気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人が仕事を続けるためのコツ 向いている仕事を解説
こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。
気分変調症(持続性抑うつ障害)のあるあなたは、仕事に関して以下のようなお悩みを抱えていませんか?
- 気分変調症(持続性抑うつ障害)の症状がつらくて仕事が続かない
- 職場の人間関係がうまくいかない
- 仕事が向いていないと感じる
気分変調症(持続性抑うつ障害)は、長期にわたって困難が生じやすい疾患であるため、仕事上における悩みを抱える人も少なくありません。
このコラムでは、気分変調症(持続性抑うつ障害)の概要や向いてる仕事、仕事で抱えやす困難、仕事を探す際のポイント、仕事を続けるためのコツなどについて解説します。
気分変調症(持続性抑うつ障害)の症状でお悩みの人は、ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
目次
気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人に向いている仕事
気分変調症(持続性抑うつ障害)の症状である集中力の低下や倦怠感による影響を考えて仕事を選ぶことが大切です。
気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人には、仕事内容が日によって大きく変わらないルーティンワークや、チームワークが求められない簡潔な仕事が適しています。
具体的には、製造業や清掃業、物流業、事務職などがオススメです。最初は簡単な仕事からはじめ、自信をつけながら少しずつできる仕事を増やしていくのもよいでしょう。
ただし、病状によっては就業できる状態でない場合もあります。無理をして自分に合わない仕事を続けるとストレスになり、病状が悪化することも考えられるでしょう。
まずは主治医へ相談し、就業について慎重に検討を進めることが大切です。
気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人が仕事を続けるための3つのコツ
気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人は、仕事による失敗経験が積み重なることで、自尊心の低下につながるおそれがあります。就業する際は無理をせず、小さな成功体験を積み上げて、少しずつ自信をつけていくことが大切です。
この章では、気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人が仕事を続けるためのコツについて解説します。
気分変調症(持続性抑うつ障害)と上手に付き合いながら、仕事と生活のバランスを保つためにも、実践してみてください。
コツ①医療機関を利用して治療する
前提として大切なことは、医療機関を利用して治療することです。
精神科や心療内科を受診し、薬物療法や心理療法を受けることで、気分変調症(持続性抑うつ障害)の症状の改善や病状悪化の防止を期待できます。
薬物療法は医師の指示に従い、適切な薬を服用することが大切です。心理療法では自分自身と向き合い、思考や行動パターンを理解することで、物事の捉え方の改善につなげられます。
気分変調症(持続性抑うつ障害)の治療は、長期化しやすい傾向です。自己判断で治療を中断せず、医師と相談しながら継続的に治療を受けるようにしましょう。
コツ②食事や生活習慣を整える
仕事を継続するためにも、生活の基盤を整えることが大切です。身体の健康が整っていないと、精神にも悪い影響を及ぼします。(参考:伊藤絵美『セルフケアの道具箱』)
具体的には、バランスの取れた食事や質の高い睡眠を取ることで、自律神経のバランスが整い、心身のリラックスにつながりやすくなります。適度に日光を浴びることも、気分の安定に有効です。
また、できる範囲でストレスへの対処術を身につけるとよいでしょう。ヨガや瞑想、適度な運動などは、ストレス解消や心身の健康維持におすすめの方法です。
心身のバランスを整えることは、ストレスへの抵抗力を高めることにつながります。これらの習慣を、少しずつ取り入れてみてください。
コツ③専門家に相談する
気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人の中には、自分ひとりで悩んでしまう人も少なくありません。困ったときに頼れる支援機関を探したり、信頼できる専門家を見つけて相談したりと、必要なサポートを受けられる体制を整えておくとよいでしょう。(参考:伊藤絵美『セルフケアの道具箱』)
頼れる人や手段を知っておくことで、困ったときに取れる選択肢が広がり、ひとりで抱え込まずに済みます。無理に話す必要はありませんが、誰かに話を聞いてもらうことで自分の状況を客観的に捉えることにつながり、気持ちが楽になるかもしれません。
補足:症状が悪化している場合は休職することも大切
気分変調症(持続性抑うつ障害)の病状によっては、働くこと自体が困難である場合もあります。そのような場合は、無理せずに休養を取ることも大切です。心身ともに休養することで症状が改善し、再び仕事に復帰できる可能性があります。
仕事を続けるか悩んでいる場合は、まずは主治医に相談して意見を聞きましょう。診断の結果、休職が必要と判断された場合は、診断書が発行されます。 その後、会社の人事担当者などに休職したい旨を伝え、休職制度について詳しく聞いておくとよいでしょう。
なお、休職が必要な期間は、個人の症状や回復状況によって異なります。休職は心身ともに回復し、再び仕事に復帰するための第一歩です。焦らずに休養し、回復に努めることが大切です。
