就労移行支援 キズキビジネスカレッジ(KBC) 「音」は聞こえるのに「言葉」が分からない 新卒半年で適応障害・退職。支援される側を経て、伴走する側へ

医療・介護・福祉職 ADHD ASD 適応障害 一般雇用 20代

新卒で金融機関に入社後、ADHD・ASDの特性による困難に直面し、休職・退職を経験したA.Rさん。自身の適職と、特性と向き合う「ライフハック」を探してキズキビジネスカレッジ(KBC)へ通所を開始しました。徹底的な自己理解と実践的なプログラムを経て、現在はキズキビジネスカレッジ(KBC)の支援スタッフとして活躍しています。支援される側を経て、伴走する側へ。その軌跡をご紹介します。

「音」は聞こえるのに「言葉」が分からない。——私を襲った突然の絶望

幼少期から、コミュニケーションがうまく噛み合わなかったり、興味があちこちに散ってしまったりと、対人関係での軋轢をずっと感じていました。

ただ、家族の支えもあり大学までは順調に卒業。その経験を個人的な成功体験の1つとして抱えつつ、「コミュニケーションの違和感は、自分の努力で十分解決できるだろう」と信じて、新卒で金融系の店舗スタッフとして入社しました。

しかし、そこで待っていたのは、自分の努力ではどうにもならない壁でした。四六時中、機械の操作音やお客様の声が飛び交う環境が、注意散漫な自分の特性に全く合っていなかったのです。

環境に疲弊する中、ある時電話を取ったところ、音としては聞こえているのに、言語として理解できないという事態が起きました。聴覚障害を疑うほどの困難に苛まれることになります。

さらに、旧態依然としたコミュニケーションや価値観に振り回されてうまく適応できず、心身のバランスを崩してしまいました。

入社からわずか半年後、私は適応障害と診断され、休職することになったのです。毎日続く吐き気と睡眠障害。マイナスからのリスタート。

どん底のような療養期間を経て、ようやく心身が新卒前の状態にまで回復したのは、翌年の2月のことでした。

決め手は「自由度」——就労移行支援探しのリアル

体調が回復し、改めて知能検査を受けたことで、自分にはADHD(注意欠如・多動症)とASD(自閉スペクトラム症)の特性があることがはっきりと分かりました。

聴覚障害を疑うような事態なども、発達障害の特性によるものだとこの時気づいたのです。

ただ、これまでの人生で感じていた違和感の正体に納得できた一方で、「じゃあ、これからどうやって仕事を選べばいいのか」という、適職の迷子になってしまうことに。

今後の仕事選びの軸と、特性と向き合いながら日常生活を送るための「ライフハック」を見つけなければと考えていた最中、母が勧めてくれた求人雑誌をきっかけに、就労移行支援というサービスを知ることになりました。

就労移行支援を知ってからは、複数の事業所に問い合わせをしました。しかし、私の求めるところに応えてくれるところはほとんどありませんでした。

なぜなら、多くの場所では「障害者雇用枠の事務職」を想定した、ある程度決まったカリキュラムが用意されていたからです。

私の障害特性ははっきりと出ていましたが、当時は障害手帳を持っていなかった事もあり、自己分析を深めて症状をコントロール下に置くことで、障害をオープンにしない一般雇用(クローズ就労)を目指したいと考えていました。

だからこそ、決められたレールに乗るのではなく、自分の特性を深く理解した上で適職を探せる環境が必要だったのです。

そんな中で出会ったのが、キズキビジネスカレッジ(KBC)でした。

見学に行ったときの印象は、とにかく「レベルが高い」ということ。他の利用者さんたちが高い目標に向かって、専門的なスキルを貪欲に学んでいました。

そして何より、凝り固まって「型化」されたカリキュラムではなく、一人ひとりに合わせたアプローチで個別支援計画を立ててくれたのです。この「自由度」に私は惹かれました。

スタッフの方は私の状況と希望を真摯にヒアリングして、「私のやりたいことや価値観にどうマッチするか」を丁寧に整理してくれました。その対応に、私という人間そのものに真っ直ぐ向き合ってくれているという安心感を抱き、キズキビジネスカレッジ(KBC)への通所を決意しました。

「まあいっか」の魔法——ゼロヒャク思考を手放せた1ヶ月半

キズキビジネスカレッジ(KBC)に通い始めてからの約1ヶ月半は、徹底的な自己理解とライフハックの習得に費やしました。

中でも私の価値観を大きく変えたのが、当時のスタッフの方から教わった「まあいっか」という考え方です。

私はもともと、物事を極端に捉えてしまう「ゼロヒャク思考」(物事を「白か黒か」「成功か失敗か」と極端に二分して捉える思考の癖)の傾向がありました。ASDとADHDの特性が重なり、コミュニケーションに過集中してしまったり、自分の話ばかりしてしまったりと、毎日のように「また失敗した」と激しく落ち込んでいました。

