適応障害でもキャリアを築ける 自分に合った働き方を見つける方法を解説

こんにちは、就労移行支援事業所・キズキビジネスカレッジ(KBC)です。
適応障害と診断され、今後のキャリアに不安を感じていませんか?
- 自分に合った働き方がわからない
- どんな職場を選べばよいのか迷っている
- 仕事を続けられる自信がない
診断を受けた際、このような疑問や不安を感じるのは自然です。適切な対処と環境選びによって、適応障害のある人もキャリアを築けます。
このコラムでは、適応障害の概要や仕事に与える影響、キャリアを選択するために必要な視点、職場選びの基準、活用できる就労支援について解説します。
あわせて、活用できる就労支援・転職支援サービスについてもまとめました。ぜひ最後まで読んで参考にしてください。
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目次
適応障害とは?
適応障害とは、仕事や職場の人間関係などから生じる特定可能な明確な心理的・社会的ストレスを原因に、心身がうまく対応できず、情緒面の症状や行動面の症状、身体的症状が現れることで、社会生活が著しく困難になっている状態のことです。(参考:American Psychiatric Association・著、日本精神神経学会・監修『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』、松﨑博光『新版 マジメすぎて、苦しい人たち:私も、適応障害かもしれない…』e-ヘルスネット「適応障害」)
ストレス要因が明確であることが特徴で、その要因から離れることで症状が改善する傾向にあります。
適応障害は、ストレスの原因となる出来事や環境の変化があってから3か月以内に症状が現れることが一般的です。また、ストレス要因が取り除かれれば、6か月以内に症状が改善することが多いとされています。
ただし、無理を続けて症状が慢性化すると、うつ病に移行する可能性もあります。早めに適切な対応を取ることが大切です。(参考:医学書院『DSM-5-TR 精神疾患の分類と診断の手引』、MSDマニュアルプロフェッショナル版「適応反応症」)
適応障害の詳しい症状や原因、治療方法などについては、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
適応障害が仕事に与える影響
この章では、適応障害が仕事に与える影響について解説します。
影響①集中力や注意力の低下
適応障害の症状として、集中力や注意力が低下することがあります。
不安や憂うつな気分が続くことで、仕事に集中できず、以下のような問題が生じるかもしれません。
- ミスが増える
- 作業に時間がかかる
- 複数のタスクを同時に処理できない
- 重要な情報を見落とす
- 簡単な作業でも疲れやすい
こうした状態が続くと、周囲からの評価が下がり、さらにストレスが増えるという悪循環になる可能性があります。
影響②イライラや不安・気分の不安定
適応障害を発症すると、感情のコントロールが難しくなることがあります。
普段は問題なく対応できていたことに対しても、以下のような反応が出やすくなります。
- 不安や焦りが強くなる
- 気分の浮き沈みが激しい
- 些細な出来事に過度に反応する
- 感情的になりやすい
- 些細なことにイライラしやすい
気分が不安定な状態では、冷静な判断や適切な対応が難しくなり、仕事の質が低下するかもしれません。
影響③コミュニケーション・対人関係の問題
適応障害の症状は、職場での人間関係にも影響を与えます。
ストレスを抱えた状態では、以下のような問題が生じる可能性もあるでしょう。
- 上司や同僚などの職場の人とのコミュニケーションがうまくいかない
- 誤解を招く言動が増える
- 他者の言動に敏感になる
- 人と関わることを避けるようになる
- チームでの協力が難しくなる
職場での人間関係の問題は、さらなるストレス要因となり、症状を悪化させる可能性があります。
適応障害のある人がキャリアを選択するために必要な視点
適応障害と診断されたとき、今後のキャリアについてどう考えればよいのでしょうか。この章では、適応障害のある人がキャリアを選択するために必要な視点について解説します。
視点①まずは治療を最優先に考える
適応障害と診断されたら、まずは治療を最優先に考えましょう。
無理をして仕事を続けることで症状が悪化すると、回復までに長い時間がかかる可能性があります。
治療を最優先にするためにも、以下のような対応を意識することが大切です。
- 主治医の指示に従って通院や服薬を続ける
- 必要に応じて休職や療養休暇を取る
- 十分な睡眠と休息を取る
- ストレスを軽減する生活習慣を身につける
- カウンセリングや認知行動療法などを受ける
