軽度知的障害のある人に向いてるアルバイト 困りごとの対処法を解説 | キズキビジネスカレッジ  

軽度知的障害のある人に向いてるアルバイト 困りごとの対処法を解説

こんにちは。就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)大阪校利用者の高見洋平です。

軽度知的障害のご本人またはご家族のあなたは、障害があっても安心して働き続けることのできるパート・アルバイトをお探しではないでしょうか。

軽度知的障害のある人は、仕事内容の理解や自己理解について、以下のようなお悩みをお持ちのことが珍しくありません。

仕事のルールが覚えられず、職場での人間関係がうまくいかない

私はなにが苦手で、どのような支援を受ければいいのかわからない

お仕事の中でも、働き続けることに体を慣らしやすく、自分の特性も知ることもできる、パート・アルバイト。

このコラムでは、軽度知的障害のある人に向いてるアルバイトや困りごとと対処法などについて解説します。

1人でも多くの人が、安心して働き続けられる環境を手にしていただければ幸いです。

アルバイト以外の仕事については、以下のコラムをご覧ください。

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軽度知的障害のある人に向いてるアルバイトの特徴3選

軽度知的障害のある人に向いてるパート・アルバイトの3つの特徴

このコラムでは、軽度知的障害のある人に向いてるアルバイトの特徴について解説します。

なお、一人ひとりによって、得意なことと苦手なことや性格の違いはもちろんあります。下記は参考としていただいた上で、「実際のあなた(ご家族)」に向いてるバイトは、後述する相談先と話をしたりすることで、より多様に見つかっていくと思います

特徴①ルーティンワークができる

軽度知的障害のある人は、単純作業が得意で、繰り返しできる作業(ルーティンワーク)があるパート・アルバイトに向いてます。逆に言うと、複雑な作業を苦手とすることが多いようです。

特徴②興味のあることにつながりがある

軽度知的障害のある人は、自分の興味のあることとつながりのあるアルバイトだと、長続きする可能性があります(興味がない作業には飽きやすく、短期間で仕事を辞める例もあります)。

パソコンが好きであれば簿記やデザイン、車が好きであれば道路の清掃など、興味のあることにつながりがあるパート・アルバイトに向いてます。

特徴③職場に理解のあるキーパーソンがいる

軽度知的障害のことをくわしく理解しており、作業の指示や人間関係の支援を手厚くしてくれるキーパーソンがいる職場が向いてます。

前述したように、軽度知的障害のある人は、不調や困難さを自分で伝えることが難しく、作業上の指示も理解しづらいことがあります。そうした場合に、上司や同僚との人間関係の悪化を防げます。

軽度知的障害の当事者に向いてるアルバイト

軽度知的障害の当事者に向いてるパート・アルバイト

軽度知的障害の当事者に向いてるアルバイトとして、一般的に以下のようなものがあげられます。

  • 工場での製造・加工
  • 清掃
  • お店のバックヤード作業
  • 調理や製菓
  • データ入力業務

ただしこれらは例・一般論であり、実際のあなたに向いたアルバイトは他にもある可能性はもちろんあります(次章で事例を紹介します)。繰り返すとおり、後述するサポート団体などと話をすることで、より具体的に向いてるアルバイトが見つかっていくと思います。

軽度知的障害の当事者が採用されたパート・アルバイトの5つの事例

軽度知的障害の当事者が採用されたパート・アルバイトの5つの事例

この章では、キズキビジネスカレッジ(KBC)大阪校のスタッフが過去に軽度知的障害のパート・アルバイトの支援をした経験・知見に基づき、軽度知的障害の当事者が採用されたパート・アルバイトの事例を紹介します。

パート・アルバイトを見つける際の参考にしていただけると幸いです。個人や職場の特定を避けるため、事実とは一部異なります。

前章の具体例に該当しないものも部分もありますが、軽度知的障害のある人に向いてるパート・アルバイトは、その人やその職場によって多様に考えられるという証明でもあります。