そんな私に、スタッフの方はこう言ってくれたのです。「1日1個、小さな目標を決める。それができてもできなくても、その日頑張った自分に対して『まあいっか』と思って終えましょう」。

最初は戸惑いました。失敗したのに反省しなくていいのだろうか、と。

しかし、自己理解講座で認知行動療法を学び、失敗のサイクルを断ち切る方法を知るうちに、この言葉の本当の意味に気づきました。

不利益なことがあっても「今日は今日で仕方がない、まあいっか」。他者と比較して落ち込むのではなく、自分軸で物事を捉え、「良くも悪くもない普通の状態で1日を終える」ことができるようになったのです。

それは、長年苦しんできた完璧主義の呪縛から解き放たれ、自分軸を創生して心のしなやかさを手に入れた瞬間でした。

徐々に見えてきた自分の価値観と、思いがけない提案——キズキビジネスカレッジ(KBC)で伴走してもらった就職活動

自己理解を深めた後、約2ヶ月半の就職活動に入りました。

キズキビジネスカレッジ(KBC)でのアナログゲームをやりながら対人スキルを習得できる「コミュニケーションGame&Tips」などの講座で実践的な練習を重ねるうち、私の中に一つの軸が見えてきました。

それは、「直接的なコミュニケーションを通じて人の価値観に触れ、誰かのためになる仕事がしたい」という想いです。

自分のこだわりや特性を相手に押し付けるのではなく、対話を通じて相手を直接的に支援する。そんな仕事が自分には向いていると気づいたのです。

就職活動中は教育業界や人事系の仕事にしぼり、転職サイトを通じて自分で応募を進めつつ、キズキビジネスカレッジ(KBC)には面接練習や書類添削をサポートしてもらいました。

「今、面接のこういう部分で課題を感じているから相談に乗ってほしい」と目的を伝えると、スタッフの方々はいつも臨機応変に、そしてスピーディーに対応してくれました。この柔軟なサポート体制があったからこそ、迷うことなく前に進むことができました。

そんな折、思いがけない提案を受けました。

「ファシリテーションの回し方がうまい」「ファクト(事実)に基づいて論理的に話を進められる」と、講座でのほかの利用者さんとのコミュニケーションの様子を見たスタッフの方々から、キズキビジネスカレッジ(KBC)の支援スタッフとして働いてみないかと打診されたのです。

自分の特性の影響で「弱み」だと感じていたものが、誰かを支援するための「強み」として評価された瞬間でした。入社前に何度も面談を重ねて働き方をすり合わせ、ここでなら自分らしく長く働けると確信し、私はキズキビジネスカレッジ(KBC)への入社を決めました。

障害はもっと個性として認知されていい——支援者として見つけた新たな人生の軸

現在、私はキズキビジネスカレッジ(KBC)のスタッフとして働いています。

かつての私と同じように、体調や就職に不安を抱える利用者さんの面談に入り、自己理解やライフハックの経験を参考にしつつ支援を行っています。

自分の裁量で業務量をコントロールし、周囲と緊密に相談できる環境があるため、心身ともに充実した日々を送っています。

先日、ある社歴の長いスタッフから、「Aさんがスタッフとして頑張っている姿を見ると、自分たちの支援の先にある『希望のゴール』が目の前にあるようで、すごく力をもらえる」と言葉をかけられました。

自分の頑張りが、利用者さんだけでなく、一緒に働く仲間の力にもなっている。その事実に気づいたとき、私の人生に確固たる「自分軸」が完成しました。

今の私には、大きな目標があります。

それは、「障害が個性の一つとして認知される社会」をつくることです。

生まれ持ったものを障害という言葉でひとくくりにされ、まるでダメなものとして扱われる世の中を変えたい。「積極性があるね」「コミュニケーションが上手だね」と言われるのと同じように、特性がひとつの「個性」として受け入れられる未来。

その第一歩として、まずは目の前の利用者さんにそう思ってもらえるよう、日々面談に向き合っています。

一歩踏み出すのを迷っているあなたへ

就労移行支援を使おうと考えている方は、今、本当に難しい状況に置かれていると思います。

休職中の方、離職された方、仕事が合わずに生き方に悩んでいる方。「自分が何に困っているのかさえ分からない」という方もいるでしょう。

そんな時は、どうか一人で抱え込まず、キズキビジネスカレッジ(KBC)に話をしてみてください。誰かに話すことで、頭の中が整理される瞬間が必ずあります。

AIとも壁打ちできる時代ですが、人間同士だからこそ生まれる「偏り」や「思わぬ視点」が、あなたの凝り固まった価値観を変えるきっかけになるかもしれません。

どんな些細なことでも構いません。「もしかして障害かもしれない」という不安の段階でも大丈夫です。あなたのその悩みを、私たちに聞かせてください。

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