気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人が仕事で抱えやすい4つの困難
気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人はその症状から、仕事で困難を抱えやすいです。
この章では、気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人が仕事で抱えやすい困難について解説します。
困難①仕事への意欲が持続しづらい
気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人は抑うつ症状や倦怠感が続くため、やる気や興味が失われやすいです。そのため、仕事に対する意欲が持続しづらい特徴を持ちます。
何をするにも億劫に感じ、仕事のパフォーマンスが低下することがあります。その結果、「仕事に行くのがつらい」「毎日が憂うつだ」などと感じられるかもしれません。
困難②対人関係に影響が生じやすい
気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人は、神経症的性格を持つことが多いといわれています。
神経症的性格とは、困難に直面したときに過敏に反応しやすい性格特性を指します。
気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人は、人間関係において、些細な面でも不安を感じたり過敏に反応したりと、コミュニケーションに困難を感じやすいです。相互的なコミュニケーションが取れないと、円滑な業務の遂行に支障をきたしかねず、人間関係に亀裂を生む可能性があります。
周囲と打ち解けられないことで本人の悩みにつながり、孤独感が生じる可能性もあるでしょう。
困難③集中力の低下によりミスを起こしやすい
気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人は、集中力を長時間維持することが難しく、注意力も散漫になりがちです。
そのため、複数のタスクを同時に行う仕事や、常に状況が変化するような職場ではミスが増えたり、作業効率が低下したりなどの問題に直面しやすい傾向があります。
マルチタスクが求められる場合、あれもこれも同時にこなさなければという焦りから、余計に注意散漫になりやすくなります。
困難④失敗やミスがあると自分を責めてしまう
気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人は、自尊心の低下を引き起こしやすい傾向があります。自尊心とは、自分自身に対する肯定的な気持ちのことです。自尊心が低下すると自己否定につながり、気分の落ち込みが生じやすくなります。
自責の念にかられやすいため、失敗やミスの経験を繰り返し思い出すことも少なくありません。集中力や判断力が低下することでさらにミスが増え、焦りや失敗への恐怖から悪循環を引き起こしやすくなるのです。
「またミスを防げなかった」「自分は本当にダメな人間だ」というような否定的な自己評価が、自信を喪失させ、さらに仕事への意欲を低下させるおそれがあるでしょう。
気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人が仕事を探す際の3つのポイント
気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人が仕事を探すのは大変なこともあるでしょう。しかし、適切な職場を選ぶことで安定した働き方の実現につながります。
この章では、気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人が仕事を探す際のポイントについて解説します。
ポイント①周囲からの理解が得られる職場を見つける
気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人は体調に波があり、気分の落ち込みや集中力の低下がしばしば見られるのが特徴です。調子が日によって変動するため、仕事や生活のバランスを保つには、周囲の理解が必要となります。
上司や同僚の理解が得られることはもちろん、働きやすい環境が整っているかという点で、以下の項目についても確認しておくとよいでしょう。
- 個人の状況に合わせて働けるフレックスタイム制・リモートワークなど社内制度の有無
- 従業員支援プログラム(EAP)や福利厚生制度などの充実度合い
なお、EAPとは、メンタルヘルスの改善を目的とし、心の健康に関するカウンセリングなどの支援を提供する制度のことです。気分変調症(持続性抑うつ障害)の症状に悩んでいる場合は、専門家のアドバイスを受けることで、メンタルヘルス不調の改善につながりやすくなります。(参考:厚生労働省「EAP/社員支援プログラム」)
これらの条件は必須ではありませんが、不調を感じた際は無理せず休んだり、気軽に相談したりできる環境が望ましいでしょう。
ポイント②精神的な負担が少ない仕事にする
仕事のストレスが大きいと、病状の悪化を招くおそれがあります。できる限り、精神的な負担を避けるようにしましょう。(参考:障害者職業総合センター「精神障害者雇用管理ガイドブック」)
具体的には、残業が少なく定時で帰宅できる仕事や、日によって業務内容が大きく変動しない仕事などがオススメです。
また、チームワークでの働き方よりも、個人で完結できる仕事を選ぶことで、人間関係の衝突が避けられる可能性があります。社内での連携が必要な場合でも、上司によるサポートや周囲の理解があれば、負担の軽減につながりやすいでしょう。
ポイント③就労移行支援の利用を検討する
気分変調症(持続性抑うつ障害)と向き合いながら就職を目指したい場合、就労移行支援を利用する選択肢もあります。