事例①航空機の整備点検表のPDF化

空港内のデスクワークです。航空機の整備士さんが手書きした航空機の整備点検表を、スキャナーでデータ化するパート・アルバイトに就いた人がいます。

事例②公共施設の警備

「単純作業に向いていて、体力があり頼られる」という特性がある人の事例です。役所やお城の警備のパート・アルバイトに、作業実習を経て採用となりました。

事例③郵便物の仕分け

会社内の各部署に郵便物を仕分けて届けるパート・アルバイトに採用された人がいます。仕事を覚えるまでは大変だったようですが、一度覚えた後には能力を発揮していました。

事例④リラクゼーション施設での接客

就労先とそこのお客さんの理解があった事例です。焼肉屋さんとお風呂屋さんが融合したリラクゼーション施設で、接客業のパート・アルバイトとして働いている人がいます。

「接客」は軽度知的障害のある人に不向きな場合もあるのですが、業務内容や周囲の理解によっては、「向いてる」こともあるのです。

事例⑤お店での買い物かごの整理・消毒

単純作業の中でも、「お店での買い物かごの整理・消毒」を得意とする人がいました。その人は、得意分野を活かして、ディスカウントストアや卸屋など、様々なお店でその業務を行うパート・アルバイトに採用されていました。

軽度知的障害のある人がパート・アルバイトをする際の5つの困りごとと対処法

軽度知的障害のある人がパート・アルバイトをする際の5つの困りごとと対処法

軽度知的障害の当事者がパート・アルバイトをする際の困りごとと対処法を、5つご紹介します。

それぞれ、前述のサポート団体と話をすることで、「より具体的な、あなたのための対処法」がわかると思います。

対処法①作業の工程を覚えるのがゆっくりである

軽度知的障害の当事者は、たくさんの情報を一度に処理することが苦手なため、作業の工程を覚えるのもゆっくりです。

作業の工程をひとつずつていねいに覚えられる環境が大切であると同時に、紙に書いてもらうなどで可視化されると、わかりやすくなるでしょう。

対処法②スケジュールの管理が苦手である

スケジュールの管理が苦手

軽度知的障害の当事者は、先を見通して作業の優先順位を考えることを含めたスケジュール管理が苦手です。

前述の作業の工程と同様に、紙に作業の優先順位やスケジュールを書いてもらうことによって可視化されると、わかりやすくなるでしょう。

対処法③厳しい口調で注意されると自信をなくす

軽度知的障害の当事者は、作業の工程や職場のルールがわからないことなどが原因で、厳しい口調で注意されると自信をなくしがちです。

「今度からは〜するようにしましょう」といった感じで、改善点をやさしく伝えられる職場だと、円滑に作業内容を覚えられるようになります。

対処法④報告・連絡・相談の仕方がわからない

報告・連絡・相談の仕方がわからない

軽度知的障害の当事者は、仕事上で重要なことや課題となっていることの理解が難しいため、何を報告・連絡・相談すべきなのかの判断も難しいです。

職場のキーパーソンに作業の進み具合を確かめてもらったり、本人が作業日報をつけたりするようにするとよいでしょう。

対処法⑤パート・アルバイト始めたが、仕事内容があっていなかった

「パート・アルバイトを始めてみたが、思っていたものとは違った」など、仕事内容のミスマッチも困りごとの中で多い一つです。

「すぐ辞めよう」と考えがちになりますが、辞めた後に次のパート・アルバイトを見つけるのに時間を要することや、仕事をする上でのモチベーションをなくしていくことにつながる可能性もあります。

まずは、支援機関の担当者、後述のジョブコーチ、家族など親しい相手に相談してから、支援を受けた上でいまのパート・アルバイトを続けるのか、自分にあった新しいパート・アルバイトを見つけるのかの判断をすることがベストな選択と言えるでしょう。

ジョブコーチによる支援制度について

軽度知的障害の当事者をはじめ、あらゆる障害の人たちのパート・アルバイトのサポートを行うために、近年、ジョブコーチによる支援制度がスタートしています。

パート・アルバイトをする上での悩みごとや困りごとがあれば、ジョブコーチからのアドバイスや職場への伝達など支援を受けることができます。

支援期間は1か月から8か月の間で個別に決定され、本人と事業主それぞれに以下のような支援を行います。

本人向け
  • 業務が円滑に行えるようになるためのアドバイス
  • 職場の同僚とうまくコミュニケーションがとれるようになるためのアドバイス
  • 体調管理がうまく行えるようになるためのアドバイス
  • 家族関係をはじめとしたプライベートの過ごし方のアドバイス
事業主向け
  • 障害当事者の特性に応じた配置や仕事内容をアドバイス
  • 障害当事者とのコミュニケーションについてのアドバイス
  • 障害当事者へアドバイスした内容の伝達
  • 障害についての社内啓発のアドバイス

また、ジョブコーチの形態は3つあります。利用されている支援機関または仕事先に、ジョブコーチが在籍しているかを確認した上で、パート・アルバイトを始めてもいいかもしれません。

