希望の半年間で、希望のウェブマーケティング職に就職。学びになった、「自分のメンタルを客観視すること」

Lさん(インタビュー時30代、画像は全てイメージ、イニシャルは本名と無関係)、キズキビジネスカレッジ(KBC)新宿御苑校通所期間約6か月。
大手グループ企業に入社。就職後は定着支援も利用。
障害:適応障害
※掲載画像は全てイメージです
現職は、総合広告代理店のデジタルマーケティング部門で働いているKさん。ウェブの広告、SNS、インフルエンサー関係の企画を担当しています。働き方は、一般枠、正社員、クローズ(就職先に、病気・障害について伝えない)です。就職から1年4か月が経過しました。
前職に関連して適応障害の診断を受けたKさんの経歴や、KBCとの出会い、KBCで学んだことなどをお伝えします。
目次
大学時代までは、病気・障害とは無縁に過ごす
私には生まれつきの病気・障害はなく、働き始めてからもしばらくは病気になることはありませんでした。高校までは、地元の千葉県にいました。
元々語学に興味があって、高校は留学ができる学校に行っていたんです。そして、外国のことを知るにつれて、「日本のことを知らないな」と思うようになりました。
そこで、「日本のこと」を学びつつ「語学」も学ぶため、京都にある大学の外国語学部に進学しました。
大学生活は、友達もできましたし、外国人観光客向けのガイドボランティアもやっていて、楽しかったですね。
新卒時の就職も、1回目の転職も順調に
大学卒業後は、外国語を活かした仕事に就きたいと思っていました。一方で、新卒だとスキルも経験もなく、いきなり海外に行くのも怖いなと思っていました。
そこで、学んだ言語に関係する国の文化を紹介するNPOに就職しました。そこで2年程度、イベントの企画担当を行っていました。
このときは、イベントが忙しいときは業務終了が深夜の1時、2時になったりして、眠れなくなったり疲れが溜まったり…ということはありました。
しかし、「まあ、働いていればそういうこともあるか」と受け止めていました。実際に、深刻な事態になることはありませんでした。
語学や社会人としての実績を積んで、いよいよ実際に海外で働くことに。中米のある国で、日本企業の現地法人に転職しました。
現地社会では、日本との違いに戸惑うこともありました。
ただ、周りには日本人もそれなりにいて、週末に遊んだりもできました。
「仕事をして、友達とも遊ぶ」という意味では、日本と変わらず過ごせていました。
いい職場でしたね。5年間くらい働いていました。
最後の年は、コロナ禍による仕事への影響がピークで、大変なこともありましたが。
そして、ある会社からヘッドハンティングを受けて転職することになったんです。私の実績が、その会社の「これから」に活かせそうという理由でした。
2回目の転職で、適応障害を発症
転職後は、日本に帰国して働くことになりました。
職場は、これまでには縁もゆかりもない地域でした。
仕事は、その会社の「これから」のために、クライアントを開拓するというものでした。
このとき、コロナ禍はまだ続いていて、転職したばかりで、同僚と触れ合う機会があまりありませんでした。
そして、直属の上司とソリが合わなかったんです。
「自分は全く悪くない」と言うつもりはありませんが、「その会社のことが全然わかっていない」という段階にも関わらず、ガンガンに詰められて、追い詰められていきました。
相談できる同僚はいない。
家族も友達も近くにいない。
平日は眠れない。
土日は寝て終わる。
自殺衝動も出ていました。
そんなある日、限界を迎えて、病院に行き、適応障害の診断を受けました。
その直前に、中米時代の上司と会う機会があり、そのときに「病院に行った方がいい」と言われたことも、受診のきっかけですね。
「今自分が休むと会社に迷惑がかかる」という思いはありましたが、「死ぬよりは絶対にいい」と思って。
休職から退職へ。就労移行支援のことを知る
診断後、休職に入りました。
1か月、2か月くらいは何もできない状況でした。
職場の近くにいると気が滅入るので、実家に戻りました。
休職開始から3か月目くらいに、会社から「復職しますか」という確認があったのですが、「無理だな」と思って辞めました。
退職からさらに3か月くらい経って、「こういう状況からできること」について調べるうちに、就労移行支援のことを知りました。
KBCの講義が実践的だったため、利用を決める
「今後のことを考えると、就労移行支援の利用が向いていそうだな」と思い、KBCも含めて3つの事業所に問い合わせて、見学には2つ行きました。
KBC以外の事業所は、どちらかというと「病気への対応を優先しましょう」という雰囲気でした。
雰囲気は「静か〜な感じ」で、プログラムは「散歩」や「簡単なディスカッション」などでした。
それが向いている人はもちろんいるでしょうが、私には向いてないと思いました。
