大人の起立性調節障害に悩むあなたへ 種類や原因、予防法を詳しく解説

こんにちは。キズキビジネスカレッジ(KBC)です。
このコラムを読んでいるあなたは、起立性調節障害に悩みを抱えているのではないでしょうか?
起立性調節障害は思春期の子どもがなりやすいイメージが強いです。しかし、大人でも起立性調節障害の症状が見られる場合があります。
起立性調節障害を予防するには原因を把握し、日常生活を改善していくことが必要です。
このコラムでは、起立性調節障害の症状や種類、起立性調節障害になる原因や予防法について解説します。
ほんの少しあなたの行動を変えるだけで、症状が軽減されるかもしれません。
ぜひ最後まで読んでください。
起立性調節障害にお悩みのあなたへ
キズキビジネスカレッジに相談してみませんか?
- 就職率
- 約83%
など
- 就職まで
- 平均4ヶ月
など
- 初任給
- 38万円
など
相談・見学・資料請求は無料です!
入力約1分。お気軽にお問い合わせください。
目次
起立性調節障害とは?

起立性調節障害(OD、Orthostatic Dysregulation)とは、自律神経である交感神経と副交感神経の機能が低下することで発生する血行不良に伴い、さまざまな症状が引き起こされる病気のことです。(参考:一般社団法人 日本小児心身医学会「起立性調節障害(OD)」 一般社団法人 起立性調節障害改善協会「起立性調節障害とは?子ども・大人別に特徴を解説」)
起立性調節障害の具体的な症状としては、以下のようなものが挙げられます。(参考:一般社団法人 日本小児心身医学会「(1)起立性調節障害(OD)」、つだ小児科クリニック「起立性調節障害 OD (自律神経失調症)」、恩賜財団済生会「起立性調節障害」)
- 朝起き上がれなくなる
- 頭痛がする
- 立ちくらみがする
- 倦怠感がある
- 食欲がなくなる
- 動悸や息切れがする
- 失神発作を起こす
- 乗り物酔いする
- 顔色が優れない、青白い
大人でも起立性調節障害を発症する可能性がある
起立性調節障害は思春期の子どもに多い病気ですが、大人でも発症することがあります。
仕事のプレッシャーや人間関係などのストレスが続くと、自律神経のバランスが崩れやすいです。
また、睡眠不足、不規則な食事、運動不足などの生活習慣の乱れ、加齢による自律神経の低下により、起立性調節障害が引き起こされる可能性があります。
大人になってから起立性調節障害を発症すると、仕事に支障が出たり、家事や育児をしんどいと感じたりします。
また、家族やパートナーの理解を得られず、関係が悪化したり、慢性的な体調不良で心の不調を引き起こしたりする可能性も否定できません。
大人の起立性調節障害は、見た目にわかりにくく、甘えと誤解されやすいです。
仕事や家族といった社会的責任を重く受け止め、症状をごまかしがちにもなります。
本人だけで抱え込まず、医療・職場・家庭の理解を得ることが大切です。
起立性調節障害の種類
この章では、起立性調節障害の種類について解説します。(参考:社会福祉法人済生会「子どもに起こりやすい起立性調節障害」)
種類①起立直後性低血圧

起立直後に血圧が大きく低下し、回復が遅れるタイプです。
主な症状は、立ちくらみやめまい、失神などで、起床時や入浴時などに起こりやすいとされています。
種類②体位性頻脈症候群
起立時に血圧の低下はみられませんが、心拍数が異常に増加し、その回復が遅いタイプです。
動悸や冷や汗、息切れ、めまいなどが主な症状です。
種類③血管迷走神経性失神

起立中に急激な血圧低下が生じて失神するタイプです。
顔面蒼白や冷や汗、脈が遅くなるなどが見られ、場合によってはけいれんや心停止に至ることもあります。
種類④遷延性起立性低血圧
起立状態が長く続くことで徐々に血圧が低下するタイプです。
動悸や倦怠感、頭痛、最終的には失神に至ることもあります。
種類⑤脳血流低下型