就労移行支援事業所とは、一般企業などへの就職を目指す病気や障害のある人に向けて、就職のサポートをする支援機関のことです。体調管理の方法、職場でのコミュニケーションの基礎スキル、就職に必要な専門スキルなどを学ぶことができ、実際の就職活動でのアドバイス、就職後の職場定着支援も含む、総合的な就労支援を受けることが可能です。
就労移行支援は、障害者総合支援法に基づいて行われる福祉サービスです。実際のサービスは、国の基準を満たしたさまざまな民間の就労移行支援事業所が行います。(参考:e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」)
精神疾患も対象となるため、気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人も利用できます。
訓練や職場体験を通して自信をつける機会になることや、施設職員やほかの利用者との交流を通して、社会とのつながりを深められる点がメリットです。
就労移行支援事業所は各地にあります。私たち、キズキビジネスカレッジ(KBC)もその一つです。それぞれ特徴が異なるため、気になるところがあれば問い合わせてみてください。
気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人が利用できる支援制度3選
この章では、気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人が利用できる支援制度を紹介します。
支援制度①障害者手帳
気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人は、障害者手帳の利用対象となる場合があります。
障害者手帳とは、一定以上の障害のある人に交付される手帳のことです。
障害者手帳を所持する人は、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)の対象となり、さまざまな支援を受けられます。(参考:厚生労働省「障害者手帳について」、e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」)
障害者手帳の種類は、以下のとおりです。
- 身体障害者手帳
- 精神障害者保健福祉手帳
- 療育手帳
気になる人は、お住まいの自治体の障害福祉を担当する部署・窓口にご相談ください。
障害者手帳の概要や申請方法については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
支援制度②傷病手当金
気分変調症(持続性抑うつ障害)によって働けなくなった場合は、傷病手当金の利用を検討しましょう。
傷病手当金とは、病気やケガ、障害のために仕事を休み、事業主から十分な報酬を受けられない場合に、健康保険(社会保険)の加入者・被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた支援制度のことです。(参考:全国健康保険協会「傷病手当金」、全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」、全国健康保険協会「傷病手当金について」)
国民健康保険の加入者・被保険者は対象外です。
対象となる病気やケガ、障害は、業務外の理由で生じた場合に限ります。会社の業務が原因で生じた病気やケガ、障害は、労災保険により補償されます。
傷病手当金の受給対象は、病気やケガ、障害によって就労不能であり、十分な報酬を受けられない人です。そのため、医師の診断書が必要です。
また傷病手当金は、退職前・在職中に就労できない状態の場合に受給できます。ただし、一定の条件を満たせば、退職後も継続して受給できます。具体的な受給金額や受給期間は、その人の休職の状況などによって異なります。
申請は、加入している全国健康保険協会や各健康保険組合、各共済組合で行えます。気になる人は、加入している健康保険の協会・組合にご相談ください。
傷病手当金の概要や申請方法については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
支援制度③障害年金
気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人は、障害年金の申請が可能です。
障害年金とは、病気やケガ、障害などによって仕事や生活などに支障を生じている場合に、年金加入者が受給できる支援制度のことです。(参考:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」、日本年金機構「障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額」、日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」、日本年金機構「国民年金」、日本年金機構「障害年金ガイド令和5年度版」、日本年金機構「20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等」)
事故で足を失った場合や生まれつき四肢が不自由な場合、知的障害がある場合などのケースだけでなく、発達障害・精神疾患、あるいは癌や生活習慣病などで生活に困難を生じている場合も受給の対象になります。
一般的な年金は高齢者にならなければ受け取れませんが、障害年金は現役世代でも受給できることが特徴です。
申請は、お住まいの自治体の障害福祉を担当する部署・窓口・年金事務所・年金相談センターなどで行えます。
障害年金の概要や申請方法については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
気分変調症(持続性抑うつ障害)とは?
