HSPの人に向いている仕事 仕事を探す際のポイントを解説
こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。
自分はHSPの特徴に当てはまるかもしれないと感じ、仕事上で困難を抱えている人もいるのではないでしょうか?
HSPの人が自分らしく働くためには、自分の特性について理解を深めることが大切です。
このコラムでは、HSPの人の強みや弱み、向いている仕事や向いてない仕事、仕事を続けるコツ、仕事を探す際のポイントなどについて解説します。
HSPの特性に当てはまる方は、ぜひ参考にしてください。
私たちキズキビジネスカレッジ(KBC)は、HSPのある人のための就労移行支援事業所です。
- 病気や障害があっても、KBCでは初任給は38万円も
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神田・新宿・横浜・大阪に校舎があり、障害者手帳がなくても自治体の審査を経て利用することができます。遠方の方は、日常的にはオンラインで受講しながら(※お住まいの自治体が認めた場合)、「月に1回、対面での面談」を行います。詳しくは下記のボタンからお気軽にお問い合わせください。
目次
HSPとは?
HSPとは、「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の略語で、生まれつき感受性が高く敏感・繊細な気質のある人のこととされています。(参考:武田友紀『「繊細さん」の本』)
ただし、HSPは、その人が生まれながらに持っている感受性や気分の傾向など心の特徴・気質を表すための俗称であり、医学的な診断名として認証されているわけではありません。
「highly sensitive」は、刺激に対して反応しやすいことを意味しており、HSPは精神的なことだけでなく体質的なことについても、「感覚処理に対する神経が、生まれつき敏感・繊細な人」という意味で使われることがあります。
HSPとされる人は、同じ刺激を受けても他の人より強く反応するとされており、刺激の強い環境に長時間いると神経が消耗し、疲弊しやすい傾向があると言われています。
HSPと言われるような苦痛を実際に抱えているという人は、他の病気・障害である可能性があります。気になる人は医療機関に相談することをオススメします。
HSPの人の強み
HSPの人には苦手な部分がある一方で、その分強みも多く存在します。
この章では、HSPの人の強みについて解説します。
強み①些細なことに気がつける
HSPの人は周囲の環境や周りの人の感情の変化に敏感であるため、些細な変化にも気づきやすい特徴があるとされています。
人間関係においては相手の表情や言動から、言葉の裏に隠された感情や意図を汲み取ることに長けていると言われています。
些細な言動から誤解が生じる可能性を予測し、適切な言葉を選ぶことで、人間関係のトラブルを未然に防げるでしょう。
また、周囲への気配りの意識を活かすことで、仕事の進捗状況における問題点に気づき、事前に必要な対策を講じることもできるかもしれません。
強み②共感力や洞察力が高い
HSPの人は、嬉しいことや楽しいこと、悲しいことや辛いことなど、どんな出来事にも深く心を動かされやすい特徴があるそうです。
脳の働きを調べた研究では、HSPの人ほど、周りの音や光、人の気持ちなどのさまざまな情報に敏感で、共感力も高い傾向があるという結果が発表されています。(参考:Bianca P Acevedo , Elaine N Aron , Arthur Aron , Matthew-Donald Sangster , Nancy Collins , Lucy L Brown『The highly sensitive brain: an fMRI study of sensory processing sensitivity and response to others' emotions』、Michael Schaefer , Anja Kühnel , Matti Gärtner 『Sensory processing sensitivity and somatosensory brain activation when feeling touch』)