経済面での不安があるかもしれませんが、休職中に利用できる支援制度もあります。まずは心身の回復を優先することが、長期的なキャリア形成につながるでしょう。
適応障害のある人が休職中にすべきことについては、以下コラムにまとめています。
視点②復職・異動・転職などの選択肢を知る
適応障害の治療を進める中で、今後のキャリアについて考える際には、複数の選択肢があることを知っておきましょう。
主な選択肢としては、以下が挙げられます。
- 復職:現在の職場に戻る
- 異動:同じ会社内で部署や業務内容を変更する
- 転職:別の会社や職種に移る
- 働き方の変更:正社員から契約社員やアルバイト、在宅勤務などに変更する
- 休職期間の延長:さらに療養が必要な場合は休職期間を延長する
職場環境の調整や配置転換などの配慮が得られれば、復職が見込めます。しかし、同じ環境のままや配慮が受けられない場合、再発のリスクも考えられるでしょう。
人間関係や業務内容がストレス要因だった場合、環境を変えることで改善する可能性もあります。職場環境が根本的に合わない場合や、新しい環境でやり直したい場合は、転職活動も選択肢の1つです。
これらの選択肢については、主治医や上司などの職場の人、家族などの周囲の人、専門家などと相談しながら検討することをオススメします。
視点③ストレス要因を分析して自分に適した環境を見極める
今後のキャリアを考える上で、何が自分にとってのストレス要因だったのかを分析することが重要です。
ストレス要因を明確にすることで、どのような環境なら働き続けられるかが見えてきます。
ストレス要因の分析では、以下のような点を確認してみましょう。
- どのような業務が苦手だったか
- どのような業務なら取り組みやすいか
- 労働時間は適切だったか
- 上司や同僚などの職場の人との関係はどうだったか
- 職場の雰囲気が自分に合っていたか
- 会社の方針や文化が自分に合っていたか
- 仕事に対する考え方が周囲と合っていたか
これらを分析する際には、1人で考えるのではなく、医師やカウンセラー、支援機関の専門家などと話し合いながら進めるのがオススメです。
客観的な視点を取り入れることで、自分のキャリアを俯瞰して見つめる機会になります。
適応障害のある人が重視したい職場選びの基準
この章では、適応障害のある人が重視したい職場選びの基準について解説します。
基準①業務内容が明確でマイペースに取り組める
適応障害のある人には、業務内容が明確で、マイペースに取り組める仕事が適している傾向にあります。
具体的には、以下のような特徴がある仕事です。
- タスクが明確で、何をすべきかがはっきりしている
- 手順やマニュアルが整備されている
- 急な変更や突発的な対応が少ない
- 自分のペースで進められる
- 複数の業務を同時にこなす必要がない
- 業務量が安定している
具体的な職種例は、以下のとおりです。
- 事務
- データ入力
- 倉庫業務
- Webライター
- プログラマー
ただし、あなたの性格や得意・不得意によっても、向いてる仕事は異なります。自分に合った業務内容を見極めることが大切です。
適応障害のある人に向いてる具体的な仕事については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
基準②長時間労働や不規則なシフトがない
労働時間や勤務形態は、適応障害のある人にとって重要な要素です。
過度な労働は心身に負担をかけ、症状を悪化させる可能性があります。
無理のない生活を送るためにも、以下のような職場を選ぶことをオススメします。
- 残業が少ない、または残業がほとんどない
- 休日がしっかり確保されている
- 勤務時間が規則的である
- シフト制ではなく固定勤務である
- 有給休暇が取りやすい
- フレックスタイム制や時短勤務が選択可能
在宅勤務やリモートワークが選択できる職場であれば、通勤のストレスを軽減できる場合もあります。
長く働き続けるためには、ワークライフバランスを保ちながら働ける環境を選ぶことが重要です。
基準③人間関係のストレスが少ない
職場の人間関係は、適応障害のある人にとって大きなストレス要因となり得ます。
人間関係のストレスが少ない職場を選ぶことで、症状の悪化を防ぎ、安定して働き続けることができるでしょう。
以下のような特徴がある職場を選ぶと、人間関係のストレスに悩まされるリスクが減らせます。
- 相談しやすい雰囲気がある
- ハラスメントがない健全な職場環境である
- コミュニケーションの取り方が明確である
- 一人で集中して作業できる時間が確保されている
- 上司や同僚などの職場の人が適応障害や精神疾患に理解がある
また、適応障害のある人の中には、対面でのコミュニケーションよりも、メールやチャットなどの文字でのやり取りの方が負担が少ないと感じる人もいます。