脳血流低下型は、起立性調節障害の新しいタイプの一つです。
起立時に血圧や心拍数の変動は正常範囲内であるにもかかわらず、脳への血流だけが低下する点が特徴です。
種類⑥過剰反応型
過剰反応型も起立性調節障害の新しいタイプです。
起立直後に血圧が一時的に異常な高値を示すのが特徴です。
起立性調節障害の原因と発症のきっかけ
この章では、起立性調節障害の原因と発症のきっかけについて解説します。(参考:一般社団法人小児心身医学会「起立性調節障害」、田中大介『やさしくわかる子どもの起立性調節障害』)
原因①自律神経の機能低下による血圧の低下

起立性調節障害の最も代表的な原因が、自律神経の機能低下です。
自律神経は、私たちの意識とは無関係に心臓や血管、消化器などの働きをコントロールする神経で、体内のバランスを保つ役割を担っています。
立ち上がったとき、本来は重力の影響で下半身に血液が一時的にたまります。それに対応するために、自律神経は血管を収縮させて血圧を保ち、脳への血流を維持しようとします。
しかし自律神経の働きが低下していると、この調整がうまくいかず、立ち上がった瞬間に血圧が急激に下がります。
その結果、脳への血流が一時的に不足し、めまいや立ちくらみ、失神といった症状が現れます。
社会人の場合、長時間のデスクワークや不規則な生活習慣、睡眠不足などが自律神経のバランスを乱し、起立性調節障害を発症するリスクを高める要因になります。
原因②遺伝的要因
起立性調節障害は、遺伝的要因も考えられています。
親や兄弟に同様の症状を経験した人がいる場合、本人も発症しやすい傾向があります。
自律神経の働きがもともと弱い体質や、血管の収縮機能が低い体質は、遺伝的に受け継がれる可能性があり、このような体質を持つ人は起立性調節障害を引き起こすリスクが高まります。
また、家族の中に低血圧の人が多い場合や、朝に弱く体調を崩しやすい傾向がある場合は、遺伝的要素を一因として疑ってみてもよいでしょう。
原因③ストレス

現代社会においてストレスはあらゆる体調不良の引き金になりますが、起立性調節障害もその例外ではありません。
強いストレスや精神的なプレッシャーは自律神経のバランスを乱し、起立性調節障害を引き起こす原因となります。
自律神経には、活動モードの交感神経と、リラックスモードの副交感神経があります。
ストレスにある状態が長く続くと、交感神経が過剰に働き、副交感神経とのバランスが崩れます。
その結果、血圧や心拍数の調整がうまくいかなくなり、立ち上がったときの血流変化に対応できず、起立性調節障害の症状が現れます。
社会人は、仕事、人間関係、将来への不安など、日々さまざまなストレスを抱えています。こうした心理的な負担が蓄積することで、自律神経の機能低下が進み、症状の悪化を招くケースも少なくありません。
原因④生活習慣の乱れ
起立性調節障害の背景には、日々の生活習慣の乱れが大きく影響している場合があります。
現代の社会人に多い夜型生活や運動不足、栄養バランスが偏った食事、睡眠の質の低下などは、自律神経の働きを乱す原因となります。
睡眠不足や夜更かしが続くと、自律神経の切り替えがうまくいかず、朝起きたときに血圧や心拍の調整が乱れやすくなります。
また、栄養バランスが偏った食事も要注意です。朝食を抜く習慣は、エネルギー不足を招くだけでなく、血糖値の急激な変動によって体に負担をかけるため、起立性調節障害の症状を悪化させる可能性があります。
慢性的な運動不足も自律神経の働きに影響します。デスクワーク中心の生活で身体を動かす機会が少ないと、体力や血行の低下につながり、症状が出やすくなります。
大人で発症しやすい人の特徴4選
以下のような特徴を持つ人は、大人になってから起立性調節障害を発症・再発しやすい傾向があります。
特徴①デスクワーク中心で運動不足の人