雰囲気が静かすぎると気持ちが暗い方に引きずられるという自身の性格もありますし、自分の体調だと「この段階」のサポートは適していないかなと。
一方で、KBCは、面談担当者が「聞くべきことは聞いてくれた上で、フランク」。講義もウェブマーケティングや就活対策など、実践的なものでした。
「ここなら自分に並走してもらえそう」と思い、利用を決めました。
特に学びになった、「自分のメンタルを客観視すること」
KBCには、利用者もスタッフもいろんな人がいるなと思いました。
自分と同じような境遇の人ももちろんいて、「病気と向き合いながら、就職を目指すのは自分だけじゃない」と思えて、心強かったです。
受講した講座は、主には「就活対策ゼミ」「ウェブマーケティング」「ウェブライティング」「コミュニケーション講座」です。
就活対策ゼミでは、「一度リタイヤして、今後どうすればいいのかわからない」ということについて、よく考えました。
特に学びになったのは、「自分のメンタルを客観視すること」です。
「自分に特有のこと」と、「こういう環境にいると、誰だって落ち込むよねということ」を、切り分けて考えられるようになったのかなと思います。
「コミュニケーション講座」では、利用者同士で「何か」をすることで、仲良くなれるきっかけにもなり、友達もできました。
コミュニケーション講座ではボードゲームを行うこともあります。特にITOが好きでしたね。これはコミュニケーションの練習になるとともに、リフレッシュにもなりました。
楽しさがあることで、「これからどうなるんだろう…」という負のドツボにハマることを防げました。
利用開始から半年で、希望する業界に就職決定!

退職後に「これから何をやりたいか」と考えたときに、「ウェブの広告やマーケティングの仕事をしたい」というのが浮かびました。
また、KBCの利用開始前の面談では、「半年間で就職したい」と相談していました。
この二つは、実際に叶いました。
特に「就職のため」という点において、KBCが具体的に役立ったのはESや面接の対策です。
私は、「思いをうまく言語化できない」という弱みを自覚していました。KBCのスタッフさんと対策を行うことで、面接やESで「何をどう伝えるか」をブラッシュアップしていくことができました。
また私は、KBC以外にも2つのサポートを利用していました。
1つはウェブマーケティングのスクール、もう1つは就職エージェントです。
ウェブマーケティングはKBCでも学べますし、就職先候補の提案もKBCが行っています。
KBCのそれらは不十分だ…という意味ではもちろんありません。
また、相談先を増やすことで、逆に迷いが生じることもあるでしょうし、体力的に難しいこともあるでしょう。
その上で、私の場合は「KBCも含めて、いろんな視点からの学びやサポートがある」という状況が、いいふうに働いたんだと思います。
結果として、就職活動に当たっては、10社も受けずに内定を得ました。
現職は順調!上司も穏やかで、数字に厳しく追われることもない
現在、総合広告代理店でデジタルマーケティングの部署に所属し、営業がクライアントから持ち込んだウェブ関連の課題への対策を考える仕事をしています。
KBCで並走してもらった経験は、非常に役立っています。現在の職場は、上司も穏やかで、厳しい数字に追われることもなく、精神的にも落ち着いて働くことができています。
営業、企画、クリエイティブと連携しながら業務を進めるなかで、今の仕事を続けたいと感じています。
また、KBCの定着支援(※)も月に1回受けていました。「どんなことがあったのか」「こう思っている」ということを話すことで、第三者の視点を得られるのはとても良いことだと感じています。
※定着支援とは:就職後に職場環境や業務にスムーズに適応できるよう、研修やメンタリング、定期的な面談などを通じてサポートを行う取り組みのこと。
職場環境は良いですが、トラブルや落ち込むことは「普通に」あります。例えば、ウェブへの記事入稿までに時間がかかることや、お客様の要望への対応が難しかったりすることもあります。
何か問題があったときは、上司から「話すようにしてほしい」と言われています。私は、一人で考えすぎたり、自分だけで結論を出してしまう癖があるので、「こうかな?」と思ったときには、意識的に上司と話すようにしています。
最近では、仕事が順調であるため、定着支援の場で話すことが少なくなってきました(笑)。
病気や仕事については、一人で悩まず、相談しながら向き合っていきましょう
偉そうなことは言えませんが…「自覚症状があるなら、一人で悩まず、病院に行きましょう」と伝えたいです。
「メンタルの病気」は、いまだに根性論で片付けられがちですが、適切な治療法や薬もあります。
「メンタルの病気」も「肉体の病気」と同じく、適切な対処が必要な病気です。一人で悩むと良い方向に進みにくいです。病気にも仕事にも、家族、パートナー、KBCのような専門家と相談しながら、向き合っていくのが大切だと思います。