職場のコミュニケーションの取り方についても考慮しつつ、自分に合った環境を選ぶことが大切です。
補足:障害者雇用も選択肢の1つ
適応障害のある人が職場を選ぶ際、障害者雇用という選択肢も検討できます。
障害者雇用とは、障害者手帳を持っている人が、障害をオープンにして働く雇用形態のことです。企業側が障害への配慮を前提としているため、無理なく働きやすいメリットがあります。
一方で、給与水準が一般雇用より低い場合がある、キャリアアップの機会が限られる場合があるといった注意点もあります。
障害者雇用で働くには、精神障害者保健福祉手帳の取得が必要です。手帳の取得には、初診日から6か月以上経過していることが条件となります。
障害者雇用と一般雇用のどちらを選ぶかは、症状の程度やキャリアの考え方、希望する働き方などによって異なります。支援機関や主治医と相談しながら、自分に合った選択をしましょう。
障害者雇用については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
適応障害のある人がキャリアについて相談できる就労支援サービス
適応障害のある人が仕事を探す際には、1人で抱え込まず、専門的な支援を活用することをオススメします。
- ハローワーク(公共職業安定所):無料で求人紹介や就職相談を受けられる機関で、障害者雇用の求人も取り扱いがある
- 地域障害者職業センター:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構が運営する施設で、障害のある人の就職や職場定着の支援が受けられる
- 就労移行支援事業所:障害者総合支援法に基づき、一般企業への就職を目指す障害のある人に対して、就労に必要な知識やスキルの習得などの支援を提供する
- 障害者就業・生活支援センター:就業面と生活面の一体的な支援を行う機関で、就職に関する相談から職場定着のための支援、日常生活の相談まで、幅広くサポートが受けられる
- 転職エージェント:転職コンサルタントによるサポートを受けながら適した応募先を探せる
これらの支援サービスは、それぞれ特徴が異なります。複数の機関に相談してみて、自分に合ったサービスを見つけることをオススメします。
また、就職活動を始める際には、必ず主治医に相談し、現在のあなたが就職活動に取り組める状態かどうかを確認することが大切です。
就労支援機関については、以下のコラムで解説しています。ぜひご覧ください。
まとめ:自分に適した選択肢を選びましょう
適応障害と診断されても、適切な治療と環境選びによって、キャリアを築いていくことは十分に可能です。
現在の症状や価値観、希望する働き方に合わせて、自分に適した選択肢を選ぶことが大切です。
1人で抱え込まず、主治医や支援機関の専門家、家族などの周囲の人と相談しながら、あなたらしい働き方を見つけていきましょう。
適応障害が仕事に与える影響について教えてください。
適応障害の症状として、集中力や注意力が低下したり、感情のコントロールが難しくなったりすることがあります。
詳細については、こちらで解説しています。
適応障害のある人が職場選びをする時は、何を重視すればいいの?
監修キズキ代表 安田祐輔
発達障害(ASD/ADHD)当事者。特性に関連して、大学新卒時の職場環境に馴染めず、うつ病になり退職、引きこもり生活へ。
その後、不登校などの方のための学習塾「キズキ共育塾」を設立。また、「かつての自分と同じように苦しんでいる人たちの助けになりたい」という思いから、発達障害やうつ病などの方々のための「キズキビジネスカレッジ」を開校。一人ひとりの「適職発見」や「ビジネスキャリア構築」のサポートを行う。
【著書ピックアップ】
『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(2021年12月、翔泳社)』
Amazon
翔泳社公式
【略歴】
2011年 キズキ共育塾開塾(2025年6月現在17校+オンライン校)
2015年 株式会社キズキ設立
2019年 キズキビジネスカレッジ開校(2025年9月現在9校)
【その他著書など(一部)】
『学校に居場所がないと感じる人のための 未来が変わる勉強法(KADOKAWA)』『ちょっとしたことでうまくいく 発達障害の人が上手に勉強するための本(翔泳社)』『暗闇でも走る(講談社)』
日経新聞インタビュー『働けたのは4カ月 発達障害の僕がやり直せた理由』
現代ビジネス執筆記事一覧
【メディア出演(一部)】
2022年 NHK総合「日曜討論」(テーマ:「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」/野田聖子こども政策担当大臣などとともに)
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