配置型ジョブコーチ
障害者職業生活センターから、障害者の職場に出向いて支援を行うジョブコーチです。以下の企業在籍型ジョブコーチや訪問型ジョブコーチとの連携も可能で、職場に対して、必要なアドバイスを行ってくれます。

企業在籍型ジョブコーチ
障害者を雇用する企業に在籍するジョブコーチです。企業内部の事情にくわしいことを強みに、働く上でのルールや職場環境などの支援を行ってくれます。

訪問型ジョブコーチ
障害福祉サービスを行う社会福祉法人や企業に在籍するジョブコーチです。就労支援を通して障害当事者の課題や状況にくわしく、職場に適応するための適切な支援を行ってくれます。

軽度知的障害のパート・アルバイトはマッチすると定着しやすい

軽度知的障害のパート・アルバイトはマッチすると定着しやすい

2017年の発表によると、軽度知的障害を含む知的障害の職場定着率は、「1年で68%」と高い水準です。(出典:下図も含めて、障害者職業総合センター『調査研究報告書 No.137 障害者の就業状況等に関する調査研究』

障害者の就業状況等に関する調査研究

軽度知的障害の当事者は、マッチしたパート・アルバイトが見つかった場合、長続きする傾向があり、中には10年〜11年も続けている人もおられます(データ以外に、キズキビジネスカレッジ(KBC)大阪校のスタッフの実感としてもそのように思います)。

自分に向いたアルバイトや業務内容を見つけるためにも、 前述のサポート団体の利用をオススメします。

軽度知的障害のパート・アルバイトを含む働き方の現状

この章では、参考として、知的障害のある人の働き方の現状をお伝えします。

軽度知的障害を含む知的障害の当事者は、令和3年の「障害者雇用状況の集計結果」によると、14万665人が民間企業に雇われています。(出典:厚生労働省※PDF「令和3年 障害者雇用状況の集計結果 」

また、平成30年に出された「障害者雇用実態調査結果」の雇用形態別で見ますと、次のように、パート・アルバイトとして働いていることが多いとわかります。(出典:厚生労働省 「平成30年に出された障害者雇用実態調査結果」

無期契約の正社員:18.4%
有期契約の正社員:1.4%
無期契約の正社員以外:40.9%
有期契約の正社員以外:39.1%
無回答:0.2%

軽度知的障害のある人が利用できる支援機関5選

軽度知的障害のある人のパート・アルバイトの4つの探し方

この章では、軽度知的障害のある人が利用できる支援機関を紹介します。あなたとご家族だけで探さず、こうしたサポート団体を利用することで、よりあなたに向いたパート・アルバイトが見つかりやすくなりますし、仕事の悩みも相談できます。

支援機関①就労移行支援事業所

就労移行支援事業所とは、一般企業などへの就職を目指す病気や障害のある人に向けて、就職のサポートをする支援機関のことです。体調管理の方法、職場でのコミュニケーションの基礎スキル、就職に必要な専門スキルなどを学ぶことができ、実際の就職活動でのアドバイス、就職後の職場定着支援も含む、総合的な就労支援を受けることが可能です。

就労移行支援は、障害者総合支援法に基づいて行われる福祉サービスです。実際のサービスは、国の基準を満たしたさまざまな民間の就労移行支援事業所が行います。(参考:e-Gov法令検索「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」

就労移行支援事業所は各地にあります。私たち、キズキビジネスカレッジ(KBC)もその一つです。それぞれ特徴が異なるため、気になるところがあれば問い合わせてみてください。

支援機関②ハローワーク

ハローワーク(公共職業安定所)とは、仕事を探している人や求人を募集したい事業者に対して、就労に関連するさまざまなサービスを無償で提供する、厚生労働省が運営する支援機関のことです。正式名称は公共職業安定所で、職安と呼ぶ人もいます。(参考:厚生労働省「ハローワーク」厚生労働省「ハローワークインターネットサービス」厚生労働省「公共職業安定所(ハローワーク)の主な取組と実績」、東京労働局「東京ハローワーク」、厚生労働省「こころの健康サポートガイド」、厚生労働省「ハローワークにおける障害者の就労支援」

主に職業相談や職業訓練、求人情報の提示などを行っており、具体的な支援内容は事業所によって異なりますが、一般的には以下のような幅広いサポートを行います。

全国に500ヶ所以上あり、主に職業相談や職業訓練、求人情報の提示、雇用保険や雇用対策など、地域密着型の雇用に関する幅広いサポートを行います。

また、病気や障害のある人に向けたサポートも行っています。障害者手帳を所持していない人でも、医師による診断書があれば、障害の特性や希望職種に応じた職業相談や履歴書や面接での病気・障害の伝え方などのサポートを受けることができます。