この章では、気分変調症(持続性抑うつ障害)の概要や原因、うつ病との違いなどについて解説します。
気分変調症(持続性抑うつ障害)の概要
気分変調症(持続性抑うつ障害)とは、持続的な抑うつ症状が持続する特徴を持つ疾患のことです。抑うつ症群に分類され、うつ病に比べると症状は軽度とされていますが、その分持続的な疲労感や無力感を伴い、長期間にわたる苦悩が続きます。(参考:American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修『DSM-5-TR 精神疾患の分類と診断の手引』)
小児や青年期、成人して間もない時期などに発症するケースが多く、気がついたころには症状が進行していることもあります。
また、本人や周囲の人によって、性格の問題や甘えと捉えられやすく、医療機関への受診が遅くなりやすい傾向にあります。我慢や無理をすることで、症状の悪化や慢性化につながります。
気分変調症(持続性抑うつ障害)の診断基準
アメリカ精神医学会が定めた精神障害の診察基準『DSM-5』によると、気分変調症(持続性抑うつ障害)の診断基準は、以下のとおりです。(参考:American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修『DSM-5-TR 精神疾患の分類と診断の手引』)
- A.抑うつ気分がほとんど1日中存在し,それのない日よりもある日のほうが多く,その人自身の説明または他者の観察によって示され,少なくとも2年続いている.
- B.抑うつの間,以下のうち2つ(またはそれ以上)が存在すること.
- C.この症状の2年の期間中(子どもや青年では1年),一度に2ヵ月を超える期間,基準AおよびBの症状がなかったことはない.
- D.2年の間、うつ病の基準を持続的に満たしているかもしれない.
- E.躁病エピソードまたは軽躁病エピソードが存在したことは一度もない.
- F.障害は、持続性の統合失調感情障害,統合失調症,妄想症,「統合失調スペクトラム障害症及び他の精神症,他の特定される」または「統合失調スペクトラム障害症及び他の精神症,特定不能」ではうまく説明されない.
- G.症状は、物質(例:乱用薬物、医薬品),または他の医学的状態(例:甲状腺機能低下症)の生理学的作用によるものではない.
- H.症状は、臨床的に意味のある苦痛,または社会的,職業的,または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしている.
注:子どもや青年では,気分は易怒的であることもあり,また期間は少なくとも1年間はなければならない.
・食欲の減退または増加
・不眠または過眠
・気力の減退または疲労感
・自尊心の低下
・集中力の低下または決断困難
・絶望感
注:もし抑うつ気分が持続している2年間のいずれかの時点で、基準が十分にうつ病の診断を満たせば,持続性抑うつ症に加えて,関連する特定用語(例:間欠性抑うつエピソードを伴う,現存エピソードあり)とともにうつ病の診断がなされるべきである.
