心臓がドキドキする
- 汗をかく
- 言葉が詰まる
- 息苦しくなる
これらの症状は、社交的な場面を避けたくなるほど強くなる傾向があります。
社会不安障害(SAD)の種類①対人恐怖症
対人恐怖症とは、他人と接すること自体に強い恐怖や不安を感じる障害のことです。この恐怖は、家族や友人などの周囲の人や、同僚や上司などの職場の人との接触でも現れます。
具体的な症状としては、以下が挙げられます。
- 会話中に目を合わせられない
- 手足が震える
- 声が震える
- 顔が赤くなる
社会不安障害(SAD)の種類②赤面恐怖症
赤面恐怖症とは、人前で顔が赤くなることに対して強い恐怖を感じる障害のことです。
具体的な症状としては、以下が挙げられます。
- 顔が赤くなる
- 心臓がドキドキする
- 汗をかく
- 手足が震える
顔が赤くなること自体よりも、赤面することで他人にどう思われるかを過度に気にすることが、心理的な恐怖につながります。顔が赤くなることを極度に恐れ、その結果として対人場面を避けるようになる のです。
社会不安障害(SAD)の種類③発汗恐怖症
発汗恐怖症とは、人前で汗をかくことに対して強い恐怖を感じる障害のことです。
特に、他人に汗をかいている姿を見られることに恐怖を感じます。
その他の症状としては、以下が挙げられます。
- 過剰に汗をかく
- 心臓がドキドキする
- 手足が震える
- 息苦しくなる
社会不安障害(SAD)の原因
社会不安障害(SAD)の原因は、遺伝的要因・環境的要因・心理的要因が複雑に絡み合っているとされています。
環境的には、幼少期のいじめや虐待、親との関係などのストレスが影響すると言われています。他人からの評価に過敏でネガティブな自己評価を持つ傾向が、不安や恐怖を引き起こすこともあります。
また、脳の神経伝達物質であるセロトニンやドーパミンの不均衡や、扁桃体の過剰な反応も原因のひとつとされています。
社会不安障害(SAD)の診断基準
アメリカ精神医学会が定めた精神障害の診察基準『DSM-5』によると、社会不安障害(SAD)の診断基準は以下のとおりです。(参考:American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』)
- 他者の注視を浴びる可能性のある1つ以上の社交場面に対する、著しい恐怖または不安。例として、社交的なやりとり(例:雑談すること、よく知らない人に会うこと)、見られること(例:食べたり飲んだりすること)、他者の前で何らかの動作をすること(例:談話をすること)が含まれる(注:子どもの場合、その不安は成人との交流だけでなく、仲間達との状況でも起きるものでなければならない)
- その人は、ある振る舞いをするか、または不安症状を見せることが、否定的な評価を受けることになると恐れている(すなわち、恥をかいたり恥ずかしい思いをするだろう、拒絶されたり、他者の迷惑になるだろう)
- その社交的状況はほとんど常に恐怖または不安を誘発する(注:子どもの場合、泣く、かんしゃく、凍りつく、縮みあがる、または、社交的状況で話せないという形で、その恐怖または不安が表現されることがある)
- その社交的状況は回避され、または、強い恐怖または不安を感じながら耐え忍ばれる
- その恐怖または不安は、その社交的状況がもたらす現実の危険や、その社会文化的背景に釣り合わない
- その恐怖、不安、または回避は持続的であり、典型的には6カ月以上続く
- その恐怖、不安、または回避は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている
- その恐怖、不安、または回避は、物質(例:乱用薬物、医療品)または他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない
- その恐怖、不安、または回避は、パニック症、醜形恐怖症、自閉スペクトラム症といった他の精神疾患の症状では、うまく説明されない
- 他の医学的疾患(例:パーキンソン病、肥満、熱傷や負傷による醜形)が存在している場合、その恐怖、不安、または回避は、明らかに医学的疾患とは無関係または過剰である
なお、社会不安障害(SAD)の診断は医師だけが可能です。
紹介した症状があると自分で思っている場合でも、必ずしも、社会不安障害(SAD)であるとは限りません。
自己判断で「自分は社会不安障害(SAD)だ」と判断すると、正しい治療が受けられなくなる危険があります。
心身の状況などに不安があるときは、適切な治療を受けるために医療機関に行きましょう。
社会不安障害(SAD)の治療法
社会不安障害(SAD)の治療法には、主に3つの方法があります。
- 曝露(ばくろ)療法
- 認知行動療法
- 抗うつ薬、通常は選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)
通常、治療法としては曝露療法が有効とされますが、これは容易な方法ではありません。曝露療法とは、例えば「上司の前で発言することを恐れている人が、その上司の前で繰り返し話す練習をする」といった方法だからです。
こうした場合、本の読み聞かせ活動に参加するなど、代わりとなる状態で練習を重ねることもあります。
認知行動療法では、以下のようなことを行います。
- リラクゼーション法を使用する
- 不安等のきっかけとなる思考や行動のパターンを特定する
- そうしたパターンを調整する
- 自分の行動を適切な方向に変化させる
また、SSRIなどの抗うつ薬とベンゾジアゼピン系薬剤などの抗不安薬の服用も効果があります。<
いずれの場合も、早期に適切な治療を受けることが、症状の改善につながります。まずは医師の診断を受けましょう。/p>
まとめ:マッチする可能性のある仕事はたくさんあります
社会不安障害(SAD)のある人には、定型業務や在宅勤務の多い仕事など、実はマッチする可能性のある仕事はたくさんあります。
社会不安障害(SAD)の症状で仕事に悩んでいるという人は、ぜひ、症状に詳しい医師や専門家、支援機関に相談してみてください。
このコラムが、少しでも社会不安障害(SAD)のある人の助けになれば幸いです。
社会不安障害(SAD)とはなんですか?
社会不安障害(SAD)とは、日常的な社交の場面などで人から注目されることに対して強い恐怖や不安を感じることで、人前で話すことや他人と接することを恐れ、日常生活や仕事に支障をきたす障害のことです。
詳細については、こちらで解説しています。
社会不安障害(SAD)のある私に向いてる仕事は何ですか?
監修キズキ代表 安田祐輔
発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。
【著書ピックアップ】
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』
Amazon
翔泳社公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)
【その他著書など(一部)】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)
うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。2024年10月現在、首都圏・関西に6校舎を展開しています。トップページはこちら→