人間関係においては、相手の気持ちに深く共感し理解できるため、より深い信頼関係を築くことができるでしょう。また、問題の本質を見抜き建設的な解決策を提案する力にも優れているでしょう。
強み③創造力を発揮できる
HSPの人は感覚的な情報処理が得意であり、芸術や文学などの創造的な分野で活躍する人が多い傾向にあるとされています。豊富な想像力と感性によって、新しいアイデアを生み出すことに長けている傾向にあるそうです。
創造力を発揮できる場面は人によって異なり、例えば音楽や絵画などの芸術面だけでなく、従来の枠にとらわれないアイデアでビジネスモデルを提案できる人もいるでしょう。
HSPの人は、自分の特性が活かせる環境下であれば、その創造性をいかんなく発揮できる可能性を秘めているのです。
HSPの人の弱み
この章では、HSPの弱みについて解説します。
ただし、HSPの弱みは決して悪いことではありません。
自分の特性を活かすためには、強みと合わせて弱みも把握することが大切です。弱みは強みの裏返しでもあることを押さえておきましょう。
弱み①刺激に敏感で疲れやすい
HSPの人は感覚が敏感で、外部からの刺激をより強く受け止めやすい傾向にあるそうです。中には五感が鋭く、日常的な音や光、においなどの刺激に対して過敏になる人もいます。
刺激に対する不快感やストレスの蓄積によって、疲れやすい性質を持つのです。
また五感だけでなく、周りの人の感情に深く共感し、まるで自分のことのように感じられるかもしれません。深く共感できることは長所ですが、ときには心の負担となることもあるでしょう。
弱み②完璧主義に陥りやすい
HSPの人は、何事にも完璧を求め、少しでもミスがあると自己評価が下がりやすいのが特徴とされています。
どれが最善の選択なのか悩んでなかなか決断を下せなかったり、新しいことへの挑戦を恐れたりなど、自分を追い込みやすい性質があると言えます。
自分自身に高い基準を課すことにより、強いプレッシャーを感じることも少なくないでしょう。さらに自分や他人の感情に敏感であり、さまざまな角度から物事を深く考えがちかもしれません。仕事や家事を完璧にこなそうと頑張りすぎて、疲れることもあるでしょう。
弱み③失敗を引きずりやすい
HSPの人は他人の評価を気にしやすく、失敗することで周囲からどう思われるかに対しても敏感であるとされています。
感受性が高いことから、良いことにも悪いことにも深く感情移入し、失敗したときのネガティブな感情が長く続く性質を持つそうです。
これには、HSPの特徴とされる強い感受性や共感力の高さが深く関わっています。一度失敗した経験があると、それがトラウマのように残り、似たような状況を恐れる傾向があるのでしょう。
HSPの人に向いている仕事
HSPの人は、その特性をプラスに活かせる仕事が向いているとされています。HSPの人に向いている仕事と具体例は以下のとおりです。
- 人の悩みに寄り添う仕事:カウンセラー、セラピスト、整体師
- 創造力を活かせる仕事:イラストレーター、デザイナー、ハンドメイド作家、カメラマン
- 自分のペースで進められる仕事:プログラマー、翻訳者、在宅事務、経営者
HSPの特性である繊細さや共感力などの特徴は、特定の仕事で大きな強みになります。
近年では働き方が多様化しているため、HSPの人は、リモートワークや副業など、自分のペースで働ける環境を選ぶとよいでしょう。
HSPの人に向いていない仕事
HSPの人はその特性から、仕事上の困難を抱えやすい傾向にあります。HSPの人が自分らしく働くためには、苦手な仕事を把握することが大切です。
この章では、HSPの人に向いていない仕事について解説します。
仕事①ノルマや競争が激しい
HSPの人は、完璧主義な傾向が強い場合が多く、常に高い水準を求めやすい傾向にあるとされています。
そのため、ノルマ達成のプレッシャーは大きなストレスとなり、パフォーマンスの低迷やモチベーションの唐突な低下などにつながる可能性があるのです。高いパフォーマンスが常に求められる環境は、HSPの人にとってストレスの原因になりやすいでしょう。
例えば、営業職やコンサルタント、証券トレーダーなどは数値目標が明確であるため、HSPの人にとっては負担が大きいかもしれません。また、競争は他者との比較を生み出すため、自己肯定感が下がる原因にもなります。