支援機関③障害者就業・生活支援センター

軽度知的障害の当事者が、仕事を探す上で多く利用されているのが、障害者就業・生活センターです。

障害者就業・生活支援センターとは、雇用や保健、福祉、教育に関する関係機関と連携し、障害のある人の雇用の促進・安定を目的とした一体的な支援を行っている支援機関のことです。(参考:厚生労働省「障害者就業・生活支援センター」、厚生労働省「障害者就業・生活支援センターについて」、厚生労働省「障害者の雇用の促進等に関する法律」、厚生労働省「障害者就業・生活支援センターの指定と運営等について」

障害のある人の就職活動の支援や求人の紹介、職場定着のためのサポートなどを行います。

就業面だけでなく、金銭管理などの経済面や生活面のことまで、日常および地域生活に関する支援も行っています。

生活習慣や金銭管理、健康管理などについても幅広く相談できるため、生活面のサポートも受けたい人にオススメです。

2024年4月1日時点で、障害者就業・生活支援センターは全国に337箇所設置されています。

支援機関⑤精神保健福祉センター

地域障害者職業センターとは、病気や障害のある人に対して、職業評価や職業指導、職業準備訓練、職場適応援助などの専門的な職業リハビリテーションを提供する支援機関のことです。(参考:独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「地域障害者職業センター」、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構「地域障害者職業センターによる支援」、厚生労働省「地域障害者職業センターの概要」

独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営しており、障害者雇用促進法に基づいて、全国47都道府県に設置されています。(参考:厚生労働省「障害者の雇用の促進等に関する法律」

ハローワークや医療・福祉機関と連携しているため、仕事に関する相談や訓練、復職するためのサポートを行っています。

病気や障害に悩む当事者だけでなく、障害のある人を雇用する事業所に対して、雇用管理に関する相談・援助も行っています。

支援機関⑤精神保健福祉センター

精神保健福祉センターとは、精神障害のある人のサポートを目的とした、地域の精神保健福祉の中核を担う支援機関のことです。(参考:東京都福祉保健局「精神保健福祉センターとは」、e-Gov法令検索「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律」

精神保健福祉法(精神保健及び精神障害者福祉に関する法律)に基づき、各都道府県に設置されています。地域によって、こころの健康センターや心と体の相談センターなど、一部名称が異なります。

精神保健福祉センターでは、精神疾患に関連する悩みの相談や社会に適応するための指導と援助を行っています。

精神障害による症状で悩んでいる本人だけでなく、ご家族や周囲の人の相談も受け付けています。また、匿名での相談も受け付けています。医師から正式な診断を受けていなくても相談は可能です。

詳しくは、お住まいの自治体の精神保健福祉センターにお問い合わせください。

補足:一般の就職・転職エージェント

キズキビジネスカレッジ(KBC)大阪校のスタッフの知見では、軽度知的障害のある人は、一般の就職・転職エージェントでパート・アルバイトを探すことは、あまりオススメできません。

一般のエージェントが紹介する求人では、一定のスキルや社会人としての能力を保持していることが求められることが多いです。そのため、軽度知的障害の場合、実際には求人を紹介されるハードルが高くなるのです。

ただし、病気や障害のある人に特化したエージェントで、かつ「軽度知的障害の人にも実績や知見が豊富なところ」であれば、あなたに向いたアルバイトが見つかる可能性はあります。

知的障害とは?

知的障害とはどんな障害でしょうか?ご存じかもしれませんが、あらためてご紹介します。(参考:厚生労働省e-ヘルスネット「知的障害(精神遅滞)」、「知的障害児(者)基礎調査:調査の結果 」)

①知的障害の定義

知的障害とは『精神遅滞』や『知的発達症』とも言われる、知的発達の障害です。

知的障害には、次の3つの特徴があるとされています。

  1. 知的機能の全般で、同年齢の人と比べて遅れや成長の停滞が明らかであること
  2. 意思伝達、自己管理、家庭生活、社会・対人技能、地域社会資源の利用、自律性、学習能力、仕事、余暇、健康、安全などの面での「適応機能」に、明らかな制限があること
  3. 成長期(概ね18歳未満)の時点から見られること

②知的障害の判断基準

知的障害の判断には、知的機能と日常生活能力の2つの能力が考慮されます(参考:厚生労働省「知的障害児(者)基礎調査:調査の結果」)。

(1)知的機能

次のような項目(知能指数(IQ))を、知能検査(※)を通して測定します。

  • 計算や読み書きなどをする能力
  • 自分自身の考えをまとめる能力
  • 計画や予測を立てる能力
  • 抽象的なことを具体的に思考する能力
知能検査の補足