気分変調症(持続性抑うつ障害)の症状
気分変調症(持続性抑うつ障害)の主な症状は、以下のとおりです。
なお、気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人すべてに以下の症状があるわけではありません。
- 食欲の減退または増加
- 不眠または過眠
- 気力の減退
- 疲労感
- 自尊心の低下
- 集中力の低下
- 決断困難
- 絶望感
気分変調症(持続性抑うつ障害)の原因
気分変調症(持続性抑うつ障害)の原因は、明確には明らかになっていません。生理学的要因や遺伝要因、環境要因などが複合的に関係しているとする説が一般的です。(参考:武田克彦・岩田淳・小林靖・編『人体の構造と機能及び疾病』)
- 生理学的要因:脳内脳神経伝達物質(セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンなど)のバランスが崩れることが気分変調症(持続性抑うつ障害)の症状に関わる
- 遺伝的要因:親族に同様の疾病を持つケースがあり、遺伝要因が関わっている可能性がある
- 環境要因:仕事や人間関係など、さまざまなストレスが引き金となる、不規則な生活や偏った食事などが症状の悪化につながる
気分変調症(持続性抑うつ障害)の治療法
気分変調症(持続性抑うつ障害)の治療では、薬物療法や心理療法で、症状の改善や寛解を目指していきます。
短期間で完治するものではなく、長期間にわたって治療を継続するケースが多い傾向です。そのため、仕事などの日常生活に支障が出て、休職せざるを得ない場合もあります。
休職期間は、症状の重症度や治療の進み具合によって異なります。焦らず、医師の指示に従いながら、治療に専念することが大切です。
補足:気分変調症(持続性抑うつ障害)とうつ病との違い
気分変調症(持続性抑うつ障害)とうつ病は、どちらも抑うつ症状を伴う精神疾患ですが、いくつかの点で診断基準が異なっています。
そもそもうつ病とは、気分の落ち込みや憂うつ感、さまざまな意欲の低下などの精神的症状と、不眠、食欲の低下、疲労感などの身体的症状が一定期間持続することで、日常生活に大きな支障が生じる精神障害・気分障害のことです。(参考:American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、厚生労働省「1 うつ病とは:」、厚生労働省「うつ病に関してまとめたページ」、、厚生労働省「うつ病」、国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所「うつ病」、MSDマニュアルプロフェッショナル版「抑うつ症候群」)
気分変調症(持続性抑うつ障害)はうつ病に比べて重症度は低いものの、持続的な抑うつ症状が2年以上続くという特徴があります。
一方、うつ病は抑うつ気分などの症状が2週間以上続くと診断されます。(参考:American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修『DSM-5-TR 精神疾患の分類と診断の手引』、子安増生・監修、村井俊哉・野間俊一・編『公認心理師のための精神医学 精神疾患とその治療』)
なお、症状の変化によって診断名が変わったり、気分変調症(持続性抑うつ障害)とうつ病が合併したりすることもあります。
気分変調症(持続性抑うつ障害)にうつ病の診断が加わることを二重うつ病や重複うつ病と呼びます。二重うつ病になると症状がより複雑になり、治療も難しくなる傾向です。
まとめ:気分変調症(持続性抑うつ障害)でも焦らず自分にとって最適な選択肢を見つけましょう
気分変調症(持続性抑うつ障害)と診断されたからといって、仕事を諦める必要はありません。しかし、無理をして働き続けることで、症状が悪化することもあります。
気分変調症(持続性抑うつ障害)のある人は自分の状態に合わせて、最適な選択肢を見つけることが大切です。
会社に休職を相談したり、医師に相談したりなど、自分ひとりで悩まずに考えてみましょう。
気分変調症(持続性抑うつ障害)があるのですが、仕事を探すポイントを知りたいです。
気分変調症(持続性抑うつ障害)があります。仕事を続けるコツを知りたいです。
監修キズキ代表 安田祐輔
発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。
【著書ピックアップ】
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』
Amazon
翔泳社公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)
【その他著書など(一部)】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
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