仕事②臨機応変さが求められる
HSPの人にとって、常に予測不可能な状況に置かれることは不安やストレスの原因となる恐れがあります。そのため、臨機応変な対応が求められる仕事はあまり向かないかもしれません。
例えば、イベント企画やカスタマーサポートなど、状況が刻々と変化し、臨機応変に対応することが求められる仕事は、HSPの人にとって疲れやすい可能性があります。
仕事③人との関わりが多い
HSPの人は、周囲の人の感情に敏感であるため、相手の言葉や態度に深く傷ついたり、相手の感情に振り回されたりすることがあるそうです。
多くの人と接しなければならない環境は、エネルギーの消耗が激しく、精神的な負担が大きくなるでしょう。
具体的には接客業や教師、営業職など、多くの人と直接コミュニケーションをとる仕事は、HSPの人にとっては、対人関係に悩まされる可能性があります。
HSPの人が仕事を続けるコツ
HSPの人にとって、仕事は大きなストレス源になることがあります。しかし、自分の特性を理解して適切な対処法を身につけることで、楽しみながら働くことも可能です。
この章では、HSPの人が仕事を続けるためのコツについて解説します。
コツ①自分の特性を理解する
まずは、自分の強みと弱みを客観的に把握することが大切です。
日記をつけたり、自己診断ツールを利用したりするのも良いでしょう。自分の性格や行動パターンを知ることにより、仕事に対する苦手部分を理解し、より自分らしい働き方を見つけられます。
例えば、感受性が強い場合は人と深く関わる仕事よりも、一人で集中できる仕事のほうが力を発揮できるかもしれません。
完璧主義な傾向が強いなら、質の高い仕事をじっくりこなせるクリエイティブな職種や研究職などが適しています。特性を理解することで、自分の良い面を仕事に活かせるでしょう。
コツ②ストレスへの対処法を身につける
HSPの人は、些細な出来事でも強いストレスを感じやすい傾向があるとされています。
そのため、ストレスをため込まずに、適切な方法で解消する術を身につけることが重要です。
具体的には、短い休憩時間でも、深呼吸や瞑想を取り入れたり、耳栓やイヤホンで周囲の音を遮断してリラックスできる環境を作ったりなど、さまざまな工夫を取り入れてみてください。できる限りストレスを避け、こまめにリフレッシュすることで、心身への悪影響を防げるでしょう。
コツ③自分の特性に合った環境を選ぶ
仕事の環境選びも、HSPの人がストレスを避ける上で非常に重要です。
自分の特性に合った働き方や職場環境を選ぶことで、ストレスを軽減し、仕事のパフォーマンス向上につながります。
可能であれば、リラックスできる環境で仕事に取り組めるのが望ましいでしょう。さらに、理解のある上司や同僚などの職場の人がいる職場を選ぶことで、安心して仕事に取り組めます。
リモートワークやフレックスタイム制など、自分のペースで働けるような働き方を選ぶのも1つの方法でしょう。
HSPの人が仕事を探す際のポイント
HSPの人にとって仕事選びは、快適なワークライフを送る上で重要な要素です。
自分にとって働きやすい環境を選ぶことで、仕事に対するストレスを軽減し、パフォーマンスを向上させられます。
この章では、HSPの人が仕事を探すポイントについて解説します。
ポイント①仕事に集中できる環境が整っている
集中できる環境で働くことは、生産性向上や仕事へのモチベーション維持に大きく貢献します。仕事選びの際は、働く環境が自分に適しているか確認することが大切です。
HSPの人は周囲の音や光、人の気配など、五感への刺激に敏感とされています。
オフィスでは、電話の着信音やコピー機の音、話し声など、集中できない要素が多く存在しています。周囲の視線もプレッシャーになり、思うように仕事が進まないことも考えられるでしょう。
HSPの人がストレスなく働くためには、オフィスの環境が自分にとって集中できる場所かどうか確認することをオススメします。
ポイント②柔軟な働き方が選べる
HSPの人は、変化や不規則なスケジュールに戸惑いを感じることがあります。そのため、ある程度柔軟性を持った働き方ができるか確認しましょう。
HSPの人は、急な呼び出しや出張などが多い職場や不規則な勤務時間で働くと、ストレスが大きくなる可能性が高いです。決まった時間に出社するかたちでも、ある程度の裁量が与えられる仕事を選ぶと、拘束感が緩和されやすくなるでしょう。