長時間座りっぱなしの生活は、血流の停滞や体力の低下を引き起こします。
運動不足によって自律神経の調整機能が衰えやすく、立ちくらみや倦怠感といった症状が出やすくなります。
特徴②睡眠リズムが不規則な人
夜更かしや不規則なシフト勤務、スマホの長時間使用による睡眠の質の低下も、自律神経に負担をかけます。
朝がつらいと感じている人は、注意が必要です。
特徴③ストレスを抱え込みやすい人

仕事や家庭のプレッシャー、人間関係の悩みなど、ストレスをうまく発散できずにため込むタイプの人も、発症リスクが高まります。
特徴④子どもの頃に起立性調節障害を経験していた人
過去に起立性調節障害を経験していた人は、大人になってから再発する可能性があります。
体質的な要因や自律神経の弱さが根本にあるため、環境や体調の変化をきっかけに再び症状が現れる場合があります。
特徴⑤気圧や天候に敏感な人

気象病や低気圧不調を感じやすい人は自律神経が敏感に反応する体質であることが多く、起立性調節障害の症状が現れやすい傾向があります。
起立性調節障害の3つの予防法
起立性調節障害は、日常生活のちょっとした工夫や習慣の改善によって予防・軽減が可能です。
この章では、日常生活に取り入れやすい予防法について解説します。(参考:吉田誠司『起立性調節障害お悩み解消BOOK 「朝起きられない」子に親ができること!』、田中大介『やさしくわかる子どもの起立性調節障害』)
予防法①規則正しい生活リズム

起立性調節障害の予防で、最も基本となるのが生活リズムの安定です。
睡眠と覚醒のリズムが崩れると、自律神経のバランスが乱れやすくなり、朝起きられない、立ちくらみがひどいといった症状が出やすくなります。
規則正しい生活リズムを整えるポイントは以下のとおりです。
- 毎日同じ時間に寝起きする:平日・休日にかかわらず、起床時間を一定に保つ
- 夜更かしを控える:特にスマホやパソコンのブルーライトは、眠気を妨げる原因になるため、寝る1時間前には使用を控える
- 朝日を浴びる:朝の光は体内時計をリセットし、自然な目覚めを促す
生活リズムの乱れは、ストレスや疲労の積蓄にもつながります。
小さなことでも、毎日の習慣を見直すことが予防への第一歩となります。
予防法②バランスの取れた食事
食生活の乱れも起立性調節障害を引き起こす要因の一つです。
社会人は、朝食を抜いたり、外食やコンビニ食に偏ったりしがちですが、こうした食習慣が自律神経の働きを乱す原因になります。
起立性調節障害の予防には、エネルギー源だけではなく、自律神経をサポートする栄養素をしっかり摂ることが大切です。
- 朝食は必ずとる:寝ている間に低下した血圧や体温を上げるためにも、朝食は不可欠。ご飯やパンなどの炭水化物と、卵・納豆・ヨーグルトなどのたんぱく質を組み合わせる
- 鉄分・ビタミンを摂取する:貧血気味の人は、鉄分やビタミンB群、ビタミンCを意識的にとることが大切。レバー、ほうれん草、豆類、柑橘類などが効果的
- 水分と塩分の補給:低血圧の傾向がある人は、こまめな水分補給と適度な塩分摂取も有効。朝起きたときや外出前に、コップ一杯の水を飲む習慣を
毎日の食事は体調を左右する重要な習慣です。
難しく考えすぎず、できることから少しずつ見直していきましょう。
予防法③適度な運動
適度な運動は自律神経のバランスを整えるうえで効果的です。
体を動かすと血流が良くなり、血圧や心拍の調整機能も高まるため、起立性調節障害の症状緩和につながります。
とはいえ、激しい運動や無理なトレーニングは逆効果になることもあるため、あなたの体調に合わせて無理なく取り入れることが大切です。
- ウォーキングやストレッチ:朝や夕方に軽いウォーキングやストレッチをするだけでもOK
- ヨガや深呼吸:緊張をほぐし、副交感神経を優位にするヨガや深呼吸もおすすめ。リラックス効果があり、睡眠の質向上にもつながります
運動は継続が大切です。
気分転換やストレス解消も兼ねて、心地よく感じる運動から生活に取り入れてみてください。
起立性調節障害と診断された場合の対処法2選
起立性調節障害と診断された場合、「どう向き合えばいいのか」「職場や周囲にはどう伝えればいいのか」と不安に感じる人も多いでしょう。
この章では、起立性調節障害と診断された場合の対処法について解説します。
対処法①日常生活から症状が出ないように気をつける