「WISC-IV」と呼ばれる1939年にウェクスラーが発表した知能検査、または、「ビネー式」と呼ばれる1905年にアルフレッド・ビネーが発表した知能検査などによって測定されます。

(2)日常生活能力

自立機能、運動機能、意思交換、探索操作、移動、生活文化、職業等の到達水準を検査します。

③知的障害の段階と軽度知的障害について

知的障害は知的能力と適応能力の2つの能力で判断されます。知的障害であると判断が出た場合、以下の図の通り知能指数(IQ)と日常生活能力水準によって障害の程度が4段階に分類されます。

「軽度知的障害」の診断を受ける人は、知能指数(IQ)がIQ51~70で、日常生活能力水準がbランクからcランクの場合が該当することが多いようです。ただし、都道府県ごとに診断基準は少しずつ異なります。

厚生労働省は、次のように述べています。(図も含めて、出典は厚生労働省「平成17年度知的障害児(者)基礎調査結果の概要」。一部文言編集)

知能水準がI~IVのいずれに該当するかを判断するとともに、日常生活能力水準がa~dのいずれに該当するかを判断して、程度別判定を行うものとする。その仕組みは下図のとおりである。

*知能水準の区分
I…おおむね20以下(最重度知的障害)
II…おおむね21~35(重度知的障害)
III…おおむね36~50(中度知的障害)
IV…おおむね51~70(軽度知的障害)

軽度知的障害のランク

*身体障害者福祉法に基づく障害等級が1級、2級又は3級に該当する場合は、一次判定を次のとおりに修正する。
・最重度→最重度
・重度→最重度
・中度→重度

*程度判定においては日常生活能力の程度が優先される。
例えば知能水準が「I(IQ〜20)」であっても、日常生活能力水準が「d」の場合の障害の程度は「重度」となる。

キズキビジネスカレッジ(KBC)の実感としては、「『軽度知的障害の人』と『アルバイト』」の関係では、次のような例・傾向があげられます(もちろん一概に当てはまるわけではありませんが、参考としてご覧ください)。

  • 単純作業が得意
  • 勤怠が安定している
  • 指示されたことに素直に取り組める
  • 読み書きや、金銭・時間の計算が苦手だが、支援を受ければ理解できるようになる
  • 不調や困難さを自分で伝えることが難しい
  • こだわりが強く、変化に対応しにくい

最低限の自立生活はできる一方で、どこまで物事を理解しているのかが見た目ではわかりません。そのため、周囲から「わかるだろう」「できるだろう」と思われる困難を抱えやすくなります。

まとめ:あなたにあったアルバイトを見つけられるきっかけに

まとめ

私も軽度知的障害の当事者と接する機会がこれまでありました。仕事に対して、まっすぐ取り組む姿に魅了されたと同時に、みんなを明るくさせようと積極的に話しかけてきたことに優しい気遣いを感じました。

軽度知的障害といっても、いろんな人がおられて、ここまでご紹介したものは一般論に過ぎませんが、この記事を読んでくださったおひとりおひとりが、ご自身にあったパート・アルバイトを見つけられるきっかけになれば幸いです。

よくある質問

軽度知的障害のある自分に向いてるアルバイトはありますか?

例として、次のような仕事に向いてる可能性があります。工場での製造・加工、清掃、お店のバックヤード作業、調理や製菓、データ入力業務。理由や他の仕事も紹介しますので、詳細はこちらをご覧ください。

軽度知的障害のある自分が、向いてるアルバイトや仕事を探すために利用できるサポート団体を知りたいです。

例として、次のような団体があります。障害者就業・生活支援センター、障害者職業センター、ハローワーク(障害者窓口)、就労移行支援事業所。詳細はこちらをご覧ください。

監修キズキ代表 安田祐輔

発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。

【著書ピックアップ】
ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』

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翔泳社公式 【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2024年10月現在11校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2024年10月現在6校)

【その他著書など(一部)】
学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』

日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧

【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)

サイト運営キズキビジネスカレッジ(KBC)

うつ・発達障害などの方のための、就労移行支援事業所。就労継続をゴールに、あなたに本当に合っているスキルと仕事を一緒に探し、ビジネスキャリアを築く就労移行支援サービスを提供します。2024年10月現在、首都圏・関西に6校舎を展開しています。トップページはこちら→

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