フレックスタイム制やリモートワークなどの働き方もオススメです。柔軟な働き方を選ぶことで、無理なく仕事が続けられるようになります。
ポイント③責任やノルマなどの負担が重すぎない
HSPの人は完璧主義な傾向が強く、責任感も強い人が多いとされています。そのため、責任やノルマが重すぎると、大きなストレスを感じる恐れがあるでしょう。
ほどよい責任感のある仕事はやりがいも大きいものですが、任される仕事量やノルマの有無によっては精神的な負担が重くなります。責任感やノルマの負担が重すぎることなく、自分自身のペースを乱されない職場であれば、本来の力を発揮しやすいでしょう。
ポイント④求人情報について詳細を確認する
求人情報には、必ずしも全ての情報が記載されているわけではありません。疑問点があれば、積極的に企業に問い合わせるようにしましょう。
自分に合った環境を選ぶためには、実際に職場を見学して雰囲気や仕事内容を確かめ、そこで働く人と話してみるのがオススメです。
転職エージェントでは担当者が企業との間を取り持ってくれるため、知りたい情報について問い合わせてくれる場合があります。さまざまな方面から情報収集を行い、自分にマッチする職場かどうか見極めましょう。
ポイント⑤自分の特性を理解してくれる担当者を選ぶ
転職エージェントを利用する際は、自分の特性を理解してもらえる担当者を選びましょう。あらかじめ自分の特性について伝えることで、自分に合った働き先を提案してもらえます。
ただし、自分の特性を伝える際は、具体的に話すことが大切です。HSPの概念については周知されるようになったものの、一般的にはあまり知られていません。
例えば、「ちょっとした音に敏感で、集中しにくいことがあります」など、具体的な言葉で自分の特徴を説明すると担当者も理解しやすくなります。
ポイント⑥HSPならではの強みをアピールする方法を意識する
HSPの弱みは、強みの裏返しでもあります。就職活動でHSPの強みをアピールするには、短所を長所に言い換えて伝えることを意識しましょう。
具体的には、以下のような言葉でHSPの強みを言い表すことが可能です。
- 周囲の状況や人の気持ちに敏感で、細やかな気配りができる
- 複雑な問題の本質を見抜き、適切な解決策を提案できる
- 持ち前の創造力をクリエイティブな活動に活かせる
このように、HSPならではの魅力について自信を持ってアピールし、入社後にその強みをどのように活かしたいかを提案しましょう。自分の特性を強みに変えて伝えることで、採用担当者に興味を持ってもらえるきっかけになります。
まとめ:HSPの強みを活かせる仕事を見つけましょう
HSPの人は、繊細な心の持ち主であり、周囲の人々の気持ちに深く共感できる素晴らしい強みを持っているとされています。
また、細かいところまで気がつく観察力や、深く物事を考える洞察力にも優れており、複雑な問題の本質を見抜く能力も高い傾向にあると言われています。
HSPの特性について把握することで、自分らしく働ける場所を見つけられるでしょう。ぜひ、あなたの強みを活かせる仕事を見つけ、素敵なキャリアを築いてください。
HSPとはなんですか?
HSPとは、「Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)」の略語で、生まれつき感受性が高く敏感・繊細な気質のある人のこととされています。
詳細については、こちらで解説しています。
HSPの私に向いている仕事を知りたいです。
監修キズキ代表 安田祐輔
発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。
【著書ピックアップ】
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』
Amazon
翔泳社公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)
【その他著書など(一部)】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
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