まずは、日々の生活の中でできる対処法から始めましょう。
起立性調節障害は、自律神経の働きが不安定になることで症状が出やすくなるため、症状を悪化させない工夫が大切です。
日常生活での注意点は以下のとおりです。
- 急に立ち上がらない
- 無理をしないスケジュール管理
- 体調管理アプリやメモで記録する
急な動作は血圧の急降下を招き、めまいやふらつきを起こしやすくなります。
立ち上がる前に数秒座ったまま深呼吸する、足を動かして血流を促すなどの工夫をしましょう。
体調が安定しない日は無理をせず、予定に余裕をもたせることが大切です。休憩をこまめに入れて、症状が悪化しないようにしましょう。
また、あなたの体調の傾向を把握するために、起床時の状態、めまいの頻度、寝つきの良し悪しなどをアプリやメモに記録するのも効果的です。
対処法②周囲に配慮を求める
起立性調節障害は外見からはわかりにくいため、学校や職場での理解が得られにくい場合があります。
「怠けているように見られる」「やる気がないと思われる」といった誤解に悩む人も少なくありません。
しかし、正しい知識をもとに適切な配慮をお願いすることで、無理なく学業や仕事を続けられます。
まずは身近な人に症状を具体的に伝えましょう。
ただ「調子が悪い」と言うだけでなく、「朝はめまいやだるさで起き上がれないことがある」「立ちくらみが突然起きることがある」など、具体的な症状を説明することが大切です。
また、朝の体調が安定しにくい場合は、始業時間の変更や午前中のリモート勤務・通学などを相談してみましょう。
単に症状を伝えるだけでなく、「朝は少し静かにしてもらえるとありがたい」「急に立たなければならない場面では声をかけてほしい」など、具体的な協力の形をお願いするのが有効です。
継続的な通院が必要な場合、勤務時間の調整や理解ある上司・先生との連携が大切です。
一人で抱え込まず、身近な家族や友人、同僚に少しでも協力をお願いすることで、安心して生活しやすい環境を整えましょう。
まとめ:健康的な生活を意識しよう

大人でも発症する可能性がある起立性調節障害は、日常生活の工夫や習慣の改善によって予防が可能です。
規則正しい生活を心がけ、栄養バランスの良い食事や適度な運動を意識して生活しましょう。
ストレスを溜め込まない健康的な生活で、自律神経が安定して働くように意識して生活してみてください。
あなたの症状が少しでも軽くなることを願っています。
起立性調節障害とは、何ですか?
起立性調節障害(OD、Orthostatic Dysregulation)とは、自律神経である交感神経と副交感神経の機能が低下することで発生する血行不良に伴い、さまざまな症状が引き起こされる病気のことです。
詳細については、こちらで解説しています。
起立性調節障害の予防法について教えてください。
監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。
【著書ピックアップ】
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』
Amazon
翔泳社公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)
【その他著書など(一部)】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)
うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。2024年10月現在、首都圏・関西に6校舎を展開しています。トップページはこちら→